キラとシャルは土日の休暇を利用してシャルの新型IS、ラファールリヴァイヴmkVの実機訓練を行っていた。

フォーマットとフィッティングが完了した時に即時に行った。

元々、ラファールリヴァイヴカスタムUの機能を残しての改良だっただけに、其処までの時間を必要とはしなかった。

キラは通信越しにシャルに語りかける。

『シャルロット、今回の演習はストライカーパックの装備試験だから兵装を把握するだけで良いからね』

その言葉にシャルも頷きながら言う。

「解ってる。折角、キラが作ってくれた機体を壊す事はしないよ」

そう言うとシャルは訓練アリーナから飛び上がり、地上15メートルの所で静止した。

『それじゃあ、始めよう。先ずはエールストライカーから』

通信でキラがそう言うとシャルはイメージしてエールを背中に展開した。

その瞬間、シャルの左手と右手、背中に粒子が舞い、形を形成した。

『兵装の説明をするね。先ずはエールの基本装備は右手のライフルが高エネルギービームアサルトライフル、左手の盾はアンチビームコーティングシールド、そして、背中には高機動戦闘用のスラスターとビームサーベル2本が搭載されているね』

その言葉にシャルは自分のISを見回しながら質問する。

「各種兵装の特徴はキラの説明で解ったけど、ビームアサルトライフルはシールドエネルギーの消費が激しそうだね?」

その質問にキラは対抗策を説明する。

『だからこそのカートリッジシステムなんだよ。ビームライフルの後方にカートリッジがあるでしょ? セミオート、フルオートモードで1500発の大出力ビームが発射可能で収束射撃の場合は30発が発射可能なんだ。シールドの内側にカートリッジが5個収納されてる。合計弾数は7500発、一回の試合なら牽制射撃を含めても十分過ぎるよ』

コレはザクのビーム突撃銃やハイペリオンのビームマシンガンを参考にキラが改良した威力と命中精度を落とす事なくバッテリーに負担をかけずにビームを撃ち出すシステムとして開発した。
ザクのビーム突撃銃の場合、精度は少々低いが扱いやすく、優れた速射性能でビーム弾をばら撒き多数の敵への同時攻撃が可能であった。
しかし、キラはコレに満足する事無く改良に改良を重ね、このビームアサルトライフルの完成に漕ぎ着けた。
ビームライフルやビームサーベルにはセカンドステージの技術である低エネルギー消費型大出力ビーム機能が取り付けられバッテリーの直接ドライブでも長時間の運用が可能だが、より実戦的な方法としてキラはカートリッジシステムを採用した。

『それじゃあ、エールのテストを始めて』

「解った」

キラの言葉にシャルは頷きながら、決められたコースを移動しターゲットを撃ち抜いて行く。

「クッ!? ラファールリヴァイヴカスタムUの4倍以上の加速力があるから操作しにくい!」

コレこそC.E.の世界で余りエールが使われなかった原因だった。

確かに宇宙、地上を問わず高い機動性は確保できるが操縦性に難があり、また、地上ではジェットストライカーに取って代わられ、宇宙用に推し進めていたが、余り機動性は不要、大火力を長距離から運用した方が効率的と言う軍上層部の判断で余り見かけなくなった。
しかし、メサイア攻防戦ではザフトの高軌道型MS群に蹴散らされる格好となり、連合は高速でのドッグファイトの重要性を改めて認識させられる結果となった事から現在の地球連合ではOSの改良とエールのバージョンアップや操作性向上を行いエールの宇宙使用が進められている。

余談は兎も角、そのエールの機動性に振り回される形となったシャルは所々射撃を外す様になった。

「クッ!? 機動の制御に集中すると射撃が疎かになる!」

その言葉にキラは考えながら呟く。

「……ヤッパリ、完全なマニュアルでの操作に難があるかな……補助OSの調整も加えないと……でも、ムウさんってマニュアルで操作してたよねたしか……でもカガリは補助OSで操作してたからな……」

キラの世界でもトップクラスのムウとシャルを比べるのもどうかと思うがカガリの例もあるので補助のOSを加える事を考えたキラだった。

キラはシャルに通信を繋げ次の指示を出した。

『シャルロット、次はソードストライカーを兵装選択して』

「解った」

キラの指示でエールを粒子に変換しソードを展開したシャル。

その背にはISを装備した自身を超える身の丈の大剣が右側にあった。

シャルは高速で目標に近づき大剣を振り下ろす。

ターゲットは真っ二つになり消滅した。

「正直、この兵装重過ぎて扱いづらいよキラ。振り下ろす時も大振りだし取り回しに難がある。それにISのマニュピレータにも負荷が掛かるよ」

そのシャルの言葉にキラは考えながら呟く。

「確かにね。如何しよう……兵装として外すかな……でも、それじゃあ接近戦兵装が限られるし……そうだ、グフのテンペストビームソードを参考に小型化をしてみよう」

考えが纏まるとキラはシャルに通信を繋げる。

『解った、改良をしてみるから次のランチャーを装備して』

「解った」

シャルは次にランチャーを装備する。

背には大きなアグニが左側に配備されていた。

シャルはソレを左脇に抱え込み右手でアグニのサブグリップを抱えながらターゲットに向けて発砲した。

このアグニ、ザクのオルトロス長距離ビーム砲を参考に改良が加えられ、旧アグニと同等の破壊力、射程距離を有しつつ、信頼性や連射性能の点で上回る様改良した。

シャルは暫く発射していてアグニの難点を挙げていく。

「このアグニ、重いし反動も大きいね。左のマニュピレータに相当の負荷が掛かるよ。それに一番の問題は左手に武装がある事かな……僕、右利きだから撃ち難いよ」

その難点にキラはまたもや考えながら呟いた。

「最大の難点は其処か……射手の利き腕に左右されない兵装が課題かな……」

考えを纏めたキラはシャルに次の指示を命じた。

『次は高速切替でのストライカー兵装の運用をしてみようか』

キラの言葉にシャルは頷きながらエールを展開し、移動を開始した。

シャルは両腕にアサルトビームライフルを腰溜めに構えながら乱射した。

ターゲットを蜂の巣にした後、エールのまま対艦刀を展開、目標を叩き切ると、次に左手でアグニをターゲットに向けて発射した。

ターゲットはアグニの大火力に巻き込まれ全滅した。

そして最後に、グレースケールを打ち込む。

こうして、キラとシャルは演習を終了させた。





アスランとラウラは学園の第二訓練アリーナにてシュヴァルツェアレーゲン・ツヴァイの稼動訓練を行っていた。

アスランはラウラに通信をしながら機体解説を行っていた。

『ラウラ、今回は兵装の運用を行いながらの解説だ。先ずは高初速レールカノン、『アハトアハト』の試射を行って見てくれ』

ラウラはその指示に従い右肩に搭載されているアハトアハトレールカノンを構える。

ターゲットが現れ、それにアハトアハトレールカノンを撃ち込むラウラ。

8.8センチの口径から眩い光が漏れ出し、音速を超えた砲弾がターゲットを粉々にした。

その威力に唖然とするラウラ。

「Acht-Achtだ」

アスランはドイツ語で88を意味する言葉を言いながらその様子を見ていた。

このアハトアハトレールカノン、第二次世界大戦のナチスドイツが使っていた、8.8cm FlaK 、独軍通称、Acht-Acht、連合国軍通称、eighty-eightと呼ばれている高射砲を見た目そのままにアハトアハトSK C/30をレール砲として再現した。

アスランはラウラに質問する。

『どうだ? アハトアハトは?』

その質問にラウラは戸惑いながら答える。

「若干、威力過剰な気もするが……素晴らしい威力だ」

その言葉に満足するアスランに質問した。

「何故、名がAcht-Acht(88)なのだ?」

その質問にアスランがハッキリと答える。

『口径が8.8センチで見た目も第二次世界大戦のドイツが使っていたアハトアハトに似せて作った』

実質、アスランの趣味全快な回答にラウラ呆れながら呟く。

「国家が管理するISを趣味で着色しないでほしい……」

しかし、アスランは悪びれもせずこう言う。

『しかし、威力はお墨付きだぞ』

更に呆れながらラウラは次の兵装の試験に入った。

次にラウラが試射したのは3連装ビーム砲と連装砲だった。

最初は3連装ビーム砲を展開、合計6門のビーム砲が火を噴く。

周囲にいたターゲットは緑色のビームの乱射に巻き込まれ容赦無く吹き飛ばされる。

次にラウラは連装砲を掃射、4門の砲が弾頭を吐き出し、ターゲットを吹き飛ばす。

「コレも威力過剰だな……」

そう言いながらラウラは次に背部バラエーナ改2連装ビーム砲を展開、ターゲットに撃ち込み破壊する。

「一番の貫通力と破壊力と聞いたが確かに凄い威力だな……」

複数のターゲットが爆風で吹き飛ぶ様を見ながら冷や汗を浮かべて唖然とするラウラ。

『ラウラ、次は全兵装開放モードでの砲撃を行ってくれ』

「解った」

その言葉にラウラは連装砲を掃射した後、背部バラエーナ改2連装ビーム砲、左右3連装ビーム砲を撃ち込む。

複数いたターゲットは吹き飛び陰も形も留めなかった。

「……もう無茶苦茶すぎて、驚きを通り越して呆れの境地だ」

アスランは次に、爪内部にあるビーム発生デバイスを展開するよう命じた。

『ラウラ、爪部ビーム刀を展開してくれ』

そう言われラウラは手刀を作り爪からビームの刃を展開した。

親指から小指までビームが発生しソレをターゲットまで高速で接近、ソレを振り下ろした。

そして続け様に手刀を崩し、指を曲げ引っかく様にターゲットを切り裂く。

五本のビームの爪は容赦無くターゲットをズタズタに切り裂く。

『問題なく作動したようだな。ラウラ、お疲れ様』

アスランがそう言いラウラを労う。

「正直、コレだけの兵装を効率良く使うのは神経を使う。もう少しソフト面の改良を要求する」

その言葉にアスランは考えながら呟く。

「そうか……兵装が増えた事で操縦の複雑化を招いているのか……ソフト面での改良と威力を抑えた兵装の開発が課題だな」

そう言いながらアスランとラウラのシュヴァルツェアレーゲン・ツヴァイの稼動試験は終了した。






オマケ

シャルはシャワーを浴びた後、キラの元に帰って来るとキラに語りかけた。

「キラ、もうお昼だけど、予定ある?」

ラウラは上目使いでキラに質問してきた。

キラは真面目に答える。

「今日は昼からラファールリヴァイヴmkVの調整と改良以外はやる事は無いけど?」

その答えにシャルはパーッと顔を明るくして提案した。

「じゃあ、さ、ソレが終わったらさ、僕と一緒に遊びに行かない? たまには生き抜きも必要だよ?」

その提案にキラは頷きながら答える。

「そうだね。悪くないね。たまには遊ぶか」

その言葉を待っていたシャルはタウン情報誌を取り出し何処に行くかキラと話し合った。



アスランとラウラは今回の演習について話し合った後、ある話題になった。

「そう言えばラウラ、この町は回ったのか?」

アスランの言葉にラウラは首を横に振りながら答える。

「いや、その必要は無いと思ってそんな事はしなかった」

ラウラの言葉にアスランは呆れながら答えた。

「ヤッパリな……いいだろう。俺がドライブのついでに町も案内するとしよう」

その言葉にラウラは反応する。

(コレはもしや……ハルフォーフが言っていた“フラグ”と言う奴ではなかろうか……嫁とのフラグ!! ああ、何て素敵な響き……)

顔が無表情なラウラにアスランは語りかける。

「嫌なら別にいいんだが……」

その言葉を光速もかくやというスピードで否定するラウラ。
勿論、無表情で。

「いや、“嫁”との仲を進展させるのも悪くは無い。いいだろう」

アスランは呆れながらも言う。

「だから……ソレを言うなら“嫁”じゃなくて“婿”だろ……後、君とはパートナーでそう言う関係ではない」

アスランの否定にラウラはこう言った。

「なるほど、コレが“ツンデレ”と言うものか」

アスランは盛大なため息を吐きながら取り合えず否定した。




あとがき
はい、今回はデートイベント前です。



押して頂けると作者の励みになりますm(__)m


<<前話 目次 次話>>

作品を投稿する感想掲示板トップページに戻る

Copyright(c)2004 SILUFENIA All rights reserved.