第012話 惑星コムネス編03 惑星コムネスへの救援


空飛ぶ金属の昆虫が私の前から、街の方向へと飛びさると、

ボボボゥゥゥゥゥガッシュガッシュガッシュガッシュ

奇妙な音をたてて異物と言うべきでしょうか…
腰を抜かして動けない私の方へ向かって生物でないのが空から接近してきます。
何かをなびかせてる鉄の異物、そして馬車らしき物がつらなり…

馬車はわかります。
私達にも馬車はあります!!

荷車でしたら…大体の庶民は維持コストのかかりにくい2輪荷車を所持しています。
街中での買い物の際に多様しているもので、
避難の際にはより家財を多く運べますが基本庶民のは人の手で引っ張るや押すであり、移動速度は落ちます。
また道から外れると車輪がとられるかもしれません。

交易商は道が整備されてたら馬車を使います…
ですが東方ではあまり条件がよいとはいえず、荷馬にて交易していると聞いてます。

ですが…空から落ちない馬車…
ワイバーンにつってもらってもない状態で重力に引かれなく、
1列にそろっている空に浮かぶ?牽引されてる連結されている馬車をみるのは初めてです。

もっともワイバーンの数は少ないのも事実ですし、馬車は馬を維持するコストがかかり、常用的に必要とする、
大量輸送を行う農作物を納める村や、交易商人以外は基本は所持してません。


ガッシュガッシュガッシュガッシュ

私の頭上を通り越して…

皆が皆ポカーンと見上げてます。
ポテ
座っていた子供が頭を支えきれず背中から地面に落ちた様です。
大人達は180度身体を回転し見上げ…そして首の角度を下ろしてきます。

空飛ぶ馬車は地面へと降りてきます。

キィキィキィキキキィィィィ

金属がでしょうか…擦れる音をたてて空飛ぶ馬車が動きをとめました。
プシュー
その空飛ぶ馬車の先頭の足元から煙…いえ、水蒸気が発せられ、
私たちは重傷者を救助するのも忘れ異物に視線を集めています。

馬車のドア…ですよね?が、開くと美しいミア…
服といっていいのか解らないデザインのボディラインが浮き出る服を着ているミアが出てきました。
私達では革鎧位でしかボディラインが出る服をきません。

あと…求婚行為をしているダリが!!

……それとも当たり前なのでしょうか?
ダリが皆が皆、上半身裸です。
丸耳族でも見たことのない髪の色をしてますし、異文明みたいです。
ミアもよくみると丸耳族です。

私達の文化ではダリからミアへの求婚は上半身裸になり手を差し出して、受けるなら手首を掴む、
受けないなら手を払い除けるという風習があります。

あとダリが…全て同じ顔をしている様に見えます…
十四ツ子ですか?

空飛ぶ金色の金属の昆虫には驚きません!!

ミアが今も唸っている者に近寄ります。
何かを翳すと光が出て…何かを取りだし身体に押し付けました。
すると痛がってた者が唸りを止め楽な顔になりました…

(まさか治療?)

私たちの治療は基本は手足を切り落とす固定する、止血する、薬草を外部に使う以外にも、
頭蓋穿孔、瀉血や、内服薬…薬草を粉薬にしたり丸薬にしたり、水薬で飲むあたりです。
開腹手術は焼きごてでの止血が基本の為、殆ど生存しません。激痛に耐えられない為と言われてます。

そして黒い服をきてないので医者ではないと思ってました。

ダリの方は…背中に何かを担いでいます。背中から紐?がのびて筒を持ってます。
その筒を横たわっている動かない者…死亡しているのでしょう…へ向けると…

プシューーー
白煙が噴き出しました。一瞬で死者が見えなくなり、煙が晴れると…

氷柩ができてました。

(えっ?)

一瞬で氷柩できた事が驚きですが、私達の埋葬の仕方、北の死者の国の文化を知ってるとは…
ダリは死を運ぶ者の様です。

動かない母親にすがり付いている子に離れさすようにしているのが金色の昆虫の役目の様です。
子が剥がされるとダリの手元から白煙、氷柩ができ、
ママ、ママ!!と子は氷柩に抱きつき…あまりの冷たさに身体離れ…

生と死を運ぶもの達…それが私から見た言葉の通じない彼らの感想です。


…………


カオルが通信会議をおえ通信室からでてきた。

まず今回ワプスとよばれる小型銃器搭載型エアロスタット=飛行型小型ターミネーターが活躍し、
突撃級の背後から、5.56mm機銃を多数浴びさせ動きを止めさせた。

B1にいたのは敵性飛行生物がいた場合に備えてであり、
実質上この惑星コムネスで始めて実戦投入された。

ただし5.56mmであり、全体的に少し硬めといった要撃級に対しては内蔵マイクロミサイルにて対応…単発のみだ。
24匹では分隊規模だから殲滅できたが、小隊規模なら絶対間に合わない規模の戦力ともいえる。また光線級がいたら…になるだろう。
それ以上の規模ならB1の音速突破の衝撃派攻撃が必要だったかもしれない。

[マスター、ビッグワンを降下させて、治療にあたらせたよ〜]

B1の惑星探査編成には上記のワプスほか、セクサロイドが2名、T-850が14名ついて、かつコバッタが16名ついている。
武装はあくまでも空間光分距離戦闘用であり戦闘車両主砲は惑星を貫く威力があるために使えない。
だが対宙機関銃程度なら護衛になら使えよう。

セクサロイドは情報処理、採取、治療等のエキスパートで、戦闘面以外では大活躍といえよう。

他にはセクサロイド達の地上移動手段としてロケットアシスト付きバギー車載車輌は連結されてるが、
スペースイーグル格納車は惑星探査編成では連結はされてなかった。

[現地から医療艦派遣の要請はきているよ〜]

知っての通りB1はあくまでも列車型であり横幅は客車サイズに収まる。
なのでレスキュー車サイズとも言えよう。

異世界軍の誇る医療カプセルを多数積載すべきだが、スペースをとるため難しく、
探査編成では2両に6基だけ搭載している。

医療カプセルは、スターゲイト世界のゴアウルドの石棺を研究し、もともとの性能がアップしたもので、
脳が無事なら死者さえ蘇らせる…が、時間制限はある。

人間は心臓が停止し、血液が供給されず脳が酸欠になり5分で大脳皮質の脳細胞の大部分が死滅する。
心配呼吸法でいわれる5分のタイムリミットだ。

そして酸欠になり十数分で脳機能の大半が廃絶し、生命維持すら困難になる。

異世界軍の医療カプセルはその酸欠状態で脳死のタイムリミットが1時間と高性能な回復機能がある。

だが1時間過ぎると予見できる際は…
液体窒素による瞬間冷凍にて時間を延長をはかり、
医療カプセルによる蘇生の流れだ。

身体欠損等重体者を全身完全回復でき、
ウイルス性感染症…もちろん空気感染の結核やインフルエンザ、新型ウイルスにも対応でき、
通常の病院では医療従事者への感染で院内ブレイクしやすい感染症にも対応できる。
その他遺伝子系異常成長…いわゆる癌や動脈瘤にも対応でき、脳出血にも対応できる。

ただし…脳がある意味完全な形を保っている前提である。

基本、脳が形を保って脳ミソが外に流れでない状態の事をさしている。
ヘッドショット等で脳が破壊されると回復は不可能だ。

石棺は更に高性能で脳が流れてようが蘇生でき寿命延長すらできる代物だが、
中毒性があり、性格改変が有るために搭載はできない。


さて今回要請のある医療艦は、
これはトレインカーゴのカーゴ部を改造したのが医療編成、通称医療艦だ。
地上にて起こる天災災害用に異世界軍では医療艦を4編成用意している。

通常の輸送型トレインカーゴ編成との共通は、先頭推力艦、2番目のチューリップ搭載カーゴ、末尾推力艦は共通で、長くなれば中間推力艦を挟み込む。

改造するカーゴは全長44m、高さ21mのモンスター改が2機搭載できる容量で、
内包部が長さ80m高さ40mのドーム状、
全長84m全高47mというサイズだ。

そのカーゴ内部を1階分を3mで区切り内部を13階にわけ、医療カプセルを大量に並べたカプセル艦と、
そしてカプセル入る対象で無い治療ができる艦…これは虫歯やら、腹部頭部を開放せず命に関わらない軽度の手術を対象した診察艦。
そして救助活動を現場にて行う救急艦。

カプセル艦は約6000素体収容、管理するコバッタが10名。
診察艦はベッド数が200床他アムボート2両のセクサロイドが40名とコバッタが40名。
救急艦はアムボートが100両、ターミネーターTOK715が100名、セクサロイド200名、ヤドカリが100名、コバッタが20名。

その他各カーゴ警備に2名ターミネーターT-850が配置される。

アムボートはメデューシン世界の原型突撃救命車アムボートの改造品で、
小型核融合炉搭載の電気モーターに改造されカーゴが届かない小回りな点を期待されていた。

以上が医療艦編成に使われる艦で、
通常は救急艦2診察艦1カプセル艦20の編成だ。

つまり連結後は2kmの長さを越えている。

「じゃあ医療艦と…あと現地の街は壊滅だよな?」

[あったり前じゃんBETAだよ]

「なら難民艦も必要か…」

また災害時に発生した難民を収容し生活できる対応編成が難民艦である。
これもトレインカーゴのカーゴを改造した艦だ。

先のカプセルオンリー程の密集度をもたないが、
ある程度の居住区画を持っている。

BETA戦時、またカオルの元の世界での難民キャンプや、体育館に臨時につくられた避難所等の情報を参照に、
シャワートイレ等水回り及びIHキッチンシンク、空調を完備したプレハブレベルと想定し設計した。

トイレと聴くと日本式ウォッシュレットを装備していると思うかもしれないが、
ガンタイプのウォッシュレットを採用しタイスタイルのトイレ環境を整えた。

蛇足になるが日本の誇るウォッシュレットはタイ、フィリピン等では流行ってない。
理由としてはあちらがウォッシュレットは先進国であったからだ。
技術先進国という意味ではなく歴史先進国と言う意味だ。

まずタイ、カンボジア、ベトナムあたりだがガンタイプが主流です。
ここら辺はまず紙事情があり、溶けるトイレットペーパーではなく、とけないペーパーです。
昔はペーパー使用せずにだったらしい…
マンション水洗が発達していくと共にペーパーが売り出されたが、
流したらつまってしまう為にペーパーを使用せずにガンタイプのが導入されたと言う事情がある。
なのでペーパーがなくガンタイプがあるのみのホテルが三星以下には多い。

フィリピンはガン式も最近ふえてるが、ポリバケツと手桶がまだまだ主流というところだ。
用途は尻を桶水と手で脱ぐったら、タンクがないので桶水の水圧で流す。

インドやその他イスラム圏では伝統的にトイレで紙を使いません。
イスラム教の教えとして水で洗うのがきまってます。
…つまり便器にトイレットペーパーを流す国は先進諸国のみといってよいでしょう。
ただし先進諸国でもイギリスは硬くロールも床おきでボックスから出す、
また庶民のはタンクに水が貯まるのが10分かかるので…
また欧州ではトイレ横に噴射力ないビデがあり、男性も女性も水を貯めて拭います。
そしてイスラム教のもう1つとしてしゃがんで用をたすが教義として決められ、
金隠がないしゃがみ式便所、アラブ式やトルコ式とよばれてます。


こうしてわかる通り現代でも紙を使わず大をよう足す国は多数あり…
はっきりいってトイレに困らない国は現代リアル日本だけでしょう。
コンビニで貸してくれる、パチンコ屋やビルでも…
ただし少し過去の農村ではボットン便所では肥料として使う為にヘラで便を拭ってはいた。
紙は肥料の質を落とすために入れるな!!と怒られたらしい。

大の方はそうだが、女性の小はどうだろう?
実は日本とアメリカ、韓国位が紙で拭うだけであり、
中国、欧州人は拭わない、
イスラム圏は水で洗って自然乾燥という手段です。

一方男性…日本人は尿を切るだけですが、
イスラム圏は教えとして水で洗う習慣があります。
したがってイスラム圏の男性便器は個室がほとんどであり、先の手桶や後の水差しであらいます。
男性小便器がある国には別口で水が流れてくるバルブがあります。
ただし便器内に伸ばしても落ちてくる水にはとどきません。
手で水を受け止めて竿を浸けて洗う方法です。
この仕掛けがない男性小便器は水差しで水を手で受け止めます。
この水差しはアーフターべとと呼ばれてます。

イスラム圏でない国に来たら…
ガンタイプのウォッシュレットを男性は探しますがない日本では…
男性小便器の流れ出る水を掬いそれで洗うか、便を流した後の水を掬うかでしょう…
水で洗わないのは教義に反するそうです。

さて話をもどすが、イスラム圏の様に紙を使わない人々もいるが為に、
避難民カーゴの仕様はできるだけ世界共通化させようとはしていた。

さすがに…トイレットペーパー開発以前の縄や麻、羊毛、レース、ぼろ布、おが屑、干し草、トウモロコシの皮、
苔、雪、石、砂、貝殻等々は考え常備しようとはしてない。

またトイレに併設するシャワーもタイスタイルとしていた。
排水が一体化したという風にみた方がよいだろう。
ビジホのトイレバス洗面所のバスがなく、床全面タイル敷の排水施設があると思ってもらえればよいかもしれない。
理由としたらやはりスペースの問題でもあり、あとトイレで別スリッパやはり日本だけの習慣ともいえ、
室内にそのまま靴ではいっても対応できる様にはした。

バスに関しては大浴場施設で対応する。

あと避難民に食事を提供できる…
これまた食文化から共通化は難しい話題でもある。
この部分は大食堂で多様化できるようにはしている。
もちろんキッチンシンクを各部屋には備えていた。

それで1層と2層に家具物置スペースを作り、1カーゴ400世帯、6人家族対応で最大2400人収容可能としていた。

そして難民艦だけである程度の汚水循環はできるが、汚物汚水等の集中処理艦として、4隻に1隻の割合で処理カーゴ艦がつく。

更に長期化なるようなら農業艦、畜産艦、魚養殖艦等自産施設もあるが…

こちらは1編成60隻…約5kmと長大だ。

「トレー級あつめてもってけるだけと…
あとスフィンクスあたりも…か…
とりあえずカシュガルとリヨンからトレー級を引き上げて…」

[マスター、リヨンからは33時間以上はかかるよ]

「あ〜だよな…」

陸上戦艦のトレー級最高速度は時速300kmであり、
フランスのリヨンにある基地と集結地の佐渡島と距離は約9900km離れている。

「となると…」

[マスター自身が動いた方が良いね]

「地球からの移動予定分を虚数空間にいれたら、トリア号で一気にか…」

[それが一番はやいね〜]

トリア号は試作されたSG地球製ハイパードライブを搭載されていた。
ZPM使用で時速12500光年速、ナクアドリアリアクター時の出力で時速2085光年速と高性能なドライブだ。
ただしナクアドリアリアクターの出力を確保しないとハイパースペース航法すらできない代物でもあり、
ヤマト級サイズではWドライブや、更に発電施設増設も難しく、ナクアドリアが産出できない状態では換装はできないだろう…

ZPMは空の状態6個入手し、ダイソンスファアによる充電で利用しているが、
現状カオルの能力をもってしても複製は不可能だ。
時間がかかり難しいではなく、複製不可能だ。理由は小宇宙が内包するオーバーテクノロジーともいえる。
どうやって生産したのか全くわかりもしない。

充電時間は10日で40%、先の戦いで1匹で地球滅亡レベルの突貫級を412匹受け止め、主砲を射ちまくる活躍をみせてエネルギー消費32%、
トリア号には2個セットし片方を予備として運用し、他のは充電施設で運用する現状で、
あともう2個入手でZPM運用艦を増やしてもよいかもしれない。

「じゃ、トリア号の火をいれておいてくれ、あとは中型チューリップか?」

[マスター、大型を格納庫に入れておく〜]

「中型でなく?」

[距離があくと維持燃料消費が上がってきたんだ。数が多くなるとバカにならないから纏めたいの]

「わかった」

打ち合わせしながら多目的輸送艇にのると、話していたコバッタ11号がとりつき、
ディストーションフィールドを形成、小型チューリップへと突入する。

小型チューリップを潜った先は中継ステーションにでた。

砲撃部隊に1つ同行や、トレインカーゴに1つついている状態で数多くのチューリップを作りすぎた為に、
整理する意味での中継ステーションであった。
演算装置の必要としない固定双方向式転移門になった弊害の1つであったかもしれない。

そのまま多目的輸送艇は移動しつつカシュガルへ繋がるチューリップへと突入し…
中国のカシュガル基地へと出る。
移動時間は横浜白陵基地のチューリップ突入から5分程度であった。

トレー級を引き込む為にカオルは離れてく…

中国のカシュガルは先の話でも出たが共同管理となっていて、
国連軍の施設隊等や雇われの非戦闘員が復興拠点として作り替えていた。
多数の人等が働いている基地といえる。

前はBETAの再侵攻にだが、現在はテロに警戒で警備をしてた。
そこから過剰戦力のトレー級を引き上げる形だ。

そんな民間人がいる基地にチューリップが…セキュリティが問題と思うかもしれないが、2重の意味での絶対的なセキュリティが存在し、
1つがチューリップがディストーションフィールド又は類似シールド形成機でないと氷結し凍死状態で排出される。

ディストーションフィールド形成機は多目的輸送艇にこの世界では集中され、
多目的輸送艇は操縦管がなく、コバッタまたはヤドカリの操縦が必須であった。

その為にチューリップ区画はさほど重要な警備が必須というわけでもなかった。

トレー級のピックアップをすませたカオルが戻り、
中継ステーション経由でリヨン基地へと5分程度で移動する。

リヨン基地も先と同様で、ピックアップをすまし…

これで両基地の警備隊は艦船は0のスフィンクスが6個中隊、
ターミネーターT-850の3個小隊になる。

余剰戦力は無くなった。

テロ警戒にトレー級はもう必要無いだろう。
なにしろアンシェ大佐率いる火消しのミスリル部隊が世界中の海を駆けずり回っているからだ。
ただ民族紛争に関しては…

……

トリア号にカオルが乗り込み、発進準備に取りかかる。

すると…[マスター…報告なんだけど…]

「ん?」

[ビダン博士や香月博士…あと技術者面々が行くって聞かなくてトリア号に乗ってるの]

「えっ?」

…発進間際なのになにやってんの?…
カオルは正直戸惑っていた。

確かに彼女、彼らのセキュリティレベルならばトリア号艦内でも活動できる。
降りてください、やだ、降りてください、やだの問答があったが…

[マスター、発進準備完了だけど…]

「わかりました。乗船のみ許可します。…ハッチ閉鎖、連絡通路外せ」

カオルが部分同化、

[マスター遺伝子確認、艦システムフルコンタクト]
艦の息吹が鳴動し始める。主機が核融合炉からZPM供給機へと変わった。

「艦固定フック外せ、補助エンジン始動」

[補助エンジン動力接続]

「微速前進」

[微速前進ヨーソロー、両弦バランス安定]

補助エンジンによりドッグから艦が離れる。

「亜光速エンジン始動」

[エンジン始動確認]

「亜光速エンジン第1低速」

[亜光速エンジン第1低速ヨーソロー]

ドックから十分離れ進路に障害はない。

「ハイパードライブスタンバイ」

[ハイパードライブオンライン]

「コース座標惑星コムネス」

[コース設定完了、ハイパーウインドウ開きます]

亜光速エンジンがフルパワー出力を放ち、最大加速にて宇宙に出現した異空間の窓へと突入した。

[ハイパースペースイン]

ハイパースペースに入るとやることは暫くない。
何故行こうとしているのかを聞き出すと…
他の人種、猿から進化した以外の人がいる可能性として大人しくしてられる?
っという主張らしい。
話続けようとすると…

[マスター!!中隊規模先の都市へと接近中、このままだと救助した避難民へとこられちゃうよ。
規模200前後]

「ターミネーターらで当面の対応、もう間もなく到着すると」

[了解]

中隊規模では警備最小人数残して対応する12名のターミネーターでは、間違いなく対応しきれない。
中型種以上の約200を相手してる間に残りの戦車級以下約500が無視して突き進んだら…の仮定になる。
地球BETAの様に高性能電子機器に興味を示して彼らに集中するなら全てを足止めし、近接戦で殲滅可能ともいえるが、期待はできない。

すくなくとも1名あたり人間サイズが16体の10tロングサイズ以上の中型種を相手しなければならなく、
多殺可能な携行火器の所持弾薬不足ともいえる。
先のワスプが弾薬補給してもまずは無理であろう。

B1の対空砲で対応可能でもあるが、B1の傍には難民がまだ治療をうけている。
彼らの想像外の不規則な動きが怖い。

[あと、その近くに壊滅しかかってる兵隊さんを発見]

先の突撃級と直あたりした生き残りだろう…B1が着地している為に見逃した様だ。
「へっ?救助は…?」

[避難民の治療、冷凍作業で追い付いてない。完了次第むかうって]

「少しでも助けたい。急いでくれ」

[了解]

…………



(レンファ…レンファ!!)

私達はルレアの突破を阻止できなかった。

馬を必死に走らせ避難民のいるはずの方向へと…

(えっ?)
急がなければならない私達の脚が緩みます。
ある筈のない氷が…人が収まっている氷柩がみえたからです。

(なんで?)
季節は夏、この気温だと氷は溶けますし、ましてやここで氷柩がある筈はありません。

そして見渡す限りの氷柩の数々…
私達の避難した全住民が死者になってるといってよいかもしれません。

ですがクソどもの被害の後とは思えない光景です。

この様に弔いができるとは…

神に感謝しながら生存者をさがします。

いくつもの氷柩の横をすすんでいくと…

見慣れない異物がありますが、
「レンファ!!」

「お姉ちゃん!?」

レンファが無事だった…愛馬から飛び降り思わず抱きしめます。
私達、騎馬バウ兵隊は家族の無事を確認したり、死亡…氷柩のかわたらで悲しんだり…してましたが、

「レンファ…このルレア誰が?」

「ブーンって飛ぶ金属の昆虫さんが何かをしたらしいのよね」

生きている急を要する怪我人が居ないのでルレアについて尋ねた。

「金属の昆虫がねぇ…」

横の脚を見てみると、刺さってる矢は9本。これでは速度は落ちない筈とあたりつける。
弱点の背後にまわると体液が流れた跡の孔がいくつもある。
矢は刺さってる様子がないがこれで死んだの?とあたりつけるとナイフで孔を拡げる。

「エリシャさん…何やってるんです?」

ナイフでほじくれない程奥にいき、悪戦苦闘してると同僚が声かけてきた。

「このルレアが死んだ原因をね。いくつもの孔の奥にある筈だけど…」

「スコップ持っている者がいる筈です。変わりましょう」

「お願いね」

身体についた体液を拭いながらレンファの元にいくと…

「あっ、あの人達!」

レンファが指した方向を見ると…求婚活動いるダリがいた。
ちょっと何でこんな場所で??と言いたいが、
丸耳族なのに気がつき声をとどめたら…

ダリが動きを止めて上空をみあげた。
彼らの視線の先になにがあるの?と私達も釣れて見る。

何もない…

ですが、視線を戻した私達の前で一糸乱れずに空飛ぶ馬車に駆けていきました。
そして飛び乗り…何かを背負って、手に長い筒を持ってでてきました。

いえ、12名で残り2名は背負ってません。
背負っている12名は駆けて屈むと…

ドシュゥゥゥゥゥゥ
「キャァ」

盛大な煙があがり、轟音と共に砂埃を伴う強風が押し寄せてきました。
目をつむり風が収まったので開けると…彼らは何処にも見当たりません…

愛馬が今の轟音に驚いてます。落ち着かせて…
「誰か彼等はどこにいったかわかるか!?」

「……見間違いでなければ…単独で空を飛んできました」

「はぁぁ?!」

人間が単独で視界から消える距離を飛ぶなんてありえない!!

…………


[まもなくハイパースペースアウト]

「と、あとの話は後程ですね」

博士らとの会話を打ち切り、

[スペースアウト、惑星コムネス衛星軌道に出ました]

宇宙開発のカの字もされてない、デブリすら存在してない綺麗な衛星軌道…

「トリア号は中継システムの設置作業を、地上には俺が降りて展開する」

「カオル、私達も一緒にー」

「あ〜…まずは安全を確保してから話にしましょう」

「…わかったわ。情報収集くらいなら?」

「そうですね…エアロスタットを何体かつけますよ。では」

カオルは部分同化をやめ格納庫に向かう。
本来ならSG世界にて多用されている転送ビームにて惑星軌道上から地上へ瞬時に転送できるが、
今のトリア号は同化をやめるとZPM供給ができなくなり低能力しか発揮できない。
具体的だと、ハイパードライブ搭載の核融合炉警備艦2000光年移動出きる燃料を消費して、1光分しか移動できない状態だ。
艦内転送システムも使えもしない。
なので何だかの地上へ向かうシステムがいる。

小型用格納庫に出るとルーロスをだして乗り込み…

「ルーロス、ブリッジに通信を」

「あいでち〜はっちんちゅんぴ完了でち」

『ハッチ開きます』

宇宙空間が見え…エアシールドを突き抜け…

「まちゅた〜、目的地はぁ?」

「惑星コムネス着地中のビッグワンの傍に」
まずは戦力的に足りてないターミネーター達の増援が必要だろう。

「あいでちぃ〜」

「と、今のところ惑星コムネスで確認できてるBETAは惑星セット?」

[そう…だね]

惑星セットと付けてしまってるが、
闘士級、戦車級、要撃級、突撃級、要塞級、あと地下に頭脳級と重頭脳級、
他に光線級原種と門級が惑星セットとよばれていた。

光線級、重光線級、母艦級、兵士級等は地球人類との戦いで対応してきた種で、
更に弾級、大砲級、壁級等が異世界軍との戦いで発生した種であった。

つまり現地人類は惑星コムネスの重頭脳級にとったら蟻並みの動物とも判断されているにすぎず、
蟻も殺されようとしたら反撃するという認識で間違いないかといえる。

「あと…翻訳の準備は?」

[まだ無理だよ。言語解析中。
なにしろ会話しか情報源ないし…]

「あ〜そうか…」

異世界軍では様々な世界からの言語解析技術があり、それを応用して翻訳しているが、
1番の入手先は情報通信であった。
特に全方位に無作為に発信される電波塔による電波拡散方式のは大好物といえよう。

未来技術世界…マクロスFにおいても不特定多数に向けては電波拡散方式だ。
デジタル化されて、アメリカ式地上デジタルテレビが日本で普通に観れない…
所謂暗号圧縮されてようと暗号が解析できれば速い。
その他特殊な通信方式、フォールド波通信等あろうが携帯サイズで公共放送再生可能といえると、
日式デジタルがワンセグが使える為に最適でともいえ、
欧州式デジタルはパソコン並スペックが携帯電話に要求されている。

だがこれから向かうコムネスに電波らしきのはなく、
遠距離通信手段はどうしているのだろうか?の疑問もあるが、
これにより収集手段が口語による会話、手描き絵による解析にかぎられてくるだろう…
翻訳魔法等便利なのは取得してないし、したとしても聞き取りはできようが、
こちらの発している言葉をどう翻訳させるのか無理な話だ。

「なら…もう少し収集してから…相手側の責任者に会う必要あるね」

[だね。みんなに特に言語についてと伝えておくよ]

「まちゅた〜、ちょろちょろつくよ〜」

「このまま11号は待機、現地で闘ってるT-850達との連携をはかってくれ。
俺はトレー級を出し砲撃支援させる」

[了解]

「で、ホバー重機関が3と、スフィンクス出す。
そしたら医療艦と避難民艦がだせるから」

[了解〜]

「と〜ちゃく」

「じゃ、よろしく」

カオルは同化によりルーロス外に出て…

(おし、スペースはある)

1km内に人はいず、凍っている人を避けて出せるスペースを確認し、
虚数空間からトレー級を掴みあげて惑星コムネスの大地に引きづり出す。

「1番〜4番砲塔は現状のまま射撃開始、
5番6番はクラスター弾へ弾種変更」

すぐに4砲塔が向きを代え、
ドゥゥゥ!!

人間辞めているカオルの耳に轟音が響く。
通常の者ならば鼓膜が破ける程の大音量だ。

対空迎撃種がいたときに備え、通常では徹甲榴散弾が装填されている。

トレー級の61cm砲に採用されてるのは、
徹甲弾、徹甲榴弾、対地榴弾、そしてクラスター弾の4種で、
徹甲弾はほぼ質量弾と言ってよく、炸薬は弾重量に対して800gと弾体が分厚い。
重光線級でも破壊は難しく、数の暴力にて撃ち込む一手でよくお世話になっていた。
着弾地点と半径5mが必殺範囲と案外被害範囲は狭く、貫通力と到達率を重視している。

徹甲榴弾は装甲と言ってよい弾体を少し薄くし炸薬量を増やし5kgので、
光線を防ぐ煙幕サポート無しに撃ち込む際、トレー級16門全力射撃で、
1艦あたり光線級が約900以下、または重光線級が58以下にて着弾が認められる。

着弾地点と半径約40mが威力範囲だ。

榴弾は弾体がかなり薄く炸薬量を増やしたので、光線級の狙撃でも1発で破壊されてしまう為に煙幕サポートが必要とされていた。
その代わりに効果は絶大で半径が約300mが威力範囲であった。

そしてクラスター弾…ばら蒔き目的であり、高空にて子弾に分離する。
半径1.5kmへの被害範囲をもたらし、対小型種、及び甲殻で全身覆ってない要撃級への必殺の一撃となろう。

弾倉交換は2分かかる。
その間にスフィンクスと重機関銃ホバーを出して向かわせた後、
虚数空間から、非連結状態のカプセル艦、救助艦、診察艦、避難民艦を掴みだす。

流石に連結したままでは収納してない。
何もないスペースがとれないだろうし、スペースを探す暇もなかろう。

各艦に避難民の救助を命じて……


…………


あちらこちらでうめき声が聴こえる。

生き延びたか…

目の前には動かなくなったルレアがいる。
「バウ貸して!!」

突破されたルレアを追いかけに行きに騎馬バウ隊が駆けていった。

だがルレアを受け止めきり殺害できたからといって自分等の戦いは終わりではない。

生存隊員が集まり隊形を維持し、ルレアの後方からくるスコーピらに備えなければならなかった。
ルレアと当たってから大体20分前後でスコーピらがくる…

「生存者確認!!再編成せよ!!」

闘えない者は囮となる為に集められ、彼らの後ろに闘える者が集まって隊形を組み直す。

出撃時には1971名いた死確隊隊員は、現在闘える者が349名、
囮となる重傷、重体者が121名と戦力的には2割となっていた。
石弾が投射されてから2分たらずでここまで戦死し戦力が低下した。
勿論見つかっては無い者もいるだろう…だが捜索する余裕はない。

再編が終わった頃私らの横を羽音をたててクソどもの方向へと翔んでいく鳥か虫が過ぎていった。
気にはなっていたがファランクス崩して調べるのは戦力低下行為だ。とにかく隊形を維持しなければならなかった…

が……

「なぁ…何時来るんだ?」

「そろそろな筈なんだが…」

地平線から見えてくるはずのスコーピの巨体の形すら見えてなかった。
クソどもが来た方向は間違えてない。

偵察すべき者はルレアに向かい、ワイバーン兵やペガサス兵も居ない。
狼煙をあげた隊員は既に死んでいる筈で情報は伝わってない。

……

それから20分たっても現れない…
皆が皆おかしいと思い始める。
囮となる者らが次々と止血されなく死んでいく。
囮が減ると判断したのだろう…治療行為と生き残りの捜索を臨時隊長が指示する。

しばらくたつと…

シュウウウウ

不気味な音が南の方から聞こえた。
視線を向けると…

「はぁぁぁぁぁ!?」

人が炎を出しながら飛んでいる…
ありえない…

音をきいてから一瞬の出来事で、直ぐに地平線の先で見えなくなる。
1分も無かろうか…
「おい…みたか?」

「ああ…」

「夢でないよな?」

「夢でいたたた何すんだ!」

「夢でないな」
他人の頬をつねっていた。

「何なの?あれは…」

「俺に聞いても…」

「時速何クアン出てた?ワイバーンより速くね?」

「ワイバーンは確か水平時速75クアン無い筈だよな?」

「手を休めんな!治療や捜索を続けろ!後で確認部隊を編成する!」

「おっといけね」
再起動した臨時隊長の叱責が響き動きを皆が再開する。

布をきつく縛り流れ出ている血を止めたりしていると…

シュルシュルシュル

「今度は何だ?」

聞き慣れない音は上の方から聴こえる。
見上げると…
「黒い…何だ?」

小さくて何かが飛んでるのはわかる。があまりにも小さく何が飛んでるのかはわからない。
音を出していたのが地平線の先へと消え…
ドグワーン
「な、なんじゃ!?」

何かが音をたてている。

シュルシュドクワーンシュルシュドクワーン

連続して上空から音を発し地平線の先で大音量が響く…

「ヤムチャ!!クリリン!!ソウル!!お前らで確認いってこい!!
こんな音いつまでもたてられたらたまらん!!止めてこい!!」

「了解!!!いくぞぉ!!!」

大音量響き叫ばないと声が伝わらない。呼ばれた3名で偵察隊を組み、音の方へと向かい…

「あそこに丘がある!!!そこからなら遠くは見えるぞ!!!」

「ああっ!!!」

丘に登りきったところで…

ドドドドドドゥ

土煙が幾太にも上がる。上がる前の瞬間にクソどもが見えてたがピカッと光りに包まれると次の瞬間炎が吹き出て土煙があがる。
あれは何だ?と思うが人の力でない何か…神の天罰がクソどもに浴びせられたのだろう…

神よ感謝します…

思わず膝まつき祈りをあげる。

視界にはクソどもが死滅する光景がひろがっていた…

…………



お姉ちゃんが戻ってきましたが…わたしはまだ立てずにいました。
腰を抜かしていたからです。
意識のある軽傷者に対する治療ですか…は、私達が耳丸族に対する嫌悪があり、それを伝わらない言葉で説得しながら行っており、
時間がかかっていた為に後回しになったのでしょう。

ですが時間をかけたおかげでミアらはだんだんと私達に通じる単語を使う様になりました。

そして…空から金色に光る物体が降りてきました。
その後突如として巨大な異物が出現しました。
どっから出てきたの?と思いたいです。

何にもなかった場所に構造物が出たのです。
距離はあるもお城サイズは間違いないでしょう。

ドウゥドウゥ
「キャァ」
もの凄い大きな音がし思わず耳を塞ぎます…

理解がついてけません。
大音量響くなか、ぽんぽん構造物が出現し…
そこから別の統一された服を着たミアが出てきて…

「コチラヘコチラヘ」「ドーゾドーゾ」

「ママー」

氷柩の中の母親に泣いていた女の子を無理やり担ぐ態度をした見慣れない耳長族に対して、流石に注意しなければと…

「ちょっと…あなたキャッ!」

声かけたら別の者に両腕で横抱きされてしまいました。

「ちょっと降ろして下さい」

流石にこの状態でいきなり離されると落下ダメージが嫌です。口では言うも…
ほぼ身体を任せた形になりました。

「レンファ」

「お姉ちゃん…?」

「ああ…」
お姉ちゃんも横抱きされました。
姉妹揃って運ばれていきます…

「コチラヘコチラヘ」
「ドーゾドーゾ」

船のタラップらしい通路を私達を担いだ者が登ってく…すると…

「あっ、涼しい…」

「ほんとね」

扉無しの戸から構造物内に入るとひんやりとした空気です。
北や洞窟、鉱山の内部でもないのにと思いつつ…汗がひいてきます。
そして内部は金属なのでしょうか?
見たこともない素材で通路がつくられています。
触りたいですが触らせてもらえません。

私達を抱き上げたミアは暫くすすむと1つの扉の前に止まり降ろしてくれました。
付近には同じく運ばれた者、ついてきた者がいます。

丸耳ミアがドアをさして大人のミアと子供をさして再びドアをさします。
(むぅ〜…あっ)

「親子の事?」「オヤコノコト?」
「親子」「オヤコ」
「オヤコ、オヤコ」

言葉が解ったように丸耳ミアがよろこんでます。
親子と連呼しながら大人の女性と子供をさしてます。

「ああ、家族、1っ家ね」

「カゾク、イッカ、カゾク、イッカ」

「家族よ」

「カゾク、カゾク」

「で、家族単位で入れば良いの?」

「カゾクタンイ、ハイル」

ある程度は理解しました。

皆に説明し今いる家族単位で入室しようとしますが…

「このドアどう開けばいいの?」

戸手も引手もなく、押しても横にスライドさせようとも開きません。
つまみや戸手がないなら引くことはないでしょう。
「ドアを開くの」
両手で開く動作を見せたら、

「ドアヒラク」
ドア横に光っている棒があります。丸耳ミアが上から下に手をスライドするとドアが上にスライドし開きました。

「上か〜…思い付かなかったわ」
「ウエカー オモイツカナイ」

「で、ドア閉めるはどうするの?」
ミアは顔を傾げます。

「ドア閉める」
今上ったドアを指して下に下ろす動作を見せると、
「ドアシメル」
ミアが棒をスライドすると、ドアが閉まります。
わかったのでドアを開けて入室すると…

目に見えるのは机とイスと三段ベッドが2つあります。
「へぇ…綺麗ね」

ベッドは白く私達のとは違います。
触ってみると…ゴザや毛布はありますが肌触りが全然違います。

「薄いわね。レンファ、冬になったら寒そうでない?」

「そうね。ねっ?寒くなったらどうするの?」
ミアは顔を傾げます。
「寒くなったら」
両手で身体を掴み震える動作で…

「サムクナッタラ」
ミアが壁に向かい…何かを操作してます。
何かが表示されてて、
「サムクナッタラ」
押すと変わります。
「暑くなったら?」
と手で扇ぎます。
「アツクナッタラ」
と別の箇所をおすと変わります。
何かはわかりませんが暑いと寒い時は押せば良いのでしょう。
「アツクナッタラ??」
別の箇所を押すと…
「あっ…風が強くなった?」
何処からか風が運ばれてくるのでしょう。天井付近に格子窓をみつけました。
「カゼツヨク」
押して風が強くなり、
「カゼ?」
更に押すと弱くなりました。
「風弱くね」
「カゼヨワク」

表示されてる箇所をミアが指して、
「カゼツヨク、ツヨク、ツヨク、ヨワク」
表示が変わっていき、強さを表すものと理解しました。

そしてミアは別の部屋に私達を引き…

「ここは…?」
何をする箇所かわかりません。

ミアが丸い物体を指して尻に手を当てて離します。何回かしてくれて、
「うんち?」
「ウンチ、ウンチ」
今度は前に当てて離します。
「しょー?」
「ショー、ショー」

「あっジャーなの?これ」

「ジャー、ジャー」

「これがジャー!?」

私達の知っているジャーと違います。
ジャーにはいったうんちとかしょーを用足した後、
窓から警告して通りに捨てますが、このジャーは固定されてて中身を捨てようがないです…

「どう捨てるの?」
顔を傾げます。

「えっと…」
手を尻にあて出した、
「うんちを捨てる」
下から投げる動作を…

「ウンチステル」
といってジャーの上についた金属を下に押すと…水が流れて中身が入れ替わりました。
「水で捨てるの?」

「ミズデステル」
受け皿方式とは違ってなんという贅沢なんでしょう。

そして…ミアが何かを持ち握ると水が吹き出ます。
「ウンチ」
といって手で拭う動作をして…

「水で、うんちを拭く?」

「ミズデウンチフク」
と水を吹き出ます。

「ウンチ、ウンチ」
といって姉を部屋の外につれてきドアを閉めます。
やってみろって事なのでしょう…

……

この水を打ち出すもの…癖になりそうです。



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