コードギアス反逆のルルーシュR2
              Double  Rebellion














TURN-10 神速と閃光〜超常のスピード決戦〜


ライは崩月の簡易的な補給を済ませるとすぐに藤堂、四聖剣と共に出撃した。
今斑鳩が立て籠っている天帝八十八陵に対して爆撃が行われていた。
どうやら大宦官は天帝八十八陵ごと、押し潰すつもりのようだ。
無論天子諸共。
どこまでも腐った連中だ。
崩月はマシンキャノンを爆撃機の群れに向けて乱射する。
藤堂の斬月も同様に機銃で攻撃し、薙ぎ払う。
四聖剣もそれに倣い、攻撃を開始する。

『ライ君、こちらは我々が抑えるから君はラウンズを!』

「わかりました!」

藤堂の声にライは答えると、それほど離れていない、地上付近で戦闘していた神虎とトリスタンに向かう。

「星刻さん!」

『っ!!』

ライの声で、崩月がすぐにトリスタンへ攻撃すると理解した星刻は素早く神虎を滑らせる。
神虎の陰から迫った崩月がトリスタンに肉薄する。
振り下ろされた刀をトリスタンはトルバートでかろうじて防いだ。

『ライか!』

「今は僕達は本当の敵ではないはずです。今の敵は!」

ライは言うと、トリスタンを押し切って刀を振るった。
距離を取ったトリスタンにすかさず斬り掛かる。

『あの時の借りを返させてもらうぜ!』

「やってみろ!」

互いに激しい攻防を繰り返す崩月とトリスタン。
そんな中、星刻はライに問いただす。

『何故私を助ける!』

「今の僕達の敵は同じ大宦官です。違いますか?……それにあなたの気持ち、少しはわかりますから」

ライの言葉に星刻はフッと笑いを零した。

『意外と甘いな、君は。大宦官を倒せば私はまたおまえの敵となるかもしれないぞ?』

その言葉にライもフッと笑った。

「その時はその時です。ただ僕自身はそうならないと思ってますが」

そう答えたライの言葉を聞いて星刻はこの場では彼を信じてもいいと思えた。

『…いいだろう。ただし味方と判断するのは君だけだ』

「十分です」

『なら早速頼みたい事がある』

その言葉と共に一方で戦闘しているモルドレッドとガン・ルゥがサブモニターでちらりと見えた。
どうやらモルドレッドのブレイズルミナスのせいで全くダメージを与えられないようだ。
もしなくても分厚い装甲に阻まれて効果的なダメージを望めないが。

『あちらで戦闘している私の仲間を助けてやってくれ。こちらは私が引き受ける』

「……わかりました」

ライはトリスタンのトルバートを弾くと、モルドレッドとガン・ルゥの部隊が戦闘している宙域に向かって飛んでいく。

『逃がすか!』

トリスタンが追いすがろうとしたが、星刻の神虎が入れ替わるように切りかかっていった。























ライは一方的にガン・ルゥを撃破し続けるモルドレッドの手前に向けて『蒼破閃』を繰り出した。
飛ばした斬撃破はモルドレッドの手前の地面を深くえぐる。
この攻撃はあくまで牽制とこちらに注意を向けさせるものだった。
全くの別方向からの攻撃にモルドレッドは攻撃を中断させて、崩月の方に向く。
そして、ガン・ルゥの部隊はそれを見ると、指揮官がライの意思がわかったのか部隊は大宦官のガン・ルゥ部隊に向かっていった。

一方アーニャは別方向から飛んできた攻撃を見てガン・ルゥへの攻撃を中断した。
視界に入ったのは以前戦ったあの双璧の蒼い機体。
攻撃を中断したのは視界に入る前に攻撃の正体がすぐにあの機体のものだと判断したからだ。
以前戦ってあの機体とパイロットの強さはよく知っている。
まず併行作業では戦えない。
それにアーニャにとってガン・ルゥへの攻撃よりもあちらとの戦いの方がおもしろいとも思ったのだ。
だから動いたガン・ルゥの部隊はわざと無視した。

『アーニャ、出来ればそいつは取っておいてくれ。まだ借りを返してないんでね』

「……いや。それに借りなら私も返してない」

かかってきたジノからの通信にそう返す。
そうすると、ジノはニヤリとした。

『そうだったな。じゃあまかせる』

ジノとの通信を切ると、アーニャは照準を変更して前方の蒼い機体に攻撃を開始した。

ライは繰り出される多数のミサイルを巧みに避けていく。
元々モルドレッドに対して射撃戦は得策とはいえないからライは一気にモルドレッドとの距離を詰めた。

『!』

ライは刀を横薙ぎする。
それをモルドレッドは受け止めるのではなく、機体をずらして避けた。
ライは次々と斬撃を繰り出すが、モルドレッドはぎりぎりで避け続ける。

(以前の戦いでこちらの攻撃への対策を練られている……。さすがラウンズだな。……だが!)

モルドレッドの機動性は超重装甲とはいえグロースター並にはある。
だが、今の崩月にとってはその程度だ。
ぎりぎりで避けられるのなら己の神速でかわせない程の乱撃を出せばいい。

「嵐月」

一気に無数の斬撃を崩月は繰り出す。
突然襲ってきた無数の斬撃をモルドレッドは回避が難しいと判断したのか咄嗟にブレイズルミナスの壁を展開して連撃を防いだ。
いくら崩月の刀がブレイズルミナスソードと言っても、さすがに威力がない連撃ではモルドレッドの強力なブレイズルミナスは破れなかった。
だが、ライはそれで手を止めず輻射波動の左手を突き出した。
モルドレッドはまずいと思ったのか、連撃を弾いた勢いを利用して間合いのぎりぎり外に離れて避けた。

(やるな……)

ライはそのまま距離を空けたモルドレッドを無理に追わなかった。
刀を構えて相手の出方を窺う。
すると、すぐにモルドレッドが動いた。
一瞬にしてこちらとの距離を詰めてくる。

「!!」

相手の起こすアクションを想定して構えたライだったが、まさかこちらの懐に飛び込んでくるとは思わなかった。
モルドレッドでこの選択は限りなく低いと思っていた。
しかし、ここはライの戦闘経験が物を言ったのか咄嗟に身をかがめてモルドレッドの拳を避ける。
ほぼ反射に近かった。
さらにそこへ今度は蹴りが迫る。
ライはそれを後方に飛び退く事で避けた。

(速い…!)

あのモルドレッドのスピードを本来以上に引き出すこの技量。
それに機体スピードだけでなく体のこなしも速い。
明らかに先ほどの動きとは違う。
距離を空けた所でさらに多数のミサイルが迫る。

「調子に……乗るな!」

ライは機体の姿勢を安定させると、すぐにミサイルを避ける。
そしてそのまま高速で迫るモルドレッドの懐に飛び込む。
ここに超高速の戦いが始まろうとしていた。



























高速ですれ違う崩月とモルドレッドの戦いは、ほかには目に追えないものとなっていた。
追える者はこの場には少ない。
互いに射撃、格闘、あらゆる手段で攻撃を仕掛け、それを避け、あるいは受け流す。
ライはこれまでのやり取りでモルドレッドのパイロットが今までのものではないと確信していた。
相手は確実に自分と同じタイプのパイロットだ。
自分と違うといえば、その動きが優雅である事か。
ともかくパイロットのナイトオブシックスが何らかの形で変わったのだろう。
そうとしか考えられなかった。
だが、その原因が見当もつかない。
自分と“同じ”なら説明もつくが……。
そんな事をライは頭の隅で考えていたが、それは後回しにした。
あまり長く他の事を考えながら戦える相手ではない。
繰り出された拳を刀身で受け止めた崩月はすかさず弾いて右薙ぎに刀を振るう。
それをモルドレッドはブレイズルミナスで受け流した。
反撃に右拳を繰り出したのを崩月は左手の輻射波動を放射して受け止める。
普通ならこれで破壊できるのだが、相手はブレイズルミナスが全体に張れるのを応用して拳にブレイズルミナスを纏って攻撃していた。
だから破壊できず拮抗する。
受けも同じだった。
こちらの攻撃をブレイズルミナスの形状を調整する事で受け止めるのではなく、受け流してくる。
さすがのライもこれには舌を巻いた。
なかなかこうまで出来る人はいない。
それは相手への賞賛だった。
崩月は受け止めていた拳をわざとそらして相手を蹴り飛ばすと追撃にマシンキャノンを連射した。
体勢を立て直したモルドレッドはブレイズルミナスの壁で弾丸の雨を防ぐ。
それを見たライはまたモルドレッドに突っ込んだ。
モルドレッドもブレイズルミナスを解除して向かってくる。

互いに剣と拳、蹴りを交える。
高速ですれ違いながら激しい攻防を再び繰り返していた崩月とモルドレッドだが途中で均衡が崩れた。
モルドレッドが繰り出した拳に僅かなタイムラグをつけて蹴りを放ってきたのだ。
ライは拳は避け、蹴りは刀を逆手に持ち替えて受け止めたが僅かに反応が遅れたため受け止めた体勢が不安定になってしまった。
衝撃までは殺しきれず吹っ飛ばされる。

「くっ!」

ライはすかさず崩月の体勢を立て直す。

『こっちよ』

「!!」

背後を振り仰いだ時には殴られて吹っ飛んでいた。
輻射障壁のおかげでダメージはなかったものの、衝撃は吸収できなかった。
完全に体勢を崩して落下しながら吹っ飛ぶ崩月にモルドレッドはシュタルケハドロンを向ける。

『終わりね。もう少し楽しめるかと思ったんだけど……』

ライは吹っ飛びながらもそれは確認できた。
このままではやられる。
だが、覚悟はできていてもここで終わる気は毛頭ない。

(同調(シンクロ))

ライとあのもう一人のライが混ざり合う。
それが終わった瞬間ライは信じられない速さで操縦桿とペダルに入力を行っていた。
次の瞬間、崩月は体勢を立て直してモルドレッドに突っ込む。
そこにモルドレッドのシュタルケハドロンが放たれる。
それをライは機体の進路をわずかにずらす事で避けた。
まさにハドロン砲のビームが、かするかかすらないかのぎりぎりの距離を保ちながら接近する。

『嘘!避けたの!?』

パイロットのナイトオブシックスから驚きの声が漏れた。
先ほどから感じていたが、何故か以前よりも感情がある。

「とっておきだ」

ライは呟くと正眼に刀を構えた。
神速で崩月がモルドレッドに突進する。

「九尾月影閃!!!」

崩月の全性能を引き出して斬撃全種類9つをほぼ同時に繰り出す。
パイロットにはあらゆる角度からの剣戟がほぼ同時に迫っているように見えただろう。

ドガガガガガガ!!!

モルドレッドは回避できずに全て喰らって吹き飛んだ。
技を出し終えたライは吹っ飛んだモルドレッドを見つめる。
吹っ飛んだモルドレッドは多少の傷をつけながらも致命傷は避けていた。
吹っ飛んでいたモルドレッドが機体を立て直す。

(ブレイズルミナスを利用して致命傷は避けたのか。さすがだな)

ライが出した『九尾月影閃』は回避防御共に不可能の突進系の最強技。
崩月のスピードを最大限に発動して打ち込んだ。
さらに『嵐月』と同じ乱撃術でも9つの斬撃全てが一撃必殺の威力を持ち、突進術でもある。
崩月のスピードを下回るモルドレッドのスピードではかわしきれない事は明白。
普通のナイトメアなら防御も不能なのだが、モルドレッドに関しては別だった。
なぜなら全面に展開できるブレイズルミナスがある。
だからライの技を見た瞬間にブレイズルミナスを展開した。
ただ崩月の刀はブレイズルミナスソード。
アンチブレイズルミナスの武器にこれは不利だ。
それでモルドレッドはまずブレイズルミナスを前面に出力全開で展開した。
それでなんとか8つの斬撃を受け止めた。
しかし、9つ目の斬撃『突き』は止められない。
ましてライの突きは特別だ。
攻撃によって出力を落とされたブレイズルミナスで防ぐのはまず不可能。
事実崩月の突きはモルドレッドのブレイズルミナスを素通りした。
以前でさえそれたとはいえ貫いたのだ、当然である。
しかし、そこでモルドレッドは突きに合わせて後ろに飛び退いた。
素通りしたとはいえ崩月の突きの威力は例え少しでも弱まる。
それを狙って避けたのだ。
結果ナイトオブシックスの狙い通り突きはモルドレッドの胸部装甲をわずかに突いた程度で終わった。
体勢を立て直し、少し経った所でパイロットが笑い始めた。

『アハハハハ!強いのは知ってたけど、こんな凄いパイロットだとは思わなかったわ。まさかこの私を追い詰めるなんて』

確かにそうだ。
しかし、追い詰めたとは言っても先ほどの一瞬である。
それでも相手はそれに驚き、そして楽しんでいる。
相手の心理が上手く掴めずライは眉を顰めた。

『もう少しやりたかったけど、そろそろ私は失礼するわね』

「…?」

ライは相手の言葉の意味がわからず当惑してしまう。
モルドレッドが何らかのアクションを起こすのかと結論したライは刀を構える。
しかし、モルドレッドに動きはない。

(何だ……?)

疑問に思い始めた時、モルドレッドが突然動き始めた。
ただまるで目覚めたみたいに動いた。
周囲の状況を確認してこちらに視線を戻してくる。
そして動きも先ほどのものではなく、最初の頃に戻っていた。

(やっぱりパイロットが何らかの原因で変わったのか……。しかし、想像がつかないな。俺は少し特別だから同じではないしな……)

そう考えながらライが仕掛けようかと思った時だった。
大きな爆発音が辺りに響いた。
ライがサブモニターで見ると、ちょうど斑鳩が中華連邦軍の一斉射撃を受けた所だった。
ハッとしてそこを見たライだったが、そこから一機のナイトメアが現れた。
『蜃気楼』、それがあのナイトメアの名前で操るのはゼロだ。
蜃気楼は天子と神虎を守るように前に立っていた。

(ゼロが出たのか。という事は……)

ゼロのする事がわかったライは彼の元に向かいたかったが、目の前のモルドレッドを振り切るのは難しい。
どうするかと考えていた時に蜃気楼から拡散相転移砲が発射された。
先に発射したクリスタルで相転移砲を乱反射させて周りのガン・ルゥを薙ぎ払う。
そして、その一部がモルドレッドに迫った。
モルドレッドはブレイズルミナスでそれを受け止める。
少し時間が経っていたので出力は回復したようだ。
ライはそれを隠れ蓑にしてゼロの元に向かう。
その途中でC.C.と千葉、卜部の乗る暁とすれ違う。

『ライ、そいつは私と千葉、卜部が抑える』

「まかせる」

モルドレッドが気づいた時にはライの崩月はモルドレッドからかなり離れ、相手も入れ替わっていた。























ライはすぐに斑鳩の甲板上に着いた。

「大丈夫か、ゼロ」

近くにいる神虎と天子を一瞥してゼロに通信をかける。

『ああ、問題ない』

「ならいい。それよりこれは君の策か?」

このとき既に中華連邦各地で暴動や反乱が起きていた。

『ああ。星刻達の計画を使ってな。それに天子のおかげで大宦官の悪役っぷりも際立ったしな』

先ほど大宦官との通信記録と星刻達のクーデターに合わせた人民蜂起を利用したようだ。
上手くできている。
つまり。

「これは援軍なき篭城戦じゃない」

そう、援軍はこの中華連邦の人民全てという事なのだ。
その後、ゼロは地上部隊も含めて全戦力を投入した。
地上部隊は爆撃されるかと思ったが、それはなくブリタニアは撤退していった。
そして、中華連邦軍は黒の騎士団に敗北し、戦闘は終結した。























ライはゼロと共に中華連邦軍の旗艦に向かった。

『紅月カレンはどこにいる?』

ゼロが問いかけると、助けられた女性から返答があった。

『ああ、捕虜なら移送されました』

『何!?』

『大宦官が引き渡した。ナイトオブセブンに』

「スザクに?」

ライは歯噛みした。
まさかブリタニアに既に引き渡されていたとは。
これで助けられるかと思ったのだが。

「いつか、必ず助ける。カレン……」

ブリタニアに囚われているカレンを案じ、ライは呟いた。
























戦闘終結からしばらく経って既に朝となっていた。
今は黒の騎士団、星刻達クーデター派、いや今は中華連邦側の両陣営とも戦闘後の後始末を終えこうして向かい合っていた。
ライ達の前では天子が星刻と再会して嬉しそうに泣いている。
まだこれが嬉し涙とわかっていない彼女だが、そんな光景にライは微笑ましさを感じた。
これから彼女はこういう事も学んでいくのだろう。
そんな中、ディートハルトがゼロに話しかける。

「ゼロ、天子の婚姻が無効になった今この事を世界中に喧伝する必要があります」

「そうだな」

「その場合同時に日本人の誰かと結婚していただくのが上策かと」

その言葉が聞こえたのか天子がハッとして振り返った。
ライもその言葉に眉を顰める。
確かに案としては悪くないと思える。
しかし、これは感情面では到底納得できない。
それにこれは政治に適用すべきではないと思う。
何より……とライは天子の方をちらりと見てからゼロ達の話にもう一度耳を傾けた。

「よろしければ私の方で候補者のリストを……「なりません!!」」

ディートハルトが言っている途中で神楽耶が猛反対する。

「…!神楽耶様、これは高度に政治的な問題で……」

「単純な恋の問題です!政治で語る事ではありません!」

「……うん、そうだな」

驚いた事にC.C.まで神楽耶に同意した。
さすがにディートハルトもこれではいけないと思ったのか口を開く。

「私達は戦争をしているのですよ」

「おまえは黙っていろ」

そこに千葉がそうはっきりと言った。
随分と強気な態度である。
と言ってもあまりにも無礼な言葉遣いにディートハルトもさすがにイラっときた。

「おまえ!?参謀に向かって……!」

そのやり取りを見てラクシャータが笑いを零す。
ディートハルトは彼女を睨んだが、今はその怒りは置いておく事にしてゼロに迫る。

「ゼロ、ご裁可を」

「ゼロ様ならわかっていただけますよね!?」

あいにくとゼロ=ルルーシュはこういう事に関して朴念仁であるからわかっていただけるかは期待できない。

「それは……。…ライ、おまえはどう思う?」

そこで僕に振るのかゼロ……。
確かに司令補佐である僕に意見を求めるのは筋が通ってるが……。
ライは驚きで一瞬目を見開いたが、すぐに表情を戻した。

「そうだな……。僕としては神楽耶様とC.C.の意見に賛成だな。婚姻が無効になった事は発表すべきだとしてもそこまでする必要性は全くないと思う。神楽 耶様の言った通りこれは政治で語るべきではないな」

ライの意見にディートハルトは明らかに不愉快そうな顔をし、対照的に神楽耶様は思いっきり笑顔で頷いている。
何故かC.C.は少し驚いた表情をしている。

「………そうか」

ゼロはライの意見を聞いてそう返事したが、まだ決めかねているようだった。
おそらくディートハルトの案には問題はないと思っていたのにそれに神楽耶達、ひいてはライまで反対した事に戸惑いを隠せないのだろう。

「ゼロー!昨日の件だけどよー」

すると、いきなり左の階段の方から声がかかった。
見てみると、声の主は玉置だった。
階段を上ってこの状況を見た玉置は気まずそうな顔をする。

「あれ?まだ会議中?」

その通りであるのだが……。

「いや、いい」

ゼロの言葉でディートハルトがぎょっとした。

「ゼロ、こちらは!?」

「玉置の話も重要事項だ」

そう言って玉置の方に歩いていくゼロを見てC.C.はくすりと微笑むのをライは見た。

(逃げたな……)

ライも心中は苦笑していたが、結局最終的な判断を下すのはゼロなので彼が用を済ませて帰ってくるのを待つ事にした。



















しばらくしてゼロが帰ってきた。
ただ先ほどと身に纏っている空気が違う。
決断できたのだろう。
ゼロは天子の前に行くと、仰々しい身振りを加えて告げる。

「天子よ!あなたの未来はあなた自身のものだ」

ゼロの言葉にライは微笑んだ。
どうやら彼もわかってくれたらしい。
星刻もその言葉で鍔にかけていた手を解いた。

「さすがですわ、ゼロ様!」

「しかし、仕官関係をはっきりさせねば」

「力の源は心にある。大宦官達に対して決起した人々に私達黒の騎士団は心の力で戦ってきた」

「ああ。ああ、そうだな!」

「心の…力……?」

扇がそれに同意するのに対しディートハルトはそれが何だというような表情をしている。

(ディートハルト、それがわからないようならあなたもまだまだだ)

ライは心中でそう言うと、ゼロ達の方に再度意識を向けた。

「ゼロ、君という人間が少しだけわかったような気がする」

星刻が前に出てゼロと握手を交わした。

「進むべき道は険しいな」

「だからこそ明日という日は我らにある」

こうして上手く黒の騎士団と中華連邦との同盟が締結された。























同盟締結も終わり、幹部のみんなと帰り道の途中C.C.が口を開いた。
ちなみにゼロとディートハルトはここにはいない。

「まさかお前が反対するとはな」

明らかにC.C.の視線がライに向いているので、お前がライの事を指しているのは明白だった。
言いながら不適に微笑む彼女にライは不思議に思った。

「そんなに僕が反対したのがおかしかったか?」

周りのメンバーにも確かめるように視線を向ける。

「確かに君が他人の恋路を理解したのは驚きだったね」

「そうだな」

「そうね〜、意外だったわ〜」

「うむ、全く持ってその通りだ」

朝比奈、千葉、ラクシャータ、卜部も同意しているように笑いながら言い、ほかのみんなもそう思っているのか同意しているように見える。
藤堂も例外ではないようだ。

「…?そんなに意外ですか?分かりますよ?あれくらいなら」

そう言ったライに聞いていた全員が怪訝そうな目でライを見た。
まるで「おまえは全然分かっていない」と言っているような顔と視線だった。

「な、何で皆そんな目で僕を見るんですか!」

心外だと言うように叫んだライを見て、周りの皆が笑い始めた。

(そんなに鈍いのか?僕は)

内心首を傾げるライだったが、顔は笑っていた。
ライにとって今この場所が居心地のいい居場所になっていた。


























みんなにしきりにからかわれた後ライはC.C.と共にゼロと合流し、彼の部屋に向かっていた。

「カレンの事もあるからな。ひとまずエリア11に戻る」

三人は今後の事について合流した時点から話していた。
ゼロ=ルルーシュは今後の対策のために一度エリア11に戻るらしい。

「中華連邦はどうする?」

「確かに反対勢力は残っているが、民衆が立ち上がった以上星刻や藤堂の敵ではない。……それに」

ルルーシュはゼロの仮面を取りながら続ける。

「見てみたいだろう。心の力を」

それにライは微笑んだ。

「成長したな、坊や」

C.C.も明るい口調で軽口を言う。
でも実際そうだと思う。

「黙れ魔女。……ともかくこれで本来の目的に向かえるというわけだ」

ルルーシュは着替えをしながら言う。

「 嚮団……だな?」

ライはC.C.が無造作に脱ぎ捨てた服を仕方なく畳みながら確認する。
ちなみに当の本人は長いすにチーズ君の人形を抱き枕にしながら寝転んでいる。
服装ははっきり言って今ここでは説明したくない。
露出度が高すぎる。
と言ってもルルーシュとライはC.C.がこういう事に関して気にしていない事を知っているので見て見ぬふりをしている。
いちいち気にしていたら神経がもたない。

「ああ。ギアスを生み出し研究している組織。 嚮団を抑えればギアスの面でも皇帝を上回れる」

「だが、 嚮団の存在は人の世から周到に隠されてきた。それに当主が交代する毎に 嚮団もその位置を変えている」

そうなのだ。
確かに 嚮団を手に入れればギアス面では間違いなく皇帝を上回る。
しかし、場所がこうも周到に隠されていては見つける事すら難しい。

「今の 嚮団が中華連邦の領土内にあるのは確かなんだな?」

「私の後の当主V.V.はそう言った。しかし、この国は広い。ロロとかいう奴も詳しい位置はわからないんだろ?どうやって捜し出す?」

以前ルルーシュがロロにそれを尋ねた事があったがC.C.の言うとおり大まかな位置しか知らなかった。

「そのためにこの国を手に入れたんだよ、C.C.」

ライの言葉にC.C.は目を僅かに見開いた。
その言葉をルルーシュが引き継ぐ。

「物資の流通、電力の供給、通信記録、痕跡は必ずある」

「国の力を使って捜すつもりか……」

「中華連邦は大きな国だからね」

ルルーシュの言ったとおり人が住んでいる以上どれだけ隠そうと、そういう痕跡は僅かでも残る。
それを国という大きな力で捜すという事だ。

「C.C.はこちらに残り 嚮団の情報が入り次第俺に連絡をしてくれ」

「……わかったよ」

「それとライ、おまえには俺のサポートを兼ねてアッシュフォード学園に再び入ってもらう」

「……え?」

てっきりここで仕事なり任務なりこなすと思っていたライはルルーシュの予想外の指示に目を丸くした。
しかも、あのアッシュフォード学園にいきなり入れというのだ。

「カレンを救出するのか?」

「それは作戦を立ててからだな。所在を掴む必要もある。いくらおまえが頭脳や身体能力が優れ、ギアスを使えると言ってもそう簡単に取り戻すのは不可能に近 い。それにギアス面ではおまえに無茶をさせるつもりはない。助けたい気持ちは俺も同じだが、ここは俺の指示があるまで待ってくれ」

「ああ……じゃあ向こうでは何を?」

「今後に備えてしておく事があるからな。おまえが俺の傍にいてくれた方が俺としても助かる。それに……おまえには今まで色々と無理をさせてきたからな。一 度息抜きを兼ねて学園に戻ってくるといい。おまえにとってはいい休みにもなる」

ライはそう言うルルーシュの心遣いが嬉しかった。
しかもアッシュフォード学園に戻れるという事がライの嬉しさに拍車をかけていた。

「ああ……わかった。ルルーシュがそう言うなら」

こうしてライのアッシュフォード学園転入が決定した。
正確には再入学だが。
とにかく再びの学園入学に少なからず喜びを感じていたライだったが、まさか学園でも騒がしい展開が待ち受けている事をこの時彼は予想すらしていなかった。























あとがき

やはりというか何というか早い期間で投稿できました。
相変わらず調子がいいというのもあるんですが、暇なのも影響してると思います。
そして、ついにこの作品の話数が二桁の10話に突入!
いや〜いろんな作品の投稿活動を始めてからもう5年ぐらいになるんですが、10話まで書けたのは正直初めてです。
これもこの作品を応援してくれている読者の皆さんのおかげだと思っています。
これからも完結までがんばっていこうと思いますので、よろしくお願いしますね!
ちなみに今回はアニメの第11話にあたる所です。

それでは今回も解説をしていきます。
えー、いきなりですが、ライ君は爆撃機の迎撃からモルドレッドとの戦いに移ってもらいました。
正直原作見てて「あれひどくね?」とかいう感じだったのでこの際崩月とモルドレッドでタイマンで活躍してもらう事にしました。
で、はっきり言います。
崩月だけでなく、モルドレッド速いな、オイ!と思った方たくさんいると思います。
しかも、いつの間にかアーニャから○○○○○に人格変わってるし!と気づいた方もいらっしゃるでしょう。
まああの人なら間違いなくモルドレッドをあれくらい使い倒せるだろうな〜と思ってあんな感じにさせてもらいました。
それにライが神速なんですし、この際この話のタイトル通り閃光のあの人にも出張ってもらいましょう!という事で……。
正直、一度やってみたかったんです。
超高速同士の戦闘。
コードギアスにはそういうのはあまりなく、メカ同士の熱い戦闘に欠けるので。
ライの神速の真骨頂とこの戦闘を見て熱くなって頂けたのならもう嬉しい事この上ないです。

その後は黒の騎士団と中華連邦との同盟までのシーンですね。
まあやり取りは原作通りですね。
ただ、ライは自分に関する好意はちっともわからないくせに、他人への好意とかはわかったんですね。
そのおかげでみんなにからかわれるという一場面を出させてもらいました。
ライは優秀だが、改めて朴念仁という部分を印象づけさせてもらいました。

そして、最後はライが再びアッシュフォード学園に入学!という事になりましたね。
その続きは次回を見てくださいね!

解説はここまでです。
前回なんかすんげー発言してましたが、要はあの超高速戦闘が書きたかっただけですね、この話(爆)。
それが書きたかった理由BEST4に入ったと。
タイトルにもそれが表れていると思います。
実際、それが中心ですし、後の物語にも若干関わってきますから。

次回は……あまり言いたくない+自信がない……(汗)。
ライが学園に入ってからの物語です。
久しぶりの学園生活を楽しんだり、遊んだり、もしかしたら予想外の恋も!?
詳しくは次回を見てね!
ただし、作者である私は日常ネタとか恋模様を書くのがはっきり言って未だにダメに近いので期待は程々にしておいてください。

9話投稿の後、たくさんのWEB拍手ありがとうございました!
今回は感想も多くて嬉しかったです!
期待してくれている人がいるなんて…正直感動してましたが、次回で評価が落ちそうでめっちゃ不安です。
でも、素直に嬉しいのでめげずにがんばっていきたいと思います!
アドバイスの方もありがとうございました!
それも生かせるように努力していきたいと思います!
WEB拍手だけでなく、感想掲示板等も使って感想書いてくださるともっと嬉しいです。
返信できるかはわかりませんが、できるだけしようと思っていますので。
不定期更新は変わりませんが、これからもよろしくお願いします!
今回はあとがきの後にちょっとした試みで新コーナーを用意してますので、是非ご覧になってください!
第10話を読んでくださった読者の皆様ありがとうございました!
それではまた次回に!
今月はまだ寒いので風邪にはご注意を…。






改訂版修正箇所

ライのセリフ
その他文一部
星刻のセリフ一部














新コーナー なぜなにギアス


「どうも、主人公のライ(以降ライ)です。今回から作者様の試みでコードギアスに出てきた難しい用語等を読者の皆様のために楽しく解説していこう!という 試みの新コーナー『なぜなにギアス』です。評価が良ければ続くかもしれないので、よろしくお願いしますね。それでは、今日のゲストを紹介します」

「ルルーシュ・ランペルージ(以降ルル)だ。よろしく」

ライ「さて、ゲストのルルーシュも来た所で早速始めていきましょう!ということで、ルルーシュ。早速君に質問があるんだけど」

ルル「何だ、ライ?」

ライ「この作品ではなかったけど、君が原作アニメで言ってた『ノーブル・オブリゲーション』って何なんだい?」

ルル「そうだな。なら俺が説明してやろう。『ノーブル・オブリゲーション』とは単純に訳すと、貴族の義務という意味になる」

ライ「それってどういう事?」

ルル「高貴な身分に生まれついた人間には、それに伴う責任があるという、貴族社会特有の考え方の事だ。もっと詳しく言うと、金銭を得ることを目的としない 福祉活動や慈善事業、または臣民が安心して暮らせるような治安活動や軍事行動、国家維持なども含むとされるんだ。まあ俺が言った事は広義的にとらえれば、 『持てる者=ブリタニア人』が『持たざる者=一般市民』を不当に搾取し、貶めている現在のブリタニアのありかたはその精神に反しているという意味で使った んだ」

ライ「なるほど。勉強になるな。さて、次に行こう。次は蜃気楼の絶対守護領域ってどういうシステムなんですか?っていうのがあるよ」

ルル「あれは正確には蜃気楼に搭載されたシールドの形成領域を指した言葉だ。システムはドルイドシステムとブレイズルミナスを組み合わせたものだ。ただ し、使用には射出された粒子のエネルギー量や角度の分析と攻撃を完全に吸収するためのシールド形成領域および出力の設定をしなければならない」

ライ「つまり情報処理技術に長けたルルーシュ以外には扱いが難しいという不完全で特異なシステムって事だね?」

ルル「まあ、そういう事になるな」

ライ「わかったかな?さて、最後は中華連邦編も終わりだから中華連邦について復習しておこう」

ルル「中華連邦については俺が説明しよう。中華連邦とは天子を頂点とする、連邦主義共和国だ。インドやモンゴルの一部もその領土となっていたが、今回の クーデターにより連邦制は崩壊している」

ライ「今は数カ国が独立して、分裂しているけど、それを平定していくのがこれからの黒の騎士団に必要な事の一つだよね?」

ルル「その通りだ、ライ」

ライ「中華連邦がどんな国だったか簡単に言ったけど、わかってくれたかな?次回からはギアスに関わる用語を解説していきたいと思います。また、このコー ナーがあれば会いましょう!このコーナーはライと!」

ルル「ルルーシュがお送りしました!」



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