コードギアス反逆のルルーシュR2
              Double  Rebellion














TURN-3 日本独立計画


ライから渡されたバベルタワーの情報を見ていたルルーシュは内心舌を巻いた。

「さすがライだな。よく調べている。バベルタワーの完全な設計図に加えて警備体制に関するものまで」

「ありがとう」とライは微笑んだ。
事実、すごいものだ。
まるでルルーシュが求める情報をあらかじめ予測したように柱の位置や通気口まで網羅した細かくて完璧なものだった。
そして、ルルーシュは一旦ライから渡された資料を仕舞うと、機上局部隊長の持っているであろう手帳を床に膝を付いてさぐり、それを取って目を通す。

「そういえば、お前はどこまで俺の事をその魔女から聞いた?」

「大まかには。君のギアスの事も、その暴走で多くの死者が出た事、そしてスザクの事も……」

「そうか。…俺は過去の自分に…スザクに敗れた」

ルルーシュの瞳には激しい怒りが宿っていた。
ライはあえて何も言わず耳を傾ける。

スザクにブリタニア皇帝に突き出された事。
そして、そこでゼロであること、母の事、ナナリーに関する記憶を失った事。

「C.C.」

ルルーシュの呼びかけの意図を察したのかC.C.は淡々と言う。

「私ではない。あの男にギアスを与えたのは」

「じゃあ誰が与えたんだ?」

C.C.は軽く肩をすくめ「さあな」と答える。
言わないつもりだとわかったライはこれ以上は無駄だと思い突っ込む事はしなかった。

「ナナリーは今どこに?」

「お前の妹を捜そうにも黒の騎士団が壊滅状態ではな」

「すまない、ルルーシュ。それについてはこっちでも色々と探ってみたんだが、ナナリーの行方は…」

彼女に関する情報が消されてしまっている中、なんとか足取りだけでも掴もうとしたのだが、結局空振り続きだった。
ただ、それが無駄でもなかった。

「だが、恐らくナナリーはブリタニア本国にいる可能性は高い」

「何故そう思う?」

「あくまで僕の推測だが、皇帝が君に対して利用価値があると言ったならば、ナナリーにも同様の事が言えるだろう。たとえ、ナナリーを殺すつもりだったとし てもここまで情報を消す必要性はない」

「なるほど。だとしたら、ナナリーはあの男の、ブリタニア皇帝の手中にある可能性が高い、と」

ルルーシュの言葉にライは頷いた。
ゼロであったルルーシュへの人質として価値のあるナナリーを殺すはずはないだろう。
ゼロが目覚めたなら何らかのアクションを起こすはず。

「咲世子はどうなった?」

「ディートハルトらと共に中華連邦に逃れた。…あの女はゼロの正体を知らない。ナナリーの重要性がわからずとも仕方ないだろう」

この事に関してライは結構驚いたものだ。
まさか、彼女が黒の騎士団の協力者だったなんて。
ルルーシュは立ち上がると、左手を握り締めて強い決意を秘めた声を発した。

「皇帝にギアスを与えたものを捜しだし、ナナリーをーーー」

ルルーシュの言葉が途中で途切れた。
不思議に思ったライが尋ねる。

「どうかしたのか、ルルーシュ?」

「俺に妹はいたが、弟はいなかった。…誰なんだ、アイツは?」

「ああ、それなら」

ライが言いかけた所でナイトメアの駆動音が聞こえたのでライはハッとした。

『そこで何をしている!?』

次に声が聞こえたのでライとC.C.は素早く陰に身を隠した。
幸い、無頼も月下もここから若干遠い位置にあるのでルルーシュに目がいきそうな状況では見つかる事はないだろう。
そして出てきたのは正規軍所属のサザーランドだった。

『その服、学生だな』

「軍人さんですか!?助かった!この人に早く手当てを!」

ルルーシュが素早く善良な学生を演じる。
この即応力と演技力は大したものだ。
そして、それを聞いて確認したパイロットはコクピットから出てくる。
それがルルーシュの狙いとも知らずに。

「生存者は一人だけか!?」

パイロットがルルーシュに駆け寄ってくる。

「ええ、あなただけです」

「何?」

ルルーシュの言葉を不審に思ったパイロットだったが、もう遅い。

「だから…よこせおまえのナイトメアを」

赤い瞳から不死鳥が羽ばたく。
そして、それは目の前のパイロットを捉えた。

「……わかった。認識番号はQR5YK1D6」

「…ありがとう」

ナイトメアの駆動キーを受け取ったルルーシュはそれを握り締めた。
もう大丈夫だと思った二人はそれぞれ自分の乗機に戻る。

「これで認識番号も手に入った。そろそろ始めよう」

「了解」

ライはルルーシュの言葉を聞くと同時に月下に乗り込んだ。

「ギアスは相手の目を直接見なければいけないとはいえ…」

「不老不死の魔女に言われたくない」

フッとC.C.は妖艶に笑った。























ルルーシュの指示でライは彼と一緒に管制室に来ていた。
ルルーシュは矢継ぎ早に指示を飛ばしていく。

「よくやったQ1、次は21階に向かえ。P4は階段を封鎖しろ。R5は左30度。L1はそこから50m天井に向けて斉射」

ルルーシュが出した指示通りに団員が動き、カラレス総督の部隊は次々とLOSTしていく。
とはいえこれは全軍を相手しているのではなく、ただの時間かせぎだ。

「ふふっ、そろそろカラレス総督の出番かな。ライ、おまえは俺のしようとしている事はわかっているな?」

「もちろんだ」

笑顔で返事をするライを見てルルーシュはフッと笑った。
ライがルルーシュがどうしていくかを予測していなければ、あんな準備はできない。
すると、そこでこの部屋にはいないはずの声がかかった。

「順調みたいね」

扉の方を二人が振り向くと、そこにはカレンがルルーシュに銃を向けて立っていた。

「カレン、21階へ向かえと」

「…あなたのそばにいたかったの」

カレンはライがこの場にいることに一瞬迷ったが、確かめる時は今しかないと思い口を開く。

「やっとあなたと話をする事ができるわね」

「僕は席をはずした方がいいかい?」

「いいえ、あなたにも聞いてほしいの。でも、どうか邪魔だけはしないで」

カレンは再びルルーシュに視線を向ける。
ライは壁に寄りかかって腕を組み、静かに見ていた。

「神根島でゼロを見捨てた君が何の用だ?」

「ルルーシュ、あなたはずっと騙していた」

「ゼロが君のクラスメイトだったことか?それともギアスの事か?」

ギアス。
カレンはちらりとライの方を見やる。

「僕の事は気にしなくていいよ」

「両方よ。…答えて。あなたは私にもギアスを使ったの?私の心捻じ曲げて、従わせて」

突如ルルーシュが笑い出す。

「ルルーシュ!」

それでルルーシュは笑いを止めた。

「君の心は君自身のものだよ。ゼロへの忠誠も、憧れもすべて」

ルルーシュがカレンに向けて歩み寄る。

「動かないで!」

カレンがルルーシュに銃を突きつける。

「カレン、誇っていい。君が決めたんだ、君が選んだんだ。この…私を」

ルルーシュはカレンの銃口を自分の胸に押し付けて銃を手で掴む。
カレンが銃を放して一歩下がった。

「信じられないか?」

それでカレンの表情が歪んだ。
やはり、決めかねているようだった。
カレンは一度ライの方を見る。
ライはそれに気づいて大丈夫、と言うように微笑んだ。
カレンはその笑顔を見ると、迷っていた心の行く先を決めた。

「信じたい。だから奴隷になってでも」

「そうか」

「でも私が信じるのはゼロよ。ルルーシュ、あんたなんかじゃない」

カレンはこれで迷いを断ち切れただろう、と傍観者であるライは思った。

「ああ、それでいい。…ところでいつまでその格好でいるつもりだ?」

はっとしてカレンが自分の服装に気が付く。
そう、彼女は未だにバベルタワーで変装したバニーガールの姿のままだったのだ。
慌てて両腕で胸を隠し、体を横に向ける。

「み、見ないでよ、変態!」

「ゼロに向かってその言い方は」

「今のはルルーシュに言ったのよ!」

「はいはい」

ルルーシュはあきれたように返事をした。
すると、室内に小さな笑い声が響き渡る。
それはライから発せられたものだった。

「何がそんなにおかしいんだ、ライ」

「ふふふ、すまない。いや、君が変態っていうのがちょっと久々にキてね……」

「ほお」

未だにくすくす笑っているライにルルーシュは不機嫌な視線を送り続けるのだった。
その時、ルルーシュに通信が入る。

「どうした?」

ルルーシュがその内容を漏らさず聞き取っていく。

「援軍の到着か」

「上からも来た。これじゃあ…」

表情を戻して呟くライにカレンはモニターを見ながら呆然とした様子で呟く。

「そうだな」

ルルーシュは焦った様子もなく、自分の学生服の上着をカレンにかける。

「カラレス総督が出てきたのだろう。脱出は難しい。だから、私の勝ちだ」

ルルーシュはチェックメイトをかけるように言い放った。

上層から下層にかけてブリタニア軍がバベルタワーを制圧していく。
瞬く間に黒の騎士団に残された脱出ルートは一つになった。
カラレス総督はその先で待っており、十中八九追い立てられてくるのを狙っているはずだ。

「敵は勝利を確信しているはずだ。条件はクリアされつつある。後はそちらのフロアだが?」

ルルーシュが奪ったサザーランドに乗り込むのを確認したライは愛機の月下に乗り込んだ。

『10分以内かな?』

『わかった。なら今の配置で守りきれる』

『ディートハルトの仕込みは?』

『システムは生きていた。すべては作戦に基づいている』

ルルーシュとC.C.のやりとりを聞きながらライは呟いた。

「このまますんなり行けばいいんだが…」

きっとそうは上手くいかないだろうが。
何事にもイレギュラーは付き物。
ライにはそれが理解できていた。

すると、それを裏付けるかのようにルルーシュへと各フロアにいる団員から通信が入ってくる。

『こちらP2、敵のナイトメアが一機で!うわあああ!!』

『どうした?』

『そんなさっきまで』

『P2?何だ?敵はIFFをはずしているのか?しかも単独行動』

『ゼロ、こちらP6、敵が、敵が……うわああああ!!』

『こちらR5、R1がやられて……』

通信が途切れるのと同時に次々と味方の識別がLOSTの字に染まっていく。
途切れ途切れの報告で詳細は掴めないが、敵は一機でこちらの機体を全て撃破しているらしい。

「ルルーシュ、まずい。一直線にこちらに向かっている」

『ああ、わかっている。だがC.C.の方がまだ終わっていない』

ルルーシュのサザーランドの盾になるように月下を動かすと、レーダーを見ながら最善の行動を弾き出す。
今までの敵機の行動から予測すると、敵はかなりのやり手だ。
倒す事より時間稼ぎをした方が妥当だ。
無理に勝ちに行く必要はない。
と、考えている途中でライは団員達からの報告である事に気づいた。

(途切れ途切れで状況がつかみにくい報告だったが、よくよく考えてみれば思い当たる節が……。まさか、あの少年が乗った機体がこちらに迫ってきてい る…?)

ライはこの可能性に至ったが、可能性は高いとはいえなかった。
確証がまだない。
とりあえずそれは一旦頭の隅に置いておくとして、ルルーシュに作戦を伝えようとする。
そこで卜部とカレンの月下と紅蓮が前に出る。

『ゼロ、ひとまずあんただけでも逃げてくれ!元々我らが陽動。捨石の作戦だ。ならば』

そこでルルーシュは卜部の言葉を遮った。

『違うな。間違っているぞ、卜部。切り捨てるという発想だけではブリタニアには勝てない』

通信越しのルルーシュの声にライは若干安堵した。
そうだ、今は無理に切り捨てる必要はないのだ。

『卜部隊長』

団員からの通信だ。
既に敵の進路を予測して卜部が指示を出していた。

『いけそうか?』

『はい。物資搬入口ですね?』

『ああ、このフロアに来るためにはそちらが近道だ』

対処は完璧。
しかし、ライは嫌な予感が止まらないのを自覚していた。

『確認しました。ランスロットを元にした量産用試作機かと』

やっかいな相手だ。
ランスロット系列の量産機なら相当性能が高いはずだ。
しかし、ルルーシュは淡々と指示を出す。

『…そうか。しかし今は捕縛の時ではない。破壊しろ』

『…わかりました』

団員がそう言った直後、変化が起こった。

『……え?消えた?…うわ、な、何でこっちに!?』

ライはその報告でさらに自分の頭の隅に置いていた可能性が頭をよぎるのを感じた。

『待て、消えたとはどういうことだ!?』

ルルーシュの問いに答えることなく通信は途絶えてしまう。
おそらくは向かった二機とも撃破されてしまったのだろう。

『C.C.!!そちらのフロアはまだ終わらないのか!?』

『何を慌てている。そっちにはカレンと卜部、それにライもいるだろう?』

結構切迫した状況なのに余裕綽々な態度がどうも微妙に腹が立つルルーシュ。
しかし、どうこう言ってる場合ではなかった。
敵のナイトメアが壁をぶち破ってついにこちらのフロアまで来てしまったのだ。
見た目は確かにランスロットに似通っているが、色が金色と細部が異なっている。

『こいつか!イレギュラーは!』

ライがそこで指示を出そうとしたが、卜部とカレンがその前に敵機に突っ込む。

『近接戦闘ならばこっちが上だ!』

『遅い!』

短剣を二本取り出す敵機に月下と紅蓮が飛び込む。
この攻撃はよほどの技量がなければ、避ける事は不可能だろう。
だが、敵は二機の攻撃をいとも簡単に避けて二機の背後に降り立った。

『消えた!?本当に!?』

『俊足!?』

違う。
どう考えてもそうじゃない。
それに俊足の類ならライが見切れないはずもない。
ライは元々俊足という類のスピードは見えるのだから。
それに今のはどう考えても物理的に不可能だ。
ライは敵機の行動に目を見張りつつも、思考は既にフル回転していた。

(やはり思った通り…。初速度、タイヤの痕跡、ここまでの距離……。しかし、何故背後からこちらを切ろうとしなかっ た?…いや、回れなかったのか?…という事は…)

ライは先ほど想定した事が頭をよぎった時点で既に敵機の分析を始めていた。
正確には先ほどのカレン達と敵とのやりとりで、だが。
結果的にカレン達を実験台にしてしまった事は申し訳なかったが、そう言ってる場合ではなかった。
そこに前もって調べた事と過去に体験した事を総合して踏まえると…。

「約25メートルといったところか…」

ライはたった三回の経験と情報で答えを導き出した。
しかし既に敵機は短剣を繋ぎ合わせて攻撃態勢に入っている。
ライの頭が高速回転し始める。

(次に敵が狙ってくるのは……ルルーシュか!)

既にライが答えを導き出す前に体が動いている。
また敵機が消えた。
いや、ライは消えたとすら認識していない。
敵機が消える直前に既に行動を開始していたライは臨戦態勢を取っていたルルーシュのサザーランドを左手で突き飛ばし、いきなり目の前に現れた敵機に驚く事 なく下段から 振り上げた刀型MVSで振り下ろされた敵のランス型になったMVSを受け止める。

『ライっ!』

ルルーシュは声を上げるが、ライは敵機を鋭い視線で見ている。
パワーは若干負けているようだが、拮抗を崩す程ではないようだ。

「ルルーシュは距離を取って!カレンと卜部さんはルルーシュの護衛に!」

三機が動くのを見る暇がないのでライは鍔迫り合いをしていたランスをいなして弾く。
再びライの月下とヴィンセントの距離が開く。
十分に距離を取った所でライは刀を構えた。

(ここなら背後には回れない…)

敵機も先ほどのライの月下の動きに驚いているのか、警戒しているのかは知らないが、身構えたまま行動を起こさない。
様子見といった所だろうか…。
ライはそこでカレンと卜部に指示を出した。

「カレンと卜部さんはそこから射撃で援護してください。ただし、敵機には一定の距離を保つよう心がけて」

『わかった!』

『承知した』

二人は返事すると、敵機に向けてコイルガンとミサイルランチャーを放つ。
敵はその弾を巧みに避けていく。
ライはそれを確認すると、向こう側の壁面にスラッシュハーケンを打ち付けた。
この距離と弾丸の雨を避けている今なら敵は容易には動けない。
そして月下が壁に張り付くと弾丸を避けている敵機に飛び込んだ。
これだけならただの馬鹿だ。
しかし、ライは前方に左手をかざすと敵機の10m手前で輻射波動を放出した。
通常であればこの行動も馬鹿の内に入る。
しかし、相手が普通でないのなら、そしてライの予測が正しいなら、この行動は有効だった。
次の瞬間。
ライが目にしたのは輻射波動の影響によって変形した敵の左腕だった。
左腕から煙が上がっており、すぐに爆発する。

(範囲と時間は若干操作できるのか……)

爆発直前で左腕を切り離したため、完全には仕留め損なったライだったが、再び刀を構える。
そこでC.C.の通信が入った。

『残念なお知らせだ。準備が整った。ライ生きているな?』

それはこの戦闘のタイムリミットを告げる事でもあった。
ライはすぐにルルーシュ達と合流する。

『…そうか。ライ、おまえが作った時間は無駄ではなかった』

そう言うと同時にルルーシュが持っていた起爆スイッチを押し込んだ。
仕掛けていた爆弾があちこちで爆発し、バベルタワーが崩壊を始める。
そして、ライ達がいた床が抜けたためその場に残った敵機は見えなくなった。
ただこのままでは自分達もまずいのでそれぞれの判断でスラッシュハーケンを使い、ゆっくりと下に下りていく。
そして、爆発の影響でバベルタワーの上層部が崩れていく。
とりあえずこれで脅威は去ったため、息をつくライ。
この状況を見ていたカレンが理解したように呟いた。

『そうか。これで上にいる敵は地面に叩きつけられて…』

「それだけじゃない…だろ?」

ライはそう言ってルルーシュを見やる。
崩れたタワーの上層部は唯一脱出ルートに陣を敷いていたカラレス総督の所に落下していく。

『脱出ルートを絞ったのが過ちだった。そこにいますと教えているようなものだからな』

ルルーシュはライの問いに律儀に答えてくれた。
そして、カラレス総督が押し潰されたとわかった瞬間。

『ハハハハハ!さようなら、カラレス総督…』

「……その笑い方も相変わらずだ」

ライは苦笑する。

『さて、後は脱出だ。行く先は中華連邦の総領事館でいいかな、ライ?』

「ああ。というよりそこしかない」

ライは微笑みながら機体を動かし始めた。





















あれからブリタニア軍の包囲を無事に突破すると、黒の騎士団は中華連邦の総領事と交渉し、承認され何事もなく総領事館に入る事に成功した。
ただ入る前にライはルルーシュと話をしていた。

「君はアッシュフォード学園に戻るんだろ?ルルーシュ」

ライの質問にルルーシュは軽く苦笑した後、頷いた。

「ああ、俺がゼロとして蘇った事をあの男に、ひいては俺を監視している連中に知られる訳にはいかない」

「ナナリーの安全のために、か。確かに君にはアリバイを作る必要があるな」

「演説は前もって説明していた通りに。これを渡しておく」

そう言って渡されたのはテープだった。
ライはそれが何かは聞かずとも理解していた。

「当面は総領事館に待機だ。お前も総領事館から一歩も外に出るな。……ああ、それとあの魔女も出すな」

ライは困ったように笑った。

「僕は了解したが、彼女については保証はできない。あんな性格だからね、彼女は」

「おまえがいるなら大丈夫だろう。おまえにはゼロの代理としての臨時総司令なってもらう。後はまかせる」

「わかった」

二人はそれで会話を切り上げるとそれぞれの行動に入った。
とりあえず飛燕四号作戦は成功だった。
そしてこの日、世界に向けてゼロの声明が放送される。


























あとがき

またまた4000万HIT記念作品として投稿します。
次回以降は通常の投稿作品として投稿します。

今回はこの作品に入って初の戦闘中心の第三話をお送りしました。
アニメなら第二話に当たる所ですね。
タイトルも同じなのでわかる人が多いと思いますが。
今回のあとがきではライの搭乗する月下について紹介します。
出番が少ないので早いうちに紹介した方がいいと思いまして。
あとがきの後に紹介しているので是非見ておいてください。

今回の話も読者が気になるであろう所を解説していきたいと思います。
えーまずは卜部さん、死にませんでしたね。
ライの活躍により死ななくて済んだという事にしました。
キャラとしてはまあまあ好きなので作品序盤でいきなり死ぬ事もないだろうと生存という結果にしました。
次にライとロロの戦闘についてですが、ロロの戦闘は体感時間を止めるギアスを駆使してのものです。
ライは第一期の時にこれを体験済み(ゲーム本編参照)でして、それと現在のロロの能力を改めて見て、それをすばやく分析しての応戦という形にしました。
ライは分析力ならルルーシュに劣らないと思ってますから。
戦闘時にはさらにそれが冴えるという設定にもしていますが。
それで何故ライがああいう動きを取れたかというと、ロロのギアスは使用してからの範囲内の体感時間を止めるものでして。
つまり、その前に意図した行動はそのまま移されるという訳なんですよ。
だからロロがギアスを使用する前にライがルルーシュのサザーランドを突き飛ばして背後から迫るヴィンセントの攻撃を受け止めるという意思は実行される訳で す。
まあロロが使ったのは背後に回る所までですが。
体感時間を止めるだけなので、その前に実行された脳から神経への伝達は阻止できないという事です。
これは原作等を見てかなり研究して書いたので間違ってはないと思います。
まあ後はライの予測が正しかったという事ですね。

という事でTURN-3を見ていただいた訳ですが、どうだったでしょうか。
戦闘中心に書いていますが、ライのちゃんとした戦闘シーンもあるという事で力が入ってますので自信はあります。
今回も楽しんで頂ければ嬉しいです。

次回は原作とは違い、ライが裏方で色々と活躍します!
正直ライが大活躍する今までで一番長い話になります。
果たしてライはこれからどうしていくのか、それは次回に乞うご期待ください!

WEB拍手をしていただいた読者の方々、ありがとうございました。
読んでいる人の中にも知っている人がいて、嬉しいと同時にちょっと驚きました。
こういう感想はやっぱり嬉しく、やる気も出ます!
良かったと思ってくれた方は感想をお願いします!

次回の更新時期は未定ですが、まだ続けるので長い目で応援してください!
それでは次回まで、さようなら。









ライの搭乗機紹介

月下改(先行試作機)
武装:制動刃衝角刀
    ハンドガン
    スラッシュハーケン
    甲壱型腕
備考:以前ライ専用の月下(先行試作機)の改修及び強化を行った機体。武装に藤堂機と同型の刀を採用した以外違いはないが、藤堂機と同等の性能まで機体性 能を引き上げている。さらに藤堂機と 同じ髪を採用、色は水色。この機体は月下の武装ではなく、性能の底上げを図った強化機である。藤堂や四聖剣の運用データを反映しているため、扱いやすくは なったものの、相変わらず出力がピーキーで扱えるのはライただ一人である。


おまけ:この月下改になるきっかけの短編をいつか書く予定です。内容は短くなると思いますが、楽しみにしていてください。



改訂版修正箇所

ライのセリフ
文の一部
誤字修正



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