魔 法先生ネギま!

〜ある兄妹の乱入〜

35時間目 「悪魔がやってきた! そのよん」

 

 

 

 

 

 

『グルル・・・』

いきなり窓ガラスをぶち破って侵入してきた輩。
低い不穏な唸り声を上げている。

「・・・こいつは驚いた」

割れたガラスの破片から身を守り、正体を確かめた勇磨は一言。
すぐ目の前、テーブルを挟んだ向かい側にいる生物は、紛れも無く・・・

魔物の種類、生態などにはあまり詳しくない勇磨だが、これくらいはわかる。

「地獄の番犬、ケルベロスか」

『グギャー!』

答えるように叫びを上げる、頭を2つ持った犬。

体躯は、並みの大型犬よりも、2周りほどは大きい。
オオカミかと錯覚しそうになるほど、鋭い犬歯を覗かせていた。

なぜ、ケルベロスがこんなところにいるのか、という疑問はさて置き。
真っ先に思い浮かんだことは、この山、ケルベロスを呼び出し、使役できるほどの、
それなりの大物が黒幕であろうということである。

『グルゥッ!』

「おわっ」

ケルベロスは一声鳴くと、勇磨に突進。
咄嗟に身を翻して回避したが、そのことによって、彼の背後にあった戸棚へ一直線。
表面のガラスが砕け散ったばかりか、中身を盛大にぶちまけることとなってしまった。

「ああ、ああ・・・」

ケルベロスが現れたとき以上に動揺する勇磨。

「メチャクチャにしてくれちゃって・・・・・・環に怒られる!」

部屋のインテリアを揃えたのは環である。
わりと気に入っている様子だったので、後のことが怖い。

・・・気にすることが違うような気もするが。

「っにゃろ〜・・・・・・うわっ!」

『ガルルルル!』

「わーっ、やめやめー!」

ケルベロスは、ひっきりなしに飛び掛ってくるので、もう部屋は燦々たる有様。
避けるたびに壁や家具を破壊する。
かといって直撃をもらうわけにもいかないので、堂々巡りに陥った。

「くそ! こっちへ来い」

『グルァッ!』

となると、逃げ場はもはや外しかない。
勇磨が窓から飛び出ていくと、後を追うようにして、ケルベロスも飛び出ていった。

「なんてことをしてくれやがる畜生!」

少し能力を解放して着地。
追ってきたケルベロスを確認すると、土砂降りの雨の中、ひとけの無い場所へと移動を開始する。

咄嗟のことで、より近い窓から脱出したこともそう。
まさかドアから廊下に出て、寮の住人と鉢合わせするわけにもいかない。
パニックになられることは必定であったからだ。

「環のお気に入りだった戸棚に、本に、食器に・・・」

ケルベロスの突進によって、灰燼と帰したものを指折り数えていく。
損害は計り知れなかった。

「だーっ! 俺のせいか? みんな俺のせいなのか!?」

弁償してください、とでも言われたらどうしようか。
ただでさえ、自分には自由に出来るお金などないというのに、どうしたらいいのか。

走りながら頭を抱える、ある意味、器用な勇磨である。
いや、この状況で、そんなことを考えていられるということ自体、器用というか、ずれている感覚であろう。

「・・・そうだ! 学園長のせいだ。これはきっと、学園関係の厄介事に違いない!」

名案だ、とばかりに手を打つ。

「あの妖怪ぬらりひょんめ! 請求書を叩きつけに行ってやるぞド畜生っ!」

何気に酷いことを言っている。
が、その線は強いと思われる。

ケルベロスといえば、その筋ではたいへん有名な存在だ。
こんなものが現れたということは、大きな事件であることは間違いない。

背景などはまったくわからないが、何か目的を持って、この麻帆良にやってきたということは確か。

「さって、このへんならいいかな」

ひとしきり走って、静かな雑木林の中で足を止める。
振り返ると、追いかけてくるケルベロスの姿。

『グルッ!』

「・・・え?」

と、ケルベロスのものと思われる唸り声が聞こえた。
勇磨が驚いたのは、前方から向かってくる個体とは、明らかに違う方向から聞こえたことである。

「ウソ?」

後ろを見た勇磨は固まった。
なんと、もう1体、ケルベロスがいるではないか!

『グルッ!』

『グルッ!』

それだけではなかった。
左右からも、それぞれ1体ずつ、ケルベロスがやってきたのだ。

「こいつは参った」

肩をすくめる勇磨。
連れてきたつもりであったが・・・

「逆に、”連れてこられた”ってわけね」

『グルル・・・』

向こうは、待ってました、とでも言わんばかりの態勢である。
ハメられた。

地上世界を超越した生き物ではあるが、獣にしてやられたという意識、感じないわけではない。

「・・・・・・・・・」

『ウ〜ウ〜!』

だが、前後左右、すっかり取り囲まれてしまったという状況が、それ以上の感慨を持たせてはくれない。
湧いて出てくるのは、避けられないであろう戦闘に対する心構えだけだ。

「・・・しまった!」

そう思っているうちに、いつもの場所にいつものものが無いことで、焦った声を上げてしまう。

「『御門』を置いてきた!」

腰に、幾多の戦闘をともに切り抜けてきた、愛刀『御門』の姿が無い。
エヴァ邸から帰ってきたあと、壁に立てかけておいて、そのままだったのだ。

瞬時の混乱の中で、取るべきものを忘れてきてしまった。

「え・・・・・・ええと」

なんという失態。いや、冷静になれ。
後悔しても状況は好転しない。

大切なのは、この状況を、いかにして乗り切るかだ。

「呪符が、ひい、ふう・・・・・・5枚か」

慌てて、手持ちの武装を確認する。
常に持ち歩くことにしている呪符が5枚ポッキリ、ズボンのポケットから出てきた。

普通なら、数はもっと多く携帯しているのだが、これは万が一のために、
あらかじめ忍ばせておいてあるもの。
洗濯して取り込んだ後、念には念を入れて、環が入れておいてくれたものである。

「あう・・・」

この数で、ケルベロス4体を撃破できるだろうか。
かなり上位の魔物である。厳しいと言わざるを得ない。

武士もののふの魂と言うべき刀を忘れてきたこと、やはり恥ずべき失態だった。

「ええい、四の五の言っても始まらん!」

しかし、開き直るしかないわけで。
合計8つの鋭い眼光に見据えられながら、勇磨は覚悟を決めた。

「陰陽五行!」

最初の1枚を構え、霊力を通す。
淡く輝く呪符。

まずは、正面にいる1体へ狙いを定めた。

「我、汝を調伏す! 破っ!」

一直線に飛ばし

「爆!!」

ドン!

命中すると同時に、爆発を起こす呪符。
いわゆる”言霊”の力で、その作用を起こさせる霊能だ。

『グギャー!』

「・・・あら?」

確かに命中したにもかかわらず。
爆発による煙が晴れると、ケルベロスは健在だった。

まったくの無傷というわけではなく、多少のダメージを負ったようには見えるが、
呪符1枚による攻撃力では、これくらいが限度のようだ。

「やっぱりこうだよな・・・」

下級の魔物ならいざ知らず、結果は最初から見えていたようなもの。

「むう」

唸ってしまう。
今まさに飛びついてきそうなケルベロス4体を前に、進退窮まった。

環ならば、例え武器を持っていなくても、得意の格闘で無難に乗り切るであろう状況だろうが。
自分はそこまで、格闘に長けているわけではない。むしろ苦手なほうなのだ、徒手空拳は。

「・・・さあ、どうするか」

『ガルル』

困り果てる勇磨を、ケルベロスの合計4対の眼光が、鋭く捉えていた。

 

 

 

 

一方で、勇磨から任務を任されたさよは。

「お、お邪魔しますぅ〜」

アスナたちの部屋の前に到着。
気の弱い彼女ならでは、そんな必要は無いというのに、正面のドアから、ペコっと頭を下げて入っていく。

もちろん、すり抜けて、だ。

「神楽坂さーん? 近衛さーん? ネギ先生〜?」

呼びかけても、いようがいまいが、返事が無いことは確定なのだが。
律儀に声をかけてみる。

無論、返事は無かった。

「いないみたいです・・・」

だがそれは、さよが幽霊だからというわけではなく。
正真正銘、誰もいなかったからだ。アスナも、このかも、ネギもいない。

すなわち、留守。

「どこに行っちゃったんでしょうか?」

首を傾げるさよ。
時間的には、まだ、不在でもおかしいということはないが、なぜか気になる。

「そもそも、勇磨さんは何で、このお部屋を見てくるように言ったんでしょう?」

そもそもの理由はそこにある。

なぜ、この部屋の様子を確かめなければならないのか?
自分で行けばいいのに、わざわざ他人に頼んだ理由は何なのか?

言ってはなんだが、これではまるで、コソコソ隠れて様子を探っているようではないか。
この部屋の住人たちに知られてはならないことが、何かあるのか?

「う〜ん・・・」

考え込むさよではあったが、答えの出る問題ではなく。

「あ、そうだ。お留守だったって、勇磨さんに報告しないと!」

はたと、自分の役目を思い出した。
これは偵察である。現地の様子を見て、それを勇磨に報告して初めて、任務達成となるのだ。

「勇磨さ〜ん」

急いで戻って行くさよ。

「誰もいませんでした〜。・・・って、きゃあ!?」

そして、惨状を目にする。

「お、お部屋が大変なことにぃ〜〜っ!」

玄関から見て1番奥にある窓ガラスは無残に割られ、飛び散ったガラス片がそこかしかに散らばっている。
本来はそこにあった窓ガラスによって防がれていたであろう風雨がカーテンを揺らし、床を濡らしている。
そして、哀れにも倒れこみ、内蔵していたものを周囲にぶちまけている戸棚。
飛び出たものは散乱し、壊れやすいものは見事に砕け散り、周りの散らかり具合に拍車をかけている。

他にも、壁についた引っかき傷の跡や、フローリングの床に残る、鋭い爪跡などがあった。

「こ、これはいったい・・・」

なんと形容したものだろうか。
壁の傷が無ければ、大地震のあった直後だという言い方も出来ようが・・・

「ゆ、勇磨さん? 勇磨さーん! 勇磨さんもいない・・・」

風呂場なども見てみたが、当の勇磨の姿も無いのだ。
自分に様子を見てくるように行っておいて、どこに行ってしまったのだろう?

そのときである。

「兄さんッ!!」

「きゃひぃっ!!!?」

唐突にバンッとドアが開いて、何者かがいきなり入ってきたのだ。
ビックリ仰天したさよは、あまりの驚きに昇天(既に死んでいるが・・・)してしまいそうになった。

「大変なことに・・・・・・相坂さん?」

「た、環さん・・・・・・・・・へにゃあ・・・・・・」

入ってきたのは環だった。
大浴場に行っていたはずだが、無論、服は着ている。

確認したさよは思わず脱力し、その場にへたり込んでしまった。

「兄さんは・・・・・・」

尋ねかけた環の声が、不意に途絶える。
その視線は部屋の奥へと延びており、惨状を確認したのであろう。

「こ、これは・・・・・・・・・相坂さん?」

「わ、私もわからないんですぅ〜!」

ギョロッと睨みつけられてしまい、慌てて弁明する。

「わ、私、勇磨さんに、神楽坂さんたちの部屋を見てくるように言われて・・・・・・
 戻ってきたら、もうこうなってて・・・・・・勇磨さんもいないし・・・・・・ふえ」

「・・・別に、あなたを責めているわけではありませんよ」

涙ぐんでしまうさよに、環も、バツが悪そうにそう言って。
ハッと気付く。

「それで、部屋の様子はどうでしたか?」

「誰もいませんでした・・・」

「・・・そういうことですか」

「え・・・?」

環には、それだけで察しがついたらしい。
ひとつふたつと頷くと、苦虫を噛み潰した。

「”何かが起こっている”と、そういうことです。敵の狙いは、おそらく、このかさん」

「てて、敵っ!? しかも、近衛さんですか!?」

「はい。あなたも知っているでしょう。修学旅行での出来事を」

現状では、このかを狙ってきた刺客だ、というのが環の推察だった。
残念ながら外れているわけだが、この状況では、それ以外に思いつく可能性が無い。
おそらくは、あちらの部屋とこちらの部屋、ほぼ同時に襲撃があって、
このかが攫われ、勇磨も刺客の1人と戦闘になったのだろう。

程なく、予想が外れていたことに気付かされるわけだが。

「そして、彼らは、私たちが護衛に付いていることも知っていたようです。
 さもなければ、私たちの部屋が、ここまで荒らされる理由がありません」

「こ、ここにも来た、ということですか・・・」

「ええ、たぶん」

タイミングが良かったのか、悪かったのか。
幸いにも、さよはその瞬間からは逃れることが出来たわけだ・・・

その代わり、勇磨が・・・というのは、想像に難しくない。
彼がこの場に不在なのも、部屋が荒らされているのも、何者かがやってきて、争いながら場所を移したためなのだろう。

「これを御覧なさい」

「な、なんですかこれは・・・」

環が示したのは、右手に持った、なにやら黒焦げの物体だった。
さよには判別できない。

「半液体状の下級モンスターですよ。なぜかは知りませんが、大浴場にやってきましてね。
 首尾よく1体を捕獲し、正体と目的を尋ねたのですが、なかなか強情で口を割らず。そのうち息絶えてしまいました」

「は、はあ」

「このようなものを使役するわけですから、敵は西洋魔術師である可能性が大きいですね。
 となると、はて・・・・・・『西』の仕業というわけでもなさそうな・・・・・・
 いえ、あの白髪の少年がいたわけですし、まったく無関係というわけにもいきませんか・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

考察を始めてしまった環に対し、さよは何も言えない。
ついていけないし、よくわかっていない、というのが本音だった。

「こうも堂々と襲ってくるとは・・・・・・いえ、過ぎたことを言っても仕方が無いですね。
 とにかく、私は兄さんの気配を追います。あなたは、どこか安全な場所に退避を――」

「は、はい、わかりまし・・・・・・環さん?」

つい反射的に頷いてしまったが、環の言葉が途中で切れたことに気付き。
また、環の様子がおかしいことにも気付く。

「しまった・・・。こうも近くにいようとは・・・」

「え? え? な、何がですか?」

反応がある。人外の反応。
それも・・・・・・驚くほど近くにいる。

環には、生まれつき備わった、魔物などの気配を探る能力があるのだ。
それが今、明らかな反応を捉えた。

「くっ!」

「環さーん!」

環は、さよの呼びかけには答えず、部屋から飛び出していった。

 

 

 

 

『グルゥッ!』

「くっ・・・」

『ガアッ!』

「おっと」

場面は戻って、再び勇磨。
三位一体ならぬ、4体一体となったケルベロスの攻撃に翻弄されていた。

とっかえひっかえ飛び掛ってくるので、避けるのに精一杯である。
彼らにとってはお手の物の、獲物を狩るハンティングのようなものなんだろう。

「うぅぅ、逃げ回るだけってのも辛いな・・・」

狩られるほうとしては、たまったものではない。
抗える手段が限られているのだとすれば、なおさらである。

「それに情けないし・・・。
 力を”解放”すれば、なんとかなるんだろうけど・・・」

最終手段は”黄金化”することだ。
パワーとスピードは飛躍的に上昇し、ただ殴り飛ばすだけで、倒すことも可能かもしれない。

だが、あえてそれをやらないのには、それなりに理由がある。

まず第一に、ケルベロスは襲撃者本体ではなく、あくまで使い魔だと予想されることだ。
ここで全力を使うと、あとの肝心な場面でガス欠を起こす可能性があるし、
もし本体自身にこの場へ攻めてこられてしまったとしたら、1人で撃退できるかわからない。

ケルベロスを従わせられるだけの人物だ。
もちろん、それ相応の力を持っていると見るべきだろう。
現時点での消耗は、なるべく避けたい。

第二に、人目が気になることだ。
林の中とはいえ、黄金化するとそれなりの影響を伴う。

人里から離れているわけでもないし、もしバレて、なんだなんだと野次馬に寄ってこられてしまうと、
予想外の被害者が出てしまう恐れがあった。
それを避ける意味でも、周囲への影響は最小限に留めたい。

以上のことから、現状のままで、ケルベロスを倒す必要があるのだ。
当然、周囲への被害を出すことなく、隠密裏に。

「刀があれば・・・」

やはり、悔やんでも悔やみきれないのは、自慢の愛刀を置いてきてしまったことだった。
刀さえあれば、もうとっくに決着をつけているはずなのだ。

『グガァッ!!』

「っ」

間髪入れず、1体が飛び掛ってくる。
少し思考に没頭したせいもあって、完全には反応し切れない。

「陰陽五行!」

咄嗟に叫んでいた。

「愚者を飲み込む炎の渦! 火之迦具土ヒノカグヅチ!!」

『ウギャ〜ッ!』

呪符から巻き起こった火炎に、自ら飛び込む形で包まれたケルベロス。
悲壮な叫び声を上げながら、全身を焼き尽くされ、跡形も無く消え去る。

「なんとか1体・・・」

ホッと息をつく勇磨であるが、そんな余裕などまるで無い。
というのも・・・

「お札、使い切っちゃったな」

かろうじて、1体を倒すことには成功した。
しかし、その結果も、残っていた4枚の呪符すべてを使ってのものだった。

咄嗟に術を行使したために、手にしていた呪符すべてに霊力を通してしまったのだ。
とどのつまり、手持ちの武具はこれで無くなった。
いずれにせよ、ケルベロス1体につき、最低でも呪符4枚という計算なわけだから、最初からわかっていたことである。

『グルル・・・』

残るケルベロスは3体。
いずれもが、自分に対し敵意を表したままだ。

「やばやば・・・」

焦る勇磨。
これは本当に、リスクを覚悟の上で、最終手段に出るしかないのか?

1体減ったことで、攻撃を受ける可能性はグッと下がったが、
殲滅するだけの手段は無い。

「何か・・・・・・何かないかっ・・・・・・」

この期に及んで、新しい発見があるとは思わない。
だが、奇跡に縋るしかないわけで、全身を探った。

「だーもうっ!」

その最中に嫌でも気になる、すでにびしょ濡れとなってしまった服。
足場の悪い林の中で動き回った結果、足元やズボンは泥でぐちゃぐちゃ。
上半身にも、盛りを迎えている新緑の葉っぱがいくつもまとわりついて、不快なことこの上ない。

なかなか見つからない打開策。
服を汚してしまったことで、さらに環に怒られるんじゃないかという恐怖感。

焦りに焦って探したその結果。

「・・・お!」

見つけた。
懐から、1枚のカードが出てきた。

「仮契約カード?」

このかとの仮契約によって生じたものである。
本物は主であるこのかが持っているが、カモの魔法によって生まれたコピーカードを、
つい先日に受け取っていたのだ。

「ああああ、何かあったのはうれしいけど、カード1枚で何をしろっていうんだ・・・」

発見した喜びも、すぐ落胆に取って代わる。
カード芸でも見せろと? マジシャンになれと?

よく、トランプを投げて野菜などを切ったりする様子がテレビなどに出るが、
それがケルベロスに通用したら、どれだけいいか・・・

『ガァッ!』

「うわっ! 待てよ! いま考えてるんだから!」

飛び掛ってきたケルベロスを避ける。
無理難題を突きつける勇磨。相当に余裕を失っているらしい。

「渡されたとき、カモ君が何か・・・・・・」

確か、仮契約カードには、いくつかの機能があると言っていた。
なんだったか・・・・・・何か合言葉を言うと、何かが起きる、ということだったような・・・

「な、なんだったっけ・・・・・・」

必死に思い出す。
その間も、ケルベロスは待ってくれないわけで、回避行動を取りながらである。

『形から言って、御門兄さんのは、たぶん剣だな』

『うむ、おそらくそうだろう。だが、見たことの無い形状だな。
 名前は・・・・・・・・・なに!? これは・・・』

思い出した、カモとエヴァのセリフ。
ちょうどエヴァの別荘内での出来事だったので、印象的だった。

その際、エヴァは妙に驚いていたようだったが、なんだったのだろう?
勉強疲れの真っ最中で、話半分に聞いていたので、よく思い出せなかった。

「・・・・・・そっ、そうだっ!」

しかし、ようやく、その言葉だけは脳裏に浮かんだ。

アデアット!

アーティファクト召喚の呪文を。

 

 

 

 

36時間目へ続く

 

 

 

 

 

 

 

 

<あとがき>

ううむ、話が進んでいない上に、悪魔のオッサンがこれっぽっちも出てこなかった。
勇磨は大失態をかましてくれましたし、どうなることやら。

まあそのおかげで、勇磨のアーティファクトがお披露目されることになったわけですが。
どんな能力を持っているんでしょうか。これから考えます。(オイ!

 

 

火焔煉獄さんへご返信

毎度、感想を付けていただきありがとうございます。
対談形式になって面白い限りです。
これからもよろしくお願いします!

 

 

以下、Web拍手返信です。
拍手していただいている皆様、本当にありがとうございます!

>勇磨ってがんばればできる子なんですね〜

根本的なバカではないと思われます。
しかし、やらないからというか、理解の遅い子?(爆)

>ヘルマンのおっさんが出てきましたね。この調子で頑張って下さいね。

ちょっと、ヘルマンのおっさんにとっては、災難な展開になるかも・・・
それでもがんばります。(爆)

>更新たのしみにまってます

ありがとうございます。
最初の頃のようにはいきませんが、精一杯がんばります。

>勇磨〜目指すのは男の夢ハーレムだーーーーー

ハーレム! それは男の、いや、”漢”の夢!
果たして実現するのか!?(爆)




ひぃっ、なんか期待されてる!?
(今回の返信を見て)

期待されているのはよいことでは?

いやいやいや、その期待に答え るためにないを頭を捻って搾って唸って必死に考えた結果、

熱暴走起こすことなんてこと も……

それはご自分の実力なさが問題だと思います

ぐはぁっ……(色々とやばいものが吹き出る)

……では、潰れた感想代理人に 代わりまして私が

まず一つ、ケルベロスの頭は二つではなく三つ、あるいは五十とも言われています

また地獄の番犬と言われていますがそもそもケルベロスは冥界の王ハデスのペット

それも冥界に侵入する存在を阻 む、亡者が逃げ出さないように見張っているだけ

ですから、本来は爵位持ちとはいえ一介の悪魔が喚びだし、あまつさえ制御出来る存在ではありません

指摘する点はそれぐらいでしょうか

感想自体は前と変わらないので 割愛する、とのことです

(もぞもぞ)復活! ってあれ、もう終わり?

はい

そうっすか……あ、言い忘れて た。

今回のゲストは私的に某HMX −13型とそっくりじゃね? と思ってる絡繰茶々丸嬢でしたー

差し出がましいことを言って申し訳ありません

この人が、現実から目をそらしていなければ私が感想を述べる必要もなかったのですが

ひどっ!! てか君ってそんなキャラだっけ!?

それでは、次回を期待しておりますのでこれにて

って無視でs(閉幕)



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