魔 法先生ネギま!

〜ある兄妹の乱入〜

3時間目 「友達できた?」

 

 

 

 

 

 

翌日。

わけのわからないままこの世界に飛ばされ。
またしても、半ば強制的に麻帆良学園に編入することになった御門兄妹。

「はぁ・・・」

あてがわれた寮の一室。
部屋の玄関に立ちながら、勇磨は深いため息をついていた。

「なんだってまた、中学生をやり直さなきゃいけないんだ・・・」

よりによって、17歳の自分に中等部に入れ、などと。
おまけに・・・

「しかも、女子部だなんて・・・」

男子が女子部に編入。
前代未聞もいいところではないだろうか?

「この制服、派手じゃないかぁ・・・?」

自分の姿を見渡して、そんなことを呟く。
無論、女子の制服を着るわけにはいかないので、男子のものなのだろう。

重ね重ね、せめて男子部に、と思う。

「大丈夫です。似合ってますよ」
「そうかなあ・・・」

洗面所からかかってきた声に、疑問を感じる。
支度中の環の声である。

勇磨は今、妹の環が支度を終えるのを待っている状況だった。

「もう、勉強とかには無縁だと思ってたのになぁ。
 再びしなきゃいけない羽目になるとは・・・・・・はぁ、憂鬱だ」
「兄さんは、体育以外の成績は壊滅的でしたからね」
「壊滅的ゆーな。・・・事実だけど」

自分で言っておいて悲しくなる。
また、そういう意味では妹が非常に優秀なので、余計に虚しいのだ。

「だいたい、寮も寮で、『女子寮』だぞ? 俺がいたら、問題にならないか?」
「学園長の許可があるのだから、いいんですよ」
「そういうことじゃないだろ・・・」

学園長の許可があるからといって、なんでも許されるというわけではあるまい。

「それに、もう一晩、泊まってしまいましたしね?」
「・・・・・・」

もう手遅れ?
1泊も連泊も一緒? ・・・同じか?

「はぁぁ・・・」
「では万が一のときのために、女装セットを用意しておきますか?」
「やめてくれ」
「ふふふ」

おかしそうに笑う環。
なおさら不安になってくる。

「はぁぁ・・・」
「またため息などついて。幸せが逃げてしまいますよ?」
「うっさい。それより、まだかよ?」
「いま参ります」

と、ようやく環の支度も済んだようで。
洗面所から姿を現した。

「・・・ふむ」
「な、なんですか?」

それを見て、なにやら顎に手を当てて一人心地の勇磨。
一方、ジロジロ見られている環は、恥ずかしそうに意図を問う。

「いや、改まって言うのもなんだが、似合ってるな、制服」
「え、あ・・・・・・ど、どうもありがとうございます・・・」

一瞬だけ、虚を衝かれた顔になって。
しどろもどろに謝意を伝える環。もちろん、顔は赤い。

勇磨は、いつも冷静な妹に一泡吹かせた気分になって、満足した。

「そ、それより、早く行きましょう。初日から遅刻なんて出来ませんよ」
「わかったわかった」

吹き出しそうになるのを堪えながら、部屋を出る。
と・・・

「あ〜っ!」

「・・・え?」

2人を、大声が貫いていった。

「な、なにしてんのよあんたたちっ!」
「アスナー、大声出したら近所迷惑や〜」

声の方向へ振り返ると、少女が2人いる。

1人は、気の、我の強そうなツインテールの少女。
自分たちのほうを指差して、なにやら驚き、わなわなと震えている。

1人は、環のような長い黒髪だが、性格は180度違うような、おっとりした感じの少女。
ツインテールの彼女のほうをやんわりと止めようとしている。

「えっと、何か?」
「何か、じゃないわよっ!」

とりあえず反応するが、それがかえって悪かったらしい。

「あんたもそうだけど、特にあんた!」
「はい?」

ビシッと環を指差して、吠える。

「お、男を部屋に連れ込んで、いったい、な、何をやってたのよっ!?」

怒りで我を忘れているのか、内容がアレだからか。
彼女はところどころで噛みながら、一気にまくし立てた。

「・・・ふぅ」

どうやら勘違いをしているようだ。
環はひとつ息を吐いて、冷静に言った。

「こちらは、私の兄です」
「・・・え? お兄さん?」
「はい」

「や、やあ、どうも」
「・・・・・・」

説明されて、一時は勢いが収まったものの。

「だ、だからって・・・。ここは女子寮なのよ? 男を入れていいわけが――」
「学園長の許可は頂いてます」
「・・・・・・・・・」

再び吠えるが、今度は完璧に黙らされた。

「それに、連れ込んだわけでもありません。この部屋は、私と兄さんとで使うことになりましたので」
「えーっ!?」
「アスナー、だから大声出しちゃあかんて〜」

雄叫びを上げるツインテールの彼女。
それをやんわりと制するおっとりした少女。

息が合ってるんだか、合ってないのか、よくわからないコンビだ。

「学園長に、そうするように言われました」
「えっと、その、俺たち他に行くところが無くてさ。だから、緊急避難的に」
「・・・・・・・・・」

ツインテールの彼女は、驚きで声も出なくなったらしい。
すると

「あー、そかそか〜」

今度は、おっとり少女のほうが声を上げる。

「あなたたたちが、夕べ、おじいちゃんが言ってた人たちやな〜♪」
「え?」
「おじいちゃん?」
「そうや〜。ウチのおじいちゃん、この学校の学園長なんや〜♪」
「そういえば・・・」

ふと思い出した。
学園長から見せられた写真、写っていたのが、いま目の前にいる少女だ。

(彼女が、護衛対象か・・・)
(なるほど・・・)

御門兄妹は、素早くアイコンタクト。
お互いに頷く。

「ちなみに、なんて聞いたの?」
「明日、ウチたちのクラスに男の子と女の子1人ずつ、編入生が来る。
 で、特に男の子のほうやけど、気にせず仲良くしたってな〜って」
「そうか」

早くも、話は伝わっていたらしい。

「その男の子が、ウチの許婚だとも聞いたえ?」
「ぶっ・・・」

学園長はどんな伝え方をしたのか。
というよりも、あの話は冗談ではなかったのか。

さらに・・・

(な、なに考えてんだあの人は! 出会って間もない人物を、
 護衛を複数つけるほど大事な孫娘の許婚なんかにするかっ!? しないだろっ!)

常識外れもいいところである。

「や〜。どんな人かと思ったんやけど、やさしそうな人でよかったわ〜♪」
「・・・って、君も受け入れる気満々!?」

祖父も祖父なら、孫も孫。
どこかずれている・・・

「ちょ、ちょっとこのか! なに言ってるのよ!」
「そ、そうですよ! だいたい、いつどこでそのような・・・!」

トンデモ発言を受けて、思考停止していた2人も再起動。
あーだこーだとわめくのだが

「あ、急がんと、遅れてまうえ?」
「・・・・・・」

という、このかの笑顔と共に放たれた正論により、この場ではお開きとなったのだった。

 

 

 

 

移動中の電車内。

「事故で身内を喪ってしまいましてね。そこを聞きつけた学園長に、保護してもらったというわけです」
「悲しい目に遭ったんやな〜。でも、もう大丈夫や!」

環が即興で作った作り話に、涙もろいこのかはすっかり騙されて。
多少の罪悪感を感じないわけではないが、仕方あるまい。

「自己紹介してなかったな〜。ウチ、近衛木乃香や〜」

ここでも、このか主導で話が進む。

「このかって、呼んだってな〜♪」
「あ、どうも・・・。俺は、御門勇磨」
「御門環と申します」
「勇磨君に、環さんか〜。うし、決めたえ♪」
「・・・?」

何を決めたのだろう?

「”ゆう君”に、”たまちゃん”や♪」
「は?」

思わず、目を丸くして聞き返した。
その名称は、いったい?

「な、なにそれ?」
「なにって、あだ名やないの〜」
「あだ名?」
「そや。クラスメイトになるんやし〜、あだ名で呼んだほうが、親しみを感じていいやろ〜?」
「そ、そうだねぇ」
「たまちゃ・・・・・・それはないでしょう」

苦笑する勇磨。
環に至っては、その名に嫌な思い出でもあるのか、なにやら俯き加減でブツブツ言っている。

「ほら、アスナも自己紹介せんと」
「わ、わかったわよ」

このかに促されて、渋々、ツインテールの彼女も自己紹介する。

「神楽坂明日菜よ。一応、このかの親友をやってるつもり」
「そんな一応なんて言わんと〜。ウチとアスナは、正真正銘の親友なんやから〜」
「はいはい」

はあ、と息を吐きつつ、同意するアスナ。
一目で判断がついた。

「神楽坂さん・・・。このかさんはいつも、このような感じなのですか?」
「ええ、そうなのよ」

訊かずにはいられず、環が訊いていた。
再び息を吐きながら頷くアスナ。

「苦労なさっているんですね・・・」
「わかる? わかってくれる?」
「ええ、それはもう・・・」

ガシッと握手を交わす両者。

「私にも、身に覚えがありますから・・・」
「そう・・・。そうだ。アスナ、でいいわよ」
「わかりました。私も環でいいですよ」

なにやら、深い絆が誕生した模様。

「なんやウチ、ひどいこと言われてる?」
「ははは・・・」

勇磨は、乾いた笑みでごまかすしかない。

「それはそうと、私ひとつ疑問があるんだけど、いい?」
「なんでしょう?」

アスナの疑問。
それは・・・

「まあ、男子がなんで女子部に入ってくるのかも、思いっきりツッコミたいんだけど」
「察してください」
「わかってる。あの学園長のことだからね。深くは訊かない」
「ありがとうございます」
「私が訊きたいのは、あなたたちのことよ」
「私たちの?」

御門兄妹のこと。

「あなたたちって兄妹なんでしょ? ならどうして、同じ学年なわけ?」

同じクラスに編入する、すなわち同じ学年。
兄妹でそれはおかしい。もっともな疑問だった。

「双子なんです」
「ああ、そうなんだ。納得」

しかし、唯一の可能性を除外していたようで。
即座に納得するアスナである。

「でも、双子というわりには、あんまり似てへんなー?」
「よく言われるけど、二卵性だからね。普通の兄妹より似てないかもしれない」
「そうなんや〜。うん、雰囲気はそっくりやで」
「はは、ありがとう」

「・・・・・・・・・」

兄とこのかが話している様子を、無言で見つめる環。

「環もそうだけど、2人ともなんだか大人びてるよね」
「あ、そうやな。ウチもそう思った〜」
「・・・え?」

不意に、アスナから自分の名前が出てきて、ハッと我に返った。

「その雰囲気というか、立ち振る舞いというか。特に環は、すごく冷静で落ち着いてるからさ」
「あ、ありがとうございます」
「はは、アスナ〜。冷静なたまちゃんが慌てとる〜♪」
「あ、ほんと」
「か、からかわないでください」

少し赤くなる環。
冷静なのは確かだが、押しに弱いのかもしれない。

そんなやり取りを目にした勇磨は。

(まあ実際、年上なわけだし)

苦笑である。
自分たちは、彼女たちよりふたつ、もしかするとみっつ、年上なのだ。

(どうなることやら)

先行き、不安。

 

 

 

 

4時間目へ続く

 

 

 

 

 

 

 

 

<あとがき>

3時間目でございます。

早速お友達が出来ました。
このかの爆弾発言で、はたしてどうなることやら?

 

 

以下は、Web拍手をしていただいた方への返信です。
本当にありがとうございます!

 

>ネギま! SSは少ないのでがんばってください♪

はい、がんばります〜♪
こんな文章でよければ見てやってください〜。

>お馴染みの方々の登場で、ちょっとビックリしました。今後に期待です。
>ただし、1点だけ。「”真組”の吸血鬼」→「”真祖”の吸血鬼」

これは同じ方ですかね?
あの兄妹は私的にナンバー1なので、出しちゃいました♪
それから、ぐはっ、誤字がありましたかー・・・。スルーをお願いします。(爆)
これからもよろしくお願いします。



感想

昭和さん連続投稿!

今回はアスナとこのかのコンビと知り合いになった訳ですね〜

ネギま!のキャラははっきり言って濃いのが多いですから、色々笑いを取るのには困らないと思います。

特にバカレンジャーネタは笑えそう(爆)

そういう意味でも早くいろんなキャラと仲良くなれれば良いですね。

勇磨君もバカレンジャーに入るのか!?

先が楽しみです(爆)


さて、これはどちらかと言うと関西人からの注意ですが、このかは本来京都弁ですので、少し話し方が難しいと思います。

つい関西弁(大阪弁がメインだが周辺の方言が混同される場合も多い)と混ざりがちになります。

関西弁だと<そんな事ありまへん>とか<そやなー>とか<うちも困るんやでー>とかいう言い回しは

<そんな事おへんえー>とか<そやしなー>とか<うちも困るんよー>とかこういう言い回しになったりとか少し違いが出ます。

やはりそういう部分は少し研究した方がいいかもしれませんね。





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