第17話『佐渡島間引き作戦介入後、そしてパワードールの世界へ…』


2001年5月度佐渡島間引き作戦戦況報告

2001年5月15日

5月9日の奇襲上陸を受け、
日本帝国軍は佐渡島ハイヴが飽和に達してると判断、
佐渡島ハイヴ間引き作戦を決行する事を上申、許可された。
予定削減数24000。

5月19日
対岸新潟からの自走砲遠距離砲撃、海上からの大和以下4隻による砲撃を行う。

5月20日
偵察衛星からの情報で予定削減数に到達してないと判断、
軌道爆雷及び沿岸部上陸削減を行う事を決定した。
予定削減数残り約10000。

5月21日8:06
重金属雲予定濃度到達、佐渡島への上陸開始。
4箇所確認できた光線級掃討に4個中隊投入。
10:21
濃度低下時に光線級掃討担当4個中隊の全滅確認、掃討に失敗す。
佐渡島沿岸部にて誘引していた多くの部隊が窮地におちいった。

帝国軍は救出対応に追われる。

AL弾搭載艦出港を命じる。予定到達時刻約2時間後。
残り削減予定数約4000。

11:56
国連所属試作機により地上に出ていた光線級全滅確認、
この時点で削減予定数を大幅に上回ってる為、
即座に帝国軍全軍に完遂通達、沿岸上陸部隊順次帰還開始。
削減予定数より+約5000。

13:22
帝国軍作戦参加部隊帰還す。
沿岸上陸部隊機体損耗率約5割。
削減予定数+約8000。

16:21
国連所属の試作機の撤退開始確認。
削減予定数+約12000。

偵察衛星観測により、削減数約36000のBETA数削減確認。

以上。




……

佐渡島ハイヴが存在する佐渡島での間引き作戦を、
日本帝国軍主体で行われたが、
そのハイヴとは…

BETAにとっての兄弟が生まれる所、
餌をくれる母がいる場所、収集物の納品先である。

要はハイヴを中心にBETAは活動を行い、
行動体数はフェイズ規模による。

ハイヴのフェイズ数とは人類が決めた指数であるが、あながち間違ってもない。

実際に突入してみないとわからない事であったが、
地上の構造体の大きさからおおよその内部成長具合が推測できてた。
更にカオルの横浜頭脳級逆ハッキングによりもはや内部構造も丸裸になっていたに等しいだろう。



フェイズ1…生まれたてほやほや。
地上構造体が作りはじめから50m未満まで。
地下深度は350m未満、
主縦坑掘削中。

BETA生産能力なしの無防備状態、
いち早く成長を目指している状態でもある。

この段階なら核でも熱線がコアに直射できたら有効でもあるが、
地上構造体が構築し蓋ができると、核で破壊できる機会を逃す。

BETA側の守備は連れてきた集団のみ。


フェイズ2…
地上構造体が50m以上〜100m未満の状態、
地下深度は350m〜700m未満、
主縦坑最大直径100m程、
横坑範囲2km〜4km未満。

BETA生産能力日産10体〜200体未満、
光線級は生産能力なし。
BETA餌供給能力10万以下。
BETAにとっては餌が供給できる段階になる。

フェイズ1からフェイズ2に成長するまで約6日程で、
当初の守備集団が餓死回収され、
新たに生産される集団が守備部隊と化す。


フェイズ3…
地上構造体100m以上〜300m未満、
地下深度700m〜1200m未満、
横坑範囲4km〜10km。
BETA生産能力日産200体〜400体。
光線級生産能力あり。
BETA餌供給能力10万〜20万。
構造物の頂上に穴が開き、主縦坑が露天した状態だが、
生産された光線級により上空警戒されている。


フェイズ4…かなりおっきした状態。
地上構造体300m以上〜600m未満、
地下深度1200m〜2000m未満、
主縦坑最大直径200m程に拡張、
横坑最大直径100m程に拡張、
横坑範囲10km。

BETA生産能力日産400〜800体、
重光線級生産能力あり。
BETA餌供給能力20万〜80万。

フェイズ5…
地上構造体600m以上〜1000m未満、
地下深度2000m以上〜4000m未満、
横坑範囲30km〜100km。
BETA生産能力日産800体〜3000体程、ただしそれ程は生産はしてない。
BETA餌供給能力80万〜250万。

宇宙に集めた資源を打ち出し始める状態。



フェイズ6…
地上構造体1000m以上、
地下深度4km以上、
横坑範囲100km以上。BETA生産能力日産3000体以上有り。
BETA餌供給能力250万以上。

フェイズ7…
地球上にはまだ成長しきってなく存在しない為定義はされてない。フェイズ8も同様。
フェイズ9…マーズゼロ相当と定義されている。

というのであった。
この定義が若干ずれたのが横浜基地の元横浜ハイヴであり、
深度のみフェイズ4、約1200mまで掘削されていた。

そして現在日本にはフェイズ4の佐渡島ハイヴが存在し、
佐渡島攻略が帝国臣民の悲願でもあった…


2001年5月22日

== 副司令執務室 ==

「副司令いますか?」

反応があり挨拶しながら入室。

「戦況報告は受けてるわ。で、決戦兵器とやらの実戦報告は?」

「一応纏めておきました」
書類を提出、それを副司令は読み流した。

「ふ〜ん…対Gが一番ネックなのね、あとこの主機のS2機関?」

「スーパーソレノイド機関の略称ですね。永久機関ですが、取り扱いは難しいです。
失敗するとここから帝都までが消滅します

「そんな危険な物、整備士には絶対扱えなさそうね」

「ええ、ですので自分が管理でワンオフか、数機程度かな〜と」

「装甲材は、面白そうね…量産はできないの?」

「超合金zの製造方がまだわかりません。
搭載前提で考えると望み薄いですね」

「この核融合炉は?」

「今のところ燃料取得の目処がたたないので…」

「…使えそうなのが駆動形態と、武器だけみたいね」

「自分一人だと…やはり手が回らないですね」

「とりあえず人員の問題ね…引き続き改造研究等進めて頂戴」

「あ、人員の懸案解決の為に、別世界に行きたいのですが」

「また?今度は何処よ?」

「機動戦艦ナデシコの世界とパワードールの世界で、目標は木連の作業ロボット、コバッタ、
自動工場、通称プラント、及び燃料技術取得です」

「色々欲張りね」

「まぁ人手が足りないというか、B55に整備士が「整備士は駄目、消滅したくないもの」ですよね。
他にも超合金Zの製造方法発明と、もう一つ、核融合炉の燃料不足なので代替え技術を」

「バッテリーじゃ駄目なの?」

「現用のだと、作った機体の稼働時間が3時間程度です」

「わかったわ…期間は?」

「木星とかもろもろで「なんでもありね」一、二週間位かな?と」

「わかったわ…できれば、5月29日は途中でもいいから、基地にいてね。面白い事あるから」

「なにかあるんすか?」

「いいから」

「わかりました」

「じゃあ、いってらっしゃい」


カオルは世界扉となえ…

=パワードールの世界=

「到着〜っと」

パワードールの舞台である、
惑星オムニ…

西暦2282年5月、広域探索機が偶然発見した、
唯一の植民可能な惑星であった。

大気組成等はかろうじて地球と同様…およそ60光年の距離にある。

人口爆発の危機に陥っていた地球はすぐさま移民計画を立案、移民船団の建造に着手した。
第一次移民船団は間に合わせであったが完成した。
亜光速長距離世代交代型の移民船団…
地球を出発したら片道切符の最後の別れであり、移民船団に選ばれた人々は強制抽選であり、拒否権は認められなかった。
人生最後の友人との、妻との、子との、親との別れを収容先の強制収容所で過ごし、そして移民船団は出発した。
成功確率は無きに等しい。
すぐさま第二次移民船団の建造に着手された。
移民計画は先行移民船団がコールドスリープ解凍施設を建造できるか?にかかっていて、

世代交代型も建造できてあと3つの余裕しか今の地球にはない。



その後コールドスリープ式の移民船団が建造されてく。
最低限の消費物資であり、それなら地球にもつくる余裕があった。
コールドスリープ式移民船団に選ばれた人々はやはり強制抽選であったが、
家族単位で選ばれ、また増員も認められるようになった。
その結果次発にズレ込む事もあったが、ある程度は認められる。
ただし多くが貧民層であり、策略があったかのように思えるが、反論はできなかった。

軽犯罪者でもこの時代は人口問題上死刑になっていたからでもある。
まだまだ人口問題が解決つくには沢山の人々を収容し送り出さなければならなかった。

……

時は流れ…第一次移民船団はおよそ160年の歳月をかけ、いくたの犠牲の元到着。
先行移民により、オムニは後発の地球移民を受け入れられるように改造されていった。

後発の移民船団は160年の年月をコールドスリープにより到着し、解凍施設で解凍され開拓移民へと加わっていく。

西暦2482年、首都オムニシティ…首都というのがまだ厳しかったが、オムニ連邦政府が樹立した。

この頃地球は人口問題がある程度解決がつき、オムニへは軽犯罪者の流刑地として送り出されていた。
2282年頃は万引きでも人口問題上死刑になっていたからましな政策ともいえるかもしれない。

しかし、西暦2532年超光速恒星間航法技術が発表されると、地球政府は移民計画を変更する。
時間がかかる遠隔地の為オムニを独立放任とする1独立国として認めていたが、
地球政府の直接管理下におくための使節団20名と、100万人もの兵士を送りこむ事を決定した。
勿論オムニ政府に対し何も通告無しに決定された事である。

先遣使節団は先遣兵士団と共に惑星オムニに到着、独自の行動をとり、自前のコールドスリープ解凍施設を建造しながら、
惑星オムニに対して隷属交渉を行う。

西暦2535年、
60光年の距離を一ヶ月まで短縮した地球政府は続々と兵士をコールドスリープにて送り続け、
オムニにおいて戦力を増していた。

地球とオムニの緊張は爆発し、
後のオムニ独立戦争を引き起こす事になる…

そんな世界観であった。

そして、オムニ独立戦争の立役者となるのが、オムニ軍にて開発した最新型8m級人型機動兵器、
パワーローダー、X3Aを扱う女性パイロットだけの特殊部隊…ドールズが編成された。
通称パワードールの誕生である。


さて、何故8m級人型機動兵器が主体のこの世界か?というと、
時代と地球、技術にポイントがある。

西暦2535年…つまり化石燃料枯渇がデフォ。
石油、ガス等のエネルギークライシスを、
経験しているだろうと想定していた。

必然的に次世代エネルギーの系統は…

1、核融合に発展。

2、水素エネルギーに発展。

3、太陽光エネルギーに発展。

4、その他未知なるエネルギーに発展。

5、原子力のまま?

1と3と5に発展した場合、バッテリー技術やそれにともなう小型化が予想される。

車等もバッテリーによる電気駆動だろう。
まさに理想的?でもある。


だが2の場合は現有技術からも考えられるように、
水素エンジン等の発展も予想された。

4の場合は想定外、予想もつかない。


さて…発展の話はおいといて、何故パワードールか?にもどそう。

パワーローダーの動力はバッテリーで動いている。

だが…侵攻作戦のおり、
原子力発電所を強襲する作戦がとられた事に注目していた。

このパワードールの世界は核融合がまだ確立せずに、
超光速恒星間航法が確立した。


つまり1や4はありえずに…

2または3と5の複合…

太陽光エネルギーの利用、
または水素エネルギーの利用、
原子力のままが地球では行われていると想定された。

そうなると車に関してはどうだろう?

5、原子力の小型化は?


まずありえない。不安定な制御で、自信もっていた発電所でさえあのしまつ。

それが原子力自動車等で1億台もの小型発電所があったとしたら?

その答えは、あっちで交通事故で放射能撒き散らし、
こっちで自損事故でまた放射能。
その惨状は軽く予想できるだろう。

必然的に残る道筋は車等には、
水素エンジン、
バッテリー駆動…
この2系統しかない。

そう考え、地球が残存し、未来時代、技術から考え、
パワードールの世界を選択したのだ。

……

「あら?ここオムニ?」

少し自然がすくなすぎと感じていた。

都市の片隅に到着したカオルは、
ハッキングし現在地を確かめる事をする。

(地球か)

オムニではない。

(ま、目的技術はこっちが好都合か…けど)

オムニに開くよう世界扉を唱えるが…
開かない。

(地球に楔うっちゃったかな?
オムニは楔もっていかないと駄目かな?)

と結論つけ、行動にうつす。
オムニに楔を持って行きたかったのが、優秀な作業機械でもあるパワーローダーの取得もしたいな…
と思ってもいたからであった。

都市内で路駐している車にタッチ、手から侵蝕すると…
(水素エンジン車!)
次々路駐や駐車してる車にタッチしてもガソリンやバッテリー等ではない。

待望の水素エネルギーが発展した世界である事がわかった。
(じゃあと…まずは)
楔打ち込む為に…

……

軍用宇宙港…

今ここではオムニ侵攻の為の巨大超高速輸送船が出発準備に追われていた。

兵士達は船を動かす2名以外、
すべてコールドスリープにて送りこまれる。
その輸送船に取り付き、世界扉の楔を打ちこむ。


さて一つ…何故すべてコールドスリープにて…をいれておこう。

一ヶ月の期間を食事も満足に食べさせ、排泄をし、
生活環境を閉鎖的空間で行う…

一ヶ月一人が生活するのにどれくらいの量が必要だろう?

まず最低限必要なのは、水、空気、食料であり、積載しなければ死出の旅に…になるのはわかるだろう。

現在のNASAの技術で算出すると、1人が1ヶ月生活する必要物資量は1t強、水空気を再生し、また食料として消費する量だ。

ただしあくまでもその数値は人が缶詰になり、排泄や運動を行うスペースがない数値になっており、
第二次大戦当時の輸送船並みの悪い環境下でも人の大体5倍程のスペースがとられている。

一人ならともかく1万人、10万人規模の船で一ヶ月再生技術ありで生きて生活するなら、
膨大な消費物資及び膨大な環境スペースが必要になる。

また膨大な計算に基づき消費物資を計算しなければならない。

万が一足りない等をおこすと…宇宙版のカルネアデスの板を起こすだろう。

冷たい方程式だ…

トム・ゴドウィン現作の小説であるが、

ある惑星で大規模疫病が発生していた。
体内に血清をうちこんで抗体をもつ人物が6名選ばれ、
できるだけ急いで行くために、ぎりぎりの燃料を積み、食料等もぎりぎりに切り詰め、5名はコールドスリープの状態で緊急発進艇は出発した。
そこに密航者の少女が現れた。

密航者はどうしても兄に会いたい一心で罰金を覚悟し船に乗り込んだのだ…

彼女を助ける為には、大規模疫病の発生している惑星行きを諦め船を戻すか、
パイロットを含め血清をもつ6人が死ぬかしかない。

彼女は両親や兄に手紙をしたため、兄と無線で会話を交わすと、
自ら彼女はエアロックへと…


こんな悲しい物語にならないように大量の消耗品が必要であった。

そこで…考えられたのが短期間でも大量の兵士達をコールドスリープ状態にし、現地にて解凍させると…

あら不思議、荷物としてつめて積むだけで、
余分なスペースをとらずに10万人分の水空気食料も必要なし、
さらに空いたスペース兵器類を積むことができるようになる。

これにより少ない長距離艦船にて多数の兵器
、兵士がおくれる強力な兵站が確立し、
現地生産施設をもたなくとも、膨大な物量で圧倒する事が可能になる。

現地生産施設をもたない場合、
または劣っている場合、
とにかく輸送上での消費を抑えこむ必要があり、
食料、弾薬、燃料…それらを全て地球でまかなう手段である。

……

船に楔を撃ち込んだあと、喜々として技術取得にまわる。

水素燃料精製プラント、
水素燃料スタンド、
太陽光発電所…大気圏外にもあった。

軌道エレベーター施設等など…


3日目…

技術取得に満足してると、
街頭ニュースが流れる。

楔を撃ち込んだ輸送船が出港したらしい。

世界扉を開いて輸送船にでる事を確かめると…無事船内に開く事ができた。
兵士達が死人のようにつめられて眠っている。

(惑星オムニ側はこれで一ヶ月後か)

地球側の技術取得も満足し、
世界扉を開きナデシコの世界へ…

……

カオル報告

水素技術
太陽光技術
軌道エレベーター技術
地球軍技術
恒星間航法技術
コールドスリープ技術

色々と満足でした。




後書き

H24年4月9日改稿

規制前はナデシコトリップでしたが、
改稿時に水素がどうしても必要であり、
この部分にパワードールの話及び水素技術取得がはいりました。

地球軍の設定、水素エンジン車両だっけ?
とパワードールやる方は疑問に思うかもしれませんが、
オムニ星でのオムニ車両は確かにエンジン音がしてます。
豊富な地下資源を利用できるでしょう…
ガソリン車の可能性大です。

ですが地球本星は既に枯渇して、
太陽系の他惑星から運ぶしかない…
つまり化石燃料はない…
と考えられます。

という考察からです。

早く水素エンジンもっと普及しろと言いたい…
飛行機の燃料サーチャージもバカにならない、
ガソリン代もばかにならない…
かといってバッテリー車はおばあちゃんがクラクション鳴らさないと絶対気がつかない、
走る暗殺車の時代になります。

H25年1月改稿



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