活動する。動けば動くほどに自身の身体が動くことに心が弾む。同時に自身の身体が亀の様な鈍さと体力の無さに苛立つ。
苛立ちは焦りになり動きをより殺しかかる。しかし、自分の身体を理解し動きを少しずつ変えていく。
肉体は精神と繋がっている。ならば、精神を鍛えていれば肉体に変化が出てくる。
故に、精神という水に肉体という布がゆっくりと染み込み用に布が重さを増していくかのように内側が充満していく。


マブラヴ・リヴァイヴ 
第2話 「研ぎ澄まされる心」


PXと呼ばれる学校で言えば食堂のような場所で彼、白銀武の歓迎会と称し彼を迎え入れるために207分隊の少女達が武を見定めようという視線が懐かしく口 元を緩めてしまう。

彼女達に出会って俺は、自分を抑えることが出来るだろうか?

疑問に思う。本来なら死に別れるべき自分が再び彼女たちと出会うというのは、本来なら有り得ないこと。
しかし、神が微笑んだか、悪魔が微笑んだのかは分からないが彼女達と再び会えたことは喜ぶべきだろう。
けれど、武は、喜んではいられない。彼は彼女達の性格を把握しているが武自身の性格を彼女たちが把握しているわけではないからだ。

「ふーん、白銀ね。」

「おう。宜しくな、委員長。」

「委員長って・・・なによ、それ。」

「あ、悪い。アンタが学校とかに居る委員長タイプに見えて・・・つい、悪気はないぞ。」

「悪気がないなら。もう、委員長と呼ばないでよね。私は、この207分隊の分隊長の榊千鶴よ。」

茶色の髪をおさげにして眼鏡をかけた榊千鶴という名の少女。強そうな意志と絶対に曲がらない鉄のような女性というイメージが強い、まさに委員長といえる。

「おう分かったぜ。委員長。」

「あなたね。」

彼女が不満そうに武の顔を見ているのに対して、武は笑みを止めない。フレンドリーに接し少しでも溶け込もうという魂胆が武の頭は考え、心では、また一緒に 居られることを喜んでいた。

「白銀さんって変わっていますね〜。」

ピンク色の髪がひょこひょこと動くのが見えて目線を下げると人懐っこい笑みを浮かべる少女。人の心を暖かくしてくれる笑みとその小さな姿で頑張る姿は、隊 のムードメイカーという立場にいる。

「そ、それは酷いな〜。たま。」

「た、たま?わ、私は、珠瀬です。珠瀬壬姫です!」

「いや、悪い。なんか、猫みたいだなって。人懐っこい猫でさ。たまみたいにかわいい猫だったぞ。うちのたまは。」

「え、私って白銀さんの物だったの?」

「いや、違う、違う猫の方だ。猫の。」

オタオタとしている彼女に冷静なツッコミを入れる武。それに対して呆れる榊と残り2人のメンバー。

「あまり、珠瀬をからかうな。白銀。」

「へいへい了解。で、あんたは?」

仲裁をしてきた青色の髪と凛とした顔から美しさと強さを感じさせる。大和撫子というよりは、剣士といえるほどその身に隙がない。

「む、紹介が遅れたな。私は御剣冥夜だ。宜しく頼むぞ。」

「おう、冥夜。コンゴトモヨロシク。」

「な、なんだ?その悪魔を仲魔にしたときの挨拶みたいなのは?」

「それより、いきなり名前で呼んでる。」

なんだか、メガテンとか呼ばれそうな、挨拶に対しツッコミを返すがそれよりも名前で呼んでいることに驚く珠瀬。

「はいはい。もういいでしょ?挨拶はみんな済ませたわね?」

「まだだよ。」

「えっ?」

「やっ。」

「ひやぁ。」

ひょっこりと姿を現す少女。それに榊がビックリした顔をして彼女の出現に驚いた顔をした。
紫色の髪に思考を読み取らせない不思議な表情をしていながら心の奥底には、気焔を感じさせる。その女性らしい身体には、感じさせない力強さを持つ少女の名 を。

「ちょっと、今までどこに行ってたの?綾峰さん!」

「どうどう。そんなに、怒ると高が知れるよ?」

「貴女って人は!!」

説教をしようとすると榊の前を彼女は、目の前から武の前とスッと目の前に行く。

「彩峰。」

「は?」

「名前。・・・そんなこともわかんない?」

首を横に傾けて疑問のポーズをとる。可愛らしいが最後の挑発の言葉で打ち消すどころか血管がピクリと動く。

「はぁ、ああ、ヨロシクな彩峰。まぁ、仲良くやってくれ。」

「うん。」

大人な対応で答えるが何の表情も浮かべていない彩峰の顔だが、目は口ほどにという様に彼女の目は、白銀を見下しているように見えた。

「んで?これで全員なのか?」

「いいえ、この隊は、もう1人いるわ。今怪我をしていて入院しいてるのよ。後1週間で戻ってくるの。貴方も加わるんだから今のうちに鍛えておかないと。」

「うむ。1ヵ月後には、総合技術評価演習もある・・・一応期待しているのだぞ白銀。」

「へぇ、期待されるのは嬉しいが、そりゃまたなんで?」

理由を知っている武は、心の中で笑いながらも一応その理由を聞く。

「貴方は、特別だって香月博士から聞いているは、期待しないほうが無理でしょ?」

「特別・・・ね。」

俺としては・・・特別なんて思えないよな。特別な人間なんているわけじゃない。

何を持って特別というのか?秀でている才能、運動神経、はたまた超能力なんていう冗談のようなパワーのことを言うのか?
いいや、そうではないだろう。一人でも同質の存在がいるならば特別という意味が無くなる。

だからこそ・・・。愚痴を言っているように思えて武は考えるのを止めて少女達に顔を向ける。

「ところでさ、そのもう1人ってどんな奴なの?」

「何でそんなこと聞くの?」

「いや、特徴くらいつかんでおいた方がいいかなと思ってさ。」

「え〜とね〜髪の色は、水色で童顔の女の子だよ〜。」

「ふ〜ん。」

「ほら、もういいでしょ?早く行くわよ。」

みんなが立ち上がると武もしぶしぶ立ち上がると同時に彩峰と視線が合った。

「なにかようか?」

「・・・・・白銀は、不思議だね。」

「はぁ!?」

「なんでもない・・・。」

一言そういい残すとそのままグラウンドに向かった。

「なんなんだ・・・いったい?」


全員が体力強化の為のマラソンを始める。今回は、ただ走るだけですんでいる。本来ならば何キロもある重装備で山やら戦場をかける。そこに居るだけで体力は 削られる。
だからこそ、日頃の鍛錬がものを言う。

「はぁ、はぁ・・・。」

だから、素人の身体にマラソンを坦々とこなしていくのは、辛い。なによりも、息を乱し、汗をかき体力が低下して、同じ景色が続き変化がないことに集中力が 続かなくなっていく。同じマラソンでも終わりを知っていれば希望がある。しかし、このマラソンは、いつ終わるか分からない。それがより、身体と精神に負担 をかけていく。

やっぱり、鍛えてないからな・・・肉体がついてこねーな。ま、技術評価が始まる前に足を引っ張らない程度に回復させないと。
肉体は悲鳴をあげる。だが、心が折れない限り人は走れる。もういい、この程度だと思った途端に人の心は折れてしまう。必要なのは、諦めないという。

「白銀!!スピードを上げろ、置いていかれるぞ!!」

優しい顔と裏腹に真剣に彼女たちを叱咤する教官。ブラウンの髪が光に反射し美しさを引き立てるのだが今の彼女は、兵士の顔。まさに、鬼軍曹といわれる神宮 寺まりも軍曹であった。

「りょ・・・了解!」

カラカラの喉から声を振り絞りスピードを上げる。どうにか連帯責任を取らされずにマラソンを終了させる。倒れそうな体を必死にこらえ足を引きずりながら宿 舎の中に入っていく。
それから部屋に戻ると武は、机に置かれたトレーニング用の道具を見つけそれを手に取った。

「さすがに・・・鉄アレイとかそれぐらいの道具くらいしかないか・・・。」

10キロの鉄アレイを持ちながら武は、そう呟く。そう言いつつ武は、自分のやっていたセットの半分をはじめるため腕立て伏せを始める。とりあえず、現在の 体力を調べる意味での基礎トレなのだが。

「はぁはぁ・・・くそ・・・全然だめだ。あー!全盛期の体力さえあればこんなもん!」

そう言いながら限界を知らなければ無理はできないだろうと無理に体を起こす。

昔は、自分の周りにいる人だけを守ろうとした・・・だが、それでも守れる人は少ない・・・。

だから、今度こそ自分の力で守ろうというある意味『執念』に似た様なものがあった。無理をしてはいけないと理解しているのだが無理をさせてしまう。
焦り、未来の荒んだ世界を知った彼にとって焦ってしまうのは仕方がないことかもしれない。
仲間が目の前で死ぬ。それは、苦痛。心優しい白銀武という少年から男になるための工程で行われる出来事が彼の心を未だに締め付ける。

「197・・・198・・・199・・・200!!!・・・お、終わった・・・でも、休んでいられねー・・・さっさと走って終わりにするか。」

基礎トレを終えてグランドに行く。体が疲れているのは分かるが少しでも体に自分の動きを覚えてもらおうと宿舎の外に出た。

「ふぅ。」

息を整える。そして、呼吸をはじめ、終えると歩行をはじめる。なんとも不器用そうな歩き方だが武の道を少しでもかじったものならば、その動きが何かしらの 武術であると気づくだろう。
最初は、モタついていた歩き方が少しずつ良くなっていく。それに、気づくと武は何か違和感がした。

「・・・・・ん?」

それを無視して型をやってみる。鋭くもなく、優雅さもない。ただ凡才な男の武の型。しかし、やっていく違和感がさらに増す。

 技のキレがました?

動いていくにつれ豚のようにもつれていた動きが段々と早さと動きがキレを増していく。
そして、違和感が増している正体は自身の肉体である。頭から伝達する動きを覚えていくにつれ身体が成長していく。筋肉が膨張し無駄な肉が削れて行く。
まるで、種子から直ぐに芽が出てきて花が咲くような法則無視の成長に戸惑いが隠せない。
これは、肉体が本来の姿を取り戻そうかと急いでいるかのようだった。

「白銀。」

「ん?何か用か冥夜。」

「いや、そなたの動きを見ていた。なにかの武術をやっていたのか?その様な動きだった。」

「ま、確かに武術であるには違いないな。」

武術には違いない。だが、武術とは矛を止める為の術であると何処かの誰かが言っていた言葉がある。ならば、彼のは武術ではない。矛を止めるならば活人拳。
しかし、武が行うのは殺すための拳法であり、人を殺める術の殺人術だ。

「それにしても。」

優雅であった。冥夜は、その言葉を飲み込んだ。優雅であるのに寒気を感じさせるほど集中力を感じさせた眼は鋭い殺意を編みこんであった。一度自分の師に殺 意を受けたことがある。そのときの鋭さは刀を首筋に当てられたような達人の殺意。
だが、彼の殺意は、威嚇の意はまったくこめられていない。矢よりも鋭い鋼線の様な鋭さのみが彼女は目線が会った瞬間につきつけられた。

彼に声をかけたときに殺意は止んだがそれでもあの眼は忘れられない。だが、今の彼にそんな殺意は感じさせない。

「そなたは、いったい何者だ。」

「ん?」

「今日の訓練の体たらくに比べ今の動きは洗練されていた。疑問を持たないほうが不思議だろう。」

そういわれた瞬間に武は戸惑う顔をする。何を言ったとしても無駄であろう。どんなことを言っても彼女の顔は、敵意を自分に向けている。

「もし、そなたが諜報員であるならば、ここで斬る覚悟がある。」

その言葉をいわれた途端に少しだけ淋しそうな顔を武がする。その顔を見て冥夜は、少しだけ覚悟がゆれた。

「俺は敵じゃない。敵ならもっと目立たない手段をとるだろう?諜報員なら尚更・・・な。」

淋しさが表情から消えたが彼女は彼のさっきの表情が顔から離れない。例えようの無いあの顔が。

「・・・よかろう。今はそなたの事を詮索しない。しかし、信用もしない。そなたの行動からそなたの真意を確かめようとしよう。」

「ああ、頼む。」

平常心でいようとしていても平常でいられない。自分の仲間に信用を得られないということほど心苦しいことはない。それが、親しいものなら尚のことである。


「白銀・・・貴方本当に何者?」

次の日の座学で白銀自身の能力をみせていた。座学で行う全てはもはや基本の知識として彼の頭脳に刻み込まれている。故に銃からBETAに関する情報も彼に とって目新しいものは無く。大人にとって足し算のように容易いものであった。
座学が終わり隊の全員で昼食をとっている最中に榊が白銀に話しかけてきた。

「はぁ?いきなりなんだよ。」

武としてもまさかこんな事を聞かれるとは思ってもいなかったからであった。

「貴方の運動能力は平均以下なのに、座学だけは普通の訓練生以上のものがあった。もしかして、貴方って元幹部候補生だったんじゃない?」

隊のみんなも静かになる・・・みんなも疑問に思っていた。武の能力は、訓練生のそれを遙かに凌駕していたのであった。
本来なら彼は、幹部候補生・・・国連軍の上位に立てるほどの能力を持っているのではないかと彼女たちは考えていた。
武は、横目で冥夜の様子を見ると彼女も何か考えている様子が伺えた。それを見て武は、溜息をつく。

「買い被りすぎだって。俺は、単に教科書どおりに言ってるだけだって。」

「そうかしら?人のことを詮索しないって言う事は暗黙のルールだけど・・・あなたの場合みんなが知ってた方が言いと思うの。」

「ち、千鶴ちゃん。」

武が黙る。確かに騙すのは簡単だろうがそれもいつまで続くか分からない。武としても知っている仲間を騙すというのは心苦しかった。

「その辺でよかろう。榊・・・食事は楽しんで取るものであろう?」

「御剣も何か言いたい事があるんじゃないの?」

「もちろんある。」

「なら言った方がいいわよ?」

「そなたは、武が言いたくない事を無理やり言わせたいのか?」

その言葉にみんなビクッとした。冥夜が白銀の事を『武』と呼んだことよりも大切な事・・・過去の詮索である。
誰にでも他人には触れられたくない過去というものがあるはずである。
武が異質な存在だから・・・何所かで集中的に学ばなければあそこまでの技術を身につけることは不可能だと思えるからこそ彼女たちは興味を持ち過去を触れる という行為をしてしまった。

「そなたとて自分の過去を詮索されるのは嫌であろう?」

「・・・・。」

「確かに武の能力は我らを遙かに超えている。しかし、その技術も努力して手に入れたものなのであろう・・・我らも精進すればよい。それに、そういつも戦場 に熟練した兵士が配属されているとは限らぬ。その状況で臨機応変に対応できなければ全滅する。そのためにも武も我らも訓練しているのではないか?」

「・・・・・。」

「以上だ。・・・許すがいい、少々話しすぎた。」

その場が静まる・・・そのとき武が口を開いた。

「確かに皆から見て俺は変なやつかもしれないな。けど、これだけは覚えておいてほしい。俺はお前らの味方だ。」

周り静かになりみんなが息をつき榊が立ち上がると武を見て武の言葉を聴いて一言つぶやく。

「私もいいすぎたわ。貴方が話せないって言うならそれでもいい。でも、私達は、もう2度と失敗する事が出来ないのよ。」

榊がその場を去る。彼女の顔を見れば焦りが見える。その顔に武も同じ顔をしているのではないかと考えてしまう。


そして、その数分後武も何か考えるように香月の研究室に向かっていく。彼が部屋に入っていくと髪が乱れ欠伸をしながら武を見て溜息をついた。

「それで?白銀・・・貴方何しに来たの?」

椅子に腰をかけ、机に置かれたコーヒーに手をつけながら少し不機嫌な感じで武が来た理由を聞いていた。

「いや、さすが207分隊だと思ってね。中々に勘がいい。」

「・・・それを言いに来たの?」

呆れた顔をして武を見つめる。それに対して顔を歪める。

「勘がいいからこそ。どうでもいいことまで抱えようとしてる。優しすぎるよ。」

疑いを持ちながら彼女たちは自分のことを信じている。他の部隊ならなんだかのわだかまりができているはずだ。
無論207分隊と武の間にわだかまりが無いとはいえないが過去の彼女たちと今の彼女たちに変わりはないからこそ思うことであった。

「それでも、行くんでしょ?」

「ええ、俺はこんな生き方しかしらないですから。」

嘲笑。自分自身の生き方を考えれば不器用に衛士として戦おうとしている。平和な時間から来た自分が単にロボットが好きだっただけの自分がロボットを動かし て戦っている。
いや、だからこそかもしれない。衛士として戦ってきたからこそ戦術機で戦うこと以外に考えられないのかもしれない。

「迷いなさい。貴方、若いんだから・・・なにが正しいとか間違ってるとかではないわ。自分が思ったとおりにしか人は生きれないものなんだから・・・・。」

静かにしまったドアに向かって夕呼は、小さくため息をついた。

「さて・・・私も私の道をいくとしますか。」





あとがき
こんにちは、グラップラーバキが好きです。最強の弟子ケンイチも好きです。でも、花の慶次の方がもっと好きです(関係な
ということで、リヴァイヴの2話なんですが、まだまだ活躍しませんね。4話まで待ってください。
と言いたいですが、3話あたりで少し動かしたい気分です。



それでは、拍手の返信を!

11月19日
5:18
か、海外から!?私の作品を読んでいただけるとは・・・嬉しい限りであります。なるほどな〜。
21:56
うっす。ジャムは、男心を満たしてくれます!
21:57
生きている限りは書きます!忙しくならなければ。

11月20日
21:17
はい、変えてしまいました。オルタをやってったことでの影響ですかね。影響を受けやすいのですよ自分。

11月22日
0:54
前回からのサイトからありがとうございます。時間がもう少しかかりますが進めていくので宜しくお願いします。

11月23日
16:05
また、好きって言われちゃった(ポッ)いや、オリキャラがあとは展開とか嬉しいわ〜。ありがとうございます。


拍手をくれれば返信を頑張りまれ己。さぁて、3話をがんばるぞ〜。(私のお口はトリズナーなので注意してください)


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