崩れ落ちる校舎。人間の身体を容易く押し潰す石塊の雨。

 その真っ只中を、互いを求めあうかのように駆けていく。

 

 

「はあああああああああああああっっっっっ!!」

 

 

 近右衛門が、喉が張り裂けんばかりの鬨の声を出し、突き進んでいく。

 瓦礫はまるで近右衛門を避けるかのように落下し、砕けるが、その破片すら近右衛門の身に触れる事はない。ただ、崩壊する土煙だけが、近右衛門を覆い、その視界を包み隠す。

 

 その、濃い土煙の向こうに、人影を見た。その右手に持つ十字架を見た。

 千雨も、聴覚で捉えていたのと同様の人影を見た。その右手に持つ巨大な剣を見た。

 

 近右衛門の足が。

 千雨の足が―――――――加速する。

 

 

 その瞬間―――――二人の間に、一際大きい瓦礫が落下してきた。

 

 

 瓦礫を砕いたのは近右衛門だった。

 剣で一振り。それだけで、巨大な瓦礫は木端微塵に砕け散り、さらに色濃い土煙だけを残して。

 

 

 

 

 その土煙の中から―――――千雨があらん限りの力を込めて投擲した十字架が、一直線に、ロケット弾のような勢いで、近右衛門に向かってきた。

 

 

 

 

 近右衛門は避けようとしなかった。それどころか、真正面から突っ込んでいく。

 

 そして、目前に迫った十字架に対して。

近右衛門は、剣を全力で突き出した。

 

 

「ぬぅっ――――――――――!!」

 

 

 近右衛門が呻く。十字架の勢いに押されそうになりながら、その場に踏み止まる。

 

 

 

(残る魔力の全てを、身体強化に、右腕に、注ぎ尽くす―――――!!)

 

 

 

 剣を握る右手に、あらん限りの力を注ぐ。

 

 

 十字架と剣が拮抗し、押され、押し返し、悲鳴のような軋みを上げ合い。

 

 

 

 

 そして――――――二つ同時に、砕け散った。

 

 

 

 

 剣は柄だけ残して金属片に。

 十字架は何も残さず石ころに。

 

 十字架に繋がれていた鎖が、派手な音を立てて地面に転がった。

 

 

 

 

 ―――――そして、十字架の陰に潜んでいた妖精が、大きく口を開けた。

 

 

 

 

(そう来たか―――――!!)

 

 

 十字架は、妖精を隠すための囮。

 近右衛門の剣を封じつつ、あわよくば破壊して、近右衛門が無防備になった瞬間を狙い撃つ。近右衛門が十字架を迎撃した時には、すでに妖精は衝撃波の発射態勢に入っていたのだ。

 

 万事休す。

 これまで近右衛門の脳裏に過った事のない言葉(ワード)が、瞬時に筋肉を硬直させながら、全身の神経を走り抜けた。

 

 

 

(ふざけるな―――――ふざけるなっ!!)

 

 

 

 弱気に駆られた己を叱咤するように、腕を、脚を、魔力を、全身の筋肉を動かす。

 

 

 右手の柄を捨て、握る。

 妖精との距離は二歩分。腕を伸ばせば届く距離。

 

 

 ここで負ける訳にはいかない。

 自分の人生を、積み重ねてきた全てを、捨て去る訳にはいかない。

 

 

(負けるものか――――――――!!)

 

 

 妖精の口の中の空気が歪むのが、はっきりと見て取れた。

 近右衛門は振り翳した拳を、真っ直ぐに、最高速で撃ち放った。

 

 

 

 

 そして――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――近右衛門の渾身の一撃が、妖精を粉々に殴り潰した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 確かな手応えと、微量の衝撃波による右手のささくれ立ったような痛み。

 

 そして、達成感と、安堵と、少しばかりの虚脱感。

 

 

(勝った――――――――)

 

 

 後はこの手で、千雨の心臓を抉るのみ。

 

 右拳を握りしめたまま、次の一歩を踏み出す。

 

 

 

 

 その途端、千雨と近右衛門の間を覆っていた土煙が、強風に掻き消されるように霧消した。

 

 

 

 

 そして、土煙の向こうには――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 煌びやかな、黄金の光。

 長谷川千雨を、音界の覇者を象徴するバリトンサックス。

 

 

 

 

 千雨は、それを咥えて、大きく上体を反らしていた。

 

 

 

 

 エヴァとの決戦で見せた、音界の覇者の最終奥義―――衝撃超音波(ウルトラ・ショック・ソニック・ウェイブ)

 

 

 

 

 

 

 

 近右衛門の目が驚愕に見開かれ、愕然とするよりも速く。

 

 千雨は、肺の中の空気を1ccも残すことなく、サックスに注ぎ尽くした。

 

 

 

 

(これで、終曲(フィナーレ)だ――――――――!!)

 

 

 

 

 かつて千雨は、エヴァとの戦いで、“衝撃波”という最も危険な攻撃の存在を印象の外に置かせ、ここぞという場面で放ち、チャチャゼロを一撃で戦闘不能にしてみせた。

 

 

 

 妖精による溜め無しの衝撃波を執拗に放ち、印象づけて、サックスへの意識を逸らさせ。

 絶対に邪魔されない、無防備な瞬間に、それを放つために、十字架と妖精を、最後の一撃のための時間稼ぎに使い。

 その二つを迎撃する近右衛門の、固有震動を聞き分けて。

 

 最高にして最強、最後の一撃を、最良のタイミングで放つために。

 

 

 

 ―――――それに、千雨は最初から決めていたのだ。

 止めは、大切な仲間たちがくれた、このサックスで刺してみせる、と。

 

 

 

 そして―――――正真正銘、最後の演奏(いちげき)が奏でられる。

 

 無論、防ぐ術など存在しない。

 奏でられた音は、一瞬で近右衛門に到達し、その脳を激しく揺さぶる。

 

 

「―――――――――――」

 

 

 近右衛門の口が鯉のようにパクパクと動くが、何の声も出てこない。近右衛門自身、何も言葉が見つからない。

 

 

 

 そして、耳と鼻から滂沱の如く血が溢れ出し、白目を剥きながら、その場に倒れた。

 

 

 

(勝っ、た―――――――――)

 

 

 

 近右衛門が感じたのと同じ達成感と安堵、虚脱感が、千雨の全身を一瞬で覆い尽くす。

 途端に全身から力が抜け、膝から崩れ落ちた。うつ伏せに地面に転がった千雨の頭の上に、小さな石ころがこつこつと落ちてくる。

 

 ―――その上方に、図書館島の本棚ほどの大きな瓦礫が落ちてくるのを聞き取っていたが、もう指一本動かせない。

 瓦礫は千雨の頭部を叩き潰す直線ルートを落ちてくる。

 

 千雨はゆっくりと、目を瞑った。

 

 

 

 

 後頭部に、硬い感触を感じる――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――何、甘んじて受け入れて死のうとしてるのかな、千雨は。」

 

「ホントに。どうせ私たちが近付いてることに気付いてたから、放っておいたんだー、って言い訳するんでしょうけど。」

 

 

 

 

 

 

 呆れた声が二つ、硬い感触の上から降って来た。

 その硬い感触が靴底だと気付くのに、少し時間がかかった。

 

 抗議の声を挙げようとして、喉がやられていた事を思い出す。その掠れた声色で悟ったのか、千雨の頭の横にガラス瓶のような物が置かれた。

 

 

「ハイ、回復薬(ポーション)。体内の傷治すんなら、治癒符よりそっちの方が断然速いよ。…ていうか、酷い傷。持ってきた治癒符も回復薬も足りなさそう…。」

 

「…うわ、服の下、身体中火傷してるじゃないですか。無茶するなぁもう…。」

 

 

 そう言いながら一人が千雨を仰向けにして、もう一人が落ちてきた瓦礫をサッカーボールのように受け止めていた足をどかす。彼女たち(・・・・)が近付いてきている事が分かっていたからこそ、放っておいた瓦礫だった。

 

 

(―――――出迎えありがとう、レイン、のどか。)

 

 

 声が出ないのでサムズアップで返す。レインものどかも瞬時にその意図を読み取り、微笑みを返した。

 

 

「―――――お疲れ様。千雨。」

 

「―――――お疲れ様です。千雨さん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーあーあー…。うん、ようやく声出せた。あ、一応もう一本回復薬くれる?」

 

「これ以上はダメ。あんまり頼り過ぎると、身体の免疫力とか落ちるんだから。後は自然治癒に任せなさい。」

 

 

 未だ少し掠れ気味だったので完全に治したかった所だが、レインに窘められ、千雨は渋々口を閉ざした。自然治癒ということは、あまり声も出さない方が良いに違いない。

 戦闘終了から数分経ち、千雨はレインとのどかに応急処置を施されていた。すでに作戦本部(ブルーサマーズ)に勝利の報告は済ませている。その瞬間に轟いた仲間たちの喝采は、千雨は生涯忘れることは無いだろう。

 

 

「あ、そういえばのどか。お前、葛葉とかいう教師に連れられて避難してたんじゃないのか?何でレインと一緒に居るんだ?」

 

 

 左腕に包帯を巻くのどかに、ふと浮かんできた素朴な疑問をぶつけた。のどかは包帯を巻く手は止めないまま、千雨ににっこりと微笑みを返しながら答えた。

 

 

「ええ、千雨さんの戦闘開始後すぐに逃げ出したんですが、私と葛葉先生の意向もあって少し離れた場所から戦いの行方を見守る事にしたんです。そうしたら、南の丘が溶岩に変わって流れ出したじゃないですか。慌てて葛葉先生が私を連れて逃げたんですが、逃げた先がレインさんの持ち場なことに気が付いて。後は、隠し持ってたスタンガンで気絶させて、レインさんの作戦が終わるまで待って、それから合流したんです。あ、葛葉先生は安全な所に避難させましたよ?」

 

「…避難させたのは私だけどね…。」

 

 

 要するにのどかは、不意打ちとはいえ、学園内の魔法使いを独力で倒してしまったのだ。しかも、以前近右衛門との会談で見かけた彼女は、中々の実力者であることは確かであり、それをあっさりと行動不能にしてしまった事に、さすがの千雨やレインも乾いた笑いしか出てこなかった。

 

 

「…さ、さて、もうそろそろ、立って歩けるぐらいには回復したかな、うん。」

 

 

 露骨に千雨が話題を逸らし、立ち上がろうとするが、やはりまだ無理があるのか、立った瞬間膝が崩れた。

 

 

「もう、無理しないで下さいよ。肩くらいならいくらでも貸しますから。」

 

 

 慌ててレインとのどかが千雨を支え、そのまま両側から身体を担ぎ上げた。千雨が済まなそうに苦笑しながら、二人の肩に手をかけ、全体重を寄りかけた。

 

 

 

 

「―――――待て、貴様。」

 

 

 

 

 息も絶え絶えな皺枯れた声が、三人の足を止めた。

 

 

「…まだ、儂は、生きておる、ぞ。」

 

 

 瓦礫の中、倒れ伏したまま、近右衛門が呻いた。今にも萎んで消えてしまいそうな声に、劫火のような怒りが宿っている事は明らかだ。

 しかし近右衛門の憤怒など全く意に介した様子もなく、振り向きさえしないまま、千雨が呆れたように口を開いた。

 

 

「そりゃまぁ、私の衝撃超音波喰らって生きてるってことは、そういう事だろ(・・・・・・・)。理解出来てない訳じゃないだろ?」

 

「ふざけるなぁっっ!!」

 

 

 怒りを露わに、吐血し咳き込みながら、叫んだ。

 

 

「殺せっ!!貴様にとって殺人など、今更躊躇するような所業ではなかろうが!!誰が貴様の情けなど受けるものか!!今儂を殺さねば、いつの日か必ず、儂は貴様を―――――」

 

「うるせぇな。そりゃお前が死にたいだけだろうが。だったら瓦礫にでも頭ぶつけて勝手に死にやがれ。誰がテメエに情けなんざかけてやるかっての。」

 

 

 やはり千雨は近右衛門の方は一切振り向かず、背中を向けたまま近右衛門の懇願を切って捨てた。

 

 

「そりゃまぁ、殺人者としての私だったら躊躇なく殺してるさ。けれど、今日の私はいち女生徒で音楽家だって、最初に言っただろ。」

 

 

 どうせ理解出来やしないだろうが、と付け加えそうな雰囲気のまま、千雨が気だるげに言葉を続ける。

 

 

「今日お前と戦ったのは、超の計画を完遂させるためだ。それ即ち、3−Aによる3−Aのための戦いだ。その戦いに屍一つでも作ったら、クラスメイト全員の罪になっちまうんだよ。他ならぬ私が、そんな事許すと思うか?

 テメエの薄汚い命、わざわざ拾わせてやったんだ。せいぜい感謝するこったな。」

 

 

 まるで物分かりの悪い子供に言い聞かせるようなその言い草が、近右衛門の神経を逆撫でする。自分が地べたに這いつくばり、千雨を見上げているという構図が、ますます拍車をかけた。

 

 だが、突然、千雨が足を止めた。

 

 

「ただし―――――ただし、だ。」

 

 

 それまで頑なに振り返ろうとしなかった千雨が、首だけ90度横に向けて、近右衛門に視線を送る。

 近右衛門の側からは片方しか見えないその瞳に、殺意の業火が燃え盛っていた。

 

 

「もしお前が今後、私が拾わせてやった余生で、私の大切なクラスメイトに、何かちょっかいかけようとしたなら―――――その時はお望み通り、殺人者として(・・・・・・)相手になってやるさ。」

 

 

 その言葉に、近右衛門は青褪めた。

 確かに近右衛門は千雨相手に僅差で敗北した。だがそれは、千雨が真っ向から戦いを挑んできたからこそだ。本来彼女が持つ殺人技術を、陰から不意打ちの一撃で仕留める暗殺技術を、真正面からの戦闘という真逆の形でぶつけてきたからこそだ。

 

 もし千雨が、殺人者としての本分を全うしたら。

 圧倒的な聴力でもって、近右衛門の一挙手一投足を把握し、消音演奏で気付かれることなく接近し、姿を垣間見る事さえ許さないまま衝撃波で脳を揺さぶられれば。

 

 

 真っ向からのぶつかり合いでなければ、勝機など無いに等しいのではないか―――――

 

 

「…ま、今のお前を見てる限り、そんな心配は無さそうだけどな。」

 

 

 千雨の言葉で、近右衛門は深い思考の迷宮から呼び戻され、再度彼女の表情を視界に捉える事になった。

 

 千雨は、嘲笑していた。

 近右衛門を、圧倒的な高みから見下していた。

 

 そこで初めて近右衛門は、自分の身体が小刻みに震えている事に気付いた。

 それが恐怖によるものである事を、千雨の醸す殺意に精神が負けた事実を認識した瞬間、全身から脂汗がどっと滲み―――

 

 同時に、近右衛門を支えていた何かが、根元から圧し折れた。

 

 自分の積み重ねてきた半生が、誇りが、何一つ彼女に通用しない事を悟り。

 

 

 近衛近右衛門の全てが―――――完膚なきまでに、無惨に砕け散った。

 

 

 

「私はもう、お前に何の興味も無い。せいぜい死ぬまで生き恥晒してろ。」

 

 

 

 そんな言葉を吐き捨てるまでもなく、近右衛門は倒れ伏したまま、何も言わなくなった。

 

 千雨たちはまた歩き始め、今度こそ近右衛門を振り返ることなく、初等部の廃墟から去っていく。

 

 

 

 

 こうして―――――――

 

 後に「麻帆良魔法革命」と名付けられる一連の事件で、最大規模の被害を引き起こした戦闘―――通称「魔人決戦」は、その幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

(アーティファクト解説そのD:共通部分)

名前:長谷川千雨

称号:LUDERE OCCISOR(音を奏でる殺し屋)

徳性:希望

方位:中央

色調:白&黒

星辰性:冥王星

 

 

 

 

 

 


(後書き)

 何故死なないのか教えてやろう、主人公だからだ回。この台詞と「やったねたえちゃん!」を指して、オイ馬鹿やめろ台詞ツートップと名付け…嘘ですスミマセン。

 

 まずは皆さま、本当にお待たせして申し訳ありませんでした。元日投稿(キリッ)とか言ってた馬鹿は張っ倒しておきましょう。最終的に、後書きや解説を除いても53000字近くになってしまったし、ホントに計画性無えなぁ、自分…。

 

 とにもかくにも、ようやく千雨VS近右衛門、決着です。近右衛門死亡を期待していた方は申し訳ありませんでしたが、ある意味近右衛門にとっては死んだ方がマシでした。近右衛門は自らが長年かけて積み上げてきた物を全て粉々にされた上で、逆らう事すら出来なくなってしまったので、ほとんど再起不能です。安らかに眠れ(レスト・イン・ピース)ならぬ、震えて眠れ(レスト・イン・ピーシズ)ってトコロです。

 

 近右衛門の人生作品論についてですが、ぶっちゃけ銀魂で語られてた事をほとんどそのまま引用しました。語っていたのは敵役でしたが、何となく共感してしまったので。

 

 千雨のアーティファクトについては、切り札の妖精合唱団以外全てTRIGUN原作のモチーフです。双翼は14巻で兄弟が見せたアレ、十字架はもろパニッシャー、糸は説明不要。ラテン語訳調べるのがそれなりに面倒だったです(笑)ていうかネット上でまともに羅訳出せるの、グーグル翻訳しか無いんだもん…。なお、アルビレオ、千草、フェイトとは契約してません。フェイトはともかく、千雨は残る二人との契約は嫌がるでしょうし。

 

 今回に限った事ではないのですが、最終決戦を書くにあたって、チェックポイントのような、これだけは絶対に書くと決めた描写を設けて、そこに至るまでの描写や動きを考えつつ経由して、終点を目指す、という書き方をしています。と言う訳で、そのチェックポイントごとに解説いたします。

 

 魔法の射手“燃える天空”はオリジナル魔法です。作中で説明していた通り、25メートルプール一杯の水を一つの水風船の中に詰め込むような物。ミサイルと考えていただいて相違ありません。ただし魔力を滅茶苦茶消費するので、世界樹のバックアップ無しだと、一日2〜3発しか作れません。近右衛門は闇以外の全属性の魔法を使えますが、その中でも一番得意なのが火属性の魔法です。世界樹のバックアップがあれば、エヴァに匹敵、あるいは凌駕します。

 

 千雨の喉の負傷は、各チェックポイントの中でも真っ先に決まった物でした。理由は千雨のピンチを分かりやすくするため。後になれば取り返しはつくけれど、少なくとも戦闘中は取り返しがつかない、そんな傷です。衝撃波の威力も少し弱めたかったしね。

 

 今回のサックスにはしっかり機関銃仕込んでありました。超、ハカセと楽器屋の親父の共同製作です。ちなみに楽器屋の親父と千雨の両親は、木乃香たちの手引きで京都に逃げてます。

 

 新しい魔法陣の構築。ビーストが8人構成だったのはこれが理由です。実は自分、大学の共通教育で中国哲学を学んでおり、特に陰陽道に関して結構入れ込んで調べてたので、少し知識があります。講義自体も面白かったですし。日本と陰陽の繋がりの深さに関してはほとんど実話です。東京の都市構造と鉄道路線の関係について調べてみると幸せになれるかも、です。アレを狙って作ったんなら、徳川家康マジパネェ。

 

 “妖精合唱団”は、元々のコンセプトが「本来大したことない能力のアーティファクトだけど、千雨が使う事で凶悪化した武器」だった結果です。ただし、衝撃超音波や無音化演奏のように、複雑な技巧や場所によって差異が生じる物は不可です。あくまで単純な“音”のみ。ただし最大で7倍。ただし、もともと戦闘用の武器ではないため防御力が低く、高威力・高速度の魔法攻撃を数多く持つ近右衛門とはあまり相性が良くなかったりします。後は茶々丸の死天使とかも。

 

 初等部校舎での戦い。崩れ落ちてからの両者ダッシュは13巻ラストのヴァッシュVSレガートのオマージュです。二人とも空中戦は捨てたのだ(笑)まぁ、千雨にとっては地に足が着いてた方が戦いやすいし、近右衛門もバックアップが途切れた以上、出来る限り魔力は節約したいだろうし、互いに空中に逃げる暇も無かったし。

 

 胃の中に妖精を仕込んだのは、校舎に入る直前です。妖精がやられる事を見越して、全部やったと思わせた所に一撃喰らわせる作戦でした。もし近右衛門が索敵魔法なり何なり使っていれば、地合計6体しか居ない事実はあっさりバレてたでしょうけれど。

 

 そして決着。止めはサックスで、というのは、チェックポイントどころか1話書く前から決まってた事でもあります。ホントに、ようやくここまで書けたかという気持ちでいっぱいです。そしてラストは相棒二人がお出迎え。様式美です(笑)

 

 てなわけで、ラスボス撃破。長きに渡る千雨と近右衛門の熾烈な戦いも、ようやく終止符です。そしてこの物語も、あと2~3話で終わりを告げます。

 

 今回のサブタイは、アニメTRIGUNのOPテーマ「H.T.」です。ヴァッシュがパン咥えながら銃弾の雨を避けてくシーンが好きです。

 

 それと、お知らせで告げていたサブタイ当てクイズですが、見事無記名様が正解です。おめでとうございます!というわけで、ご注文の通り本編終了後にエヴァとの絡みを書こうと思います。ただし、戦闘描写は期待しないで下さい(苦笑)いやもう、今回のコレで限界ですホントに。

 

 それと、センターな俺さん、お疲れ様でした。今年は国語が酷かったようで。国語は当たり外れデカイからなぁ…。特に小説は、自分と作品の感性がズレると恐ろしい事になりますから。それでなくとも、センター試験に潜む魔物は、削っちゃいけない何かをガリガリ削って来ますし。とにもかくにも、二次が終わって結果が出るまで、諦めないでくださいね!

 

 次回は千雨と超の話。もし余裕があれば、その先まで進むかもです。それではラストスパート、お楽しみに!

 

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