機動戦艦ナデシコ

〜The alternative of dark prince〜







第五話 『アルバイト』はいかが?










「ふぅん、それで坊主。何でそんなに借金抱えちまったんだ?」

「えぇと、それは……」


俺の話を聞き終え、サブロウタさんが聞いてきた。

……それに関してはこっちが聞きたい。身に覚えがないのに多額の借金。それが、俺が貧乏たる所以。

記憶喪失前の俺、何をやった?

と、サブロウタさんは何かに納得したらしく、うんうんと頷いた。次に、ものすごくニヤついた顔になった。

嫌な顔だ。

絶対変なこと考えてるな、この人。


「いや、皆まで言うな、分かってるって」

「……何がです?」

「そうだよなぁ、男はみ〜んな女の奴隷。だがそう! それこそ男の甲斐性ってもんだ。な、そうだろ坊主?」

「ちょっ、何言ってんすか!? ああっ、もう! 訳知り顔で頷かないで下さいよ!」

「どういう意味です? サブロウタさん。って、そんなことよりあなた! 艦長は騙せても僕は騙されませんよ! 艦長を助けただとか言って、何か裏があるに 決まってます! 何を企んでるかは知りませんが艦長に近寄らないで下さい!」

「ハーリー、お子様にはまだ早いことだ。なぁ〜坊主?」

「ちっがぁーーーう! それ絶対違ってますから! それと、坊主はやめてください!」

「ちょっと、聞いてるんですか!? 艦長も艦長ですよ。何でこんな部外者を連れてくるんですか!?」

「まぁまぁ、いーじゃねぇか。隠すなよ。そうだ坊主、今度俺の行きつけの店に行かないか? なに、奢ってやるからさ。……ツケだけど」

「「人の話を訊けぇ〜〜〜〜〜〜っ!!」」


ハーリーくんとユニゾンした。

もしかしたら気が合うかも。いかんいかん、早くも馴染んでしまっている。

ん? 何だか涼しいような寒いような。空調壊れてるのかな?

そして、 ぞくり と悪寒が走った。

あ、そういえば、ルリちゃんさっきから一言も喋ってないような……。










「……ウルセェダマレ……」










時が止まった。というより凍った。

体が動かない。いや、待て待て待て。まず息ができない。とてつもないプレッシャーに押し潰されそうだ。

サブロウタさんも同じ状態に陥っているようで顔が真っ青だ。ハーリーくんにいたってはいつ失神してもおかしくないような状態だ。

……あ、気絶した。白目むいてるし。

俺も……堕ちそう。


「? 皆さんどうかしましたか? 急に静かになったりして」


うわぁ。

ルリちゃんは心底不思議そうにそんなことを言う。首を傾げる可愛い動作つきで。

俺は突っ込みたいのを必死に抑えた。きっとこれが最良の選択だ。生きるための。


「ところで、サブロウタさん」


そして、時は動き出す。

最初の餌食(?)はサブロウタさんだった。


「は、はいぃっ!」


サブロウタさん、声上ずってるっす。


「今人手が足りていない部署ってありましたっけ?」

「あ、あーと、そうですねぇ……」


おそらく耐性が出来ているのだろう。サブロウタさんは顔は青いままだがなんとか平静を取り戻したようだ。

凄いところで働いているんだなぁ。少しだけ逃げたくなった。

サブロウタさんは少し考えるようにしていたが、また何か考えついたのかニヤニヤ笑いながら俺の方を向いた。顔色ももう戻っている。

……丈夫だな、この人。


「何ですか?」

「なあ、坊主。お前何か武道出来るか? 銃とかでもいいんだけど」

「はあ、まあ、刀なら一応扱えますけど。あと、坊主はやめて下さいって」


刀の扱い方なら警備員のアルバイトをしているときに覚えた。ただ……。

いや、これ以上は語るまい。どうしてクビになったかなんて思い出したくもない。


「あー悪い悪い。じゃあアキ坊主、艦長の護衛やらないか?」

「ルリちゃんの護衛?」

「サブロウタさん、別に私護衛なんていりませんよ」

「そうですよっ! こんなどこの馬の骨だか分からないような人に艦長の護衛なんて! それとあなた、馴れ馴れしいです! 艦長のことを、その、ルリちゃん だなんて。僕だって僕だって……」


ハーリーくんの言葉は最後の方は聞き取れないくらいに小さくなっていた。

……ハーリーくん、どうでもいいけどいつの間に復活したんだ? 君も丈夫だな。


「いえいえ、最近は物騒ですしね。護衛の一人くらいいた方が良いですよ。それに、人助け、ですよ。そのために連れてきたんでしょう?」

「それは、そうかもしれませんけど」

「艦長っ!」

「やります。いえ、やらせて下さい」

「え?」


どんなことでも今は仕事が必要なのだ。選り好みはしていられない。


「決まりだな」

「いいんですか!? どこかのスパイだったらどうするんですか! もしかしたら艦長の命が危ないかもしれないんですよ!? もし違うとしても、こんな人に 艦長の命を任せるだなんて!」

「ハーリーくん煩いです」

「ううっ、かんちょお〜」

「はい、お願いします。ルリちゃんいいかな?」

「……私にも責任があることですから仕方ありませんね。ですが、一度実力を見させてもらいますよ」


う、自信なくなってきた。ルリちゃん厳しそうだしなぁ。

だが、俺には仕事が、お金がいるんだ。

それに、ルリちゃんの側から離れるわけにはいかない。ここにいれば何か分かるかもしれない。そんな気がするから……。


「あ、アキさん、料理って出来ますか? 出来れば洋食か中華で」


思い出したようにルリちゃんは言った。


「え? ああ、出来るよ」


今日クビになったバイト先が中華料理屋だった。洋食屋でバイトしたのはいつだったかなぁ。

……もうやめよう、過去を振り返るのは。


「ああ、そういえばその手もありましたねぇ」

「洋食か中華って、どういうこと?」

「ええ、それがですね……」


話を聞いてみると、なんでもナデシコの食堂には和食しかメニューにないらしい。それも料理長一人の都合で。それで、洋食や中華がたまには食べたいというこ とだった。

和食専門の料理長、か。やっぱり鉄人みたいな人なのかな?


「どうですか? どちらでも構いませんけど」

「ああ、それとな、エステバリスのパイロットでも良いぞ。その隠してるのIFSだろ? ちなみに隊長は俺だからな」

「オペレーターは艦長と僕がいるから駄目ですよ」


サブロウタさんは俺の右手を見て言った。

バレてたか。

タカスギ・サブロウタ。なかなかどうして抜け目がない人だ。

ハーリーくん、さっきから何怒ってるんだろう? 部外者の俺がいるのがそんなに気に入らないのだろうか? ああ、それと君、立ち直り早いな。流石に鍛えて いるだけのことはある、ということか。

ふむ、なかなか選択肢が増えた。でも、俺の答えは……。


「やります」

「ん? 決めたか。で、どれよ。やっぱ艦長専属ボディ・ガードか?」

「全部」

「は?」

「だから、ルリちゃんの護衛とコックとパイロット全部やらせて下さい」

「おいおい。そりゃあ」

「何ですってぇ!?」


欲張りだと言われようが、あれだけの借金それくらいやらないと返せない。

……本当に返せるのか? 

俺は何となく悪意のようなものを感じた。もしくは何かに踊らされているような……。











そのころ……。

「さあ、アキくん働きなさい。働くのよ!」

…………。











こうして新しいアルバイトを見つけ、俺は安心していた。

だが、俺はこの時、心のどこかでこう思っていたのだろう。

きっとまた、長くは続かないのだと……。














<あとがき……か? これ>

……アキくんがサブロウタさんに連れられて、夜の街へ消えていった、というのはまた別の話。

こんにちは、時量師です。皆さん顔と名前だけでも覚えてやって下さいね。

Web拍手、して下さる方いるんですねぇ。ありがとうございます。例え一人でも応援してくれる人がいれば、時量師はどこまででも突っ走ることが出来ます よ。多分。

さて、第五話にして、ようやく職を見つけたアキくんです。涙を誘いますよね。ほろり。最後に変なのいますけど……。

今回は漫才もとい会話が中心ですね。ハーリーくんとサブロウタさんの中にアキくんを放り込むとこんな感じになります。

なんだかハーリーくんと息が合っているようなアキくんですが、ちょっと役回りが被ってしまいそうですね。サブロウタさんにからかわれるっていう。気をつけ ます。あ、でも、彼は誰に対してもあんな感じでしたっけ? リョーコちゃんもからかわれてたし。

別に黒い鳩さんのルリさんに対抗しようとしたわけではないのですが、そちらがア○ター使いならこちらのルリちゃんはス○ンド使いだったみたいです。怖いで す。なので、ゲストに呼んだりはやめておこうと思います。オラオラ無駄無駄されたくありませんから。代わりに黒い鳩さんの方へ遊びに行ってもらいましょう か? どうです? 黒い鳩さん。

アル○ターと言えば、初めてこのホームページのあとがきや感想を読んだとき、「そうきたかああぁぁーーー!」と興奮したものです。と、いうわけで次回はこ の場を借りてスクライド話でもしようかと思います。

ルリさんの○ルター、個人的にまた見たいですね。あ、失言だったかな?

では、また次回。


感想

時量師さんさらに、連続投稿! 私もびっくりです! 

凄すぎて何ともいえませんね、うち のバカ交代させたいくらいです。

うぅ、確かに、凄いからね…。それは、兎も角、感想に行かないと。

まあ、仕方ありませんね。それで、 内容はアキさんがバイトを決めるまでですね。

そんな感じだね、でまあ、感じ的には相変わらず面白い二人と、恐怖映画の様なルリちゃん。笑いをつかみ取りな内容です♪

言いましたね…言ってはならない事 を…大体、私も説明だからと二回も我慢していたのに…それを無にするとは…そうですね、折角、時量師さんのリクエストがあったんです。

立ち上がれないほど砕け散りなさい!
瑠ぅ璃色のぉファーストブリッドォー!!

ドッ ゴーン!!

ごばぁ!? まってくれ、最近は…あっちなんじゃ!?

ちょっとしたお茶目です、金色のォセカンドブリッドォー!!

ドッゴーン!!

ぐはぁ!? にっ、逃げねば…死ぬ…

遅い! 漆黒のぉラストブリッドー!!

ドッゴーン!!

ぐぼっ………わっ、私は……これまでなのか…

          ぱっぱぱーらーぱぱぱー

夢を…見ていたんです、とても激しく、荒々しく、雄雄しい夢を…あ あ、私は見続けていたんです…

お久しぶりですね、アメジスト。

はい、お久しぶりですルリ。そして始めまして時量師さん、アメジスト と言います(ぺこり)

最近見なかったですが、どうしていましたか?

最近は家でゲキガンガーの編集ビデオを作ったり、紅玉の趣味に付き合 わされたり、戦艦の製造を手伝ったりです。

何か順番が違う気もしますが…(汗)

それでは、言う事も言ったので失礼します。

さようなら、さて、私も帰りますか。

感想で…また…しっ…死ぬ……ガク


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