コードギアス反逆のルルーシュR2
              Double  Rebellion














TURN-14 本当の願い


ライとルルーシュは皇帝が視界内にいるとわかると、すぐにそれぞれの愛機の陰に隠れた。

「久しいな、ルルーシュ。そして、お初にお目にかかる、狂王ライ」

ライが呼ばれているのはかつての呼び名だった。
あの皇帝がライの事を敬語で呼ぶのはシャルルよりも先代の皇帝にあたるからであり、実はライが今のブリタニアになる最初の小さなきっかけを大昔に作ってい た人物だった からだ。
しかし、そんな事は今のルルーシュにはどうでもよかった。

「8年前の質問に答えてもらう!何故母さんを守らなかった!他の皇族が母さんを疎んじているのを知りながら!」

「人は平等ではない」

「何っ?」

「お前達は他のものにはない力、ギアスを持っている。その力で聞き出せばよかろう」

明らかに誘っている。
ライとルルーシュは互いに視線を合わせ、小声で話す。

「ルルーシュ、ここは僕のギアスを使おう」

「いや、…ここは俺にやらせてくれ」

皇帝のギアスはルルーシュと同じ視覚を媒体とするタイプだ。
待ち伏せになる形の皇帝の方がルルーシュよりギアスをかけるスピードは早い。
だから皇帝の目を見ることなく、ギアスをかけられるライがギアスを使う事を提案したのだが、ルルーシュはあえて断った。
やはり、皇帝シャルルには並ならぬ思いがあるらしい。

「どうした、狂王ライのギアスを使えばよかろう。それとも、怖気づいたか?」

「ふざけるな!おまえの相手はこの俺だ!」

ルルーシュはそう答えると、ポケットから取り出していたスイッチを押す。
次の瞬間、蜃気楼から液体金属プリズムが発射された。
蜃気楼の拡散構造相転移砲に搭載しているものだ。
それが空中で砕けてルルーシュたちに降り注ぐ。
それを見た瞬間、ルルーシュはギアスを発動した。
砕けた破片は無数の鏡となって、隠れたルルーシュの目に破片に映った皇帝が見えた。

「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる!貴様は…死ね!!」

ギアスが光情報となって皇帝シャルルの目に一点に襲い掛かる。

「ぬわああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ルルーシュのギアスが一瞬にして皇帝シャルルに届いた。

「よかろう」

そして、シャルルは命令通りに、懐にあった拳銃を抜いて自分の胸にあて、引き金を引いた。
撃たれたシャルルの胸が血に染まる。
程なくして皇帝シャルルは仰向けに倒れた。

「勝った…?」

その様子を落ちてきた鏡をキャッチして見ていた2人は、それを確認していた。

「勝った…!ナナリー、母さん、俺は…俺は……くっ、うあああぁぁぁぁぁ!!!」

ルルーシュが雄叫びを上げた。
その様子をライはただ黙って見ていた。
そして、2人で階段を上る。
上りきった所でライとルルーシュは皇帝の亡骸を見つめた。

「殺してしまった…、こんなにもあっさりと……。聞きたい事があった、詫びさせたい人がいた…、なのに……」

「ほお、誰が?」

そこで2人はぎょっとした。
この声は死んだはずの…!

「小癪だな。ルルーシュ…!」

死んでいたはずのシャルルが目を開けてこちらを睨み倒している。

「生きている…!?そんな、確かに心臓を…!」

驚いて後ずさるルルーシュに対し、皇帝シャルルはゆっくりと起き上がる。

「策略、姦計、奇襲。そのような小手先でわしを倒そうとは……」

そして、皇帝シャルルが立ち上がった。

「王道で来るがいい。王の力は絶対であるが…」

「くっ…。死ねーー!」

ルルーシュが再びギアスをかけようとする。

「それが…どうした!」

「なっ……ギアスが効かない」

ルルーシュが怯え始め、さらに後ずさりする。
だが、その前にライが出た。

「ほぉ……」

「!ライ……」

ルルーシュをかばうようにライは立っている。
その目は静かな光をたたえている。
そして、ライの右手には既に愛刀の『蒼焔』が握られていた。

「月牙…零式」

ライはそれだけ言って、零距離で月牙を放った。
皇帝シャルルが月牙をまともに喰らい、吹っ飛んで後方にあった柱に衝突する。
ライは突いたままの体勢から戻ると、刀を下ろした。
心臓を突いた。
普通ならこれで確実に死んでいる……しかし。

「まだわからんようだな」

胸部を貫かれ吹っ飛んだ皇帝シャルルは言いながら起き上がった。

「これでもダメか……」

ライは半ばわかっていたように呟いた。

「我は剣でも、銃でも、何を持ってしても……無駄だぁ!」

言いながら手袋がはずされたシャルルの右手を2人が見ると、そこにはギアスの紋章が刻まれていた。

「「なっ!?」」

シャルルはコードを持ち、不死の存在となっていたのだ。
ライはそれである事に気がついた。

「まさか、V.V.から奪ったのか…!」

「そうだ」

言って立ち上がった皇帝シャルルは、ライとルルーシュに接近してくる。
ルルーシュはそれに怯んだが、ライは一歩も引かなかった。

(妖刀でもやっぱり無理だったか…。あの刀と剣があれば、別なんだが……)

一方、皇帝シャルルも一歩も引かない狂王ライに感心していた。

「ほぉ、この期に及んでも退く姿勢を見せないか」

(こやつ、恐怖がないわけでもない。ただ、命を捨てた目をしている訳でもない……。まだやれると思っておるのか……)

「退いたら、これまでの僕の決意とか覚悟とかそういう者が壊れてしまうと思ってね」

ライはそう返したが、シャルルはそれ以上は無視した。

「わしはギアスの代わりに新たなる力を手に入れた。ゆえに、ルルーシュ、狂王ライ、教えてやっても良い。この世界の真の姿を」

「一体何を…!」

シャルルが地面から出てきた何かの操作機に手を当てた。
その瞬間、ライとルルーシュの足元を円状の光が覆い尽くした。
そして、そのまま2人の意識はまた光に包まれた。















2人は今度は白い世界にいた。
そして、2人が訳の分からないまま呆然としていると周りから次々と仮面のようなものがせり出してきた。

「何だ、これは…!」

ルルーシュがあまりの光景に声を上げる。
すると、そこで世界は白から機械仕掛けの歯車の世界に変わった。
そして、そこに皇帝シャルルが現れる。

「ギアスとは何だ!?貴様は何を企んでいる!」

「おかしな事よのう。嘘にまみれた子供が一つの真実を望むか……。おまえはゼロという仮面の裏で何を得た…?」

何かおかしい。
皇帝シャルルが大きくなってこちらに来たかと思えば消える。
何だ、ここは?

「手に入れた!ただの学生では到底手に入れられない程の軍隊を、部下を、領土を!」

その時誰ともわからない声が聞こえてきた。

「ユーフェミアを失い、スザクやナナリーにまでも姿をさらせなくなった」

「黙れ!人は誰でも嘘をついて生きている。俺もそうしただけだ」

「何故嘘をつく?本当の自分をわかってほしいと思っているくせに……。そう望みながら自分をさらけ出せない」

「仮面を被る」

「本当の自分を知られるのが怖い」

「それは違う」

そこでライが否定した。
ハッとしてルルーシュがライの顔を見る。

「確かにルルーシュは臆病で、疑い深く、他人には友好的じゃない。でも、少なくとも今の僕に対しては違う」

「どうしてそう言い切れる?」

「初めはおまえだって嘘をつかれ、ついてきただろう」

「確かに……そうだ」

ライはそれを肯定した。
確かにそうだ。
記憶喪失で自分の事がわからなかったとはいえ、ルルーシュだけでなく皆に幾度となく嘘をついてきた。
それは否定しようもない事実だ。

「だが、小さなきっかけが続いた事でそれは無くなった。互いに自分の真実をさらけ出せるようになった。そして、親友になれた。それが僕とルルーシュが手に 入 れた物だ」

「だが、もう嘘をつく必要はない」

そこで再び皇帝シャルルが現れた。

「何故なら、おまえはわしで、わしはおまえ。わしがお主なら、お主もわしだからだ」

お主がライを指しているのはすぐにわかった。
しかし、言葉の意味がわからない。

「?」

「ルルーシュ、そして狂王ライよ。人は元々世界には1人しか存在していない。過去も未来も、人類の歴史上たった…1人」

「1人…?何を言っている」

「シャルル」

聞こえた別の声で、ルルーシュとライは声のした方を振り仰ぐ。
開いた歯車の中から出てきたのはC.C.だった。

「遊びの時間はもう終わりだ。私にとって“それ”にもう価値はなくなった」

「C.C.……」

「それ……?」

ライはC.C.が冷たくルルーシュをそれ呼ばわりした事に眉を顰めた。
今までC.C.はルルーシュにそんな事を言った事はなかったはず。

「それらを篭絡して、私を誘い出す必要もない。私はすでにここにいる」

訂正。
今度はライ自身も含まれていたようだ。

「そうだな、C.C.……。おまえの願いはわしがかなえてやろう」

C.C.の願いを知っている事にライとルルーシュは驚いた。

「C.C.の願いを知っているのか!?」

「ルルーシュ、そしてライ。今こそ私とルルーシュの契約条件、我が願いを明かそう」

C.C.が言うまで少しの間があった。

「我が願いは死ぬ事。我が存在が永遠に終わる事だ」

「終わる…?しかしおまえは……」

ルルーシュが動揺した目をしている。
当然だ。契約の内容がようやく明かされたと思えばそれが死ぬ事なのだから。

「ギアスの果てに、能力を得た契約者は、力を授けた者の地位を継ぐ事ができる。つまり、私を殺して新たなる不死者となる」

「お前を…殺す?」

「数多の契約者は、誰一人としてそこまで辿り着けなかった。しかし、ここに達成人、シャルルがいる」

「馬鹿な……」

ルルーシュの呟きが聞こえる。
ライはこの話には口を挟まなかった。
これは彼女とルルーシュの問題だ。

「お前は死ぬために……俺と契約したというのか」

C.C.は冷たく頷いた。

「そうだ」

「死ぬために生きてきたと?」

「この世の摂理はそこにある。限りあるもの、それを命と呼ぶ」

「違う!生きているから命のはず!」

「同じことだ。死があるから人は生を自覚できる」

「言葉遊びだ、そんなもの!」

「しかし、人は死ぬ」

「だとしても、この世に生まれた理由が、意味が…!」

「知っているくせに……。そんなものはただの幻想だと」

言うC.C.がライには儚く見える。

「死ぬだけの人生なんて悲しすぎる!」

「死なない積み重ねを人生とは言わない。それはただの経験だ」

そして、C.C.はルルーシュに言う。

「おまえに生きる理由があるのなら私を殺せ。そうすればシャルルと同等の……戦う力を得る」

「……俺は」

ルルーシュの顔が強張った。
しかし、それだけだった。
ルルーシュはやはり動くこともなく、C.C.をただ真っ直ぐに見つめていた。

「さようならルルーシュ」

「!」

「お前は優しすぎる」

冷たく告げてC.C.はいつの間にか出てきた装置に手をあてて操作する。

「待てっ!お前は」

ルルーシュはそこで本能的に何かを悟ったのだろう。
しかし、ルルーシュは言い終える前に足元に空いた穴に吸い込まれていった。

「うわああああぁぁぁぁぁ!!」

そして、ルルーシュがいなくなった後この場にはライとC.C.、シャルルが残った。

「シャルル。少しライと話をしてくる」

「…わかった」

シャルルが承諾した瞬間、ライは光に包まれた。











そして、程なく違う場所に出た。
まるで書庫のような場所だった。
そしてC.C.がライの目の前に現れた。
目の前にいる彼女は先ほどの冷たい印象とは違い、どこか悲しそうな顔だった。

「驚かないんだな」

口を開いた彼女にライは苦笑して答えた。

「十分驚いているよ。あの時は口を挟むべきじゃない。そう思ったから黙っていただけだ」

それからしばらくの時間沈黙が場を制した。
そして、ライが口を開いた。

「……だが、なんとなくわかっていた。君が死を望んでいる事は……」

それを聞いたC.C.が驚いたような顔をした。
隠せていると思っていたようだ。

「いつから気づいていた?」

「……君が僕を目覚めさせてしばらくしてから…かな。時々君のする瞳が僕に似ていた……。僕も…死を望んでいたからな……」

数百年前のあの日。
全てを失ったライは本当に死を望んでいた。
守ろうとしていた大切な人達を、結果として失った自分の境遇が、存在が恨めしかったのだ。
あのときの気持ちは正直言うと、まだライの心のどこかで燻っている。
それはいつかまた燃え上がるかもしれない。
一生消える事はない。
だから、ライはC.C.の願いを聞いても特に驚きの感情は湧いてこなかった。
ライは死にたかった。でも、死ねずに結果として今生きている。
C.C.は死にたかった。でも、死ねなかった。しかし、彼女は今死ねる手段を手に入れ、死のうとしている。
この先の結果が違うとしても、二人の望みは同じだ。
だからライは、C.C.の願いを半ば察していたのだ。
ライの言葉を聞いたC.C.が、唐突にライにこんな事を言った。

「なら、私と一緒に逝くか?」

「え?」

ライはその言葉にきょとんとした。
まさかC.C.にそんな事を言われるとは思わなかった。
そして、そのC.C.は微笑んだ。
それはこれから救いが与えられることを、苦しみから解放されることを知っている者の笑み。
その救いを彼女はライにも分け与えようとする。

「死のうと思っても死ねなかったんだろう?」

「……ああ」

「今でもあの頃の惨劇の夢を見る事があるのだろう?」

「……見るな」

「それで泣く事もあったのだろう?」

「……ああ」

「今までも心のどこかで死にたいと思った事があるのだろう?」

「……そうかもしれない」

「これから先も、自分1人で生きていけると思うか?」

「……わからない」

「なら……」

そう言ってC.C.が手を差し伸べた。
ライはそんな彼女の手を取りたいと思う。
だが、しかし……。

「すまない、それはできない」

「………」

ライは意を決して言った。

「だが、こんな僕でもアッシュフォード学園の皆は受け入れてくれた。それだけじゃない。黒の騎士団の皆、中華連邦の人達、ルルーシュ、アーニャ……そして C.C.。僕は今まで色んな人達と接してきて……やる事ができた。こんな僕でもやらないといけない事が……。だから、今君とは逝けないんだ……!」

ライは込み上げてくる感情を抑えてはっきりと言った。
その言葉を聞いたC.C.は悲しそうな顔で俯いて、それから顔を上げた。

「そうか……おまえにはやる事ができたんだな……じゃあ、死ねないな」

「何泣きそうな顔してるんだよ、C.C.」

「おまえこそ、何涙なんか流している」

ライもそれはわかっていた。
表情はいつも通りに見えて瞳からは涙がこぼれ落ちていた。

「悲しいからに決まっているだろ……!」

それに彼女がフッと微笑んだ。

「浮気性で、その上鈍いくせに…おまえにそんな事を言われるとはな……」

正直C.C.も何故か悲しかった。
いや、本当はわかっている。
私はライと別れたくないのだ。
だから先ほど彼を誘うような真似をしたのだ。
しかし、ライはそれを拒絶した。
ならば、これ以上彼を引き止める必要も、話を続ける必要もない。
そして、C.C.は意を決したような顔になる。

「……そろそろお別れだ」

「…………」

「さようなら、ライ」

ライは返事を返す事ができなかった。
そして、その言葉を引き金にライはまた光に包まれた。





















「いない、ゼロが!?」

一方、あれから死体処理や検証などの事後処理の指揮を取っていたロロに隊員の1人が報告にやってきた。
そして、それはゼロがいないという事だった。
通信も繋がらないらしい。

「それと、行動を共にしていたライ隊長も見当たらず、連絡もつきません。対象を発見したとのコールはあったのですが……。蜃気楼と崩月共々……」

それにロロは驚愕していた。

(いない…!?兄さんとライさんが……!?)

ロロには何がどうなっているのかわからなかった。






















「あら、また珍しいお客さんね」

光が収まって、ライが聞いたのはC.C.に似た声だった。
その声のした方に振り向くと、そこにはルルーシュと先ほど会った筈のC.C.がいた。

「ライ!」

「ルルーシュ!ここにいたのか!それに、C.C.!?……いや、違う」

「そうだ。彼女はC.C.ではないらしい」

やはりそうなのだ。
何か本来の彼女とは決定的に何かが違った。
直感で判断した事なのだが。

「おまえは…誰?」

「ライだ」

ライはすぐに目の前のC.C.そっくりの女性が自分の事を聞いているんだとわかり、答えた。

「あなたは……別の契約者ね。どうしてこんなところに来たの?」

「いや、そんな事言われても……」

ライはさすがに困ってしまった。
別に任意でここに来た訳ではないのだ。

「私は……管理者」

途中何か言われたのだが、わからなかった。
名乗った事には違いないのだが、あまりにも名前とは言えず、しかも発音が聞き取れなかった。
はっきり言って名前としては異常だ。

「まあ、いいわ。珍しいケースが2人もいるけど、私は私の務めを果たしましょう」

言われると、周りの景色が切り替わった。
先ほどの何もない場所から霧に包まれた世界に。
足元に感じられる地面。
霧の合間にはちらほらと緑の木々も見える。
両側にあるのは畑のようだが、作物らしき物は一切ない。
その時、道の先から女の子が近づいてきた。
年は10歳かそこらだろうか。
ボロボロになった布を纏い、足にはちぎれた鎖が巻き付いている。
だが、近づくにつれて顔もはっきりとわかるようになった。
誰かに似ている気がする……。
いや、間違いない。
年は違うが、あれはC.C.に似ている。
歩いていた少女の体が不意にかしいだ。

「!お、おい」

それを見たルルーシュとライが倒れる少女を受け止めようとする。
しかし、すり抜けてしまった。
今の事実に2人は呆然として固まる。

「無駄よ」

唐突に2人の背後から声がかかった。
先ほどのC.C.そっくりさんの管理者だった。

「これは私の記憶。干渉はできない」

(立体映像のようなものか……?)

すると、また景色が切り替わった。
今度は教会の中だった。
決してきらびやかな場所ではない。
建物から判断すると、中世かそれ以前のものだろう。
そして、中にある女神像の前に先ほどの少女と1人の修道女がいた。
年若い女性だった。
整った顔にはまさに慈母そのものの微笑が浮かんでいる。

『あなたには生きるための理由があるの?』

少女は涙の浮かんだ目で修道女を見上げた。

『わ、わかりません……でも、死にたくないんです……』

『では、契約をしましょう』

少女は首を傾げた。
その前で修道女の額が赤い模様で輝く。
あれはギアスの紋章。

『生き延びる力をあなたに授けます。その代わり、いつの日か私の願いを一つだけかなえていただけますか?」

「まさか……」

「そう。私は彼女と契約したの。そして……私に発現したギアスは、愛されること」

「愛?」

ライが問いかける。

「心の奥底で私は……。……私は誰かに愛されたかった。願いはかなったわ。ギアスのおかげで私はあらゆるものに愛された」

管理者は続ける。
管理者が言う間に景色が移り変わっていく。

「でも愛されすぎて、私は本当の愛がわからなくなってしまった。私が信じたのは彼女だけ。ギアスにかからない彼女は遊んでいた私を叱ってくれたから……な のに」

場所はまたあの教会に切り替わっていた。
あの時の少女は何故か全裸で、そしてその目には赤い鳥が翼を広げたような刻印が浮かんでいる。
しかも、ギアスの紋章は片目ではなく、ライのように両目だった。
それは紛れもなく彼女のギアスが強くなりすぎ、暴走していることの証でもあった。
やがて、少女があきれたように笑いながら、こう言った。

『はいはい。シスターに言われたとおり貰い物は全て手放しました。でも、仕方ないでしょ?ギアスのせいなんだから。シスターには感謝してるけど、正直私も 困ってるの。プレゼントやプロポーズはもう飽き飽き……』

『じゃあ、おしまいにしましょう』

不意に修道女が少女の言葉を遮る。
少女の顔にきょとんとした表情が浮かんだ。

『え?』

『私の永遠を終わらせるためには、誰かを身代わりにしなければならないの。一定以上のギアスを持つ誰かを』

修道女は少女の戸惑いには構わず、静かな口調で続けた。

『どれだけ苦しかったか。生き続けるという地獄が……』

少女は訝しげに尋ねる。

『あの、何の話?』

瞬間、修道女の顔が一変した。

『残念でした!あなた、騙されちゃったのっ』

『!!』

そして、彼女は悲惨な方法でコードを受け継がされた。
これが彼女の、C.C.の過去だった。

「私の存在は彼女にとって自分自身にピリオドをうつための道具。ただ、それだけだった」

そして、彼女が言い終わった時、既にライとルルーシュは書庫のような空間で絵を見るように彼女の過去を見ていた。
ライが先ほどいた空間と似てはいる。
終わると、管理者はルルーシュに振り向いた。

「あなたはまだここにはいない。私にとってあなたは過去ではなく、現実の人なのね。あなたも」

管理者は今度はライにも顔を向けて言った。

「それがどうなんだ?」

「よっぽど大事な人達なのね、特にあなたは」

「僕が…か?」

「ここに送ってきたということは……貴方達を一時でも何かから守ろうとしたと思うのだけれど……。それに私の契約者でない別のコードの契約者であるあなた がここに送られてきたということは……あなたは今の私にとって、とても大切な存在だったと思うのだけどね……」

「そうか……」

半ばわかっていたかのようにライは呟くと、ルルーシュに向き直った。

「行こう。ルルーシュ」

「ああ、行くぞ。ライ」

そして、2人の体はこの場から消えていった。





















その場所は本来の名を黄昏の間という。
赤く夕暮れ時めいた世界。
しかし、逢魔が時という言葉にもあるように、黄昏とは光と闇が入り混じり、昼でも夜でもない不安定な空間だ。
虚と実、生と死の狭間にあるこのCの世界をよく言い表している名称とも言えるのだろう。
その黄昏の間にでC.C.はあのブリタニア皇帝シャルルと正面から向かいあっていた。
ライとルルーシュがこの世界から消えてからまだ体感時間としては1分も経過していない。
そもそも時間などこの世界ではほとんど無意味だ。
C.C.の前のシャルルは覇王らしい自信に満ちた笑みが浮かんでいた。
一方、C.C.は表情のない目でそのシャルルの顔を見上げている。

「これで、何もかも終わる。私を憎む人も、優しくしてくれた人も全て時の流れの中に消えていった。果てることのない時の流れの中で……」

「だが、その苦しみの日々も……」

「ああ、今終わる。私の長い旅も……」

(本当にさよならだ、ルルーシュ、そして、ライ……。今までありがとう……)

最後に素直になれたのは良かったのかもしれないとC.C.は思えた。
朴念仁のくせにこんな私にも優しくて、誰よりも理解していてくれたあいつ。
だが、彼ともう会う事はない。
C.C.は呟いてシャルルに寄りかかっていた。

「「C.C.ーッ!!」」

聞き覚えのある声にC.C.がハッとした。

「自ら開いたのか、ルルーシュ、狂王ライ。思考エレベーターを」

そして、ライとルルーシュはそれぞれの愛機のコクピットに戻ってきた。

「なるほど。この空間そのものが思考に干渉するシステムか」

ドルイドシステムで弾き出された結果と管理者の言葉からルルーシュは結論を見出していた。
ちなみにドルイドシステムの解析結果はエラーとアンノウンの繰り返し。
しかし、崩月と蜃気楼はすぐに巨大な四角いブロックで動きを封じられた。
二機の全身に張り付き、全身を押しとどめている石のブロック。

「何て強度だ…!」

ライが思わず毒づいた。
石のブロックとは思えない程の強度。
これでは身動きが取れない。
これはシャルルの仕業だ。

「すぐに終わる。ルルーシュ、狂王ライ、そこで見ておれ」

「くっ!」

「待て…!」

シャルルは一度身を引いたC.C.を再び抱き寄せる。
彼女はわずかに抵抗するような素振りを見せたが、シャルルの腕の中に収まってしまう。
2人の目が大きく見開く。
次の瞬間、シャルルとC.C.の間から赤紫の光が発せられる。

「やめろ!そいつは俺の……俺の!」

続く言葉がルルーシュは出てこない。
そこで、ライが言葉を紡いだ。

「答えてくれ、C.C.!なぜ、君はルルーシュと代替わりして死のうとしなかった!」

ルルーシュのギアスは暴走段階には入っていた。
自分のギアス程ではないにせよ、十分強いはず。
C.C.はやろうと思えば、ルルーシュにコードを受け継がせることができたのではないか。

「正直言って、彼に永遠の命を押し付けることだってできたはずだ!」

だが、彼女はやらなかった。
どうして?

「僕達を憐れんだのか!それとも」

その時ライは見た。
崩月のモニターに映ったシャルルとC.C.。
その彼女がライの言葉を聞いた瞬間、シャルルの腕の中で全身を震わせたのを。

(僕やルルーシュが優しい……か。君はもっとだ!)

ライは彼女の魂胆がわかっていた。
彼女はルルーシュや自分に憎まれたかったのだ。
結局、彼女はライやルルーシュを遠ざけたかっただけだったのだ。
そして、C.C.を見ていたライの中で何かが切れた。

「やめろおぉぉぉ!!!」

まるで気力を振り絞るようにライが叫んだ。
そして、次の瞬間、崩月を取り囲んでいたブロックが軋んだ。

「何!?」

「あああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

ライが渾身の力で叫んでいる。
しかし、それだけではない。
崩月を取り囲んでいたブロックが、ライの叫んだ直後から発生した崩月が放つ淡く蒼い光と共に無力化されつつある。

「これは…!?まさかあやつ……禊手か!?」

ライから発せられた何らかの力が崩月に伝わっている。
そして、それが動きを封じていたブロックを吹き飛ばした。
無力化されたブロックは床や空間の底に落ちる。

「貴様ぁぁぁぁ!」

「C.C.!そんな顔で死ぬな!!」

ライは想いを込めて叫ぶ。

「そんな顔で僕と別れるくらいならまだ生きろ!死にたくなったら僕が殺してやる!だから、その時には笑って死ねるようにしろ!それまで僕が付き合ってや る!だから……!」

君はまだこんな所で死んではいけない!!
ライだけではない。
同じように思っていたルルーシュの想いも伝わったのか、C.C.は閉じかけていた目を再びハッと開いて、目の前にあったシャルルの分厚い胸を突き飛ばし た。
C.C.がシャルルの腕の中から飛び退る。

「どういうつもりだ、C.C.ゥゥゥゥゥゥゥ!」

シャルルが叫ぶ。
直後、距離を取ったC.C.が足元から出てきた石碑で操作をした。
それでルルーシュの蜃気楼も解放される。

「ルルーシュ!」

「これ以上奪われてたまるか!」

2人ともすぐに武器を立ち上げる。
崩月はマシンキャノンを、蜃気楼はハドロンショットを展開する。
即座に2人は前方の建造物に向けて攻撃する。
被弾した建造物が崩れる。

「何たる愚かしさがああぁぁぁぁぁぁ!!」

さらに2人はC.C.を避けながら連射して、ところかまわず破壊する。
その瞬間、空間自体に悲鳴のようなものが上がる。
そして、崩れた床からC.C.が落下した。
すかさずライは崩月を飛翔させる。

「C.C.!僕もルルーシュも知っている!君のギアスを!本当の願いを!」

ライは気づかされた。
彼女の本当の望みは死ぬ事ではない。
それはまだ先だ。
本当の願いは優しくて、ささやかで、それゆえに誰よりもあの身も心もボロボロだった少女が願っていたもの。

「C.C.!」

ライはこっちを見向きもしないC.C.をコクピットハッチを開けながら崩月を飛翔させて、身を乗り出した。
程なく彼女の手を取る。

「ルルーシュ!!」

今度はライがもう一方の手をルルーシュに伸ばした。
ナイトメアがある以上それはかなり難しいのだが、それでもC.C.を引き寄せてから伸ばした。
何故かはわからない。
しかし、こうしないとこの空間から出られないような、そんな気がしたからだ。

「ライ!!」

そして、2人は強引に機体を寄せて互いにがっちり手を掴んだ。
瞬間、響き渡った大音響。
そして、ライ達の視界が真っ白な輝きに包まれた。






















「おい、戻ってきたんだC.C.!しっかりしろ!」

「C.C.!」

ルルーシュとライが懸命に彼女に呼びかける。
そう、ライとルルーシュC.C.はあの空間から元の場所に帰ってきていたのだ。
そこは遺跡の最深部で例の複雑な模様が浮かんだ扉がある。
正直どうやって戻ってこれたのか2人には分かっていない。
だが、今は優先すべき事がほかにあった。
そして、程なくして彼女は目を覚ました。
それで2人はほっとする。
どうやらどこも異常はなさそうだった。

「ロロに連絡を入れた。あいつならすぐにでも……」

すると、どこか怯えるように起き上がった彼女がおずおずと切り出した。

「あの、どなたでしょうか?」

「何言ってるんだ…!それより皇帝とあのシステムの事だが……」

だが、そこでC.C.が後ずさりしながらまた細かい声で言った。

「新しいご主人様……ですか?」

「「え?」」

さすがにこれにはライとルルーシュも目を見開いた。

「で、できるのは料理の下ごしらえと掃除……水汲みと牛と羊の世話。文字は少しなら読めます、数は20まで。あ、死体の片付けもやっていましたから……」

ルルーシュの口が愕然として声もなく開いていた。
だが、ライは何とか彼女がどういった状態かをいち早く把握してルルーシュに耳打ちした。

(ルルーシュ、どうやらギアス契約する以前の彼女に戻っているみたいだ)

(あ、ああ)

ライに言われてルルーシュも何とか普通の状態に戻った。

(とりあえず彼女はこのまま君の蜃気楼に乗せていこう。それでいいか?)

(ああ、わかった)

2人で相談し終えると、か弱くなってしまったC.C.にライは優しく話しかける。
彼女はライが前に出てきた事でビクリと震えたが、視線はライから逸らさなかった。

「そういう事になる…かな。でも、今はそれは気にしなくてもいい。君には悪い事も酷いこともしないから」

「あ、はい……」

ライの様子を窺いながらも彼女は頷いてくれた。
それを聞いてライは微笑むと立ち上がった。
それでルルーシュに声をかけようとした所、何かを感じた。

(………!)

まるで何かに話しかけられたようだった。
ただ、感じに覚えがある。
先ほどのあの空間で覚えた感じだ。
ライは周りを見渡すと、壁にある物が飾られているのを見つけた。

「ライ?どうした?」

いきなりスタスタと歩き出したライにルルーシュが不思議に思って問いかけた。
しかし、ライは答えることなく、目的の場所に辿り着いた。
ライはそれを見上げた。

「こんな所にあったのか……。だからあの時……」

ライは呟いてかけられていた長剣の柄と刀の柄を手に取った。
すると、飾るために止められていた錠が砕け散った。
ライはそれを自分の手元に置く。

「ライ、それは?」

もう一度問いかけてきたルルーシュに、ライは今度は答えた。

「僕がかつて使っていた刀と剣だ。これはかなり特別でね。正直どこにあるか、というか残っているかもわからなかったんだが……どうやら 嚮団が回収、保管していたようだ」

「なるほどな。しかし、それ刀身がないぞ。使えるのか?」

「ああ。僕だけが、ね」

意味深な言い方で答えてライは剣と刀の柄をポケットに閉まった。

「そろそろロロ達が迎えに来るだろう。僕達も行こう」

「ああ、そうだな」

こうして 嚮団の殲滅から発展した黄昏の間での皇帝シャルルとギアスの因縁は一旦終わりを迎えた。
だが、それでC.C.がおかしな事になってしまった。
さらにその感傷に浸る事なく、ライとルルーシュは次なる戦いへと挑まなければならない。
そう、自分達の信じるもののために。
























あとがき

やっと続きの14話をお送りしました。
長い間待たせてしまったようで、楽しみにして頂いた読者の方々には申し訳ないです。
ちなみに今回はアニメにあたる15話の所をお送りしました。
それと、余談ですが、今月末にロボット魂でランスロット・クラブが発売されるようです。
LOSTCOLORSファンとしては、大変嬉しい事で、私は買おうと思っています。
本当は個人的には月下(先行試作機)の方がいいのですが(笑)
この作品を見て頂いて、興味が湧いた方は一度検討してみるといいですよ。
ファンの1人として是非おすすめしておきます。



えー、それでは今回の話の解説です。
今回も原作に沿ったストーリーですが、ライとC.C.の絡みがよく出るようなものにさせてもらいました。
皇帝シャルルとの初の対峙も見所ですが、やはりライとC.C.との場面が一番の見所ですね。
同じ願いを持っていた二人が改めて、お互いの真実をさらけ出す。
そんなものにさせてもらいました。
そして、ライが発動した謎の力、そしてあの刀身のない刀と剣。
これらが一体どういうものなのか。
それはこの解説ではなく、今後明らかになるので、そこは覚えておいてくださいね。
ただ話が進むごとにどんどんオカルトっぽくなっていっている……。
まあ、既にギアスもオカルトな力なんですが(苦笑)

全体的に原作に沿ったストーリーなので、短いですが、解説はここまでです。
今回の話を見て、感動してもらえたら作者の私としてはとても嬉しいです。

次回は超合集国誕生です!
それだけでなく、今までではほとんどなかった他のキャラの視点もかなり含まれています。
この作品ではライ視点が中心だったので、そこが見所にもなると思います。
次回も乞うご期待ください!

たくさんのWEB拍手や感想、ありがとうございました!
改訂後の誤字、誤植まで具体的に指摘いただいて、本当にありがたいです。
正直、作者自身では意外に気づけないような間違いも多いもので(汗)
その部分はこちらでは訂正させてもらったので、いずれまた修正か改訂として投稿させてもらいますね。
色々な感想がありましたが、よく見てもらっている事がよくわかりました。
今回はその中でライの技の発想がどこからきているかについてお答えしたいと思います。
ライの技のネーミングは予想通りテイルズからきているものが多いです。
ヴェスペリアやっていて、ジュディスの技が月がついたものがほとんどだという事に気づいて技の名前をつけるのに参考にさせてもらいました。
ただ、そうでないものももちろん含んでいます。
実は神月はテイルズを参考にしたものではないんですよね。
もちろんほかにもありますし、むしろそういうのがこれからも増えていきますが。
ちなみにライの愛機の崩月もテイルズからではなく、全く別のものからきています。
ただ、テイルズをやり込んでいたのは事実ですね。
ヴェスペリアなんて一日中やるのを二日間も続けていましたから(爆)
普段はそういう事は滅多にしない私が。
ライの技はこれからもまだまだ出るので、そこもこれから見てくださいね。
質問もありましたが、それは折角なので「なぜなにギアス」で回答させてもらいますね。


最近精神的にショックな出来事が多くて、なかなか投稿までいけませんでしたが、なんとか投稿までいけて良かったです。
不定期とはいえ、これからそういう事もあるし、忙しくもなるので、更新は遅くなるでしょうが、気長に待っていてくださいね。
今回はこのくらいにしておきますね。
読んでくださった読者の皆様、ありがとうございました!
次回もまたよろしくお願いします!





















なぜなにギアス


ラ「このコーナーの司会のライです。前回は作者様の都合でお休みだったのですが、今回はやらせてもらいますね。それでは、いつも通りゲストの紹介に入りた いと思います。どうぞ!」

V.V.(以降V)「こんにちは。今回は僕が呼ばれたよ。よろしくね」

ラ「今回は予告どおり 嚮団中心に解説していこうという事で、 嚮主のV.V.に来てもらいました」

V「もう故人だけどね」

ラ「あの、そういう事自分で言わない方が……」

V「そうだね。じゃあそろそろ本題に入ろうよ」

ラ「それでは、質問に行きますね。ギアス 嚮団ってどういう事をしている組織なんですか?」

V「ギアス 嚮団は主にギアスの発現や効力の研究をしているんだ。もちろん、表に出せるようなものでもないから、徹底的な秘密保持をしたけどね。例えば本部をまるごと 別の場所に移すとか」

ラ「なるほど。確かにギアスは表沙汰にするような話ではないですね」

V「ほかにもギアス神殿の遺跡がある場所はすべてシャルルの直轄領になっていたりしているよ」

ラ「皇帝もこれについてはしっかりと手を打っていたという事ですね。それでは、次の質問に行きましょう。V.V.はコードの保持者ですが、コードって一体 どういう物なんですか?……確かにこれは気になる人は多いでしょうね」

V「そうだろうね。どうせだし、僕が説明するよ。コードとはある一定以上のギアス能力を身に着けた者が、ギアスを授かった者から継承できるものなんだ。そ して、コードを継承した人間は、Cの世界と現実世界に生きる人間の思考を繋ぐ「中継者」となるんだ」

ラ「Cの世界?」

V「そこはまた本編でね。それで、その証は体の一部にギアスマークがある事なんだ。ただ、コードは複数存在して、僕が持っていたものやC.C.のものとは 系統が違うんだよ」

ラ「系統が違うって、例えば?」

V「そうだね、例えば再生能力かな。僕のコードは受けた傷に対してすぐに傷が再生するけど、C.C.のは僕のよりも再生速度は遅いんだ」

ラ「なるほど。さて、次の質問ですが、ギアスって色んな能力があるけど、どういう力なの?というものです」

V「ギアスっていうのは、僕やC.C.みたいなコードを所有する人間と契約することで発現する、他人の思考に干渉できる強力な力の事なんだ。契約者が心の 中で一番望んでいる願いによって、発現の仕方が異なるんだよ」

ラ「なるほど。C.C.のは愛されるギアス、皇帝は他人に偽の記憶を刻むギアス、マオは他人の思考が読めるギアス、ルルーシュと僕は他人に一度だけ命令を 下す事ができる“絶対遵守の力”、ロロは人の体感時間を止める“絶対停止の結界”など様々な能力があったのは、それが起因しているんですね」

V「そういう事になるね。まあ、君とルルーシュの場合は媒介するものが異なったようだけど。じゃあ、少し話を戻すね。ギアスは使用すればするほど力が強く なっていくんだ。初めのうちは証として左右の瞳のどちらか。それが強くなると、両目に紋章が浮かぶんだ」

ラ「じゃあ僕とルルーシュを比較すると、いい例になりますね」

V「そうだね。ほかにはギアス能力を授かる年齢が低いほど、力が早く成長する傾向があるらしいんだ。これは研究でわかった事なんだけどね」

ラ「奥が深いですね」

V「そうだよ。でも、まだまだわからない部分も多いけどね」

ラ「そうみたいですね。さて、ギアス関連の質問はここまでです。ですが、読者様からWEB拍手で質問が届いているという事ですので、折角ですからこのコー ナーでお答えしていきたいと思います。質問は副指令と司令補佐ってどう違うんですか?序列とかどうなってるんでしょう?との事です」

V「確かにこれは微妙な話だね。素朴な質問だけど、かなり微妙なものだね。こういうのは君が答えた方がいいんじゃない?君がその司令補佐をしているんだ し」

ラ「そうですね。この質問には僕がお答えしましょう。確かに一見、副司令も司令補佐も司令を補佐するという意味では同じに見える役職ですよね。ですが、黒 の騎士団においてはその役割は異なってくるんです。まず、副司令と司令補佐の違いですが、ゼロの作る作戦に直接関わるか、関わらないか、という事ですね。 基本、ゼロは1人で作戦を立て、それを実行します。それはゼロの性質や性格からきているのですが、これに対して副指令は立てるという面では関与していませ ん。それに対して、司令補佐はゼロの直接の部下であり、補佐という事で一緒に作戦を立てています。もちろん、ゼロの提唱する作戦に異議があれば、それを言 及する事もできます。さらに司令補佐には副指令がわからない、又は裁量できないゼロを通す必要がありそうな直接の案件を処理するという役目もあります。組 織全体をカバーするのが副指令の役目で、ゼロを直接カバーするのが司令補佐という事になりますね」

V「ふ〜ん、そうなんだ。で、序列はどうなってるんだい?」

ラ「序列は司令のゼロ、副司令、司令補佐となってます。組織で司令補佐は司令、副司令に次ぐNo.3という事になりますね。ゼロを直接カバーするとはい え、全体の案件にも関わってくる役職ではあるので。今その地位に僕が所属している訳もあって、ほかには戦闘での遊撃部隊としての活動権限や一時的な指揮権 を与えられたりもしていますね。これは僕の戦闘能力を買ってでの事と思われる訳ですが」

V「ふ〜ん。色々あるんだね」

ラ「まあ、そうですね。ただ、最近は全体のフォローに回る事も少なくないのですが……。こんなわかりにくい説明だったけど、わかってもらえたかな?わから なかったらとりあえず序列だけでも覚えておいてね。確かに微妙な話だったので、わからなかったら申し訳ありません」

V「さて、今回はここまでだね」

ラ「そうですね。次回は何を解説するかは未定との事ですが、次回もしっかりと解説していきたいと思います。この作品やコーナーに関する質問も受け付けてい ますので、気になる人は気軽に質問をお寄せくださいね。では、また次回にお会いしましょう!このコーナーはライと!」

V「僕がお送りしたよ。またね」

ラ「まあ、もうあなたに出番はないですけどね……」


なぜなにギアス 〜終わり〜



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