第7話『遭遇』


ヴァルキリー8の機体、不知火がカオルからみて安全を確保したと思えた箇所に虚数空間から引き吊り出される。

突撃時の勢いは殺されて静止状態であり、
「イロウル!!」
使徒イロウルの力でもってカオルが機体の電子制御と同化する。

イロウルの力は初めて使われたが…
(ん??なんじゃこのosは…はぁ?一回決定したらそれが終わるまで止まらない??糞じゃん!!)
フェイルセーフというべきものか、オーバーロード及び誤動作を防ぐ為に剣で薙切る行動を行うと、
完全に斬り終わり残心するまで途中の動作の入力は一切受け付けない。
入力した後に視認外からのBETAの攻撃があったとして避けたいと思っても避けられない、
座して死をまつのみ…なOSであった。

瞬時に別動作を受け付けなければ駄目と判断しOSを作り替え始める。
都市を司るMAGIを浸食し支配下におさめようとしたイロウルの能力は遺憾なく発揮され、
全ての思考や行動はナノセコンド単位であり、ものの2秒もすればOSが全て組み上がる。
(ついでにCPUも強化か…)
使われてるのが8ビットCPU15MHzが16個であった。
確かに信頼性のある枯れた技術であるが…
速度は上々も8桁までの処理しかできない。
その為OSを作り替えたいま処理しきれるか不安になり、
「バルディエル!!」
CPUは生体CPUというべきか…有機体CPUへと変化し機体各駆動部へ伝わる導管へイロウル作のナノウイルスが流れ出す。
各部駆動部も生体筋肉が発生ハイブリッド化し、外見表面上は変化無いものの…
内部構造的には生体マシンともいってもおかしくない変化を遂げていた。
(さてっと…)

「え……あ…こ、こちらヴァル!!」
ぬっとカオルはコクピット内に姿をあらわす。
誰かと通信を試みていたようであったが…
「はいちょっと機体使わしてね〜」

「あ…き…き」
驚きの表情に固まる女性衛士。
無理もなかろう…コクピットの壁からぬっと実体化してきたのであり、まさにリングの貞子の如く…
化け物や幽霊や妖怪と科学の世界に住む人からみれば常識外そのものである。

「はい。まず通信つかうよ〜あ〜あ〜テステスやつらあの生物ぬっころすの協力しますよ」
いきなり楽しげな声で見知らぬ音声が他の機体に流れたのである。その反応は…

『はぁ?』『ちょせんと…』『ヴァル…』『おい!!き…』『ふざけ…』『いいか…』『…』『え?…』『誰?』
「あ……あんた…ね……」
通信をいきなり途中でカットさせられ憤怒の表情そのもので衛士が声かけしてくるが、
「まずは論より証拠っと」
言葉を残すとカオルの身体はコクピット外壁と同化し、
怒りの対象が目の前から消失した事でパイロットの表情は呆気にとらわれていた。

「ちょ…な、なんなのよ〜〜!!!」
カオルの身体が消えた箇所をまさぐるが…いつもの硬い材質であり、
多分その後の事態を想像したのだろう…
コクピット内部で叫び声がひびきわたる。

……

カオルは不知火と完全に同化する。
機外の様子を確認して、
「ラミエル!!」
不知火の右腕が変形しはじめる。軽量金属の装甲であるがそれごと有機体化したように荷電粒子砲へと変化してく。
荷電粒子砲の砲門がBETAの集団に向いたが…


カオルの子宮胎内…というべきコクピットから五月蝿い声がひびいてる。
「この悪魔!!わたしの機体に何をしたの!?!?」等々…
胎内の五月蝿い衛士が脱出装置等もつかってたが、全ての機能は全くの別物になっており、
また現段階でシステムは掌握、主導権はカオルが保持している。
アナログの爆発ボルトでの脱出機能も作動しない。爆薬そのものが有機体化してなくなっているからでもある。

(あ、おちこんだか?画像システムも奪ったからなぁ…… )
胎内の様子をうかがっていたカオル、流石に可哀想に感じたので、システムを再起動させてく…
「あー聞こえるよね??」
周りの壁から突如聞こえた声にびびった様だ。
して
「聞こえてるよね?無視しないでよ〜普通に話せばいいから」

「あ、あんた…なにもの?」

「それはながくなるからおい…」
「説明しなさいよ!!」

「あとでね、すこしききたいんだけど…」

「あとでじゃなく!!…なによ」

「この機体みたんだけど…やつらみたいなレーザー砲てあるの??」

「はぁ…?ないに決まってるじゃないの!!」

「なる…」
「なるじゃない!!」

「じゃぁ撃つねよく見ててね〜」
「何を撃つ……」
「狙い撃つぜー!!」
「いい加減、何してんのよーー!!」
「デットエンドシュート!!」

その瞬間…右腕荷電粒子砲から一気に力が放たれた。

地面をえぐりBETAを巻き込む。
光の奔流が高出力の熱量を発しBETAの組織そのものを溶かす。

光の奔流の弾着点で力が一気に解放。光の十字架がそそり立った。
BETAの集団を半分以上巻き込めたようである。

(やばちっと気合い入れすぎた??)
そう感じたのが荷電粒子砲から放たれた光の奔流が通った後に強風となって空気が流入する。
50mクラス以上の強風が発生。

彼女の仲間の機体もいきなり発生した強風に翻弄されかけて、抵抗姿勢をとっている。

「ごめん。気合いいれすぎちゃったよ」
胎内からは反応ない…


side〜ヴァルキリー3少し前〜

『あ〜あ〜テステスやつらあの生物ぬっころすの協力しますよ』
『ヴァルキリー8!!誰をいれてんだ!!』
男性の声が流れた。
(民間人??)
不可解な事が起こりすぎる。
機体のマーカーが急に消えたり…

「クッ!!」
そっちに気を取られすぎて接近をゆるしてしまう…
長刀を切り付け、感触から粉砕を確信し、
BETAとの間合いをとりながら36mmを連射しまくる。

「ヴァルキリー3よりヴァルキリーマム!!8はどうなってんだ??」

『こちらヴァルキリーマム。ヴァルキリー8は現在制御不能、
こちらからの信号も受け付けません』

「…ヴァルキリー1…どうします?」
『制御不能となるといない状態と考えた方がよいわね……フォーメーション、アローヘッドツーで立て直すわよ』
『『『『『『了解!!』』』』』』

陣形が動きだす。
その時……

『きゃぁ!!』『え!』『まぶ…』
わたしは奇跡をみた…

わたし達の後方の方からその光の雷は前方に走り、光の回りのBETAが融解して、

そして …… おおきな十字架がそびえたった。

「クッ!!」
光の雷がおさまったところに突風が起こり、機体が持ってかれそうになる。

うまく着地し、風に抵抗する。

(しかしあの光は…)

side〜ヴァルキリー3end〜

……

「ごめん 気合いいれすぎちゃったよ」

胎内から反応ない…
「おーい」

胎内の様子を再度視認すると衛士はシートで呆けていて…戻りそうもない。
(しょうがないなぁ…)
ジャンプし機体、胎内にショックをあたえる。

「きゃぁ!!!」

「おーいもどったかぁ???」

「な……な……な、な、な、な」

(まだ駄目か…)
もう一回ジャンプ。

「イダ!イダヒィ〜」

(あ、舌かんじゃったか……)
喋ってるあいだは急ブレーキ等はやめましょう。

「ごめん 舌噛んだ??」
「ゴベンジャナビバヨ〜」
「ほんとゴメンね。と、しゃべらなくっていいから、頷くやらで返事してくれれば良いから…」

舌を抑えながら頷く姿がみえる。かなり痛そうだ。

「機体の制御は君に後程預ける。あと…osちょっと弄って性能アップさせたから」

目をまんまるにさせながら頷くのがみえる。そのあとでわからなそうに首を傾げる。
「やつらが残ってんだろうが」

納得したのか大きく首を動かす。
その後右腕を銃の様に指で形作り、前にのばす。

「さっきのレーザー?あれ仲間の側でぶっ放すと巻き込む恐れあるから…使えないんだ。
そのかわし…君のナイフをちっと弄って大剣タイプの高周波ブレードにしたから
…あと接近戦でよろしく」

不思議な顔してたが、最後の接近戦あたりで無理無理な首振り運動。
(接近戦苦手か?)
「ん〜まぁ高周波ブレードは…とても切れやすい剣なんでも切れるよ。
やつらでも」
納得のジェスチャーをする。
「で接近戦は…」
突如コクピット内に光線級の照射警告。
彼女の顔が青ざめる。
まだ操縦権渡してないのに必死に操縦しようとする。

(多分…この機体だとレーザー1発で駄目になるのか)
そう理解した。

光線が放たれてくる。彼女の顔は青ざめて… ATフィールド展開。

拒絶のシールドで光線級のレーザーを防いだ。
空中に波紋が広がる。

「これが答さ…俺がいるかぎり君をまもるから」
人生が終わりの悲壮感たっぷりの表情で目をつむってたら、
何事もないからと衛士は恐る恐る目をあけ、
ATシールドに驚いた顔して…それを理解しようとして…

理解をあきらめた顔して、わかったと力強く頷く。
(面白い)

「じゃいくよ〜まずはあの邪魔なのいこうか…コントロールユーハブ」
彼女は力強く頷く…

……

side〜ヴァルキリー4〜

まだ生き残っていた光線級から光線が…
こっちに来ない…… え?と見ると
『ヴァルキリー8!!!』
(あたっ……え?なにあの紋様……
光線を…??)

『ヴァルキリー8移動開始しました!!』

見るとまずは光線級の方へ…
『ヴァルキリー8突出しすぎだ!!!制圧支援仕様だろ!!』

(え?違和感が…あの子、あんな大剣いつのまに…)
見たことも無い大剣が握られている。

『ヴァルキリー8下がれ!!』
『隊長!!』

(あの子あんなに動きすごかったっけ??)
それなりの重量がある機体が蝶の舞うように…実際そう例えるしかない。

(それに機体の上に人…いや武器…??)
よく見ると…その人型武器から光の槍が延びてBETAを貫き、また縮み、
武器から光のシャワー?らしいの浴びるとBETA小型種はいきたえた。

大型種はシャワーには堪えるが、光の槍で一撃でいきたえてる。

「すご…」

『とりあえずヴァルキリー8は味方ながらもアンノンとする、あの動きは普通ではない』
彼女の機体の持つ剣もそうだ。ありえない切れ味…
(あ、今突撃級?危……
て…?突撃級を正面から一刀両断…ありえない…モールス15を誇る装甲殻が…)

そのまま光線級を横一文字にするとこっちの前の残敵方向に…
『ヴァルキリー4!!』
(え…?あ)
接近する要撃級の腕部による一撃に気がついてない…
間に合わない。
(ごめんね舞ちゃん同期一人になっちゃうね……あれ?)

何もおこらない…
その要撃級はヴァルキリー8から…いや兵器からの光の槍が要撃級を貫くところだった。
その光の槍は抜けると…兵器に縮んで戻る。


残敵掃討は終了した…

side〜ヴァルキリー4end〜

……

『とりあえず…BETAの掃討の協力感謝する。が貴様何物だ??』
復活させた通信から音声がながれる。
(ほ〜可愛い声。凄みがあっても美人そう)
戦術機の突撃砲が此方に向けられてる。

「え〜と俺ですか?とその前に…よっと」
とりついてた機体から離れると、
カオルを囲んでいた円陣が一瞬広がりまたもとの様にもどる。
今度は8機いや…自分の取り付いていた一機は判断悩んでいそうだ。

変形した剣は切れすぎてサイズ的にも腕部に収まらない為、機体から離れる際に戻しておく。

「ごめんもうちょっと広がってくれない?
避難してた彼女の機体だすからさ…
機体自体は結構おしゃかっぽかったから、横にしてだすから広さがほしいんだ」

円陣が広がったのを確認し、虚数空間より彼女の機体をだす。

『ヴァルキリー9!!』『おぐ!!』
カオルがとりついてた機体の衛士は、彼女の無事をみたから落ち着いてた。
虚数空間に持ってた衛士はPTSDにかかりそうだったから、アルミサエルで精神治療は済み。

おぐって呼ばれた娘がコクピットから下りてきて、駆け寄った仲間が抱き合っている。
(うお!美人美人…というかみんな女性?あとあのパッツンパッツン作った人GJ!!)

が…尋問してた人と、結構動きがよかった人と、
彼女を助けようとした人と、もう一人、計4名は機体から降りてきてない。
相変わらずカオルに銃を向けたまま。

『もう一度問う、貴様なにものだ??』

「ん〜どっから説明すればいいかなぁ……まぁこの通り普通の人間ではないのわかるよね?パイル!」
右手を変化させまた戻す。
『ん……うむ』

「まずは自分も知りたいんすが…この世界なんなんすか?」
『は……?』「こんのふざけてんじゃ…」
「ふざけないっすよ!!」

本気の言葉に静かになる。
「正直はなします。自分は異能の力をもつこの世界以外、つまり異世界人です!!」




寸劇風後書き

作者「あ、いっしーお疲れ〜」

いっしー「……」
無言で舌をだす。

作者「あ〜はいはい救急箱っと…薬は…」
唐辛子を取り出し…

いっしー「……!……!……!」
ひっしに首振りが見えない力によって動けない。

作者 「さてこれで治るからね〜前回おぐにはぬっころされたし……」

いっしー(やめてよしてやめてよして!!おぐの馬鹿〜あ゛あ゛あ゛!!)

おぐの死亡が確定したようだ。

作者 「まぁヒロインポイント5点あげとくから」

いっしーは悶絶中…

作者「ただ次回がちっとある部分難作なんだよなぁ…どうすっか…」

H24年12月再改稿



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