今日も平和だな〜。教室の窓側にある席から雲一つない澄み切った蒼い空を見上げながら俺はそんなことを思っていた。

おっと、自己紹介がまだだったな。俺の名は兵藤一誠。今年で数え齢が17歳になる極一般的な高校生だ。

……いや、極一般的な高校生というのは違うかもしれない。なぜなら、この人生は俺にとって4回目の経験だからだ。

1回目の人生。これこそ正に一般的なものだった。重度のゲーマーだった俺は自分でゲームを創りたいと思い、専門学校に入学・卒業。そして、ゲームクリエイターとして某大手ゲーム会社に就職。

自分のやりたいことをとことん突き進んでいたこともあって充実した人生だった。が、そんな人生に終止符を打つ出来事が起こった。帰宅途中で起こった玉突き衝突事故だ。

事故を発生させたのが居眠り運転だったのか、それとも酒気帯び運転によるものだったのか。今の俺には知ることすらできない。

ただ、愛車がひしゃげ、痛覚を感じないほどの衝撃を受けたことと、自分の体から血が失われていく感覚だけは今も覚えている。

こうして1回目の人生を終えた俺は2回目の人生を歩むことになった。いや、人生ではなく悪魔生というべきか?気が付いた時には俺はクロノという悪魔になっていた。

悪魔生ということもあってこの時は正に地獄の様な生き様だった。元老院と呼ばれる上層部を含む100人もの爵位持ちの同胞を手に掛けたことで罪人として追われ、大切な存在であった女性を2人も失った。

1人目――マグダレーナは双子の兄とも言える存在――アイオーンの手によって殺され、2人目――ロゼットは俺のせいで寿命を減らし、20代という若さで老衰死した。

2回目の世界で救いがあったとしたなら、愛した女性――マグダレーナが俺に愛情を向けてくれたことと、ロゼットをアイオーンから救うことができ、またマグダレーナと同じ様にロゼットが俺のことを恨まず、愛情を向けてくれたことだろう。

しかし、マグダレーナとロゼットが俺のことを恨まずにいたとしても、俺は自分を死ぬまで許すことができなかった。男として愛した女を守ることができなかったことには違いがないのだから。

2回目の世界で再び死を迎えた俺は、再び新しい人生を歩むこととなった。それが3回目の世界だ。どうやら、2回目以降の人生で俺は人外と縁深くなった様だ。

3回目の世界では人間として生を受けた。が、3回目の世界は神やら悪魔やら霊といったのがオープンに存在する世界だったんだ。そして、悪行を働く悪魔や霊を討伐するGS(ゴーストスイーパー)という仕事があった。

そんなハチャメチャな世界で俺は横島忠夫として誕生した。そして、この世界の人間は強弱があれど誰しもが霊力を持っているということを知った俺は、幼少期にGSになることを決めた。

命の危険を孕む職業ではあったが、前世で大切な人を死なせてしまった贖罪を兼ね、少しでも多くの人を悪魔や悪霊の魔の手から救いたいという思いがあったから。

そして、何より2回目の世界での力――『時間凍結』の能力を引き継いで生まれ変わっていたことや、長老(エルダー)の下で助手みたいなことをしていたこともあり、ある程度の退魔武装の製造知識を持っていたことも職業選択の要因の1つだ。

が、2度あることは3度ある。俺はこの世界でも大切な人を失うことになった。相手は女悪魔だった。最初は敵同士だったが、いつしか互いに惹かれ合っていた。

客観的に見れば使い古された恋愛小説のネタみたいな流れだ。だが、当人である俺は至ってまじめだった。きっと彼女もそうだったに違いない。

そんな彼女を失ったのは世界の命運を賭けた戦いでだ。俺は自分の存在――魂すら崩壊する攻撃を受け、正に瀕死の状態になってしまったんだ。そして、そんな俺を救ったのが彼女なんだ。

崩壊を始めた俺の魂を修復、補完する為に彼女は自分の魂を使ったんだ。結果、俺は助かったが彼女は消えた。いや、消滅という意味での消えたとは言い難いか。

彼女の魂の残滓は僅かばかりだけど残っていたんだ。そのお蔭で転生の希望を見出すことはできた。しかし、彼女が転生する先は俺の子供。もしくは、子孫ということだ。

恋愛対象が一転して何代先になるか分からない自分の子孫。生まれ変わりを果たす度、俺は恋愛が自分の手の届かないものになっているのではないか?とすら思った。

結果のみを述べるなら、3回目の世界で俺は彼女――ルシオラと再会を果たすことはなかった。年老いた俺が死ぬ前に神仏へと願ったのは、ルシオラに新たな命を与えて欲しいという、ただその一点だった。

そして、現在。1回目や3回目の世界と同じ時代背景が1990年代以降という、俺的感覚で現代と呼べる世界に3度目の生まれ変わりを果たした。

ぶっちゃけ、2回目の世界は1920年代から1930年代に掛けてだったから、1回目から2回目の世界への生まれ変わりと、2回目から3回目の世界への生まれ変わりは時代的ギャップも激しかったこともあり、4回目は大して時代背景の違いもなくて助かった。

で、この世界の日本にはレクトという大手電子メーカーが存在し、そのレクトにはレクト・プログレスというゲーム部門の子会社がある。

俺はそこでプログラマーをしていた父さんと、某PC情報誌の出版社で編集者をしている母さんとの間に兵藤一誠として誕生し、9歳になるまで1回目の世界とほぼ同じ普通の子供としての生活をしていた。

……いや、正確には普通の子供とは言い難いか。何故なら、3回目の世界と同じく、現在の俺は生まれた時から2回目の世界で得た『時間凍結』を含む悪魔の能力と、3回目の世界で習得した霊能力を持っていたからだ。

まぁ、それでも9歳までそれらの能力を行使することはなかったんだけどな。精々、両親の影響で5歳の時にジャンクパーツで自作PCを組み、7歳の時にその自作PCで1回目の世界で本業であったゲームクリエイトをした位だ。

両親は、「流石は自分達の息子」と褒め称えてくれたな。普通なら気味悪がると思うんだけど、どうやら俺の両親はかなりぶっ飛んだ性格の人達みたいだ。そのことについては9歳の時に確信が持てた。

さっきから「9歳の時」とやたらと強調していることもあり、9歳の頃に一体何があったのか、と気になる人もいるだろう。しかし、それについてはもう少し待ってくれ。

さて、話が変わるが家の話でもしようか。俺の家は割と広かったりする。何故、広いと言い切れるか。それは自宅の敷地内にそれ程大きくはないが、小さいなりに立派な道場があるからだ。

実は割とデジタルな仕事をしている両親なんだが、父方の爺さんはそれなりに名の知れた剣術家だったりした。過去形なのは爺さんが既に天寿を全うして亡くなっているからだ。

兎に角、昔は爺さんも一緒の所謂二世帯住宅だったんだ。そんな環境だったこともあり、俺は6歳から10歳に掛けて爺さんに剣術を叩き込まれた。

子供の頃の父さんは病弱だったらしく、剣術を教えられなかったそうだ。だから、健康優良児の俺は父さんの代わりに剣術を叩き込まれることになったんだ。

爺さんは厳しい人だったけど、剣術の鍛錬を真面目に取り組んでいれば、それ以外の時間帯にゲームクリエイトをしていても、干渉してくることはなかった。俺にとってその点は救いだったな。

ん?剣術の鍛錬は辛くなかったのかって?前世で闘戦勝仏の弟子なんて経験をしたことがある俺にとって、耐えられない鍛錬なんて早々にある訳がない。

7歳から9歳までの間、俺はゲームクリエイトと剣術の鍛錬を同時にこなす毎日を送っていた。そして、その2年間に俺は父さんが働いていたレクト・プログレスと深い繋がりを作ることができたんだ。

俺が製作したゲームの出来があまりにも良く、それを父さんがレクト・プログレスに持って行ったのが原因だ。結果、俺は非公式ではあるがレクト・プログレスでゲームクリエイターの1人として勤めることになった。

ちなみに非公式なのは、俺が当時8歳だったからだ。バリバリ労働基準法違反だからな。非公式にせざるを得なかったって所だろう。勿論、俺が仕事をするのは暇な時でいいと言われていたし、働いたら時給換算で給料も貰えた。

あっ!あと、俺がゲームクリエイターとして担当したのはRPG系ゲームだったりする。格ゲーとかも創れるけど、1回目の世界でも得意なのはRPG系だったんだ。

まぁ、そんなこんなで一般的とは言い難いながらも、平穏無事な生活を8歳までは送っていた訳だ。が、その生活も9歳の時から一転した。

俺は9歳の時、明らかに一般人が一生涯で遭遇することのない妖怪の子猫と出会ってしまったんだ。しかも、1匹じゃなくて2匹。普通にビビったよ。だって、妖怪なんて存在しないと思っていた世界で妖怪と遭遇するんだぜ?

で、その2匹は怪我していたこともあって、治るまでの間だけでも世話してやろうと思った訳よ。前世の経験から悪さする妖怪か否かの判別は大体できたからな。

生まれてから9年間、我儘も言ったことがなかったこともあり、両親は子猫を一時的に飼うことを認めてくれた。そして、2匹の子猫を俺の部屋に連れて行き、インターネットで猫の治療法を検索。

怪我自体は骨折などの重傷の類ではなく、家で治療可能なレベルのものだったこともあり、人間の道具で治療可能かを調べたんだ。

で、どうにかできそうだったので、俺は子猫達に少しだけ自分の霊力を分け与えてから部屋を出て、救急箱を持って戻ってくると何故か俺の部屋には真っ裸の美少女が2人いた。

拾ってきた子猫妖怪の毛色と同じ黒髪と白髪の美少女が2人。部屋に戻ってきたのが俺一人なら問題なかっただろう。しかし、子猫の治療を手伝うってことで、この時両親も一緒だったんだ。

当然のことながら両親は大騒ぎだ。だって、息子の部屋に子猫の代わりに真っ裸の美少女が2人居て、その上その美少女には猫耳と尻尾が生えていたんだ。騒ぎにならない方がおかしい。

ただ、父さんの騒ぎ方が非常におかしかった。何故なら、「り、リアル猫耳娘?………も、萌えええぇぇぇぇ!!」と言っていたからな。この後判明したことなんだが、どうやら父さんは1回目の世界の俺と同じくゲーマーからゲームプログラマーになった身らしい。

ってか、父さんの世代って明らかにギリ初代ファミコン世代の筈。もしかしたら、この時もゲーマーのままで萌えゲーとかにも手を出していたのかもしれない。

父さんの狂喜とも思える咆哮が大半の原因だろうが、母さんも多少なりとも驚き混乱していたこともあって、猫耳美少女2人組はビクつき、怯えながら体を寄せ合っていた。

取り敢えず、現場で一番冷静だった俺は父さんの鳩尾に一撃加えて黙らせた後、両親に落ち着く様に言い、猫耳美少女達にも怖がらせて悪かったと謝った。

そして、両親と猫耳美少女達の両者が落ち着いた所で、常に冷静だった俺が兵藤家を代表して猫耳少女達の事情を聴いた。

猫耳少女達は最初こそ黙り込んでいたが、黒髪の猫耳少女が口を開き、少しずつだが自分達のことを話してくれた。彼女達は俺の思っていた通り、妖怪だった。しかも、猫又でも希少種の猫魈(ねこしょう)と呼ばれる存在らしい。

猫又少女達は姉妹で、その身の上話は聞くも涙、語るも涙な話だった。猫又姉妹は両親と死別しており、身寄りもなくて放浪していたらしい。

しかも、その日食べるものにも難儀し、人の姿を維持できない程に弱って、子猫の姿でいる所を野良犬に襲われて怪我をしたらしい。

この時、あまりの不憫さに俺は泣いたよ。ってか、これが4回目の世界での初泣きだったよ。ちなみに父さんと母さんも貰い泣きしていた。父さんに至っては滝の様な涙を出して猫又姉妹をドン引きさせていたよ。

で、猫又姉妹から色々と話を聞いていると、この世界には人間には殆ど知られていない裏の世界が存在し、その裏の世界の住人には妖怪だけではなく、天使や悪魔、堕天使、ドラゴンなども存在することが判明した。

ここまで話を聞いた俺の感想は、「何だよ、3回目の世界と殆ど同じじゃん」っていう、何とも淡白なもんだったな。

ちなみに、ゲームを製作する仕事に関わっている父さんは猫又姉妹の話に興奮していた。どうやら、自称ゲーマーだけのこともありファンタジー系ゲームも好きらしい。

しかし、3回目の世界とは異なる所もあった。それは神器(セイクリッド・ギア)って存在だ。能力だったり、武器みたいな形状だったりと千差万別らしいが、聖書の神が人間にランダムで与えている規格外の力らしい。

勿論、神器(セイクリッド・ギア)は全ての人間が持っている訳でもない。そういえば、どっかのお偉いさんが言っていたっけ?人間は生まれながらに平等ではないって。ってか、聖書の神ってのはこの世界のキーやんか?ま、どうでもいいけど。

猫又姉妹の話が終了すると、今度は俺の話に移行した。ま、大体の予想はついていたけどな。だって、猫耳少女が現れても冷静だったし。普通に考えたらおかしさ満点だよ。

猫又姉に霊力云々のことを言われたこともあり、俺は自分の秘密――前世のことをその場にいた全員に打ち明けた。話を終えた後、両親に拒絶されることも俺は覚悟していたんだが、俺の両親は俺の想像の斜め上をいった。

母さんは、「霊能力少年の母親って凄くない?」と言い、父さんに至っては、「一誠、父さんはお前が羨ましいよ。父さんはな、昔勇者になりたかったんだ。だから、特別な力を持っているお前が羨ましい」と言い出したんだ。

正直、父さんに関しては、「それ何年前の話だよ」って突っ込みを入れたかったな。まぁ、父さんのライフが0になる可能性が高かったから、突っ込み入れなかったけど。

兎に角、3回も転生なんてものを果たしている俺を両親は平然と受け入れてくれた。そして、こんな親だからこその流れなのか、俺の両親は猫又姉妹を自分の娘にするとか言い出したんだ。

ぐだぐだと説明するのも面倒臭くなったので、そろそろ結果だけ述べることにする。猫又姉妹は俺の身内になりました。猫又姉は俺の姉、猫又妹は俺の妹というポジションになった。ちなみに猫又姉の名前は黒歌で、妹は白音だ。

ん?戸籍とかはどうしたかって?なんでも母さんの知り合いの伝手でどうにかなったらしい。母さんに聞いてみると、「一誠、ハッキングはバレなきゃ犯罪じゃないのよ」と言われた。

ちなみに、ハッキングやクラッキングはバレなくても犯罪なので、良い子は真似しちゃダメだぞ。俺との約束だ。

黒歌と白音は最初の頃こそ環境の急激な変化に馴染めずにいた。けど、それも2ヶ月もすれば解消され、2人とも父さんと母さんのことをちゃんと呼べる様になった。

そして、黒歌と白音が家族として馴染め始めたことを機に母さんは謎の伝手を使って、2人を学校に通わせようとし始めた。

そういえば、丁度この頃に神器(セイクリッド・ギア)の発現方法を黒歌から聞いたんだった。黒歌自身は死別した両親から聞いた方法らしいけど。何でも自分にとって最強ともいえる存在を強くイメージし、そのイメージした存在の真似をすれば発現するらしい。

黒歌からその話を聞いた父さんは自分の歳も考えずに恥ずかしい真似をした。ドラグ・ソボールの空孫悟のドラゴン波の真似だ。しかも、溜めまでしていたよ。「ド〜ラ〜ゴ〜ン〜波!!」って………。

結果を述べるなら父さんに神器(セイクリッド・ギア)は発現しなかった。生き恥級の真似をしたにも拘らず神器(セイクリッド・ギア)が発現しなかったことで、父さんは呆然としていた俺や母さん、黒歌、白音の前で項垂れていたな。

で、この時に俺も一応神器(セイクリッド・ギア)の発現方法ってのをしてみた訳だ。ちなみに俺は、父さんの様な恥ずい真似はしてない。何故なら俺がイメージしたのは2回目の世界で相棒であり、愛した女性であったロゼットだからだ。

彼女の少しでも希望があれば諦めず、立ち止まらない。そんな心の在り方が俺にとって最も強いモノだと思えたからだ。俺は銃の引き金に指をかけた様な格好で、彼女がよく口にしていた言葉を口ずさんだ。


「迷える子羊に安寧を。狼の牙にひと時の休息を。そして、悪魔に死の鉄槌を!」


俺がロゼットの言葉を言い終えると両腕が発光し始め、光が治まると俺の左手には赤色でごつい形状の籠手が装着され、両手には白と黒の長剣が握られていた。

どうやら俺は悪魔の能力と霊能力以外に神器(セイクリッド・ギア)まで手に入れてしまったらしい。2回目の世界以降、俺は普通の生活が無縁になりつつあるのではないかと思え、思わず涙した。

一通り涙を流し終えた後、身内で一番神器(セイクリッド・ギア)について詳しい黒歌に、俺の神器(セイクリッド・ギア)がどういったものか聞いてみた。見た目からして戦闘用ってのは明らかだったけどな。

だが、黒歌も神器(セイクリッド・ギア)についてそれ程詳しい訳でも無かったらしく、申し訳なさそうな顔をしながら謝られた。別に知らなくても悪いことじゃないんだけどな。で、俺の神器(セイクリッド・ギア)がどういったものか知る為、俺は霊能力を行使することにした。

刻まれた文字の効果を発揮する3回目の世界で神器ともいえる能力、『文珠』。その上位互換で1つの『文珠』に2つの文字を刻める『太極文珠』を使用したんだ。刻んだ文字は解・析の2文字だ。

解析の結果判明したのは、俺の神器(セイクリッド・ギア)は1つではなく3つだということだった。1つ目は『聖剣創造(ブレード・ブラックスミス)』で、2つ目は『魔剣創造(ソード・バース)』。2つとも割とレアな神器(セイクリッド・ギア)らしい。

そして3つ目。これは前者の2つを超えるシークレットレアとも言える代物。神をも屠れる可能性を秘めた13種の神滅具(ロンギヌス)の1つ。『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』と呼ばれるものだった。

解析結果を家族に話すと全員が驚いた。両親は神をも屠れる可能性がある代物が俺に宿っていたことについて。黒歌と白音はそれ以外に2つも神器(セイクリッド・ギア)を内包していたことに、と驚きの種類が異なっていたけどな。

だが、そんな家族とは逆に俺は大して驚いてなかった。だって、前世では超上級魔族でラスボスなアシュタロスを倒しているんだ。今更神をも屠れる可能性を秘めた武器を手に入れても驚かないよ。ってか、『太極文珠』の方が性能は上な気がしてならなかったし。

そうそう。この初神器(セイクリッド・ギア)発動の時、ついでに『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』の中にいる奴―――二天龍の片割れである赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)・ドライグが眠っていることも解析で分かったので、『太極文珠』の覚・醒で強制的に起こしてやった。

よくよく考えれば、この日から俺とドライグの24時間一緒な共同生活が始まったんだ。ぶっちゃけ、共同生活をするなら龍でもオスよりメスの方が良かったけどな。ドライグの昔話に登場する龍王、天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)・ティアマットとか。龍王唯一の女性体らしいし。

取り敢えず、小学生時代に起こった一番大きな出来事って言えば、やっぱり初神器(セイクリッド・ギア)発動を置いて他に無いな。小学生時代に起こった他に印象深い出来事と言えば、爺さんにしこたま殴られたことか。

あれは黒歌と白音が家族になって半年程経った頃の出来事だ。この頃、黒歌と白音も俺と同じ様に爺さんから剣術を教わり始めたんだ。理由は確か、家族になったから俺達のことをもっと知りたいと思った、だったかな?

が、俺は逆に剣術に打ち込める余裕がなくなってきていた。理由はゲーム創りに忙しくなっていたからだ。俺の創るゲーム―――特にRPGはレクトのゲーム部門でも割と売れ筋商品となっていたからだ。

元々がゲーマー兼ゲームクリエイターな俺にとって剣術の鍛錬よりもゲーム創りを選ぶのは必然だった。そして、剣術の鍛錬を辞めることを爺さんに告げると、「虐待じゃね?」と思えるくらい殴られた。

そんな爺さんを止めてくれたのが黒歌と白音だった。2人が俺の分まで頑張るから、もう俺のことを殴らないでって言ったんだ。結果、殴られはしたものの俺は剣術を辞めることができた。

が、この一件で俺は2人に負い目を感じる様になり、2人と少し距離を取る様になった。そして、俺はゲーム創りに没頭する様になっていった。中学に入って2人が全国大会に出る様になった頃には更に罪悪感も高まり、一定距離も維持する様になったりしたな。

まぁ、それも14〜16歳の2年間に起きたある出来事で一気に解消されたけど。それについては後々語ろう。取り敢えず、小学生時代の後半は殆どゲーム創りで過ごしたといっても過言ではないということで今回の話は終了しよう。






あとがき(旧)

どうも、天化無用!眷皇鬼も大して書き進んでいないというのに妄想が暴走してしまった沙羅双樹です。

はい。正直に言いますと、友人の薦めでハイスクールD×Dを読んで嵌まり、アニメ版ソードアート・オンラインを読んで嵌まりました。その結果生まれたのが、これです。
(SAOが絡むのはプロローグ2からだけど)

ぶっちゃけ、この作品のイッセーはエッチではありません。当然のことながら3回目の世界での横島もエロくありません。作者的イメージとしてはクロノクルセイドのクロノとSAOのキリトを足して割った様な性格でいこうと思ってます。

2回目の世界でのクロノについては殆ど原作通りと言っていいです。3回目の世界の横島はエロくないだけでなく、2回目の世界での経験もあり原作横島より格段に強いです。

ここまでいくと殆どオリ主なんですが、D×Dメインの話にしたいということもあり、更に作者は一誠の容姿が割と好きってこともあり、イッセー憑依ものにしました。今後も主人公の行動等、原作とはかけ離れたものになっていきますが、生温かな目で見守っていただけると嬉しいです。

次回はプロローグ2です。内容は中学から原作開始の17歳(数え齢)の話まで書きます。原作開始までにこのイッセーはRPG W(・∀・)RLDとSAOアインクラド編、フェアリー・ダンス編の話が絡んでいきます。
(当然のことながら今回の様な原作開始(数え齢17歳)時視点?から語られます。その点をご了承下さい)

それではそういうことで、これからもよろしくお願いします。




あとがき(新)

PSP用ソフト「ソードアート・オンライン―インフィニティ・モーメント―」を元にプロローグ2を改訂することとなり、それに伴ってプロローグ1も一部加筆修正・改訂しました。

あとがき(旧)で説明し忘れていたのですが、イッセーが保有する霊能力は微妙にGS美神に登場する横島のものとは異なっていたりします。

『サイキック・ソーサー』はドラゴンボールに登場する『気円斬』風になっていて、『栄光の手』から形成できる『霊波刀』は幽遊白書に登場する『霊剣』風になっていたりするんです。『霊波砲』なんて、ぶっちゃけBLEACHに登場する『虚閃(セロ)』です。(笑)

なのでこれから先、『サイキック・ソーサー』や『霊波刀』、『霊波砲』が登場したら、上記の技(能力)をイメージする様にして下さい。



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