第六話
『試験合格・・・したのはいいけど、嫌な予感が・・・。』

シティに戻ったアキラ達は、シルバーリーダーの下へと来ていた。
ズドカーンと、ボスビースト役であったブランワイスマンは適当にお祝いの言葉を、
一言二言言うと、どこかに行ってしまった。

そう、アキラ達は試験を合格したのである。
何でも、パーティの内誰かが試験官に一撃与えると合格らしい。
どうも釈然としない。これからという前に止められてしまった。
言うなれば、お預けを食らっているような、そんな気分だった。

「どうやら合格できたようだね。」
シルバーリーダーが口を開く。
「さて、知っての通りここシルバーガードは『ワクチン種』の研究や、支援する道具の開発を行っている。」


デジモンは、三種族に分けることができる。
『ワクチン種』、『データ種』、『ウィルス種』だ。
何故そのように分けられているのかは定かではない。
ただ遥か過去よりそう呼ばれており、そうであると思えるから現在でも使われている。
それぞれ、『ワクチン種』はシルバークロス、『データ種』はブルーファルコン、『ウィルス種』はブラックソードが、
研究、支援している。


「では、本日現時刻を持って、シルバーリーダーバンダールの名の下、
 アキラ・サカタキ、リンリンシャオ、ベルトラン・アーベリー、三名のガードチーム入隊完了とする。
 以後の精進を期待する。」
シルバーリーダー・・・バンダールが告げる。
三人は、喜色満面で応える。
「はいっ!」
「なお、君達に貸与されたデジソウル、デジバイク、APアダプタは、入隊と同時に、君達の物だ。」
バンダールは先程までの真剣な顔ではなく、笑顔で言った。
「大事にしてくれ。」

三人は頷くと、リーダールームを後にした。


「あれ?アキラ君、どこに行くの?」
一人、反対の方向へ歩くアキラにリンリンシャオが尋ねた。
「え?どこって・・・家にだけど。」
返ってきた言葉に、リンリンシャオが怪訝な顔をする。
「何を言ってるんだ。ガードになった俺たちには、部屋が支給されるだろう。」
ベルトランが言う。

「・・・へ?」
「まさか、知らないのか? ガードになれば部屋だけではなく、様々な特権が得られるんだぞ。」
ベルトランが呆れ顔で言った。
アキラは目が点になっていた。
「・・・そうなんだ?」

「君達が今回合格した人たち?」
不意に声がかけられる。
アキラが振り向くと、そこには青年と女性が居た。
青年の方は、ぼさぼさした髪を帽子で無理やり押さえつけ、眠そうな顔だ。
女性の方は、こちらも帽子をつけており、桃色の長い髪が伸びている。
両方とも、シルバークロスの制服をつけているのを見る限り、先輩といったところだろう。

「はい。そうですけど・・・?」
リンリンシャオが答える。
「そっかそっか。あ、私、エスメラルダっていうの。よろしくね。」
女性・・・エスメラルダが笑顔で
「俺はアークシュルツだ。まぁ、よろしくな。」
青年・・・アークシュルツが眠そうに言った。

「私はリンリンシャオって言います。」
「アキラ・サカタキです。」
「・・・ベルトラン。」
三人も名乗る。

「シルバーリーダーに言われて、君達に色々教えにきたの。とりあえず、部屋へ案内するね。」
エスメラルダがにっこり笑い、歩き出した。
三人もついていく。

「そういや、お前らの試験官、ブランワイスマンだったんだって?」
アークシュルツが聞いてきた。
頷くアキラとリンリンシャオ。ベルトランは、ただ黙々と歩いている。
「そうか。あいつなら、楽勝だったんじゃないか?」
楽勝どころか、負けそうだったが。苦笑する二人。

「ついたよ〜。」
先を歩いていたエスメラルダが止まり、正面にあるドアを指差す。
「ここに、三人で住んでもらうね。」
爆弾投下。固まるアキラ。きょとんとするリンリンシャオ。不機嫌な顔のベルトラン。
「見てて楽しかった」とは、爆弾を投下した本人の言。

「え?暮らす?一緒に?誰と?誰が?」
再起動したアキラが切羽詰った感じで聞く。
「ここで、君とリンリンシャオとベルトランがだよ。パーティは寝食共にし、信頼を高めないとね。
 あ、大丈夫だよ、色々調べて、三人が最適なパーティだということが判明したらしいから。」
エスメラルダはにっこり笑いながら言った。
先程の戦闘では、最適と言うか最悪だったが・・・。
「(・・・一緒くたにしたほうが面倒が無くて済むってことか。)」
ベルトランが考えていると、アキラが声を荒げた。

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!? そんな・・・大体、リンリンシャオさんは女の子ですよ!?」
「え?私なら別に良いよ?」
もうこれでもかって位焦っているアキラが、なんとか打開策を講じようとするが、リンリンシャオの言葉で粉砕される。
「お前は何を焦ってるんだ? それとも、お前は11歳の女子をどうこうしようとか考えてるのか?」
「なんでお前は平然としてんだよ!?」
不機嫌な顔で言うベルトランに、アキラがツッコむ。

「って、リンリンシャオさん・・・11歳なんだ。」
気づいたように言うアキラ。
「そうだよー。アキラ君は?」
「オレ? 16だけど・・・。」
リンリンシャオ達の背後に雷が見えた。
「・・・なにその反応。」
「じゅ、じゅうろく!?おまっ、俺と同じ年なのか!?」
「そ、そんな!? 私と同じだと思ってたのに!」
「・・・私にも教えてもらえないかしら、若作りの方法。」
「いや、ただ童顔なだけだろ。」
こんな焦ったベルトランとリンリンシャオを見るのは初めてだなぁ、今日会ったばかりだけど。
などと思いつつ、自分がどう見られていたのか痛感したアキラだった。


結局三人は、部屋に入った。
「他に部屋ないよ?」
なんて、エスメラルダに笑顔で言われては、もう入るしかない。

中は思ったより広く、三つのベッドが並んでいた。ベッドの上にそれぞれ大きな旅行カバンが置いてある。
開けてみると、衣服類が入っていた。何時の間に用意したのだろうと考えさせられる。
入っている衣服類の種類を見る限り、真ん中のベッドがリンリンシャオ、右がベルトラン、左がアキラになりそうだ。
右側のベルトランは窓際、アキラの左側はバスルームらしい。

アキラは気になっていた疑問を口に出した。
「・・・ところで何でベルトランはリンリンシャオさんの年知ってるんだ?」
二人がアキラを見る。
「私のお家の隣がベルトランのお家だからだよ。」
と、いうリンリンシャオ。その向こう側に見えるベルトランの顔がますます不機嫌になった。

「・・・本当によかったの?」
「? 何が?」
困った顔をしながら言うアキラに、リンリンシャオが疑問の声を返した。
「その、一緒に住むのが・・・。」
「それなら全然平気だよ? よくベルトランのお家に泊まったりしてたし・・・。
 ・・・ねぇ、アキラ君。私のこと、リンって呼んでくれないかな?」
突然の提案に目を丸くするアキラ。
「あっ、あのねっ、その、私、リンが名前で、リンシャオが苗字なの。
 でも、そのままでも名前みたいだし、私のお家って、あまり苗字とかの区別が無いんだけど・・・。
 それに、ほら、長いと呼びにくいでしょ? えっと、だから、その・・・ダメ?」
リンリンシャオの慌てた様子に、アキラは微笑みながら答えた。
「駄目なわけないよ。じゃぁ、オレのことも呼び捨てにしてよ。」
その言葉にリンリンシャオは嬉しそうに頷いた。

「・・・おい、イチャついてないで、さっさと荷物を片付けろ。」
ベルトランが苛立った声で言った。
「い、イチャついてなんかいないもん!」
リンリンシャオがトマトのように真っ赤な顔で反論する。
「そうだね、チャチャッと片付けようかな。」
だが、それとは対照的にアキラは、平然としていた。
リンリンシャオはそんな冷静なアキラを見て、なんとなく恥ずかしい気持ちになり赤くなって俯いた。


不意にドアがノックされる。
「私が出るね。」
リンリンシャオがドアを開けた。
「おう、頑張ってるかね。」
そこに居たのはズドカーンだった。

「シルバーリーダーからお前らに。」
そう言い、ズドカーンはリンリンシャオに封筒を渡した。
「じゃぁな。」
ズドカーンはさっさと何処かへ行ってしまう。
リンリンシャオは首を傾げながら、二人のもとへ戻る。

開けた封筒からは、一枚の紙が出てきた。
「え〜っと・・・シルバーリーダー、バンダールの名の下アキラ、リンリンシャオ、ベルトランに
 シリアル・ホール、ボスビーストの撃破を命ずる・・・だって。」
「これは・・・命令書か。」
「だな。早速指令が届くとは、人手不足か?」
リンリンシャオが読み上げると、アキラが顎に手をよせ、ベルトランが首を鳴らしながら言った。
「私としては、なんで紙なのかが気になるなぁ・・・。」
「しかも、手書きっぽいんだけど・・・。」
今の時代、ほとんどがコンピューターであるからして、紙というのは遺産に近い。
「・・・もしかして、シルバーリーダーって・・・ふるい人・・・?」
そんな疑惑があがるが、リンリンシャオとアキラは気にしないことにした。
ベルトランは我関せずとばかりに部屋を出ていた。







後書きとか言って頭大丈夫ですか?な言い訳。
酒呑 童です。
いやぁ、びっくりデスね。同棲ですよ同棲(違

年が明らかになるアキラたち。
身長は同じなんですけどねぇ、ベルトランとアキラ。
まぁ、リンリンシャオはちっちゃいですけど。どこもかしこも。
なんか色々性格とか、年とか変えまくりですけど、その点に関しては開き直ることにしました(爆死

生温かい目で見てください。

では、またいつか〜。



感想

酒呑童さん今回はお部屋のお話です ね。

三人の合格と部屋の貸与、各種特典とは電車が無料になったり、タクシーがツケで乗り回せたりとかでしょうか?

でも、殆ど外に出ているなら
意味は無いですが…

お部屋での三人暮らし、やはり男の子二人の中で暮らす事になったリンシャオさん。

まぁ、
ロ○コンでなければ手は出さないでしょうが…って、な んだかナデシコ当時の私みたいな年齢ですね。

新キャラまたまた登場ですね、大変そうですがキャラ分け頑張ってください♪

とうとう、感想が入れ替わってしまった…(汗)

当然ですね…脳みそスカスカ男に任せてはおけませんし。

はぁうあ!?

そんな驚いた振りしてごまかしても 駄目です! 所詮何も出来ない管理人失格者は黙っていなさい!

何もそこまで言わんでも…(汗)

来月にこのサイトが自然消滅していなければ良いですね…

ははははは…(泣)

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