第024話 惑星コムネス編09 BETA群移動群発生


会談、じゃがいもパーティー後、バトル級とヤマト級等を帰らせ、
援助手配を終わらせたカオル…

とりあえず落ち着いたので惑星コムネスにおけるトレー級の戦力評価等の検証に入っていた。

今更なぜトレー級が?と思うかもしれないが、
まず地球でのBETA戦とは違う。

そして地球戦最中や以後も他の惑星、恒星系での攻略戦、惑星ロドニアで現在進行中で戦っているが、
それらとは状況が全く違っている。

簡単な説明のできる他の惑星、恒星系での事だが、
異世界軍の攻略方法は楽に効率よく駆逐する事を基本としている。

まず…大気の存在しなくレーザー系統減衰無し、完全にBETAの勢力下に落ち、生態系も存在しない惑星には…

コロニーレーザー艦隊による惑星上空からの一斉射にてハイヴを直接攻撃、
ハイヴをつくる際の特徴、資源打ち上げの為の主縦穴をレーザーにより掘削、
主広間まで到達させて頭脳級、重頭脳級を一気に消滅させて、
惑星上BETA餓死でもっての、駆除を行っている。

これはあくまでも大気の存在しない惑星に限っての事であり、
特に地球の様な生態系が生存する惑星へは行えなく…
いわば地上戦の発生しない楽な方法と言えよう。

現在の異世界軍宇宙艦隊の十八番、惑星破壊レベルの出力をいかに抑えるかがポイントといえ、
なるだけ回りに影響無し、かつ貫通力のある、生産運用のしやすいコロニーレーザーが選ばれていた。

太陽系では月、エウロパ、冥王星等で行い、現在も駆除進行中でペテルギウス宙域でのBETA勢力の大量減少の理由だ。


次に大気の存在する惑星の場合…
生態系が全滅してBETAの完全制圧下にある場合でだが、
その際は絶滅兵器ゴキG兵器を投入し、
対応しきったところで重頭脳級、頭脳級等を一気に攻略する。

ゴキG兵器とは…凶悪な肉食ゴキブリ入りカプセルを投入し、
BETAの体内で卵を産み、体内で増殖し食い破って別のBETAに…
とBETAにとってまさしく凶悪そのものだ。
もちろんBETA以外のもの食いつき体内から無数の増殖した肉食ゴキブリが食い破ってでるためにまさしく生態系絶滅兵器と言えた。

大気の無い環境でも生存、3000度の火炎にも耐えられ、氷点下200度でも生存…
異世界軍施設での実験は液体を硬化させ動きを封じてからの太陽投棄処分せざるえない程だ。

ハイヴにカプセル付きミサイルを撃ち込むと、
カプセルが開放され手身近のBETAの体内に侵入、
体長3cm足らずのが体内に侵入、作業生体であるBETAにはそんな小さな者は身体全体で潰すしかないが、
カプセル内には1万匹の肉食ゴキブリが封入され、最低でも1体500匹が一気にたかるのだ…10匹程度は体内に侵入しよう。

侵入した対象によって違うが突撃級の場合、約30万匹が肉体を食い破って周囲に襲いかかる。

学習するBETA側にとっては肉食ゴキブリ投入されると最大級の災害として認識、対応する為に、
闘士級よりもより小さなものを主力にせざるえない状態におちいる。

火星では蜂に近い形状の通称蜂級ハチが発生し、肉食ゴキブリに対抗してく。
蜂級は肉食ゴキブリ程度の体長、
肉食ゴキブリは体内には埋めないが、蜂級を捕食して増殖していく。
大体2匹捕食で1匹増やす、蜂級は肉食ゴキブリに対してキルレシオ1:1〜2程度だろう。
いつかは蜂級が勝るがその他のBETAにとりつかれると一気に不利になるため、闘士級以上は製造できなくなる。
更には、一度製造した闘士級以上を削除はできなく…

必然的に闘士級以上を巡っての肉食ゴキブリと蜂級の生存競争になり、
闘士級以上が大激減する。
つまりその瞬間に巨人サイズの機動兵器投入すれば…蹂躙されるに等しいといえよう。

機動兵器はバルキリーが投入され、重頭脳級を落とした後は、他のハイヴの生産は必然的に落ち、肉食ゴキブリが他のハイヴまで拡大、
惑星全土を落とし、あとは肉食ゴキブリが餓死して絶滅まで放置する流れだ。

太陽系では火星及びタイタンに投入し、今年8月の太陽系からのBETA殲滅に貢献した。

といった様に生態系が無い惑星環境下攻略では楽をしてきた。

生態系の存在する惑星では、地球、ロドニア、コムネスで戦闘があり、
地球は既にBETA殲滅、惑星ロドニアと惑星コムネスが現在もの環境だ。

地球戦とロドニア戦とコムネス戦の地上戦ありの比較だが、地球戦では…

まず2001年カオル転生時には光線級、重光線級、兵士級が存在した。

光線級、重光線級が発生したのは、
地球のH1ハイヴ形成時に、中華人民共和国が異星源資産の養殖と独占を狙って迅速な攻略をしなかったのが理由であり、
形成当初は航空攻撃、自走砲等豊富な火力でもってBETAを圧倒し養殖の目的は果たそうとしていた。

だが、H1ハイヴには重頭脳級が存在し、一方的被害をうける航空攻撃を最大級の災害として認識、
災害対策で光線級と重光線級をうみだした…

次に兵士級の話だがその前に、先に地球でのBETAの行動パターンがBETAに確立されてくる。
まずは光線級についてだが…
向かってくる、かつある程度高度圏内のみのミサイルや航空機、砲弾を補足し攻撃行動にうつるのは、
航空攻撃により学習した結果である。
なのでハイヴに向かってこない大気圏外のを補足してても無視している理由の1つであった。

BETA全般における高性能コンピューターへの誘引性がある件についてだが…

まず航空機が光線級により無効になった後の人類側主戦力は、中華人民共和国の戦車だ。
だが当時型遅れでさほど脅威と判定されなく一蹴、
次にソ連の援軍だが、主力戦車の威力が少し脅威と判断してBETA側が戦車を最優先目標と判断した。

ソ連が敗退して人類側がてこ入れしたのが戦術機だが、戦車以上の戦火をあげた為にBETAの脅威対象は戦術機へとシフトした。

戦術機と戦って何故?と思い戦車級にて分解回収して調べると…
という流れで高性能コンピューターに対しての誘引性が確立していく。

中華人民共和国の戦車は当時でもIC系は搭載されてない。
ソ連で照準装置や、エンジン制御、砲塔旋回制御、通信制御等にLSI等当時の技術盛り込んだのが、
BETAに相対したと言ってよいだろう。だがまだローテクだ。

戦術機は70年代時にも完全な電子制御にて行動をおこなう。
まだアナログ制御にて行動可能な航空機や戦車とはちがう。
基本的な操縦方法が2001年にいたるまで変わってないのがそのよい例だ。

誘引性があるために体長と幅と高さが約20m弱、170kmで突き進む突撃級が、
中心から25mの空間に別個体…
突撃級間が時速170kmなのに5m以内とモッシュして戦術機へと突進してくる恐怖の突撃行進となってくる。

それを避けるには上空しか新兵はなく、ジャンプしたところで光線級の狙撃で…といったところだろう。
車であれば衝突してもおかしくない間隔で、ブレーキかけると250mの制動距離が必要だ。
ましてや約1500tの自重と車の約1000倍近くが衝突を恐れずにモッシュしてくる。


そして兵士級…次々と災害が新しいのを出してくるために何が…と調べた結果を反映させた。

そして2001年…異世界軍を設立してからは…

佐渡島や鉄原戦等は積極的に海のバリア、光線級の射程外からという海上からの一方的な攻撃を行い、
占拠、頭脳級を洗脳し要塞化し、積極的な誘引で間引きも楽にすすめた。

ただしその際の一方的射撃行為が重頭脳級に伝わり、
弾級、大砲級という存在をうみだし、陸地で接するクラ地峡戦線が崩壊しかけた。

重慶、敦煌と占拠洗脳、基地化してたが、洗脳がばれ、
大規模移動群が発生、
その際に何故?と重頭脳級が思い、盾級が発生した。

ただ盾級の数はさほど出現せずに戦局は喀什ハイヴを攻略、
進化の流れには制限をかけることに成功した。

ただ頭脳級の重頭脳級への進化というプロセスも発生し…
約1ヶ月以内に新たに発生する可能性もある事がわかった。

頭脳級や重頭脳級を洗脳して配下におくという手段により、
数で勝るBETAを異世界軍が戦力ととなわない内にうまく調整できたのが地球戦での勝因の1つで、
また進化をなるだけ制限したのも1つでもある。

地球と違って、学習の機会がなかった惑星ロドニアと惑星コムネスは…
兵士級や光線級、重光線級、大砲級、弾級、盾級等が発生してなく、
高性能兵器に対しての誘引性がない。

何が脅威なのか学習してない全く無垢な状態だ。
高性能な機械が脅威なのかもわかってはない。

惑星ロドニアと惑星コムネスでは攻略方針の違いだが…

惑星ロドニアは豊富な戦力投入、人が在住してなく後方浸透がゆるされる。
惑星コムネスは最小限な戦力、コムネス人が在住し、後方浸透はゆるされない。
という違いがある。

両惑星で共通しているのは、
学習情報を渡さないのに重点をおき、
洗脳した重頭脳級と頭脳級研究でうまれた、
ハイヴ攻略戦時の頭脳級間通信波への阻害兵器の使用に重点おかれている。

攻略ハイヴ周囲にうちこむと兵器が壊されない限り囲った範囲内において通信波が阻害される。

さて、惑星ロドニアでは惑星間輸送アタッチメントの生産が間に合わず、
戦力の一気投入ができなかったものの、
遣惑星ロドニア火力戦力と、
ハイヴ内攻略用の機動兵器類の増派でもって、前線押し上げの攻略が開始されている最中であった。

圧倒的戦力投入は…まぁよいであろう。

問題は惑星コムネスであるが…

いかにギリギリな戦力で後方浸透させないか、逃走させないかの微妙なあんばいが求められていた。

惑星ロドニアはトレー級他、モンスター改、XE-10等多数の遠距離砲撃機動兵器が投入されてる為に、
個体間隔が開いている点はさほど問題にはならない。

だが…まだ惑星コムネスには遠距離砲撃可能なのは陸上においては陸上戦艦たるトレー級でしかなく、艦数もすくない。

更には誘引性が無いために密集してこないためない為に個体間の距離は開く。

突撃級だが、作業効率を優先してか、中隊以上規模では規則正しく横隊で作業現場に突っ込んでくる。
地球みたく突撃級の真後ろに突撃級という状態ではない。

突撃級の右斜め後ろ…具体的には横に7m、後方に100mの距離にあり、更に右斜め後ろに…と先頭から5体つづくと、
約600m右斜め前方にと位置にくる。
中隊規模90では突撃級が30体の為に、5体を1セットと呼ぶと6セットとなる。
750m規模の横隊だ。

その程度ならばよいが、
大隊規模600で、5kmの横隊、連隊規模1500で、12.5kmの横隊、
半個旅団規模3000では25kmの横隊、旅団規模6000では50kmの横隊列、
師団規模1万5千では125kmの横隊列だ。

戦闘範囲が非常に広くなっている。

その後方に突撃級の横隊範囲内にまだ収まるが、隙間刈り取りと粉砕する万能ユンボ役の要撃級、
更に大隊規模600なら、
資源回収運搬するパッカー車役の約1000の戦車級と、小型クラブユンボ役の約400の闘士級、
更に6体ほどの資源運搬の中型輸送船役の要塞級が続く…が非常に地球戦にくらべ間隔が広くなっている。


大隊規模約1000であるなら、後方逸脱無し、距離稼ぎ無しの条件で、
トレー級1隻と2個分隊のターミネーターを必要と推測していた。

中型種以上はトレー級1隻にて殲滅できてたが、小型種がバラけたために撃ち漏らしが発生するのも予想通り、
約100〜200匹程の戦車級、闘士級が最低射程圏に到達し、
トレー級搭載CIWSとターミネーター1名のカトラスにて殲滅した。

連隊規模や半個旅団規模ではまだ1隻では相対してないので推測は悩む状態だが…
連隊規模でならターミネーターの数を増やせば対応できるとカオルは考えていた。
半個旅団では中型種の後方逸脱ありえるかのラインだろう。

何故1隻あたりのを求めるのかは……
戦線の広さがある。

ハイトのある中央部で平坦部が南北約800km、
南地方では平坦部が南北約1500km…
中央部と南地方では険しい山脈で分断されている。

広大な南地方でトレー級は12隻だけしかいない。

惑星コムネスのBETAにとっては、偶々街=資源があったから襲った=回収作業に入っただけでもある。
だから何処に向かうかは計画した重頭脳級しだいともいえ、

トレー級が纏まってでは最高時速300kmで急行するも、
同時多発的な複数箇所の対応が間に合わない結果となる。
誘引という手段が使えないので同時多発はありえ…
なので1隻での限界を見極める必要がでてきたのだ。

(さてと…まぁ…流石に脅かし過ぎたな…)

トレー級の検討を終えたカオルは、先の会談での行為を振り返っていた。

雲を形成したのはやり過ぎた。
それでパニックおこしすぎた特に兵士を集めるのにターミネーターを派遣、
確保して元の隊列場所まで連れてくるのに時間を労してしまった。

まさかあそこまで蜘蛛の子散らすように見事に逃げてくれるとは…
聞くところによると、半年に満たない兵ばかりであり…

ただ砲艦外交としてはバトル級とヤマト級等の組み合わせでこれからもいけよう。

(あとは…未知のウイルスについては…っと)

大航海時代、白人が持ち込んだ病原菌で病原菌に抵抗のない現地人が大量に病気にかかって死亡した。
コロンブス交換といわれるものである。

基本的に乗艦時に各艦とも光線洗浄されると共にウイルススキャンが自動でかけられ、
感染者は救命ボートを兼ねた医療カプセルに放り込まれて、閉鎖空間である艦内での大流行を防いでいる1つの手段である為に、
必然的に異世界軍から持ち込むことは軍艦を使っている限りではない。
また衣服や肌、靴についた種子や胞子類にしても光線洗浄で除去される。

地球人からコムネス人への病原菌持ち込むような、大航海時代の様な事態にはならないといえる。

ついでに銀鉄についても駅施設内への入場時に同様なスキャンが行われ、
ウイルス認められた時は入場お断り、
乗車券は払い戻しの措置がとられる。
医療施設への病状紹介状のサービス付きだ。

ただ…自由な入国を条約で求めて決まったが、現状惑星コムネス側でのウイルスはまだ未発見であり、
ターミネーターやコバッタと、カオル以外はまだ上陸できる環境ではないといえる。

(あとは…)

「なぁ、機械式世界扉システムはどうなっている?」

まだSilentMobiusの遺伝子はすぐには成果はでないだろう…

課題であった機械式世界扉システムを聞いてみた。

技術的にはOG世界の世界間転移技術、システムXN、またSG世界の異世界鏡等、
充分に習得できていた。
平和日本とのやりとりにカオルを必要とするよりかは機械式で異世界間のやり取りできれば便利であろう。

[ある程度形はできてるけど、時間移動は難しいよ]

「なんで?」

[機械式の場合だと向こう側にも世界扉システムをおかなきゃ、向こう側からのアクセスできないし…]

「なるほど…」

[あと1つ、機械式を設置した世界では時間移動による世界扉はやっちゃ駄目だよ?]

「パラドックス問題発生するか…」

[下手したら世界崩壊招くからだめだよ?]

すくなくとも未来が未確定になったかならないかの瀬戸際のSilentMobius世界の監視には使えないだろう。
SilentMobius世界のガノッサとの決着は2030年…2026年から4年も他の世界には付き合ってはられない。

一気に2030年に飛び事象を変えに戻る方法があるかとは思う。
だがその結果が気に入らないから戻って結果を変更したらパラドックスが発生する確率が高く、
その世界だけでなく、別世界も崩壊を招く可能性もある危険な行為である。

あくまでも結果を変えない暗躍して死人を拉致、技術を盗む程度でできる裏技的行為でなら可能だが、
時系列逆進して未来を変える事だけは絶対にやってはいけない行為でもある。

「となると…平和日本だけかな?」

[だねぇ〜]

話していると…

[マスター報告!!β16ハイヴに動きあり!!]

「とっ、きたか…β16は…」

β16はフェイズ3規模、南地方の山脈側に位置し、聖峡谷とよばれた箇所の東側に位置する。
聖峡谷が東に折れ曲がっている為に、
南対岸しばらくいった箇所にβ19、
西にβ22、南西にβ23があり、
南地方への供給源ハイヴの1つと推測されていた。

[資源回収増派になるか、新たなハイヴ建設群になるか…によってもちがうよね。
到達予想は…]

BETA群の行軍速度は時速30km、β16から戦線までの最短距離は2000km超えて2200km、
途中ハイヴでの補給が考えられた。

[約4〜5日後ね。正確な数はまってね。旅団規模〜師団規模あたりだと思うけど…]

「1万超えると南地方にいるトレー級だけじゃ漏らし発生するかもな…」

戦線より東に距離稼ぎに出るとβ22を刺激しかねないし、情報を渡しかねない。
まだ攻略準備が整ってない段階では避けたく、
停滞処理にはなる可能性大だ。

[惑星ロドニア派遣軍から兵力回す?]

「ん〜…規模確定からでいいか…
あ、そういえば…南地方の一番東の街の名前は?」

[その街の名前はねぇ……]

…………

日中、灼熱の炎天下の1面砂の砂漠を一人の上半身裸のダリが歩いていた。
通常…疲労困憊になる砂砂漠の徒歩での旅だが、
しっかりとした足取りをしていた。

だが出で立ちが変だ。
通常であれば駱駝等に食料、水を積んで砂漠の旅をする。
靴は…かんじきの様なのをはいてるが、駱駝もつれず明らかに軽装であった。

確かに軽装であれば砂漠でマラソンも可能でもあるといえよう…

サハラマラソン…7日間砂漠の中を朝スタートして4月の日中炎天下を全行程約250km走り続ける過酷なマラソンで、
競技者は支給される水と運営が用意するテント以外はすべてランナーが背負って走り続ける。

第1〜3ステージは25km〜40kmくらい、
第4ステージがオールナイトランで70km〜85km。
第5ステージが42.2km、
第6ステージがラストラン10km〜20km。
各ステージ制限時間は12時間以内、第4ステージは34時間以内の設定だ。
間があるのは毎回コースを運営が不正防止の為に変えているからだ。

日中は50度を超える事もある灼熱に対して、夜間は氷点下まで冷え込む気温の落差…
オールナイトラン時に日中の格好では翌日に発熱間違いないだろう。

運営指定は、バックパック、寝袋、懐中電灯、そのスペア電池、コンパス、
ライター、ナイフ、アルミ製サバイバルシート、消毒液、解毒剤、スネークポンプ、笛、シグナル用の鏡、
そして1日2000kcalの食料義務つけられてはいて、未満は生命の危機にあたるで失格事由にあたる。
最低6kgあたりからの重量を背負ってマラソンに挑む。

なを食料や水のやり取りは失格事由になり、選手間でもダメで、外部からもらっても失格になる。
地面に落ちた…のは所有権放棄扱いで外部援助にならずokであるが…
食料は8kgってとこが一般ランナーらしい。

そして水は1日9Lと大量のソルトタブレットが支給されそれがランナー達の命を繋ぎ、体調維持には必要といえよう。

1日9L…つまり7日分の63kg+14kgで、77kgの重量を初っぱなから背負ってでは……マラソンどころではないともいえる。
人間が運ぶ限界を超えているといえよう。

それより少ないとどうなるか…
中国の砂漠に挑んだ学生が2名いた。
それぞれ600mL入り24本、1L入り6本のミネラルウォーターを背負っていた。
一人約20L背負って10日間の徒歩探検にでたが…期日になっても到着の連絡が無いために、通報依頼うけていた友人が通報し…
翌日捜索本部が設置され、さらに翌日発見されたが、
1名死亡、1名は極度の脱水状態で見つかった。
水は出発から9日で飲み干してしまったという。
夜間行動想定でも、砂漠に1日2L計算で徒歩での挑戦は無謀ともいえていた。

サハラマラソンに戻るが、徒歩での完走できるタイム設定にはなってはいるがきついと言えよう。

水は各チェックポイントで支給される形で、ランナーは重量になる水の携行は最低限…
迷子になったら生命の危機に直面する。

各ランナーが道標で、看板はたってはいるが……
砂塵で見失う環境にあるといえよう。

運営側の死亡事故防止体制はできる限りの事はしている。
リタイアの為の発煙筒、
巡回車による迷子対策…ルート誘導、
制限時間内未到達者の大規模ヘリ捜索、現地民への捜索依頼…
そして各キャンプでの医療所…
それでも2名の死者が過去に出ている…過酷な極限マラソンであった。

日中行軍で、1日9Lサハラ砂漠では必要とする。
夜間のみなら1日4Lで耐えられるかもしれない…

水が大量に携行できない場合は?
砂漠の民は駱駝から水をえていた。

駱駝がいなければ人類が砂漠踏破できるのは機械化産業化されてからになったともいえていた。

まずは駱駝の乳…砂漠での貴重な水資源となる。

利用可能な水に含まれる塩分濃度でいうと、人間0.15%、牛0.7%、羊は1.8%、駱駝は5.5%といわれる。
海水の塩分濃度は大体3.5%、駱駝は海水でも飲用でき、それでいて駱駝自身の腎臓に負担が出ない仕組みになっているばかりか、
乳の塩分濃度は0.9%くらい…生理的食塩水のように人間の血液塩分濃度とほぼ同じ、したがって水代わりに飲用可能といえていた。

それにその血も水分といえていた。
駱駝は水を一気に80L、最大200Lまでのむことができ体内に貯める。
貯蔵先は血液であった。
血液中の水分濃度をあげる作りで、他の生物には出来ない技でもある。
暑い時期でも2〜3週間水分とらずに生存可能であった。
食事は5〜8日位で腹へったと鳴き始める…

耐乾性も優れ、体温が40℃〜34℃の間で変化する能力を備えていて、体温を40℃にあげて自身の排泄を少なくする、
また4割水分を失っても生命維持にすぐれ、

更には移動能力…自然のかんじきのような、肉球みたいな物に砂漠対応で進化した。他の蹄生物では接地圧で砂にうもれるが、駱駝はしずまない。
そればかりか300kg積載でき、
積載しなければ1日80kmを移動可能、時速25kmでの連続移動、
瞬間的には65kmのスピードをだす。
ラクダ騎乗時には時速12〜13km平均で移動可能だ。

まさに砂漠の船といえていた。
この惑星コムネスでも駱駝に似たような生物はいよう…

夏場の砂漠、緯度的にはサハラあたりに相当する。気温は既に50度を超えている。
そして軽装…灼熱の中をあるく非常識なダリである。

さて、この軽装な不自然なダリは…?エルフ耳をつけたターミネーターであった。

軽装なのは水分補給の必要がないから…
偽装の為の生体組織には勿論水分は必要ではあるが、脳や内臓がまずないからそれほど必要としていない。
2週間砂漠で行動させたら…生体組織は欠落すると思うが、行動に支障はない。

もっともそれほど歩いてはなく、ステルスアルケシュによって近くまで送られて、
あとは偽装で2時間程歩いているだけであった…

なんで砂漠の中をターミネーターが歩いているかというと…

ゴア国に関しては会談し条約まで結べた。
だが他の国…責任者死亡のハイトの街、
集団疎開させた北地方はともかく…
南地方の4つの街に関してはまだ接触をとってはない。

その為にエルフ耳をつけて南地方の目的地へと歩いている最中であった。


ターミネーターが砂丘をのぼりきると…センサーには砂漠のど真ん中に木が生えて壁となっている光景が見えてくる。

砂漠に木がはえてる?とおかしいとおもう。
のセンサーにも地球には当該種該当無しと表示されている。

通常地球であれば砂漠地帯であれば日干しレンガ、アドベ、石、焼成煉瓦が建材の主流で、
他にモルタルで石積や、切り石積み…等があり、
スタッコによる化粧しあげといったところであろう。
彩飾タイルによる外壁化粧は14世紀からになる。

そして街壁…街をまもる街壁だと大体が石の可能性が大である。

大規模建築ではまずは基礎をつくるために砂を堀り岩盤等を露出させる。
岩盤に溝を堀り、水を流して岩盤を削ってレベルを合わせる。
排水したら基礎の完成だ。
基礎の上に支柱等を組ませて基部がつくられ、
回りの掘削部分に砂をいれて坂道をつくり、繰り返して高くしていくのが砂漠での大規模建設のやり方だ。

だが…目に見えている壁は木が生えて…1本ばかりでなく連なって生えていて壁といえる状態だ。

ターミネーターは木に近寄ってみると、生えている木に隙間がない。砂漠の砂が侵入しそうだが隙間がないために向こう側へと砂が入らないのだろう。
木は緑豊かに葉が繁っている。
切った木材よりかは火には強そうだが、石よりかは火には弱いだろう。

ますます不思議な木々ともいえ…

そのまま右手側に木の壁沿いに進むと、砂漠の地面から隆起している箇所がある。

坂道も木の根っこでできてるといえ、坂道を登ると空洞…1種の門といえる箇所にターミネーターは入っていく…

門を抜けると見えた光景は立ち並ぶ家屋と、地面は土であった。

土があるのはこの土地を囲っている街壁樹木の存在が大きいだろう。

石が削られると砂になる。砂は粒子が大きく水を貯めないために砂でできた砂漠には水がない。
砂が更に細かくなると粘土になり、みずを通さなくなる。
水が貯まるが植物は育たない。空気が粘土の中にないからだ。

では土は?
砂に有機物が加わると土になる。腐葉土等だ。
そして土から有機物を除くと砂になる。
一番手っ取り早いのが高温焼却炉で土を燃やせばだ…
空気がある砂に、保湿成分の有機物が加わると、植物が育つ土になるわけだ。

砂漠緑化プロジェクトの、高分子ポリマーによる利用法と同様の理論ともいえる。

この街の場合、内部にオアシスがあるとしたら水路で街壁樹木まで水が届き、
水分を供給していると考えられよう…

防砂林や砂防林と同様な働きをしてるともいえていて、日本では庄内砂丘の海岸林が一番わかりやすい例といえている。

砂防林は海岸から吹き込んでくる砂を防ぎ、砂漠化を防ぐ林である。
庄内平野は過去2度ほど砂防林が全滅した。

記録では江戸時代…
江戸の大火により木材不足となり、海岸林が塩作りの燃料材として出荷された。
海岸林がなくなると一気に砂浜が広がって庄内平野一帯が砂丘と化した。
すると…洪水が発生したらしい…
これにはたまらず藩が動き出して植林を開始、200年の時をかけて砂防林を復活させて庄内平野を再び緑化したと歴史はつづられている。

そして第二次世界大戦後…
過去の砂防林全滅時の教訓を忘れたのもあるだろうが、燃料不足の為に山に上らず伐採できる砂防林に手を出してしまい…
再び砂防林が全滅してしまった。
当時砂防林は民間私有地だったからのもあるかもしれない。

すると大量の砂が襲いかかり、人々の生活に影響を与えるどころではなかった。
当時の新聞に砂にうもる民家、家の中なのに傘をさして食事せざるえない酒田市住民の写真等の記録が残されている。


住民は国に民間私有地も提供し、砂丘に植林事業が開始された。
江戸時代は200年かかったが、砂防林として機能し始めたのが約20年位はかかり、
できれば…30年〜40年で完全な砂防林としては形成される。
その間、庄内平野の遊佐町は大変だったであろう…

大平洋側ではさほど強風が常時ふきあれず砂がさほど内陸まで入らずだが、湘南海岸砂防林が第二次世界大戦後に、
燃料使用目的で伐採され、国道134号が飛砂により埋没して事態に気がついた。
そこからは修復の歴史だ。


この街壁樹は完全に砂から街中を護っているとも言え、
また街壁樹の落ち葉も砂を土とする存在ともいえていた。


豊富な水量確保できているのは建築物や街中の環境にもみられていた。
木が街中に生えているばかりか、砂漠の都市で木造家屋がたてられている。

砂漠の都市の建材は先程も述べたが通常煉瓦系である。
木材輸送は砂漠では非常にコストがかかる。
荷車の車輪は砂地では接地圧で埋まる。
自動車の様に太いタイヤ、またできれば6輪等接地圧を分散させるつくりが必要であろう。
だが中世技術レベルの馬力で引ける荷車では無理だ。
馬力のある大型生物…例えば恐竜が使役されてたらまた別であろうが、地球常識では無理であろう。

石材ならば砂地でも橇台で丸太をしいて車輪かわりに…といった古代エジプト方式がとれなくはない。
ただ付近に石材採取場や別の運送方法が必要ともいえ、砂漠の中を長々100km以上、
1立方mの2.5tの石や玄室につかわれている30立方mの80tの石を運ぶとなれば…それまた無理であろう。

手持ちでなら…20立方cmの石なら約20kgでまだ運べはするが、積み上げると接着剤がなければ崩れるのはうけあいだ。

木材運ぶのに砂地の上を…丸太を並べ…人海戦術でいけば可能かもしれないが、明らかにコストを超えていよう。

煉瓦系の素材であれば、日干しレンガ等がいちばん作りやすい。

だだしその作り方から降雨が少ない乾燥地帯限定の建材だ。
雨には弱く全体的に脆い。資源が乏しいからそれしか作れないという点もある。

ただし条件揃えば約4000年近くも建造物が残るほど強固な物であった。
エジプト中王朝時代…ギザの大ピラミッド建設より後の時代になるが、
国力の無さから泥レンガや日干しレンガでピラミッドが作られ、それが今も現存している。


作り方としては、まず粘土を探す事が重要になるが砂が細かくなり圧縮すれば粘土になる。
砂漠を掘れば粘土地層がいつかは見つかろう。

粘土と砂とを混ぜ合わせたものに水を加えて練り、練った者を木枠に入れて整形する。
そして木枠からはずして2〜3日ほど天日で乾燥させれば、日干しレンガができあがる。
木枠の大きさによってレンガの形を調整することができる。

エジプトの日干しレンガは素材の中に麦藁くずなどを入れてレンガの亀裂を防ぐ工夫が施されていて、
アドベとよばれるものであった。

このようにして製造された日干しレンガは、住宅、倉庫、畜舎などの壁を作る建材として利用される。

日干しレンガを積み上げる際に、レンガ同士の接合剤として砂に水を混ぜたものを用いる。
そしてレンガの積み上げが済み、四面の壁が完成すると、外装に泥を壁面に塗って固めて強化する。

といった砂と粘土があればつくれるやり方だ。

だが、日干しレンガでなく木製住宅…
砂漠の街内で建築物につかえる程豊富に木材が供給できている話になる。

ただし…木材を建築物に使うとなるとそうそうな量ではない。
まず乾燥が必要であり、早くて半年、1年以上かかる。
雨がすくない乾燥地域なら、4分の3には減らせられようだが…
丸太でそのまま使うなら乾燥は要らないが、すきま風〜等になる。

だが、前の建屋は板を使っており、乾燥作業が入っている筈だ。
乾燥作業をいれないとしなりで建てた後に不具合が生じる。

リアル日本の建築標準計算で1軒辺り45坪と仮定して、29立方mの木材が使用されている。そこ数値と、

直径30cmの木材では最高の状態で 18cm角の柱が限界、9cm角の柱ならば4本、
端材に関しては幅18cm以下の板しかとれず…
合板技術や集成材技術があればとれる量がかせげるが、
4mの30cmの丸太から、18cm角4m=約1.3立方mと考えると…
4m丸太なら家1軒つくるのに約22.3本必要という計算になる。
1000軒であれば約2.23万本建設に必要だ。

乾燥箇所は街壁内で行わなくてもよいが、もの凄い量の丸太がどっか広い箇所で乾燥されているわけだ。

輸送の話になるが、それだけの量を駱駝等で運搬すると、4mの30cm丸太乾燥で約1tなので…引きずるしかなく…
って話だ。

なを…30cm直径となると杉であれば約65年程は必要だ。
50年もので24cm〜26cm直径のがとれる。
だが…間伐材20年ものでは10cmあたり…
柱としては使えず、集成材としてしか使用できない。

育成に非常に時間かかって、豊富にとれなければやってけないのが木製住宅といえ、
周囲は砂漠という面からそれだけの量をこの街ではとれるという推論になろう。

また気温も樹木により下がっており、
気温を下げてすごしやすくしているのだろう…

そんな砂漠の中で資源的に奇跡的に恵まれた街であるが…

人気がすくない。
まず兵士や衛士類いにとがめられなかった。
街門であれば何かしら検問は行っている筈なのに…
そしてターミネーターのセンサーにも反応がすくなく、家屋も空き家となっているのが多い。

ターミネーターはそのまま街中にすすみ、一軒のスイングドアを押して中に入ってく…

室内に入ると外部より温度が低い。
冷気が天井より降ってくる感じだ。
カウンターに突っ伏しているエルフ男がいたが、こちらを音で判断し顔をあげながら、
「いらっしゃい…」

と声をかけてくる。流行ってはなさそうだ。
「やってるかね?」

「ああ、やってるよ。泊まりかい?飯かい?」

「両方頼む」

ターミネーターが入ったところは酒場兼宿といった感じの店であった。

「部屋は今から清掃にはいる。まずは飯でよいかい?」

「ああ」

「シュバイン!!お客さんだ!1部屋清掃頼む!201だ」
奥から返事がきた。

「泊まりは1部屋3000ゴルだ、何泊かね?」

ゴルはコムネス共通通貨と今ではなってる。元はエルフ勢力圏の通貨だが、
他人種国家が無くなったので、共通通貨といってよいだろう。
だいたい1円が1ゴルといってよいだろう。

「安いな、飯とか風呂とかついてるのか?」

「飯は別料金が当たり前だろ?もっともうちで落としてくれる自信はあるがね。
ところで…風呂ってなんだ?」

素泊まりなら素泊まりと言え!!…地域変わって常識なら致し方ないが…

「あ〜…シャワー?行水?お湯かけ?」

「お湯かけ?馬鹿いってんじゃないよ。こんな暑い土地でお湯かけってもったいない。
水かけだろ?別料金でつけられるよ」

どうやら行水が水かけというらしい…
風呂はこの地方ではないようだ。

「……取り合えず1週間分、延長するかもしれん」

「ひゅ〜先払いで…1週間なら1泊分サービスだ。18千ゴルでよいよ」

つくづくその値段でやれるのか?と思うが…

「毎度」

「さて、まずは何を飲むかい?冷たい水もあるよ」

「冷たい水?」

「ああ。100ゴルだ」

「頼む」

汲まれてきた冷たい水、かなり冷たい。

「ほう…どうやってるんだ?」

「素焼き壺で冷やしてるのさ」

実は乾燥地域では素焼き壺で電気を使わなくっても気化熱で凍る程冷たい水をつくる事は可能だ。
ジィールと呼ばれてはいる。太古の知恵であるが残念ながら日本では多湿の為に難しい。

原理としては素焼き壺はなかに入っている水がにじみ出てくる。漏れだすまではいかないが…
壺の表面ににじみ出た水は即座に蒸発、壺の温度を奪って壺自体の温度を下げていく…
の繰り返しだ。

壺の中の水は目減りして、保存にはきかないも冷たい水を提供できる天然冷水機ともいえよう。
エジプトではナイル川の水道水を壺の中に常にいれ道端の人にたいしての無料提供している。

「うまいな」

「だろ?さて飯はおまかせでよいかい?」

「ああ、頼む」

マスターが厨房に入ってく…

その間に、ターミネーターは冷気の正体を探して天井を見上げた。

冷気の正体は天然クーラーといえるのが天井についていた。
気化熱を利用したもので、外部の採風口から入ってきた熱気が、貯水槽に当たり、気化熱で熱を奪われて冷たい空気として降りてくる。
イランではバードキールとも呼ばれている。

ターミネーターが風呂について質問してたが、今現代の観光ホテルはともかくとして、
確かに暑い土地ではまず存在しない。
乾燥地帯では汗がすぐに蒸発し、日本と違い蒸れないのが理由だ。

また暑い風呂等はゆだる危険性大でもあり、
かといって冷たい風呂は、上がった瞬間に気化熱により全身の体温が奪われ低体温症になる可能性もある。
更には水は貴重でシャワーの習慣もなく…
という環境なのもある。

ここは水資源豊富らしいのでシャワーは無いが行水はあるようだ。

因みに毎日風呂は日本と古代ローマ特有の文化でもある。
ホテルのシャワー壊れていても1日程度なら無問題といえるのが西欧でもある。

西欧での理由は、キリスト教の流入で、官能に身を任せる異教徒への嫌悪感から、
身体を洗うことまでやめてしまい、
創造主に認められた人間の身体の汗と脂の匂いを発散することを誇りに思うようになった事が1つ、

16世紀の、皮膚に水が浸透することで病毒の影響を受けやすくなる、毛穴から体液や活力が出て行き、代わりに病毒が入る…などという独特の身体観が広まり、
その為にペストが大流行で人々は水への恐怖から入浴を避けていた事がある。

19世紀になってからウイルスの概念が発見されて現代的衛生感になったが、
それでもデカルトの哲学を重要視しているフランスでは1週間に1度しか今でも入らないそうで…


「おまちどう」

マスターがもってきたのはタジン鍋の様なものとナンの様なもの。
とんがり帽子の先を摘まみ持ち上げると…美味しそうな匂いが一気にひろがる。
…蒸し料理か…

肉団子、ネギの様なもの、茸類、キャベツの様なもの、
赤いのはトマトの様なものベースか?

「うまいな」

口に運んだターミネーターは一言。

「だろ?ところであんた、見ない顔だね?」

「外から来たばっかりさ、この街は何ていうんだ?」

「棄てられた街、ドナウさ…」

「棄てられた街?こんなに砂漠の中に緑豊かな街なのに…」

ドドドドドウゥゥビリビリビリ

「この音さ…クソどもの侵攻が防がれてるのはよいが、この不可解な音が街を棄ててく理由なのさ…
まったくいい加減にしてほしいね。連日連夜だよ」

大和の46cm砲でさえ、砲撃音は20km先にも届く…

「昼夜問わずに響くんだよ?睡眠不足もいいとこさね。
街を護る決意していた兵隊さんらも逃げ出したよ」

異世界軍の防衛の為の砲撃音がこの街の多くの住民に対して街を捨てさせる決断を促したらしい…

「今じゃこの街にいるものは旅に耐えられない老人、赤子を含む家族とかだな」

「馬に乗せては?」

「馬?砂漠ならビタだろ?この街の住民分は居ないさ」

駱駝ではなくビタという使役動物らしい。
もとは砂漠の交易の民だったそうだが、奇跡の地であるドナウに住み、定住化が進み人口が増えた。

その結果全員が脱出は難しくなり…という話の模様だ。

「なら橇は…」

砂上船は動力や魔力がないと実現できないのでターミネーターは発してない。
砂上船であえていうならスノーモービルが砂で走れる小型船?というべき存在になるが、砂が研磨剤となり駆動部を駄目にする。
また砂の方が雪より抵抗高い為にバイクも走れよう。
風の力だけでは正直無理といえば無理だ。

「橇は近場ならよいんだが、ベンジャまでには急な砂丘がおおいからね…
滑って埋まると結局は荷物すてる使われないな」

橇は使役動物の積載重量以上運べるが、一回はまると砂漠では運搬物を諦めるか、命の危険にさらして救出作業するか、積み替え作業するかになる。
賭けをするよりかは、より確実に運搬するのが重要であり、
砂橇は流行らないといったところであろう。

「店長、部屋準備できたよ」

「おう、またせたな。個室の鍵だ。2階にあがりな」

鍵をもらい2階にあがり…

「お客さん、この個室ね。棚はここ」

「ほぅ…よい部屋だな」

「へへへ。トイレは1階ね。水かけは中庭でできるよ。声をかけてね」

「チップだ」

「チップ??」

どうやらチップの習慣は無いようだ。

「…お駄賃だ」

「えっ?いいの?ありがとう〜。ごゆっくり〜」

宿をとり拠点確保したターミネーター…

ドナウの責任者は?
と、次の課題がウィンドウに表示されていた。



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