不知火、蜃気楼そしてランスロットが元ブリタニア軍と戦っていた。



『やはり、守りが硬い。さすがはブリタニアの国境を守る守備軍』



敵の数の多さに攻めきれないスザクが口にする。


『なら、連携の要を落とす』


ライはそう口にして不知火の射撃で的確に連携の要を落として、
敵の連携を崩した。


『今だ、スザク! 突破口を開け!!」


『イエス、ユア・マジェスティ!!』


スザクは返事をして、ハドロンブラスターで突破口を開く。


焦って手薄になった所に向かう機体に蜃気楼の拡散構造相転移砲で敵部隊をさらに減らした。











それをみていた、元ブリタニア兵の指揮をとっていた貴族は驚愕する。



「馬鹿な!? たった三機でブリタニア最高の防衛線を突破したというのか!?」




たった三機にブリタニアの国境を守っていた精鋭部隊を突破されたことに驚愕する貴族がいる司令塔に
不知火はヴァリスを最大出力にして射し抜いた。




「これで、一番厄介な大公爵は消えたな」


ライはそう口にして残り部隊を自ら殲滅した。



その姿は狂王と呼ぶにふさわしいほど容赦がなかった。


その姿を見ていた一夏達はどうしようもなく止めたい気持ちだったが何もできず、
ただ見ていることしかできなかった。
その中で、ラウラは複雑な気持ちでライの戦いを見ていた。



かつて自分が目指した圧倒的な強さが目の前で映し出されていたのだから。






ライはそうやって、反乱を起こしている元貴族を殲滅していって二ヶ月が経った。






ルルーシュ達と今後の話をしている中、元ナイトオブラウンズが直属の部隊を引き連れてやってきた。


「迎撃は私一人で十分だ。新型の試運転もかねてな」


ライはにやりと笑みを浮かべ、知らせを受けた部下に伝えると。


「陛下、ナイトオブワンは自分にやらせてください」


スザクがライに頼み込んだ。


「いいだろう、露払いはしてやる。思う存分戦うがいい」


「ありがとうごいざいます」


「ビスマルクを倒し、最強のラウンズであることを示して来い」



「イエス、ユア・マジェスティ!!」

スザクはライと共に迎撃に出た。






「我らはシャルル陛下に忠誠を誓った存在」

「王位の簒奪など認められぬ」



ラウンズであるビスマルクとドロテアがそう口にしたとき、
ライの新型が姿を現した。



それはライの不知火のデータをもとに、ロイドとセシルが制作した新型KMFタルタロス。


不知火は従来のナイトメアと違った為と制作期間が短かった為にタルタロスは
ランスロット・アルビオンより出力が若干低かったが、
運動性能とセンサー類、そして射撃能力は上だった。



その為、ドロテアの機体が警告音を出す前に破壊された。


「何!?」


そして直ぐに上空に飛翔し、エナジーウィングのウイング部から無数の刃状粒子で次々とラウンズの直属部隊を殲滅した。その後、直ぐに高速で飛翔してラウンズを翻弄した。


「速い!!」


モニカがタルタロスの機動性に驚愕している突然タルタロスが目の前に止まった。



「くっ」

嘗められているとモニカは思って、直ぐに武器を取り出そうとしたが、
機体は反応しなかった。


「どういう!!」


直ぐに機体の状況をモニターで見たら、
既に自分のナイトメアの四肢は破壊されていた。


「これが第9世代ナイトメアフレームの――」


モニカは何か言い終える前にタルタロスのMVSでコックピットごと串刺しなされた。




『正気に戻れ! ライ!!』



『正気? 私は正気だぞジノ・ヴァインベルグ。
貴様がブリタニアに忠誠を誓うなら我が下に来るべきだ』



  
『ブリタニアに…何!?』

タルタロスは双剣でトリスタンの両腕を切断していた。

『最も私からラウンズの称号を得るには些か力不足だな下郎』


ライはそう言って、トリスタンを足蹴りにして地面に叩き落とした。



ギャラハットは大剣を握りタルタロスに襲いかかるが、
ランスロット・アルビンが間に入る。



『枢木!』


『あなたの相手はナイトオブゼロである自分です。ナイトオブワン!』


『プライドなき名前など!』


ギャラハットは直ぐにアルビオンに襲いかかるがアルビオンは驚異的な機動性で回避するが、
ギャラハットのハーケンを受けてしまう。


『何!?』


(やはり、未来を読む力か、
マオのように心を読む力ならあの時の攻撃は避けていたはず。
さて、スザク、お前はどう対処する?)




ライは二人の戦いを見物していた。


スザクのとった行動はライと同じ行動だったが、
ライと違い真正面からギャラハットを真っ二つにした。

それは、スザクは自分にかかった『生きろ』というギアスを利用して、
自身の潜在能力を極限まで引き出す力に変えた。



それをみていた一夏達は愚か、ライですらスザクの精神力の高さに驚愕した。



ラウンズの戦いは全世界に報道されていた。ライはそれと同時に
ブリタニアを超合衆国に参加することを表明した。



その事で、黒の騎士団の幹部は混乱していた。


理由はギアスを持っているルルーシュでなくライが皇帝になった事と、
ライは交渉には参謀であるルルーシュと騎士であるスザクを立ち会わせないと言う条件を出した。



明らかに自分が不利になるはずなのに、
そんな条件を出したことに黒の騎士団の幹部たちは戸惑っていた。

そんな中、ヴィレッタが咲世子がルルーシュに化けて影武者をしていたと知らせる。
それで、やってくるのはライでなくライに変装したルルーシュだと予想して対策をたてた。





ライが学園につくとリヴァルは必死にライに声をかけるも、警備員に止められる。
だけど、リヴァルはそれでもライに声をかけた。


警備員は力ずくで止めようとするが、ニーナが慌ててリヴァルを止めた。

その光景を見ていたライは複雑な気持ちになるが表情に出さず案内役に目を向けた。



「貴方が案内役ですか?」


「はい。私が案内させていただきます」


「少し遠回りしてもいいでしょうか?」


「え?」


「少し歩きたい気分なんですよ」


「…わかりました」




ライの提案に了承するカレン。
以前と一緒で優しい口調に警戒と安堵の板挟みになるカレン。



それを監視カメラで見ていた扇たちはライを警戒していた。

もし、ライに変装したルルーシュでも、
警備員にはゴーグルを着用させているため、ギアス対策は安全だと思っていた。

だが、彼等はライもギアスを持っているとを知らなかった。
しかも、ライのギアスは聴覚でかけるため、その対策は意味をなさないと一夏達は思っていた。











ライは学園の風景を見ていた。

その表情はどこか悲しげな表情だったがカレンは前を向いているためそれに気づかなかった。



そんなカレンが口を開いた。


「私は、ルルーシュに感謝してる」

建物中には二人以外誰もいなかった。
カレンがルルーシュに感謝ていると口にしたため鈴達は後に起こることに想定できなかった、
出来たところで何もできないが…。



「彼がいなければ、私達はシンジュクゲットーで死んでいた。
ブラックリベリオンのあと、あなたのおかげで黒の騎士団は潰れずに済んだ。
だから、ルルーシュと同様、あなたにも感謝しているの」



本来ならブラックリベリオンの前ではライと共に戦ったことがあるカレンだが
ライのギアスによってその記憶は忘れてしまっている。

その事で一夏達は複雑な気持ちになる。


「そんなあなたが皇帝と名乗って、ルルーシュとスザクと一緒になって何をしようというの?」



ライは何も答えず、カレンは言葉を続けた。


「力が欲しいだけ? 地位がお望み? 
なぜギアスを持っているルルーシュが皇帝を名乗らなかったの?
それとも、これもゲームなの?」


「お前に答える義理はない」


「!!」



カレンは今まで見たことないライの鋭い目つきと冷たい声に驚愕した。

それと同時に自分が信じていた何かが壊れた瞬間だった。



ライのそばにいる時のルルーシュはどこか安心出来た。
それと同時に二人の関係に嫉妬もしたが、
この二人なら信じられると思っていた自分の気持ちは裏切られてしまった。


だから、カレンは最後の別れとけじめをつけるためにライに近づきそして・・・。



『はっ!?』



ライと唇を重ねた。


「私…貴方のこと好きだったの・・・さようなら、ライ…」



その後二人は数秒無言になるが、それを見た鈴達は何か叫びたがっていた。



「最高評議会は体育館で行う予定です」



カレンはそう言って再び歩き出した。

ライはカレンが再び歩き出したとき、一瞬悲しそうな表情で彼女を見つめた。


「ありがとうカレン…」


そして、誰にも聞こえないように呟いた。



体育館に到着して少ししてから評議会は始まった。




その間に扇はライと別れたカレンに連絡をとり、
ライが本物なのかカレンに確認するも、
カレンは本人である確信がないと言った。


そのあと、カレンは誰もいないところで泣きそうになるも、
評議会を見るためこらえた。





扇たちはルルーシュが変装した可能性を捨てきれず、
ライの周りを壁で囲った。


それをみていた他の代表たちは困惑の声が上がる。


(ルルーシュのギアス対策か。これでギアスの事は黒の騎士団中核メンバーと神楽耶しか知らないとはっきりした。
それにしても、こうまでこちらの思惑通りだとは…、ヴィレッタから咲世子さんの変装技術は知らされ、カレンを使って見極めさせるとは、ギアスをもっているのはルルーシュだけじゃないと予想できなかったのか)


ライは黒の騎士団の対策と予想に呆れつつも評議会に集中した。




そのあと、ランスロット・アルビオンがライの合図で乱入して、
場は一気に混乱する。

「アッシュフォード学園に急げ!神楽耶様を救い出すんだ!」


「ブリタニア軍が蜃気楼を先頭に移動を開始しました!
黄海から、日本の領海にはいりつつあります」



「何?」

索敵班から知らせを受け驚愕する星刻。


「ここで奇襲とは…」

「超合集国への加盟も、学園を指定したのも、すべては自分自身を囮とするため」

「しかし、国際的な信用を裏切ってまで」

「いいえ。もはや信用などいらないということでしょう」

「やっぱり、目的は過去と同じ独裁政治」

「貴族制を廃止しながら、自らは皇帝を名乗り続けた男」

「そうだ。ライは世界の敵となった」

学園地下から出撃する紅蓮をみた星刻はカレンを止める。

『ひけ!ここはひくんだ紅月君!』

「ライを倒すのは私です。それに、あのランスロットと戦えるのは紅蓮しか」

『ここで戦闘になれば各国代表も失うことになる。いきなり国の指導者がいなくなったら』

「でも!天子様だって危ないのに!」


『わかっている!だが、相手はライ達だ。人質を殺す覚悟があってこその行動。
ここは各国の判断を待たねば、超合集国そのものが崩壊する。
この二人を倒しても後ろにはゼロが…ルルーシュが残っている。それでは勝つのはブリタニアとなってしまう!』



ライは黒の騎士団を出るときに持っていったデータで彼らの会話を盗聴して聞いていた。


(会話の流れだとほかの幹部たちは斑鳩にいるな。
アルビオンとまともに戦えるのは紅蓮だけ、愚かだな…前もって奴らもナイトメアに待機していたら、
各国の代表を失うことになっても私とスザクを倒せたものを、
厄介な私たちを倒せば残りはルルーシュとジェレミアだけ、そうすればブリタニアは終わっていた。
いかんな、こいつらの愚かな対応と反応に笑みがこぼれてしまうな)



ライは笑みを浮かべ。


「投票を再開して頂こうか。我がブリタニアを受け入れるか否か」

「このようなやり口」


「認めるしかないのだろう? それとも自らの命を投げ出してこの場を終わらせるか?
お前達のような下郎にそんな覚悟はないだろ?」


殺気を込めて言い放つライに恐怖で体が震える各国代表たち。




兵からニーナを確保したと知らせうけると同時に、
アヴァロンから帝都ペンドラゴンが消滅した報告を受ける。


ライはすぐに皇帝専用機の乗り込みルルーシュから正確な報告をうけると、
別口のチャンネルから通信が入り、
それに出るとシュナイゼルが写っていた。



「他人を従えるのは気持ちがいいかい? ライ君」


ライは予想していたのか全く動揺せず、シュナイゼルと会話を始めた。

「ええ、かつてと同じ気分を味わえてとてもいい気分だ。
私に連絡をした意図はフレイヤのことだろう?」



余裕の笑みを浮かべてシュナイゼルに質問するライ。



その言葉に若干眉を動かしたシュナイゼルだがすぐにいつも通りの表情に戻った。

「ああ、私が回収させてもらった」



「私に弓を引くと?」


「残念だけど、私は君を皇帝と認めない」



「自分が皇帝にふさわしいと?」


「違うよ、ライ君。 皇帝にふさわしいのは彼女だよ」



映像が変わり、そこにはナナリーが写っていた。


「ナナ…リー…!?」



「はじめまして。ライ陛下。どうやら私のことは知っているようですね」


「君はトウキョウ租界に放たれたフレイヤで死んだと思っていたが?」


「シュナイゼル兄様のおかげで助かりました」



「それで、そのシュナイゼルが何をしたか知っているのか?」


「はい。ペンドラゴンにフレイヤ弾頭を打ち込んだのでしょう?」


一夏達は動じないナナリーの表情に背筋を凍らせる。


「フレイヤを認めるか…これは傑作だな」


「貴方達がそれをいいますか?」


「どう言う意味だ?」


「お兄様のギアスを認め、トウキョウ租界で2千五百万の人々を殺したスザクさんをそばに置いているあなたに言われたくありません」



「随分と行儀が悪くなったものだな。 ナナリー」



二人の通信に入り込んだルルーシュは冷たい声でナナリーを罵倒した。


「お兄様…」


「まさか生きていたとは。 随分と意地汚く生きるものだな」



「!!」



兄の言葉に驚愕して動揺するナナリー。


「どうした、感動の再会でも期待していたのか?」


「お兄様がゼロだったのですね」



「ああ」


「どうして……それは私のため、ですか?」


ナナリーの質問にルルーシュは笑い始める。

「クク…ふははは…これは傑作だな。
まさか自分の妹がここまで図々しいとは」



「お兄様…」


「お前は俺が嫌いだった貴族そのものだ。
お前が俺達の邪魔をするというのなら俺の手でお前を直接殺してやろう」

ルルーシュは同様もせず、冷徹に宣告し通信を切った。




「ライ、お前が気にする必要はない。
たとえナナリーが生きていたとしても俺は立ち止まるつもりはない」






 
(そうだ、お前がこれから背負おとしている罪に比べたら、
俺の苦しみなど無いに等しい。だからお前は気にする必要はない。
これは俺への罰だ)



ルルーシュはそう強く思って、自分がやってきたことを振り返った。


そして、ライは表情に出していないが、内心動揺していた。
それに気づいたC.C.はライに声をかけた。


「どうした、まさかナナリーと戦えないというのか?」

「違う…僕は…ただ、あの二人を……」


動揺しているのか口調が戻る。


「あの兄妹が戦うとは思っていなかったのか?」


「…」


「全く、ルルーシュ本人は冷静なのに、お前は」


「わかっている。でも、せめて自分が…」


「少しはあの二人にも背負わせろ」


「C.C.…」


「何もお前が全て背負う必要はないんだぞ?」



C.C.はライを抱きしめる。ライは反応すらしなかったため、
C.C.はライの顔に近づいた。それをみていた鈴達は一気に危機感に襲われる。


「まさか…」

「あのピザ女…」


鈴とラウラがそう口にするとC.C.はライにキスをした。
しかもお、かなり長い時間。



「なな…」


「ライが弱っている絶好のタイミングで…」


千冬とシャルロットもを出して動揺する。


「C.C.!?」



「全く今ぐらい、甘えろ。
お前が全部背負う必要はないんだか」


そして、C.C.はライの腰に手を伸ばした。


それを見たす鈴達は大声で叫ぶと、光景が変わった。
その光景はライの機体の調整をしている光景だが、四人にとってはどうでもよかった。


「あのあと何が起きのよ」

「事と次第によってはあのピザ女は」


「殺さなきゃ」


「嫁が弱ってるときに狙うとは」



鈴、千冬、シャルロットそしてラウラが口にすると一夏は。


「な、なあ、今はかなりシリアスな雰囲気だろ。
なんで」


「あんたは黙ってなさい!!」

「「貴様は黙ってろ!!」」


「君は黙ってて!!」


「はい」


四人同時に言われたので一夏は黙った。





そんなやり取りをしていると光景がさらに変わる。




その光景はシュナイゼル達の会話だった。

シュナイゼルはナナリーにペンドラゴンの住民達は逃がしたというが、
それは嘘だとコーネリアに伝えた。

コーネリアはそうやって人々を操るのかと問うたがシュナイゼルは涼しい顔で答える。


「コーネリア。人々の願いはなんだい?飢餓や貧困。差別、腐敗。戦争とテロリズム。
世界にあふれる問題をなくしたいと願いつつ、人は絶望的なまでに分かり合えない。なら」


「理想としてはわかりますが、民間人を」

「戦争を否定する民間人だって、警察は頼りにするよねえ。
みんな分かっているんだ。犯罪はとめられないと。人それぞれの欲望は、否定できないと。
だったら、心や主義主張はいらない。システムと力で、平和を実現すべきでは?」




それを聞いた一夏達は理想としてはわかっていたがコーネリアと同様、シュナイゼルに否定的だったが、
シュナイゼルはさらにとんでもない作戦を考えていた。


シュナイゼルはコンソールを操り、モニターにはだもクレスが映し出されていた。


「このダモクレスは、10日後に合集国中華の領空にはいり、第二次加速に移行する。
その後、地上300キロメートルまで上昇する予定だ。
その位置から、戦争を行うすべての国に、フレイヤを撃ちこむ」


「待ってください、ルルーシュ達を討つためではなかったのですか?
これでは世界中が! 恐怖で人々を従えようというのですか?」


「平和というのは幻想だよ。戦うことが人の歴史。幻想を現実にするためには、しつけが必要では?」


「人類を教育するつもりですか?!そのようなことは、神でなければ許されない!」


「では、神になろう」


その言葉を聞いた一夏達は背筋を凍らせた。
制限のある一発のフレイヤ弾頭で二千五百万の人間が消えたのに、
その制限をなくし世界各国に撃ったらどうなるかは火を見るより明らかだった。


それに加え、黒の騎士団はシュナイゼルと組むという連絡を受ける。
それを聞い他シュナイゼルは笑みを浮かべて言う。

「狂王の暴虐を経験した民衆は、よりましなアイデアにすがるしかないよね」

「その為に。彼等の行動を見過ごしたのですか?」

シュナイゼルは顔色を変えず言葉を続けた。


「もっとも被害の少ない方法だよ。たとえ10億20億の命がなくなったとしても、恒久的な平和が約束されるんだよ」


その言葉を聞いたコーネリアはシュナイゼルを否定しようとしたが、
部屋に仕掛けられたトラップの銃により撃たれた。


「悲しいね、コーネリア」



今この世界の現状を客観的にみた一夏達はこの世界は堕ちるところまで堕ちてしまった。


信じていたライは独裁を企み、それを見過ごしたシュナイゼルは20億以上の人間を犠牲にして平和を作ろうとしていた。

そして、黒の騎士団はシュナイゼルについた。


光景関わり、両軍とも睨み合っていた。


ライはオープンチャンネルでシュナイゼルに通信を送りシュナイゼルは受信した。



「ごきげんよう。シュナイゼル」


『ライくん。降伏するなら今のうちだよ。こちらにはフレイヤがある』


ライは笑みを浮かべて超合衆国の代表の映像を送り挑発する。

「撃てるのか? 我がアヴァロンには彼等がいる」


それを見たカレンや藤堂達は歯噛みをする。


「まあ、貴様にとっては邪魔な存在だろうが」


『そうだね、世界の平和と僅かな『撃つなよ、シュナイゼル!』』


星刻が割り込みシュナイゼルの言葉を遮断させる。


『各合衆国では代表代行が選出されたと聞きましたが?』


『いざというときの覚悟はある。しかし、だからといって無駄にしていい命など存在しない!』


それを聞いたライは笑みを浮かべる。

「愚かだな星刻。 今すぐにフレイヤを撃てば勝利できるものを、
それを捨て、すべてを失う選択を選ぶとは」


『っ貴様!!』


「貴様のような下郎が吠えたところで現状は変わらんぞ?
どうするシュナイゼル。このような下郎の言葉を聞くのか?」


『シュナイゼル。わかっているな』


『星刻。我が方の戦力はこのダモクレス以外はモルドレッド一機のみ。フレイヤを使わないのであれば、この場は全体の指揮権を私に預けてほしいが』


『勝機はあるのか?』


『これでも、ルルーシュに一度だって負けたことはない。
狂王にも敗北を与えて見せよう』


『わかった』





その言葉で黒の騎士団はシュナイゼルの指揮下になった。






戦争開始と同時にライは無謀にも単騎で突っ込んだ。

シュナイゼルはそれを見て落胆して、愚かだと言い放ち、黒の騎士団に迎撃を指示する。



だが、タルタロスにはかすりもせず、逆に両手に握っているヴァリスで黒の騎士団の機体を破壊していく。


しかも、的確に連携の要である機体の小隊長を狙っている。



それに気づいたシュナイゼルはすぐに指示を下そうとすると。
ブリタニア軍はルルーシュの指示で進軍を開始した。




先手を取られたシュナイゼルはすぐに、体制を立て直す。

ライの先制攻撃は星刻や藤堂も全く予想してなかった。



ライはルルーシュやシュナイゼルと違って、
自らの指揮だけでなく行動で戦況を変える力がある。
故にシュナイゼルと指揮の読み合いをせず先制を仕掛けた、それが見事にはまった。


しかも、ライのタルタロスはナイトメアの中では随一の射撃性能を誇る機体。
一撃で破壊できる必殺よりも、一騎当千が可能な武装をライは選択した。

それはかつて、生身で戦場をかけた経験ゆえの選択だった。
昔と違い、今は安易に指示を出出すことができ、得た敵の情報も簡単に伝わる時代。

それを活用するには一撃撃必殺は要らない。
最速で敵の要を先に消して、体制が崩れたところを突けばいい。


その為、ライが選んだ戦略は単騎でかく乱して、
後方でルルーシュが指示をだす戦略を取った。

しかも、ルルーシュの指示を効率よく働かせるために、
敵を効率よく倒していく。




だが、シュナイゼルの指揮能力はルルーシュと同等かそれ以上の指揮能力者。
彼の指示で黒の騎士団はすぐに体制を立て直す。



が、ライはさらに彼らが思いつかない戦略を指示した。



『A部隊から、D部隊は敵の攻撃をシールドで防ぎ、
敵に取り付いて自爆しろ』


『『『イエス、ユア・マジェスティ!!』』』





前線部隊が次々自分たちの味方に取り付き自爆していることに驚愕する星刻達。


ライが取った次の戦略は精神的にダメージを与える戦略。
体制を立て直したところで自爆特攻は少なからず敵軍を戸惑わせ、最悪、混乱して指揮系統が乱れる。




シュナイゼルはこの行動を読んでいたが、このタイミングでの行動は彼の予想外だった。

両翼部隊の前線にはスザクとジェレミアがいるため,迂闊に攻撃の指示が出せなくなる。


ライの周りに兵士達が自爆したためいなくなり、ライは孤立するが、
先ほどの戦闘能力を魅せられたらスザク達と同様迂闊に攻撃ができなくなり、お互いにらみ合う状態が続くと思われたが、
孤立したライに襲いかかる兵士がいた。



その兵士はヴィンセントであった。


しかも、ライが奪った機体の乗って襲いかかった。
彼は念願の愛機との再会にテンションが上がっている状態。


その為、シュナイゼルの指示は最初こそ我慢して聞いていたが、
それも限界が来たようで、ライに襲い掛かった。

ライが孤立している理由もあるが。



『私と我が愛機のコンビは無敵。
皇帝陛下を殺害した罪。
我々の断罪の剣を受けるがいい!!』


ヴィンセントはライ用から一般用にグレードダウンしたことに気づかず、
自分の操縦が以前と違って上がっていると錯覚してタルタロンに襲いかかるも、
タルタロンはヴィンセントのフロートユニットを足場にし右腕のハーケンを真上から放ち片腕破壊した。
その為、ヴィンセントのフロートの片方が破壊され、バランスを失い落下した。



『この外道めがぁぁぁぁぁ!!』



虚しく戦場に響き渡るがライとシュナイゼルは無視した。


その中で、扇はライの後方部隊が若干後方さがり、
左右の部隊もアヴァロンの両翼に集まっていくのを気づいた。



(今なら、斑鳩の重ハドロン砲で敵の部隊を削れる)



扇はそう判断して、直ぐに指示を出す。


それに気づいた星刻と藤堂は止めようとしたが、
既に砲門が出ていた。


タルタロスはタイミングよくヴァリスを最大出力で斑鳩の重ハドロン砲を撃ち抜いた。

ハドロン砲を撃つ直前であった為、砲門が大爆発を起こして斑鳩のバランスをを崩した。



「(まさか、ここまで愚かだとは…)ルルーシュ!!」

ライは独断で動い他斑鳩のブリッジ班に呆れつつルルーシュに指示を出した。



「わかった」



ルルーシュがライの指示をうけ、ボタンを押す。
すると、地上から強烈な熱反応が感知される。


それに気づいた黒の騎士団だが、気づいたときには遅く、
巨大な火柱が吹き上がった。


その事で、両軍、特に黒騎士団は甚大なダメージを負った。




「扇さん、応答してください! 南さん! ラクシャータさん!」


カレンは叫ぶも、斑鳩からは何も応答は帰ってこなかった。



それをみていた一夏達は戦慄した。


加えて、ルルーシュもライの戦略に戦慄していた。



本来ならフジの火山は追い込まれたときに使う予定であったが、
ライは追い込むために使った。






最初の先制、敵部隊の連携の要を落とし体制を崩す、体制を立て直す前に味方の自爆特攻。
その間に後方の部隊をアヴァロンの両翼に集結させ自分を孤立させる。
本来は黒の騎士団を両翼に展開させて、スザクとジェレミアで交戦させライが援護射撃するか、
ライを撃たせるために中心に敵を誘い込み。スザク達で包囲させる作戦だった。
しかし、扇が単独指示したことで斑鳩に甚大なダメージを与えることに成功。

加えて、さらに追い込むために火山を利用した超攻撃的な戦略。

このことで、黒の騎士団が受けた物理的ダメージと精神的ダメージは自分が想定した作戦よりダメージを受けている。




(これが、ライの本気か)





黒の騎士団はかなり戦力が低下した。
加え、精神的ダメージも大きく体制を立て直すのにはかなりの時間が必要になり、
残りは天空要塞ダモクレスだけとなった。








そのダモクレスからフレイヤが放たれる。



ライは直ぐに一番近い部隊にフレイヤを落とさせた。
だが、フレイヤは撃たれた時にはすでに臨界状態であるためフレイヤの傍にいる部隊は消滅する。





「スザク!ジェレミア! 左右から懐に入ってフレイヤを撃たせなくしろ」


『『イエス、ユア・マジェスティ!!』』





ライは中心いる、黒の騎士団の残党を落としながら、
ルルーシュからの連絡を待つ。






その時、地上からヴィンセントがが叫んだ。


『飛んでくれ、ヴィンセントよ。
我々の肩にに人類の命運がかかっているのだ!!』



すると、バランスを崩し中破したヴィンセント試作機が飛翔した。


『そうだ、我々が組めば奇跡を起こせるのだ。
さあ、ヴィンセントよ、我々であの外道に引導を渡そう』

そう叫びながら、タルタロスに向かって飛翔するが、
ライは近くの兵士に特攻をかけるよう指示を出す。


量産機の一機がヴィンセント試作機に取り付き、地上に落下を始めた。
しかも、その落下は斑鳩に向かっている。



『私の愛機に抱きつくんじゃない変態め!!』


中破した機体では何もできず、斑鳩のブリッジに激突し爆発が起きた。



『扇。応答しろ!! 扇!!』


自分たちを逃がすために斑鳩のブリッジに残った扇に通信をつなげていたが、反応が帰ってこなくなった。

何せ、二機のナイトメアが激突して爆発したのだから、ブリッジは見る影もなくなった。




それを何事もなかったように斑鳩に展開していた黒の騎士団の残党のコックピットを的確に狙うライをみて、
カレンはライに襲い掛かった。



『よくも、扇さんを!!』



『どこの下郎だ、それは』



紅蓮は輻射波動砲を放つも、タルタロスはシールドを展開して攻撃を弾いた。
しかも、弾いた先には味方の機体に命中して味方の機体は木っ端微塵になった。


『くっ!』


『邪魔だ、貴様に用はない!』


味方がやられて、一瞬隙ができた紅蓮に回し蹴りを食らわし、
そのまま、さらに上空へと飛翔した。



『待て!!』


カレンはすぐに追いかけ用としたが、ブリッジから脱出した南達が気になって、
そちらに向かった。







そのころ、アルビオンとジークフリートは左右からダモクレスの懐に接近して攻撃を仕掛けるも、
ブレイブルミナスが展開されていて攻撃が効かなかった。







「世界はフレイヤという圧倒的な恐怖にだまりこむしか…」



アヴァロンのブリッジにいる咲世子が口にすると、
一夏達はライ達がシュナイゼルの目的を知っている用だった為、驚いた。



「それも平和な状態というのかな」




呑気な表情でブリッジにロイドが入ってくると、ルルーシュは新たに指示を出した。


「残存戦力を、このアヴァロンを中心に集結させろ。人質ごとダモクレスに突撃をかける」

「いいんですか?」

「おまえが戻ってきたということは、めどがついたんだろう」

「あとは殿下とスザクくんにかかっていますがね」





アヴァロンが動いたことによって、
作戦が次の段階に入ったと判断したライはスザクとジェレミアを戻した。






そのころ、シュナゼルはアヴァロンに向かってフレイヤを撃とうとしたが。


『シュナイゼル!人質ごと消すつもりか!?』



星刻がそれを止める。


「黒の騎士団がやぶれた今」

『まだ負けてはいない!』


「では10分待ちましょう」



『たった10分!?』


「反撃の位置取りをしたから、こちらに連絡をいれているのでは?」



『……わかった。10分なら』



「次弾発射までに必要な10分を、高く貸し付けたものですね」


「戦後処理の手をうっただけだよ」


「黒の騎士団はもう必要がないと?」


「集合体としての軍事力になんの意味が?」



そんなやりとりのを見ていた一夏達は黒の騎士団に同情や哀れみ、そして自分達の状況を知らない彼らに侮蔑の感情を向けた。












ライは後方に移動しながら、黒の騎士団を落としていった。
その中で神虎がアヴァロンの後ろをとっている事に気づき、すぐにアヴァロンに向かった。











一方、スザクはすでにアヴァロンの護衛をしていた。




「星刻、止める!」


「道理なきものなどに!」


アルビオンに攻撃を仕掛けるも、性能差で徐々に追い詰められる神虎。

フロートの片方が破壊され、スザクが止めを刺そうとしたが藤堂に止められた。


「枢木ー!!」


『藤堂!!』


「国を捨て、位にのみ固執する醜い存在となり果てたな。おまえの願いはどこにある!』


「自分はただ、明日を望んでいるだけだ!」




『おまえが望む明日など!』


藤堂に続き四聖剣が続く。


五体一でも、徐々にスザクが押しはじめるも、神虎がその隙をついて天愕覇王荷電粒子重砲をアヴァロン目掛けて撃った。

「しまった!!」



スザクはそう叫んだら、上空から閃光が走って神虎が撃った天愕覇王荷電粒子重砲に当たった。
その所為でアヴァロンは無傷だった。


「何!?」


星刻は閃光が走った先に視線を向けると、タルタロンが自分達がいる方向に飛翔していた。


「くそ!!」



「残念だったな。お前達の命運もここまでだ」



タルタロンがヴァリスを連射して、神虎達に撃った。


その射撃は正確かつ速いため、彼等の機体は直撃を避けたものの、
機体が小破する。


「真打ち登場だーーー!!」


玉城はそう叫びながらタルタロンに突っ込んむが。

「ふん」


ライはハエを振り払うような気分で玉城の機体をコックピットごと真横に切断した。


そんな中、アヴァロンから蜃気楼が出てきた。


『スザク!!』




ライはスザクに蜃気楼のもとに行くようという意味を込めてスザクの名を叫んだ。

『イエス、ユア・マジェスティ!!』


アルビオンが蜃気楼のもとに向かった。


ライはアヴァロンの後方を守りながら、
アルビオンに続いた。





時間が経ち、ダモクレスからフレイヤが放たれた。



星刻は叫ぶも、フレイヤは止まらず、アヴァロンはフレイヤに向かっていく。
















ルルーシュはフレイヤを放たれたことを確認し。




「よし、データ入力を」


そう言って、驚異的な速さでデータを入力を始めた。


その時、一夏達にニーナたちの感情が流れた。


(フレイヤは、刻々とその組成を変化させる。
その組成に対応する反応をぶつければ、フレイヤの臨界反応は停止できる)


(でも爆発までの約19秒で、現場環境データをプログラムに入力しなきゃいけない)



(それにプログラムを完成させても、実行時間はコンマ04秒だけ)



それ聞いて驚愕する一夏達を余所に、
ルルーシュは迷いなくデータを入力する。



そして、入力を終える。





「スザク!」



スザクの名前を叫ぶ。



『イエス、ユア・ハイネス!』


スザクは蜃気楼から槍を受け取って構えた。

スザクに掛かった生きろというギアスが発動して、
スザクの潜在能力は限界を超えた。


『くぅぅぉぉおお!! 今だ!!』



アルビオンは受け取った槍をフレイヤに向けて投擲。


そして、爆発が起きるはずのフレイヤが不発に終わる。




それを見たライ以外の全員が驚愕した。


特に、一夏達はなぜ、ライが彼らの方が優れているといった意味をようやく理解する。
一瞬の迷いや遅れで命を失ってもおかしくなかった状況を乗り切った二人の能力と精神力に驚愕と嫉妬をした。


だが、目の前の光景は止まらず進み続ける。






『今だ飛び込め』


蜃気楼が絶対守護領域でブレイブルミナスを抑える。

そして、アルビオンに続きタルタロンとほかの機体がブレイブルミナスを突破した。



アルビオンとタルタロスは次々とダモクレスに攻撃を続けた。
そして、穴があいてそこに侵入を開始した。



『アルファ3に敵機侵入!!』



ダモクレス内部は一気に混乱した。
誰もが突破する事は不可能と思われたダモクレスの障壁を突破された瞬間だった。

シュナイゼルの表情も崩れるも、すぐに冷静になって現状を把握した。


そして、シュナイゼルは最後の策を、
ダモクレスを自爆させる策に出た。




ライ達は途中でジノに遭遇するも、
アルビオンが足止めをして、ライとルルーシュは先に進んだ。










そして、シュナゼルが脱出艇のブリッジに入ったとき、
モニターにライが座って待っていた。


『待っていたぞ。シュナイゼル』


「そうか。チェックメイトをかけられたのは私か
なるほどね。教えてほしい。なぜ私の策がわかったんだい?」


『策ではない。 私が読んだのは貴様の本質だ』


「本質?」


『お前は勝つ気がない』


ライはそう言って、手に持っていたチェスのコマを器用に回して、言葉を続けた。


『朱禁城での対応。黒の騎士団のクーデター。お前は常に負けないところでゲームをしている』

「だから、私がダモクレスを放棄すると?」


『シュナイゼル。お前にはここで負けてもらう』


「つまり、私を殺す」




『ひとつ質問する。お前はダモクレスで世界を握りたかったのか?』

「ちがうよ。私はただ皆が望むことを。平和をつくりたいだけだ」


『人の本質を無視してでもか?』



「見解の相違だね」



『お前は今日という日で世界を固定しようと考えた。
だが、変化なき日常を生きているとは言わない。それはただの経験だ』


「しかし、その連なりを知識というが」


『やはりお前は優秀だ。 優秀すぎるがゆえに見えていない。
貴様の父、皇帝シャルルは昨日を求めた。お前は今日を。だが、私は明日が欲しい』

「明日は今日より悪くなるかもしれない」


『いいや、よくなる。人は幸福を求める生き物だ。それは昔も今も変わらない。
どれだけ絶望に襲われてもより良い明日を求める』



「それが欲望につながるというのに。はっははは。愚かしさも極まったね。
それは感情にすぎないよ。希望や夢という名の、あてのない虚構」


『それが貴様の限界だ。 私は何度も見てきた。不幸にあらがう人を、
未来を求める人を。みんなが幸せを願い抗い続けた。
ギアスも、仮面も、その根源は』


「だから、ルルーシュのギアスを認めたと。他人を否定する力を認めた君が、
人の意思を、存在を肯定しようと。
もういい。私を殺したまえ。ただし、君もフレイヤで消える。私たちの命で、世界に平和を…」



シュナイゼルが言い終える前に、シュナイゼルの肩に手が置かれた。

そこにいたのはモニターに写っているはずのライだった。


『お前には世界が明日を迎える為の歯車になってもらう』


「私の思考を読んだ録画を…」


「ああ、貴様は優秀がゆえに思考がわかりやすい」


シュナイゼルのそばにいたディートハルトとカノンは兵士に薬を射たれて、
身動きが取れなくなっていた。


「ルルーシュは?」


シュナゼルが現状を把握し、ギアスを持っているルルーシュの居場所を聞いた。


「ナナリーのところだ。貴様のことだ
ナナリーにフレイヤを撃たせたのであろう?」


「正解だよ。まさかそこまで読んでいるとは」


ライが放つ覇気に二度目の恐怖を感じるシュナイゼル。



「私を駒にしたいと言うが、ルルーシュが来るまで、
私が自決すると思わなかったのかい?」


シュナイゼルは笑みを浮かべ言うと、
ライも笑みを浮かべ。


「貴様の方こそ、ギアスを持っているのはルルーシュだけだと思ったのか?」


「!! まさか、君もギアス『私の指示に従え』 イエス、ユア・マジェスティ」



シュナゼルはそう言うと、ディートハルトは持っていた銃で、
兵士を殺して、ライに銃口を向けた。


ライはシュナイゼルに手を出すなと伝える。


「撃てるのか貴様に。 手が震えているぞ?」


薬に影響で体が思うように動かない。


「くっ!!」


ディートハルトは力を振り絞って引き金を引いたはずだったが、
いつの間にか自分の指が切断されていた。



「遅いな下郎。 昔の戦場なら貴様はすでに死んでいるぞ」




ライはそう言って、ナイフをディートハルトの胸に刺した、
ただし心臓を避けて。

「がはっ!」




「安心しろ、即死ではない。
最も、今すぐに治療しなければ直に死ぬがな。
残りの人生を噛み締めろ」


ライはそう言ってブリッジを出ようとする。


「ま、待ってくれ。せめて私にギアスを…」


「貴様にギアスをかける価値はないが、
褒美だ、『自決するな』」


「!!」


不敵に笑いながらライはブリッジを出て、ディートハルトは絶望した表情になって残り少ない命を過ごして死んだ。



それをみていた一夏達はそんな光景を見たくないという表情をするが、
そんな気持ちは通じず、光景は進み続けた。


ライはルルーシュにフレイヤの鍵を手に入れたと報告すると、
ライはルルーシュのそばにいる兵士に、ルルーシュを取り押さえるよう命令を出した。

そのことにカノンは驚愕する。


「貴方の目的は一体?」


「言ったであろう明日が欲しいと」

そして、ライは自分のナイトメアに乗って、
ダモクレスを出たら、
そこには予想通り、紅蓮と神虎、残月、トリスタン、そして四聖剣のナイトメアがいた。



ライは事前に、ギアスを使って奴隷にしておいた兵士に彼らが近づいたら、
ブレイブルミナスを部分解除して、彼らを入れるよう指示をした。



タルタロンはヴァリスを手にしてアルビオンを攻撃した。

アルビオンは避けるも動揺していた。

「へ、陛下!?」



「貴様の役目は終わりだ。ナイトオブゼロ・枢木スザク。ここで黒の騎士団と残りのラウンズ共々消してやる」




「な!?」


「ブレイン役のゼロは先程私の部下で取り押さえた。シュナイゼルは私の駒となり、残りは貴様等だけだ」


最初こそは何を言っているか理解できないカレン達だが、脳が理解し始めたため、
信じられなかった。

「ライ、アンタ、ルルーシュ達まで裏切るつもりなの?」


「そこまで堕ちたかライ君!?」



「堕ちる? ちがうな間違っているぞ藤堂。高みに…頂点にたつんだよ。
私のかつての夢、世界を我が手にする為にな。お前達はそのための踏み台になってもらう。
私直々にお前達を倒そう」 



カレンに四聖剣、藤堂、星刻、ジノ、そしてスザクを目の前で宣言する。



「この人数相手にその余裕は、私達をなめすぎているぞ!?」





「へ、陛下・・・」





「スザク君!! ここで彼を倒さなければ君も死ぬんだぞ!!」



「と、藤堂さん!?」


「スザク、アンタと協力するのは癪だけど、ライをとめる為に協力してもらうわよ」



「ぼ、僕は・・・俺は・・・・」


「そうだな、スザクも加われば少しは楽しめるか」



「さっきから、高いところからえらそうに言うのねライ?」


「おかしいか、なら見せてやろう。私が狂王と呼ばれた由縁を」



ライがそう言うと、空気が変わった。


如医善方便(にょういぜんほうべん)為治狂子故(いじおうしご)
顛狂荒乱(てんおうこうらん)作大正念(さくだいしょうねん)


響き渡るライの詠唱は彼等を圧迫していく。

彼等は鳥肌どころか恐怖を全身で感じていく。


心墜醍悟(しんついしょうご)是人意清浄(ぜにんしょうじょう)明利無穢濃(みょうりむえじょく)欲令衆生(よくりょうしょうじょう)
使得清浄(しとくせいじょう)




諸余怨敵皆悉摧滅(しょよおんてきかいしつざいめつ)



恐怖と狂気が彼等の前で立ちはだかった。



「こ、これは!?」



「な、なんという闘気・・・いや狂気か!?」



ナイトメア越しからでもライが放つ狂気を感じた。
その狂気は以前、シュナイゼルと会談をしたときとは比べ物にならない威圧感だった。

彼等は全身を縛れれるような窮屈で息苦しい圧迫感を感じた。





「光栄に思え、この時代でこの状態で戦うのは貴様等が初めてだ。さて、そろそろ死んでもらおうか?」









「死・・・・ぬ・・・、僕は・・・俺は死ねない!!」


その狂気はスザクに掛かった『生きろ』というギアスすら発動するものであった。



タルタロスが残月に向かった。

藤堂達は狂気に当てられ、五感が麻痺していた。


その為、藤堂にはいきなり自分の目の前に一瞬で移動したと錯覚した。


「何!?」

「死ね!!」



ライは無慈悲に、残月の四肢をMVSで切断し、コックピットブロックを壁に押し付け剣を突き刺そうとした。

それを見て、怒りが爆発した朝比奈と千葉は怒りとっさにライに襲いかかる、
コックピットを押さえつけていた手を離すと、
斬月のコックピットは落下していく。
千葉がそれを受け止めようとライを無視した瞬間、彼女の機体に衝撃が走った。


「くっ!!」

タルタロスのハーケンが暁の頭部を破壊した。


「敵に後ろを見せる余裕があるのか?」


タルタロスは直ぐに千葉の後ろをとって、
剣を振り下ろした、だけど、朝比奈の暁がタルタロスに攻撃をした。
タルタロスは片方の腕でそれを防いだ、そのせいで千葉に振り下ろした剣は千葉に暁のコックピットを掠る。


「ほう…」

「嘗めるな!!」


「貴様がな下郎」


両手に双剣を握ったタルタロスが朝比奈の暁に襲いかかる。

仙波と卜部もそれに続いたが、タルタロスは朝比奈の暁をMVSで突き刺した。
その剣はコックピットまで届き朝比奈は無残にも殺られる。


タルタロスは剣を抜き、朝比奈の暁を卜部の暁に向けてけり飛ばした。


機体を受け止めた暁の後ろに移動したタルタロスは後ろから、
卜部の暁を真っ二つにした。


冷酷にかつての仲間を殺していくライに冷静さを失って襲いかかるカレン。
タルタロスは紅蓮の猛攻を紙一重で避ける。


紅蓮は咄嗟に輻射波動砲を放つも、先ほどと同じように弾かれる。
はじかれた先は仙波の暁。
仙波は咄嗟に避けるも、避けた瞬間自分の機体に衝撃が走った。


避けると同時にタルタロスのハーケンが命中していた。

「仙波さん!!」


「むぅ…ここまでか」



コックピットが機体から離れる、ライはそのコックピットを追撃しようとするが、
トリスタンが邪魔に入る。


「暴れすぎだ」


トリスタンの双剣がタルタロスに襲いかかる。
神虎もそれに続くが、ライは攻撃が来るより先に自分の機体を走らせた。
トリスタンの攻撃をスピードを落とさず避ける、それだけでなく剣を横にして上半身と下半身を真っ二つにした。
そして、機体のスピードを落とさないまま神虎に襲い掛かった。



「ジノ!!』


カレンは叫ぶもトリスタンは落下していく。
その間に、タルタロスの攻撃を神虎は防ごうとしたが、
タルタロスはまるで幽霊のように消えた。

「何!?」



「星刻、後ろ!!」


「遅い!」


タルタロスは剣を振りしコックピットを真っ二つにするはずだったが、
アルビオンがハーケンブースタで神虎を攻撃して、
タルタロスの攻撃を無理やり防ぐも、勢いがありすぎて、
神虎は行動不能となった。最も、この攻撃をしなければ神虎のコックピットは真っ二つになっていた。




残ったのは紅蓮とランスロットだけだった。


仲間を躊躇なく殺そうとしたライににカレンは問うた。


「ライ・・・、貴方はそんなに頂点に昇りたいの?」




「だったら?」



「・・・だったら、貴方は存在してはいけない。私の手で貴方を止める!」



スザクもカレンに続く。


「僕とルルーシュは君の駒だったということか」



「そうだ、ダモクレスを手に入れる為のカードだ。お前たちがいなければダモクレスは破壊するしかなかったからな」




「・・クッ」



「無駄話は終わりだ。来い」



三機の機体にそれぞれのクリア色の羽が展開され、
三機は飛翔した。




驚異的なスピードでぶつかり合う三機の機体に一夏達はそのスピードに驚愕する。


「こんのーーー!!」


紅蓮の右手がタルタロスを捉えようとするが、
タルタロスは驚異的な運動性能で避ける、隙ができた紅蓮をけり飛ばした。


ランスロットは紅蓮を蹴り飛ばしたタルタロスの後ろから襲い掛かるも、
ライはそれを読んでいて、バク転するように避け逆にランスロットの後ろを取った。


そして、ランスロットの両翼を掴んだ。
それを力づくで引きちぎり、紅蓮の方に蹴り飛ばす。

紅蓮が体制を立て直したところで、ランスロットがぶつかってきた為、
またもや体制を崩した。


ランスロットは落下して、紅蓮は残ったが、
タルタロスは紅蓮を追撃した。


タルタロスが振り下ろした剣を片翼でガードするも、
タルタロスはエナジーウィングが展開する部分を的確に狙って、
紅蓮の片翼を破壊した。


そのせいで、紅蓮はバランスを崩す。
紅蓮は咄嗟にタルタロスの片翼もつかもうとするが、
タルタロスは両腰のハーケンを放つ。
紅蓮は驚異的な反応速でそれを避けるも、タルタロスが振り下ろした剣は完全に回避できずもう片翼を失った。







そして、紅蓮もランスロットと同様翼を奪われ無様に足が地についた。



現時点で最強クラスの機体に乗っているスザクとカレンを圧倒する力は
一夏達に戦慄を走らせた。




「くっ、マシンスペックはこっちが上のはずなのに」


「どんなに速くてもお前達の攻撃は予測の範囲内だ。
これで勝負は決まったぞ。いさぎよく降参して処刑を待つか、
無様に抗いやられるか・・・選べ」


思考速度がルルーシュ並みにあるライは、
二人にとっては天敵であった。
だが、ライにとっても二人は天敵と言って良いぐらい
二人の反応速度と直感は驚異的だったが、
慣れない機体との連携でライの思考速度に拍車がかかった。



「ふざけないで、私は降参する気はない。貴方を倒すまで諦める気はないんだから」




「僕もだ」




「・・・いいだろう」


ライは笑みを浮かべ、エナジーウィングを閉まった。
その行動にはカレンとスザクはおそろか、一夏達も驚いた。

ライはそれだけ、勝てる自信があるのだろうと思うと同時に、
ここまで変わり果てたライを見たくないと思った。

ラウラだけ理由はわかっているが、
それでも、思うところがあって素直にこの光景を見ることができなかった。









ランドスピナーとハーケンを利用した彼等の攻防は
ISでは実現できない光景だった。




終盤でも二人の行動を予測してライは言葉通り彼等を一人で叩き潰した。



そして、最後は世界に自分の力を示した。


『シュナイゼルも我が軍門にくだった。これによってダモクレスもフレイヤも、
すべて私のものとなった。反逆を企てスザクを操っていたルルーシュは取り押さえ、
ナイトオブゼロは黒の騎士団のエース諸共私の手で直接叩き潰した。
黒の騎士団はもはや私に抵抗する力は残っていない。
それでも抗うというのなら、フレイヤの力を知ることになるだけだ』




   
世界中の人々が絶望していく。
ただでさえ、世界トップクラスのパイロットを一人で倒した怪物が、
大量殺戮兵器を手に入れた独裁者が誕生してしまった。


前皇帝であるシャルルやそれ以前の皇帝と違い、
自ら戦う力がある王は宣言する。


『我が覇道を阻む者はもはや存在しない。そう、今日この日、この瞬間をもって、世界は我が手に落ちた!
ライ・S・ブリタニアが命ずる。世界よ、我に従え!』



それを見た一夏達は唖然としていた。
自分たちと少ししか変わらない学生が世界を手に入れたこと、
その学生が自分達が最も信頼を寄せている人物である事を信じられなかった。








そして、ライが世界を手に入れたからやった事は独裁そのものだった。

反乱を企てていた組織は自らたった一人で叩き潰し、
自分の力を世界に示していった。


そういった行動のせいで、世界中の人間がライを憎んだ。






世界を統一をした次の日に、ライはパレードの余興のためにかつて部下だったルルーシュとスザク、
残った黒の騎士団の残党と黒の騎士団と組んだシュナイゼル達の処刑を決行した。

そして、決行の日。

剣を杖のように建て、覇者の表情をしているライに向ける人々の負の感情は一致していた。



ルルーシュがスザク、処刑される人々がいるまえで、ある人物が現れた。

その人物はゼロ。




ゼロの正体を知っている黒の騎士団のメンバーだけでなく、
一夏達も驚愕する。



護衛のために配備されたナイトメアがマシンガンをゼロに向けて撃つがゼロは生身でそれ避ける。

その動きを見た一夏達はスザクを連想したが、
スザクはルルーシュ同様、処刑のために拘束されていた。


そんなことを考えていると、ゼロはライの目の前まで接近し剣を抜く。
ライもそれに合わせて剣を抜こうしたが、
ゼロはライが剣を抜く前に自分の剣で弾いた。




そして、ゼロの剣はライの心臓を貫いた。




それと同時に一夏達にある光景がフラッシュバックした。

その光景はスザクがゼロの仮面を受け取る光景、
そしてなぜ、ライが人々に憎まれる行動をとったか、
全て知ってしまった。



処刑のために拘束されているスザクは咲世子が変装した姿であったこと、
Cの世界で人々が明日を望んでいることを知った彼等は憎しみの連鎖を断ち切るためのゼロレクイエム。


その為にライは記憶が戻ったとき、醜悪な存在だと思った自分に戻り、
独裁者として世界の覇者となった。


ゼロは突き刺した剣を引くとライは台座から滑り落ちた。


その先にはナナリーが拘束されていた。

ナナリーは自分でも知らない自分が叫んでいるようで、
胸が締め付けられた感じになった。

その為、あった事もないはずのライに触れた。

その時、一夏達と同様ナナリーも全て知った。



「ライさん…」


涙を流しながらライの手を握った。


全て思い出したナナリーはただライの名前を叫ぶ。
ライは残り少ない命で、ナナリーに謝った。


「ごめんね…折り…紙をいっ…しょに折る…約束を…
守れな――」



そこで、ライの意識がきえた。

それに気づいたナナリーはただ泣き叫ぶことしかできなかった。

その光景を見た一夏達は何も言えず、
むしろ、心が空っぽのようになり、泣き叫ぶナナリーを、ライから願いを受け取り涙を静かに流すスザクを、三人の目的を知って涙を堪えるも涙を流してしまったカレン、
そして、涙を必死に抑えるルルーシュを見ているだけだった。











どこか空っぽになった一夏達の光景が変わる。

ライが生きている理由が映るかと思ったら、
一夏達の前にヘルマ達が座っていた。




「どうだった、私なりに編集して見せた奴の、
やつが生きていた世界を知った気分は?」



ヘルマの言葉に一夏達は驚愕してすぐに臨戦体制を取った。


その頃、なぜかレイン達とはぐれたライは草原が広がる場所に出ていた。


「ここは?」


「待っていたぞ、ライ陛下」


ライの目の前に甲冑を装備した騎士が待っていた。



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