テオ 〜盗まれたトランクとその行方〜 (Noah's Gate)


トランクの中身を物色している男が悪態をついた。
その中には、紙だの筆だのしかなく、売って金になりそうなものは全く無い。

数刻前に、田舎者面した少女の隙をついてそのトランクを奪い、この路地裏まで逃げてきた。
思ったよりチョロイ仕事ではあったのだが、トランクの重量から期待していた分、かなりの落胆があった。
次の獲物を探さねばならんか。と男が思った矢先、ふいに上方から女の声が聞こえた。

「見つけた」
ほうき……ではなく、巨大な絵筆らしきものにまたがった女性が男を見下ろしながらそう告げる。

男が見上げると、トランクの持ち主の女であることが分かった。
いくらゴミとはいえ、男は自分の所有物となったトランクを返すつもりはない。
そもそも、売リさばけるものはこのトランクしかないのだ。

女はゆっくりと地上に降り立つと、絵筆は縮小し、その手に収まる。その絵筆を男に向け、通告をした。
「それを返して」

キッとそのアメジストの瞳で睨みつける少女を、男は値踏みするように眺めていると、やがて口角が上がる。
(こいつ、よく見たら結構上玉じゃねえか……それに魔法使いか。なら、剣士の俺に分があるだろうしな)
男は下卑た顔をさらにゆがめながらいう。
「はいそうですか。と言って返すバカはいねぇよ。どうしても返してほしければ体でも差し出すんだなぁ?」

 * * *

(あんなこと言ってるよノア)
(何なのあの三流。ヤリたいなら、そんな口上言う前にさっさと押し倒しなさいよ!)

僕らは空を飛ぶこの少女にただならぬ魔力を感じ追ってきたのだが、どうやらお取込み中だったらしい。

(そんなこと言ってないで、助けるよ)
(なによ。このまま奴にヤらせたほうが魔力もたまって洗脳しやすくなって一石二鳥じゃない)

ノアはさておき、さすがに僕は目の前で少女がレイプされるのを見て喜ぶような趣味は持ち合わせていないので、彼らの注意を引くことにする。
「そこまでだ。何やら声が聞こえるかと来てみれば、いたいけな少女をもてあそぶ犯罪者か?」
(だっさ!!!)

ノアの罵倒を完全に無視して、男に時空剣を向けたまま静止する。
男がちらりとこちらを向くと、しまったとばかりの顔をする。こいつはアホなのか?

(そうだ!助けたら、彼女にお礼を体で払ってもらいましょう)
(ノアはだまって!)

そんなやり取りをした、こちらの隙をつき、男は彼女を人質にしようと距離を詰めたその時、彼女の前に薄い紫のヴェールが現れ、男の剣をはじく。
とはいえ、彼女も無傷とはならず、その白い腕から一筋の血が流れた。

それを見た僕は慌てて時空剣を男に振りかざし、ノアの名を叫ぶ。
上段から振り下ろす剣先から魔力がほとばしり、その直撃を受けた男はだらしなく口からよだれをたらし、その場にへたり込んだ。
男から漂う精液の匂いに顔をしかめながら、僕は急いで彼女のもとに駆け寄ると、彼女も顔を赤らめ、その場にへたり込んでいた。
(あら、この子、余波を食らったのね……ちょうどいいわ。口直しにこの子頂いちゃいましょう?)

ノアがそういうと、僕の意識が遠のく。
「僕」となったノアは、彼女の手をとり、大丈夫?と声をかけるのだった。

 * * *

私は朦朧としていた。
プロテックパープルで泥棒の剣をはじき──とはいっても無傷とはいかなかったが──その後の記憶は曖昧だ。
熱っぽい、ぼうっとした感覚と、のどの奥が乾きが苦しい。

「う……ん、ここは?……ってきゃぁ!!!」

ブラウスの胸がはだけられ、あらわになった自分の胸が視界に入り、悲鳴を上げる。
その先には、一人の仮面の男が立っていた。
あの時介入した男の服装に髪型だ。仮面をしていても同一人物だとわかる。

とっさに腕で胸を隠そうとするが、両手足の感覚がなく、指一つ動かすことができない。
仮面の男の口元がニタリと笑う。

「両手両足は麻痺させてるから動かないよ。これから楽しいひと時に無粋なことをされても困るしね」

そういって男は無造作に私の胸をつかみ舌を這わせる。
その瞬間に、体にしびれるような快感が走り、下腹部にじわり。と何かが下りてくる。

「ふふ。さすがにいい感度。余波を食らったので当然かしらね」
「この……」

私はこの男をにらみつける。先ほどの男よりも質が悪い。
「丸出しの縞パンツをぐっしょに濡らしておいて、そんな目をしても無駄よ」

私は奥歯をギリっと咬む。
そうだ、胸を揉まれ、乳首を舐め上げられただけで自分でもわかるくらい、濡れているのだ。
あの時、まるで媚薬でも盛られたかのように恐ろしいほどの快楽を感じていた。

「楽しんだほうが得よ。うるさい男がいるから、さっさと終わらせてあげる」

そういって、仮面の男はにちゃっと唾液の音をわざとたてて、私の乳首を銜え込んだ。
「ひぃ。ひぅっ」

意図せず、嬌声を上げる。

男は胸に吸い付きながら、口の中で乳首の先端を舌先でコロコロと転がす。そのたびに。快感の電流が私を駆け巡り、体が跳ねる。
荒い鼻息をたて、男はさらに舌先で乳首を押し付けたり、舐り、時には吸い上げる。
私は歯を食いしばりながらそれに耐えた。

(いやだ、なにこれ。おかしい。ダメ、こんなの)

かつて味わったことがない怒涛のような快楽に涙目になり、よだれが出るのもかまわずに歯を食いしばる。

仮面の男はそんな私の無意味な抵抗を落胆した表情を見せると、右手をすっと太ももに這わせてきた。

(だめ。こんな状態で、触れられたら!)

私の悲痛な思いもむなしく、仮面の男は愛液に濡れてグズグズになったパンツの上から、陰唇にそってさする。
もうこれだけで、意識が飛びそうになるのを、ぐっとこらえる。硬く目を閉じ体は小刻みに震え、傍目に見ても我慢しているのがわかるだろう。
男の指はあえてクリトリスを避けて、女陰の外周を撫で上げる。
私の意思と無関係に愛液はさらにあふれ、パンツ越しでも、女陰の形がわかるほどびっちりと張り付いていた。

仮面の男は、その濡れた指先を舐めると、悪魔のような声が、私の耳元でささやかれる。
「こんな状態でクリトリスに触れたらどうなるのか、楽しみ」
容赦なく、指先が正確にクリトリスをとらえた。
「ンッ、ンン〜〜〜〜」
食いしばった口の端から声が漏れるのをとめられず、苦痛とも取れる声を上げてしまった。
「我慢に我慢を重ねてるあなたもかわいいけれど、どこまで耐えられるのかしらね」
そういいながら、仮面の男が、中指でリズミカルにクリトリスを押し付け伸ばす。
愛液が潤滑油となり、くちゅくちゅと音を立つつ滑らかに動くそれの挙動に抗えずに、私は「カハッ」と息を吐き、そして体を痙攣させた。
「あらあら、あっけない。もうイッちゃったの? まだまだこれからだというのに。」
仮面の男の声は私には届かず、目の前で明滅する光を見ていた。

 * * *

(ノア! やり過ぎじゃない!?)
(やり過ぎじゃないわよ。むしろメインディッシュはこれからよ!)

仮面をつけた僕となったノアはこの名も知らぬ少女を拉致し、もてあそんでいる。

ノアは少女が荒い呼吸を整えている間に彼女の持ち物を漁ると、1本の絵筆を手に取った。
あの時、少女が乗っていた魔法のほうきならぬ魔法の絵筆だ。

ノアはそれを見て満足そうな笑みを浮かべると、少女のパンツに手をかけ、ゆっくりと下し始める。
ぐっしょりと濡れたそれは股間とパンツの間で透明な糸をつなぎ、そして、彼女を寝かしているテーブルに水たまりを作る。

「や……ぁ」

少女から声が漏れた。
ノアは彼女の股間に顔を埋めて臭いを嗅ぐ。ノア越しに、酸っぱい、それでいて、女性特有の芳香で僕の頭もくらくらしてしまう。
少女は自分自身の匂いを嗅がれることにひどく羞恥を覚え、真っ赤になりながら横を向いて目に涙をたたえていた。
そんな表情に、さらに満足気な笑みを浮かべるノアはその筆で、彼女自身を撫で上げる。

「ひやぁ」

なめらかで弾力のある筆先が、女性器全体を優しく撫で上げ、愛液を絡めとる。

「いい筆だ。愛液ともよくなじむ」

ノアはさらに丹念に筆先を走らせる。
くちゅ、くちゅり、くちゅ、くちゅり。
筆先は時にダイナミックに。繊細に。強弱をつけて、女性器の外側を舞い踊る。
そんな少女の叫びとは裏腹に、彼女の奥底からは愛液がトロリとあふれ出て、それをさらに筆でからめとり、じわじわと、執拗に攻め立てた。

「ふっあっ……だめっ、やめて。お願い」

そんな少女の言葉に、ノアはあっさりと手を止めた。しかし、その行為に少女は驚き、そして後悔した。
「やめてじゃないでしょ? 『もっとして、イかせてください』でしょう?」
ノアにより、快楽中枢を掌握されている少女は、今ジレンマに陥っているのだろう。
こうなったらもうノアには誰も抗えない。イきたくとも、イけない。そういう状況になっているはずだ。

「うっっくっ……お願いします。もっとして……、イかせてください」

搾りだすような、泣き声が混じる少女の声に満足げな表情をしたノアは「よくできました」とばかりに絵筆の操作を再開させた。
先端をクリトリスに集中させ、一気にスパートをかける。小刻みに動かしはじめると徐々に少女の体がガクガクと揺れ始める。

「くぅう……ふぅ……ううぅぅ」

ノアが筆をクリトリスに強く押し付けられるのと同時に、少女は絶頂を迎えた。
クリトリスから筆が話されると、弛緩した下半身からチョロチョロと尿が漏れる。
少女の目はうつろで、息も絶え絶えになっていた。

ノアは筆についた愛液を少女の胸で拭いながら言った。
「ごちそうさま、かわいかったわよ。まぁ聞いちゃいないかもだけど」

テーブルの脇にその筆を置くと、ノアは快楽で放心した少女をそのままに部屋を出て行った。



押して頂けると作者の励みになりますm(__)m


目次

作品を投稿する感想掲示板トップページに戻る

Copyright(c)2004 SILUFENIA All rights reserved.