第9話『来る破壊神』


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  エトス艦隊旗艦〈リーガル〉の会議室に流れる空気は、まるで鉛にでも変わったような、重々しいものとなっている。原因は言わずとも知れた、地球艦隊が率いていた揚陸艦の正体にあった。

「まさかとは思っていたが……」
「この揚陸艦……全てが民間人の乗る移民船だったとは……」

  ゴルックによる解析映像を見せられた、ガーウィックとズイーデルの両提督。唖然、そして呆然としているのに加えて、次に言いようない怒りが全身を駆け巡り、怒りによる衝動を抑えきれんとばかりに震えている。
  目の前に映る無残な光景――宇宙船の外壁が砲撃により破られ、そこから吸い出されてしまっている大量の民間人達。吸い出されていく民間人の中には、泣き叫ぶ幼い子供も混じっていた。その子供は、何かから逃げ出したいかのようにして目を瞑り、大切にしていたであろうヌイグルミを抱き締めているではないか!
  予想以上の光景を目の当たりにしたが、その時点で見るに堪えなくなってしまった2人。
  ゴルックも、それを察して早々と拡大映像を閉じた。沈黙の時間がどの程度流れていたかは、正直分かりようもなかったが、不意に覚悟を決めたように立ち上がったのは、今しがた辛い映像を見せたゴルックである。彼は俯き加減に、そして身体を震わせ、今にも暴発しそうな雰囲気だ。そして、目線だけでも人を引き下がらせるほどの眼光を放っていた。
  その不穏な気配と凶相ともいえるゴルックの表情に、ズイーデルがハッとなり声をかける。

「ゴルック提督、何をする気だ?」
「知れたことよ、お高くとまっている奴等(SUS)に、目にもの見せてやる!」

  怒号を吐き出すと、勢い止まらぬゴルックは破裂寸前の風船のように、怒りを吐き出した。

「まずはこの要塞だ。我が艦隊の衝角(ラム)で、風通しを良くしてやるわ!」

  過激な言葉を吐きながら、重々しい軍靴の音を響かせて会議室を出て行こうとするゴルックを、ズイーデルは慌てて追いかけ羽交い絞めにする。そうでもしないと、今の彼では、本気でSUSに攻撃をしかねない状態であった。まして、フリーデ星の住民は、住民気質故か血気盛んな人間が多い。故に、彼の指揮下にいるフリーデ軍人達もまた、司令官に着いて行ってしまう可能性が高かった。

「ま、待て、落ち着かんかッ! 此処で貴官が激発してどうする!?」

  暴れ馬の如く身体を大きく振るって抵抗の意思を見せるゴルックは、ズイーデルの制止を振り切らんばかりに叫んだ。

「えぇい、離せぇ! 俺が……我らが栄光あるフリーデ艦隊が、民間人虐殺だと? 不戯けるのも大概にしろ!」

  彼とてSUSの指示に従った口ではあるが、決して民間人の虐殺に快く思えていた訳では無い。それは傍にいるズイーデルも同様だ。好き好んで民間人を手にかけたくはないのだ。戦うならば、軍人同士で戦ってこそではないか。民間人は巻き込んではならないのである。
  ゴルックは必死に抑え続けるズイーデルの腕を振り払った。
  だが、その様な事で気分が収まる筈もなく、これまでの鬱憤を晴らすが如く、その場にいる2人に向けて、怒気を吐き出し続けた。

「SUSの軍門に下ったとはいえだ、俺達フリーデは腐っちゃいないぞ! 腐っちゃいない……なのに……。畜生、畜ッ生ォ!! 俺は……卑劣な民間人殺しを……やっちまうとは……よォ……」

  何時も強気で、直情的な性格を持ち、弱さを見せる事は先ずなかったゴルック。彼は、怒りを吐き出し尽くしながら、今度は嗚咽を交えながら後悔の念を溢れさせた。軍人としてのプライドが大きく傷付けられたことは、ゴルックに巨大で埋め尽くしがたい溝となっていたのである。
  だが、目尻に涙を浮かべたのも束の間、涙諸共に嗚咽を吹き飛ばし、今度は怒りの矛先をガーウィックへと向けた。

「ガーウィック提督、お前もお前だ。何を逡巡するんだ? ここまでコケにされて、黙っているつもりか。エトスの“ブシドー”は単なる飾りなのか!」
「……我らが伝統、我らが意志を疑うか? ゴルック提督」

  並の人間なら平伏す程の雰囲気に、ゴルックだけでなく、抑え役に徹するズイーデルすら黙り込むほどの威力があった。
  だが、彼とてゴルックの気持ちが分からない筈がない。ブシドー精神に、大きく反する戦闘行為なのだ。

「ゴルック提督の無念は、痛いほど分かる。私とて、出来る事なら奴らを捻り潰してやりたい……だが、今ではないのだ。その時が来るまで、耐え忍んでもらいたい。分かってはくれぬか、ゴルック提督」

  ガーウィックが嘘をつくような軍人ではないことを、2人は知っている。まして、誇り高きブシドー精神を持つエトス軍人なのだ。大ウルップ星間国家連合の参加国の多くも、このエトス星の評判は上々だった程である。

「……わ、分かったよ。俺も、取り乱して済まなかった。この通りだ……」

  やがて、取り乱したことを詫びるゴルックに、ガーウィックもズイーデルも咎めはしなかった。彼の心境は、良く分かるからだ。
  ガーウィックは、彼らが平静を取り戻す頃合いを見計らってこう切り出した。

「この記録を見せても、SUSの連中はシラを切り通すだろう。これが本当に民間人なのかも分からん、とな」

  あくまで彼は慎重であった。確かにこの映像を見る限り、これは移民を目的としているかもしれない。
 だが、これは自分らで立てた仮説に過ぎないのだ。それに、自分もSUSに対して異議どころか、武力を持って申し立てたいが、その相手が元の銀河に居ては連絡も取れない。寧ろ、自分らの母星が、SUSによって危うい事態へと展開しかねないのだ。
  一番に確信を得る方法……それは、地球防衛軍の者に聞くことである。侵略の一貫として市民を使って偽装した物なのか、本当に単なる移民でしかないのか。
  しかし、直接聞くにしても簡単なことではないのは、誰の目にも明らかである。

「もし地球が市民を偽装して侵略をしていたとすれば、私は断固として地球を許さん。しかし、彼らが生き残るために移民を行っていると分かれば……」

  一旦言葉を切るガーウィックに、冷静さを取り戻したズイーデルが続く。

「その時が、SUSに刃向かう瞬間だと?」
「左様」

  取り乱した状態から辛うじて落ち着きを取り戻したゴルックが、ガーウィックに問いかける。

「だが、どうするんだ? 地球艦隊へ向かう機会が巡って来るのか」
「ゴルック提督、それについては心配いらんかもしれん。奴らの命令癖からいえば、自分らの戦力を使わず、我々を地球艦隊殲滅に差し向ける可能性は、大いにある」

  情報によればSUSは先程、地球艦隊に対して大敗を喫したというのだ。この情報は、ガーウィックらにも衝撃的な話ではあったが、SUSの油断と、地球艦隊の死に物狂いの抵抗が、驚くべき結果を生んだと言えよう。地球艦隊の実力を軽視していたツケだが、なればこそ、SUSも慎重にならざるを得ない。高い戦闘能力を持つ地球艦艇を潰すのに、自らの手ではなく、自分ら連合国艦隊を使って来る筈だ。その時が、真意を聞き出すチャンスなのだ。
  だが、色々と問題も浮上して来る。三ヶ国艦隊を纏めて派遣して行くか、という事だ。もしも分散して差し向けられたら、同時に反旗を翻す事は出来ない。SUSも、それを危惧して監視役の艦隊等を随伴させてきても、おかしくは無い。
  例えば、エトス艦隊が地球艦隊と接触し、反旗を翻すことになったとする。他の二ヶ国艦隊は、全く別の世界へ派遣されていた場合、それを知る由もなく、監視役のSUS艦隊に不意打ちされてしまう可能性だってあり得るのだ。まして、肝心な通信技術は、この幾多の世界を手中に収めているというSUSが一枚上手だろう。自分らには、次元空間へ通信を送ることなど出来ないのだ。
  此処は如何に、SUSに対して自分らを上手く使わせるか……という奇妙な話になってしまうのだが、そうでもしなければ、皆がバラバラに派遣されてしまうだろう。

「兎に角、奴らが出陣を指示して来た時に、こちらから願い出るしかないだろうな」
「奴らに頭を下げるなんてのは、気が進まねぇぞ……」
「なに、ゴルック提督。別にSUSに頭を下げなくともよかろう。奴らの“影”に頭を下げるとでも思えばな」

  ズイーデルの冗談に「それは良い」等とゴルックが苦笑する。そんな冗談混じりの会話をやり取りする2人を見て、ガーウィックも少しは余裕が出て来たような気がした。
  話し合いはそこまでとされ、今は艦隊の補強に専念するしかないようだと改めて説明する。
  だが、ここでガーウィックは想像していた。もしも地球艦隊と連絡が取れたとしても、彼らはどう思うだろうか。我々が、移民船だとは知りませんでした、等と言って信用してくれるのか。さらに、時空管理局の存在もあるのだ。艦船としての能力は差ほどでもないようだが、地球艦隊と一緒になってこちらを攻撃してきてもおかしくはないだろう。これで説得に失敗し、反旗を翻す事も出来なければ、我らの孤立化は確定化する。そうならないように、注意しておかねばならない。



  3人が意思を固める頃、地球艦隊とクロノ率いる航行部隊は、間もなく時空管理局本局に到着しようとしていた。

「軍医、司令と参謀長の御容態は?」
「艦長は順調に回復しています。もう、間もなく目が覚めると思います。ただ、参謀長は絶対的安静が必要です」

  地球艦隊旗艦〈シヴァ〉の医務室にて、リキ・コレム大佐は軍医クォリス・ケネス大尉から、司令官らの容態を確認していた。かれこれマルセフらが負傷し、治療を受けてから凡そ3日半程が経過していた。さらに現在、地球艦隊の先導をしているクロノ・ハラオウン提督によれば、もう半日もすれば到着するとの話しだ。
  何とか、それまでに意識を回復してもらえればと思っていたが、そうもいかないらしい。司令は兎も角、参謀長は絶対安静が必要であることに変わりは無い――つまり、今しばらくはコレムが指揮官代理として、地球艦隊を指揮する事になるのだが、それはそれで、やはり気が重いものだった。
  何故なら、本局に行ってから会うであろう、時空管理局の上層部または幹部達の対談が待っているからである。ここで、彼らに対する判断を誤ってしまえば、地球艦隊の全乗組員を危機に陥れかねないのだ。気が重くなるのは当然であろう。

「……では、マルセフ司令らのことは、お任せします」
「了解しました」

  後を任せると、コレムは艦の指揮を執る為に艦橋へと戻って行った。
  到着まで半日、彼は交渉時における対策を練っておかねばならない。それに相手のことは、大まかながらに把握しているのが救いだった。時空管理局とは、一体どんな事をしてきた組織なのかを考慮しておく必要もあるが、その他にも自分達に関しての情報を纏めておいた方が良いだろう。当然であるが、相手もこちらを知りたがっているのが、容易に想像出来るからだ。用意は万全にしておくに、越したことはない。
  そう思うと、コンピュータの資料も探しておこうと思うコレムであった。
  方や、案内役を引き受けているクロノは座乗艦〈クラウディア〉にて、次元航行部隊本部こと本局と連絡を取り合っていた。その相手とは、自身の母であり上官でもある総務統括官リンディ・ハラオウン提督である。

「統括官、そちらの状況はどうです?」
『良いとは言えないわね。強硬派は、地球艦隊の接収を叫んでいたのよ』
「やはり……地球艦隊の戦闘力を見てしまった以上、放置はできないですから、彼らの反応も無理は無いかと思います」
『えぇ、その気持ちには同情はする。私達の艦船では、とてもじゃないけど太刀打ち出来ない。それが余計に焦りを生んでいるようだけれど……レティも強硬派を食い止めるのに苦労しているわ』

  本局では、強硬派が地球艦隊の脅威を唱えて、地球艦隊乗組員の拘束及び艦艇の接収を叫んでいたのだ――キールを始めとする伝説の三提督らに却下されたが。

「結局、その案は完全に破棄されたんですね?」
『えぇ。ただ、強硬派には何が何でも、その技術力を手に入れたいと思う輩がいるのよ。それを、いつまで抑えられるか』

  確かに、伝説の三提督に諫められて、強行案を取り下げた強硬派の面々だが、当然ながら諦めきれてはいないのだ。それは、リンディやレティも分かり切っており、彼らをどこまで抑え続けられるのかが問題であった。

『現段階では、まず話し合いによって、現状把握をするのが手一杯でしょうね』
「では、SUSについては?」
『これは、満場一致で、第一級危険国家として登録されたわ。この勢力に対抗する為にも、地球艦隊を利用するつもりなのよ』
「だから、会談で協力要請をするかもしれない……という訳ですね。SUSに対抗可能な戦闘力を持つ彼らを、どう説得するのかは置いておくとしても、現状を鑑みればやむを得ないですね」

  クロノが言う様に、時空管理局の艦船では力不足が躊躇に現れている。彼自身も、本音としては、地球艦隊の力を貸してもらいたいところであった。そう簡単に応じてくれるとは思えないが、こちらとしても、それ相応の条件を呑まねばなるまい。

「しかし、その会談は、しばらくは無理だと思います」
『そうでしょうね。報告書を確認したけど、地球艦隊の司令官が負傷しているようね。しかも、動ける様子ではないと』

  責任者たる司令官が出られないのでは、代理人を会談の席に座らせる訳にもいかないだろう。話すのなら、代理人ではなく責任者の指揮官が出てもらうべきであり、その司令官の怪我が回復してから、会談を行ってしかるべきではないか。
  また司令官代理コレム大佐の話では、今日中には、司令官の方が何とか意識を取り戻せそうとは言っていた。
  だが、意識が戻ったからと言って、直ぐに会談の席に付けるという訳でもない。数日の安静期間が必要である為だ。それまでの地球艦隊の処遇も問題であり、乗組員を何処へ連れて行くべきか、これも少なからぬ問題であった。
  ふとクロノやリンディは、考えたくはない最悪の事態を思い浮かべた。司令官が動けない隙を突き、地球艦隊の乗組員を纏めて閥の場所に移して、その間に奪取する……という暴挙を絶対に許してはならない。この最悪のシナリオは、確率的には低いだろうが、念には念を入れておくべきであった。
  その点においては、三提督の名の元で周囲に手出しをせぬようにと厳命している為、恐らくは大丈夫であろうが。

「会談における交渉は無理でも、彼ら自身の事は聞けるのでは?」
『そうね。交渉は引き延ばすとしても、情報交換の類いは出来るでしょう。私からも、それは報告しておくわ』
「ありがとうございます」

  そこまで話すと、両者は通信を終えた。
  艦長室でポツリと残るクロノは、この先に起こるであろう大きな事態を心配してやまない。突然にして始まった未曾有の波乱の幕開けに、時空管理局は海と陸が一丸となって対応策を立てている真っ最中だ。
  しかし、自分らを凌駕する戦闘艦を有する相手に、どれ程に立ち向かうことが出来るだろうか。SUSが魔法を持たないとしても、戦闘艦の中にいられては手出しが出来ない。それに、高ランクの魔導師が集まっても難しいに違いない。そう、時空管理局のエースと謳われる高町なのは一等空尉の強力な魔砲を持っても、貫通させることは不可能かもしれないのだ。
  だが、本当に彼女の最大魔砲をもってしても、地球の駆逐艦にさえ通用しないかと言われれば、それは断言はできない――何せ試した事がないのだから。
  今はもう解散してしまっているが、JS事件の解決に大きく関わった機動六課が、纏まって対処しようとも叶わないだろうか。逆に、メンバー全員が危険に晒される可能性が極めて高い。今回の相手は、戦闘で相手は殺すことを厭わないのだ。その様な危険な勢力を相手にするならば、こちらも相応の意思を持たねばならないのだが、如何せん10才前半といった、幼い年齢の魔導師もいるのだ。小さな少年少女に、死を覚悟しろと言っても無理があろう。
  あのジェイル・スカリエッティ博士の起こした絶望感など、この事態に比べれば何のことは無い。特に彼が甦らせた巨大船〈ゆりかご〉も全くの問題外に違いないだろう。

「それにしても、彼らの地球は一体どんな道を辿って来たというんだ?」

  クロノでさえ知らなかった、別の次元世界に浮かぶ地球。時代も全く違うことが伺える、地球連邦の存在する世界は、どの様にしてあそこまでの力を持った軍隊を手に入れたというのか? それを予想しようにも叶わない。どうこう考えても、あそこまで成長出来るものなのか、という疑問しか浮かんでこないのだ。
  考えすぎた頭を、左右に振るクロノ。今考えても仕方がない、本題は本局についてからなのだ。到着まで、もうすぐな筈だ。そう思うと、彼もまた艦橋へと身を運んで行くのであった。


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  クロノの通信が終わってから凡そ14時間後のこと。時空管理局本局にある大規模な管理港の周辺では、地球艦隊の到着を今か今かと局員である魔導師達が待機していた。拿捕する為に、港周辺で待機しているのではなく、単なる最悪の事態を想定しての警備体制であった。
  管理港の現場にいるのは、魔導師ばかりではない。整備員は勿論のこと、出迎えの為に待機している局員数十名に、幹部といった高官が4名程いた。その内の1人が総務統括官リンディであり、彼女の地球滞在経験を買われての人選であった。本来ならば、同じ地球の人間である八神はやて、或いは高町なのは辺りが適任であったのだろう。
  しかし、それでは地球防衛軍に疑問の念を抱かせる可能性がある。何故、地球人であろう彼女らがこの世界にいるのか。そして、どのような経緯でここにいるのか。まさか、魔導師として勧誘された等と言える筈もない。下手をすれば、管理局はあらゆる世界に手を伸ばし、ところ構わずに魔導師の素質を持つ人間を引き込む組織だと認識されかねなかった。
  そして、リンディと同じく出向かえを任された残り3人の内の1人は、リンディとは違った黒を基色とした制服に身を包み、腰よりも長いベリーロングの金髪姿だ。年齢にして19歳という極めて若い女性局員は、次元航行部隊こと本局の所属であり、執務官として働くフェイト・(テスタロッサ)・ハラオウン一尉といった。
  リンディの養子として迎え入れられた娘であり、クロノの義理の妹でもある。そして、時空管理局内でも名の上がる高ランク魔導師だ。先の2名とは出自に複雑な事情があるが、10年程前の事件に際して、地球で高町なのはやリンディと出会い、事件解決後に事件の参考人として確保された。その後は、レティの手配などもあって、リンディの家族として迎え入れられたのだ。

「もう間もなくですね」
「そうね。フェイト、一応の警戒態勢は敷いているから、後は大事にならない事を祈るしかないわ」
「分かっています。その時は、私も何としても食い止めます」

  責任感が人一倍強くも、心の優しい女性魔導師として、同僚や後輩達の評判は上々のフェイト。そんな彼女も、かのJS事件以上に緊張の様子を持っている様で、大惨事にならぬようにいつでも動ける体制を整えていた。
  それに同情するかのように頷くのは、3人目の女性局員だ。焦茶色で背中まで届くロングヘアに、丸いレンズタイプの眼鏡を掛けた17歳の若い女性である。彼女はシャリオ・フィニーノ一等陸士という。フェイトの執務官補佐という役目をおっており、一緒になって各世界へと飛び回っている身だ。
  残る1人はフェイトと同じく、シャリオと同じくフェイトの補佐として活動中であり、蜜柑色(オレンジ)の髪をストレートにした17歳の女性だ。名をティアナ・ランスター一等陸士といった。魔導師であり、元機動六課メンバーの1人だ。だが、高ランク魔導師が揃っていた機動六課にあっては、平均的なランクしかないティアナにとって、大きな重圧となって肩に圧し掛かっていた。
  当人が、それを一番に自覚していた為、色々と葛藤を経験していたが、彼女の戦術と戦略思考は類まれなものとして評価されており、ゆくゆくは執務官となるべく勉強の真っ最中であった。

「リンディ提督、フェイトさん、どうやら来たみたいです」

  ふと地球艦隊の到着に気付いたティアナが声を発した。それに反応した3人は、視線を中継映像のスクリーンに向けた。ゆっくりとしたスピードで港に入ろうとしているのは、航行部隊の次元航行艦だった。彼女達からすれば、見慣れた艦艇のフォルムだったが、肝心の地球防衛軍艦隊も、次第にその姿を局員たちの目に晒していく。
  地球艦隊旗艦〈シヴァ〉の第二艦橋からも、本局の姿をレーダー上で捉えた後、光学的にも捉えることのできる距離にいた。彼らクルーの目に映る、本局と呼ばれる次元航行部隊の本拠地もとい、時空管理局の本願的存在である。

「司令官代理、レーダーに目標の建造物を確認しました。時空管理局の本局です」
「こちらでも捉えました。映像に出します」

  索敵士官ジーリアス大尉に続き、技術士官ハッケネン少佐も映像に回して拡大投影させた。

「あれが……時空管理局の本拠地」
「まるで、要塞ですね」

  艦橋でその様子を眺めるコレムは、思わずそう呟いた。通信士テラーも、艦橋の窓越しから全景を見ており、驚きの表情をしているのが分かる。本局は、次元世界の中心として活動するステーションにしては、やけにゴツゴツしているような印象を受けた。まず巨大な上下に長い本体があり、その中央部分の左右前後からは、巨大な突起型が四方に向けて伸びている。さらに、その巨大なステーションの周囲を、まるで土星のリングの様にも見える、巨大なパネル状構造物が浮かんでいた。
  加えて言うなら、まるで建設途中のようでもあり、所々、骨組みの様な部分が見えるものであった。
  ここに来て攻撃を受ける訳でもないだろうが……と、懸念をしていた。

「〈クラウディア〉より通信。本局の誘導無線に従って入港せよ、とのことです」
「了解したと伝えてくれ。全艦、これより時空管理局の港へと入港する。いいか、何があっても下手な行動は起こすなよ」

  そのように厳命すると、彼は艦隊をそのまま進めさせた。まず先に入港したのは〈クラウディア〉を始めとする航行部隊だ。
彼らの艦が一通りの入港し終えると、今度は地球艦隊の番である。旗艦〈シヴァ〉を筆頭にして慎重に入口へと艦を進入させて行く間、操舵手も少し緊張した様子だ。
  800m級の巨艦を操る立場にあるのが、26歳の男性士官、航海長フランク・レノルド大尉だ。レノルド大尉は改めて操縦桿を握り締め直す。その巨大な艦をゆっくりと、ゆっくりと港内へと進めていく。さもなくば、本局内部の管理港に頭から思い切り突っ込む事態となろうから、より一層の注意が必要であった。そんなことになれば失笑を通り越して批難の的となろう。

「本局の港へ入る」
「さらに減速、艦首スラスター噴射!」
「了解。艦首スラスター噴射!」

  時空管理局の管理港は、無重力状態である故に艦体が着底することはない。また固定用のアームにより艦体を支えているのだが、如何せん、この〈シヴァ〉は800m超えの戦闘艦だ。そんな超大型艦が入ることなど、時空管理局側――特に次元航行部隊は想定していなかった。それでも、固定アームの稼働範囲を最大限に拡げて、辛うじて引っかかる程度だ。これも、やや心許ないものである。
  ギリギリに固定出来るかの瀬戸際である中、若い航海長は、固定アームに引っかかる様に微調整しながら、いよいよ本局の巨大な管理港に艦首から進入を果たした。他の艦は、すんなりと着艦している様子だ。〈ミカサ〉とインビンシブル級〈ヴィクラント〉、インディペンデンス級〈イラストリア〉も艦体規模が大きかったが、〈シヴァ〉程でもないらいしい。

「……接舷完了!」

  やがて〈シヴァ〉も、その巨体を慎重に数基の固定用アーム上に載せていった。軽い振動が伝わると、それが完全に係留された状態を意味し、レノルドも一息吐いているようだ。

「航海長、御苦労だった。良い腕だ」
「ハッ! ありがとうございます」

  コレムの褒めの言葉に反応して、お礼の言葉を返すレノルド。最新鋭艦の操舵手として拝命された彼も、優秀な腕前を買われての抜擢だったが、まだまだ経験が足りない。無論、ゼロではないのだが、ベテラン勢に比べると劣ってしまうのは致し方ないところであろう。
  そして、本題はこれからだった。本局に到着した次に待つのは、上層部との会談であることは明白であるからだ。
  コレムは次なる指示を出す。

「皆、聞いてもらいたい。私は、これから東郷艦長と共に、マルセフ司令の代理として管理局へ赴かねばならない。その間、私はこの艦を離れる訳だが、くれぐれも相手を刺激させるような行動は控えて欲しい」
「「了解!!」」
「それと、私がいない間の〈シヴァ〉の指揮は、ハッケネン少佐に委ねる。艦隊の司令官代行は、北野少将に任せているから、何かあった際には、それぞれの指示に従ってもらいたい」

  コレムの言う指揮官代行者とは、第六艦隊分艦隊司令北野哲也(きたの てつや)少将である。年齢は41歳。かのイスカンダル遠征時には、ヤマト戦術科に所属していた経歴を持つ。人材払底の煽りを受けて〈ヤマト〉の乗組員となり、若いながらも視線を幾度も潜り抜けた腕前は相当なものであった。
  その後、ガトランティス戦役を経て、第二次イスカンダル遠征時には、配属が変わってヤマト航海科として乗艦した。
  初陣を第一次イスカンダル遠征で迎え、実戦の中で経験を積んできた北野も、もう数年もすれば地球連邦防衛軍統括司令長官、或いは航宙艦隊総司令官の座は間違いないとされており、言わば期待の星の1人であった。

「では、後を頼む」

  そこまで言うと、コレムは早々に艦橋を離れて、下艦の準備に入る。付き添いとして1人を同行させる事にしていた。それはシヴァ艦載機隊第1航空隊長の坂本茂少佐だった。



  旗艦型スーパーアンドロメダ級戦艦の1隻である戦艦〈アガメムノン〉の艦橋に北野がいた。やや浅黒い肌に、薄い青色の髪をした、比較的端正な顔立ちをしている士官で、40歳を迎えてなお若々しさは変わらない。第一次イスカンダル遠征から始まった、戦艦のクルーとしての生活。時として、砲雷長南部康雄の補佐役として、武器管制を行っていた。若さ故に叱咤を受ける事もあったが、それがあってこそ今の自分があると自覚しており、貴重な経験の一つだとしていた。
  艦長席で過去の事を思い浮かべている北野であったが、今の現状はさすがに逃避しかねるもので、思わずかつての上官に助けを請いたくもなった。

(古代先輩、南部先輩……今の私達の現状、信じられますかね?)

  まさかこんな次元世界へと、足を踏み入れるとは誰が想像出来たのであろうか。選りすぐりのクルーとして〈ヤマト〉に乗り込んだ彼自身もまた、未だに落ち着き払えない心境が続いている。

「艦長、コレム司令官代理が下艦されます」
「分かった。あまり考えたくはないが、司令官代理の指示通りに、いつでも対応出来るよう待機する」

  こんな所で、時空管理局からの襲撃を受けるとは考えたくないものだ。
  しかし、相手は数多の次元世界を管理する時空管理局だ。管理局に関する資料は、〈シヴァ〉から各艦へ送信されていることから、どういう組織なのかはを知らない者はいなかった。その内容からして、やはり黒い部分は存在していおり、その存在が不安を消し去ってはくれないのだ。時には強引極まる手段を行うという事例もあったくらいである。その話が事実であれば、自分ら地球艦隊に対する襲撃があってもおかしくはない。
  注意するのに越したことはないだろう。

「兎に角、コレム大佐の無事を祈っておこう。我々にはそれしか出来ないのだからな……」

  一方、その着艦して行く様子を見ていた時空管理局の面々は、改めて驚いていた。今までは、資料と映像でしか見た事のない艦艇群の姿だったが、こうして港にて間近に見ると、戦闘艦ならではの重厚さ、そして迫力と威圧感を受ける。その艦から滲み出ている軍艦としての気迫とでも言うべきだろうか。時空管理局の次元航行艦には無い、戦う意思を持った艦の印象を強く受けてもいた。
  以前は次元航行艦船の艦長を務めていたリンディも、自分の目で見てから初めて、相手は本物の軍隊であると実感している。時空管理局の次元航行部隊が有する次元航行艦など、これらの地球防衛軍を前にしたら、戦艦とコルベット艦の差はあるに違いない。
  彼女の傍に付き添う女性達は、また違った感想を抱いている様子だった。
  ミッドチルダ出身で、地球で滞在した経験がないティアナ、並びにシャリオにとっては、何もかもが初めて目にする軍艦であった。

「これが、地球防衛軍の艦……次元航行艦とは、全く違いますね」
「本当ですね。是非、中を見てみたい」

  前者はティアナ、後者はシャリオである。ティアナは地球防衛軍の設計思想が本当の戦う為の“戦闘艦”である事に感心し、方やシャリオはメカニックに通じている所がある故に、地球防衛軍の艦艇に深い興味を抱いていた。
  フェイトの場合は、2人とはまた少し違った反応を持っている。今、彼女の目の前に見えるのが、地球艦隊の旗艦〈シヴァ〉だが、この艦が70隻あったSUSの分艦隊を、一瞬にして消滅させて見せた脅威の艦だ。無論、〈シヴァ〉だけではなく、〈ミカサ〉も驚異的ではあるが、どちらにせよ戦慄を覚えずにはいられない。彼らを敵に回してはいけないと思うと同時に、どんな人達が乗っているのかという興味もあった。

(驚異的な戦闘能力は、危険に感じてしまう……けれど)

  次元世界に来る直前に、戦闘によって損傷していた立場でありながら、全力で次元航行部隊を守ってくれた地球艦隊に、フェイトは何処となく信頼に足るのではないかという感情も持っていた。
  4人が管理港のメインフロアにて待機中なのとは別に、他にも数人ほどが別のフロアで地球艦隊の全景を見つめていた。それが、ひと際長い緑髪と、端正な容姿に白い上下スーツに身と纏う25歳の若い男性。査察官ヴェロッサ・アコースという。

「へぇ、あれが地球連邦防衛軍の艦隊ね。影像で見てはいたけど、こうして実物で見ると迫力が違うね」
「ホンマやね。あれが、ウチの生まれた地球の戦闘艦とは、いまだに信じられへん」

  ヴェロッサの感想に答えたのは、焦げ茶色の髪をショートカットヘアにした19歳の若い女性だった。管理局員で、八神はやて二等陸佐と言った。第97管理外世界かつ日本生まれの、れっきとした日本人だ。かの機動六課創設者として活躍した、名魔導師としても名高い女性局員だ。
  ただし、JS事件解決後に機動六課は解散されており、現在では捜査官として活動を続けている。因みに、もう1人の地球出身者であるエース・オブ・エースこと高町なのはは、教導官として人材育成に精を出しており、今回もその方面での指導で多忙の身であった。

「あれだけの戦闘艦が造れるんだ。恐らく上層部には、喉から手が出るほど欲しいと思っているだろうね」

  そう言ったのは、上下薄い緑色のスーツに身を包み、丸い眼鏡をかけて、薄い黄色の長い髪を首の後ろで一束に纏めた、19歳の青年だ。無限書庫司書長ユーノ・スクライアである。無限書庫とは、本局内部にある膨大な書物管理施設だ。文字通り無限の情報量を取り揃えた図書館とも言え、その内部を管理する責任者として務めている。彼自身も魔導師としてのランクは高いものの、もっぱら司書長の業務に専念していた。

「……そのお偉方が、暴走せんといいんやけど。なんにしても、あの地球艦隊とは対立したらあかん」

  はやては戦闘艦に詳しくはないが、これでも若くして機動六課を創設し、仲間と共に危機を潜り抜けて来た名魔導師である。地球防衛艦隊と時空管理局の次元航行艦が渡り合えるかどうかなど、報告書や映像データからして明確に分かり切っていた。

「そうだね。記録映像を見せて貰ったけど、1隻であれ程の力を持っているんだ。全体で40隻そこそこでも、XV級の200隻に相当するかもしれないからね」

  この例えは、決して大げさではないであろう。無論、目の前にいる地球艦隊の全てに波動砲が搭載されている訳ではないが、駆逐艦を除く23隻が波動砲を通常装備しているのだ。しかも戦闘艦の中で最小クラスとも言える護衛艦やパトロール艦でさえ、低威力ながら波動砲を装備していたくらいだ。
  さすがに、消耗率の近い駆逐艦には装備しなかったが、それはあくまで快速を生かした蹂躙戦等を想定しているからでもある。
  これは実際に戦闘をしていない故に、推測することしか出来ないであろうが、恐らくは地球防衛軍の駆逐艦を相手にしても勝つことは不可能であろうとされていた。そして、他世界への資料を読み込んでいるユーノにとっても、別次元の地球世界が気になってはいた。
  だが、未だにその資料は見つかってはいない。

「はやてや、なのはのいた地球とは、全く違う地球か」

  ヴェロッサも興味深そうに、形のいい顎に右手を沿えながら呟く。

「ユーノ君は、その地球の資料は、全く見つかってへんの?」
「うん……正直な話、地球に関する資料で探せば簡単だと思ってはいたんだけれどね。そうもいかなくて」

  そう吐露するユーノも、該当する資料がまるで見つからないのが信じられない様で、若干の疲労を感じさせていた。

「しかたないさ、無限書庫は伊達じゃない。知りたいのは山々だけど、それで君が倒れては大変だろう」
「そうだね……ありがとう。気をつけるよ」

  ヴェロッサの忠告に対し、ユーノも感謝の言葉を返す。確かに、常人ではまず管理しきれない膨大な書物や書類が存在する無限書庫は、魔導師が整理するだけでも相当な負担である。そこに、適材適所と言わんばかりに司書長となったのがユーノだ。彼の情報整理能力は類まれなるものがあり、時空管理局としても彼は貴重な存在だ。
  そんな彼が、詮索に翻弄されるあまり倒れてしまっては、無限書庫の機能は完全に停止してしまっても過言ではないのだった。

「しかし、これから行う会談によって、多少は方向が決まるんやろか?」
「いや、それはないらしいよ。なにぶんにも、向こうの司令官が負傷して動けない様子だからね。今回は腹の探り合い、みたいなことになるかもしれない」
「それは、あまり感心出来へんな。上層部が下手な事を言わなければいいんやけど」
「……あっ、ヴェロッサ、はやて。地球防衛軍の代表者が出たみたいだ」

  ユーノの声に反応した2人は、そのフロアから下層を眺める。今まさにコレムらがタラップを降りて、出迎えるリンディやフェイトらと向かい合おうとしているのが見えた。敬礼している様子からして、どうやら自己紹介の類いをしている様子だ。それを別フロアから地球艦隊を眺める3人は、これから行われる会談に対して不安な心境であった。
  本格的な会談ではないにしろ、この会談で知らされる幾つかの事実に、時空管理局は唖然とさせられるのである……。




〜〜あとがき〜〜
どうも、第三惑星人です。
今回は前回よりも随分と時間が空いてしまい、申し訳ありませんでした。
なにぶん、私生活での忙しさもありますので……(それでもちょくちょく書いていましたがw)
さて、感想を頂いた中で、リリカル側の主人公の登場を!と願う読者の方から意見を頂いておりました。
私はリリカル系主人公の扱いが苦手な方なので(魔法による戦闘は特に)、あくまでサブキャラを重視してきました。
しかし、御意見を頂いたこともあり、最低限、会話にはちょくちょくと出そうとして、今回はこんな事になりました(汗)。
あれ程、主人公キャラは名前だけ、と公言していたにも関わらず、早速破ってしまいました……如何でしたでしょうか?
特に大阪弁(だったかな?)口調をする、8神はやては上手く出来ているとも思えませんので、こうしたらいい!という御意見がありましたら、お願い致します。
では、今回はこれにて失礼いたします。恐らく、次回も会話中心になると思います。

〜拍手リンクより〜
[9]投稿日:2011年01月07日15:51:53 [拍手元リンク]
誤字報告です。>心当たりがった
大変なことになってきてますね。まあ、三提督やリンディ、レティの言い分がもっともなのですがこのくらいで彼等が諦めるとは思えませんし……。
移民船であることを知ったSUSの動向も気になります。
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>>誤字報告、ありがとうございます。そして申し訳ありません。
まぁ、こんな強硬派もいてはおかしくはないと思いますが、行き過ぎても駄目ですからね。
今しばらく、彼女らには堤防役を(オイw)……。
SUSも、もうしばらくしたら、何かしらのアクションを起こしますよ、たぶん(行き当たりばったりで申し訳ないw)

[10]投稿日:2011年01月08日10:23:34 斎藤晃 [拍手元リンク]
SUSと地球防衛艦隊に蛸殴りにされる時空管理局が思い浮かびます。
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>>そのような事態にならぬよう、書き進めましょうw
次元航行艦に関しての資料が不足しているので、何とも言えないですが、何かあったら教えて頂くとありがたいです。



・2020年2月01日改訂



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