IS〜インフィニット・ストラトス〜
自由の戦士と永遠の歌姫

第八十二話
「新たな力・2」



 セシリア、鈴音、シャルロット、ラウラ、楯無、簪、6人のISのお披露目が終わり、続いて行われるのは千冬、箒、一夏、この3人の第5世代へと進化したISの番となった。
 最初にモニターに映ったのは白式と紅椿のプロトタイプでもある千冬の暮桜・真打、嘗ての世界最強がこれから担う事になる新たな剣だ。

「第5世代型IS、暮桜・真打改修型、通称“暮桜・春風”」

名称:暮桜・春風
世代:第5世代
装甲:TP(トランスフェイズ)装甲
動力:デュートリオンエンジン
推進システム:ヴォワチュールリュミエールシステム
         ミラージュコロイド
武装:雪片・真打
    ビームシールド
 第5世代へと進化した暮桜は装甲に一部の展開装甲とTP(トランスフェイズ)装甲を採用、更にスラスターにはヴォワチュールリュミエールシステムとミラージュコロイドを搭載する事で今まで以上の加速を可能とし、デスティニーと同じような加速が出来る様になった。
 そして、一番の難点であるエネルギー面に関してはデュートリオンエンジンを搭載して、そこにパワーエクステンダーも採用しているので、大幅なエネルギー量アップを果たしている。
 中でも、暮桜が第5世代になったという大きな特徴はビームシールドと、雪片・真打だろう。雪片・真打は展開装甲タイプであるのは壱型の時と同じなのだが、そこから発生するエネルギー刃がレーザーからビームに変更されているのだ。

「これでちーちゃんの全力の戦いが出来る様になったよ」
「そうか、感謝する」

 第1世代から一気に第4世代になり、そして今や第5世代になった相棒を受け取った千冬は、これからの戦いに思いを馳せ、静かに、だが確かに哂った。

「次は紅椿ですわ。第5世代型IS、紅椿改修型、通称は“紅椿・煉華”」

名称:紅椿・煉華
世代:第5世代
装甲:TP(トランスフェイズ)装甲
動力:デュートリオンエンジン
推進システム:ヴォワチュールリュミエールシステム
武装:雨月
    空割
    穿千
    展開装甲ビット
    グリフォンビームブレイド
    フラッシュエッジ2ビームブーメラン
 新型紅椿最大の特徴は全身の展開装甲からヴォワチュールリュミエールシステムの光が出てくる点だ。全身スラスターになったと思えば解り易いだろうか。
 更に雨月と空割から放っていたレーザーは全てビームに変更、穿千からはプラズマビーム砲が放たれる。そして単一使用能力(ワンオフアビリティー)の絢爛舞踏はよりスムーズなエネルギー増幅を行えるデュートリオンエネルギー送電システムとのリンクが構築されていて、支援という点でも前以上のものになった。勿論、紅椿にもパワーエクステンダーが搭載されているので、燃費の悪さから来るエネルギー切れの早さも改善されているのが特徴だ。

「凄い…これが新しい紅椿」
「でも気をつけて、紅椿は元々のスピードが速かったのに、そこに加えて全身の展開装甲からヴォワチュールリュミエールの加速を行える様になったから、正直最高速度は以前のストライクフリーダムに並ぶよ」
「そ、そんなに…」

 まさかスピード面でストライクフリーダムに並ぶ程になるとは思いもよらなかった。最高速度はという事は、普段はそれほどでもないのだろうが、出そうと思えば出せるという事なのだ。

「最後は白式。一夏が担う新しい剣だよ」
「・・・ああ]
「第5世代型IS、白式・雪羅改修型……名称、白騎士・雪羅」
「……は? しろ、き…し……はぁ!?」

名称:白騎士・雪羅
世代:第5世代
装甲:PS(フェイズシフト)装甲
動力:デュートリオンエンジン
推進システム:ヴォワチュールリュミエールシステム
武装:雪片・参型
    多機能武装腕“雪羅”
    パルマフィオキーナ掌部ビーム砲
    ヴァジュラビームサーベル
    アーマーシュナイダー
 驚く一夏を他所に、スクリーンに映し出される新たな白式…白騎士・雪羅、第二形態(セカンドモード)のまま世代アップしているので、性能は世代アップした全てのISの中ではトップに君臨する。
 勿論、消費エネルギーはヴォワチュールリュミエールシステムとPS(フェイズシフト)装甲のおかげで更に悪くなったのだが、パワーエクステンダーの上位版、ハイパワーエクステンダーを搭載する事でシールドエネルギー最大値がブリリアントフリーダムとオルタナティヴ、レジェンドプロヴィデンスを除く全てのIS中最大になった。
 雪片に関しては暮桜と同じなのだが、名称が白式から白騎士にした理由はただ一つ、コアナンバー001が持つ搭乗者への治癒能力を最大に引き上げ、嘗ての白騎士としての力を取り戻したからに過ぎない。

「白式が…白騎士のコアを使っているって」
「雪羅のスピード、白騎士として覚醒したコアの扱い難さは白式の比じゃないから、この点には十分気をつけてね」
「ちょ、ちょっと待って! 一夏の白式が白騎士のコアを使ってるって! 何よそれ! マジなの!?」

 あまりの事に皆が驚く中、鈴が何とか気を取り直してキラと、千冬、そして束に向けて皆が共通で抱いた疑問を投げかけた。

「…ああ、本当だ。この天才(バカ)が何をトチ狂ったのか白式に白騎士のコアを使ったのさ」
「いや〜、いっくんの為のISだもん。ただのISじゃあ束さんとしては納得できなかったからねぇ〜」
「一夏、白式って漢字の読み方、変えて並べ替えてみて?」
「白式の読み方? びゃくしき…しろしき? しきしろ…しろき、し……!!!」

 一夏が、それに他の皆も気がついた様だ。白式の読み方を変えると白騎士になるという事に。

「じゃ、じゃあ俺って」
「白騎士の後継者、って所かな?」
「マジかよ…」

 白騎士の継承者、それ即ち千冬の後継者でもある。その事についてはまだ話さないが、千冬としては内心、嬉しいやら心配やら、複雑な心境らしい。

「あら? キラさん、もう一つデータがあるみたいですが…」
「あ、うん…」

 セシリアが気がついたのは、白騎士・雪羅のデータの次のデータが開ける状態になっているアイコンだった。
 セシリアの指摘に鈴音やシャルロット達も気がつき、まだ何かあるのかと、ラクスの方を向いた。キラのブリリアントフリーダムは改造の必要が無いので、可能性としてはラクスのオルタナティヴだけなのだが、その予想は外れる。

「束さん」
「おっけ〜」

 束が操作して開いたデータ、それはこの場にいる者のISではない。全く別の機体のデータであり、見たことの無い機体データだった。しかも、そのデータの世代のところに書かれている文字は……。

『第6世代!?』
「そう、僕と束さんで開発を進めている第6世代型のIS、開発コード“楽園の兎”、正式名称“樂兎(ラクト)”」



押して頂けると作者の励みになりますm(__)m


<<前話 目次 次話>>

作品を投稿する感想掲示板トップページに戻る

Copyright(c)2004 SILUFENIA All rights reserved.