俺は笑えていただろうか。

最後の最後、ツンベルギアに向けて。

笑えていたのだろう。

最後の最後、ツンベルギアが笑っていたのだから。

 

 

「ありがとうございます………さようなら。主テンカワ・アキト様。友サレナ…」

 

 

ほんの前までツンベルギアのいた場所には透明なサモナイト石と黒い剣のペンダントが落ちているだけだった。

黒い少女の姿はどこにも無かった。

 

 

SUMMON NIGHT
-A black successor -

 

 

第2話

 

落ちている黒い剣のペンダントを両手で握りしめる。

優しく包みこむように、しかし力強く。

繰り返し沈黙をするアキトとサレナ。

泉に精霊というものが存在いるのならば、今この時を止めて見ているような静けさ。

一迅の風が通り抜ける。

「ツンベルギア………ありがたく使わせてもらう、お前の力を」

「必ず………マスターを守り抜きます」

体のないサレナの代わりにサモナイト石を手に取る。

淡い光を放ちながらサモナイト石はアキト…サレナの中に吸い込まれていく。

直後にツンベルギアのような半透明の黒い鎧を纏った赤い目の女性が現れる。

「サレナ………」

「はい、マスター………」

初めて交わす視線。

復讐の道具だったとは思えない澄んだ瞳だった。

「俺達は…ツンベルギアの為に何ができるんだろうな………?」

「生き続ける事です」

誰よりも真っ直ぐで、何よりも真っ直ぐに見つめてくる。

その両手に包まれるようにサモナイト石がある。

その石も、言葉は無いけれど何かを訴えかけるように光を放っている。

まるでツンベルギアが笑っているような………

もう1度ペンダントを握りしめ、首に架ける。

黒刀を模したペンダントが黒く、そしてはっきりと光を反射して光る。

 

「さて…どの道を進もうか?」

「此処は中心部なので変わらないと思います」

「………そうだサレナ。俺から離れることが出来るなら、上空から何か見えないか?」

「そうですね。ではちょっと見てきます」

どんどん離れていく。

空が眩しい…風が涼しい…光が暖かい…

俺はこんな当たり前な事をどれだけ望んでいたのだろう。

この世界に来てわかる。

俺は俺の復讐にあまりに多く無関係な人たちを巻き込みすぎた。

五感の事はその事の贖罪だと受け入れていたというのに…

だが、ツンベルギアのためにも生き続けなくてはならない。

だがそれはツンベルギアという個人に対するものでしかない。

俺は………何が出来るんだろう、巻き込んだ人々に許してもらうために、自分自身を許せるために。

「…マスター?」

「ああ、どうだった。何か見えたか?」

いつの間にかサレナが戻って来ていた。

気付けなかったとは思ったより深く考えていたみたいだな。

「報告します。北の道の先には大きな水晶と思われる物が、東の道の先には飛び抜けて大きな木が、南の先の先には私達の世界の様なビル、西の道の先には水田や鳥居が見えました」

「水晶や巨木はともかく、ビルに水田、鳥居か………」

「私達の世界の現代の日本、過去の日本に通じるところが在ります」

「過去…か。俺はほとほとその言葉が好きらしいな。戻れるものなら戻ってみたい…なんて、未練がましいことを何時までも引きずって………」

「マスター………」

「過去には戻れない。戻りたくない………。だが、自己満足もいいだろうな」

「それでマスターが納得できるなら。私は常にマスターに従うまでです」

俺は西に歩を進めるがサレナはそこから一歩も動かない。

何事かとアキトが振り返る。

サレナがアキトの目を見つめてくる。

「………マスター」

「なんだサレナ。早く来い、行くぞ」

「………余り思い悩まないで下さい。自分1人で抱え込むのはマスターの悪い癖です」

驚いたな…俺は相当考えてることが顔に出るらしいな。

思わず苦笑いしそうになるが、それは肯定になってしまうのであくまで無表情に。

「……………別に悩んでなど…」

「私では相談するに値しないのですか!?」

「そうは言っていない!」

ビクッとサレナが身を竦める様に震える。

少し言い過ぎたか…

だがはっきり言っておかないとサレナは俺の事を気にし過ぎるからな。

それもサレナの悪い癖だな。

「怒鳴って済まなかった。だが俺の事をそこまで気に掛けるな」

「……………」

「お前はもう1個体なんだ。本来俺の側に居なくても…」

言ってて自分でも気が滅入るな。

本音を口に出来ないというのは中々に難儀なものだ。

サレナが本当にいなくなったら俺が駄目になるだけだ。

五感は失われ、制御を受けないナノマシンの暴走………結局俺は死ぬしかないというに。

「マスターを………私からマスターを奪ったら何が残るんですか…」

とても小さな呟きだったがはっきりと聞こえた。

やはり俺は卑怯者だ。

サレナがこう言うと、俺から離れることは無いと知っていながらも突き放そうとするのだから。

「………言いたい事はそれだけか?」

俺の口から出るのは俺ですら驚くほど冷たい言葉。

本当に自分が嫌になる。

いつから俺はこんなに冷めてしまったんだろうな。

……………本当に嫌になる。

踵を返し西に向かう。

後ろから付いてくる気配はない。

『マスター…時間は在ります。いえ………私が作ります。』

「……………」

『一緒に悩んで、考えて、答えが見つからないかもしれませんが………探しましょう』

「……………ありがとう、サレナ」

時間は在る、否、作る。

「行こうか、サレナ………ツンベルギア…」

『はい、マスター』

何度目になるか分からないがペンダントが呼応するかのように、今までの比にならないほど輝きを増した。

俺は1人じゃない。仲間がいる。

全ての人に対する贖罪など、後から幾らでも探してみせる。

今はサレナの…ツンベルギアの為に俺は生きる。

それが俺の踏み出す初めの一歩だ。

太陽が励ますように光を送り、風が背中を押すように優しく吹く。

黒の王子が初めてこの世界に祝福された日になった。

 

 

「これは………」

「間違いねぇ………門が笑ってやがるぜ………」

「おそらくは何かがこの島に召喚された。………門が笑うような大きな者が」

「けっ!めんどくせぇ事にならなきゃいいがな」

「スイソク…ダガ………ツルギ…デハナイカ…(推測だが剣ではないか?)」

「確かに門が笑う理由としては一番信憑性があるわね…」

「どちらにせよ問題ではあるな。郷の者に知らせるべきか?」

「ソウケイダガ…チュウイスル………ニコシタコトハ…ナイダロ…ウ(早計だが注意するに越したことは無いだろう)」

「どっちみちめんどくせぇじゃねーかよ…ったく」

 

 

雑木林を下っていくと、目の前に大きな鳥居が現れた。

その赤い柱にはびっちり、と言うほどでもないが多くの札が貼り付けられている。

だが長い間手入れしていないのか所々塗装が剥がれ、腐敗している。

「この札………俺の世界の漢字が使われているものが混じっているな」

『はい。それにこれは…陰陽に通じるものもいくつかありますね』

「つまりここには俺たちの世界から、俺たちのように跳んでくるものがあるというのか?」

よく見ると鳥居は目の前の1つだけでなく、道を外れたところに点々と建っている。

だがそのほとんどは朽ちて原型をとどめていないものが多い。

随分と長い時間建てては崩れてて繰り返してきたのか。

『………マスター』

「ああ、わかっている。敵は気配を消すのが得意らしいな」

鳥居に気が向いていたとはいえ気配を逃すとは…俺も腑抜けているのかな。

だが相手は本当に気配を隠すのが上手いな。

完全に断ち切れることはまず無いが、それでも注意を続けていないと逃してしまうな。

「サレナ…熱探知できないか」

『先ほどから行っていますが不可解な点が1つあります』

「不可解な点だと…お前がか?」

『私とて完璧ではありませんので。その不可解な点ですが確かに探知は成功し敵の数、位置は把握しています。しかしその熱源が外温よりも低いものが存在しているのです』

ふむ。探知した熱源が低いか…

人ではない何か。そもそも生物でもないかもしれないと言うことか。

姿を見ればわかることだ。

「来い…復讐に染まりし剣、ダークブリンガー」

一振りの黒い大剣が握られ、左後ろ42度の方向に投げつける。

この程度の攻撃をかわせぬようならただの存在感の薄いヤツで説明がつく。

木に大剣が刺さった音がした途端に茂み、木の上から合計5人現れる。

なんだ…あの2人は額から角のようなものが生えているし、他のヤツは一体なんだ?

白い和服を着ていて青い髪をしているものからは湯気?………いや冷気か。つまりあいつがサレナの熱探知に低音で表示されたと言うことか。

他は…ちょうちん?いや行灯か。…人型ですらないな。

「ここから先は我らシルターンの領域となる。他界の領域を侵すこと、島のものなら厳罰と知っておろう」

「護人でもなく、我らの長の客でもないならばお引取り願おう。断る場合は…」

「力ずくで追い返すというわけだな」

思わず笑ってしまうな…

いつ如何なる時も俺の前には、遮る奴がでて来るのか。

「く……くく…ははははははははは!」

「貴様!何が可笑しい!!」

「ああ…悪いな、つい。それと立ち去るかどうかは、否だ。俺は歩き続けると決めたからな」

「一度下がる事も覚えるべきだったな!死んでしまっても恨むなよ…行け!!」

正面の青い髪の女性が突っ込んでくる。

スピードは中々のものだが正面からやれるほど俺は甘くない。

しかし抜刀術では一発で筋肉が張ってしまったから連発はまず無理だ。

なら戦闘では力を加減できる柔を中心にして戦わないといずれ隙を突かれて負ける。

数に囲まれたときの戦い方も憶えておかないといけないな。あまりナノマシンに頼っていてはサレナも報われないからな。

ナノマシンで強化していない状態で木連式柔をどれほどまでに引き出せるのか試してみようか。

「遅い!!」

突進をかわし後ろから拳を叩き込む。

頚椎に叩き込まれてゴキリと嫌な音が響く。

青い髪の女性は突き飛ばされて木の幹にぶつかり動かなくなる。

………手が冷えたな。

「不思議と調子がいいな」

『だからと言って余り無理はしないようお願いしますよ』

「少しぐらいはいいだろう?それに…相手の実力しだいだ、俺が無茶をするかどうかはな」

あっという間に一体倒されたことに驚いていたのか動きが止まっていたがすぐに我に返り命令を出している。

仲間を殺したあいつを殺せ…と。

それぞれ二方向からちょうちん…じゃなかった。行灯が向かってくるがスピードはさっきの奴よりも遅い。

動きが遅いヤツが幾らが俺を殺すなど話にならんな。

視線をもう一体に向けた途端、真っ赤な炎が目に飛び込んでくる。

く…幾らなんでも直撃したらただではすまないぞ!

『マスター!』

「っこの………木連式柔・流迂(りゅうう)!」

正直この技は、俺の肌には合わないが仕方がない。

だが場合が場合なだけに変に拘っているわけにもいかない、上手く決まってくれ。

左手を炎と顔の間に滑り込ませてそのまま払う。

と同時に向かってきていた炎が風に流されるかのように逸れていき、ほぼ後ろに位置していたもう一体の行灯に命中する。

もっとも炎をくらった行灯は燃えているがなんら問題なさそうに動き続けている。

くそ…完全に逸らしきれずに掠ったか。

よく見ると、確かに小さな痕だが火傷した様に赤くなっていた。

『マスター…さすがに今のは危なかったですよ』

「問題ない…と言いたいところだが、少々きついな。中途半端に感覚が戻っているからどうしても完全でない五感を頼りにしてしまうな」

『でしたら私も共に戦います。ラピスのいない今、マスターの目は私です』

「悪いがそれは許可しない。俺はこの戦いで俺がどこまでできるのかを見極めたいんだ…ナノマシンに頼らずにな」

いつの間にか燃えていた行灯は消火されて2体並んでいる。

だが明らかに燃えていたとわかるほど黒い煤がついていたり、所々焼け焦げてなくなっている。

随分と脆そうだ。

「次の標的はあいつかな」

『危なっかしい真似はこれっきりにしてください。心臓に悪いです』

「………了解した」

軽く呼吸を整える。

木連式のほとんどは己の呼吸で技のタイミングを計るので、呼吸が乱れているとまともな力が発揮できない。

足に全神経を集中して地面を蹴る。

今までの比にならない加速で裏に回り込む。

林の中なので葉が何度も体にぶつかり細かい傷が増えていくがそんなのは関係ない。

敵はこちらの動きに目が追いついていない。

今なら簡単に叩ける!

「木連式柔・水薙っ(みずなぎ)!」

真後ろから地面ギリギリの足払いが襲う。

恐ろしいほどのスピードに乗った薙に耐えられる筈もなく、そのまま蹴り飛ばされる。

だが先ほどよりも更に速く駆け飛んでいる行灯に追いつく。

「二連脚っ!!」

そしてもう一度水薙をくらわせる。

二度も足蹴りをくらった行灯はその蹴りによって直角に進行方向を変え木に激突し、煙のようにボンッと音を立てて消えた。

軽く足を上下してみる。

多少足が痺れるが問題ないだろう。

だが、ほんの一瞬だけ身体強化しただけでこれだけの倦怠感を感じるのか…

だが、まだまだ動かせる。

もう一度足に力をこめ、目標を定める。

同時に僅かだが電流が走るような鋭い痛みが足を襲う。

頼む………あと少しだけ持ちこたえてくれ…!

瞬時にアキトの姿が消える、否、見えないほど速く駆ける。

後ろに回り込むなどという面倒な真似はしない。正面から………貫く。

「木連式柔・疾貫(しっかん)」

人間で言う眉間、目の前の行灯で言うなら目を手が、腕が、肩が貫く。

貫いたところから燃え上がっていく。

不思議とその炎を熱いとは感じなかった。

そしてあっという間に炎は全体を燃やしつき、残った灰は風で飛ばされていった。

アキトの戦い方はまさに死神だった。

姿が見えなくなったと思えば、次の瞬間命が持っていかれる。

戦いに参加していなかった角の生えている者―――鬼はそんな印象を受けた。

そして同時に、これは手を出す相手ではなかったと。戦うべき相手ではなかったと畏怖した。

「さあ………そこを退いてくれ。死にたくはないだろう………俺も殺したくない」

返事がない。

つまり退く気がないと考えていいのだろう。

なら…

「俺は…立ち止まれない。お前らが言ったことをそのまま返そう。一度下がる事も覚えるべきだったな…死んでしまっても恨むなよ」

『マスター!彼らはすでに戦意を失っています!これ以上ご自分を傷つけないで下さい!!』

具現したサレナが止めに入る。

だが、止まらない。

頭にぼーっと霞がかかったように何も深く考えられない。

ただ1つ…自分の邪魔をするやつは殺せと。ただそれだけが支配する。

一歩、また一歩と近づいていく。

そこには速さはない。

だが少しずつ近づいてくるという精神的な恐怖が襲い掛かり、二人の鬼はまったく動けないでいた。

腕を振り上げる。

何時の間に出現したのか、その手には黒の大剣が握られている。

『―――ッマスタァァァァァァァ』

カィン!!

生物を切ったとは思えない音が発せられる。

剣を見てみると最後まで振り抜かれることなく止まっている。

たった一本の槍によって。

「やれやれ…キュウマの居ぬ時に郷の入り口が騒がしいと聞いて来てみれば………随分な者に手を出しおって」

「「ミ…ミスミ様!?」」

「うむ。お主らの郷のミスミじゃ。其の黒き者よ、郷の者が無礼を働いて悪かったの。出来ればその武器を下ろしていただけるか?無益な争いは好まぬのでな」

「……………わかった」

すーっと頭の中の霧が晴れていくように思考がはっきりしてくる。

俺は…何をやろうとしていたんだ。

無抵抗な者を殺して、何になると言うんだ…

この手が血に染まり、その体が返り血で濡れることを望む自分がいると言うのか…くそっ!

それにしてもこの女性は何だ?

そこの二人のように額から2本の角が生えている。

着ている服は日本にある和服と似ているが、肩周りには雲のようなものが浮いている。

そして腰下まで伸びた滑らかな黒髪。

その全てが統一された美しさを放っている。

「其の者、わらわの顔なぞ見てどうかしたか?何か付いておるのか?」

「いや…何でもない。すまなかった」

「それはわらわの顔を見ていたことか?それとも郷の者を手にかけようとしたことかえ?」

「………その両方だ…」

『……………否定しないんですね、この女性の顔を見つめていたことは』

「ん?何か言ったかサレナ」

『特に何も申しておりませんが…』

少しサレナの視線がきつくなった気がするのだが気のせいか?

「さて…このような場所で立ち話もなんじゃろう。わらわの屋敷で話を聞こうかの。付いてまいれ」

「なっ…ミスミ様!この者を郷に入れると言うのですか!?」

「そうです!姿形からして明らかにシルターンの者ではないのですぞ!?」

「いいのじゃ。今から其の者はわらわの客人じゃ。口出しを申すな。」

なにやら揉めているようだが中には入れるなら別にいいだろう。

少しはこの島のことがわかるかもしれない。

仮に分からなかったとしても何かしらの進展は期待できるはずだ。

「何をしておる。早く付いてこぬと置いてゆくぞ」

「おっとすまない。少々考え事をな」

ミスミの後ろを追いかけていく。

そんなアキトをつまらなそうに見ているサレナがいたことは言うまでもないだろう。

「おおそうじゃ。郷のものは他所から来た者を珍しがって視線を向けると思うが気にしないでいただけると有り難いのだが…」

「善処しよう」

 

 

………とは言ったものの…流石に向けられる視線が多くないか?

中には不思議や珍しいという視線以外に殺気が混じっているように感じるのだが…

やはりこの格好はこの世界でも可笑しいのか?

『その服と殺気は関係ないと思います、マスター』

ではどういった過程で俺は殺気を向けられなくてはならない。

確かに先の戦闘で3人(3体?)殺す…というか消してしまったがあれは正当防衛だ。

『そのことではなく、あの女性…ミスミという人と一緒に居るからかと…』

つまり何か?さしずめ俺はここのお姫様についた悪い虫か?

『そういうことでしょう。そこに部外者、同じ郷の者を消したとなれば多少の悪意は甘んじて受けるべきかと思います』

その通りだ。

俺は生き続けて、全ての人に対し贖罪を続けると誓ったんだ。

本来俺はこの郷に立ち入ることは許されないことなのだろう。

なら、これはけじめだ。

いや…ただの自己満足に過ぎないかもしれない。

それでも俺はやらねばならない。この郷の者に対する謝罪と感謝を。

歩みを止める。

ミスミは何事かと後ろを向く。

「この郷に住む全ての者よ、聞いてくれ」

この郷に対する謝罪を。

「すでに耳にした者も居ると思うが、俺はこの郷の入り口で3人を殺し、2人を殺そうともした。」

水を打ったかのように郷が静寂に包まれる。

だがそれも一瞬で、すぐに騒がしくなる。

俺に対する罵詈雑言が聞こえる。

「だから俺は全てに謝罪しなくてはいけない。………この郷の者を手にかけてしまったこと…本当に申し訳ない!!」

少し騒ぎが小さくなった。

まさか面と向かって謝られるとは思っていなかったのだろう。

「だが………同時にこんな俺を郷に招いてくれたミスミ殿には感謝している。そして、この俺に皆に謝る機会を作ってくれた皆に感謝している。………ありがとう」

この郷に対する感謝を。

サレナは俺を見て微笑んでくれている。

ミスミも驚いていたようだが今は笑ってくれている。

そして一歩と近づいてくる。

俺の横に並びミスミも声を上げる。

「皆も言いたいことはあるだろう。しかし今はわらわの客人ゆえ抑えてくれ。そして…其の者の気持ちを察してやってくれんか?謝ると言うことの怖さと辛さを。自分の犯した罪を認め、他の者に告げる心の強さを」

「ミスミ殿…」

「わらわの事はミスミと呼びつけてかまわぬ。…見直したぞ、其の者よ」

「ありがとう…ミスミ」

「うむ♪」

静かになった郷をまた歩き出す。

俺は初めて謝ることが出来たのだな…

『おめでとうございます、マスター』

ああ…サレナも、ありがとう。

俺は初めて子の島でやっていけそうな実感を得た。

だが、まだまだだ。謝るだけが俺の贖罪ではない。

全てに認められ、その中で俺の所為で悲しんだ者達を俺が元に戻していくんだ。

たとえそれが果てしなく時間がかかることだとしても…

俺は………俺を許せるようになりたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがきのようなもの(読みたければ以下反転)

どうもぐだぐだです

じゃなかった、愚か者です。ええぐだぐだですね(汗

とりあえず木連式の説明に入りたいと思います

流迂………アキトの使える唯一の完全防御タイプの技です。

     草壁が「防御は最大の攻撃」と話していたのを流しながら聞いていたと言う設定です(アキト自身防御はいらないと判断していたため)

     そのため劇中では火の玉を完全回避は出来ず掠ってしまいます。自業自得ですね

     要は腕に限りませんが、体の一部をかなりすばやく動かすことによって空気の流れを変えて進行方向そのものを変えちゃうものです

     大きなもの、質量の大きいものに対しても効果はありますが、その場合振るうモーションを大きくしなければいけなくなります

     基本的に投擲してきた場合に使って行きたいと思います(アキトなら全部よけそうですけどね)

水薙………足払いです、高速の
     
      人間や間接の存在するものが相手の場合間接を蹴り、間逆の方向にへし折るひどい技です

     アキトは躊躇なく顔面でも腹でも蹴り込みます

疾貫………疾患ではありません。疾貫です

     1話で出てきた墜隼のようなものです

     地面を蹴飛ばし加速して眉間、喉元、心臓の三箇所のどこかを貫くことのみを考えた技です

     もとは抜刀術なのですがアキトがアレンジして手刀を叩き込めるようにしました

     劇中ぐらいの加速なら人肌も貫けます(笑)

教師はレックス、生徒はベルフラウで行きたいかなーと思っています

反対意見があればジャンジャン下さい。友情より愛情を取りたい方や、やんちゃ坊主が見たい人は特に

それでは、最後まで読んで頂けたら幸いです



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