第四話「“緑の地球”と“メイドさん”は任せとけ」










《Side アキト》





整備の人の誘導に従って、ロボットを所定の場所に移動させる。

台に固定されて、やっと外に出ることができた。

誘導してくれた整備の人は、俺と二・三話しをしてから作業に戻っていった。



「俺……生きてる………」


まだ、手が震えている。

自分でも、生きている事が不思議なくらいだ。

いきなり、戦場に出されて「囮をしろっ!!」だぞ!?

正直、生きた心地がしない。

……俺はこんな目に遭ったのに、どうしてここから逃げ出さないのだろう。





そんな事を考えていたら、格納庫にもう一機入ってきた。

あの時の銀色のロボットが、ここの向かい側に固定される。

みんながそこに集まって行くので、俺も行くことにした。





「「「「「「うおおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」」」」」


コックピットから、ユラちゃん達が出てきた。

整備の人達は何か叫んでいるし……まあ、気持ちは何となく解る気がする。

綺麗だからな……


「すっ、すげぇ……何だよこのエステは!?
 従来のヤツじゃねえぞ、コイツは……分解してぇ」


一人だけ、あの銀色のロボットに目がいっている人がいる。


「ウリバタケさん、それだけは勘弁してください」


あの人、ウリバタケさんっていうのか……


「メカニックマンの性だ。
 あきらめてくれ」


ユラちゃんが、ウリバタケさんに分解させないように止めている。


でも、ウリバタケさんは目が血走っているし……大丈夫かな?


「とりあえず、このエステの仕様書で我慢してください」

「しょうがねえな。
 まっ、これで我慢するか」


どうやら、何とか治まったみたいだ。



「んっ、アキト」


俺に気がついて、ユラちゃんがこちらに近づいてくる。


「よう、アキト……お疲れさん」

「おっ…お疲れ様です」

「えっと……何で敬語なんだ?」

「い、嫌なんとなく……」

「ハァ……アキト、おまえ歳いくつだ?」

「18です」

「俺より、二つも年上じゃないか……タメ口でいいよ、俺もそうしたいし……」


俺より二つ年下……ってことは16歳。

妙に、大人びているから年上かと思った。


「わかりまし……っじゃなくて、わかった」

「うん、それで良し」


もっと冷たい娘かと思ったけど、凄く良い娘みたいだ。

やっぱり、見た目で判断しちゃいけないよな。


「次は、俺の連れを……ほら、二人とも自己紹介しろ」

「ラピス・ラズリだよ。
 よろしくね、アキト」

「パールです。
 よろしくお願いします、アキトさん」

「うん、よろしくね」

桃色の髪の娘がラピスちゃんで、白っぽい髪の娘がパールちゃんか……二人とも可愛いな。

着ている服は……確かゴスロリだったけ?

二人によく合っているなあ……

「とりあえず、ブリッジに行こう。
 ……みんなを待たせちゃ悪いしな」


ユラちゃんに促されて、俺達はブリッジに向かった。





アキト〜〜ぉぉっ!!!

「ぐえっ」


ブリッジで俺を向かえたのは、幼馴染の強烈なタックルだった。


「アキト、アキト、アキト、アキト〜〜〜」


拙い、息が出来ない……


「ユ…ユリカ、苦し……いか…らはな……せ」

「艦長、そのままだとテンカワさんが……」

「ほえ?」


プロスペクターさんに言われて、ようやく離れてくれた。


「ケホッ……ユ、ユリカ……俺を殺すつもりかっ!?」

「嬉しいっ!!  今でも私のこと“ユリカ”って呼んでくれるんだ」


だめだ、こっちの話を全く聞いてない……本当に変わってないな。

……あの事を聞こうと思っても、この調子だと無理だな。


「……ハァ」


みんなが、呆れた目でこっちを見てるよ。



「コホン……テンカワさんよろしいでしょうか?」

「あっ、はい……えっと、何っスか?」

「実はですね……臨時でパイロットを兼用して貰いたいのですが……」

「へっ?」

「先程、パイロットのヤマダさん……」


ダイゴウジ・ガイだっ!!!


「……っが、骨折してしまいまして、パイロットがユラさんだけなのです。
 すみませんが、引き受けて貰えませんか?」

「でも、俺はコックに……」

「もちろん、お給料はこれ位だしますよ」


プロスペクターさんから電卓を見せてもらう。

うわっ、こんなに……でも、俺はコックなんだ。

……何を迷っているんだ俺は……さっさと断ればいいじゃないか……

だけど、だけど……俺にしかできない事なんだ。

チラッと、ユラちゃんを見る。



………よしっ!!


「わかりました、やります」

「ありがとうございます。  では、コック兼パイロットで登録しておきますので……」


これで、少しでも負担を減らされるといいけど……



「あの、ちょっといいですか?」

「何でしょうか、レイナードさん?」

「一度、みんなで自己紹介しませんか?
 知らない人も増えたし……」

「……そうですな。
 私以外の人達はした方がよさそうですな」


確かに……プロスペクターさんはみんな知っているみたいだし、俺は飛び入りだからここの人達の事は全然知らない。

いい機会だからやっておこう。


「……では、まずはテンカワさんから」

「俺っスか……じゃあ、テンカワ・アキトです。
 これから、よろしくお願いします」


まあ、無難にやっておこう。


「次はわたしね。
 操舵手のハルカ・ミナトよ。
 よろしくね、アキト君」

「通信士のメグミ・レイナードです。
 よろしくお願いします」

「ホシノ・ルリ。
 オペレーターです」

こ、こんな子供まで……

「ゴート・ホーリだ。
 よろしく頼む」

「こちらが、ナデシコの戦闘アドバイザーのフクベ・ジン提督です」

「フクベだ……よろしく頼む」

「私が、副提督のムネタケ・サダアキよ」


ムネ茸……キ、キノコか……嫌、一応人間だよな?


「オレが、ダイゴウジ・ガイだ。
 ゲキガンガーの事は礼を言おう……だが、あんまりオレより目立つなよ」


ヤマダ・ジロウじゃなかったけ……


「俺が整備班の班長ウリバタケ・セイヤだ」


ウ、ウリバタケさん何時の間に来たんだ!?


「プロスの旦那、これ報告書だ」

「ごくろうさまです。
 ふむ………」


報告書に目を通すプロスペクターさん。

その間にも、自己紹介は続く。


「私が艦長のミスマル・ユリカで〜〜すっ」

「ユリカ……ブイサインはもういいからね」

「え〜〜っ、ジュン君のいじわる」

「あ、僕は副艦長のアオイ・ジュンです」


連合軍の敬礼なのかな、挨拶の変わりにしている。

それと、ユリカ……おまえその歳でブイサインは無いだろう……

えっと、次は……


「次は俺かな。
 交渉の時にみなさんにはお会いしましたね。
 ユラ・マルスです。
 ナデシコではパイロット班所属なので、よろしく」

「ナデシコでは?」

「俺は、ネルガルからの出向社員なんだ」


なるほど、だから俺以外の人はユラちゃんの事知っているのか。

交渉で会ったって、さっき言っていたしな。


「質問」

「なんですか、メグミさん?」

「何で、女の子なのに自分の事を“俺”っていうんですか?」

「あっ、私も疑問に思っていたんだ」

「艦長もですか?」

「俺はいいと思うが……その方が萌える」

ウリバタケさん、その考えにはついていけません。

あれっ、どうしたんだろう?

ユラちゃんが、プルプルと震えている。


「みんな、何言っているの?
 ユラ君は男の子よ」

「またまた、冗談でしょうミナトさん」

「本当よ、艦長」

「ユラさんは男性です。
 これを……」


ホシノさんが、ユラちゃんのデータを大型のモニターに出す。

……本当に、男の子みたいだ。

1分経過

2分経過

3分後に爆発


「「「「ええぇぇぇぇぇぇぇえっ!!!」」」」


「「なにぃぃぃぃぃぃぃいっ!!!」」


最初は俺とユリカ、ジュンとメグミさん。

後に、ウリバタケさんとヤマダ。

そりゃあ、大声で叫びたくもなる。

だって、あんなに綺麗な子が……



「普通に解りません?」


「「「「「「「「わからない(ん)」」」」」」」」


ブリッジにいる全員(一部除く)がシンクロする。


「ラピス、パールお前達まで……」

「「仕方が無いと思う」」

「綺麗な顔立ちだし……」とミナトさん

「髪が長くて、サラサラだし……」とユリカ

「声も男性にしたら結構高いし……」とメグミさん

「「「普通気が付かない」」」

「グスッ……みんながいじめる」


俺も女性陣に同感だ。

……しかし、“ユラちゃん”じゃなくて“ユラ君”だったとは……呼び方は“ユラ”にしておこう。


俺の青春を、漢の浪漫を返せぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!


ウリバタケさんが叫んでいる。

心の……嫌、魂の叫びだ……うっすらと眼に涙を浮かべてまで……

少しだけ、ほんの少しだけだけど解る気がする。

「パイロット同士の燃える恋、そこから生まれる合体攻撃が……」

ヤマダ、お前も何だな。


「ユラさん、大丈夫ですか?」

「ルリちゃん……もう慣れたよ」

ユラが遠い目をして呟く……色々苦労したんだね。



「気を取り直して、最後はこのお二人です」


何時の間にか、報告書を読み終えたプロスさんが進行役に戻る。
次は、ラピスちゃんとパールちゃんの番だ。


「ラピス・ラズリ」

「パール」

「「私はユラの目、ユラの耳、ユラの手、ユラの足、私はユラのモノ、ユラは私の全て……
 ユラは私の……私の……御主人様(ポッ)」」


両手を頬において、とんでもない爆弾発言をする二人……



――その瞬間、時が凍る。



「ユっ、ユラ君。
 あっ、あなた……まさか!?」とミナトさん

「そっ、そんな……可愛い顔して危ない趣味の持ち主!?」とメグミさん

「ユラさんにそのような趣味が……データベースに書き込まないと……」とホシノさん

「ユラさん、いつそのような関係に!?」とプロスペクターさん

・・・・・・・・」とゴートさん 

「ユラ君が、人間として行ってはいけない領域に……」とユリカ。

「今すぐ、警察に行って自首するんだ」とジュン。

「悪党め、このダイゴウジ・ガイが成敗してやるっ!!」とヤマダ。

「なっ、なんてうらやましい……」とウリバタケさん。


みんな完全に信じているみたいだ……

しかし、その中で提督はお茶飲んでいるし、副提督は興味ないみたいだ。

ここまで、動揺しない人も珍しい。


「おい、ユラ。
 何か言わないと拙いと思うぞ」

ちなみに、俺は信じていない。

会ってまだ少しだけしか経っていないけど、仲のいい兄妹にしか見えない。

たぶん、この娘達のイタズラだと思う。



「ラピス、パール……誰に教えてもらったんだ?」

「「愛の伝道師」」

「そうか………あの野郎

何か、ユラからドス黒いモノが出ている感じがする。


「プロスさん、ちょっと出かけて来ます」

「どっ、どちらへ……何をしに?」

「あの馬鹿に天誅を……大丈夫、半殺しにするだけですから♪」


……っと、笑顔で言うユラ……はっきり言って怖い、滅茶苦茶怖い。


「おまちください、ユラさんっ!!」

「まっ、待つんだユラっ!!」


ブリッジを出て行こうするユラを抑える、真っ青な顔をしたプロスペクターさんとゴートさん。


「離してください、あいつに天誅を……天誅をぉぉぉっ!!!


「だめです。
 ここで抜けられと困ります」

「でも、ラピスとパールに変な事を教えたんですよっ!!」

「そこをなんとか……お願いしますから落ちついてください」


すっ、凄い……プロスペクターさんはともかく、ゴートさんまで引きずっている。


「……わかりました。
 臨時のお給金をあげますから」

「本当ですかっ!?」

「はい」

「わかりました。
 今回はやめます……ただし、向こうに残っているエルにも同じ事を教えていたら……」

「おっ、教えていたら……」


俺も含めて、ブリッジにいるみんな(提督、副提督は除く)もこの会話に耳を傾けている。


「半殺しでは終わりません……三分の二殺しですからね♪
 その時は、止めないで下さい……」


また、もの凄く良い笑顔で言うユラ。

……だから、怖いってば。

“ユラちゃん”って呼ばなくて良かったと、俺はこの時に思った。



この後に誤解は解けたけど、この光景を見た人は“ユラだけは怒らせないようにしよう”っと心に誓ったという。





《Side ユラ》





まったく、アカツキの野郎はとんでもない事を教えやがって……おかげでエライ目にあったぞ。



俺は現在、用意された自分の個室にいる。


「ユラ、これここに置いていい?」

「ああ、そこでいいぞ。
 次は……パールの方を手伝ってくれ」


そう言うとラピスは、パールと一緒にクローゼットに服をしまうのを手伝う。


「生活用品も三人分ちゃんと揃っているな。
 たりない物は……売店で買えばいいか」


プロスさんに、無理を言って三人一緒の部屋にして貰った。

今まで、一緒に暮らしていたのでこっちの方が自然だし、二人が不安にならないよう配慮した。

この事について二人に話したら、元々そのつもりだったらしいので、すぐに決まった。


「終わったわよ」

「ユラ、次は何をすればいい?」

「後は……二人とも制服に着替えてくれ」


ブリッジ要員の制服を渡し、外に出る。





着替え終わった二人が部屋から出てくる。

その姿は、ルリちゃんとお揃いの制服を着ていた。


「んっ、二人とも似合っているぞ」

「うん、ありがとう」

「これで、私とラピスもナデシコのクルーね……」

「そうだな……ラピス、パール、改めてよろしくな」

「「こちらこそよろしく」」


お互いに、クルーとしての初めて挨拶を交わす。

なんか、初めて会ったときとダブるな……




プロスさんからコミュニケで連絡が入る。


『ユラさん、お二人を連れてブリッジに来てください。
 ……“アレ”を発表します」

「了解、すぐに行きます」


コミュニケの通信を切って、ブリッジに向かう。

「ユラ、“アレ”って何?」

「ん〜〜と……ヒミツだ」

「あとのお楽しみって事?」

「そう言う事」





ブリッジIN。


「ユラさん、お待ちしていました」

「すいません、部屋の片付けが思ったよりも多くて……」

「かまいませんよ。
 時間には間に合いましたから……」

「よかった……
 メグミさん、艦内全域にこれからの発表を流してください」

「はい、わかりました」





「今まで<ナデシコの目的地>を明らかにしなかったのは、妨害者の目を欺く必要があった為です。
 ネルガルが、わざわざ独自に機動戦艦を建造した目的は別にあります。
 以後、ナデシコは<スキャパレリプロジェクト>の一端を担い、軍とは別行動を取ります」


「我々の目的地は火星だっ!!!」


フクベ提督が、艦内に宣言をする。


「……では、現在地球が抱えている侵略は見過ごすと言うのですかっ!?」


軍をやめてまで、この艦に乗ったジュンの怒りは凄かった。


「多くの地球人が火星と月に殖民していたと言うのに、連合軍はそれらを見捨て……
 地球にのみ防衛線を引きました……火星に残された人々と資源はどうなったのでしょう?」

「どうせ死んでんでしょ」

「分かりません……ただ、確かめる価値は……」

『無いわねそんなの』



唐突に、コミュニケが開いてムネタケの顔が現れる。

それと同時にブリッジのドアが開いて、銃で武装した兵士達が入ってきた。


「悪いけど、この船はアタシが頂くわ」

「困りますなぁ副提督。
 軍との間ではもう話し合いはついている筈ですが……」

「そんなのアタシの知ったこっちゃ無いわ」

「血迷ったか、ムネタケっ!?」

「その人数で何が出来る」

「あ〜ら、そうかしら……」

「わかったぞ。
 さてはてめぇ、木星蜥蜴のスパイだな」


勢い勇んで言ったはいいが、銃を突きつけられて慌てて手を挙げるヤマダ。

全く、大人しくしとけよ。


「勘違いしないで……ほら、来たわよ」



モニターの向こうに、海から艦が浮上した。

ミスマル提督のご到着か……





『連合宇宙軍第三艦隊提督ミスマル・コウイチロウである。
 機動戦艦ナデシコ、貴艦を徴発する』

「お父様っ!?」


ユリカさんの言葉に、ブリッジのメンバーは驚きの表情を浮かべた。

ユリカさんの姿を確認したミスマル提督は……


『ユゥリカぁぁっ!!
   ……元気だったかい〜っ!!』


さっきの威厳はなんとやら、完全に顔が緩んでいる。


「お父様、これはいったいどういう事です?」

『すまんユリカ
 これも仕事、パパも辛いんだよぉ』


親バカ全開だな、これは……


「ミスマル提督。
 ナデシコはネルガルが私的に運用すると、軍とは話がついている筈……」

『現在の連合軍にこれだけの戦力を遊ばせておく余裕はない。
 これは連合本部決定である。
 故に、我々も手段を選んでいる余裕もないのだよ』


あっ、シリアスに戻った。


「流石はミスマル提督、話が早い。
 どうでしょう、そちらでは交渉という事で、宜しければそちらに伺いますが……」

『うむ……だが、艦長の身柄とマスターキーはこちらで預からせて貰う』


それで、どうなったかというと……


「抜いちゃいました〜〜」


結局、こうなるわけで……





ユリカさんとプロスさん、あとジュンがトビウメに交渉に向かい。

俺達は、ナデシコ食堂に監禁される事になった。


「あ〜あっ……自由の身も一日でおじゃんか……」

「はっはっは〜〜、なんだか暗いな〜博士」

「誰が博士だっ!!」

「この船、大丈夫かなぁ。
 ネルガルの髭メガネの人とか、あんまり頼りになりそうにないし……」

「人は結構見かけによらないものよ、メグちゃん。
 大丈夫、きっと上手く行くって♪」

「だといいですけど。
 あ〜あ、何だかガッカリです。
 戦艦に乗ればかっこいい人とかいると思ったのに……」

「あれじゃあねえ……」


ミナトさんとメグミさんの視線は、騒いでいるウリバタケさんとヤマダに向けられた。


「特別濃いからなあ、あの二人………んっ?」


服の裾を引っ張るラピス、もしかして……


「お腹すいた」


やっぱり……このゴタゴタで朝ごはんの事をすっかり忘れていたからな。


「今作るから、パールも呼んできてくれ」

「ハ〜イ」


さてとっ……いっちょやりますかっ!!



「ホウメイさん、厨房を貸して貰えませんか?」

「おっ、いきなりどうしたんだい?」

「ラピス達の朝ごはんを作ろうと……」

「そうかい……構わないよ。
 材料の方も好きに使っていいよ」

「すいません、お言葉に甘えさせて貰います」


俺は、冷蔵庫から材料を吟味する。

やっぱ、手軽に作れるモノがいいよな……鶏肉と玉ねぎにご飯か……よしっ、チキンライスにするかな。

材料を取り出して料理に取り掛かろうとした時……ふと、視線を感じた。


「どうしたの、ルリちゃん?」

「いえ、何でもありません」


「何でもないなら、こっちをジッと見るのは何故だ」……っと、心の中でツッコム。


「もしかして、一緒に食べたい?」

「いえ、そういうわけでは……」

「遠慮はいらないよ。
 二人分も、三人分も作るのに大差は無いからさ」

「えっと……それじゃあお願いします」

「了解」


ルリちゃんが“食べたい”のではなく、こちらを観察していたことは解っていた。

それを利用して、ラピス達との交流の場を設けるのに成功した。

……なんか、ちょっと強引だったけど上手くいったな。





「はい、お待ちどうさま」

「「いただきま〜す」」

「いっ、いただきます……」


三人は、それぞれの取り皿に盛っていく。


「うん、おいしいっ!!」

「当たり前の事を言わないのラピス……ルリはどう?」

「おっ、おいしいです」


どうやら、満足してもらったようだな。


「ユラの作る料理は、何でもおいしいよ」

「そうなんですか、ラピスさん?」

「そうだよ。
 私がその中で一番好きなのはハンバーグ」

「私はクリームシチューね」

「ユラさんはお料理が得意なんですか?」

「うん。
 どれも、プロ級の味だよ」


一応、俺は料理には自信がある。
16歳の時に、両親に言われて世界各国を約二年間ほど旅に出された。
その時、路銀を稼ぐのに様々なレストランでバイトをして、味とレシピを舌で盗んできたからな。

お金も稼げて、料理の腕も上がる……まさに一石二鳥だ。


三人は黙々と食べていく。


「本当においしいですね」

「ルリはこういうの食べた事ないの?」

「はい、いつもはジャンクフードと栄養剤で済ませています」

「勿体ない」

「えっ?」

「勿体ないよ、ルリっ!!」

「確かに、そうね」

「ラピスさん、パールさん!?」


二人の出す雰囲気に、ルリちゃんは少し押され気味である……大丈夫かな?


「いつもそれだと、味気ないと思う」

「……でも、一日の栄養摂取はこれですみます」

「それだと、楽しくないよっ!!」

「楽しい?
 ラピスさん、栄養を摂るのに楽しむ必要はないと思いますが……」

「その様子だと、食べる時はいつも一人ね」

「はい」

「やっぱり……ルリ、それは損をしているわ」

「パールさん、それはどういう事でしょうか?」

「ユラからの受け売りなんだけど……私たちもルリと同じ様に考えを持っていた時があったの。
 それでね、ある日ユラに言われてみんな別々に食事をしたわ。
 その時の食事は……なんか一味足りない気がして、初めて食事を残したの……
 残したお皿を見てユラは言ったわ……“どうだった?”って……
 私たちは正直答えたわ……“いつもより味気ない”ってね」

「それは、調理ミスじゃないんですか?」
「私たちも、そうだと思った。
 ……けどね、ユラはいつも通りにちゃんと作っていた。
 私たちには解らなかった……どうして、おいしくなかったのか……
 そうしたらユラが答えてくれた……“それは、暖か味が無いからだよ”って……」

「暖か味?」

「うん、誰かと一緒に食事をすると色々と話したりするでしょう。
 それだけで、食卓は明るくなって、みんな楽しく食事ができるの。
 今日の出来事、テレビの話題……どんな小さな事でも良いから話してみる。
 そうすると、料理にもう一つ味が加わる……それが“暖か味”なの」

「そっ、そんな事は……」

「無いって言えないよね。
 今、ルリは私たちと食事をして感じた筈だよ」

「……確かにそうかもしれません。
 空腹だけではなく、こう……他の何かも満たされた感じです」


良かった、ルリちゃんも解ってくれたみたいだ。


「だから、ラピスと私は“勿体ない”、“損している”って言ったの」

「そうですね……今、一人で食事をしたら……それはきっと“味気の無い食事”だと感じますね」

「そうでしょ……だから、これから私とパールと一緒にご飯食べよう」

「えっ?」

「そうね。
 私もそれに賛成するわ」

「でも、お二人の迷惑に……」


不安そうな顔をするルリちゃん……やはり、こういう事に慣れていないみたいだ。

・・・…でも、大丈夫だよ。


「友達と一緒にいるのが迷惑なの?」

「……友達」
「うんっ、私が勝手にそう思っていたんだけど……嫌だった?」

「そっ、そんなことありません。
 あっ、あの……友達になってくれますか?」

「もっちろん。
 ……これからよろしく、ルリ」

「よろしくね、ルリ」

「はいっ!!
 よろしくお願いします、ラピスさん、パールさん」

「ラピスでいいよ」

「私もパールでいいわ」

「それじゃあ……ラっ、ラピス……パっ、パール」

「「何、ルリ」」


二人は、笑顔でルリちゃんに応える。


「いえ……呼んでみただけです。
 つい、嬉しくて……」





「……上手くいったみたいだな」


俺は、ずっとカウンターから三人の様子を見ていた。


「そうだねえ」

「ホっ、ホウメイさん!?
 いつからそこに……」

「ついさっきね。
 気づいているのはアタシだけじゃないよ」

「はっ?」


ホウメイさんの指した方向に、ミナトさんとメグミさんがこっちに手を振っていた。


「あんたも、その歳で色々と考えているね」

「いえ、俺は場を設けただけで……あの結果を作ったのはラピスとパールですよ」

「そんな事無いと思うわよ。
 ラピスちゃんとパールちゃんを良い娘に育てたのは、ユラ君なんだから」

「そうですよ」


ミナトさんとメグミさんがこちらに来て、会話に加わる。



「こうして見るとあの三人、本当の姉妹みたいね。」

「ミナトさんもそう思いますよねえ。
 私も顔立ちとか似ていると感じますから……」

「それは……ある意味では合っていますよ」

「「「えっ?」」」

「ユラ、どう言う事だい?」

「ラピスはルリちゃんをベースに生み出されました。
 パールは髪の色こそ少し違いますが……完全にルリちゃんのクローンなんです」

「それ、本当なのっ!?」


ミナトさんが表情を変え、真剣な目をして聞いてくる。


「……本当です。
 それに、あともう一人女の子いるんですが……彼女はラピスをベースに……」

「その事は、ラピスちゃん達には言ってあるの?」

「いえ、言っていません。
 ……でも、あいつ等は自分の事に気づいています」

「でも、それじゃあ……」


顔を俯きながら俺に言ってくる。


「メグミさん……今後、俺があの娘たちにどうこう言うつもりはありません。
 それに……あいつ等は、もう自分自身でこの事を乗り越えていますよ」

「本当ですかっ!?」

「以前、俺に言ってくれたんですよ……“誰が何と言おうと自分は自分だ”ってね。
 見た目程、あいつ等は子供ではありませんよ」


俺の視界には食事が終り、ルリちゃんと楽しそうに談話している二人がいる。


「みなさんに、お願いがあります。
 ミナトさん、メグミさん……あの娘達に対して何かと気にかけて貰えませんか?
 あの年齢だと、周囲の年上の女性に影響される部分が大きいと筈ですから……」

「私はOKよ……メグちゃんは?」

「私も引き受けます」

「ありがとうございます
 それと、ホウメイさん……時々でいいですから厨房を貸してもらえませんか?」

「いつでも自由に使っていいよ。
 その代わり、たまに食堂の手伝いをしてくれないかい?」

「それ位でいいなら是非っ!!」


良かった……やっぱり、ここには良い人が沢山いる。


ルリちゃん……君はこれから変わっていく日常に戸惑うだろう。

悲しいことや、辛い事があるかもしれない……でも、楽しい事も嬉しい事もあるから大丈夫。

このナデシコで沢山の思い出を作っていこう。

そうしたら、ラピス達みたいに変わる事ができる筈だ……



あっ、これって……アキトとルリちゃんの最初の接点を消しちゃったんじゃあ……

この場面で、アキトがルリちゃんにチキンライスを作っていた様な。

ヤバイ……あとで、何とかしとかないと……





「ねえ、ユラくん」

「何ですか、ミナトさん?」

「私のお願いも聞いてくれるかな?」

「これから、ラピス達が世話になりますし……いいですよ」

「ほんとうにぃ〜〜っ?」

「は、はい……」


なんか、嫌な予感がする。


「そう……それじゃあ、ちょっと待っていてね」


そう言って、ウリバタケさんの所に向かう。

あっちの方は、原作通りにゲキガンガーのアニメを見ている。

あの二人、何を話しているんだろ。

もしかしたら、さっきから悪寒がするのに関係があったりして……考え過ぎかな?

……あっ、こっちに戻って来た。


「ホウメイさん、この食堂で誰もいない所はありません?」

「調味料を保管してある部屋なら……って何をするんだい?」

「ナ・イ・ショ……ユラ君こっちに来て」

「あっ、あのちょっと……」


手を引っ張られ、その場所に連れて行かれる。





ここには、世界中の調味料が置かれている。

その数、数千はあるかという位。

こんな所で何をするんだろう?


「私のお願いは………コレに着替えてくれる?」


どこからとも無く、“ソレ”が姿を見せる……


「あの、ミナトさん……そっ、ソレは……いったい……」

「見ての通りよ……大丈夫、私も手伝うから♪」

「そっ、そういう問題じゃなくてですねえぇぇぇっ!!」

「あれぇ、さっき言った事は嘘なんだぁ〜?」

「そっ、そんな事は……」

「じゃあ、ハイッ♪」

「……マジですかっ!?」

「私はホ・ン・キよ♪」


ああっ、本当に楽しそうな顔をして……さっきの良い人が悪魔に変わったよ……

ここにも、ネルガルの会長秘書と同レベルの人がいた。


「しょうがないわねぇ……エイっ♪」

「ミっ、ミナトさん!?」

「は〜〜い、お着替えしましょうねぇ」

「わあ、ちょっとぉぉぉっ!!」

「う〜ん、ユラくん。
 白くて綺麗な肌ねえ……嫉妬しちゃうわ」

「や〜〜〜〜め〜〜〜〜て〜〜〜〜」

「ふっふっふ、良いではないかぁ〜」


神様………俺……汚れちゃいました。





今、俺は食堂と厨房を隔てるドアの前にいた。

ミナトさんは、既に食堂の方に行っている。

食堂の方から声が聴こえる。


「みんな、この燃えるシチュエーションに何も感じないのかっ!?
 奪われた秘密基地、軍部の陰謀、残された子供たちだけでも事態を打開して、鼻をあかしてやろうたぁ思わねえのかっ!!」

「誰だよ、子供って……
 んっ、おめぇはテンカワだったか、中華鍋を持ってどうすんだ?」

「……俺、ロボットに乗って艦長を連れ戻してくる」


「「「「「「「ええぇぇっ!?」」」」」」」


食堂に、ちょっとした騒ぎが起こる。


「俺は火星に行きたい。
 行って、火星のみんなを助けたいっ!!
 世界中の人が戦争の事しか考えてなくても、きっと何か出来る事がある筈なんだ。
 みんな、今までにできない何かを、それをするために、ここに集まったんじゃないのかっ!?」


アキトの言葉に籠もった思いは皆に伝わった。

けれど……

拙い……アニメでは上手くいったけど、今回も上手くいくとは限らない。


「アキト、待て」


ドアの外にいる見張りのところに行く前に止める。


「何だよ、ユ……ラ……か?」

「何を言ってんだ、当たり前だろ」

「いや、だっ……て………」


そう言って顔を合わそうとしない……しかも、顔が赤い……何でだ?

……そういえば、随分と周りが静かだな。

ルリちゃん達も、目を丸くしているし……


「……??」


わからん……ふと、ウリバタケさんとミナトさんが話している所が目に留まる。


「どう、セイヤさん?」

「まさか、これ程似合うとは思わなかった。
 どうやら、俺のコレクションも無駄に為らずにすんだな」

「まだあるの……
 そのコレクション、あとで写真付きで私の所に送っておいて貰える?」

「ふっ、まかせておけ」


なんか怪しい会話だなぁ……あれっ、コレクション……

何か忘れている気が……


「……ハッ!?」


自分の格好を確認する。


――紺色でスリーブに余裕を持たせたブラウス。


――裾の広がったひらひらスカートに、白いエプロン。


――とどめに、頭にはフリル付きのカチーシャ。


そう……今の俺の姿は……


「どう、みんな?
 メイドユラ君よ、似合うでしょう♪」


頼むからそんな事言わないで……


「「「「「「もっ」」」」」」

「もっ?」


少し静寂のあと……


「「「「「「萌えぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇっ!!!」」」」」」(アキト、ウリバタケさん、ゴートさんは除 く)


男性陣の方々が吼える。

終わった……もう完璧に……



「ユラ……可愛すぎだよぉ〜」とラピス

「これは……アリね」とパール

「この姿は……保存です、最高画質で保存ですっ!!」とルリちゃん

「ホントに、ユラなのかっ!?」とアキト

「似合い過ぎていますね……」とメグミさん

「・・・・(沈黙)」とゴートさん

「食堂のウェイトレスでもいいかも……」とホウメイさん

「「「「「それ、賛成で〜〜〜す」」」」」とホウメイガールズのみなさん


「完璧だ……完璧すぎるぅぅっぅぅぅっ!!!」とウリバタケさん


「おっ、俺にはナナコさんが……」とヤマダ

「次の候補を決めて置かないと♪」とミナトさん


他には……「生きているって素晴らしい」とか、「オレもう……駄目」とか、「最高……」とか、「グッジョッブ」。

さらに、「メイドキターーー」っと言う男性陣のみなさん。



俺はっというと……頭を抱えながら……


「逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、でも逃げたいです」


某サードチルドレンのように繰り返す……あっ、涙が出てきた。





「うるさいぞっ!!!」


食堂の騒ぎを不信に思い、見張りの兵士が入って来たようだ。


――チャンス


こちらに近づいてくる兵士の背後に素早く回り込む。

あの兵士には、消えたように見えただろう。

慌てる兵士の首筋に、手刀の一撃を入れて気絶させた。


「誰か、縄でこいつを縛っておいてくれ」


ポカン……っとしているクルー達(ラピスとパールは除く)に至極平然と言う。

……っと、すぐに我に返ったのはゴートさんだ。

どこからか縄を持ってきて、気絶している兵士を縛る。


「みんな、まだ帰ってこないね」

「しょうがないわよ。
 いきなりアレを見たのよ」

「そろそろ、戻って貰うか」


俺は拍手(かしわで)を打つ。

その音は食堂中に鳴り響き、おかげでみんなが我に返った。


「みなさん、アキトの言う通りです。
 俺は、火星で確かめたい事があります。
 だから、こんな所で終わらせるつもりは全くありません。
 そのためにも、みんなでナデシコを取り戻しましょう」


さっきのアキトの言葉に後を押す形となり、クルーのみんなが湧き上がる。



「……ではまず、皆さんは格納庫を取り戻してください。
 その後は、アキトがエステでユリカさんの所へ……」

「わかった」


アキトには悪いが、また囮になって貰おう。

アニメの展開なら、チューリップが出てくる筈だ。


「その間に、俺はブリッジを取り戻します」


みんなの顔に動揺が走る。


「おまえ、一人で行くつもりかっ!?」

「心配いらないよ、アキト。
 ……さっき見ただろう?」

「うっ、確かに……」


他の人達も解ってくれたようだ。


「それに、単独の方が動きやすい」


みんな、俺の動きに付いて来られないだろうし……


「あっ、念のために……」


俺は人型に切った紙を取り出して、血を付け氣を送る……っと俺の姿になった。


「「「「「「えっ、えぇぇぇぇぇっ……ユラ(君、さん)が二人っ!!!?」」」」」」


まあ、こうなるのは解っていたけど……騒ぎすぎ。

「これは影法師と言って、俺の分身です。
 分身と言っても、俺より力は少し劣りますけどね」

「これをどうするつもりだ?」


ゴートさんが質問してくる。


「こいつを格納庫班に入れます」

「おまえの方に、入れたほうがいいと思うが?」

「ゴートさん以外は素人ですよ。
 一人だと、護りきれないと思います」

「むう……わかった」


これで保険は掛けた。

そういえば……みんな影法師のこと、すんなり受け入れたな……さすがナデシコ。





「ねえねえ、ユラくん♪」

「ミっ、ミナトさん」


再び、嫌な予感が……


「この子と一緒に、こっちに来てくれるかな?」


しかし、その素敵な笑顔の裏には……


「……ハイ」


行っては駄目だと理解していても、逆らえない俺……


そして……再び、あの保管室に連れて行かれる。





……っで、こうなった。

影法師の身体を女性体にして、俺と同じメイド服を着せられた。

俺の身長が少し縮んだ感じになっており、あと俺の履いているスカートより少し短い。

これは、嬉しいのか悲しいのか解らないが……胸はデカい。


この術は、応用で性別を変える事が出来る。

これは術者が創造した姿ではなく……もし、自分が女……もしくは男だったらと言う、IFの姿を具現化させる。

しかし、勘とは言え……ミナトさんはコレが出来ると思って、俺に言ってきた所が恐ろしい。

……俺の中でミナトさんは、エリナさんと並び要注意人物にランクインした。



それで、みんなの反応は……


「ユラが完全に女の子に……」とアキト

「ルっ、ルリ……これも、保存しないとっ!!」とラピス

「もっ、もちろん最高画質でクリアに鮮明によっ!!」とパール

「そんなのは当たり前ですっ!!」とルリちゃん

「ギリッ……胸……私よりも大きい……」とメグミさん

「ヤヴァイ、やば過ぎるぞこれは……」とウリバタケさん

「燃え尽きたぜ……」とヤマダ

「……(意識が飛んでいる)」とゴートさん

「双子のウェイターもいいね」とホウメイさん

「「「「「それも、賛成で〜〜〜す」」」」」とホウメイガールズ


他の男性クルーは……

「双子のメイドさんは反則」とか、「神が、萌えの神キターーー!!」とか、「我が生涯に一遍の悔い無し」と言っている。



その様子を見て、ミナトさんは満足そうに頷いている。

クソっ……言いたい放題、やりたい放題しやがって……





突如、ナデシコ全体が揺れ始めた。

クっ、チューリップが動き始めたか……急がないとナデシコが危ないっ!!


「みなさん、急ぎましょうっ!!」






食堂からブリッジまでの距離は長くはない。

所々に見張りが配置されているが……一撃を入れ、気絶させながらブリッジに向かう。

しかし……時々だが、倒した見張りが恍惚の表情で気絶して行く事に疑問を持つ。

よく思い出してみたら、それは全て蹴り技で倒したヤツ等だ。

何故だろう……

そんな事を考えていたら、再び見張りの兵士が現れた。



数は三人か……いくぞっ!!



身体を低くして、短い呼気と共に身体が加速する。


「なっ、きえ……ぐあっ」


懐に入り込み、肘打ちを鳩尾に一撃。


――まずは一人……


「うおおぉぉぉっ!!」


殴り掛かってくる兵士の手を取り、そのまま壁に投げつける。


――二人目……


「くそっ!!」


残りのヤツが銃を撃とうとしたが、俺は既に飛び上がっていた。

空中で身体を捻り、回し蹴りを顔面に叩き込む。


――これで終わり


……んっ、倒れていく兵士の顔がにやけている。

その目線は、捲れ上がったスカートの中……しまった、忘れてたっ!?


「……見られていたのか」


一瞬、思案して出した答えは……

何となくムカついたので踏みつけておく事にした。





そして……

ようやく、ブリッジの前に辿り着くことができた。

突入の前に中の気配を探る。

……ムネタケに、護衛が二人か……

余り、ブリッジを荒らしたくないしな………よしっ、これを使うか。

先程、兵士から奪い取った催涙弾を取り出す。

それを扉を少し開けて、その隙間から投げ入れる。

入れた瞬間、プシュゥゥゥゥっという音を立て煙が吐き出される。


「なにっ!?
 なんなのよ、これっ!?」

「ゲホッ」

「ゴホッ……さっ、催涙弾です」

「何で…ゲホッ……こんな物がここにあるのよっ!?」


完全にパニック状態だな。

んっと……位置は……ここか。

……それじゃあ眠ってもらうぞ。


「わかり……ガハッ」

「どうし……グッ」

「なに、今度は何が起きたの!?」

「彼等は、俺が気絶させただけですよ」

「誰っ!?」

「コンピューター、煙を外部に排出」

『了解』

……煙が晴れてくる。

どうやら、ムネタケは俺の姿を確認したようだ。


「あんた、誰よっ!?」


完全に逃げ腰だが、声だけは勇ましい……アイツのプライドの高さが出ているな。

それに、今の俺はこの格好しているから向こうも気がつかないのか。


「見ての通りだが……」

「答えになっていないわっ!!
 何で、ここにいるのよっ!?
 しかも、どうやってあの煙の中であいつ等を!?」

「後者は……息を止めて、目を瞑り、相手の気配を読んで一撃を……」

「なっ……そんな事できるわけが……」


「俺には出来る。
 そんで前者が……ナデシコを取り戻すためだっ!!!


「!?」


一瞬でムネタケの前に移動し、思いっきり殴りつけた。


「げはっっっ」


ムネタケの身体が床を滑る。


「安心しろ……氣は使っていない」



ミッションコンプリートだな。

あとは、みんなが来るのを待とう。





《Side アキト》





ユラちゃん(影法師の事)が、格納庫にいる見張りをゴートさんと一緒に倒していく。

その姿は、ロボットに乗っている時と同じで、全く無駄な動きがない。

出来うる行動の中から、最善かつ最速で相手に有効な攻撃している感じだ。

時々、蹴りが放たれ履いているスカートが捲り上がる。

その度に、ウリバタケさん達がしゃがんで中を覗こうとするし……

あっ、また蹴りが放たれた。

素早くしゃがみ込むウリバタケさん達……だが、フライパンと鍋で武装した女性陣がその行為を阻止した。

特に、ラピスちゃんとパールちゃんの一撃が凄まじい。

まっ、因果応報ってヤツだな。

とりあえず、合掌………



そして、俺はユラちゃんと共に、昨日乗ったピンク色のロボットの前に辿り着いた。

すぐに、台の上にのぼろうとするが……


「・・・・(ふるふる)」


ユラちゃんが、俺の顔の前に手を出して首を振ってきた。


「まだ、行くなってこと?」

「・・・(コクン)」


俺の目を見つめて、頷いて答える。

その仕草が妙に可愛い……っじゃなくてだな。


「いったい……」


俺が聞く前に、既にユラちゃんは台の上に昇っていた。


「きっ、貴様はっ……ガハッ」


上から、人の呻く声が上から聞こえた。

……そうか、まだ見張りがいたんだ。

あのまま、駆け上がっていたら危なかったな……っと、思っていた……


「両手を頭の上に挙げろ」


しまった……油断して辺りを警戒していなかった。

振り向くと、兵士が銃を構えてこっちを狙っている。

仕方なく、言われた通り両手を挙げる事にした。


「よし、そこを動くなよ」


ニヤニヤっと笑いながら、こちらに近づいてくる。

クソっ、どうする……どうするっ!?





すると突然、目の前にユラちゃんが現れたっ!?

いったいどうやって……まさか、あの上から飛び降りてきたのかっ!?

あそこから、ここまでかなりの高さだぞっ!?


「なっ!?」


急に現れた人物に、軍の兵士は驚愕の表情を浮かべる

そして、何も出来ず腹部に一撃を受けて気絶してしまった。

ユラちゃんが、こちらに振り向く。


「……っ!?」


慌てた表情して、俺の所に小走りで駆け寄ってくる。


「どうしたの?」


心配そうな顔をして、俺の鼻を指して来た。


「あっ……こっ、これねっ!!

「何でも無いから、ユラちゃんの所為じゃないから、心配しなくても大丈夫っ!!
 何というか……その……俺の若さの所為みたいな……」


いっ、言えない。

さっきの着地の時、スカートがかなり捲り上がって下着を見てしまい、それを見て鼻血が出したなんて……


「???」


言っている意味が解らないのか、首を横に傾ける

その仕草が、また可愛い……ヤバイ、鼻血が止まらん。


「ととととっ、とりあえずロボットに乗って行くから……」


俺は、その場を後にした……

……ストッキングって、ガーターベルトで止める物なんだ……ヤヴァ、また鼻血が……




コックピットに乗り込み、ロボットを起動させてカタパルトに向かう。


「ありがとう、OKです」


両手のサブマシンガンで、牽制をしているゴートさんに言った。


『あとは、指示に従え』

「はいっ!!」


目的地に着いた。

ガラスの向こうに、メグミさんとルリちゃんが指示をしてくれる。


『発進します。
 どうなっても、分からないので退避してくださいっ!!』


『私も結構バカよね』


行きま〜〜す!!!」


カタパルトの扉が開かれる。


位置に着いてぇっ!!!
 マニュアル発進、よ〜い……ドン』


「てえぇぇぇぃぃぃぃ!!!」


俺は、カタパルトを走る。


ちょっと待てえぇぇぇっ!!!
 テンカワ、そいつは陸戦用だ。
 こないだのやつだよぉぉぉぉっ!!』


足のローラが勢いよく回転して機体が加速する。


「いち、にぃ、のぉ、ドォォンっ!!!


外に出る直前でジャンプする。


「飛べぇぇぇえぇぇっ!!!」


背中のスラスターでさらに上がるが………


『そいつは陸戦タイプなんだって、陸戦タイプなんだよぉぉっ!!』


「なんじゃこりゃああぁぁぁっ!!!」


急に、スラスターの推進力が切れて、そのまま海に落ちる。


「なんだ、飛べよ、飛べったらぁぁぁっ!!」


もう一度、飛び上がるが……また落ちた。

すげぇ、カッコ悪い。





そんな事を何回もしていたら……頭上を、一台のヘリが通り過ぎて行く。

あれって、もしかして……


『アキトっ!!
 また、囮になってくれるのね』


「ハアァっ!?」

『この、隙にユリカはナデシコに乗り込みます』

「いったい何を……って、うあっ!?」


海中で何かが襲い掛かってきた。

慌てて、海中から抜け出す。

ユリカとウリバタケさんが何か言っているけど、それどころじゃない。

飛び上がって見えたのは、幾つモノ触手を操るチューリップだった……再び海へ落ちる。


「こんなにでかい奴、どうするんだよっ!?」

『あきらめるな……またせたな、ボウヤ』

『なに、カッコつけているんだか……』


突如、ヤマダとユラからの通信が入った。






今の状況を教えられる。

マスターキーが戻ったナデシコがこちらに向かっている。

こっちに来るまで、囮になるのだが……俺は海の中、ヤマダはもうすぐ足が限界らしい。

そこで、ヤマダから自分の案を聞かされる。

ヤマダの空戦フレームに、俺のコックピットを移すっとのことだ。


『合言葉は、クロス・クラッシュ』

「言わなきゃだめ?」

『だめだっ!!』

「やっぱし……」


割り込みで、ユラから通信が入る。


『二人とも、やるなら早くしてくれ。
 こいつ等、結構うざったい』

空中では、ユラが襲い掛かる触手を二つのブレードで切り裂いていた。

………まだ、メイド服を着てるし……
チューリップ本体は、俺達では倒す事はできない。

だから、攻撃の本命であるナデシコが来るまでの間、ああやって時間稼ぎをしている。


『アキト、来るなら早く来い。
 俺が、その作戦の実行まで敵を引き付けておく。
 それとも……ここで終わるつもりかっ!!』

……そうだ、俺はここで死ぬ訳にはいかないっ!!

絶対に、火星に必ず行くんだ。


「ヤマダ、やるぞ」

『ダイゴウジ・ガイだっっ!!
 ……ったく、タイミングは俺の方に任せろ』


「よおぉぉぉしっっ……いっけぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」


俺は、海中から勢いよく空へと飛び出す。

下には、ヤマ……ガイのロボットが俺の真下に来る。


『いくぞ。
 クロス・クラッシュ』 「クロス・クラッシュ」


『声が小さぁぁいっ!!!』


ああっ、もう……やってやるよっ!!


「『クロス・クラッァァァァシュ!!』」


ガイのコックピットが海に落ち、代わりに俺のが合体する。

カメラアイに光が灯る……コックピットとフレームの合体が成功した証だ。

これなら……っとそう思う前に、俺は既にチューリップに向かっていた。


『行けぇぇアキト、ゲキガンフレアーだっ!!』


「うああぁぁぁぁっ、ゲキガンフレアァァァァっ!!!」


そのまま突撃して、触手を切り裂いていく。


『いける、いけるぞぉぉぉぉっ!!』


『DFによる高速度攻撃だな。
 さて俺も……斬って、斬って、斬りまくるっ!! ……ってか』


ユラも、持っているブレードで俺の倍以上の数を切り裂いていく。

……っと、ナデシコがチューリップの前に到着し、そこから前進をさらに……って、オイっ!?


「なにやってんだ、ユリカっ!?」


チューリプの中に入っていくナデシコに、通信で必死に呼びかけるが……応答が無い。

そして、とうとうナデシコは飲み込まれてしまった。

一瞬、愕然とするが……すぐに変化があった。

風船のようにチューリップが膨らんだと思ったら、爆発して中からナデシコが現れた。





「内側から大砲かよ……何を考えているんだ、アイツは……」

『外側が駄目なら、内側から……ってことなんだろ』

「そうかぁ?」

『……でもまあ、二回目の戦闘でチューリップの破壊……逸材と言われるだけの事はあるな』


とにかく、ユリカは優秀ってことかな。





『アキトとユラ君のエステバリスを回収します』

『あの艦長、ヤマダさんも出たんですけど……』

『ついでに回収します』

『ヤマダさん、お手柄ね』

『ダイゴウジ・ガイ〜〜ぃぃ』

『うわっ、漢泣きだよパール』

『ラピス、見苦しいから見せないで』



みんな、結構酷い事言ってるな……


『お〜い、早くしないとアイツ溺れるぞ』


あっ、本当だ。

ユラの言う通り、ガイのコックピットに海水が入ってきている。

……って冷静に考えている場合じゃない、早く回収してやらないとっ!?



その後……最後にガイを回収して、ナデシコは再び火星に向かって進み始めた。










おまけ



回収後、エステバリスから降りた二人。


ユラ(以降“ユ”)「アキト」

アキト(以降“ア”)「なんだ?」

ユ「おまえ……覗いたろ?」

ア「〔ギクッ〕なっ、何を……」

ユ「とぼけても駄目だ。
  俺と影法師は、感覚とか記憶をラインで繋げることができるんだ」

ア「……マジ」

ユ「本当だ……まさか、アキトがねえ……」

ア「なんだ、その意味ありげな眼は……
  言っておくが、俺は何も見ていないぞ」

ユ「じゃあ、あの鼻血は?」

ア「ちっ、ちょっとぶつけただけだ……」

ユ「ふ〜〜ん………わかった信じよう」

ア「ホッ……」

ユ「……っで、何色だった?」

ア「純白のレースだった……あっ!?」

ユ「フッ……」

ア「あっ、あのなユラ、これには訳が……」

ユ「まあ、偶然だったから俺は怒らないけど……」

ア「(助かった)……でも、“けど”って?」

ユ「後ろの人達がどうするかな?」

ア「後ろ……ゲッ!!」

ウリバタケさん率いる整備班の人たち。

全員「・・・・(怒)」

ウリバタケ(以降“ウ”)「テンカワ……ちょっとこっち来いや」

ア「ウ、ウリバタケさん!?
  そっちは、誰も来ない裏ですよ。
  何でそんな所に……って、何で冷静に解説してるんだ俺はっ!?」

ウ「野郎ども、行くぞ」

整備班「おおおおおぉぉっ!!!」

ユ「この場合のBGMは、ドナドナかな」

ア「そんなこと言ってないで助けてくれぇぇっ!!!」

ユ「あっ、ミナトさんから制服を返してもらわないと……ずっとメイド服のままだと、仕事できないからな」

ア「薄情者ぉぉぉぉぉぉっ!!!」

ズルズルと引きずれられて行くアキト。

ユ「合掌」

ア「するなっ!!!」










おまけの2


ユリカ(以降“ユリ”)「ルリちゃん達、何を見てるの?」

ルリ(以降“ル”)「いえ、別に……」

ラピス(以降“ラ”)「そうそう、何でも無いよ」

パール(以降“パ”)「見ても面白くないと思う」

ユリ「それは、私が決める事だよ。
   ……っと言う訳で……えいっ」

ル「かっ、艦長!?」

後ろからルリに抱きつくユリカ。

ユリ「どれどれ……こっ、これは!?」

そこには、メイド服姿で戦うユラと影法師の映像が多数保存されていた。

ユリ「かっわいい〜〜、これユラ君でしょう。
   あれ、でも何でこっちのは胸があるの?」

*(ユリカ達が、ブリッジに来るまでユラは待っていたので、メイド服の事は知っている。
  しかし、皆が集まったらすぐに出て行ってしまったので、じっくりと見ていない)

ラ「それは……(説明中)……っと言うこと」

ユリ「そんな事が出来るんだ」

パ「ユリカさん、この事はユラにはナイショにしておいて……」

ユリ「いいよ。
   ……でも、その代わり、今度はアキトのを撮っておいてくれる?」

ラ「ん〜いいけど……具体的にどういうのがいいの?」

ユリ「アキトのだったら何でもいいの。
   あっ、でもプライベートに引っかかるのは駄目だよ」

パ「わかったわ。
  ユリカさん、楽しみにしていてね」

ユリ「うん♪
   今から楽しみ〜〜」


ル「(私は、ユラさんの事を調べるため、資料として保存したんですが……みなさんは、違う目的のようです。
  ……でも、私も当初の目的とズレてきている様な気がします。
  果たして、これでいいのでしょうか?)」










第五話に続く










楽屋裏劇場



以降は

二式(クイック二式) ユ(ユラ) ラ(ラピス) パ(パール) エル(エメラルド)





二式「ふうっ、書き終わった……」

ユ「くたばれっ、この変態っ!!」

二式「………あいたたた……コラっ、いきなり銃で撃つなっ!!
   ああっ、身体が穴だらけに……」

ユ「何故、生きている?」

二式「作者は不死身……これは、SS界の鉄則だ」

ラ・パ・エル「ナイナイ……」

二式「鋭い、ツッコミ……ありがとう」

ユ「そんなのはどうでもいいっ!!
  何で、俺がメイド服を着ないといけないんだっ!!」

二式「皆様に、喜んで貰おうと……」

ユ「そんな奴、いるかっ!!!」

二式「いっ、嫌だって……ほらっ」

ラ「凄く良かったよぉ〜」

パ「“最高”……このために在る言葉だわ」

エル「生で見たかった……」

二式「……な」

ユ「おっ、おまえらぁ〜(泣)」

二式「隅で泣いている奴はホッて置いて……先に進もう」

ラ「フッフッフ……パール、あなたの巨乳計画は脆くも崩れ去ったよっ!!!」

パ「なっ、何ですってっ!?」

エル「今回の話で、パールはルリのクローンだと判明したよね。
   ……っと言う事は、パールは“劇場版のルリ”位までしか成長しないよぉ〜」

パ「フッ、甘いわね。
  環境で身体の成長は変わるわっ……その証拠に、この胸はルリを越えている。
  さらに、恋は成長率を大きく変えるのよっ!!
  だから……貴方たちの理論は間違いよ」

ラ「確かに……クっ、せっかく勝てると思ったのに……
  少なくとも私は未来で、“劇場版のルリ”より大きいし……」

エル「……っと言う事は、ラピスをベースにした私も同じ様に、“劇場版のルリ”に勝ってることになるのかな?」

パ「遺伝の云々より、生活環境よ……どうしたの、二式?
  ガタガタと震えちゃって……」

二式「おっ、おまえら……何て会話を……」

ラ「だから、どうしたの?」

二式「……ルリちゃんが来るぞ」

エル「ルリって……まだ、こう言うのを気にしないと思うけど?」

二式「こっちのルリちゃんじゃないっ!!
   このサイトの管理人、黒い鳩氏のルリちゃん……ルーミィちゃんのことだっ!!」

ラ・パ・エル「「「あっ!?」」」

二式「彼女なら次元の壁を越えてでも……〔ピシッ〕……」

二式・ラ・パ・エル「「「「ピシッって何っ!?」」」」

〔ピシッ……ピシッ……〕

二式・ラ・パ・エル「「「「ヒビが大きくなってきているぅぅぅっ!!!」」」」

ユ「因果応保だな……あきらめろ」

二式「何時の間にやら、復活しているし……」

エル「どっ、どうしてそんなに冷静なの〜〜っ!?」

ユ「俺は彼女に対して、悪い事してないし……」

パ「甘いわね……ユラ」

ユ「ハァッ!?」

ラ「今回の話で、アキトの事……誘惑したじゃん」

ユ「……って、あれは偶然だし……それに影法師だぞっ!?」

二式「ちなみに、ユラの女バージョンは……上から、88・56・85だぞ」

ユ「んっな事は聞いておらんっ!!」

パ「ユラ……アキト至上主義の彼女に、そんな言い訳を聞くと思うの?」

ユ「…………ラピス、パール、エル……俺に掴まれっ!!」

ラ・パ・エル「「「了解っ!!」」」

ユ「……よしっ……第四チャクラまで開放……疾風

二式「俺を置いていくなぁぁぁぁっ!!!
   ……行っちゃったよ……」

〔ペタッ……ペタッ……〕

二式「背後から足音がっ!!!
   しかも、何処かのゲームにあったような展開だしっ!!!」

〔ペタッ……ペタッ……ガシッ〕

二式「ヒイッッ!!
   とりあえず……逃げ場ナシのBADENDの予感……振り向かないとダメ?」

〔コクリ〕

二式「……では、いざっ……ぎゃああああっっ!!!……オヤシ○様、ひぐ○しモードかな?……かな?
   ヤヴァい……にっ、にげっ……NOぉぉぉぉぉっ!!!」










あとがき





皆さん、クイック二式です。

え〜っと、今回はいかがでしたか?

笑って頂けたましたか?

これで、残っていた作品のストックはお終いです。

ですので、更新ペースは落ちます。

なんとか、早く書けるように頑張るので、これからもよろしくお願いします。



ちょっと、設定を……

影法師の設定は、初期の段階で決まっていたのでここで使いました。

これから、さらに影法師がパワーアップしていくので期待してください。

ユラの女装は、お約束という事で……

また、彼はウリバタケコレクションを着せられていく予定です。



最後に、黒い鳩さんへ……

投稿規程に、どんどんやってくださいっとあったので、楽屋裏に使わせて貰いました。



今回も、私の作品を読んで貰い、ありがとうございます。

これからも、よろしくお願いします。

それでは、またの機会に……







感想

久々ですね、こんなに撃ち倒したの も…

何発くらい撃ってきたんですか…(汗)

とりあえず、ファーストからラストまでとレインボー含めて4発、泣き叫ぶ無礼者共に再装填してもう4発ほど。

生きてる人…いた?

ユラさんが泡を吹いてましたけどか ろうじて、一応女性陣は元から少し手加減してあげてます、白目むいてましたけど問題ないでしょう。

クイック二式さんは…?

え? 作者の人は不死身なんでしょう?

ははは…(んなわけないって! 耐久力はあるけど) 

勘違いしてもらっては困りますね、彼は禁句を言ってるんですよ。

確かに…(汗) クイック二式さん成仏してください…じゃあ、感想の方…

ユラさんメイドになってどきどき女の子体験の巻きで終わりでは?

きっつ…(汗) いや、内容についてなんだけど…

アキトさんを誘惑するホモ男の事なんて知りません!!

あううう…

押して頂けると作者の励みになりますm(__)m

クイック二式さんへの感想はこ ちらの方に。



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