第四話
『連携攻撃・・・は、やっぱ無理かなぁ?』

「よし、頑張れよ。いざとなれば、手助けに入る。
他のビーストは気にしなくていい。この空間は、隔離されてるからな。」
ズドカーンは激励を送ると、後ろへ下がった。

「ふん!こんな奴ら、すぐに蹴散らしてやる!」
ベルトランが叫び、羽を広げカエル・・・ギザモンの方へ突っ込んでいった。
「なら、私はこっち!」
リンリンシャオも、腕となっている羽で飛び、もう一方のガジモンに向かった。

「・・・・・・」
そんな様子をアキラはじっと見つめる。

「喰らえぇ!」
テントモンの姿のベルトランが、その鋭い爪で斬りかかる。
だが、ギザモンは大きく後ろへ跳び、それを回避した。

「たぁぁ!」
こちらも、リンリンシャオがガジモンに上空から足で突くが、難なく避けられてしまった。

「こいつら・・・。」
「何で避けるのよー!」
ベルトランが睨み、リンリンシャオが抗議の声を上げる。

「そりゃ避けるよ、当たったら痛そうだし。」
アキラがそう言いながら、二人の間に来た。
「何もしてないお前に言われたくないな。」
今度はアキラを睨むベルトラン。
「あのさ、折角三人居るんだし、一体ずつ倒すってのはどうかな?」
「・・・そうだね。チームワークも大切だよね。」
アキラがそう提案すると、リンリンシャオが同意する。
「ちっ・・・仕方ないな。」
ベルトランも渋々と言った感じで頷いた。

「それじゃ、作戦を一つ。オレとベルトランがガジモンに突っ込むから、リンリンシャオさん援護してね。」
「う、うん。分かったわ。」
改めて、敵を見据える。どうやらこちらを伺っているようだ。

「行くぞ!」
ベルトランがアキラに言いながら、羽を広げ再び突っ込む。アキラも疾走する。

「ギ!?」
先程の攻撃と違い、同時に来る二人を見てガジモンの反応が遅れた。
「グルゥ!」
ギザモンがその援護に入る。体を丸め、かなりの速度で転がってきた。
その刃物のように鋭い背びれで斬りつける『スパイラルエッジ』だ。

が、その背びれは二人を斬ることは無かった。
二人の間から、飛び出してきた青い炎によって吹き飛ばされたからだ。

アキラが、ちらと後ろを見る。この青い炎は、リンリンシャオが出したものだった。
リンリンシャオのデジソウル、ピヨモンの必殺技『マジカルファイアー』。

「(この調子なら、即席でもいける!)」
アキラはそう思った。だが、次の瞬間、それはぬか喜びになる。

ベルトランが、右腕を右に薙ぎる。だが、それがいけなかった。
ガジモンが首を下げて、避ける。そして、勢いを殺せなかったベルトランの右腕は、すぐ横に居たアキラに直撃した。
「がっ・・・!」
腹部に走る激痛に顔を歪めるアキラ。

「っ!アキラ君!」
リンリンシャオが悲鳴を上げる。ベルトランも、呆然と膝を突いたアキラを見下ろした。
その隙をガジモンは見逃さなかった。息を吸い込むと、ベルトランに向かって、
毒ガスとなった息『パラライズブレス』を吹きかけた。

「くっ!」
我に返り、避けようとするベルトランだが、間に合うはずも無くかなり吸ってしまう。
その場で咽るベルトラン。

「アキラ君!ベルトラン!」
二人を助けようとするリンリンシャオ。必死だった。故に気づくのが遅れてしまった。
横からの衝撃に、吹っ飛ばされるリンリンシャオ。
ギザモンの頭突きだった。背びれでは無かったことが不幸中の幸いか。

「・・・・・・」
ズドカーンがその光景を分析するように、ただ見ていた。
少し雲行きが怪しい。確かに、彼らは実戦は初めてだろうし、即席のパーティで連携して戦うのは難しい。
だが、ここまでバラバラなのも珍しい。こうなれば、失格もやむなしか・・・。

「くっ・・・」
ズドカーンが、そんなことを考えているとアキラが立ち上がる。
それに続いて、ベルトラン、リンリンシャオも何とか起き上がる。

「(ほぉ・・・根性はあるなぁ。)」
口元がほころんだ。

「やっぱ・・・即席ってのは無理あったかな・・・」
近くに居るガジモンを睨みながら、アキラはつぶやいた。
「ふぅ・・・仕方ない。」
準備運動のように腕を回すと、ベルトランに言った。

「ベルトラン、リンリンシャオさんの援護頼むよ。」
「なに・・・?」
テントモンの顔なので、表情は大して分からないが、声で懐疑の雰囲気を感じ取る。

「先天性がどれほどのものか、見せてやるよ。」
アキラは自信ありげに笑った・・・気がした。
こちらもアグモンの姿をしているので、表情では分かりづらい。


この自信は、何の根拠も無いわけではない。
先天性デジソウラーは、生まれつきデジソウルを保有して生まれてくる。
そのためか、装飾品などにデジソウルを取り付け、装備しなければデジモンになれない後天性デジソウラーより能力が高い。
無論、欠点もある。他のデジソウルを装備することも出来ないので、戦略に制限が出てしまうのだ。

その点、後天性デジソウラーは基本能力で先天性デジソウラーに劣るものの、多種多様なデジソウルを装備できる。
従って、その場その場で臨機応変に対応できるのだ。
もちろん、後天性だからといって先天性に勝てないというわけではない。

そもそもデジモンにソウルチェンジすれば戦い方が分かるというわけではない。
ソウルチェンジしても、姿かたちが変わることと、人間の時より身体能力が格段に上昇すること、
そのデジモン特有の必殺技・・・先程ギザモンが使った『スパイラルエッジ』や
ピヨモンになったリンリンシャオが使った『マジカルファイアー』などのやり方が分かる程度なのだ。

まぁ、それでビーストに対抗できるようになったわけだが・・・。
兎にも角にも、個人の強さがソウルチェンジしたデジモンの強さに比例する。
よって、アキラやベルトラン、リンリンシャオも武術を習っている。


ベルトランがリンリンシャオの所へ行くのを、横目で確認したアキラは視線を戻すと、素早くガジモンに接近した。
「はっ!」
ガジモンの顎を狙って、左腕を振り上げる。
「ギャ!?」
モロに喰らってしまったガジモンは、強制的に天井を見せられた。

「はぁぁぁ!!」
初撃を当てる事が出来たアキラは、そのまま連打に移る。
右腕を相手の左肩から右わき腹にかけて振り下ろし、下ろした腕を胴を薙ぎる。さらに、左腕での追撃。
「でやぁあ!」
勢いを殺さないよう、回転し、右腕をガジモンの顔にぶつける。
鈍い音がして、ガジモンは砂煙を上げながら、かなりの勢いで転がる。

「これで・・・終わりだぁぁ!」
アキラは、大きく息を吸い込と、口からバスケットボールぐらいの火の玉を吐き出した。
アグモンの必殺技『ベビーフレイム』だ。
火の玉は、真っ直ぐ進み、倒れているガジモンに直撃する。
瞬間、轟音と共に砂塵が舞った。

「ほぉ・・・」
ズドカーンは、つい感嘆の声を漏らした。

砂塵の中から、黒い粒子のようなものが、飛び出してきた。それは、意思を持っているかのようにアキラに飛んできた。
「!?」
驚き、手を振って払おうとするアキラ。だが、その粒子はお構いなしにアキラの体の中に入っていった。

「な、なんだ?」
身体を見回して、異常が無いか確かめる。見た限りでは、何の変化も無い。
少々不安を覚えつつ、ベルトランたちの方を見る。

「あぁ、終わってたんだ。」
二人は、既にギザモンを倒していた。
そして、そのギザモンが、あの黒い粒子になり、二人の体に吸い込まれるように入っていく。

「きゃっ!」
「くっ!」
二人も、アキラと同じような反応を取る。かなり慌てているようだ。

「あ〜、安心しろ、お前ら。」
傍観していたズドカーンが言葉を投げた。
「そうやってお前らは強くなってくんだからよ。」
続いた言葉に、三人は戸惑いの表情を隠せなかった。







後書きとぬかす言い訳
どもです!いや〜、戦闘ですよ戦闘!
大変でした・・・改めて自分の文章能力の無さを痛感させられましたよ・・・。
戦闘シーンは、別の小説もあわせて二回目なんですが・・・楽しいですねぇ。想像するのが。

なんか段々と三人が一緒くたになってきている気が・・・前回とか。

・・・ま、まぁ、これからは個性とか大事にしてあげたいなぁって思ってます。
ではでは、またいつか〜。


感想

デジモンの戦闘は良く知らないですが、格闘戦は頑張って作られているようですね!

ベビーフレイムは聞いた事がありますね。

考えてみれば、デジモンの大きさって人間のときよりも小さいんですよね。

進化していく事に大きくなりますが、第一段階だと1m〜1m30cmくらいかな?

そういう意味では小さくなって戦うっていうのも面白いかも?

確かに最初のころのデジモンは可愛 さの方が目立ちますね。

強くなればなるほど可愛さが失われていく…悲しい事です。

皆の為にも可愛いデジモンのままいて欲しいですね。

でも、グレイモンは結構好きですよ♪

この先色々なデジモンが出てくることでしょうが、お話の展開は読みにくいですね…

どうなっていくのか楽しみです!

私の知識では既に追いきれん(汗)


押して頂けると作者の励みになりますm(__)m

酒 呑童さん への感想はこちらに!

掲示板でもかまいません♪



戻 る

作品を投稿する感想掲示板トップページに戻る

Copyright(c)2004 SILUFENIA All rights reserved.