コードギアス反逆のルルーシュR2
              Double  Rebellion














TURN-21 ラウンズを超えるナイトオブゼロ


先日第99代ブリタニア皇帝となったルルーシュ、及び旗下のライ、そしてギアスによって奴隷化させられたブリタニアの主力軍は、帝国全土で続発する反乱の 鎮圧に奔走していた。
歴代皇帝領の破壊、貴族制度の廃止、財閥の解体、ナンバーズの解放とこの行動や政策に各地の報道機関がこれを取り上げ、放送を流していた。
ちなみにこの貴族制度の廃止とナンバーズの解放は後に「六月の惑乱」とも呼ばれる事になる。
これを斑鳩艦内で見ていた黒の騎士団の面々の中で、初めに玉城が声を挙げた。

「すげーな、あいつ!」

それに継いで藤堂も口を開く。

「完全にブリタニアを造り変えるつもりか……」

「壊す、の間違いじゃないの?」

藤堂の言い様にラクシャータがそんな事を口にした。
確かにこの場合は彼女の言葉が正しい。

「ルルーシュのブリタニアに対する怒りは本当だった……」

扇が半ば唖然としたように呟く。
この艦に残っていたヴィレッタも同様だった。

「逆らう勢力は全て潰しているし……」

その言葉に神楽耶が振り向く。

「超合集国でもルルーシュ皇帝を支持するという声がほとんどです」

神楽耶の言葉に玉城が振り向きながら、確信めいた口調で言う。

「やっぱりあいつは俺達の味方だったんだよ」

「民衆の、正義の味方という報道もありますしね」

「報道といえば、ディートハルトは?」

周香凛の言葉に杉山が反応し、ディートハルトの事を尋ねる。

「戻る気はないんでしょ?」

「ああ。シュナイゼルやコーネリアと共に身を隠した以上……」

これに関して特に不自然はなかった。
元々ディートハルトはゼロのカリスマに魅入られて黒の騎士団に入ったようなものなのだから。
そのゼロの正体がわかり、何も感じなくなった以上ここにいる必要もない。

「それよりさ、どうすんだよ?これから」

その時玉城が藤堂の声を遮って、これからの事を聞く。

「これからって?」

「だってよ。ブリタニアの皇帝がいい事をやってるんだからさ」

「それは……!「いいや違う」」

神楽耶が答えようとした所に、星刻がはっきりと否定した。
その言葉に皆が彼に振り向く。

「……そうだな」

「ルルーシュ皇帝は…いや、ゼロの目的は」

そして、星刻はルルーシュの目的を推測でありながらも皆に話していった。


























一方、ブリタニアでは……。


「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。お前達は私の奴隷となれ!」

謁見の間に集めた兵士達にルルーシュのギアスがかかる。
今、彼の力はさらに増しており、この場にいる兵士達にギアスをかけるのは造作もない事だった。

「「「「「「「イエス・ユア・マジェスティ!オール・ハイル・ルルーシュ!」」」」」」」

ギアスをかけられた彼らはルルーシュに従い、バイザーを閉めると同時に手を挙げ、そう言い放った。
そして、ルルーシュの隣にはライとスザクがおり、少し離れた所にC.C.、ロイド、セシルがいた。

「皇帝陛下、一度その力分析させてくれませんかね?」

今の現状や先の事を見ていて、興味が出たのかロイドがそう言った。
ルルーシュはちらりとロイドの方に顔を向ける。
その時、この間に1人の人物が入ってきた。

「死にたいのか?ロイドよ」

声に気づいたロイドがその人物を見て後ずさった。

「ああ、怖い、怖い」

「全く……」

確かにその人物の言うとおり、力を調べる前に彼のギアスにかかってしまうか、殺されるかのどちらかだろう。
その人物は皇帝であるルルーシュの前に来ると、片膝を折る。

「ジェレミア・ゴッドバルト、ただいまローゼンクロイツ元伯爵の領地より帰還致しました」

「ご苦労だった」

「はっ!」

今ジェレミアは反乱を起こした貴族の鎮圧を終え、帰還した所だった。

「しかし、我ながら人望がない。こうも各地で貴族どもが反乱を起こすとは……」

心にもない事を言うルルーシュ。
当然だ。
かつて日本に人質に出されて、その後、長い間行方不明だったルルーシュのブリタニア国内での知名度はゼロに等しい。
かろうじて母マリアンヌの名から、その存在くらいは知られているが、無論、その程度の知名度などこの場合は何の役にも立たない。
大体、国内の名声と輿望という点においては、ルルーシュはシュナイゼルどころか、ナナリーにすら遠く及ばないのである。

「既得権益が奪われるとなれば、抵抗もする」

C.C.が呟く。
無論それはルルーシュも既に承知の上での事だった。

「だからこそわからせる必要がある。血統者や過去の栄光に縋る愚かさとあさましさを……」

その言葉をライは静かに聞いていた。

























ブリタニア皇宮 エグゼリカ庭園

あの後、ルルーシュ、ライ、スザクはこの場所に来て黄昏ていた。
休憩する意味もある。
湖を見つめていた3人だったが、不意にスザクが口を開いた。

「即位早々ルルーシュ皇帝は歴史に名を残した。ブリタニアの文化を破壊したのだから」

「序の口だよ、まだ。これから俺は多くの血を流す。虐殺皇女の名が霞み、人々の記憶から消え去るくらいに……」

ルルーシュの言葉にスザクは少々驚いた。

「ルルーシュ、君は……」

「ユフィだけじゃない。ナナリーも……。俺達は失った。失いすぎたんだ……。それでも明日を迎えるためにはまず世界征服から……」

新たに決意を滲ませた言葉でルルーシュが言う。
だが、その後彼は表情を変えた。

「フッ、口にすると笑ってしまうな」

「そうだな」

ライも同意したように微笑んでいた。
その時、この3人以外の声が聞こえてきた。

「だが、やるつもりなのだろう?お前達は」

その声のした方向にルルーシュが振り向くと、そこにいたのはC.C.とロイドだった。
もちろん、今の声の主はC.C.である。

「ああ、ゼロレクイエムのために」

「「イエス・ユア・マジェスティ」」

振り向いたルルーシュに、ライとスザクの2人は腕を胸の前に掲げてそう言った。

「で、どうするんです陛下?例の問題は……」

ロイドの言う例の問題。
それがルルーシュ達のこれからを握る鍵の一つでもあった。

「うむ。そのためにブリタニアを手に入れた訳だからな」

「本当なのか?シュナイゼルの考えている事は」

「本当だ」

C.C.の問いに答えたのはライだった。

「例の情報とカンボジアのトロモ機関がブリタニアから離反したという事実。これらを重ねた時、見えてくる真実は一つしかない」

ライの言う例の情報には色々なものが含まれていたが、それに絞って答えた。
あまりにも抽象的な表現で、目にした本人達にしかわからないような表現でもあったが。

「とにかく、シュナイゼルが行動を起こす前に計画を次の段階に進めねば……」

その時、ルルーシュの携帯端末から電話を知らせるコールが鳴った。
それに気づいたルルーシュは懐から端末を取り出し、電話に出る。

「どうした?」

その電話はコール音で軍の回線からだとわかっていたので、ルルーシュは初めにそう言う。
しかし、電話が進むにつれ、ルルーシュの顔が厳しいものになっていった。
そして、電話を終えると、ライ達に向き直る。

「ナイトオブラウンズがどうやら現れたようだ。ナイトオブワンを先頭にこちらに向かってきている。確認できただけでも五機はいるようだから、おそらくスザ ク以外のラウンズのほとんどが来るだろう。ついでに直属部隊も来ている。迎撃を頼む」

「イエス・ユア・マジェスティ」

そう言って答えたスザクだったが、ライが彼の肩に手を当てて止めた。

「いや、スザクはいい。僕が行こう」

「え?君が?」

「ああ、僕だけで充分だ。それに君は彼らと同じラウンズだから何かとやりにくいだろう」

「そんな事は……」

スザクはあの黄昏の間の出来事以来、ルルーシュの計画に賛同してこの場にいる。
だから、地位もナイトオブセブンのままでここにいる。
彼の戦う理由は言ってみれば、その計画に賛同したからであり、ライの戦う理由とは異なる所にある。
だから、ライは1人で充分だと言った。
それに実際ライ1人でも充分だろう。
ライのために作られた新型を使えば。

「とにかく迎撃には僕1人で充分だ。よろしいですよね、陛下?」

「ああ、頼む」

「イエス・ユア・マジェスティ」

そう言うと、ライは庭園を出て行った。
その背中をスザクは見えなくなるまで見送っていた。
























それから程なくして、ナイトオブワンを筆頭とする旧ラウンズ部隊は帝都ペンドラゴンが視界に捉えられる程までに接近してきていた。

「我らはシャルル陛下に忠誠を誓った存在」

「王位の簒奪など認められぬ」

ナイトオブワンとナイトオブフォーがそれぞれの言い分を口にしたが、その直後機体の警告音がコクピットに響き渡った。
レーダーに示された敵機の数は一機。

「迎撃部隊!?しかし、たった一機……」

どういうつもりだ?
誰もがそう思い、その機影を捉えようと、望遠カメラでその正体を追った。
その先には青い機体が一機。
以前の黒の騎士団の双璧である蒼の機体とはまた少し違う。
あの紅蓮聖天八極式のように、全身は輝くような青でさらに美しく、鋭くなり、その右手には以前と同じ刀が握られ、左手は以前のように竜を連想させる力強く て鋭いイメージ、両肩の付け根には対になった突起物が飛び出しており、頭部の後ろからは輝くような水色の長髪をなびかせている。
その機体が背部に付いた翼を広げる。
その翼からはブレイズルミナスが出力され、そこからは輝かんばかりの粒子が放出されている。

「この新しい力、天月(あまつき)なら」

第11世代ナイトメア『天月(あまつき)』。
この機体こそ、黄昏の間での出来事の後、ライが発見したナイトメア『星龍』、そしてそれと紅蓮聖天八極式のデータを使ってロイドとセシルが崩月を強化、発 展させて作り上げたのがこの天月である。
ライがナイトメア『星龍』を発見したのはあの神根島の遺跡だった。

















〜回想〜

一ヶ月前

黄昏の間で皇帝シャルルの計画を阻止した後、ライ達はC.C.の力を利用してこの神根島の遺跡に戻ってきた。
正確にはルルーシュやライの因子を媒体として、C.C.の力を発動し、出口が壊れているこの神根島に戻ってきたのだ。
入る事ができるなら、出る事もできるという訳だ。
もちろん、ルルーシュやライが出口を壊してしまっていた分手間はかかってしまったが。
外の静けさからすると、ブリタニア軍はもういないらしい。
そして、ルルーシュ、ライ、スザク、C.C.の四人は神根島の遺跡の扉の前に出た所である物を見つけた。
いや、視界に入ったというのが正しい。
それはナイトメアサイズの龍が遺跡の洞窟に膝を折っていたからだ。

「何だ、あれは!?」

「C.C.、確か僕達が来た時は……」

スザクの言葉にC.C.は頷いた。

「ああ、あんな物はなかったはずだ」

と、驚く3人に対して、ライは黙っていた。
無論、彼も驚いているのだが、何故か声が出ない。
それは目の前の龍の姿に魅せられたか、はたまた別の要因か。
その時、龍の首が動き、こちらに顔を向けてきた。
咄嗟にルルーシュとスザクは身構える。
おそらく、ルルーシュは襲われた時の対策シミュレーションを頭の中で何通りも行っているのだろう。
対して、スザクはいつでも飛べるように構えている。
しかし、龍は頭部をこちらに向けるだけで何も仕掛けてくる様子がなかった。
それに、何故かこの龍はライをずっと見ているような気がする。
ライはそれになんとなく気づくと、龍に近づく。

「待て、ライ!危険だ!」

ルルーシュが止めようとする。
だが、ライは歩きながら答えた。

「たぶん…大丈夫だ。それにこの龍、僕に用があるのかもしれない」

そう言って、ライは龍の頭の鼻先まで辿り着く。
この近距離でも龍は動こうとしない。
ライは龍の鼻先に触れると、龍はそれに大人しく従った。

「「「………」」」

それを見ていた3人は言葉が出る様子もなく、驚いている。
ライは3人の様子にかまわず、今度は龍の肩に飛び乗る。
すると、そこであるスイッチを見つけた。

「これは……?」

ライがそのボタンを押すと、龍の首の後ろ辺りからノートパソコンのような端末が出てきた。
正確にはノートパソコンよりも少し小さい。
ライはそれを手に取ると、とりあえず起動させる。
そして、何やら操作をしていく内にライの表情が変化していった。
最初はただ黙々としていたのが、驚きの表情になったかと思うと、難しい表情になるというものだった。
ひたすら端末を操作するライだったが、ルルーシュは様子を聞きたかったのでライに声をかけた。

「ライ、何かわかったのか?」

「あ、ああ……」

ライはルルーシュの問いに気づくとやや要領の悪い返事をした。
だが、ライはすぐに具体的に答える。

「ルルーシュ、これは龍型のナイトメアだ。しかも、自律コンピュータで起動している」

「何!?」

龍型ナイトメア。
ルルーシュやスザクはそんなもの聞いた事もなかった。
本来ナイトメアは人型を模す事を基本としている。
だから、人型で最新のナイトメアはあっても、動物やまして空想や伝説の動物を模したナイトメアは一切ない。
しかし、このナイトメアはそれを覆すものだった。

「一体、誰がこんな物を……」

C.C.も驚きを隠せないでいるようだ。
ライは端末を元の場所に収納すると、再びルルーシュ達のいる場所に飛び降りた。

「信じられないかもしれないけど……これは未来から来たものらしい」

「「「え?」」」

一瞬、3人はポカンとしたが、一番早く立ち直ったルルーシュはもう一度ライに質問した。

「ライ、ふざけてる訳じゃないよな?」

「ああ、もちろんだ。どうやらCの世界を利用して、時を逆行してきたらしい。おそらく皇帝の計画を阻止した直後に設定されて、ここに送られてきたんだろ う。詳しくはあ のナイトメアのデータに載ってる。とにかく、あれも持っていこう。 どちらにしろ役には立つし。説明はその後にするよ」

ルルーシュは顎に手を当て、考えた後、頷いた。

「そうだな。その話の真偽はどうかとしても、おまえの言う通りこのナイトメアは役に立つだろうしな。わかった、一緒に持って行こう」

「あのナイトメアはどうやら僕の指示で動くようになっているから、制御は僕にまかせてくれ。後、スザクに頼みがあるんだけど……」

「?何だい?」

「君の技術部の人達に接触したら、ある事を頼みたいんだけど、一緒に掛け合ってくれないか?内容は道中で話すよ」

「……わかった」

スザクが承諾してくれた所で、ライ達は外に出て計画を実行に移すため動き始めた。
ちなみに龍型ナイトメアは『星龍』という名で、ライのナイトメア崩月の強化パーツであるという事も同時に判明し、スザクの技術部担当であるロイドとセシル に極秘裏に強化を依頼した所、快く引き受けてくれた。
彼らも未知の技術には興味津々だったので、やはり彼らも生粋の科学者なのだろう。
こうして、一ヶ月という突貫作業で崩月は星龍の中にあった強化データを元に、ロイドとセシルの手で強化・発展され、新しく天月として生まれ変わったのだっ た。























だから、天月は技術的に第11世代に入る。
ただ、今は性能にリミッターをかけているので、性能は第9世代とほぼ同等となっている。
ブレイズルミナスを出力した翼『スターエナジーウィング』を広げた天月は一気に上空に舞い上がる。
その動きにナイトオブフォーは驚愕した。

「!?追いかけきれない…!?」

自機であるヴォールスのモニターのカメラが敵である天月の動きを追いきれていない。
ヴォールスの性能が低いのではない。
天月の動きが速すぎるのだ。
そして、上空に躍り出た天月が輻射波動の左手を前方に掲げる。
左手の掌に急速に充填されていくエネルギー。
そして、以前の崩月の時とは比べものにならないほどの威力の輻射波動砲が発射される。
極太の輻射波動砲がラウンズの部隊の中心を呑み込む。
ラウンズの面々は寸前で気づき、避けたが、天月の動きに驚いて反応が遅れた直属部隊の機体は易々と呑み込まれていく。
避けたナイトオブワンのビスマルクは上空を振り仰ぐ。

「むっ!あれは……!」

(やはり以前キュウシュウで対峙したものに似ている……!)

ビスマルクがそう思っている間にも天月は既に次の行動に移っている。

「星の雨(スターレイン)」

ライは天月のスターエナジーウィングの出力を上げて、翼を大きくし、そこからブレイズルミナスの刃を先ほど撃ち洩らした敵に対して雨のように降らせる。
広範囲に降ったブレイズルミナスの刃の雨は次々とラウンズ部隊のナイトメアを屠っていく。
わずか一分も経たない内にラウンズ5機以外のナイトメアは全て全滅していた。
この圧倒的な性能こそが天月なのだ。
しかし、先の攻撃を避け、防ぎきったラウンズもさすがである。

(さて、後は……)

ライは近くにいたナイトオブフォーとナイトオブナインの機体を標的とし、突っ込む。

「!」

「速い!」

それぞれが天月の速さに驚愕しながらも、迎撃してくる。
ナイトオブフォーのヴォールスは右手に持ったガンブレードからヴァリスの弾丸を放ち、ナイトオブナインのアグロヴァルはマシンヴァリスで無数の弾丸を天月 に 向けて放つ。
しかし、カメラの照準が追いついておらず、それらの攻撃を易々と掻い潜った天月はヴォールスの目前まで瞬く間に到達する。

「っ!」

咄嗟に反応したナイトオブフォーのドロテアはガンブレードのMVSを天月に振り上げる。
しかし、それすらも見切ったように天月はかわすと右手に持ったブレイズルミナスソード『蒼焔』でまず左手を斬り飛ばす。

「おっと、私を忘れてもらっては困るな!」

そう言って、今度は横合いからナイトオブナインのアグロヴァルが長大なガンランス「ゲイボルグ」を突き出してくる。
しかし、天月はそれを軽くいなすと同時に避けた。

「これならどうだ!」

だが、ドロテアがそこでヴォールスの両肩についているハドロン・ショルダーショットを天月に至近距離で放つ。
意気の合った見事なコンビネーション。
しかし、天月はそれをさらに身を捻るだけでかわす。
そして、そこからの展開は早かった。
ゲイボルグを弾いた天月がまたヴォールスに急接近すると同時に目に追いきれない程の速さで天月は次々とヴォールスの残った四肢を斬り飛ばしていく。
あっという間に戦闘不能に追い込まれたヴォールスは最後に天月に蹴り飛ばされ、地表に落ちていった。

「フッ、あのドロテアを瞬殺か。おもしろい!」

ナイトオブナインのノネットはそれを見て、恐怖するどころか笑みを浮かべて再び天月に突進した。
ゲイボルグを構えてアグロヴァルが突進する。
今度の天月はアグロヴァルに背を向けたまま避ける素振りすら見せない。

(どういうつもりだ…?)

一瞬疑念を抱いたノネットだったが、その疑念はすぐに捨て相手にゲイボルグを突き出す。
しかし、それを天月は左手で簡単に掴んで止めた。
ほとんど後ろを見ずに。
しかも片手で超重量級の槍であるゲイボルグをあっさりと。

「何!?」

ノネットがその光景に驚く。
そして、ライはそれによって生まれた隙を見逃さなかった。
間髪いれずに左手の輻射波動をガンランスに叩き込む。
だが、ノネットもすぐさま反応し、ガンランスであるゲイボルグを手放す。
さらに後退した後、予備の武器であるハルバートを抜いて構えた。
ナイトオブナインの機体であるアグロヴァルは彼女の気質を表したかのような接近戦重視の機体だ。
ゆえに接近戦武器も充実している。
しかし、今回は相手が悪かった。
天月は離れたアグロヴァルをすぐに追撃する。
瞬く間に目前に現れる天月。

「なんの!」

ノネットはそれにもはや驚く事もせず、ハルバートを横薙ぎに振るう。
しかし、それを天月は上体を下げてかわすと同時に刀でハルバートをかち上げた。
横に振るっていたハルバートが宙を舞う。
ノネットが目を見開く。
そして、次の瞬間ノネットのアグロヴァルはヴォールスと同じように四肢を天月に切り刻まれ、同時にフロートの翼も切り落とされたため地表に落ちていった。
そう、天月も接近戦重視である事は変わらず、結果アグロヴァルは接近戦ですら天月に遠く及ばなかったのだ。
その直後。

『ライ、おまえが何故!』

ライにとって聞き覚えのある声が聞こえた。
おそらく機体の動きや崩月の類似点からライが乗っている事を察してスピーカー越しに声をかけてきたのだろう。
と同時にトリスタンのメギドハーケンが天月目掛けて飛んでくる。
ライはハーケンを刀で斬り飛ばす。

「何故?おかしな事を聞くな。ここにいるのは僕の意思だ」

『悪い事は言わない!戻るなら今だぞ!』

2撃目のもう一方のメギドハーケンが飛んでくる。
それを天月は左手で掴んで、輻射波動で粉砕する。

「戻る?それは君の事じゃないのか?君がブリタニアに忠誠を誓うなら僕の仲間になるべきだ。それとも、ブリタニアに反旗を翻すつもりか?」

『……!ブリタニアに…』

と、そこでライは下方からの砲撃を後退して避ける。
砲撃してきたものの正体はナイトオブトゥエルブのナイトメア『エクター』だった。
ライフルをこちらに向けて接近してきている。

「私を忘れてもらっちゃ困るわよ!」

ナイトオブトゥエルブのモニカはさらにライフルを連射する。
銃口から迸ったハドロンガンのビームが天月を襲う。
だが、天月にはかすりもせず、瞬く間にエクターの目前に天月が現れた。
咄嗟に振り下ろされた刀をツインソードライフルの刀身部分で受け止める。

「くぅ!」

だが、パワーで完全に押される。
世代で4世代も上回っている天月にスピードだけでなく、パワーも圧倒されているのだ。
じょじょにライフルが押されていく。
だが、モニカはその場で踏ん張るという愚行を犯さず、すぐさま腰のスラッシュハーケンを放った。
有効打と思われたその一撃は天月にかする事すらなかった。
ハーケンが発射された瞬間には既にその場に天月はいなかったのだ。
一旦飛び上がった天月はエクターの背後に躍り出る。

「っ!」

後ろだと気づいたモニカは機体を振り向かせようとしたが、直後武器、四肢、フロートを切り刻まれ、地表へと残骸を撒き散らしながら落ちていった。
ライはそれを見届けると、トリスタンに向き直り、ジノに通信越しに話しかける。

「それで、君の答えは?」

『………』

ジノは答えない。
いや、答えられなかった。
ライはそれ以上何も言わず、トリスタンに飛燕爪牙を発射する。
それにハッとして避けようとしたジノだったが、遅かった。
飛燕爪牙がトリスタンの両肩に突き刺さる。

「がっ!」

衝撃でトリスタンのコクピットが揺れる。
そして、その隙に天月は目前まで迫っていた。
そのまま天月は回転蹴りをトリスタンの頭部に喰らわせる。
直撃を喰らったトリスタンは蹴りを喰らった頭部のアンテナが欠け、フロートに支障が出たのかそのままの勢いで地表へと落ちていった。
残るは後一機。

「その声と太刀筋、貴様やはりライ・シュタイナーだな!!」

「ええ、そうですよ」

どうやらジノとの会話を聞いていたようだ。
残ったナイトオブワンのビスマルクがエクスカリバーを抜き放つ。
ライはギャラハッドに向けて飛燕爪牙を放つ。
それをギャラハッドはエクスカリバーで受け止める。

「貴様、ナイトオブゼロといったな。黒の騎士団であったおまえが何故ここにいるのかは知らない。しかし、私こそが唯一のナイトオブワン!貴様に最強の座を ゆずる道理 などない!」

そう言い放っている途中、ビスマルクの左目をとめているリングが割れて外れ、そこからはギアスの瞳が姿を現していた。

「僕はナイトオブワンすら超える存在、ナイトオブゼロです。ナイトオブワンなど既に超えている」

「ふっ!地に落ちたな!ライ!」

振り下ろされたエクスカリバーを天月は蒼焔で防いだ。





















そして、ライとビスマルク、天月とギャラハッドが一対一の決闘を始めた頃、ルルーシュの手筈通りにブリタニアからの中継で2人の激闘は全世界に報じられて いた。
ブリタニアからの中継で各メディアから介しているといっても、実質上これは決闘の生放送であった。
そして、黒の騎士団の面々も流れてきたこのニュースを斑鳩艦内で目にしていた。
画面に映るのは、相対しながら武器を構える天月とギャラハッド。

「あれは、崩月!?」

カレンが映像を見て、驚きながら叫んだ。
他の面々も同様である。
ライが行方不明となり、ブリタニアでルルーシュが皇帝の座に着いたと同時にライがナイトオブゼロという皇帝の騎士になったと知った時は皆例外なく驚いた。
それで彼がいつか敵となったり、戦場に出てくるのは想定していたが、それでも驚きを隠せなかった。
何より、崩月の外観が所々以前と違う。
ラクシャータがいち早くその事に気づく。

「エナジーウィングを!?」

だが、これも厳密には違う。
崩月の発展強化型である天月に使用されているのは、エナジーウィングの上をいくスターエナジーウィングだ。

「相手はビスマルクか」

一方、黎星刻は相手のナイトメアを見て、すぐに以前自身が戦った事のあるナイトオブワンのビスマルクである事に気づいた。
画面上で次々と二機が入り乱れる。
























スターエナジーウィングからブレイズルミナスの刃を乱射して、ギャラハッドを牽制しながら接近する天月。
それをギャラハッドが的確に避け、スラッシュハーケンを四基斉射してくる。

「!」

ライはその軌道が天月の行動を先読みした上でのものだと気づき、機体を捻らせる。
錐揉みする天月の両脇をハーケンが通り過ぎる。

「天月の軌道を読んでいるのか?」

ギャラハッドの横を通過しながらライは呟く。
今の攻撃は明らかにこちらの動きを完全に読みきった上でのものだった。
咄嗟に機体を捻らなければ、スラッシュハーケンは間違いなく天月に吸い付いていた。

「我がギアスは未来を読む!」

「何?」

天月が複雑な軌道を描きながら再びギャラハッドに刀を構えて突っ込む。
その攻撃をギャラハッドがエクスカリバーで迎撃する。
直後、激突する二つの刃。
さらにその直後、二機はすれ違う。

「またか…!」

ライもギャラハッドの動きはある程度読んでいたため、体勢は崩さずに済んだ。
だが、先ほどから決定打が全く出せない。
それにライはギャラハッドの正確すぎる先読みに疑念を抱いていた。
それに先ほどの言葉。
総合して考えれば……。

「なるほど……。数瞬先の未来を見通せるギアスを持っているのか……」

攻撃を読むにはそんな先の未来の先読みは必要ない。
それにギアスでもそこまでの未来予知能力はないだろう。
となれば、今の結論が一番確率的にも高い。
一方、ビスマルクも手の内をわざと明かしたにも関わらず、その態度は余裕すら感じさせるものだった。

「この力……マリアンヌ様に以外に使う事があろうとはな!」

また天月とギャラハッドが互いに攻撃をし、すれ違う。
しかし、どちらにも決定打はない。
ライは幾度も攻め手を変えて攻撃するが、ギャラハッドはことごとくその攻撃を防いでしまう。
その度に両者はすれ違い、互いの刃が交わる。
交錯直後、ライは一旦天月をギャラハッドから離す。

「このままでは埒が明かないな……」

先読みはライの十八番で、天月の性能はギャラハッドを完全に上回っているが、ここまで正確な先読みをされるとさすがに攻撃を決められない。
その時、通信回線を通じてルルーシュから通信があった。

『ライ、予定通りこの映像は世界中に流している』

「ああ、ゼロレクイエムのためにも負ける訳にはいかない」

『だからこそ、おまえは勝て!』

そう、この戦いで負けるつもりはない。
自分にはまだこの先を見据え、真の戦いまでは生きなければならないのだから。

「なら、あれを使わせてもらう」

言うと、ライはコンソールを操作し、あるパスワードを入力した。
すると、画面に文字が表示されていく。

『アカシックシステム起動』

直後、ライの周りが一気に明るくなる。
さらに今度はライの頭に映像が一気に流れ込んでくる。
それは、想定できる相手の攻撃パターン全ての映像。
ライは一瞬だけ瞑っていた目を開けた。

「さあ、先読み対決だ。どっちが勝つかな…?」

直後、ギャラハッドが動いた。
こちらにエクスカリバーを掲げて突っ込んでくる。

「帝国最強の騎士は!」

天月はその横薙ぎの一閃を上昇してかわす。
ギャラハッドはそれでも対象を見失う事なく目で追っている。

「我が名と共に!」

そして、ビスマルクが叫びながら天月のいる上空を振り仰いだ時、彼は目を見開いた。

「な、何!?」

天月の動きが先ほどと違うのだ。
いや、正確には自身の先読みがずれてきている。
一方の方向に動くと思われた天月が別方向に軌道を変え、ギャラハッドに襲い掛かってくる。

「な、なんだこれは…!機体性能か…?」

ギャラハッドは咄嗟に機体を捻って天月の攻撃を回避する。
刀がギャラハッドの機体をかすめる。

「それともライ自身の……」


















この時、ルルーシュは映像を見ながらライに感心していた。

(ライ、天月に搭載してある『アカシックシステム』を使ったか。データで見たが、あれはドルイドシステムを戦闘用に発展させたもので、パイロットの脳に想 定される 攻撃パターンの情報を直接流し込む事でどんな攻撃も予測する戦闘では便利なシステム。が、全ての攻撃パターンを予測してしまうが故にパイロットに膨大な負 担を強いるリスクもある)

つまり、攻撃によって自分が死ぬ映像までパイロットに見せてしまうため下手をするとパイロットが精神崩壊を起こす恐れすらあるシステム。
まさに諸刃の剣といったシステムだ。
もちろん、ライもこれを使いこなすには半月の時間を必要としたが、今は完全に使いこなす事に成功している。

(全く尋常じゃない精神力の持ち主だな、ライ。アカシックシステムの攻撃予測情報を一瞬の間に取捨選択して、相手の攻撃を見切っているのだからな。しか も、アカシックシステムそのものを完全に支配下に置いている。……やっぱり大したものだよ、おまえは)

実はアカシックシステムは星龍の自律システムの根幹にもなっていたもので、その自我は相当強い。
相手の攻撃に際して、最も有効な攻撃手段をパイロットに強制する部分がある。
それをライは完全に支配下に置き、時には活用し、時にはねじ伏せているのだ。
そんな事をやってのけるライにルルーシュは感心していたのだった。
そして、画面の中で天月とギャラハッドが未だに何度も交錯し、刃を激突させている。
















先ほどより攻撃は通るようになったが、それでも決着には至っていなかった。
ここまで動き、先読みしても攻撃が決まらない。
いや、両者の先読みがすごすぎるためにどちらも決める事ができないでいるのだ。
それならば……。
天月が舞い上がる。

「まだ軌道を読まれているか……なら、これで!」

ライの出した決断は正面突破。
軌道を読まれているのなら、至極単純な攻撃で決着をつければいい。
そういう決断だ。
一旦上昇した形から刀を構え、一気に下方のギャラハッドまで突進する。
さらに蒼焔出力最大。
最大出力のブレイズルミナスの刃を極限まで集中させ、研ぎ澄ませる。

「正面!なめられたものだ!」

対するギャラハッドもエクスカリバーを振りかぶる。
ビスマルクの目に映るのは刀を構えながら、正面から迫る天月。
ただ真っ直ぐの直進となれば、もはやギアスでの先読みする必要すらない。
容易に軌道が読めてしまうからだ。

「奥義四の型……阿修羅……」

二機の距離が一気に縮まる。
天月は蒼焔を袈裟斬りに、ギャラハッドはエクスカリバーを左切り上げに振るう。

「焔月!!!」


ガキィィィィィィィン!!!



刃と機体が交錯し、天月とギャラハッドが高速ですれ違った。
そして、互いが離れたその直後。

「ぬぉ!?」

刃先から縦に真っ二つに裂けるエクスカリバー。
それとほぼ同時にギャラハッド自体も袈裟懸けに真っ二つに裂ける。

「マリアンヌ様………」


ドゴォォォォォォン!!!


そして、ギャラハッドは爆散した。
その爆発を背景として、天月が降り立つ。
その姿はまさに翼を広げた蒼き龍とも言えた。

「本当は……もっと別の形で決着を着けたかったですよ、ヴァルトシュタイン卿」

最後にライが使った技は『奥義四の型・阿修羅・焔月』。
全技中攻撃力最強を誇る技。
本来は蒼焔の超震動摩擦による熱を利用して相手を破壊する技。
それをライはブレイズルミナスソードの出力を最大限まで引き上げる事により、普段以上の鋭い刃を構成し、さらにそのエネルギーによる擬似震動でこの技を再 現した。
正面からと甘く見たビスマルクは見事にその一撃でエクスカリバーごと切り裂かれ、葬られてしまったのだ。
ただ、ライ自身互いに性能差のある形ではなく、キュウシュウの戦いのような公平な立場での決着を望んでいた。
それができなかったのは純粋な剣士として残念な所である。
だが、ライにとってそのこだわりはわずかなものであり、今は優先すべき事があったので、結果としてそれを良しとした。
だからこそ、あの言葉だけで済ませたのだった。
ライは周りにもう敵がいない事はわかっていたので、ある場所に天月を降下させる。
その先にいるのは戦闘不能となり、地に各座しているトリスタンだった。
その前には真っ二つに割れたエクスカリバーが地面に刺さっている。
今頃、ルルーシュは計画通り世界に向けて声明文を発表している頃だ。
ライのここでの役目はこれで一旦終わりだ。
だからこそ、ライは今後のため、自分ができる処理に入る。

『私は……ブリタニア人なのか…?それとも……。くっ!なんのために戦えばいいんだ!』

回線が開きっぱなしの状態でジノがサブモニターを叩き、叫んでいた。
地面に降り立ったライは口を開く。

「それをこれからは君自身が自分で見つけるんだ」

通信を通じてのライの言葉にジノは顔を上げた。
ライの天月が今目の前にいる。
だが、天月は武器を下げたままだった。

『どういう…事だ?』

「今まで君はブリタニア人で、貴族で、軍人だったため、国を、皇帝を守る事を理由としてきた。そして、その理由はもうない」

『………』

何も言えないジノに対し、ライは続ける。

「戦う理由を失った時、人は一気に弱くなる。覚悟がなくなるのと同意義だからね。しかし、そこで立ち止まってはいけない。君自身がまだ戦う事を望み、ゆず れないものが あるのならば、新たな理由を自分で見つけ出せ。それが君の次へ進むためのステップだ」

『私の次のステップ……』

「そうだ。自分がどうしたいのか。それをよく考え、見つけるといい。戦う事の意味を知っている君ならおのずと見つけられるはずだ」

言い終わった所で、天月はトリスタンに背を向ける。

『一つ、聞かせてくれ』

「ん?」

『私と年齢が大差ないお前が何故そう言い切れるんだ?』

ジノの言葉を聞いて、ライは微笑んだ。

「フッ……。今の僕がいるのは、その理由を見つけられたからさ」

そう言って、ライは天月を飛び立たせようとしたが、思い出したように口を開いた。

「先ほどはあんな事を言ったが、この後は君の好きにするといい。大人しく退くなら僕もルルーシュも君をどうこうする気はないから」

最後にそう言って、ライは今度こそ天月を飛び立たせ、トリスタンから離れていった。

















ライはあの後少し飛ぶと、トリスタンとはまた別の場所で地面に倒れていたヴォールス、アグロヴァル、エクターを発見した。
その場所にまた天月を降り立たせる。

『私達を殺しに来たか?なら、殺せ。陛下がお亡くなりになり、今こうしてお前に負けてしまった以上生きる理由もない』

ナイトオブフォーであるドロテアはそうライに告げた。
他の2人も同様のようだ。

「すみませんが、それには応じられません。元々殺すつもりもありませんから。……あなた達には世界の未来のために生き恥を晒してもらいます」

『……どういう事だ?』

「これから言う僕の頼みを聞いてください。……勝者に従う事があなた達の国のあり方ですからね、拒否権はありませんよ」

ライは言うと、3人に自身の考えと彼女らに対する頼み事を話し始めた。


























ライがラウンズを迎撃、撃破してから一週間経った。
ライがナイトオブワンを倒した事で、力を示したルルーシュはライがラウンズを撃破したその日に世界に向けていた放送をそのまま利用して、超合集国への参加 をブリタニア代表として表明していた。
交渉にはライやスザク達を初めとする武官達は立ち合わせない、全て超合集国のルールに従う事を条件に、交渉の舞台をアッシュフォード学園に指定して。
それを受けた超合集国はその要請を受諾、交渉の舞台をアッシュフォード学園とし、交渉の準備が進められていた。
そして、現在ルルーシュはエリア11に向かっている途中で、隣の席にはC.C.がいる。
その彼女が不意に口を開いた。

「ルルーシュ、本当に大丈夫なのか?私と数人のSPだけで」

「こちらはお願いしに行く立場だからな。民主主義に参加させてほしいって」

参加の部分を強調して答えるルルーシュ。
その言葉にC.C.は窓に向けていた顔を振り向かせて、不敵に笑う。

「へぇ………」

「皆好きだろ?民主主義は」

そう言うルルーシュの顔も不敵に笑っていた。
そして、そのままルルーシュの乗ったブリタニア皇帝専用機はエリア11を目指す。


















一方、交渉の舞台となるアッシュフォード学園では黒の騎士団の厳重な警備がしかれ、報道が行われていた。
学園の周りに敷かれた柵の外には大勢のマスコミがルルーシュの姿を見ようときている。
そして、それから数十分後。
皇帝ルルーシュの乗った専用機がアッシュフォード学園に到着した。
専用機が着陸し、中から数人のSPが出てきた後、皇帝であるルルーシュ本人が現れる。
マスコミは彼の姿を見て、口々に声を挙げている。
それにルルーシュは軽く右手を振る。
そんなとき。

「ルルーシュ!」

聞き覚えのある声がしたので、ルルーシュがそちらに目を向けると、その先にいたのは柵を半ば乗り越える状態で柵に乗っていたリヴァルだった。

「教えてくれよ、ルルーシュ!」

リヴァルは必死の声で続ける。

「おまえは今までどうして俺に…!」

と、言いかけた所で彼の言葉は中断された。
黒の騎士団の警備の人間に柵から無理やり下ろされたのだ。
リヴァルが取り押さえようとする黒の騎士団の警備の2人から必死に逃れようとする。

「離せ!離せよ!だって、だって友達なんだよ、あいつは!!ルルーシュは!!」

しかし、ルルーシュはそんなリヴァルに構わず再び歩き出す。
その後、リヴァルはなんとか追いすがろうとしたが、警備の者に倒される寸前でニーナが止めた事で事なきをえた。
一方、ルルーシュはそんな彼を見て少し心を痛めていたが、そんな様子は欠片も見せず、迎えの人物の前まで行く。
迎えの人物は紅月カレンだった。

「ルルーシュ、どうして……」

質問をしようとするカレンに構わずルルーシュは口を開いた。

「初めまして。黒の騎士団所属の紅月カレン隊長ですよね?」

その言葉にカレンはハッとすると、ルルーシュに答えた。

「はい。私が案内させていただきます」

そこで、ルルーシュがふとある事を切り出した。

「少し、遠回りしてもいいでしょうか?」

「え?」

「些か緊張していてね。歩きたい気分なんです」

「…わかりました」

少し予想外な言葉にカレンは呆然としていたが、ルルーシュの提案を了承し、彼を案内するために先に歩き始めた。















一方、黒の騎士団はその様子を学園の各所に取り付けた監視カメラで監視していた。
ルルーシュの仕込みを警戒するためであり、彼のギアスに対する対策の一つでもあった。
だが、この事はルルーシュも充分予測していた。
それに、この場においてルルーシュはギアスを使う気はさらさらなかった。
もとより、目の前にいるカレンには既に一度ギアスをかけているのだから。
















学園の庭内を歩いていたルルーシュはその風景を見ながらつい呟いた。

「懐かしいな」

ここのところ、色々な事がありすぎたせいかそれほど時が経っていないのに懐かしく見える。
これは自分のちょっとした本心を表していた。
すると、先に立って歩いていたカレンも口を開いた。

「私、あなたには感謝してる……」

その間に2人は建物の中に入る。

「あなたがいなければ、私達はシンジュクゲットーで死んでいた」

カレンは歩きながら続ける。

「黒の騎士団もなかった。私は嬉しかった。ゼロに必要とされた事も光栄で、誇らしくて……。でも、ゼロがルルーシュだってわかった時、訳がわからなくなっ た。それでもブリタニアと戦うあなたを見て……」

それはカレンのかつての経験から来る本心だった。
事実今でもルルーシュに感謝している。
そして、おそらくライにも……。
カレンにとってライは戦場でのパートナーであり、時にはほんの少し背中を押してくれる存在でもあった。
そう、ゼロがルルーシュという事で戸惑っていた自分の心に整理をつけるときにも。
正直、あの場に彼がいて、安心させるような笑みを見せてくれた事でどこかほっとした自分がいたのだ。
そして、だからこそカレンはルルーシュに問う。

「そんなあなたがライと一緒に今度は何をしようとしているの?」

ルルーシュは答えない。
カレンは続けた。

「力がほしいだけ?地位がお望み?それとも、これもゲームなの?」

ルルーシュは答えずにカレンの後に続く。

「ブラックリベリオンの時扇さんはあなたを守れと言った。私の……お兄ちゃんの夢を継ぐ者だって」

それでもルルーシュは答えない。
ただ、いつも通り冷淡な表情をするだけだ。
それでカレンがついに立ち止まってルルーシュの方に振り返った。

「ルルーシュ、あなたは私の事どう思ってるの?どうして斑鳩で私に「君は生きろ」と言ったのよ!」

真剣な表情で聞くカレンにルルーシュはただ黙っていた。
視線すら合わせていない。
そんなルルーシュを見て、カレンはもう彼に言う事はない、そう思った。
しばらく彼を見つめていたが、カレンは悲しそうな表情を一瞬すると、口を開いた。

「さようなら、ルルーシュ……」

続けてカレンが言う。

「最高評議会は体育館で行う予定です」

そう言って、カレンは再び歩き出した。
そんな彼女にルルーシュはすぐについていかず、立ち止まっていると、離れていく彼女に聞こえないように呟いた。

「さようなら、カレン……」

(そう、君を俺達の道に巻き込む必要はない……。君は未来で生きろ……)

これはルルーシュの願いであり、彼が斑鳩で口にした事は本心である事の証だった。
この時、1人の少女は覚悟を決め、一人の少年は自分の突き進む道を既に決めていた。






















そして、ルルーシュが最高評議会の場に到着して少しの時間が経ち、準備が整ったところで評議会が始まった。
ルルーシュが初めに口を開く。

「超合集国最高評議会議長、皇神楽耶殿。我が神聖ブリタニア帝国の超合集国への加盟を認めて頂きたい」

ここでルルーシュは改めてブリタニアの超合集国への編入を要請した。

(ゼロ様……)

既にゼロの正体を扇達から知らされていた彼女はルルーシュがゼロである事を知っていた。

「各合衆国代表3分の2以上の賛成が必要だとわかっていますか?」

「もちろん。それが民主主義というものでしょう」

「……そうですね」

そこで神楽耶は手元にあるスイッチを押す。
直後、ルルーシュの立っていた席を囲むように壁が競りあがってきた。
この処置に各代表から困惑の声が挙がる。
確かにこれは礼を欠いた行動だ。
しかし、ルルーシュはそんな事を露ほども気にしていなかった。
この処置の本当の意味を理解しているからである。

(ギアス対策か……。しかし、これでギアスの事は黒の騎士団中核メンバーと神楽耶しか知らないとはっきりした)

と、そこに周囲に張られた壁の前方から映像が出た。
映像に映されたのは神楽耶である。

「あなたの狙いは何ですか?悪逆皇帝ルルーシュ」

その言葉にルルーシュは心外だなと言った口調で言う。

「これは異な事を。今のブリタニアはあなた達にとっても良い国では?」

「果たしてそうかな?」

続いて神楽耶の右に出た映像には星刻が映っていた。
今の発言も彼である。

「超合集国の決議は多数決によって決まる」

それにルルーシュが眉を顰めた。
さらに続いて映像が現れ、黒の騎士団の中核メンバーが発言していく。

「この投票権は各国の人口に比例している」

「中華連邦が崩壊した今、世界最大の人口を誇る国家は」

「ブリタニアだ」

「ここでブリタニアが超合集国へ加盟すれば」

「過半数の票をルルーシュ皇帝が持つ事になる」

「つまり、超合集国は事実上あなたに乗っ取られてしまう事になるのでは?」

すべての意見が示すまとめを言った神楽耶。
それにルルーシュは若干舌を巻いた。
今ルルーシュがしている事の本質をよく見ている。
ちなみに斑鳩艦内で玉城がラクシャータに本物のお馬鹿発言を受けていたのは置いておこう。

「どうなんだ!ルルーシュ皇帝!」

「違うというのなら、この場でブリタニアという国を割るか、投票権を人口の20%まで下げさせて頂きたい」

しかし、これはこれで難癖に近い法外な要求だった。
だが、そんな事に出るのはわかっていたルルーシュは気にせず、別の言葉を口にする。

「神楽耶殿、一つ質問してもいいだろうか?」

「何でしょうか?」

「世界を統べる資格とは何ですか?」

それに神楽耶は即答した。

「矜持です。人が人を統べるには」

それにルルーシュはニヤリとした。

「いい答えだ」

「え?」

「あなたはやはり優秀だ。しかし、私の答えは違う」

「……聞かせて頂けますか?」

「壊す覚悟」

「壊す?」

「世界を。自分自身すら!」

言うと同時にルルーシュは指を天に向けて指した。
その時だった。
体育館からは見えなかったが、天から一気に急速に降下してくる物体が二つ。
そして、それは次の瞬間、体育館の屋根を突き破った。
土煙が晴れたそこに現れたのは、ルルーシュのギアス対策のために施していた壁を破壊したナイトオブゼロ・ライの天月とナイトオブセブン・枢木スザクの新し い機体ランスロット・アルビオン。
この場に力づくで突入したライが機体のスピーカーで呼びかける。

『皇帝陛下に対する無礼は許しません!』

それと同時に天月は右手の刀と左手の輻射波動の手を、ランスロットは両手のスーパーヴァリスを代表達に向ける。
そう、ルルーシュは黒の騎士団側の手を予期した上でこの手を既に用意していたのだ。
この種の謀略においては、超合集国や黒の騎士団よりもルルーシュの方が一枚上手だったのだ。
ギアス対策の壁を用意された事で、逆にギアスを知っている人物も割り出せた。
そう、全てはルルーシュの計画通りだったのだ。
そして、この行動の行き着く先は知れている。

その頃、黒の騎士団では藤堂が索敵班を叱咤していたが、天月とランスロットの速さに対応できなかったと索敵班は告げていた。
この常識はずれの速度を誇るのが第9世代以降のナイトメアだ。
そして、それと同時にエリア11近海に待機していたブリタニア軍も動き始める。
既にエリア11の領海に入りつつある。
これもルルーシュの計画のひとつだったのだ。

「ここで奇襲とは……!」

この一連の動きに驚きを隠せない藤堂。
それは星刻や扇も同様だった。

「超合集国への加盟も学園を指定したのも全ては自分自身を囮とするため……!」

「しかし、国際的な信用を裏切ってまで…!」

「いいえ、もはや信用などいらないという事でしょう」

そう、周香凛の言う通りなのだ。
それこそがルルーシュのこの行動の示す意志。

「やっぱり目的は独裁政治……」

「貴族制を廃止しながら自らは皇帝を名乗り続けた男……」

「そうだ。ゼロは、ルルーシュは世界の敵となった」

その時、星刻は学園で待機していたカレンが紅蓮と部隊を出している事に気が付いた。
すぐに紅蓮に通信を繋げる。


『退け!ここは退くんだ!紅月君!』

しかし、カレンにその意思はなかった。

「ルルーシュを倒すのは私です。それにあの崩月とランスロットと戦えるのは紅蓮しか!」

『ここで戦闘になれば、各国代表も失う事になる。いきなり国の指導者がいなくなったら』

確かにそうだ。
でも、ここで退いてしまえば代表達は人質に取られてしまう。
カレンは必死になって言い募る。

「でも、天子様だって危ないのに!」

『わかっている!!』

そこで星刻も怒鳴り返した。
やはり、彼も主君が心配なのだ。
しかし、だからこそ今は慎重さが必要なのだ。

『だが、相手はルルーシュだ。人質を殺す覚悟があってこその行動。ここは各国の判断を待たねば、超合集国そのものが崩壊する。勝つのはブリタニアとなって しまう!』

カレンは唇をかみ締めながらも、部隊を率いて学園から撤退した。


その頃、評議会では、ルルーシュの頭上に未だ天月とランスロットがいた。
そして、会場には既にブリタニア軍の兵がおり、外にいた黒の騎士団の警備の者は殺されていた。
神楽耶はその二機を見上げる。

(ライ様……スザク……)

「皇議長」

そこでハッとしてルルーシュに視線を戻す神楽耶だったが、彼にギアスがある事を思い出してとっさに顔を逸らし、手で隠す。

「投票を再開して頂こう。我がブリタニアを受け入れるか否か」

「このようなやり口……」

「認めざるを得ないはずですが?それにこの規模でないとはいえあなた達もしようと考えていた事でしょう?」

「くっ……」

「さあ、民主主義を始めようか」

余裕のルルーシュに対し、神楽耶は目に涙を浮かべていた。
















そして、間もなくした頃に1人の兵が入ってきた。

「最重要人物を確保しました。全て陛下の予測された通りです」

兵の報告にルルーシュは笑みを浮かべると、指示を出す。

「よし、くれぐれも丁重にな」

と、そこでルルーシュは思い出したように続ける。

「あ、それと一緒にいるであろう学生は置いていけ」

「イエス・ユア・マジェスティ」

兵は指示を受けて去って行った。
その時、ライが機体が受信した電信文を受け取って見た瞬間、歯を喰いしばる。
そして、通信を通してルルーシュにその内容を報告する。

『陛下、アヴァロンから緊急入電です』

「どうした?」

『帝都ペンドラゴンにあれが……』

それにルルーシュは驚くと同時に歯を喰いしばった。

(しまった!先手を打たれたか!)





















その頃、アヴァロンではその映像と状況を観測していた。
それは帝都ペンドラゴンがあったはずの場所に直径100kmに及ぶクレーター。
これで帝都ペンドラゴンを消し去ったものがフレイヤによるものである事がわかり、それと同時に上空には3kmにも及ぶ巨大な要塞が浮かんでいた。
これがシュナイゼルがトロモ機関を使って造らせた天空要塞ダモクレスである。
























その報告を聞いたルルーシュはすぐに評議会の会場を出て、皇帝専用機にすぐさま乗り込む。
ライとスザクも会場にいる代表達の身柄は兵士にまかせて、皇帝専用機の護衛と随伴のため会場からゆっくりと飛び立つ。

「ルルーシュ、やはり……」

「ああ。一次生産群のフレイヤ弾頭。間違いなくトロモ機関が開発していた天空要塞ダモクレスに搭載されているはずだ」

その時、別口のチャンネルから通信が入った。
皇室専用のチャンネルでのアクセスである。

「皇室専用チャンネルを知っているのは……!」

専用機で一緒に乗っているC.C.がそれを見て呟く。
ルルーシュはすぐに手元のパネルを操作して、回線を開いた。
映し出された映像に映ったのは予想通りシュナイゼルであった。
通信パネルを挟んで向かい合う兄弟。
先に口を開いたのはシュナイゼルの方だった。

『他人を従えるのは気持ちがいいかい?ルルーシュ』

「シュナイゼル……」

ルルーシュは顔を険しくしながら呟く。
宙に浮かんだ天空要塞ダモクレスの艦内庭園にいるシュナイゼルはむしろ穏やかに告げた。

『フレイヤ弾頭は全て私が回収させてもらった』

「ブリタニア皇帝に弓を引くと?」

『残念だが、私は君を皇帝と認めていない』

ちなみにこの様子はライやスザクにも映し出されていた。
画面を2分割した状態で、成り行きを見守っている。

「なるほど」

ルルーシュが呟き、鼻を鳴らす。

「皇帝にふさわしいのは自分だと?」

『違うな。間違っているよ、ルルーシュ』

「?」

そこでルルーシュがわずかに目を見開く。

『ブリタニアの皇帝にふさわしいのは……彼女だ』

シュナイゼルの映像をとらえていたカメラの位置が変わる。
途端にルルーシュの顔が引きつった。
いや、ルルーシュだけではない。
ランスロットのコクピットにいたスザクや隣にいたC.C.ですら、愕然としたように表情を強張らせた。

「なっ……!」

「ナナリー!?」

そう、映されたのは死んだはずのナナリーだった。
スザクに呼ばれた瞬間、それまでやや下を向いていたナナリーはすいと顔を上げる。
そうして彼女は低い声でこう言い放った。

『お兄様、スザクさん。私は……お2人の敵です!』

その様子をただ1人驚いていない例外であるライが、天月のコクピットの中でナナリーの姿を静かで、そして鋭い眼差しで見つめていた。


























あとがき


どうも、ウォッカーです。
最近続きを書く上で悩みがあります。
それは……書きたい事を忘れつつあるという事です(汗)
重傷ですね、作者としては。
ここまで続いていると、書きたい事が終わってしまったり、逆にする事ができてしまったりといった事で、その傾向が見られるんですよね……(汗)
自分でもこの作品をちゃんと書きたいようにラストまで書けるのか?と心配していますが、とりあえず完結まで突っ走っていこうと思っています。
なるべく内容がずれないように終わらせたいですね……。
ちなみに今回は前々回の更新から約1ヶ月程になります。
いつもより早いのは確かなのですが、まあこのくらいが更新の速度と思ってください。

さて、今回も話の解説に参りましょう。
まずは……出ましたね、ライの新型機『天月』!
それだけではなく、ラウンズの中で未登場というか出なかった機体も、オリジナルの機体という事で出させてもらいました!
ヴォールス、アグロヴァル、エクターがそれですね。
ラウンズの機体案に協力して頂いた黒い鳩さんと縮図さん、ありがとうございました!
ライの新型案も自身からしていただいたナナシさん、ありがとうございました!
ただ、ライの新型は私の案全開なので、採用はしていないのですが、大変一つの参考になり、嬉しかったです!
天月がどれだけ強いかは本編を見て頂いた方はわかると思います。
つーか、未来って!
凄いネタ出してしまいましたね(汗)
ライの新型案はこの話を書く前から考えていたのですが、超強化するならいっその事こういうのもアリだろうと思ってしちゃいました。
まあ、Cの世界を利用するって事にしましたが、あながち不可能でもないでしょう。
ギアスの存在だけでも充分凄いですから。
未来で開発された機体が送られてくるなんて、ありえない事じゃあないでしょう!
という訳でその辺は納得してもらえるとありがたいです。
星龍はその未来からの機体で、同時に崩月の強化パーツという設定ですが、実はこの星龍が来た意味が他にもあります。
それは、次回以降で確かめてくださいね!
そして、ラウンズとの戦い、ナイトオブワンとの決着。
まあ、ラウンズは原作ではドロテアさんやモニカさんあたりが瞬殺されたり、ノネットさんが書かれていなかったりとした訳ですが、それじゃあラウンズとして ダメだろう!という訳で頑張ってもらいました。
結果的に撃墜されるというのは変わらないんですが、ラウンズとして中々しぶとく戦ってくれた事で、ラウンズとしての強さが出せたんじゃないかと思います。
ただ、ラウンズの機体が一話限りの登場で終わってしまうというのは考えた側としてかなりむなしかったですが(苦笑)
そして、ビスマルクとの決着ですが、原作と似たりよったりになってしまいましたね(苦笑)
ライはスザクと違い、生きろのギアスなんてないので、新要素出したり、決着の瞬間には奥義を出したりしてそれなりの本気を出したつもりなのですが。
原作のあの戦いがご不満な方々には、そのまま不満かもしれませんね。
私としては、あのエクスカリバーが真っ二つっていう事実がおもしろかったので、違う形で使っています。
読者の中には、対等な性能での決着を望んでおられる方が多かったですが、新型機を出す上でこれは避けられませんでした。
私としても、対等な決着をしたかったところですが、これが新型機を出す上での欠点でしょうかね……(汗)
ちなみに言い忘れてましたが、スザクはルルーシュ側で、ラウンズの地位はそのままです。
ライがゼロになってしまったので、ワンにしようかとも考えたのですが、まあわざわざ変える必要はないだろうと思い、こうなりました。
気になっていた方には、前回でその部分が書けなくてすいませんでした。
その後の超合集国との交渉や乱入などの展開はほぼ原作通りですね。
違うといえば、ライが乱入した点でしょうが。
後、ライが原作では死んだはずのラウンズを生かした事でどうなるのか。
まあ、これはエンドくらいに語る予定なので、それはお待ちくださいね。

という事で今回はライの新型やラウンズとの戦いを中心に解説させてもらいました。
まあ、これがメインですので、当然なんですけどね。
この話で未来からなんて要素も関わってくるので、この話で読者が今後も見てくれるかが割れるかなぁ〜と思っています。
できれば、今後もたくさんの方が見てくださると嬉しいです。
今回のあとがきの後には、ラウンズの機体設定を載せておきますね。
ライの新型の設定も載せたかったのですが、まだ明らかになっていない新機能などがあるので、ライの新型の天月に関する設定はもう少し後になると思ってくだ さい。

さて、次回ですが、ライとC.C.の甘いシーンがあるかも……。
気になる人は是非見てくださいね!
さらに、天月のさらなる新機能、そして、この作品唯一の完全オリジナル機体も出ます!
そして、最後にはついにあの子との決着が……!?
次回も目が離せない物となっています!
乞うご期待ください!

今回もたくさんのWEB拍手と感想をありがとうございました!
少し辛口なコメントもありましたが、そこは私の悩みと関係あるかもしれませんね。
ですが、めげずに頑張りたいと思います!
では、早速拍手で名前を入れて頂いた方々へのコメントの返信をしたいと思います。

>> ファルーシュさん
感想ありがとうございます。
ライがシュタイナーと名乗ったのに意味があるのかという事ですが、単にブリタニア性を名乗るのはまずいという事です。
それで、偽名みたいな形でシュタイナーというのを使わせてもらいました。
学園の時にでも書けばよかったんでしょうが、その時には思いついてなくて、前回の話を書いている時に思いつき、書かせてもらいました。
今回の新型で楽しんでもらえれば、考えた私としても嬉しいです。

>> たぬきさん
やっぱり気になりますよね〜。
でも、バラすと今後の話の展開がわかってしまう可能性があるので、ちょこっとだけ。
原作的なゼロレクイエムが鳴るように見せかけて……別の人がレクイエムを奏でます。
それがどういう形で誰がするのかは最終話あたりで確認してくださいね!

>> ハマシオンさん
私がハマシオンさんに感想したのは二回ほどありますが、ハマシオンさんの感想は初めてですね。
見ていてくださっているのは承知していますよ。
私もハマシオンさんのコードギアスはいつも見させてもらっています。
そうですね、シャルルとマリアンヌについては原作とほぼ同じです。
急激な変化がつけられないのが、ハマシオンさんと違って私の欠点ですね。
ハマシオンさんの作品を見ていていつも奇抜な案には驚かされます。
でも、GOODな面もあったようで、良かったです。

今回の話で色んな機体が出ましたが、楽しめましたでしょうか?
楽しめてもらえたのなら、私としても嬉しいです。

ちなみに設定で機体の方がかぶるのは、さすがにまずいかもしれませんが、武器がかぶる事については構いませんよ。
新型の武器なんて考えてればかぶるのがあって当然でしょうから。
もし、武器でかぶるような案があっても、それは後に使って頂いて構いませんよ。
私の考えた武器は、その武器が進化した一つの形ですから。
それこそ独り占めなんて勿体無いですからね。
もし、見て使わせてもらおうと思ったのなら、ちょっと言って頂ければ、その武器設定を使って頂いても全然かまいませんので。
私も結構なメカ好き(しかも極端なのが)なので、そこは共有できるといいなと考えていますので。

>> YAMAさん
私にとっても驚きでした。
更新した側なのに。

今回も楽しめてもらえたようで、何よりです。
あんな事っていうのは、ルルーシュとナナリーの秘密に関わる事です。
原作の小説版を見てもらえたらわかると思います。
ルルーシュとナナリーも知らない秘密ですから。
それを私は日記という形で当時の研究者が密かに残していたのを、ライの部下が見つけたという事にしています。

そうですね、ゼロレクイエムの始まりです。
ライの活躍や他のキャラの動向が気になってくるところです。
今回でビスマルクとの決着がつくので、それなりに楽しんでもらえたらありがたいです。

なんとかラストスパートで、頑張っていくので、これからもよろしくお願いします!

>> ランツクネヒトさん
辛口なコメントですね〜(汗)
これをやった理由は、書いた作者から言えば、ノリであり、やりたかったからですね。
なんという自分本位(汗)
確かに真意を問う必要はないですよね、ライに。
強いて言えば、同じ戦ってきた者同士確かめ合っただけとか?
すいません、納得できるような理由を用意できなくて(滝汗)
ともかく、書いたのはそんな理由からですね。
ただ、一つの勉強にもなりました。
ありがとうございます。


これでWEB拍手の返事は終わりです。
今回はそれほど拍手の方はなかったですね。
いよいよこの作品もマンネリ化か……?と思いつつ最後まで頑張っていきます!
もちろん、名前を書いていない方も拍手をしていただいてありがとうございました!
という事で、今回ラウンズの機体の設定を書かせてもらうのですが、実はそれ程はっきりとしたイメージが決まっておりません(オイ)
そこで、もし絵師の方で見て頂いている人がいれば、設定を元に機体を書いて頂けると嬉しいです。
と言っても、これはあくまで私個人の希望と本人の希望があればですので、いないならいないでそのままいきますので、良ければという事にしておきます。
もし、いれば、管理人さんを通して連絡をください。
さて、もうすぐ10万アクセス!
この21話で達成できるのか!?
と思いつつ今回のあとがきとさせてもらいます。
次回は一応一ヶ月後の予定ですが、早くなるか遅くなるかはわかりませんので、気長にお待ちくださいね。
また次回でお会いしましょう!
さようなら!























ラウンズ(ナイトオブフォー、ナイトオブナイン、ナイトオブトゥエルブ)の機体設定


ヴォールス
武装:ガンブレード
        スラッシュハーケン
        ハドロン・ショルダーショット
備考:ナイトオブフォーの専用機。近接戦のナイトメアであるが、主武装のガンブレードにより、遠近戦ともにこなせる汎用性の高いナイトメアとなっている。
主武装のガンブレードはエクスカリバー程ではないが大型で、ブレードはMVS、銃はヴァリスと同じ物でそれらを一体化させたもの。
そのため、扱うヴォールスは一般のナイトメアを凌駕するパワーを発揮する。
ハドロン・ショルダーショットは普通のハドロン砲に比べて威力はやや劣るが、火器としては充分な威力を持つ。
ビスマルクと肩を並べる豪傑である彼女らしいナイトメアとなっている。
弱点は武装が高威力なものや長大なものが主になってしまったため、連射性が低く、小回りの効いた戦闘が苦手であるということ。
しかし、これを彼女は自身の腕でカバーしている。
機体色は水色。


アグロヴァル
武装:ガンランス「ゲイボルグ」
        スラッシュハーケン
        マシンヴァリス
        展開式ハルバート
備考:ナイトオブナインの専用機。長大な槍である「ゲイボルグ」を生かした近接戦闘を得意とする。
主武装のガンランス「ゲイボルグ」は、長大な槍に大型バルカンが内臓されており、近接戦と同時に射撃戦もこなす事ができる。
ガンブレードとの違いは、ガンブレードは高威力で遠距離の敵に攻撃が可能なのに対し、こちらは中距離程度の攻撃を前提としたもので、ランスが長大なため取 り回しが欠けるのに際し、それを補わせるために牽制と攻撃を同時に行うという目的のために開発されたものである。
マシンヴァリスはヴァリスをマシンガン形態に改造した武器である。弾丸が小さくなったのとマシンガンという形態から威力は落ちたが、その分連射性能が格 段に向上している。ただ威力は落ちたといっても、アサルトライフルよりはかなり威力の高い武器である。
近接兵器の予備として、展開式のハルバートを腰の後ろに搭載。
必要に応じて展開する装備であり、刀身部分にはMVSを採用している。
近接戦に特化したナイトメアで、こちらもかなりのハイパワーな機体となっている。
弱点は遠距離戦に弱い事。
機体色は青紫色。



エクター
武装:MVSブレスタイプ
        スラッシュハーケン
        ツインソードライフル
備考:ナイトオブトゥエルブの専用機。
遠近距離の武器を搭載し、ラウンズの中では最も汎用性の高い機体となっている。
武装のソードライフルはハドロン砲を改造したハドロンガンと銃身の上と下の端にショートMVSを付けて銃剣型の武器としている。
守るにも攻めるにも切り替えが早く、攻めにも守りにも向いた武器である。
さらにこの機体は指揮能力の向上に力が入れられており、そのためのドルイドシステムが搭載されている。
それにより、電子戦や部隊指揮でも力を発揮するナイトメアとなっている。
ブレイズルミナスも搭載しており、全方位で張る事も可能。
黒の騎士団の蜃気楼と違い、攻撃力や防御力よりも汎用性に重点を置いた機体である。
だが、それでも調整はピーキーな機体で、一般兵では扱う事すらかなわない。
加えて電子戦ならラウンズの中で一番の性能を持つ。
弱点はないが、攻撃力に若干欠ける部分がある。
機体色は金色。



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