第19話『ウエスト星系海戦(前編)』


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  先日の会談が終わって1日後のこと。時空管理局本局運用部にあるレティ・ロウラン少将専用の執務室に、その当人はいた。先の会談で決定した地球防衛艦隊の完全修理の為に必要な資材関係、そして何よりも、次元転移技術の貨与手配並びに必要部品等を届ける手配をも、同時に済ませておかねばならないのだ。
  ここ数日間、まともな睡眠時間を取ることも出来ないでいたレティであるが、それは他の局員たちも同様だった。被害対策や報道機関に対する情報統制、部隊再編……やることは山積みなのだ。特に運用部担当のレティにとって、資材の搬入や人材の運用も仕事なので、必然的に多忙となる。
  また地球防衛艦隊への提供資材において、最大の問題だと思われていたのが艦艇修理の資材だった。何せ地球防衛艦隊から提供してもらった装甲等の資材一覧には、時空管理局ではあまり使用されないものが多く含まれていたのだ。当然だが、各次元世界の地下資源や、衛星資源を貿易ルートによってある程度の量を常に購入していた――が、それが地球艦隊の提示している資材とは合致しない。合致しないからと言って、そのまま地球艦隊に渡せば良いという訳にもいかない。
  しかも採掘した資源を、装甲として使用が出来るように加工しなければならないのだが、そもそもからして希少金属類の製錬技術なども違う故に、例え装甲が完成しても強度不足という不安が出てきてしまう。加えて、これまで使って来た次元航行艦用の金属では、到底のことながら地球艦隊の艦船には耐久度不足なのだから、そこが弱点となる可能性が極めて高くなってくる。
  コレムも、その点も指摘して資料と共に、レティへと渡していたのだ。

(自分で言っておいて何だけれども……責任重大ね)

  彼女も同様の問題を感じており、このまま修理を行えば今後どのような支障をきたすか分かったものではない。レティにとって、地球艦隊との友好関係に関わる一大問題といっても過言ではない。彼女の手違いで地球艦隊に不備を生じさせる訳にはいかないのだ。

(それに……資料通りの資材を見つけるのも、簡単じゃないわ)

  資料を眺めやり、各世界からの資材調たちの調整を行うレティも、思わず呟いてしまう。
  渡された希少鉱物リストには、地球防衛軍が使用していたコスモナイトと呼ばれる希少鉱物を始めとする宇宙金属が並んでいる。戦闘艦の装甲は勿論、エンジンにも必須の資材だった。取り分けコスモナイトの中でも99とナンバーが振られた鉱物は、機関部の重要資材である。これが無ければ、波動砲やワープに必要とされる膨大なエネルギーの熱量に耐えかねて、エネルギー伝導菅が融解してしまうのだ。
  それら資材はそのまま使える訳ではない。使えるように加工するのは常であり、各金属を混ぜ合わせることも必須であった。
  レティは、各管理世界で抽出されている希少鉱物のリストを全て調べ上げ、地球艦隊の提示する希少鉱物と同じもの、或は近しい性質を持つものをリストアップさせて、最優先でそれらを輸送させる手筈を整えたのだ。
  一方で、輸送された希少鉱物を加工しなければならないが、それは時空管理局の工廠の他に、大型艦艇である〈シヴァ〉と〈ミカサ〉のみに備え付けられた、艦内の小型工作室を使う他なかった。この工作室は、以前の地球防衛軍戦艦〈ヤマト〉にも設けられていた設備だ。これは、本来外宇宙へ単独航行する故に必要性が求められた。さらには、幾度の戦乱で地球防衛軍の活動範囲も広がる一方であり、徐々にだが〈ヤマト〉と同様の工作設備能力を有する艦艇を建造することになる。
  その結果がブルーノア級と春藍級である。〈ヤマト〉程でないにしろ、外壁を取り換える為の小さな施設があるのだ。レティもそれを聞いた時には唖然としてしまったものだが。

「じゃあ、これをお願いね」
「了解しました」

  纏め終えた必要資材や鉱物のリストと、その補給ルートを作成した資料を部下に渡す。僅か数時間の間に、コンピュータの如くテキパキと仕事を割り振り、纏め上げてしまったのだ。デスクワークのプロでもある彼女の技量は、実に貴重なものであった。
  しかし、それが実現するまでには時間もかかる為、現在の地球艦隊は、艦内に貯蓄してある資材によって損傷した部分を補っているといた。大きな工作室を有する〈シヴァ〉や〈ミカサ〉ならまだしも、他艦艇では損傷個所を完全修理するだけの資材は確保できていない。戦闘や航行が可能なレベルにまで修復は出来ようとも、完全修理ともなれば、地球艦隊が有している備蓄資材は一瞬で底を着き、欠乏状態となってしまうのだ。
  そこでレティは、ミッドチルダと本局の資材管理庫に備蓄してある資材で、地球艦隊の求める資材と合致するものを、出来る限り地球艦隊へと回す手配をしたのだ。それで足りるかと言えば怪しいところで、どのみち輸送を必要とするであろう。それに、次元転移装置の設置作業の為に、時空管理局技術局の専門技師が早期改装の為の調査を行おうとしている。

(短期間でどれだけ出来ることか……)

  思わず、レティは頭を振ってしまう。
  それに資材を地球防衛艦隊に搬入するばかりではなく、逆に次元波動エンジンを受け入れる準備もしなければならなかった。当然ながら、先述したように波動エンジンを運用する為には、これまで時空管理局が使用してきた希少鉱物や貴金属の生成方法では、耐久精度に難が出てしまう。これを解消するには、提供してもらった資材データ等を活用して、自分らも同様のものを作らなければならないのである。
  本来ならば自ら法に触れる、御法度ではあるが、事態が事態だけに、フーバーが提案した応急処置として波動エンジンの搭載を認める方針になっている。レティとしても、長ったらしく法律改正を待つよりも、スピードによる決断と判断が大事だとして、彼の提案を素直に称賛した。
  なにはともあれ、時空管理局も何かしらの変革の時期を迎えているのではないかと、レティはコーヒーカップに手を伸ばして、冷めかかった黒い液体を口にするのであった。



  片や地球防衛艦隊の面々は、時空管理局から送られてくる資材の受け入れや、素材加工の為に余念がなかった。
  だが、如何に時空管理局が資材提供を認めたとはいえ、それが実現するまでに時間も掛かる。艦隊の修理と次元転移装置の並行作業も果たして円滑に進むものだろうかと、心配の念が堪えなかった。

「副長、SUSが迫る中で、次元転移装置の取り付けは間に合うでしょうか。艦隊の修理もありますし……」

  旗艦〈シヴァ〉にて、作業日程の調整中だったコレムに、思わず質問をするのはレノルド航海長だ。彼の心配は、他の者も同様であったが、コレムとしても、修理作業と次元転移装置の設置が間に合うかは、正直分からなかった。

「間に合うかどうかは、分からない。しかし、今は出来ることをするしかないんだ。ロウラン提督も、たった今、我々の艦隊の為に資材調たちルートを策定してくれたとの話があった。今足りない分は、本局の資材管理庫からも回すとまで言ってくれている。今日中に、管理局の技術者が来て調べてくれる手筈も整えてくれたんだ」
「皆の心配と不安は、私も同じだ」

  ふと機関長パーヴィス少佐が口を開いた。

「焦る気持ちも分かる。だが、今は辛抱の時……時期を待つことも、必要だろうて。副長が言ったように、今は、出来ることやって、必要とされた時に戦えるよう、万全の態勢を整えておこうじゃないか」

  年齢的に一番上となるパーヴィスに宥められた若い士官たちは、彼の説得に理解を示した。コレムとしても、パーヴィスに説得してもらったことで、大分心理的にも安心できたものである。
  ふと、丁度そこへ入って来た通信が、やや重くなりかけた空気を中和する。

「副長」
「ん、何か?」
「管理局の技術者が2名づつ、転移装置設置の調査の為に、各艦に乗艦するとのことです」

  どうやらレティが手配した技術専門の人間らしい。全艦艇の内部を視察し、そのうえで転移装置の設置方法を決めるのだ。

「了解したと伝えてくれ。後、全艦にも技術者が乗艦してくる旨を知らせてくれ」
「ハッ!」

  レティの手回しの速さに感心しつつも、コレムは全艦に技術者の受け入れを通たちさせる。同時に〈シヴァ〉へ乗艦する技術者の出迎えの為に、こちらも技術班と機関班のメンバーを招集させる必要があった。当然、各班のチーフでもあるハッケネン少佐と、パーヴィス少佐にも同席してもらわねばならない。そして、艦の責任者でもあるコレムもまた、立ち会う為に席を立った。

「私も立ち会って来る。しばらくここを頼む」

  そう言うと、コレムはハッケネン少佐とパーヴィス少佐を引き連れて、招集先の機械工作室へと足を向けて行った。機械工作室は〈ヤマト〉のように必要な部品を生産することが可能な施設であり、810mの巨体故に〈ヤマト〉以上に広い工作室のスペースを確保出来たのである。
  ただし、工作室で生産できるのは、修理用のパーツや、交換用の装甲板であり、弾薬の生産等は行うことはできない。
  工作室に入ると、既に案内されていた時空管理局の技術者2人が待っていた。

「待たせてしまったようで申し訳ない。私が当艦の副長リキ・コレム大佐です」
「本局所属で第二技術部主任、マキリア・フォード一尉です」
「フォード一尉の副官を務めるリリー・ネリス三尉です」

  中肉中背、やや長めの栗色の髪をした27歳の男性がフォード一尉であり、黒髪をポニーテールに纏めた21歳の若い女性がリリー・ネリス三尉である。どちらも年齢が若く階級も高い。

「では、こちらが当艦の艦内の図面です」

  コレムは気にせず本題へと移ると、〈シヴァ〉の艦内図を展開すると同時に、まずは転移装置というものがどんな代物なのかを知る必要がある。装置の取り付け説明がてら、まずは空間転移の大まかな仕組みから、フォード一尉が説明を始める。
  地球艦隊の全員が初めて耳にする、通称“転移”と呼ばれる移動方法。ワープ航法と異なり、これは通常空間と次元空間を行き来する為だけのものだ。ワープのように、通常空間内での長距離移動が出来ないのが、次元転移の特徴であるという。そして、問題となるのが、元々から転移装置を備えていない艦艇に、どのように艦内へ設置するかである。
  次元航行艦は主に魔力エネルギーを使って艦船を動かしているという。やはり魔法文明らしいエネルギー確保の方法かもしれないが、コレムにしてみれば未知のエネルギーだ。何かと設置作業は、難しいのではないかと思ってしまうのだが、別に波動エンジンから生じるエネルギーを使って、次元転移する事も可能だという。

「すると、その転移装置とやらは、何処へ設置するのがベストなんですか?」

  ハッケネンが気になり、設置場所の参考場所を尋ねる。

「どこでも良い、という訳はありませんが、やはり機関室が良いかと思います」
「機関室……か。その装置の大きさは、どれ程になるのですか?」
「さほど巨大な物でもありません。この艦の機関室の広さであれば十分ですし、他の艦の設計図を見せてもらいましたが、設置に差し支えはありません」

  パーヴィスとハッケネンの問いに、フォードが答える。どうやら装置の追加設置自体に支障は起きないようだ。
  ただし、装置の起動や操作は、大概が艦橋内部で行うことになる為、艦内の電装系を増設する必要があった。操作方法に関しても説明があるようだが、そちらは別に説明を受ければ良い。かつ次元空間と通常空間を行き来する為の座標データを、バックアップしてインストールする必要もあった。
  そこで、コレムは転移装置の取り付け作業に、どの程の時間を要するのかが気にかかり、作業時間をフォードに尋ねた。

「取り付けが終わるまでに、どれ程の日数を要しますか?」
「そうですね。何しろ43隻分の転移装置ですから……こちらも、装置だけを確保している訳はないので何とも言えません。ただ、こちらも技術班を総動員して、貴艦隊への転移装置設置を行います。同時に、そちらからも人手をお借りしたい」

  何せ艦内部の構造は、その艦にいる人間でなければ分からないことも多い。設置するだけして、後は全て丸投げという訳にはいかないのだ。そこは艦の作業員の手も借りて、伝送系統などの増設を調整せねばならない。装置自体においても、43隻分も在庫を抱えている訳ではなく、直ぐに底とついてまう。
  だが、ネリスの言うところでは、時空管理局本局の工廠をフル稼働させることで、新たな装甲板の生産と共に、転移装置を設置するための細かいパーツを緊急生産しているとの話であった。

「それは有り難いです。しかし、装甲板は……」
「大丈夫です。レティ提督のご指示により、コレム大佐から送られた資材リストから選び、緊急生産を始めております」

  ハッケネンの多少の不安にフォードが答える。どうやらコレムの送った希少鉱物リストのものが、本局の資材管理庫の中に残っていたらしく、応急的に装甲板材料を造っていた。ここから、地球艦隊の技術部の手により再加工され、完全な装甲板として完成するという。だが、この裏には時空管理局の技術盗用を密かに恐れていたという節もあった。
  装甲板は早くても5日後には順次出来た分だけ港まで運ばれてくるという。それを全て手直しをして、装甲板にし補強を完了させるまで、凡そ2日は必要らしい。
  全部で凡そ1ヶ月近くを要することになるのだが、それくらいの時間は有に掛かるであろうことは分かり切っていた。何せ地球連邦でしか使用しない希少鉱物を使用した装甲を作ろうというのだ。そして、肝心の転移装置は全艦艇に取り付け終わるまで、推測で凡そ2週間は要するであろうとの話であった。その間に、SUSが来ないことを祈るしかない。
  全ての話を聞いたコレムはフォードとネリスに礼を言う。

「分かりました。では早速、こちらも受け入れ態勢を整え、装置の取り付けの準備をしましょう」
「了解しました。小官ら管理局も、生産と配置を急ぐようにします」

  取り敢えず作業の中身を確認出来た。細かい詰めに関しては実際に作業しなければわからないであろう。話し合いを終えた2人が、案内のクルーに連れられて下艦して行く。
  〈シヴァ〉のタラップを降りたフォードとネリスの2人は、案内してくれた地球防衛軍兵士に敬礼をしてから、その場を離れていく。港のフロアに入る手前で、フォードは歩みを止めて、ふと振り返って地球艦隊を一瞥した。
  彼の目に映る旗艦〈シヴァ〉。次元航行艦船以上に強固かつ頑丈な甲冑を身に纏った蒼き巨人であり、美しくも気高いイメージを与える蒼い塗装。そして、天守閣の様に聳え立つ艦橋部分からして、次元航行艦船とは一線を越していた。埋没式艦橋を採用しているだけに、非常に新鮮なものに見える。そして、敵艦を撃砕するには十分な砲塔の数々も目を引く。
  時空管理局の次元艦船では、絶対に見られない風格と迫力だ。これを時空管理局の技術人が造ろうとしても、そう簡単に造れる代物ではない。こんな戦闘艦を造るには、地球防衛軍からミッチリと技術を伝えてもらわねばならないだろう。
  ともかく、次元航行艦では太刀打ちできないのだ――フォードは艦の内外からヒシヒシと感じ取っていた。

「〈シヴァ〉……次元航行艦とは、段違いだ。上層部のお偉いさんには、実際に見ても分からんかもしれんがね」
「我々の設計した船など、地球艦隊からすれば玩具に過ぎないのでしょうね」
「玩具……か。中々に辛辣な評価をするね、ネリス君」
「私は事実を言っているまでです。現実逃避しても事実は変わりません。現にSUSと戦っても、勝てなかったではないですか」

  若い女性局員ネリスは、淡々として自分らの艦船を辛く評価する。次元航行艦以上に強力な艦船と、真面に戦ってこなかっただけに、次元航行艦の性能は外世界に比べて数世代分遅れていると言っても過言ではないのだ。
  フォードは肩を竦める程度で、ネリスの痛烈な評価と論評について気にはしていない。彼自身も彼女の言うことには十分に理解していたからだ。自分らの船ではSUSに勝てない。かつて、ガミラス戦役で地球防衛軍が体験した、自軍と相手の戦闘艦の性能差を感じたように、2人もまたそれを実感している次第だ。
  彼らの所属している第二技術部は、次元航行艦の設計開発を行う専門の部署である。実を言えば、先日起工したばかりの最新鋭艦SX級次元航行艦の設計開発も、彼ら第二技術部が受け持っていたのだ。設計から建造の間まで、第二技術部の局員たちは絶対なる自信を持っていた。
  それが瞬く間に打ち砕かれたのが、SUSの出現であり、その戦闘の結果でもあったのだ。時空管理局の象徴とも言うべきSX級1番艦〈ラティノイア〉が、一気に三流の艦船へとなり下がった時の衝撃は、開発担当者にとってただ事ではなかった。それでもなおSX級〈ラティノイア〉は、新たな時空管理局の総旗艦として就役したのだ。厳密にいえば、就役せざるを得なかったとも言えるが。
  だが性能不足は避けられぬ問題であり、実戦経験すらない本艦が科学技術でも劣勢なのに、どれ程にしてSUS相手に戦えるのだろうか、との不安は消えなかった。

「さて、我々も転移装置の開発に扱ぎ付けないとね」
「そうですね。時間は余りないですから」

  そう言ってフロアに入り、そこから自分らの分室へと向かうのであった。



  負傷者の搬送が終わってから約10日が経過した頃、医療局の治療室内部の様子はほぼ落ち着いていた。元々、地球防衛艦隊の医療班によって、負傷者全てが的確な応急処置を施していた為に、時空管理局側としての大がかりな処置は不要であったのも大きな要因だった。
  それでも時空管理局における医療魔導師を中心とした治癒魔法により、回復力に拍車を掛けることが出来た。如何に科学文明が進んでいるとはいえ、治癒能力については、魔法文明の方が幾分か進んでいるといえよう。もう数日もしないうちに、大半が動けるようになるであろう。
  だが、大半が治癒が進んでいる中で、一番容態の想い重傷者が1名程いた。それが参謀長ラーダー少将だ。骨折の挙句に内出血等の大怪我を負ってしまい、意識も中々回復しないからだ。
  この医療局治療室にて、魔導師の治癒魔力を使った結果、一命は取り留められたという。“風の癒し手”と称されるシャマルも、流石にこの患者の様態には焦りを見せていたようで、緊張感が抜けないでいたという話だ。
  今や殆どの仕事を終えたシャマルは、消費した薬品関係の補充の纏めを行っている。供給すべき薬品のデータを纏める為にデスクに向っており、手際よく処理している。時折、患者の容態も厳重にチェックを入れながらの作業だ。供給先には地球防衛艦隊も含まれており、一応、地球防衛艦隊の地球人にも薬品は適応することは確認済みだった。供給量も的確に決めておかねば、医療局の薬品在庫も尽きてしまう可能性がある故、注意してみておく必要もあった。
  書類整理の最終段階に入った時、ふと彼女の作業デスクの通信端末に通信が入った。
  それは、彼女の主たる八神はやて二佐だ。

『忙しかったら悪うな、シャマル』
「そんなことないわ。はやてちゃん」

  守護騎士は全員で4名おりそれぞれの、はやてへの呼び方は様々だ。“(あるじ)はやて”と呼ぶ者もいれば、単に名前だけで呼ぶ者もいる。シャマルの場合は、ポジティブに“ちゃん”付けする形で、はやてと会話するのが日常であった。ほんわかなイメージの強いシャマルと、はやての間は、なかば仲の良い姉妹という所であろう。

『地球艦隊の患者さんたちの様子は、どうなん?』
「えぇ、皆命に別状はないわ。最初に引き取ってから10日くらい経つけど、後4日後には動けるみたい」
『凄いわなぁ。それ程早く回復しておるん?』
「そう。何かも、地球防衛軍の医療処置が早かった御蔭ね」

  通信越しで感心する様子のはやて。彼女も地球艦隊が戦闘面だけでなく、医療に関しても高レベルなのが伺えている様子だ。

「はやてちゃんの方は、何か動きでも?」

  その問いに対して、はやては力なく首を横に振った。当然と言えば当然であるらしい。ここ近日の戦闘により、時空管理局の活動がより消極的になりつつあったのだ。SUS艦隊と遭遇した場合、時空管理局次元航行部隊に勝ち目は無いのは当然だが、地上部隊でさえも手も足も出ないという事実が判明して以来、無暗な探索活動は抑えられてしまった。
  執務官の資格を持つはやてとフェイトらも、その影響のとばっちりを受けてしまい、管理世界へ赴いての調査活動が不可能となってしまったのだ。それからというもの、遠い世界へ飛び立つ事も無くして、半ば書類整理関係ばかりを続けている次第だ。上層部の様子も詳しくは聞いていない。

『まぁ、先日やった交渉会談で、地球艦隊との間で話が成立したみたいやし、SUSと何とか対抗出来る言うてるらしいわ』
「問題は、その敵襲に間に合うか……という所みたいだけど」
『そうやね。地球艦隊の修理には多くの資材が必要や言うてるし、その為の資材も各管理世界から調たちせなあかん話や。それに、地球艦隊が自由に次元空間を行き来する為の次元転移装置を取り付ける言うとるから……まぁ、相当な時間は掛かるやろうね』

  そこまで話すと、シャマルの下へ新たな薬品資料を運んで来た女性局員が姿を見せる。シャマルはそれに気づいて、はやてとの通信を終わらせた。
  再び作業デスクに向いて資料を纏め上げ始めたのだが、作業中、シャマルは今回の戦争で大きな不安を感じていた。これまで、彼女と歩んできた仲間たち――守護騎士団は、数百年以上もプログラムとして活動してきた存在だ。勿論、これまでの経験で、血なまぐさい時代に合って、血の流れる争いも数多く経験してきた身である。御淑やかなシャマルでさえも、その現場を目にしてきている。そこで感じているのは、戦争で良い事など1つもないという事実だった。彼女のみならず、仲間の殆ども身に染みて理解していた。
  そして今回の戦争は、過去の経験を遥かに上回る規模の血の量が流れると言っても過言ではないだろう。次元空間や宇宙空間を往来する事の出来る、しかも科学文明が高度に進んだ戦闘艦が、大軍を持って来襲してくるのだ。今の時空管理局で、本当の意味で、生死を掛けて、なおかつ勇気を持って戦える人間は、幾らほどいるか。JS事件で過酷な戦闘を潜り抜けて来た、高町なのは、フェイト・T・ハラオウンでさえも、血の海が出来る程の戦闘は……正気でいられるか心配にもなる。
  いや、それ以上にしてシャマルを不安にさせたのは、ヴォルケンリッターとして、主はやての命と、仲間たちの命を守り切れるかということだ。ヴォルケンリッターもまた、どちらかと言えば個人同士の戦闘で大いに戦闘力を発揮するもの。戦闘艦を相手に戦える訳では無いのだ。

(私たちは、はやてちゃんや、他の人たちを護り切れる?)

  彼女は自問自答した。24時間、はやてや仲間たちに付き添っている訳ではないうえに、己の身さえ守れる保証はない。この戦争で生き残るだけでも、大変なものとなるのではないか。思わずデスクで書類を書いていた手が、不意に止まってしまう。

(いえ……絶対に護るのよ)

  自分たちの身を犠牲にしてでも、護らねばならないのだ。彼女は、徐に自身のデバイスを手に取りながら、決意を固めたのである。
  だが、その様な決意をあざ笑うかのような出来事が発生した。2日後になって、管理局は2度目の、最悪の報告を聞くこととなった。


――第八管区拠点、攻撃を受ける――



  まだ地球防衛艦隊とは、本格的な協力体制に向けた調整に入り切れていない状況にあって、新たな管区拠点陥落の報告は、時空管理局の士気を一気にゼロにまで下げたのは言うまでもなかった。マルセフやコレム等、地球艦隊の面々からしても、先日の第九管区拠点の陥落から4日〜5日しか経っていない状況で、早い攻撃ペースだと感じざるを得なかった。
  この調子では、3ヶ月前後には全ての拠点が落とされても不思議ではない。だが管理局の上層部は、危機を前にして対策を練ろうとしても、纏まりがなかった。リンディが危惧したように、各管理世界の住民たちの反発があるからだ。緊急会議で決定的な解決策を出せぬまま、結局は各管区拠点の防衛を行い続けることとなる。



  視点は変わり、此処は天の川銀河。それは、紛れもなくマルセフ司令らの生まれた世界の宇宙空間だ。次元空間の様な色が入り混じった様な所ではなく、様々な恒星の輝きが散りばめられ美しい宇宙パノラマを作り上げる大自然だ。
  しかし、普段は穏やかな筈の宇宙空間は、静寂に包まれることなくして、とある国家同士の艦隊同士が激戦を繰り広げている真っ最中だった。それもまた人間の行う些細な出来事として、星々は哀れみの目で見降ろしている。
  赤く染まったように見えるその宙域の名を“ウエスト恒星系”と言うが、この星系には、地球連邦所属の航宙艦隊――地球防衛艦隊があった。それと並ぶように宇宙空間を進んでいるのは、昔ながらの帆船を連想させるような艦体構造を持った、大昔のガレー船をモチーフにしたような艦船群である。つまりはアマール国の宇宙艦隊だ。
  もう1つの艦隊は、大理石の様な独特の外装と外観を持った艦隊――エトス国の宇宙艦隊の姿もあった。
  地球艦隊、アマール艦隊、エトス艦隊と真正面から向き合っているのは、大ウルップ星間国家連合に与している国家の1つ、フリーデ国とベルデル国の宇宙艦隊が、それぞれ前衛に並んで立ちはだかっている。そして、彼ら艦隊の後背には、連合国代表SUSの艦隊が並んでいた。
  ウエスト恒星系に進行してきた地球・アマール・エトス連合艦隊の異様に、フリーデ艦隊と、ベルデル艦隊の将兵らは困惑した。

「アマールは、何故、大ウルップ連合を離脱したのだ?」

  フリーデ艦隊総旗艦〈バルカスカ〉の艦橋で、大型スクリーンに投影されている連合艦隊を訝し気な表情で見つめていたのは、フリーデ軍航宙機甲艦隊総司令官ランザック・バルカー提督(大将)だった。
  フリーデ宇宙軍の機甲艦隊総司令官である彼は、このウエスト星系防衛の為にSUSから出撃要請(・・・・)を受けていた。もっとも、幼生ではなく事実上の命令であり、フリーデ政府にこの要請を蹴る程の自信は存在しなかった――反発心は総統に根強いものだったが。
  片や、通信端末に割り込んできたのは、バルカー提督も良く知る人物だ。

『分からんでもない……本当は、提督も分っておろう。あのエトスも連合から離脱したのだ』

  相手の事情を察して答えたのは、ベルデル軍航宙機動艦隊司令長官ギャラメット・スペンサール提督(大将)である。彼もバルカー提督と同じく、SUSの圧力に屈した政府の命を受けて、渋々出陣してきたのであった。

「まぁ……な」

  言わずもがな、バルカー提督は、スペンサール提督の言わんとすることを理解している。これまでのSUSの行いは、当然、彼らも知るところである。本当なら、政府には見切りを付けてもらって、SUSと決別してもらい処なのだが、如何せんSUSの軍事力には敵わない実情があった。下手に反旗を翻そうとすれば、たちまち他の連合参加国を引き連れて、処刑と言う名の殲滅行為の洗礼を受ける。
  つい先日も地球人を受け入れたとしてアマール国が、SUS艦隊の洗礼を受けていたことも知っていた。「地球人とは、大ウルップ星間国家連合を脅かす侵略者である」とSUSが公表していたが、その実態は大きく屈折させられていたことも、フリーデ国とベルデル国も気付いていた。
  故に、両政府は口を揃えて――

「地球艦隊から受けた損害が大きい為、しばらく出撃することはできない」

  とSUSの増援要請を退けたのである。無論、嘘は言っていない。
  フリーデとベルデル各艦隊は、互いに600隻近い主力艦隊を保有していたのだが、第三次移民船団との戦闘において、地球艦隊の思わぬ屈強な抵抗に逢い、各陣営は少なくて3割、多いもので5割近い被害を受けてしまった。予想外の損害を受けたフリーデ艦隊とベルデル艦隊に余裕は無かった。まして、第二次移民船団の際には、派遣した艦隊が丸ごと喪失してしまったのだから、両国の損失は大きかった。まして、民間人の虐殺など、手を貸したくもないのが本音であったが。
  SUSは、それを敢えて黙認した。何故ならば、SUS艦隊もまた予想外の損害を被っており、下手に反旗を翻されては面倒極まりなかったのだ。無論殲滅してやれないことは無いが、地球艦隊という面倒な存在もあったことから、一先ずはこちらを先に片付けてしまおうとしたのであった――結果は無残にして崩れ去ってしまったが。派遣したSUS艦隊はエトス艦隊の特攻戦によって大損害を被ってしまった挙句の果てには、旗艦〈マヤ〉をも失ってしまったのだ。
  そして、この大虐殺を機に地球艦隊並びに地球連邦政府は、SUSを危険な国家として位置づけ、宣戦布告を決議したのだ。同時にアマール国も地球連邦政府もとい、第三次移民船団護衛艦隊総旗艦である新生宇宙戦艦〈ヤマト〉と、かつて戦術長を務めていた古代進艦長の強い意志に突き動かされ、反旗を翻したのだ。
  アマール国は、妥当SUSを掲げる地球艦隊の出撃に合わせて温存されていた防衛艦隊を出撃させると、SUS第七艦隊の本拠地でもあるSUS要塞へと進行してきたのだった。
  更には、アマール国が同調しただけではなく、エトス艦隊司令官ゴルイ提督の決断に触発されてか、エトス国政府も堂々と反旗を翻した。エトス国もSUSのやり方に強く反発しており、しかも民間人を巻き添えにした戦闘に加担させられたことも相まって、正式に立ち上がったのである。
  大ウルップ星間国家連合も崩壊に向かいつつある中、フリーデとベルデルに対し、今度ばかりは要請を無視させんとばかりに、SUSは脅迫染みた内容で、この防衛戦に参戦させたのだ。
  だが、母国を空にすることも出来ず、最低限の艦隊を残しての出陣となった。



U




「これまでのツケだな」
『そうかもしらん。我々もどうすべきか、腹を括らねばならんぞ』
「……」

  スペンサール提督の意味深な言葉に、バルカー提督は口をつぐむ。分かっているのだ、このままSUSの悪行に手を貸し続けるか、決別して真の平和を握る為に戦うか。離脱して静観するという選択肢だけは無い。何故ならば、SUSとの決戦で静観する立場を取れば、地球とアマール、そしてエトスから見れば、漁夫の利を狙おうとする卑怯者としてレッテルを張られる。SUSが勝てば、間違いなく裏切り者として制裁どころか殲滅されてしまうからだ。
  いっそのこと、自分らの立場を、SUS寄りか、地球寄りかに決めるしか道はない。
  だが、彼らの政府がそれを良しとしておらず、現場の独断行動で動く訳にはいかない。現状では、SUSの同盟国として、反逆国アマールと、侵略者地球を撃ち滅ぼさねばならないのだ。

(お偉方の方針は、あくまでも『SUSに従え』だ。だが、それで良いのか? こんな機会、もう巡っては来ないぞ)

  指揮官席で拳を握りしめるバルカー提督。制裁与奪を欲しいままにして来たSUSとは、決別すべきなのだと思うが、動けない自分の立場に苛立たしくもなる。

『貴官と同様の気持ちだが――』
「敵艦隊、射程圏内に入ります!」
「……聞いての通りだ、スペンサール提督。もはや、後戻りはできん」
『あぁ……再会出来ることを、楽しみにしておるよ』

  政府から連絡がこない以上、フリーデ艦隊もベルデル艦隊も、SUSに加勢するほかない。何せ、自分らの星にいる市民の生命がまずは第一なのだ。好きでSUSに加勢している訳ではないし、地球艦隊らに恨みがある訳でもないが、戦うしか選択肢はなかった。
  そして、この決戦で指揮を執っている地球艦隊司令官古代進中将は、旗艦〈ヤマト〉の艦長席に座り、目前に立ちはだかる星間国家連合軍の様子を伺っている。かつて戦術長や艦長を務めた古代は、16年前に自沈した〈ヤマト〉が復活するに辺り、今回の移民船団護衛の任を引き受けたのである。
  ブラックホール近海で敵の攻撃を受けたものの、彼は移民船団を離脱させることに成功。護衛艦隊は3倍もの艦隊を相手にしつつも、50隻ばかりの損失で済まされた。そして目的地へ到着した早々に、古代は司令部へ以下の電文を送ったのである。

『第三次移民船団、移民船6000隻、護衛艦162隻、アマールに到着する』

  これは第二次移民船団が消息を絶ってから、凡そ32日後のことであった。
  だが到着したからと言って、安堵できる状況下にはなかった。本当に安堵できる状況にする為に、古代はSUSと決戦を行って勝利しなければならないのだ。これが地球とアマールに、本当の平和を獲得させる為の選択だと、地球連邦政府も決意したのだ。
  そして今、地球艦隊、アマール艦隊、エトス艦隊が合流した連合艦隊が結成されたのである。
  戦力は次の通り――。
  地球連合軍は、地球艦隊162隻、アマール艦隊200隻、エトス艦隊154隻、合計514隻。
  SUS連合は、SUS艦隊753隻、フリーデ艦隊147隻、ベルデル艦隊198隻、合計1098隻。
  ――ほぼ二倍の戦力差を付けられており、事実上、SUSだけでも地球連合艦隊を蹴散らすことはできた……のだが、例の波動砲という厄介な兵器を有している地球艦隊には、警戒せずにはいられなかった。これのお蔭で、SUS第七艦隊は2000隻近く誇っていたものの、第一次移民船団襲撃時に拡散波動砲の影響で、一度に600隻以上が消し飛んでしまったのだ。さらには意外と粘られたこともあり、損害はかさみ続け、エトス艦隊との戦闘でも損害を出し続けたのである。
  故に、SUSは弾避けとして、フリーデとベルデルを呼び寄せたのだった。
  そして、SUS連合艦隊の背後に控えるSUS要塞では、大柄なSUS人が忌々し気に地球連合艦隊を睨み付けている。

「猿どもが、いい気になりおるわ」

  SUS天の川銀河方面軍総司令官バルスマン大将は、地球人とアマール人、エトス人らを猿と呼び吐き捨てた。これまでに予想を覆す動きを見せてきた地球艦隊を憎たらしく思いつつ、俄然とした態度で地球連合艦隊との決戦に臨んだ。
  だが、戦況は悪い方向へと傾きつつあった。

「総司令、敵艦隊が進撃してきます!」

  序盤戦で地球連合軍は、艦載機による反復攻撃に加えて、一気にSUS連合軍の陣形を早々に突き崩しに掛かって来たのだ。

「フリーデ、ベルデルは、我が前衛部隊と共に、敵艦隊を包囲殲滅せよ。数に勝る我らだ、一気に身の程知らず共を葬り去れ!」

  命令を受けたSUS前衛部隊と、フリーデ艦隊、ベルデル艦隊も動き出す。SUS連合軍左翼に位置していたフリーデ艦隊は、地球連合軍右翼にいたアマール艦隊と対峙していた。
  対峙しているアマール艦隊旗艦アマーリウス級〈アマーリウス〉の艦橋では、40代後半のアマール人司令官が檄を飛ばす。アマール国の軍人であり、国民同様の浅黒い肌が特徴の、アマール艦隊総司令官ラウジ・パスカル将軍(大将相当)だ。彼は今まで、SUSによる制裁を恐れ、国民の安全を第一と考えてきた。同時にSUSという存在がいる限り、本当の平和の下で暮らす事は叶わないと悟ってもいた。
  ところが、SUSのやり様に大きく反発し、対抗すべく立ち上がった、地球軍の司令官古代ら地球人の立ち向かう姿と、戦死したゴルイを始めとするエトス軍、そして女王の決断により意を決して艦隊を率いたのだ。
  そして今、かつての星間国家連合の同盟国だったフリーデ艦隊と一戦を交えようとしている。パスカルとしては、流血を望んではいなかったこともあり、失敗前提で説得に掛かった。

「こちら、アマール軍司令官パスカル。フリーデ軍将兵に継ぐ。SUSがどの様な残虐にして非道な行いをして来たかは、十分に知っている筈だ。そして、もはやSUSあっての平和など有り得ないことも。今こそ、SUSと袂を分かつべきではないか」

  すると、数秒の後に返信が来た。
  それは、フリーデ軍総司令官バルカー提督だった。

『フリーデ軍総司令官バルカーだ。久しいな、パスカル将軍』
「提督、貴方もSUSの悪行をご存じのはず。SUSに大義などありませぬ。ここは――」
『……言わずとも、貴官も分かっておろう?』
「……」

  それ以上にバルカーが言わなくても、パスカルには分かっていた。彼は聞き分けが悪い訳ではなく、理解力のある軍人だというのはパスカルも良く知ってはいたが、彼だけの独断で動けないのだ。それを承知のうえで説得したが、やはり動けないのである。

『それではな、パスカル将軍』

  短いやり取りが終わり、バルカーの方から通信が切られる。
  こうなれば、もはや戦うしかない。最初から分かり切っていたことではあろうが、パスカルも直ぐに気持ちを切り替えた。

「アマール軍全将兵に告ぐ。これは、我がアマールの未来も掛かった決戦である。躊躇うな、正面の艦隊は敵として認識し、全力で戦え。良いな、躊躇うな。躊躇えば明日は無いと思え!」
「将軍、敵艦隊が前進してきました」
「向こうから来たか……予定通り、敵を引っ張るぞ。敵との距離を保ちつつ後退!」

  アマール艦隊は、戦艦級と巡洋艦級があり、基本設計は地球世界で言う“ガレー船”の様な外見をしている。艦尾には、操舵用のスタビライザーが腹鰭のように一対あり、艦橋は艦尾寄りに設けられていた。特に艦首下部は巨大な衝角(ラム)らしき物とが特徴の1つであると言えよう。
  旗艦級戦艦アマーリウスは、パスカルの座乗する大型戦艦で、外観はほぼ変わらないものの全長320mと小さめになっている。最大の特徴は、艦首船端にある光子帆だろう。まるで半月型のサーベルの様な大型のもので、非常に強力なシールドを発生させることが可能である。
  アマネイル級戦艦と呼ばれる主力戦艦には2種類あり、攻撃重視型のA型と防御重視型のB型がある。
  A型は甲板の中部辺りに2基づつ並列配置した三連装主砲塔が4基12門、その主砲群に囲まれるようにして1門の大型主砲塔が備えられている。他にも舷側部には、埋め込み式の単装副砲が艦首から艦尾まで直列に並んでいるのだ。その舷側部の副砲群がすれ違いざまに乱射して相手を沈めていくのだ。
  B型と称されるアマネイル級は、A型と設計も何もかもが同じだ。違うのは、A型にある大型の単装主砲塔を撤去し、その代わり艦首甲板に巨大な光子帆(帆というよりはサーベル形状に近いが)と呼ばれる、強力なシールド発生装置を装備していることである。これは波動防壁に匹敵する強固なもので、敵艦隊の砲撃をこれでかわしつつ、アマネイル級A型が大型主砲で敵艦を狙撃する戦法を主流としているのだ。
  アリウス級巡洋艦は、戦艦をサイズダウンさせたようなもので、三連装主砲塔2基、大口径砲塔を1門備えている他、マストミサイルを2基、副砲も揃えていた。オールマイティに動き回る、アマール艦隊のワークホースだ。
  フリーデ艦隊は、総司令官バルスマンの指示通りにSUS前衛部隊と共に前進し、アマール艦隊を包囲せんと攻撃に出る。

「全艦隊、敵右翼のアマール艦隊を片付けるぞ。敵に砲火を浴びせつつ、味方の艦隊と連携して半包囲を敷く」

  数的に劣るもののSUS艦隊もいる為、全体的には圧倒的優位だ。バルカー提督は、先端にビームとミサイルによる集中攻撃に叩きつける。手数重視のフリーデ艦隊から、次々と発射されるビームとミサイルが、アマール艦隊の先頭集団に降り注いでいった。
  だが、アマール艦隊とて、負ける訳にはいかない。これまで弱小国と見下されてきたが、今こそ、アマール艦隊の戦闘力を見せつける機会なのだ。

「シールド最大!」

  アマネイル級B型で構成された戦艦戦隊が前進し、光子帆による強力なシールドを展開する。これによりビームとミサイルの双方を弾き逸らしていく。その隙に、今度はアマネイル級A型で構成された戦艦戦隊が、隊列の隙間から大型単装ビーム砲で狙撃する。防御と攻撃の双方を完全に切り分けた組み合わせは、如何なく力を発揮し、フリーデ艦隊の先頭集団を逆に撃ち減らしていく。
  意外な戦闘能力に、バルカー提督も驚きを禁じ得なかった。

「食えぬ国だな。よもや、あのような戦闘能力を有しているとは……」

  思わず苦笑するバルカーだが、直ぐに思考を切り替えて、アマール艦隊を包囲下に置こうと前進を速めた。
  反対側の戦場では、エトス艦隊とベルデル艦隊が向き合い、既に戦端を開いていた。

「エトスの武勇は知っているが、中々に手強いな。SUSが敗退したのも頷けるものだ」

  ベルデル艦隊旗艦ベルデレス級〈スペンデラル〉艦橋にて、スペンサール提督はエトス艦隊の戦闘力の高さに感心していた。艦載機技術については、エトス艦隊は脅威などないのであるが、対艦戦闘に置いては同盟国の中でSUSに並び高いと称されている。ベルデル艦隊の兵装は、単発式の単装ビームで、威力は決して低くは無いものの、エトスと比較すると劣るのは否めない。
  ならば、得意の艦載機戦隊でエトス艦隊を削り取ってしまえばよいと考えていたが、地球艦隊の艦載機隊が割り込んでしまい目論見は外れてしまった。

「地球の艦載機も凄まじい……これは、うかうかしておれん。中堅と左翼に遅れるな、我が艦隊も前進して敵艦隊を半包囲する」

  徐々に前進するベルデル艦隊に対して、エトス艦隊も巧妙に後退を始めて包囲させない構えを取っていた。
  エトス艦隊旗艦シーガル級〈ヴィーガル〉艦橋で、エドラ・ヴィアン中将は後退しつつも気迫は猛将の如き勢いで、ベルデル艦隊を逆撃する。接近してくるベルデル艦隊に向けて、得意の大口径ビーム砲の斉射で牽制しそれ以上近づいてくれば中距離砲の連射で蜂の巣のするのだ。

「本命はSUSだ、ベルデルを相手に下手な被害は出すな。時期が来たら一気に畳みかける!」

  血気盛んなヴィアン中将は、戦死したゴルイ元帥の跡を継ぐ形で、艦隊司令官となっている。指揮官としては上々なのだが、一方で戦略眼に欠けてしまう傾向もあり、典型的な戦術指揮官だった。それでも、確かにベルデル軍の後退より早く食らい付いて、多大なダメージを与えていった。
  これにはスペンサールも苦々しい表情を作らざるを得なかった。

「突撃が十八番だと思っていたが、どうして中々、エトス軍は後退戦も巧みだな」

  両翼でアマール艦隊とエトス艦隊が果敢に抵抗しつつ後退するのと同時に、中央でも地球艦隊とSUS艦隊の激しい砲火の応酬が繰り広げられていた。砲撃能力の高いSUS戦艦の戦闘能力も侮れはしないが、地球艦隊の火力の高さも引けを取らない処か、上回ってすらいる様に思えた程だ。
  またSUS艦隊は、地球艦隊に波動砲を撃たせまいとして、一気に前進を掛けて距離を縮めに掛かったのだ。
  だがしかし、地球艦隊の火力投入が、SUS艦隊のそれを上回った。旗艦〈ヤマト〉を筆頭にして突撃する地球艦隊は、SUS艦隊の矛先をものの見事に砕いてしまったのである。ショックカノンや、時折放たれる重力子スプレッドにより、SUS艦隊の艦列は完全に引き裂かれていった。

「地球艦隊、アマール艦隊、エトス艦隊、いずれも後退の速度を速めました」
「ふん、いきがった割には、臆病風に吹かれたと見える……」
「バルスマン閣下、敵は距離を置いて、例の兵器を撃つつもりではないかと」
「なにぃ……?」

  要塞司令部にて、後退して距離を開こうとする地球連合艦隊の動きを懸念したのは、第七艦隊司令長官メッツラー中将だった。彼の予想に対し、バルスマンも「一理あるな」と思い返した。

「成程な。ならば、撃たせる暇を与えずに、撃滅してやるのだ」
「承知しました。艦隊に命令、敵艦隊の距離を空けずに、一気に包囲殲滅せよ!」

  メッツラーの命令で、さらに加速を始めるSUS連合艦隊。
  だが、それこそ地球連合艦隊の思う壺であった。

「敵前衛艦隊、艦列を崩しつつも前進を止めず、さらに加速。後方の艦隊も前進」

  旗艦〈ヤマト〉第一艦橋にて、10代後半の金髪のロングヘアをした若い女性士官が報告する。船務長折原真帆(おりはら まほ)中尉で、彼女は電算システムの申し子と称される程の天才プログラマーだ。
  戦況スクリーンには、両軍のアイコンが示されており、赤色のSUS連合艦隊が、青色の地球連合艦隊を半ば半包囲しようと前進して艦列を広げつつあった。明かな包囲殲滅を企図したものだと分かった。
  その敵の意図がはっきりすると、今度は40代半ばの男性士官が口にもらす。

「敵の半包囲が明らかになった以上、好都合ですな」

  〈ヤマト〉副長大村幸作(おおむら こうさく)二佐は、敵の意図を察しつつも古代の方を見る。彼は3年余りの輸送船勤務で、古代を支えて来たベテランクルーだ。防衛軍に長らく居たが、3年前に輸送艦隊に転属となり、同じ配属となった古代と共に宇宙の海を渡り続けていた。
  SUS連合艦隊が、半ば引きずり出されるようにしてSUS要塞から離れていったのを確認する古代。これ以上離し過ぎては、警戒されて逆に後退されてしまう可能性もある。この時を逃してはならない。

「後衛のSUS艦隊、フリーデ艦隊とベルデル艦隊のさらに外側へ回り込み、艦列を伸ばす模様」
「……よし、中央突破だ。全艦隊凸形陣を取れ! 敵艦隊を突破したのち、敵と要塞の間に割り込み退路を遮断する!」

  古代の命令は各艦隊に飛び、受け取った各艦隊は直ぐに凸形陣へ陣形を再編し、後退から前進へと急に切り替えたのだ。包囲する為に陣形を左右の薄く延ばしつつあるSUS連合艦隊に対し、中央突破を仕掛けるが、真に狙うはSUS連合軍の背後に陣取っている直径3qの要塞だ。
  その前に、中央突破で敵艦隊の背後に回り込み、半包囲を敷くことで退路を遮断しようと考えた。上手くいけば、後背から大打撃を与えることもできるだろう。その後に、SUSの本拠地である要塞へ突入するつもりであったのだ。

「よし、アマール軍、全艦突撃だ!」
「エトス軍全艦、突進せよ。敵に突撃の何たるかを刻み付けよ!」

  地球艦隊の突撃い合わせて。アマール艦隊とエトス艦隊が、目前の艦隊に向けて加速を始めた。
  数に勝るSUS連合艦隊は、地球連合艦隊の強力な火力の投入と進撃速度を受け、包囲態勢に敷く前から艦列を大きく乱してしまった。そこへすかさず突入する地球連合艦隊。乱戦時には主砲と副砲だけではなく、機銃座までもが敵艦へ向けて発砲し、表面装甲をハチの巣に変えてしまう。
  大方どの艦隊も砲撃戦に長けており、威力を如何なく発揮させていた。

「如何、出過ぎたか……無理に通すまいとするな、受け流すのだ!」

  フリーデ艦隊司令官バルカー提督は奥歯を噛みしめ……。

「下手に艦列を詰めてはならん。突破したいのならさせておけ!」

  ベルデル艦隊司令官スペンサール提督も、誘い出されたと後悔しつつも損害を抑えようと命令を発する。
  逆に中央に位置していたSUS前衛部隊は艦列を広げようにも、左右にフリーデ艦隊とベルデル艦隊がいる為、下手に艦列を伸ばすことが出来ず、しかも反射的に密集して、強引に壁を作って突破を阻止せんと待ち構えて来たのだ。
  だが、地球艦隊の砲撃の一点集中砲火は強力で、如何な数を利用した厚い壁を築こうとしても無意味であった。まして密集するだけに、被弾してコントロールを失った戦艦が、別の戦艦に激突する事態にまで発展する始末である。無秩序と化したSUS前衛部隊や、敢えて突破を許すフリーデ艦隊とベルデル艦隊の様子は、要塞司令部の知るところだった。

「えぇい、不甲斐ない連中め、何をやっとるのだ。メッツラー、猿共の最期はいつ見られるのだ?」
「ハッ。生かしておいても、何ら役に立たぬ者どもには、ハイパーニュートロンビーム砲をもって殲滅し、一掃致します」
「……ふん、良かろう。ハイパーニュートロンビーム砲の発射を許可する」

  ハイパーニュートロンビーム砲とは、SUS要塞の周囲を護る5隻の巨大な防御船に備わる兵装である。この防御船は全高が極めて高く、全高3qに届かんとする規模と誇った。そして、長大かつ巨大な砲身が一体化しており、使用時には“ししおどし”の様に砲身が水平方向に大きく傾き、後は防御船事態で左右の角度を調整するものだった。

「お言葉ながら、長官。我が艦隊をも巻き込ますが……」
「構わん。1号機から3号機は、敵艦隊をそれぞれ標的とし、殲滅せよ」

  だが、当然ながらも、射線上には地球連合艦隊のみならずSUS連合艦隊もいる。しかも双方入り乱れている状態であり、味方にも当たること必須であった。それでも、メッツラーとバルスマンは顔色一つ変えずに、ハイパーニュートロンビーム砲の発射を推し進めたのだ。

「エネルギー充填完了。目標、地球連合艦隊!」
「……発射!」

  5隻ある防御船のうちで、3隻のハイパーニュートロンビーム砲の砲口が、不気味な赤白い発光を伴い始める。
  地球連合軍総旗艦〈ヤマト〉艦橋で、真帆中尉が危険に気付き、咄嗟に叫ぶ。

「敵要塞より、超高エネルギー反応、3つ確認! 要塞主砲と思われますが、当艦隊を狙っている確率は98%以上!」
「おい、嘘だろ。まだ味方が入り混じってるんだぜ?」
「これは、巻き添えを受けてしまいます、艦長!」

  真帆の報告に、第一艦橋クルーの面々が唖然とし、なりふり構わないSUSに怒りを向けた。古代も唖然としてしまっており、これが波動砲級の高エネルギー砲ならば、艦隊はひとたまりもない。しかも艦隊は、敵連合軍と入り乱れている――危険だ!
  防御手段は1つしかなかった。

(重力子スプレッドを使うか?)

  春藍級、並びにスーパーアンドロメダ級に備え付けられている、波動エネルギー転用兵器である重力子スプレッド。これを一斉に射線上に射出することで強力な重力場を形成してやるのだ。波動砲クラスでも防げない訳ではないが、それには幾つもの重力子スプレッドを投射する必要がある。
  だが、もっと危険なのは、余りも強力すぎるビームだった場合、重力子スプレッドの超重力によってビームが過剰に収束された挙句、地球連合艦隊に高威力化されたビームが降り注ぐ可能性があった。しかも、重力子スプレッドを撃つには多少の時間を要してしまい、あまつさえ、執拗にSUS艦隊が反撃の砲火を降らせているところだ。到底、重力子スプレッドを発射する余裕など残されていない。
  片やフリーデ艦隊とベルデル艦隊も、後方の要塞の変化に気づき、そして無茶極まる攻撃をしようとするSUSに罵声を浴びせずにはいられなかった。

「馬鹿が、総司令は何をトチ狂った!? 全艦、敵に構うな。上昇急速反転、射線上から離脱しろ!」

  バルカー提督はSUSを大声で罵りつつ、艦隊を左方向へ急速反転させ、射線から離れようとする。

「もう、奴らに付き従えんぞ。ベルデル軍、全艦下方へ急速反転、下へ逃げるのだ!」

  スペンサール提督も、SUSに従うのは真っ平御免として、艦隊を上昇反転させた。
  双方共に砲撃するよりも、まず要塞からの攻撃を回避せねばならない。砲撃を忘れて全力で回避運動に徹するものの、互いが進路上に重なり衝突を起こす様子も散見された。それでも、フリーデ艦隊とベルデル艦隊、回避に専念したおかげか、特にアマール艦隊が一番最初に突破することに成功する。エトス艦隊もやや遅れる形で陣形を突破するものの、SUS艦隊と対峙していた地球艦隊が、突破に手こずってしまい、惜しくも、ハイパーニュートロンビーム砲が発射された時と、陣形を突破した時が重なってしまったのである。
  誰しもが絶体絶命だと確信した時だった。不意に地球艦隊前方に艦隊が躍り出て来たのだ。

「あれは……っ!」
「アマール艦隊……旗艦〈アマーリウス〉を確認!」

  前方に出てきたのは、パスカルの座上する旗艦〈アマーリウス〉以下、15隻のアマネイル級戦艦B型が、SUS要塞の主砲を前にして、自分を犠牲にしてまで盾になろうとしたのだ。それだけではなく、短距離ワープでエトス艦隊の目前にも15隻余りのアマネイル級B型が出現したのだ。
  旗艦級であるアマーリウス級の光子帆は、確かにアマネイル級B型に比して強力なシールドを有する。それだけではなく、自分の直属艦隊に入っていたアマネイル級B型全てを動員し、全艦で強力なシールドと化そうと試みたのであった。

(パスカル将軍!)

  古代が静止を呼びかける前に、SUS要塞の主砲が旗艦〈アマーリウス〉以下戦艦戦隊を直撃する。怒涛の勢いをもって襲い来るエネルギー流を、シールドを最大出力で展開し受け止める。全てを光子帆に集中させ、後方にいるであろう味方への被害を防いでいく。それでもシールドで逸らされたエネルギー流が、まだ回避しきっていない後方のSUS艦隊を巻き込み、次いでベルデル艦隊とフリーデ艦隊の後衛部隊に襲い掛かったのだ。
  フリーデ艦隊にしろベルデル艦隊にしろ、直撃を受けなかったこそすれ、味方を巻き込んだ強引なSUSのやり口に、さしもの嫌気がさした。これ以上、SUSに付き従ってはいられない。政府がどの様に言うかは知ったことではないし、兎も角現場にいる自分らが無駄に死なねばならない理由はないのである。どのみち大ウルップ星間国家連合が終わりなのは、既に目に見えているのだ。

「ふざけおって……もう、やってられんわ! お偉方に何と言われようと、奴らに加勢するのは御免だ!」

  指揮官席の肘掛けを思い切り殴りつけたバルカー提督は、包囲網を解除し、そのまま戦列を離脱していった。同じくして、ベルデル艦隊のスペンサール提督も、無頼漢のやりように付ける薬は無いとして、戦線を離脱していく。
  その一方で、ハイパーニュートロンビーム砲を防ぎ切ったアマール艦隊。地球艦隊、エトス艦隊、アマール艦隊の先陣に立ち続けていたのだが、大半がオーバーヒートを起こし、満身創痍か、或は耐え兼ねて自壊する艦も相次いでしまった。その中に旗艦〈アマーリウス〉の姿もあったのだが……。

「無事だったか」
「――ッ! 艦長、〈アマーリウス〉が!」

  それが限界点の知らせでもあった。〈アマーリウス〉は文字通り先頭にあった故、もっともビームを浴びる位置にいた。このことによって、シールド装置の過度な稼働と、ハイパーニュートロンビーム砲の圧力の前に受けた、艦体へのダメージを蓄積しすぎ、遂には爆沈したのだった。

『古代、提督……後を……頼む!』

  爆沈直前に、パスカル将軍は〈ヤマト〉に通信を送り、全てを託す旨を伝えると、それが最後となった。




〜〜あとがき〜〜
どうも、第3惑星人です!
今回は会話シーンと戦闘シーンが入ったわけですが……ちなみに戦闘シーンは劇場版とは状況が大きく異なります。
お分かりになる方が多いかと思いますが、本来はエトス艦隊は共同戦しませんし、アマール艦隊と地球艦隊も〈ヤマト〉を残して主砲で全滅しております。
ただ雰囲気を出したいなぁ、等という妄想の果てにエトスの残存を組み込ませた次第です。
次回はもう少し〈ヤマト〉らの話が続くかもしれません。
次回更新をお待ちください。

そう、それと拍手リンクを押してくださった読者の皆様、誠にありがとうございます。
毎回押していただけたり、コメントを残してくださる方にも大いに感謝しております……が、今回びっくりしたことがw
拍手の種類で、『萌えた』に2票も入っていたのにびっくりですw 思わず「マジですかぁー!!」と心中で叫びました。



・2020年4月10日改訂



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