前書き

予告してた21日投稿ですが、改稿をギリギリまで行っていて、
間に合いませんでした。
次話からまた2日おきに戻ります。
第232話『GPM熊本戦編1 学兵投入』


2002年7月25日

朝起きて昨日後回しにした事柄を…

今までカオルが入手した機動兵器は、
亜光速戦未対応の宙間機動兵器や亜光速戦対応の宙間機動兵器に大まかにわかれる。

デブリ戦を得意としているのが亜光速戦非対応機である。
理由としては月面軌道までなら、30万/skmの光の速さでなら月まで1.3秒、10%の亜光速でも13秒…
月軌道上にコロニー等建造物が多数あり、
更には地球の衛星軌道上に建造物多数ある状態で、10%の光速だそうものなら、
たった13秒で到達するのにどう障害物をかわせと…

本人が出すつもりなくとも戦闘被害などで暴走してエンジンが停止しないケースもあろう…

敵を探している間に気がついたら月にぶつかる、
地球の大気圏に突っ込む、コロニーに突っ込んでしまう…
往々にあると想定できよう。

もちろんそんな速度では戦闘を行えない為、
速度を落として戦うが…

火星を考えると光で最短4分、最長20分でありある程度は速度がだせる。

大気圏内では空気の抵抗もあり、マッハの到達も機体形状により容易ではないが、
ここではおいておこう。

そして異世界軍の定義の中での話になるが、
亜光速対応が光速の1%の速度において…時速108万kmの速度に加速し機動戦闘が可能かどうか、
また光速の30%以上の速度を出す目標について、
正確な戦闘行為、射撃命中等ができるかどうか…
この2点にしぼられている。

昨日に異世界艦未改造艦でのシミュレートをあげたがワンオフ機ではなく量産機ベースでの機動兵器も結果はでていた。

ギリギリ及第点のマクロス世界から来たVF-11を基準に様々な亜光速対応機と対戦してくと…
更に月軌道内戦闘の減速戦もおこなった。

何故VF-11かというと、マクロス世界での汎用機代表ともいえ、
生産機数でも1番だからだ。
VF-1は除外として、VF-171は?と思うかもしれない。
だがAIF-7Sの補佐役の任であり、パイロット総数は軍においては、
2040年代の方が勝っていたぐらいであった。


まずはスティルヴィアからケイティ…辛うじて亜光速対応であった。
バッテリーが持たないので長距離単独移動は無理だが、亜光速貨物船から発進してまた帰還ができる能力がある。
片道2週間と光速の1%以上の速度をだす船からだ。

対戦結果は1対5で勝率50%台となる。
対人類戦をこなしてないならそんなもんであろう…

次にOGの世界から…バグス=メギロードがエントリー。
エアロゲイターの先兵たる機動兵器で、
外宇宙戦とよべる冥王星機動上戦ではそれまでの地球兵器でははがたたなかった性能だ。
低速にならざるえない月軌道内戦に持ち込まれたこそ地球側が善戦したといえよう…
外宇宙戦ではVF-11とバグスは6対1で勝利50%とかなりバグスに有利だが、
月軌道内戦は逆転し1対3で勝利60%、1対4で切る結果にはなる。

バグスならAIF-7Sゴーストと対戦の方が良いかもしれない。

ゴーストとバグスの外宇宙戦は1対4とゴースト有利で、
月軌道内戦は1対21で圧倒的な結果になった。

勿論ワンオフ機や試作段階なら亜光速まで加速できるのはいる。カリオンとか…
次の結果へと。

ヤマトから…、コスモ・ゼロ、ブラックタイガー。
最高速設定がマッハ14、マッハ7と戦闘速度に落として戦闘する設定にはなっていたが、
実際に作ってみるとそんな事はなかった。

まず単独での大気圏離脱が慣性制御によらずとも可能で、
亜光速での戦闘行為可能と…その性能ぶりは外宇宙戦で結果があらわれた。

対戦結果はコスモゼロ外宇宙戦9対1、月軌道内戦1対1で勝率40%。
ブラックタイガー外宇宙戦6対1、月軌道内戦1対2で勝率36%の数値がでていた。

この二機種にはVF-11では力不足で、VF-19やVF-25でないと駄目だろう…

外宇宙戦でバグスと対戦すると意外にバグスが善戦し対コスモゼロ1対1で勝率41%、
対ブラックタイガー1対2で勝率45%だ。

銀河鉄道物語からは、スペースイーグル。
車両の中に主翼を折りたたみ収納されている汎用戦闘機だ。

対戦結果は、外宇宙戦10対1、月軌道内戦3対1とやはりVF-11の力不足が目立っている。


銀河英雄伝説からは、スパルタニアン。
帝国軍側にワルキューレがあるが成績有利なスパルタニアンで行った。

対戦結果は対スパルタニアン外宇宙戦5対1で勝率46%、月軌道内戦2対1で勝率42%。

スターゲイトも忘れてはならない。
バトルジャンパーがエントリー。

対戦結果は13対1で残弾不足で勝負つかずドロー。
月軌道内戦も同様だ。
勝率が表れてくるのが18機目から…
バトルジャンパーのドローン使用不可の条件なら6対1から勝率がではじめてくる。

遊びにいくよからルーロス。
武装が無いのでエリア範囲内で1時間逃げ切れるか?の判定になるがになったが…
対戦結果は50対1で勝率15%となった。
かわせられない弾幕下でないとVF-11は勝てないと…

ルーロス最強となったが生産手段が同化のみに限られている。

さて約不足だったVF-11に変わり、
VF-19やVF-25だと…
残念ながらまだ結果が出てない。1000回対戦して初めて勝率をだすので間に合ってはなかった。

次に…

[現在宇宙戦力として…]
恒星系内警備隊用のリオデジャネイロ級やカサブランカ級、アームド級は基本戦力外の為除いた数値で、
更にコロニーレーザー攻略艦隊が5艦隊10基編成、
強襲機アマテラス攻略艦隊が2個艦隊存在するが、
惑星攻略に限った戦力であり、対宇宙戦闘艦種には入ってない。
またテスト試作艦や入手艦等であるSDF-1マクロス、ハタク等も入れてはない純粋戦力数値であがる。

[現在、ヤマト級が58隻、建造中が121隻。
ヤマト改が2隻。
ウラガ級19隻、建造中が42隻。
改マクロス級5隻、建造中が10隻。
バトル級3隻、建造中が10隻。
クォーター級2隻、建造中が10隻。
いずれもハイパードライブ搭載等バージョンアップ済みだよ]

今年の2月11日に進宙したヤマト級、
様々な改造を施され対宇宙戦闘種用の主力戦闘艦として建造されつつある。
またヤマト改級はニュートロリウムジュネレーターとシールド発生機を組み込んだものであった。

「ハイパードライブは時速400光年だよね?」

[うん。そうだよ〜]

これによりベテルギウス宙域内なら地球から、
端まで5時間の距離で到達可能な宇宙戦闘艦隊が、
いよいよ結成する事ができた。

後は単純に練度の問題になるが、コバッタ達に全体的運用を任せている以上、
人は乗っているものの個々の操艦運用に関しては心配はしていないが、
艦隊運動に関してはまだまだであろうが…次の報告に話が進む。

[で、建造施設だけど…]
前回の報告から約3ヶ月の間に…
[ルナ1が50%稼動で404隻分中202隻分の建造ドックが稼動、
ルナ2も設置し工事に着手しているよ。
現在4隻分建造可能。
ルナ1はバトル級等の2km艦船クラス建造可能、
ルナ2は4kmクラス建造可能にしてるよ]

ルナ1、アステロイドベルト帯で資源採掘したのを再利用した小惑星建造ドックである。
最大直径113km。内部に2×1×1用の建造プラットフォームが敷き詰められている。

ルナ2は最大直径104kmの楕円状の小惑星であり、
内部は既に空洞状態で工事がすすんでいる。

[月面基地だけど]
元ハイヴ跡地を利用した地下基地。
艦船の駐留をメインとした運用をとっており、
建造ドックは5km級艦対応10基に抑えてはいた。

「自動工業衛星は?」
マクロス世界からもってきた12基と新造の1基があり…
[20kmクラスの機動兵器用衛星は3基とも稼動状態、
100kmクラスのは新造が8月頭に出来そうだよ。
中古のはまだもう少しかかりそう]
ゴーストや、VF-25A等を大量量産しているとの事だ。

「建造施設は今のとこ地球圏に集中しているな…」

[うん。だけど、この後の建造施設についもハイパードライブがあるから、
一局集中が運用しやすいとおもうよ]

「だよなぁ…」

時速400光年の超空間航行、制限なしを既に達成済みの異世界軍、
更に時速上昇も見込め、
[あと各種施設にハイパードライブ等も取り付いけたし]
更に万が一の待避も月面基地以外は想定し可能にしていた。

「ところで…艦艇駐留場所は月面基地だけでたりるん?」

[4ヶ月位は1000隻分なら大丈夫だけど…
それ以降はキャパオーバーする予定だから、
オーバー分の駐留施設に、新規施設を建造中だよ〜]

警備艦クラスは月面基地を利用してなく、各コロニーに駐留している為別枠だ。

「どこに新規?」

[アース4とアース5にね〜]

「どういったの?」

ステルヴィアタイプの様な10kmサイズの都市型宇宙ステーションを基軸とした、
編み目状の組み上げ式駐留施設であった。
編み目状の連結を増設すればアース4、5でなら最大50万隻対応可能で、
緊急時には編みをパージして全艦緊急稼動可能との事だ。
「成る程な…」

[あ、マスターオーロラ級の研究繋留プラットフォーム準備できたよ〜]

「お、じゃあ置きに行くか…」

……

アース4宙域に出ると…ルナ1とルナ2がま近に見える。
コロニーも多数見えるなかプラットフォームに案内され…
オーロラ号を留置する。
[キャーティアシップが作られない限り今現在最強戦艦?]

『かもな〜』

[修繕急ぐね〜あと研究も…見積もりしなきゃ]

……

B55ハンガーに戻り…
「じゃあ…やる事やったし…」

[マスターまたどっかに?]

「ああ、優秀なのをね〜ってできてる?」
頼んであった大量の擬体セット…
[できてるよ〜20万セット、
あっ、マスター、今までの分の返却して。バージョンアップしたから]

「バージョンアップ?」

[そそ。今までの擬体は崩壊し腐敗しなかったでしょ?]

「ああ…確かそうだよな」

4日もすれば白骨化するが、
腐敗が始まらず崩壊の為に途中経過の状態で発見されると違和感がある。
つまり途中段階の死班や腐敗水泡等がなく、
何故腐敗がない?に検死官が思ってしまうからだ。
また死亡時期も疑問になってしまうだろう。

なので擬体使用時には、焼かれるや、爆破される、溶かされる、焼かれバラバラにされる状態の者を選別しできるだけ救助していた。

[今回のバージョンアップで、人体と同様に腐敗が始まるようになりましたぁ]

「あ〜…そこら辺がばれなくなるのか…」

通常の死体と同様に、死後30分で死班が現れ、
半日もすれば口腔内から腐敗臭が出始め、死後硬直も最高になり、
24時間後には腹部の変色、腐敗も始まり、3日もすれば腐敗水泡が表面にでる。

そして、3ヶ月でミイラ化、約1年で白骨化、軟部組織の消失3〜5年、
骨の乾燥化で脆くなる状態まで10〜15年かかり、
つまり選別する必要がなくなる話だ。

[…あと優秀って?]

「ああ、第6世代さ」
ガンパレ第6世代はパイロットとしても優秀であるが…が、

[ガンパレ?…そろそろ歪みがってなかった?]

「だからまた違う時系列な」

[えっと青森、山口…ときて?]

[アメ…じゃなく九州さ]

[九州…この世界は壊滅したからね〜]
現在、帝国が計画にそって区画どりをしインフラ整備中。

土地をもってた人々が殆ど死亡し…産業もまっさら…
生き延びた人からの土地権利購入もうまくいってるとは聞いている。

[で、九州って…]
前回、ガンパレの山口戦にお邪魔したが、そこに至るまでは九州戦を語らなければならないだろう…

何しろ九州戦で多大な犠牲をだし、貴重な時間を稼いだから、
山口戦の岩国要塞で盛り返す事ができたからだ。


それで九州奪回戦でぎりぎりながら逆転の一手を撃てたから、
同盟幻獣という貴重な戦力が生まれた。

そう、九州撤退戦時に沈んだ約5万の学兵の犠牲があったから…また九州の地には230万の民間人、40万近くの軍人が眠っている。

カオルはまた学兵、第6世代という優秀な人材を取得しに、
ガンパレの世界へと向かっていた。

やはり骨格からして対Gに優れる創られた人類であるかれらは、
元が優秀であるため育て上げれば非常に優秀な兵士に育ちあがる。


ただ、ただである。青森の時と九州では学兵の覚悟が違っていた。

青森戦線は学兵解散後、本州上陸した山口戦線の事例もあり、
志願制だが学兵制度復活し、育てる為に二線級の警備師団等に投入する等、
心構えから育てようとしていた。

しかし九州戦線は……

==GPMの世界、下関付近の楔==

1999年3月1日下関

1998年八代大会戦…勝利をえるものの、自衛軍は投入した戦力の内、8割36万近くの人材を損失すると失態をおかし、
1999年1月、日本政府はある非情な命令を下す。

熊本を要塞化し、これを中心とした防衛ラインを構築、
本州防衛の為の自衛軍の新兵教育、兵器再生産の時間稼ぎの為、
徴兵対象でなかった全国の高校において抽選による強制召集、
また九州の学生においては全員…
3年生は早期繰り上げ卒業により自衛隊に強制入隊し、養成訓練へ…


現1年2年生及び中学卒業予定者を構成とし、
自衛軍の九州総軍に配属した学生兵士を戦線投入を決定した。

学兵の始まりである。
勿論、今九州にいる学生だけでは足らない。
全国において集められた40万人の学兵の内、九州の熊本へ導入されたのは10万人。

しかし…即席栽培で、一ヶ月半で戦闘に突入する事になり、
早いところは政府発表前に戦時カリキュラムを終了し3月1日に戦線に投入された。
さらに編成が遅れたところは2週間という期間で投入される事になった。

そして投入された10万人の学兵は、政府見解ではたった3ヶ月後の自然休戦期までに……
ほぼ全滅するだろう…との見通しであった。
文字通り自衛隊が育つまでの贄である…

その為装備等支給状況も劣悪、ひとやまいくらで駆り出され、
昨日馬鹿話をしていた友人が物言わなくなるそんな世界である…

そんな非常な見解を学兵達はしらずに、送りだされ、九州の地へと言われるままに上陸する。
明日があるさ…と…

そして…稼働率が絶望的、維持が難しいとして破棄が決まっていた人型兵器士魂号、
この可能性にかけある部隊が発足した。
5121独立駆逐戦車小隊である…

カオルはこの時期に世界扉を潜ってきた。
一路宇宙を目指し…

……

カオルにとって青森戦、山口戦と順次に逆行しているので、
山口戦以降との学兵の扱いの違いをいれておく。

特殊な形になっていった5121小隊の面々の扱いはおいておくが、
山口戦で再召集された学兵は文部省の直轄で管理され、
青森戦以降では管理体制が整い、
教育監督する軍人が派遣されてきた形になっていた。

つまり政府の管理のもと基本無茶な作戦には投入されない。
巡回警備や兵站等練度を必要としない、
また訓練につぐ訓練で自衛軍の教育期間短縮を狙った扱いにもなっていた。

例外といえたのが政府中枢が混乱に陥っていた初期であり、
学兵らで構成する警備師団にも死守命令を連発してた、
東部司令官が更迭された。政府上層部の命令を無視していたのもある。

その前の山口戦でもほぼ後方支援補助等であり、
前線投入されても過剰な装備、過剰な習熟訓練をうけてかつ、
集中運用され混成ではなく、扱いは上々であった。

だが…99年春の九州戦での学兵の扱いは…
文部省の監督のもと徴兵されたが、
管理自体は政府の手を離れ、自衛軍の下部組織として扱われた。

まず学兵は階級は上から大竜師、竜師、準竜師、上級万翼長、万翼長、千翼長、百翼長、十翼長、戦士と並ぶ。

自衛軍階級に相当すると、上級万翼長で少佐、万翼長で大尉、千翼長で中尉、百翼長で少尉、十翼長で曹長、戦士で軍曹にあたるが、

九州戦役当時では自衛軍の下であり、相当した階級よりもほぼ3階級下の扱いで、
その扱いは金額にも現れていた。

住むところは用意され、飯…いや食材だが2食分は支給され、
更に学食がという当時にとって好待遇ともいえようが、

上級万翼長から上は週給20万で月給約80万手当なしで、少佐よりも給料が上になる。

万翼長で週給75千月給約30万手当なし…大尉としては少し少ないレベルだが、

千翼長で週給3万月給約12万手当なし…この時点で二等兵の支給より下だ。

百翼長で週給15千月給で約6万手当なし、
十翼長で週給75百月給で約3万手当なし、
戦士で週給25百月給1万手当なしと…

命のやり取りするには安すぎる金額だろう。
百翼長は部隊を率いる地位にもなるのだが…

一方自衛軍では戦場に出させない訓練兵には3等兵の身分を与え、
前期教育訓練満了後に戦場にでる2等兵の身分が与えられる。
いわゆる新入契約社員で、一定の期間で1等兵、上等兵にあがる。

3等兵には月給8万、2等兵に月給16万が支給され、生き延びて月給18万へと上がる。
勿論3食寮付きで基本給計算だ。

そんな金額で命のやり取りか!とおもうが、
その上給料が貰えるのが、伍長で平常では兵5人率いる立場になる班長あたりが給料はよい。
いわゆる正規雇用社員に採用された身分だ。
軍曹で兵10人率いる分隊長相当になる。

通常給料のよい身分への昇進は、
下士官養成所をへて下士官資格をえる、
または1等兵以上が1発試験に合格するかどちらかだが、

98年の大敗で下士官が大量に死亡し野戦任官、または部隊率いる士官からの任命等もあり、
現場指揮官の裁量に任す形で昇進して、
伍長が大量に発生しそこから叩き上げていく形になった。

元々とっとこ上等教育をうけて早く下士官になれが基本方針でもあろう。

そんな二等兵以下の給料、しかも訓練期間を強制的に終わらされた学兵達は、
戦場にでて命を散らす…


……


あんたがた何処さ肥後さ肥後何処さ…

の童話で有名な熊本県、今は長閑な雰囲気をせずに、市街地をはなれると…

死体があり、破棄車両がそこら辺に転がっている。

ここは熊本要塞、人類絶対防衛の最前線であった…

市民生活がある環境の中の戦場とは異様であるが、
学兵が生活している以上、日常必需品は必要であり、
また後方職員など生活環境も必須であった。

何しろ10万人以上がここ熊本要塞に生活の場をもっているのだから…

だが、兵士推奨が3500kcalに対し、学兵男子は平均1500kcal同女子は平均1200kcalという劣悪な環境下で戦っていた。


……

3月9日曇り

サイレンが鳴り響きここ東海大付属改め、第12熊本高等学校に所属している第112中隊は出陣命令をうけていた。

装備は充実していた。
第1戦車小隊、第2歩兵小隊、第3整備歩兵小隊で編成されている。
戦車小隊は装輪式戦車士魂号Lが4両、
歩兵小隊には移動用に一般トラックが…
整備歩兵小隊には弾薬車、燃料補給車が更に供与されていた。

士魂号L…乗員3名の装輪型戦車。
40口径120mm滑空砲1門、7.7mm固定機銃1、煙幕弾発射筒6を装備。
大きい6輪のタイヤで前後4輪は稼動式、不整地での機動性能を高めている。
路上での最高速度90kmで、自重35t、2000馬力のガスタービンエンジン搭載。

都市防衛用に開発され、熊本がもっているのは士魂号L型の活躍があるから…
ともいってよい戦車でもある。
生産性が高い様に設計され61式より生産効率は良い。
本州にて部品は製鉄、金属加工され、一時期は広島でも組み立てられてたが、
現状下関や熊本市内の工場にて組み立てられ配備される。

戦車と一般トラックやその他車両が支給され足で歩く者はいない…
かなり期待されてる部隊で機動攻撃等にも投与され、そして命令がくだる。

「総員乗車、移動開始〜」

ウォードレスを着込んだ新兵たちが、あたふたとトラックにのりこみ、
士魂号Lにも各員が搭乗してく…

3号車が強烈な排気煙を吹き出し起動する。
『馬鹿!吹かしすぎよ!』

『ご、ごめんなさい…難しくて』
クラッチはマニュアルだ。オートマやセミオートは整備環境ととのった場所でないかぎり、
故障の元でありまたコストが高くなる原因の一つであり、士魂号L型には搭載されてない。

中隊は向かう先は…阿蘇戦区。

『間もなく指定地域よ。各員装備を確認、降車準備』
スピーカーから大音量がながれ、それに反応して各々が武器チェックし始める。

やがてトラックが停車し、
『総員降車!』
一斉にウォードレス兵が車外にでるが、トラックの淵に足を引っかけ転倒するものもいる。

「概況を説明する…この地区での警戒任務だ。
第1小隊は各号車を個々から1km四方に展開し警戒線を構築、
第2、第3小隊は拠点防衛を展開、
可能なかぎり隠蔽を行うように…何か質問は?」

見渡す119名に質問はあがらず…
「散開!」

警戒地域に散らばっていった…

……

『こちら相原、敵実体化しつつあり!至急第一小隊集結せよ!』

中隊長の無線がながれ、

『初撃後3号車は左翼、4号車は右翼にまわりこんで、十字砲火を形成します。
初撃、留弾1斉射よーい』

本来なら後方に展開している部隊に敵情報をもう少し詳しく送る筈だが、
なにもかも初陣つくしで忘れているようだ。
数は中型4小型4であり、実態化し始めている脆い間に打撃を与えるつもりだろう…
「弾種留弾、装填用意!」

戦車小隊の準備が整ったシグナル受信しシンボルが4つ揃い…
「そ、装填よし」

「てぇー!」

砲弾が放たれ実態化したばかりの幻獣に重大な被害を及ぼした。
破片が周囲にばらまき、ゴブリン4撃破、ゴルゴーンも肉片と化し初撃は上々の戦果をだした。

『各車前進、殲滅よ!』
予想を超える初撃に気分良くし、
残るキメラ2ゴルゴーン1に対し前進してく。

後方のスカウト陣地では初撃の戦果に沸き上がっていた。
「すげーよあいつら、今のゴルゴーンを1撃だぜぇ」
遠方で戦っている第1小隊の勇姿を一目みようと、皆が乗り出していた…

……

初撃を与え優勢になったものの、更に後方で実体化し、
第1陣は撃破したものの、
第2陣殲滅に第1小隊はてこずっていた。

……

「うわぁぁぁ」

ヒトバウン、幻獣種の中でも最弱に分類される物に警戒ラインにいた偵察兵が、
長い長い舌で絞められて宙に浮されいた。

浮遊して無音で素早く忍び寄る…浮遊するからには耐久性は最弱であるが、
無警戒の背後から忍び寄り…
第2、第3小隊の展開している場所で…兵をしめていた。
それは奇襲の成功を意味していた。
戦況共有警戒システム、他人の視界による警戒を共有しあう多目的結晶を利用したシステム…
要はゲームでのクォータービューのようなものを信用しきった結果であり、
全員が全員華々しい戦場に視覚をむけ警戒を怠っていた事による必然ともいえた。

「く、くそぅぅ」
カトラスを取り出し舌を切り取ろうとしてたが、
それよりも早く舌をしまい大きな口を…

ザクリ

胸から下が血を吹き出しながら崩れていく…

胸から上を咀嚼するヒトバウンの顔が徐々に変化していき…
やがて見覚えある顔へと…
それだけでも新兵達にショックだが、さらに聞き覚えのあるいや聞けない筈の声が…
「…殺してくれ…」
「や、やだぁぁぁ」

「俺を殺してくれ…」
「うわぁぁぁぁ」
アサルトライフルの乱射音がし、数発が顔に命中する。
「痛い…ちゃんと殺してくれ」

「いやぁぁぁ」
友人だったろうものが撃ち込んでく…
「あいつら許せねぇ!」
怒りに任せ統制のとれない攻撃に…

残り119名…

場当たり的な攻撃によりヒトウバンは宙に浮いていられず地に落ちたが、
「殺してぇ…ちゃんと殺しくれぇ」

なおも呻き続けるヒトウバンに更に集中放火を浴びせ、消滅させた。

歓喜に沸く歩兵小隊。そこに…
ヒュュュ
生体ロケットが撃ち込まれ、周囲に強酸を撒き散らした。

奇襲組ゴルゴーンからの一撃だ。

「ぎゃぁぁぁ」
人間の発するものとは思えない悲鳴を上げ、地面を転げ回っていた。
彼女の身体からは白煙があがっていた。
既に美しかったろう髪は溶け、頭皮もだらりと禿げはじめ、
その美貌も判別できなくなり、
身体からポトリと耳?だろう落ち、ジューととけていく…

その回りも同様な状態であり、あまりの凄惨さに生き延びた者も助けようとも動けなかった。

既に事切れ始めた者もいはじめ、
「に、にげろぉ」
ゴルゴーンが二射目を放つのを目撃した一人が声を放ち、
蜘蛛の子の様にわっとちってく…

次弾は炸裂タイプであった為、逃げ遅れたものを巻き込んで炎を撒き散らした。

「て、撤収ー!負傷者収容し、遮蔽物のかげにかくれ、戦線立て直す」
小隊長からの号令がかかり撤退するが、ろくな援護もない潰走であり、
遅れたものは小型に襲われ被害をましていた。

遮蔽物のかげに隠れ援護射撃をしようにも、
まっすぐ撤退する者が邪魔になり射撃ができず、
小型級に追いつかれ白兵戦をする羽目に陥いった。

「駄目だ、撤収!!」

更に後退を続ける歩兵小隊、既に半数以下にみえ…

そこに、
『遅れてゴメン!射撃するから伏せて!』
とスピーカーを喚き散らして第1小隊が突入してきた。

120mm砲が放たれ、ゴルゴーンに命中し、続いて僚機が車載機銃で小型級を蹴散らしてく。

騎兵隊の如くきた士魂号Lに皆が皆かけよってく…

『なにやってるんだ来るな、離れろ!』
まだ戦闘機動をとろうとしたのに、
歩兵が前後左右につめよっては行動できない。

素人が思いこむと、安全な盾から離れようがなく…
足止めされた。

『やばい、ゴル!!』

『全車防御体制』

比較的動けそうな3号4号車がアクセルを吹かし急発進す…
『なっばっ!』
車体前に一人の歩兵が文字通りひかれた。
『かぁ…』
士魂号に乗っけてくれとアピールしたかったのか今ではわからない…

更に悲劇が襲い掛かる。ロケットが発射され士魂号Lを盾にすべく張り付いたのだ。
『早くこいつから離れろ!』
だが離れる者は一人もいない。
へばりついてた士魂号Lにミサイルが当たるがリアクティブアーマーに反らされた。
だが、「ギャ」
最後まで言えずに吹き飛ばされた歩兵はミンチになっていた。

『ばかやろう…戦車の傍にいたら…学んだろうが…』

教わったのは1回限りであり身についてなかったようであった…

『離れろ!戦闘させてくれ!』
小隊長、副長を失い烏合の衆と化した歩兵隊をなんとか引きはがし、
幻獣を殲滅せんと士魂号Lは動き始めた。
残るはミノタウルス2、キメラ2、ゴブリン6ヒトウバン2であった。
本来なら対抗できる武器を歩兵小隊ももっているが、
期待しない方がよいだろう。
残り69名…


ミノタウルスに近距離で3号車の砲弾が炸裂した。
ミノタウルスであっても無事ではなく、のたうちまわっていた。
「しつこいわね!」

留めをさそうと更に近づくと…
ガン!

「え?え?」
何かに乗り上げたように動かなくなった。
タイヤが回転を繰り返すが踏ん張りがきいてない。
本来6輪あったのが此処までの戦闘で4輪になっていたのも理由がある。

『3号車後方キメラ!』
見ていた歩兵からだろう通信がはいる。

「に…、にげー」
生体レーザーが格好の目標をつらぬいた。
装甲の薄い背後から…
3秒後爆炎をあげていた。
脱出者0…

……

戦いはおわった。

生き残ったものはできる限り死者をつれて帰らねばならぬ。

トラックの前に死体回収袋がいくつも並べられ、
認識標のみ回収もある。


戦力評価的には、
士魂号L…2両損失、乗員4名死亡2名脱出。
その他歩兵隊整備隊含め71名死亡、
トラック3両損失。

幻獣側全滅。
戦果中型10、小型45。

全滅はさせたものの、事実上大敗であった…

2週間の即席栽培と一週間の猶予があったといえ、
初陣の学兵をこの後激戦区と化す阿蘇戦区に投入した結果であり、
ごくごく当たり前の光景だったかもしれない。

書類上だけの存在にならなかっただけましだといえた…

……

中隊戦力は半数以下に下がっている。

戦力再編され歩兵1個小隊及び、補充され戦車小隊になるだろう。

油断がありながらも一戦を生き延びた事が貴重な経験である。

使い潰され、書類上の存在になるまで、彼ら彼女の道は他にはなかった。

自然休戦期まで残り2ヶ月…


……




寸劇風後書き

作者「という事でガンパレ九州熊本戦編突入へをお送りしました〜」

ナギ大尉「その前に戦力面をいれてるみたいだけどね…
404隻分のドックね〜」

作者「流石に113km級の小惑星なら…その位余裕だよ。
2kmを単純に一本直線に敷き詰めりゃあ56のブロックだし」

ナギ大尉「構造的強度は?」

作者「宇宙空間で、基本ハイパードライブ移動、
プラス内部にシャフト構造だし」

ナギ大尉「……まぁいいわ。でガンパレ編ね〜…
20万人の第六世代を救助?」

作者「そこまではいかんさ詳しくは次回でかな…」

ナギ大尉「次回ガンパレ九州熊本戦編、水煮活猫…サブタイトル本当にこれでいいの?」

作者「ああ…問題ない」

ナギ大尉「まぁ…そういうなら…
じゃ、お楽しみにぃぃ…完結まであと?」

H26年3月改稿



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