「この郷に住む全ての者よ、聞いてくれ」

この郷に対する謝罪を。

「すでに耳にした者も居ると思うが、俺はこの郷の入り口で3人を殺し、2人を殺そうともした。」

水を打ったかのように郷が静寂に包まれる。

だがそれも一瞬で、すぐに騒がしくなる。

俺に対する罵詈雑言が聞こえる。

「だから俺は全てに謝罪しなくてはいけない。………この郷の者を手にかけてしまったこと…本当に申し訳ない!!」

少し騒ぎが小さくなった。

まさか面と向かって謝られるとは思っていなかったのだろう。

「だが………同時にこんな俺を郷に招いてくれたミスミ殿には感謝している。そして、この俺に皆に謝る機会を作ってくれた皆に感謝している。………ありがとう」

この郷に対する感謝を。

サレナは俺を見て微笑んでくれている。

ミスミも驚いていたようだが今は笑ってくれている。

そして一歩と近づいてくる。

俺の横に並びミスミも声を上げる。

「皆も言いたいことはあるだろう。しかし今はわらわの客人ゆえ抑えてくれ。そして…其の者の気持ちを察してやってくれんか?謝ると言うことの怖さと辛さを。自分の犯した罪を認め、他の者に告げる心の強さを」

「ミスミ殿…」

「わらわの事はミスミと呼びつけてかまわぬ。…見直したぞ、其の者よ」

「ありがとう…ミスミ」

「うむ♪」

静かになった郷をまた歩き出す。

俺は初めて謝ることが出来たのだな…

『おめでとうございます、マスター』

ああ…サレナも、ありがとう。

俺は初めて子の島でやっていけそうな実感を得た。

だが、まだまだだ。謝るだけが俺の贖罪ではない。

全てに認められ、その中で俺の所為で悲しんだ者達を俺が元に戻していくんだ。

たとえそれが果てしなく時間がかかることだとしても…

俺は………俺を許せるようになりたい。

 

 

SUMMON NIGHT
-A black successor -

 

 

第3話


「これは………屋敷と言うには大きくないか…?」

『確かにそうですね………』

目の前には和の雰囲気を目一杯表に出した屋敷が門を構えていた。

子供のときに遊びに行ったミスマルのおじさんの家ぐらい…いやそれよりも少し大きいぞこれは…

「ほれ、どうした其の者。はよう入らんか」

「あ…ああ………」

微妙に引け腰になりながら俺は門をくぐったのだ。

 

中も外見同様にかなり立派な造りになっている。

幅のある長い廊下に、両側には襖がある。おそらくは全て部屋になるのだろう。

何人か下働きの人も見えたが、その人が全員ここで暮らしているのだとしても十分な広さだ。

門をくぐったときに見えたが縁側もあり、日当たりもいい。

この屋敷、なによりこの村を見るかぎり日本に見えてしょうがない。

「さあ着いたぞ。この部屋に入って待っていてくれんかの?」

「ミスミはどこに行く」

「わらわも一応この屋敷の主ゆえ、帰ってきたことを報告せねばならぬしな。それと殿方の前で無様な格好は恥ずかしいゆえ」

「そうか…わかった」

他に比べて大きく立派な襖を開け、中で正座を組み待つ。

純和風のつくりで、床は畳で掛け軸も飾ってある。開いてはいないが屏風のような物もある。

このような部屋で正座をしていると嫌でも思い出してしまう。

白鳥………九十九。

力のなかった俺が守れなかった者の一人。

自然と拳に力が入り、手袋をしているはずなのに爪が食い込んでくるようで痛い。

力のない自分が嫌いだった。

飛び散る血、上がる硝煙、その全てを現実として見られなかった自分が。

だが力を手に入れた自分はどうだ、何かを守れたか?

結局何も守れていない。ただ守れたものは自分の命だけだ。

『マスター。私たちは同じ過ちを繰り返さないためにここに居ます。過去の事ばかり悲観しないで下さい。』

サレナ…?

『確かに過去は今を肯定するために必要不可欠なものです。しかし過去を基準に考えて今を蔑ろにするならそれは過ぎ去ったものではなくなります。マスターは今を生きているんです』

今を生きている………か。

サレナは俺よりも人間が出来ているのかもしれないな。

『ご謙遜をマスター。私が敬意を表す人はマスターだけです』

尊敬されるか…そんなのは俺の柄じゃないんだがな。

心の中で苦笑いする。

それと同時に襖が開きミスミが入ってくる。

見たところ格好が全然変わっていないのは気のせいか?

「待たせてしまってすまぬな。報告相手を探しておったのじゃがどうやら外出中のようで屋敷内を探してしまったのでな」

「いや、大して待っていない。気にしないでくれ」

「そう言ってくれるとありがたい。して其の者の名は何と申すのだ?」

「アキトだ。…テンカワ・アキト。呼び捨てにしてくれてかまわない」

「そうか。では…アキトの中におる其の者は何と申す?1つの器に2つの心は狭いだろう。見せられるのであれば姿を見せて欲しいのじゃが」

「………サレナです。マスターに常に付き従う物です」

半透明の状態ではなく完全に固体として顕現してすぐ隣に膝を折る。

その姿を見ると、一個体になっても俺のそばに居てくれるサレナに本当に感謝する。

俺を一人にしないでくれてありがとう、と。

それにしてもこのミスミという女性…何時からサレナがいるとわかったんだ。

融合しているときはもちろん、通常時の半透明でも姿は捉えられないはずだ。

「ミスミ様は何時から気付いていたのですか。私という存在に」

「何時…という確かなことは分からぬ。ただ…気配…それに近いものを感じただけでサレナが居ると確証はなかったのじゃがのぅ」

「つまりはしてやられたと、そういうことか」

「まあまあ、この場は話し合いという名目で時間を取っておるのじゃ。アキト等は聞きたいことが多いのじゃないかの?」

「なんでもお見通しって言うわけか」

サレナのこと然り、俺の考えを読むこと然り、なんでもありだな。

確かに聞きたいことは山ほどある。

ミスミはそのためにこの場を作ってくれた。

なら思う存分聞いてやろうじゃないか、俺の知らないことを、何もかも。

「そうそう。わらわにも分からぬこと、答えたくないことが有るゆえ。答えない事もあるぞ」

本当に何者だ?ミスミは。

「ならまずは…ここはどこだ?いや…この島は何だ?」

「この島はリィンバウムの人間によって作られた召喚術の実験施設跡地じゃ」

「すみません。その………りぃんばうむ?や召喚術というのは聞いたことがないんですが…」

俺の疑問を代わりに聞いてくれたサレナ。

召喚という単語としての意味は知っているが召喚術というのは一体なんだ?

字の意味だけをとるなら呼び出すための術ということになるが、一体何を呼び出すのか。

それにリィンバウムとはなんなんだ。

リィンバウムの人間ということは国…大きく言えば世界があるということだ。

「アキトはもう気付いたみたいじゃのう」

「あくまで推測の域を出ないが………リィンバウムとは世界。そしてこの島はリィンバウムの人間にとって、ミスミ達を別の世界から召喚…呼び出すための施設だった」

「しかし、私たちはここに至るまでに人の姿を見ていません。人間によって作られた施設ならば姿があってもいいはずです」

確かにその通りだがここが実験施設なら呼び出したミスミ達に自由を与えるとは思えない。

しかしこの村は文化を持っている。

家を建て、畑を耕し、何より集団として生きている。

呼び出されてたった何十年で確立できるものじゃない。

なら少なくとも百年単位は掛かっているはずだ。

だが………人間はそこまで長く生きられない。

つまり…

「この島の人間は全員死んだということか」

「そうじゃ。召喚獣に比べて人間はあまりにも脆弱じゃからのう…」

「まて…その召喚獣というのはなんだ」

「召喚獣とは召喚術によって召喚されたもの全てをさす言葉じゃ。見た目が獣でなくとも呼ばれたものは皆召喚獣という風に一括りに扱われるのじゃよ」

「なら召喚した人間…召喚獣を縛る人間が居なくなったのですから元の世界に戻ればいいんじゃないですか?」

「それが出来れば苦労はせぬというのにのう…。召喚獣が元いた世界に戻るための手段は二つなのじゃ。1つは召喚士に返してもらう。そしてもう1つが己の死ゆえに、帰るに帰れぬのよ」

「捨てられた島………ということか…」

他にもミスミから聞いたことはかなりの収穫になった。

この世界―リィンバウム以外に機界ロレイラル・鬼妖界シルターン・霊界サプレス・幻獣界メイトルパという4つの世界があるらしい。

機械と廃墟の支配する鋼の世界がロレイラル。

鬼神や龍神、妖怪が闊歩する世界がシルターン。

天使や悪魔などの霊的存在が漂う世界がサプレス。

幻獣と半獣の亜人が住む自然あふれる世界がメイトルパ。

それぞれが東西南北に集落を設けていて基本的にお互いに干渉しないこと。

なによりこの島の住人はそのほとんどが人間に対して悪い印象しか持っていない、人間不信であると。

そしてそれぞれの集落はまったくと言っていいほど関係を持っていなため、得体の知れない存在だということ。

得体の知れないものにはまず恐怖から入る。

つまり一番最初に攻撃を仕掛けてきたやつらは俺を他の集落から来たヤツだと思っていたらしい。

「ではそろそろこちらも質問してもいいかえ?」

「ん?………そうだな聞いてばかりも悪いからな。俺に答えられる程度なら答えよう」

「アキトはどこから来た。見たところアキトは人間よのう?」

「そのことか………俺の場合は召喚されたのではなく自らここへ来た、というところだな」

「??」

見るからに疑問を浮かべるミスミ。

それはそうだろう。

島に船で来たわけでもなければ召喚されたわけでもない。

この島を訪れることの出来るこの世界での方法が全て否定されたのだから。

「それについては私がお答えします」

「………そうか、頼む」

「マスターはこの世界、当然鬼妖界などの世界から来たのではなくまったくの別世界。パラレルワールドからボソンジャンプでやってきました」

「す…すまぬが、わらわの分かる言葉で話してくれんか?」

「失礼しました。つまり平行世界…交わる術のない世界からやって来たということです。ちなみにボソンジャンプとは時空間跳躍のことです。その技術によりマスターは偶然この世界に跳んだのです」

「よくわからぬが………アキトとサレナもわらわ達召喚獣と立場は同じということでいいのかのう?」

「そうだな。戻りたくても戻れない…という点では同じだ。差は俺は元の世界に戻りたくないと思っていることぐらいだな」

「………なにか訳有りということかの?」

「まあ………そういうことだ」

「どんな訳なのか聞い「追求はしないで下さい」………て…」

「それはマスターを傷つける行為になります。許せません」

「サレナ………俺は気にしていない。そこまで目くじらを立てるほどのことではないだろ」

「いや………先ほどはわらわが軽率であった…すまぬ」

重い空気が部屋の中を漂う。

この空気をこのまま引きずるわけにもいかないだろう。

話し合いの場を設けてくれたミスミに対して失礼かもしれないがもう席をはずそう。

俺は膝を立てて立ち上がる。

「ありがとう。おかげでこの世界のことを知ることが出来た、感謝している。」

「マスターが失礼するようですので私も失礼します」

サレナが俺の後に次いで立ち上がり頭を下げる。

背を向けて出口の襖に向かう。

その途中で後ろから声が投げかけられる。

「去るというのなら止めようとはせぬ。ただ…あと1つだけ聞かせてくれぬか」

「ああ………かまわない」

「アキトはなぜそのような悲しい顔をしているのじゃ?」

悲しい…か。

なるほど、そうかもしれない。

俺は本当は悲しくてしょうがないのかもしれない、寂しくてしょうがないのかもしれない。

誰も俺を知らないことが、俺が誰も知らないことが。

それでも………

「俺は………悲しんでなどいない…」

情けないほど震える声でめいいっぱいの虚勢を張る。

ああ情けないぞ、テンカワ・アキト。

震える手をゆっくりとバイザーに伸ばし、はずす。

目の前がぼやけて隣のサレナの輪郭すらはっきりと浮かばない。

…それでも…目が見える。

俺は後ろを振り向いてミスミを見る…見ようとした。

そして、笑う。

「俺は悲しんではいけないんだ………俺よりも悲しんでいる人が五万といるんだ。そしてその原因は俺なのだから………だから俺は悲しんではいけないんだ」

上手く笑えていただろうか?

笑えているならば、頬を伝うこの感触は何なのだろうか。

バイザーを掛けると同時にまた背を向ける。

徐々に感覚がはっきりしてくる。

「今日あなたと話が出来たことを幸せに思う。ありがとう」

「では、失礼します」

さて…出口はどちらだったかな?

とりあえず進んでいけば出られるだろう。

なら左に曲がるとしようか。

「出口なら右に折れてあとはまっすぐ行けばでられるぞい」

………本当に考えていることが分かるんじゃないか?

 

それから俺は特に迷うこともなく屋敷を抜け、村を後にした。

帰り際にはいくらか視線が向けられたが入ったときとは打って変わって殺気、怒気を孕んだものは向けられなかった。

そうして俺は鳥居をくぐり村を離れる。

どこか懐かしい雰囲気を感じて名残惜しいのだが、ここは俺のいるべき場所ではない。

歩いてきた道を戻る。

道なき道を。

 

 

「………キュウマ」

「はっ!ここに」

すっ…と目の前に現れるは風雷の郷の護人キュウマ。

額から生えた二本の角と甲冑を纏った鬼が。

「まったく…帰っておるのならば挨拶ぐらいしてはどうじゃ」

「ミスミ様は御客人と会談中とのことでしたので」

「そうわゆうとっても、大方屋根裏にでも潜んで聞いておったのではないか?」

「確かに潜んではおりましたが盗み聞きなど致しませぬ!」

「………まあよい。して、門の方は?」

「はい。今のところ剣がこの島に来た。あるいは来るというのが理由に挙げられています」

剣か………アキトのことではないようじゃな。

確かにアキトは剣を召喚し従えていたが、あれはあくまで黒き剣。

この島のものとは一切関係がない。

じゃが、気になるのはアキトが剣を握っていたとき、サレナの言うことに全く耳を傾けなかったこと。

なによりあの黒き剣………並みの曰く付きの剣というわけではないようじゃしのう…

あの瘴気は物に宿る魂としては異常な強さ。

あんな物を直に持って正気でいられるわけがない。

よほど精神が鍛えられているか、その瘴気に同化しているかのどちらかしかない。

念には念を入れて、釘を打っておくかのう。

「ではミスミ様。ご報告も終わりましたので少し郷の様子を見てきたいのですが」

「のうキュウマ。少し遣いを頼んでもよいか?」

「は?」

 

 

『マスター、後方より熱源が接近。方角からするに風雷の郷からこちらに向かっているようです』

「分かっている。気配を消す気がないのか、消すだけ無駄と思っているのか…。それにしても速いな」

今はもう日が傾いてきて周りが赤く染まる黄昏時。

そしてここは丁度ツンベルギアと対峙した泉の前。

開けているこの場所なら戦闘になっても場所として問題はない。

すぐ後ろでスタッと着地する音がして振り向くと、そこにはミスミと同じように額から角の生えた男が1人立っていた。

「あなたが、テンカワ・アキト殿か?」

凛とした声が空気を震わせる。

木の影になっていることと逆光により、姿を直視できないがなにやら甲冑のようなものを着込んでいる。

だが鎧というほどしっかりしている物でも、動き易さを考えたものでもない。

俺に言わせれば中途半端なものだ。

「その通りだ。だが、そちらだけが俺の名前を知っているというのは中々に嫌な気分だな」

「すまぬ、申し遅れた。我が名はキュウマ。風雷の郷にてミスミ様に仕え、同時に護人の1人」

「で、その護人とやらが俺に何の用だ」

「ミスミ様より言伝だ。『主の黒き剣はあまり扱うな。主の心が食い尽くされてしまうぞ』、と」

『どういうことでしょうマスター。ダークブリンガーにはそんなデメリットがあるのでしょうか?』

わからん。

だがミスミがわざわざ俺たちに遣いを遣わせてまで嘘を伝えるはずもない。

それに、ツンベルギアも言っていた。

これは復讐の大剣ダークブリンガーであると、俺の黒に惹かれたと。

『剣に染み付いた邪念が、マスターの復讐心を再び表に出そうとする…ということでしょうか』

おそらくは、そういうことなのだろう。

現に俺は郷に入る前の戦闘で一時的に何も考えられなくなった。

そうだろう?

『それは確かにそうですが…』

それだけ俺の心も弱いということさ…情けないがな。

「それでは私はこれで」

「それではこちらも伝言を頼もうか、ミスミに。外の者に目を向けていては、村の者もいい気はしないだろう。俺のことは気にするな…とな」

「承知した」

「流石に同じ村のものが殺されたと言うのにあの落ち着きよう…少々気になった…とも」

「なっ…!それは一体どういうことですか、テンカワ殿!」

「全ては俺の心が弱いからだ、俺の起こした不祥事さ………。お前たちは護りたいものにのみ目を向けろ、そういうことさ」

後ろで何か言っているキュウマに目もくれず俺は歩いた道を引き返す。

さて………とりあえず浜まで降りようか。

早くしないと暗闇の中獣道を歩くことになる。

いくらバイザーを掛けていても今の状態では出来ることとできないことがある。

 

坂を下っている最中にぐぅ…と腹が鳴る。

なんともいえぬ空気が俺とサレナの間を漂う。

そういえばネルガルを出てから何一つ口にしていなかったな…

何も飲まず食わずに生活をしていたら生命体であればいずれ死ぬな。

つまりあれか。

この島の食糧事情をまったく知らない俺はこのまま死ぬのか。

『で、ですがマスター。ここは島なので周りは海。ということは魚がいます。それを捕まえましょう』

「しかしもう日も暮れる。暗く、気温の下がっていく中海にもぐれと言うのか…」

『う………』

「とりあえず浜に下りてから考えよう」

それに俺の味覚は治っていない。

治ってきてはいるがそれはあくまで強い刺激を弱く感じる程度だ。

一般人でいう激辛は、今の状態の俺にとってはピリ辛以下の刺激。

塩辛い海水を飲んでも、塩の匂いを感じ取った上で僅かに刺激された程度なんだ。

この島には当然栄養補助食品やサプリメントなどがあるわけがない。

つまりそれらと同じだけの栄養価とエネルギーを摂るためには数多くの食品を食べなくてはいけない。

だが味を感じない俺にとってそれは最悪と言っていいほどの行為だ。

何が嬉しくて味のしないものを口に入れる?

俺は味を感じないことをこれほどまでに恐れたことはなかった。

料理人として生きてきた全てを否定されるようで。

 

静まり返った獣道を下り、浜に出たときにはすでに日は沈んでいた。

完全な暗闇になる前に打ち上げられている流木をかき集め日を熾した。

火を焚いたからまだ暖かいものの、気温は明らかに低くなっている。

「こんな状況下では魚を捕まえるなど無理だな」

『すみませんマスター…私がもっときちんとしていれば、こんなことには…』

「いまさら何も言うつもりはない。サレナは俺のために良くやってくれた。魚を捕ること…いや、飯はとりあえず明日に回そう。一日は食事を抜いても問題はないだろう。」

『分かりました。ではマスター…よい夢を』

ゆらゆらと揺れる焚き火の炎を見ながら、俺の思考は暗闇へと沈んでいった。

そしておきている者はサレナだけになった。

 

『マスター………私は何があっても常に傍にいます』

『私はあくまでAI。この世界で人としての形を持ちながらも、作られただけのただの物…』

『そんな私ですが、プログラムされたものでありながらも意思が…心があります』

『マスターは私に仰ってくれました。例え作られたのだとしても、考え、感じることが出来ればそれは人であることに変わりない…と』

『ですから私は人として、1人の人間としてマスターの傍にいます』

『例えこの世界でも誰かを恨んで復讐しようとも、例えこの世界で誰かに恨まれて復讐されようとも…私は…私だけになっても常にマスターを許します』

『だから私は、生涯マスターを護り続けることを誓います』

黒を纏った少女の決意は、空に輝く満ちた月のみが耳にした。

この静かな夜の世界に少女の声を除いては、木の焼ける音しか響いていなかった。

 

 

 

 

 

 

『それにしてもやはりマスターは変わらないですね………ツンベルギアといい、ミスミ様といい…』

『まだまだ敵は増えそうですねぇ………頑張らないと』

黒を纏った少女の心も、空に輝く満ちた月のみが耳にした…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがきのようなもの(読みたければ以下反転)

どうもぐだぐだです

もう自分の名前ぐだぐだに改名しようかな…鳩さんに頼んで…

とりあえずミスミに会ってきました

ただの情報交換です。色っぽい話はありませんというか書けない…orz

戦闘もないしただの日常って感じです

そうそう、レックスのことなんですけど、自分のあとがきを読んだ友人A(イニシャルA.A)が

「サモナ3と言ったらアティ先生以外に誰がいる!」

と思いっきり言われまして…

数少ない大事な読者様を減らすわけにもいかず…(しかもAは家もすぐ近くなので絶対何か言われるので)

頑張ってアティを書いてみようかと思います。

サモナ3…アティ先生が主人公側のデータ10章で止まってるんだorz

頑張って進めて一週クリアしよ…

それでは、最後まで読んで頂けたなら幸いです

 

 

押して頂けると作者の励みになりますm(__)m

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