夢・・・楽しい思い出や悲しい思い出、辛い思い出や嬉しい、恐い・・・夢は、
見る個人の思い出を蓄積し形成する物である。

だから、思い出したくない夢も忘れたい夢も永遠のアルバムの様に記録させた
写真が開かれるように否応無しに見せられてしまう。その夢というのは、ある種の拷問なんだろうか?

何処かの暗い、暗い、研究所・・・そこには、台の上に両腕両足を拘束された7〜8歳の男の子が縛られていた。

だが、そこで行われているのは、人間の所業とは思えないほどの行為。普通の人間なら目を背けたいほどに・・・。

「       !!!」

声も出ないほどの絶叫。苦しみを感じながら白目をむきそうになりながら両腕両足の痛みなどという言葉で言い表せないほどの物が蝕むのを感じながら高みの見 物をする2人の人間が男の子を物を見るような目で見ていた。

「・・・・。どうします?ナノマシンの投与のしすぎで右腕、左腕、両足と壊れてしまいますよ?」

ニヒルな笑みで白衣の男は、隣に居る冷たく無表情な男の顔を見つめていた。

「そうか、廃棄すればいいと思うがいいだろう・・・・くん。君の開発している人口神経を使ってみたまえ。」

「おやおや、それのモルモットにしちゃうんですか?この子も可哀想だ。」

ニヤニヤといやらしい笑みで実験を受けている子を見る。そして、薄れいく意識・・・彼は、純粋な心に強い感情を芽生えさせていた。


機動戦艦ナデシコ〜MACHINERY/DARKNESS

第2話『人形は、心を持つのか?』


カーテンの隙間から刺す朝日に目を覚ます。ゆっくりと身体を起す・・・朝6時いつもより遅い時間に目を覚まし黒いバイザーをかける。そして、黒いシャツに Gパンというなんとも地味な服装で彼は、ベッドから降りた。

「あっ、おはようアキト。」

ジュージューとフライパンから香ばしい匂いがただよう居間では、アカリが台所で料理を作っていてトースターからトーストができあがった。普通なら微笑まし い光景なのだがアキトにとっては、なんとも恐ろしい光景だったのだ。

「・・・お嬢様?なにを・・・。」

「え、料理だけど・・・。なにか問題でもある?」

フライパンの上の目玉焼きは、半熟ながら言い焼き色でトーストにもなにも問題は、ない。だが、アキトにとっての問題は、そこではない、その前の調理の段階 である。そう、アカリが1人で調理をしていることこそが問題なのだ。

「ええ、調理も料理も完璧!ですが、お嬢さま?火を使うときは、私も呼んでいただきたい!もしも、もしもですよ?お嬢さまの肌に油でもはねたら・・・ あぁ、考えただけでも・・・。」

「もう、アキト!私子供じゃないんだよ?アキトに一応一通り習ったし。別に問題は、ないよ。」

「いいえ、ダメです!1人で火を使っては、いけません。それに、お嬢さまは、私の主人なんですから雑用ごとは、私にお任せください。」

アカリは、そんなアキトの言葉に頭を抱える。彼は、いつも冷静沈着で他人に対して興味の無いような装い。だが、一度アカリが加わると子供を溺愛する親のよ うになるのだった。

「はぁ、アキト・・・今度から気をつけるけど・・・私だって自分のやりたい事だってあるんだからね?」

「むぅ、しかし、私は・・・。」

「アキト?私の事を人の一倍心配してくれるのは、嬉しいけど。アキトにはアキトの私には私の進む道があるんだからね?」

「・・・・了解しました。これから気をつけます。」

少し寂しそうな表情をしながら頷くとアカリは、ニッコリと微笑んだ。


ガァン!!ガガァン!!
銃撃戦が続く中でピンク色のエステバリスは、薄紫色のエステバリスに銃弾を浴びせかける。

紫のエステは、ラピッドライフルを構えピンクのエステに発射する。だが、ピンク色のエステは、ローラーダッシュを器用に使い機敏に動いていく。

「っつ!」

苛立ちの表情をする。いくら、いいポジションをとり最高のタイミングで撃った銃弾も全てかわされる自分の最高の一撃を避けられたのだ。それは、悔しいに決 まっている。

ラピッドライフルを撃ちながらピンク色のエステを破壊しようと放たれるピンクの機体は、ブーストジャンプで遮蔽物により攻撃を全て弾かれていく。

「くっ、遮蔽物に姿を隠しましたか・・・どこから?右?左?」

岩場になっている遮蔽物の多いフィールドのため発見するのが難しい。攻撃を仕掛けているのは紫の機体だが『狩る側』にいるのは、ピンクの機体なのだ。

ビュンッ!

「!!」

突然跳んできた岩に反応しラピッドライフルでそれを砕く。そして、その岩の飛んできた方向に銃口を向ける。だが、それこそ間違え攻撃した場所から動かない ことなんて有り得ない。それをこの狩られるというポジションにおり冷静に対処できなかった。そのためにジャンプし強襲をしてくるエステに対応できなかっ た。

「なっ!!」

「終わりだ・・・。」

斬っ!!

振り落とされたナイフが薄紫色の機体の頭部に突き刺さっていた。そして、とどめて言うばかりにラピッドライフルをコクピットに向け放った。

ヴーヴーヴー!!!

終了を知らせる警報に薄紫色のエステのシュミレーターのコクピットのドアが開くとパイロットスーツに身を包み黒く艶やかで大和撫子ともいえる女性・・・地 球連合の中尉イツキ・カザマが姿を現す。その反対側のシュミレーターからは、黒いバイザーを掛けたアキトが姿を現した。

「お疲れ様でした。」

「ああ、お疲れ・・・。」

優しい笑顔で声を掛けてきたイツキにアキトは、彼女に興味が無いような表情をしながら歩いていった。それを追いかけるようにイツキもアキトの後をついてい く。

「それにしても凄い操縦技術でしたね?あれだけの腕なら軍でも上ランクに位地するはずなのに。何故です?」

「簡単だ。軍人は、上層部以外ほとんど儲からん。傭兵のような危険の多い仕事の方は、金額がいいだろ?それに規律だとか軍規なんかに拘束されるのが嫌いな んだ。だから、軍は、嫌いな部類にはいる。」

その疑問に冷たく言い張る。それにイツキは、『むぅ〜』と唸る。やはり群を否定したのがいけなかったのか?とアキトは、感じていた。

「まぁ、君個人としては、好きな部類にはいるだろう。だが、意味合いは、通じてくれよ?」

「あっ、はい。でも、好きだと言ってくれることは、嬉しいことなんですよ?」

「そうか?」

なにか嬉しそうな表情をするイツキにアキトは、頭の上に『?』マークをつけながら一緒に歩いていった。そして、寄宿舎と研究室に向かう廊下が分かれてい た。そして、アキトは、研究室の方に足を向けた。

「あ、ナナシさん?明日もお願いしますね?」

「ああ。」

それだけを言うとイツキと分かれコツコツと廊下を歩いていく。彼は、エステの操縦だけでなくオモイカネのプログラムの調整を手伝いまでもしていた。
しかし、何故彼がオモイカネの調整が出来るか・・・それは、誰にも言えない秘密でもあった。

IFSを輝かせながらオモイカネの思考プログラムを器用に設定していく。無駄の無い機械のような作業に目を見張るものがある。しかし、研究者にしては、ア キトの存在は、目の上のタンコブである。それは、彼の能力は、認められるが自分達が作ったものに何か問題を起すのでは、無いのかと心配の種であった。

「さすがですねナナシさんオモイカネの思考パターンも上々ですし。あとは、オペレーターとの相性を合わせないといけませんから。」

「そうか・・・ところでオペレーターは、誰がやるんだ?俺は、そこの所を聞いていなくてな。」

「そうなんですか?あ、でしたら今日がオペレーターの初実験の日ですから。」

「ほぅ、オペレーター・・・・マシンチャイルドの事か?」

「あれ?マシンチャイルドを知ってたんですか?」

「職業柄な・・・おっと、来た見たいだぞ。」

「えっ?ああ、本当だ。」

扉が開きエリナと一緒に少女の姿があった。銀色の髪をツインテールにしその場に現れた瞬間にその場に印象を残し美しい妖精と見間違えるほど彼女は、この場 にとって世界から逸脱した存在そのものであった。

「ああ、可愛い〜〜。」「あの子がマシンチャイルド・・・。」「マジかよ。」

「・・・・・・・・。」

その視線に何の感情も持たずに彼女は、オペレーターシートに座ろうとアキトのほうに近づいてくる。その隣に居る男は、デレデレとしながら少女を見つめてい るがアキトは、少女を見ていなかった。いや、彼女の中に存在する心の奥底を見つめていた。

「なんですか?」

冷たい言葉にアキトは、一瞬だけ反応するが彼は、バイザーの内側から心を覗き込むように少女の心を見る。

「ふっ、いやなんでもない。ま、頑張ってくれチャイルド。」

「っ!」

少女は、キッとアキトを睨みつける。だが、そんな視線を無視しながらアキトは、外に出て行った。

「ナナシ!」

研究所から出たアキトは、廊下を呼び止められアキトは、ゆっくりと振り向いた。そこには、息を切らしたエリナが立っていた。

「何かようか?エリナ?」

「ええ、貴方あの子に向かってチャイルドって言ったわね?」

「ああ、言ったが?何か問題があるのか?」

「大ありよ!あの子にとっては、その言葉を好いてないのよ?マシンチャイルド・・・確かに彼女は、チャイルドっていう遺伝子をいじられた存在よ。でもね? 彼女は、小さな女の子なのよ?」

そんな怒るエリナを嘲笑うかのようにアキトは、口を開いた。

「確かに彼女は、女の子・・・彼女の年齢なら不安な年頃だろう。だが、周りは、女の子として見ては、くれない。彼女は、あくまでもこの世でたった1 人・・・いや3人のマシンチャイルドだろう。」

「3人?」

怪訝な表情を見せるエリナを見る。マシンチャイルドの成功例は、ホシノ・ルリただ1人といわれているのに彼は、マシンチャイルドが3人と言ったのだ。

「気にするな・・・だが、彼女自身も自分をマシンチャイルドだと思い関心を持とうとしない。それだから俺は、彼女を世間一般の女の子だとは、思わない。俺 は、彼女をマシンチャイルドだと思って接する。お前だって彼女を人というよりチャイルドとしてみているだろう?」

「それは・・・。」

「偽善行為が俺は、一番嫌いだ。それは、単なる自己満足でしかない。そんな偽りの優しさを受けたものが一番分かる。」

静かに語る彼をエリナは、静かに聴いているしかなかった。

「もし、彼女が周りからマシンチャイルドじゃなく少女に見てもらいたいなら周りの影響もあるが一番は、自分が変わろうと思わなければ変わることも出来な い。」

「・・・・・・。」

彼の言葉は、重かった。彼女と彼では、生まれてからの経験してきた場数の数が違うのだった。

「俺に言えることは、それだけだ。もし、彼女を普通の少女と見て欲しいなら変わるしかない。」

前を向き廊下を進んでいく。立ち尽くすエリナ・・・そして、その会話を物陰から聞いていた人がいた事に誰も気がついていなかった。


ブロロロロ・・・・。

バイクを走らせアキトは、帰宅していた。

「まったく、アカツキの奴・・・俺に詰まらん話をさせやがって・・・いくらクライアントだからと言ってアイツは、俺を何だと・・・。」

ブツブツと彼は、バイクを走らせる。そして、新たな住居であるマンションにつくと駐車場にバイクを止め。オートロックを解除してマンションの中にはいて いった。

「さて、お嬢さまがお腹を空かして待っているでしょう。はやく料理を作らなければ・・・。」

ガチャッ!!

部屋の鍵を開ける。だが、いつもと違う雰囲気にアキトがいつも見せない驚いた表情をする。

「あ、おかえりアキト。」

「お帰りなさい・・・。」

そこには、居るはずの無い人物が・・・。

「何故君が?」

その言葉に彼女が反応する。

「これからお世話になります。」

 何故君が居る・・・。
「アキトさん。」
 ホシノ・ルリ・・・。


あとがき
ホシノルリ通い妻(違)とりあえず話を少しだけ進めました。というかネタバレ多いかもしれませんね。まぁ、私の心情がネタバレ第一を掲げています(おいお い)とにかくイツキも出てきましたので色々とグチャグチャした形になるかもしれません。




感想

NEOさんi何時にもまして新設定が生きています! 今度はルリちゃ…っと嬢とイツキ嬢の二人ですね♪

アキトさん私に気をかけてくれてい るみたいですね…これは、身体を張って答えないといけません!

あははは…(汗) ナデシコ出航前だから9〜10歳…身体を張るって言ってもね(滝汗)

全くゲスな考えですね! 何もそっちだけが身体を張ると言う事じゃないでしょう!

ああ、それで料理ね?

そうです、先ずは私の料理でアキトさんをにして、それからじっくり愛を育んでいけばいいんです♪

餌付けっすか(汗)

NEOさんも良く分かっていると思いますよ、今後の展開を期待しましょう!


ははは…そう、上手く行くとは思えんが…(滝汗)

何か 言いましたか?

いえ…(震)

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