ライは夢を見ていた。


そこは、日本の和風の家の何処かの部屋。

ライの親友であるスザク。

そして、もう一人、スザクの父親らしき人物が言い争っていた。


父親は無謀な徹底抗戦による国民総玉砕をと叫ぶ、
スザクは止めるように叫ぶが、突き飛ばされる。

そして、咄嗟に刃物を手にして父親をに突き刺した。

そんな風に驚いていると、景色が変わる。



その景色は無残にもボロボロになった町並み。


ボロボロになった町、海辺の前で二人の子供が立っている。









一人は先程でてきたスザク・・・、
そして、もう一人はライのもう一人の親友ルルーシュの幼い姿がある



日本が敗北して、エリア11になった時の出来事だろうとライは予測した。







ライはルルーシュの一言に驚愕した。



『僕は・・・』


『!』


『スザク・・・僕はブリタニアをぶっ壊す』






ルルーシュが己の道を決めた瞬間だった。



ライは驚いていた。かつて自分が戦場に出ようとした時と変わらない年で親友も己の道を決めた事に。






ライはこの光景を夢で見て、苦しんだと同時に理解した。



なぜあの二人と仲が良かったのかと、なぜあの二人と気が合うのかを。



「似ていたんだな僕達は、こんな小さなころから・・・・・」



スザクがなぜ名誉ブリタニア人に志願した理由を今になって理解した。
そして、なぜ自らの身を危険に晒そうとし理由を。



ライがそう感じている中、景色は変わる。

ゼロが遺跡に手を触れようとしていたが、スザクが銃を撃ちゼロの行動を止める。

「こちらを向け。ゆっくりと」



「(ええい!こんな時に…!)」



「聞えなかったのか、ゼロ。こちらを向くんだ。ゆっくりと」


スザクは冷たい視線で命令する。


ゼロはこの状況を打開するためにユーフェミアの行動を口にする。


「ユーフェミアは罪なき日本人を一方的に殺した。君はそんな女を」


「便利な力だな、ギアスとは」


「(ッ!)」

思い掛けない返しに驚愕するゼロ。

「自らは影に隠れ、責任はすべて他者になすり付ける。傲慢にして卑劣。それがお前の本質だ。…カレン」

咄嗟にその名前に反応したゼロとライ。


スザクの後ろにはその名前の主がいた。

「君もゼロの正体を知りたくはないか」

ゼロを追ったスザクに追って隠れていたカレンが姿を現したが。

「何を今更」


「君にも立ち会う権利がある」

「ッ!待て!」

カレンの声を無視して銃を撃つスザク。


そして、器用にもゼロの仮面を割り、そこに映っていたのはクラスメイトであり、
同じ生徒会の仲間の顔があった。


「……」



「なんで?!どうして?!」


無言になるルルーシュと違い錯乱するカレン。



「……信じたくは、なかったよ」


最初は悲しい表情をしたスザクだがすぐに睨むような表情でルルーシュを見据える。

「ル、ルルーシュが…」


「そうだ。俺がゼロだ。黒の騎士団を率いて、神聖ブリタニア帝国に挑み、
そして、世界を手に入れる男だ」


「…あなたは()や私たち日本人を利用していたの?私のこともっ…」



「結果的に日本は解放される。文句はないだろう」




カレンが必死の問いかけに冷酷に答えるルルーシュの言葉に涙を流すカレン。


「はやく、君を逮捕すべきだったよ」



「気づいていたのか」




「確信はなかった。だから否定し続けてきた。君を信じたかったから。
だけど君は嘘をついたね。僕とユフィに。ナナリーに・・・そして()に」

「・・・ああ。そのナナリーがさらわれた」



「え?」

ルルーシュにとって全てのナナリー。
そのナナリーを助けるためにスザクに協力を要請する。

「スザク、一時休戦といかないか?ナナリーを救うために、力を貸してほしい。
俺とおまえ、二人いればできないことなんて!」


第三者が見えれば身勝手なねがいだが、ライにはルルーシュの気持ちが理解できていた。
自分も母と妹のために王になり、敵国を蹂躙して領土を拡大した。
母と妹と幸せに暮らすために身勝手な行動をした自分とルルーシュの行動が重なって見える。


「甘えるなっ」

そう叫び、ルルーシュに銃をむけるスザク。

「その前に手を組むべきは、ユフィだった。君とユフィが力を合わせれば世界を」





「すべては過去。終ったことだ」

なりふり構っていられないルルーシュが口にした言葉にスザクは驚愕する。

「過去!?」

「お前も父親を殺しているだろう。懺悔など、あとでいくらでもできる!」

「いいや。君には無理だ!」


もはや、親友は信じるに値しないと確信して銃を両手でルルーシュに向ける。



「何?」

だが、その表情も、その手も憤りで震えている。



「君は、最後の最後に世界を裏切り、世界に裏切られた!君の願いは叶えてはいけない!」


「バカめ!理想だけで世界が動くものか!さあ、撃てるものなら撃ってみろ!流体サクラダイトをな」





胸にサクラダイト爆弾をつける。


「俺の心臓が止まったら爆発する。お前達もお終いだ」


「きっさまぁッ!」



「それより取引だ。お前にギアスを教えたのは誰だ?そいつとナナリーは!」



「ここから先のことは、お前には関係ない!お前の存在が間違っていたんだ!
お前は世界から弾き出されたんだ!ナナリーは俺が!」


ルルーシュを全否定するスザク。
そして二人は銃を構える。


(やめろ。やめてくれ!!)


「スザクッ!!」
「ルルーシューーー!!!!」


ライの叫びは届かず銃声が意識を支配した。









『・・・イ・・・・ライ』





だが、誰かに呼ばれて意識が現実に戻り目が覚める。




「・・・シャル?」


シャルは心配してたのかライが起きた事により安堵の表情をして。


「よかった。ライ、何か嫌な夢でも見てたの?」


「夢?」



「うん、だって凄い唸されてたし」



(さっきのはルルーシュとスザクの子供のころの過去だ・・・、
なぜ僕があんな夢を? それに僕が眠りに付いたときの出来事 ・・・)


「ライ?」


ライが考えに耽っているとシャルは心配そうな声で呼びかける。



「ごめん、へんな夢を見たんだ。それで少しうなされたみたいだ」


「水飲む?」



「うん、お願いしてもいいかな?」

「うん、待ってて」


シャルは水を取りいく。





(なんで、あんな夢を? まさかCの世界が関係してるのか?
確かにあの時、僕達は三人ともCの世界にいたけど、なぜ今更?
それとも、僕はあそこに戻りたいのか?)



ライは以前の世界からあった写真の束を思い出した。


アッシュフォード学園に仮入学してた時の自分達が写っていた写真、
そして、ルルーシュの補佐をする為に正式にアッシュフォード学園に入学した時、
ラウンズであるジノとアーニャも写っていた写真を思い出す。


そして、あの二人が上辺だけの仲良しごっこをしているのを見ていた自分が苦しんでいた事を思い出した。






(あの時、ギアスの恐怖に負けて、眠りにつかなかったら、違う未来があったのかもしれないな。いや、所詮それはIFのはなし。考えても仕方ないか・・・)



ライが思考を終えたと同時にシャルは水をライに渡した。

「はい、お水」

「ありがとう」


ライはコップを受け取り飲み始める。

シャルは水を飲むライを心配な表情でみる。


成績優秀、運動神経抜群、容姿は見ての通り美形、
絵に描いたような人物をみて、シャルは思う。

(もうすこし、頼って欲しいな)


ライは困っている生徒や教師を見ると直ぐに手を貸す、
だれかに頼まれれば顔色を変えず手伝う。

くわえて、授業では教師達が舌を巻くほどの思考レベルで問題を解いたりしている。


そんなライが困っているところを見た事無いシャルはライの事を心配する。





あらゆる能力に優れている為、何か困った事があったら自力で解決できてしまうライは、
他人と関わりたくない人物にとって楽な相手だが、自分やお節介をやく一夏達にしてみれば始末に悪い。

もし、ライが何かに悩んで困っている事に気付いても、すでに解決しているビジョンしかシャルは思いつかない。




水を飲み終えたライをシャルは抱き寄せた。

「シャ、シャル!?」


「ごめんね・・・、僕はこんな事しか出来ないけど困った事があったら相談してほしい」


「シャル・・・ありがとう」


ライが微笑んで礼をいうと、シャルの頬が赤くなった。


「親友の夢を見たんだ」



「親友ってあの写真の男の子達?」


昨日ライは写真でルルーシュ達のことを紹介した。



写真に写っている生徒会メンバーはライにとって大事な人達だと、
困っていたライに手を差し伸べた人達。


その中で特に仲が良かったのが黒髪の少年ルルーシュとその妹のナナリー、
そして二人の親友のスザクだとシャルに教えた。


ルルーシュでは知でスザクは武では敵わないと誇らしげに言うライが強くシャルの記憶に残っていた。



「知らないはずなのに、その二人が自分達の歩む道を決めた瞬間の夢を見たんだ」


悲しい表情で言うライ。



「二人の未来を知っているから苦しかった」



お互い銃を向け合う、そして、敗北した一人の親友は、その親友に出世の為に売られた。


二人の間には消えない溝が出来た。

二度目の学園に通った時の二人の関係はライにとって苦い光景。



「そうなんだ」


「でも、最後あの二人が手を取り合ってくれたことが嬉しかった」


最後のゼロレクイエムで三人で力を合わせた。三人が手を取り合ったときには大切なものを沢山失っていた。

それでも、明日を迎える為に手を取り合った。



(僕の覚悟に答えてくれた。最後に二人は親友に裏切られたという演技をさせてしまったのは心苦しかったけど、
それでも二人は・・・・)



「聞いてくれてありがとうシャル。お陰で楽になったよ」


「ううん、僕はこれしか出来ないから」



「そんな事ないよ、お陰でぼくは楽になった」


ライは微笑んで時計を見ると、6時11分、二度寝するには危ない時間、
しかし、部活の朝練などをやっていない学生にとっては起きるには早すぎる時間にライ。


「僕は少し早朝の散歩するけど、シャルはどうする?」


「僕も行くよ」



その後、二人で構内を散歩、部屋に戻って交互にシャワーを浴びて、
二人で朝食を作って食べた。


その後、教室に向う途中で一夏と合流したライ達は。

「そ、それは本当ですの!?」

「う、ウソついてないでしょうね!?」



「なんだ?」

「なんだろ?」



「本当だってば! この噂、学園中で持ちきりなのよ? 月末の学年別トーナメントで優勝したら織斑君やランペルージ君と交際でき――」

「俺達がどうしたって?」

「「きゃああっ!?」」



一夏がコソコソと話している女子生徒に話しかけたら女子生徒達は驚いた。





その中で、一番動揺していたのは鈴とセシリアはこの場をごまかすように教室に向った。


「なんだろう?」



「いや、俺もわかんねえ」


「それより、教室に行こう♪」


「シャルルの奴、なにか上機嫌だな」


一夏は不思議に思いライ達と共に教室向った。




授業が終わり、ライはアリーナに向う途中、大量の資料を運ぼうとした千冬に手を貸した。


「すまないな」


「構いませんよ。それより、そういう力仕事があるなら僕に言えば運びますから遠慮はしないでください」


「ふぅ・・・わかった。今度何か運ぶ時はお前を頼りなせて貰おう、この女誑し」


最後のほうはボソッと小声で言う千冬に。


「へ、すいません、最後のほうは聞こえなかったんですけど?」



「これからもこき使うから覚悟しろといった」



「それじゃあ、覚悟しておきますよ」



苦笑しながら部屋に出るライに千冬は。


「いつか刺されるぞ?」



―――と、つぶやいたのは本人以外知らない。











ライが、アリーナに向う途中騒ぎ起きていた。



ライは何事かとおもっていってみたら、鈴とセシリアがラウラと戦闘をしていた。



「あ、ライ!」


シャルも騒ぎを聞きつけてきたようだ。



戦いは鈴とセシリアが圧されていた。二人の動きが途中で止まる。



「AIC!」


「ライも知ってたの?」


「まあ、理解できない情報網をもつ知り合いがいるからね。
それより、これ以上は見ていられないな。シャルは先生達に連絡を入れて」



「う、うん」


ライはそう言って、デュランダルを展開して三人の間に入った。



「ライ!?」


「ライさん!?」



「やっときたか、こいつらでは退屈しのぎにすらならなかったからな」





「僕なら楽しめると?」



「ああ、少なくともこいつらよりはやるだろう?」



ライがいくら強くても、自身のAICをもってすれば敵ではないと思うラウラをよそにライはラウラに質問をした。


「一つ聞くけど、君は覚悟はあるのかい?」



「覚悟?」



「撃たれる覚悟さ」



「何を世迷言を。最初からそんな弱腰で武器を持つわけないだろ」



ライはため息をつき、親友が以前言った言葉を口にした。



「撃っていいのは、 撃たれる覚悟のあるやつだけだ!」



その言葉を発した瞬間ラウラは恐怖を覚えた。


感じたこと無い恐怖がラウラを襲った。



ライは王だったころの自分の覇気を発した、もっともかなり抑えられているが。



(な・・・っんだ、私が恐怖をかんじてる・・・だと!?)



ラウラの頬には冷や汗が落ちる。



(そんなはずはない!!)

ラウラは6本のワイヤーブレードをライにめがけて飛ばす。


ライはそれを難なく回避。


「チッ!!」


ワイヤーブレードは掠りもせず、ライを追いかけ捕まえたと思ったらすり抜けるような感じで回避される。



「なぜ当たらない!?」



「簡単だよ、君はそれを操作して僕を捕らえてるつもりのようだけど、
実際には僕が君の攻撃を誘ってるだけだ。だからそのワイヤーの軌道が手に取るようにわかる」




「ふざけるな!!」





ラウラはレールカノンをライに向けて放つが、ライは避け右腕のスラッシュハーケンをラウラに飛ばした。



「そんな物!!」


ラウラは避けようとするが


「甘いよ! この手の武器はこんな方法で当てる事も可能だ」


そして、左腕のスラッシュハーケンを飛ばした、ただしブースターを使う
加えて狙いはラウラではなく、最初に自分が放ったハーケン。


ブースターを使った二度目のハーケンが最初のハーケンに掠り軌道がずれ
ラウラが回避した場所に向かい、ラウラは直撃をうけてしまう。



「何!?」



「捕まえたよ」


ライはすでにヴァリスを手にしていた。その時




「そこまでだ」



「!」


「・・・・」


途中で千冬が二人の戦いを静止した。ラウラはそれに驚いたが、
ライはシャルに頼んで教師を呼んでもらったことから全く驚いていない。



「全く、決着をつけたかったら学年別トーナメントでやってもらおう。それから、トーナメントまでは私闘は一切禁止だ。ラウラ、いいな?」


「教官がそう、仰るのなら」



千冬はそう言うとラウラがそれに従う言葉を言う。


「ランペルージは?」



「僕も構いませんよ。ただ・・・」



「ただ?」


「学年別トーナメントっていつでしたっけ?」


その場にいた皆がずっこけた。



「山田先生の話を聞いていなかったのか?」



「消しゴムを落として、それを拾った時には日にちの部分だけ言った後でした」


「はぁ〜」


千冬はため息をついて、トーナメントが開始する日を教えた。


その光景を見ていたもう一人の男子、織斑一夏はただライの戦闘に見惚れていた。


短い戦いだったが、ライが最初のハーケンをもう一つのハーケンで軌道をずらし、
ラウラを捕まえた技量に。

(目の前の行動だけじゃなく、先の行動をまで考える頭脳。俺にないものだな・・・、
でも・・・俺もライみたいになりたい)



一人の男の背中を追いかけ、追い越したいと初めておもった一夏だった。


しかし、一夏はしらない。ライがそれほどの力を身に付けるために行った努力を、
そして、その覚悟を、それらを背負った時のライの年齢を。


母と妹を守る為に皇帝に即位すると決めた時の国を、その国に住んでる国民の命を背負ってた時の覚悟を。


一夏が知るのはこれからもう少し後の事。
















あの後直ぐに、鈴とセシリアは保健室に運ばれた。


その間に、ライは千冬と話していた。



「ボーデヴィッヒってどんな子なんですか?」



「以前、軍で教官をしてた時になつかれてな。
それにしても珍しいな、お前が個人の生徒を知りたいなんて? いや初めてか。
惚れたのか?」



少し機嫌が悪気味にいう千冬にライは苦笑して答えた。



「違いますよ。 あの子は以前記憶を失った時の僕と似てますから」


「記憶? お前は記憶を失った事があったのか?」



「ええ、その時はお世話になった人達に迷惑をかけないために壁を作ってたんですよ。
もし、記憶が戻った僕が彼等に害を及ぶしたらとおもうとって感じで中々彼等に心を開こうとしなかったんですよ」



「そ、そうか」







「それに・・・」



「それに?」



「織斑先生やボーデヴィッヒみたいな子が笑顔になったら可愛いと思いますし」


千冬はそう答えたライにすぐさま近づき、ライの両頬を引っ張り出した。


「いひゃいへふ。ひゃひふるんへぇんは?」(痛いです。何するんですか?)


千冬は両頬を引っ張られ涙目になるライを可愛いと口出すのを堪えて。


「いいか、他の奴にそんな事を言うなよ?」


「ひゃ、ひゃんへへふか?」(な、なんでですか?)



「いいか、いうなよ?」



「ひゃ、ひゃい、ひゃはひひゃひは」(は、はい、わかりました)



(全く、少しは自分の容姿と言葉を自覚しろ)


「う〜〜、痛い」



他の女子生徒がいたら鼻血をだして気絶するような可愛いらしい表情をするライ。


「そんなに痛かったのか?(それにしても、やらわかかった)」


「織斑先生の指が柔らかくても、あんなに強く引っ張ったら痛いですよ!
―――いひゃい、いひゃい!! ひゃんへひゃは!?」(痛い、痛い!! 何でまた!?)




「それも禁止だ。早く行け」



「ひゃ〜い」


ライは涙目になりながら部屋に出ようとしたが。


「ランペルージ」


「なんです?」


「そ、その、二人っきりの時は千冬と呼べ・・・」


「ふぇ?」


「お、お前は色々と優秀だから、対等の立場ということだ」



「それじゃあ、僕のこともライでいいですよ」


「わ、わかった」



「それじゃ、僕はこれで千冬さん」



「ああ」



ライが部屋から出て行った後。


「全く、自覚が無いのが性質が悪い」



最初はライの笑顔にドキリとさせられた時は多少焦った千冬だが、
最近、ライに視線を向けるごとにライに惹かれている自分に驚いたが、
ライを観察していると自分自身の気持ちに納得していくことに気付いた。

綺麗な銀髪、心が透き通るような碧眼、誰もが惹かれる整った顔立ち、
そして、目が離せなくなるような立ち振る舞い。


それらに眼がいく自分の気持ちに納得していく。


自分の気持ちを伝えたい衝動を抑えながら教師と生徒の関係を保っていたが






最近のシャルとライが異常に仲がいいのを気にしていた、特に今朝、
二人が仲良く散歩していたのを目撃しては少なからずショックを受けた。


その事については本人は自覚は無いが、それに加えてライはラウラに気にかけていた。



その為、千冬は危機感を感じてあんな事をしたことに自分で驚いていた。


教師と生徒の関係に亀裂を入れるような行動に後悔がない自分に少しホッとする。
けど、ライ自身特に千冬の気持ちに気付いている様子はなかったことにショックを受けるべきか悩んだが。



「しかし・・・・、あの時のライから出ていた気配は・・・」




千冬はあの時、背筋に冷たいものが流れるのを感じていた。

普段の優しい表情ライではなく、戦闘のときの敵を見つめる目でもなく、
先程の誰にも見せなかったかわいらしい表情のどれでもないライの表情。


「ただの威圧感じゃない」

自分に向けられた言葉ではないのに、思わず片膝をついて従ってしまいそうになる重圧。



自身に向けられて無いのにその威圧感に気付いていたのは千冬の他にもう二人の生徒がいた。










ライは保健室に向かい、鈴達の様子を見に行った。



「二人とも大丈夫?」



「あのまま逆転するつもりでしてわ」



「・・・・・助けてくれてありがとう」






「セシリアも鈴みたいに礼をいうのが普通じゃないのか?」

「ちょ、鈴さん!?」


と、一夏が言うとセシリアはなにかショックを受けていた。



鈴は最近になってライにアドバイスを貰っている。そのためか少しずつだが、ライに惹かれている自分に気付い。




今回はそのお陰でセシリアよりダメージが少なかった。


そして、一夏と違って素直な気持ちを伝えられる相手。





セシリアに関してはライバルが減るチャンスだが、セシリアに対する一夏の株が若干低くなったことにショックを受ける。





「まあ、大怪我が無かっただけマシかな」


と、考えていたら、廊下かから大量の足音が聞こえてきて。



「織斑君」


「ランペルージ君」


「デュノア君」




沢山の生徒が一夏達に。


『これ』


女子生徒一同が見せたのは、学内の緊急告知文が書かれた申込書だった。


そこにはこう書かれていた

『今月開催する学年別トーナメントでは、より実践的な模擬戦闘を行うため、二人組での参加を必須とする。なお、ペアが出来なかった者には抽選により選ばれた生徒同士で組むものとする』




「私と組んでランペルージ君」


「織斑君」



「デュノア君」



その頼みごとに一夏とシャルは戸惑っていたがライは。



「ごめん、僕はシャルと組むから」



「「「「がーーーーん!?」」」」



半分以上の生徒が落胆して膝をついた。







「え、ラ、ライ!?」



「でも、織斑君が残ってる・・・・」



その言葉で、膝をついた女子生徒と他の女子生徒が獲物を狙う猛獣の如く一夏に視線を向ける。




「ちょ、ちょっと・・・」



「一夏は箒と組んでたよね?」


「へ!?」


ライの咄嗟の言葉に直ぐに反応できなかったが、直ぐに意味を理解して



「そ、そう。悪いな俺はもう箒と組んでるから」



それを聞いて、絶望しながら部屋を出た。


鈴は複雑そうな表情でライと一夏をみて、セシリアは自分が組む言い始めた。

ライとシャルはそのまま保健室を出て行った。




「ごめんねシャル」


「へ?」


「さっきの事、勝手に決めてさ」



「ううん、僕の方こそありがとうだよライ」



笑顔でライにいうシャル。二人はそのまま寮に戻っていった。
























ある孤島の研究所。




「亡命機関からの仕事の依頼よ」

リーダーらしき女性が言う。


「何の仕事?」



めんどくさそうに答える十代後半の少年。


「IS学園に侵入して、男子生徒をさらって来いってさ」


リーダーらしき女性の隣の少女が楽しそうな笑みで答える。




「IS学園って学生でしょう? 侵入しても面白くないじゃん? 
ISに乗れるだけで私達みたいに聖痕(スティグマ)があるわけじゃないし」


面白く無そうな表情をする少女。


「お前らはまだマシだろ? この世界に来てから俺達は暇に殺されそうだ」


愚痴をはく少年。



「そうでもないよ、この映像を見てみな」



リーダーの隣にいた少女が映像をみせた。


その映像にはライと山田先生の模擬戦が映ってた。



「これは?」


「IS学園が政府に提出した映像よ」



「へぇ、この世界にもマシな奴もいるんだな」

ライの強さに興味を持ち始める。


「でも、俺達二人には関係ないだろ?」


「お前達二人にはな」


「こいつを攫って来いって?」


「いや、最初は織斑一夏だけだが」


「そいつの戦闘の映像も見たけど、スジはよさそうだけど全然駄目じゃん。
まだこいつと戦ったほうが楽しそうだぜ?」




「そう思ったから、この映像を見せた」


「ってことは?」


「こいつも対象になった」


「面白そうね」





「羨ましい〜、早く他の世界に行きたいぜ」



「何時進入するの?」



「亡命機関の連中がドイツにVTシステムを流したそうだ」



「それが発動して混乱してる隙にって事ね」


「んで、俺達はセキュリティの妨害って訳ね」



「そういうことだ。亡命機関(やつら)に大きなを貸しをつくるいい機会だから」




「それより、異世界の干渉は?」



「昨晩試したがまだ時間がかかる。だが時間の問題だ」


「そうですか〜、早く行きたいよ俺は」

「同感」


「楽しみね〜」

五人は様々な感情をしながら、ライの映像をみて微笑んだ。


肉食獣がまるで久々の獲物を捕らえるように。
















かつてライが生まれた世界。







「スザクはそのまま右辺にむかい、敵を制圧しろ。カレンは左辺だ」


「了解!」

「わかった」

ルルーシュは蜃気楼に騎乗して、スザクとカレンに指示を出していた。






「我々がライ様がの意志を継ぎ、この偽りの世界を変える者だ。
貴様らはライ陛下の寵愛を受けておきながら、それに答える事の出来なかったら屑共が!!」



「我々は狂王陛下の意思を継ぐものだ、貴様らなんかに負けるわけには行かない」



「アンタ達がライを騙るな!!」



カレンは紅蓮聖天八極式にスザクはランスロット・アルビオンに騎乗して、
ライの意志を継ぐと騙るテロリストを排除していた。


テロリスト達の機体はサザーランド8騎とグラスゴー12騎だが、
第九世代のナイトメアの前には為す術もなく破壊されていく。





テロリストを一箇所に集めたルルーシュは。

「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる、我が奴隷になれ」



『イエス、ユア・マジェスティ』



「質問だ、ライの遺体に関しては何か手がかりは持っていないか?」


「いえ、我々も捜索していますが一向に噂すらも見つかりません」



「此処も駄目か、もういい、斑鳩に行くぞ」



『はい』



カレンや他の騎士団幹部はライ達の目指した世界に気付き彼等と一緒に世界の為に協力している。


ギアスにはいまだ抵抗があった黒の騎士団達だが、
ライを信仰するテロリストなどを止めるために目をつぶっている状態だ。





ルルーシュとスザクはカレンと別行動をとりナナリーの元に向った。




「おかえりなさい。お兄様、スザクさん」



「ああ、ただいまナナリー――C.C.!?」



「遅いぞ」



「来ていたのかい?」


「ああ、お前達にいやな知らせだ」



「お前が持ってくる情報でいい知らせはあったか?」




C.C.の言葉にルルーシュは呆れた表情で言う。

「随分と突っかかるな。ライの遺体の情報が全くないからストレスでもたまっているのか?」


「黙れ。それでなんだ?」



「Cの世界に接触しようとしてる人間がいる」



「何!?」


「誰なんだい?」



「今はそこまでわからん。だが接触したのは確かだ」



三人はC.C.の言葉に息を呑んだ。


ナナリーはライと最後の会話の時、三人の目指そうとした理由などを無意識にライの記憶を覗いた為、
ルルーシュ達と同様、深刻な問題だとわかっていた。




「お母様達と、同じ目的で接触したのでしょうか?」


「それもわからん。だが、Cの世界は何らかの反応を示した。


「何時だ」


「昨晩あたりに反応があった」


「「「!!」」」



「どうした? 三人とも驚いた顔をして?」



「俺は今朝、ライの過去を夢で見た」


「ルルーシュもか?」


「私もみました」

「偶然ではないな。これから遺跡にも気を配るしかないか」




「そうだね」



これから、遺跡にも気を配ることにしたルルーシュ達。


このCの世界に接触した人物のおかげで彼等は親友のライと再会するのはすこし先の未来。



押して頂けると作者の励みになりますm(__)m


<<前話 目次 次話>>

作品を投稿する感想掲示板トップページに戻る

Copyright(c)2004 SILUFENIA All rights reserved.