魔法少女リリカルなのはA's
               Accel of the Rebellion




















第4話 とある日常〜襲撃と修行旅行〜



こうして、八神一家と楽しく遊んだり、ヴォルケンリッターと模擬戦(特にシグナム)をし、小学校に通うという少し変わった日常を俺こと北川乱は送ってい た。
今日も学校が終わり、今は八神家への帰路に着いている。
ちなみに今は1人だ。

最近できた調べ物作業を今日もしないとな〜。

そう考えていた俺だったが、不意に鞄の中にあるブック型端末にいるエイダから声をかけられた。

『マスター、よろしかったのですか?』

周りに誰もいないのを確認し、少し小声で俺は応える。

「何が?」

『なのはさん達の事です。最近例の調べ物やはやてさんと過ごす時間を増やしているために、なのはさん達とは前より疎遠になっているでしょう』

「……まぁ、そうだな」

俺はエイダの言葉を否定できず、要領悪く応えてしまい、それと同時に先の放課後の事を思い浮かべた。

















〜回想〜

いつも通り授業を終え、俺は早々に帰宅する準備をしていた。
今日ははやてに早く帰ると言った手前、それを実行するためにこうしている。
すると、なのは、アリサ、すずかがいつものように俺を誘ってきた。

「ラン君!一緒に帰ろう!」

「あ、悪ぃ。俺今日は早く帰らないといけないんだ。確か今日はアリサん家でゲームだったろ?」

「うん……」

いかにも残念そうにするなのは。
俺としても、誘いを断るのは心苦しいが、先にした約束の方が優先だ。
これは仕方ない。
すると、アリサが不満気な表情を崩さないまま口を開いた。

「そういえば、あんた最近随分とあたし達と疎遠じゃない?」

「……?そんな事ないと思うが」

「でも、前は結構一緒に帰ってたよね?」

と、すずかが追撃してくる。
先ほどはなんとなく考えただけだったので、俺は深く考えてみる。
すると……。

「あぁ、確かにそうかもな。つってもこれは俺にはどうしようもないんだよな〜」

「アンタがあたし達に付き合えば済む事じゃない」

ごもっとも。
しかし、俺にも色々と予定や約束というものがある。

「それはそうなんだけどな。だけど、俺にも用事ってもんがある。それはどうしようもないって事さ」

「……それなら、仕方ないね」

すずかが残念そうにそう言う。

う、やめてくれ。
無性に罪悪感が湧いてくるじゃないか。

「ま、前より疎遠になったとしても、友達付き合いをやめるつもりはないから心配すんな」

「うん……」

やはり残念そうななのはの肩に笑顔でポンと手を置いた後、俺は鞄を手に取る。

「じゃあ、悪いけど俺先に帰るな。また明日」

「うん、また明日」

「今度はちゃんと付き合いなさいよ」

「またね」

手を挙げてそう言った俺に、3人がそう返してくれたのを確認すると、俺は学校を出て行った。


















と、俺はつい先ほどの事を振り返った。

「でも、これは俺じゃあどうしようもないってのは本当だしな。最近の調べ物もはやてのためだし。抜かす事はできねぇよ」

『そうですね……』

そう言った俺だったが、実は先ほどから別の気配を感じていた。
ちょうど回想に入ったあたりからだ。

確実に誰かに付けられている。

背中に刺さるとまでは言わないが、視線を感じるのだ。
しかも、探るような。
これは間違いなくはやての家に住み始めた時から感じていた視線だ。

ちょうどいい。
一応そいつの正体をいい加減確かめておくか。

「おい、出てこいよ。そこにいるのはわかってるんだ」

急に立ち止まり、俺が言いながら後ろを振り向くと、物陰から出てきたのは仮面を付けた2人組みの男だった。

「で、俺に何か用?つーか、おまえら何者だ?人の事ずっと前から見張りやがって……いい加減うっとうしかったんだよね」

「答えるつもりはない」

すると、仮面の男達が構えた。
どうやら一戦交えるつもりらしい。

「なら、力づくでも聞かせてもらう」

そう言って、俺がGドライバー・ダブルを腰に付けたとたん、仮面の男の1人が飛び出してきた。
振りかざされた拳を俺は前転してくぐり抜ける。

「どうやらこっちの手は知ってるらしいな!」

【JOKER!】

「変身!」

すばやく俺はジョーカーメモリのスイッチを押した後、ドライバーのレフトスロットにセットする。

【JOKER!】

俺が立ち上がった直後、ゲシュペンスト・ジョーカーに変身した。
先ほど突っ込んできた仮面の男がまた拳を構えて飛び込んでくる。
だが、速さはまあまあ。
それだけだ。

「ハァ!」

相手の突き出した拳に合わせ、俺も拳を突き出す。
拳と拳が真正面から激突した。

「ぐぁ!」

だが、威力は俺の方が勝り、仮面の男は俺が拳を振り切ると同時に吹き飛んだ。
俺はそこへすかさず追撃。
跳躍した直後に、地面に転がった相手に向けてかかとおとしを繰り出す。
寸前で仮面の男は転がってかわす。
だが、甘い。

「遅え」

「がっ!」

かかと落としで繰り出した足を今度は軸にして、俺はすぐさま回転蹴りを放ったのだ。
見事にかわしきれずに、仮面の男は腹に俺の蹴りを喰らう。

「このっ!」

すると、今度はもう一人の仮面の男が援護に入ってきた。
だが、そんなものは予測済み。
突き出された拳を掌で受け止めた直後、俺はそれを受け流す。
それに合わせて相手の体が宙を舞う。

「な!」

「この際言っておくが、JOKERは技師でもあるんだよ」

いわゆる合気道の要領だった。
相手の出した攻撃の威力を殺さず、そのまま別の力に転換した。
ただ、それだけだ。
俺は小さく跳躍、宙を舞った相手に対し、上から思いっきり拳を振り下ろす。

ドゴッ!!

「ぐはっ!」

仮面の男の腹に見事拳が直撃し、さらに地面に激突したため、軽いクレーターができた。

「ロッテ!」

すると、先ほど蹴り飛ばした仮面の男が俺に飛び掛ってきた。
咄嗟に繰り出されたパンチを払いのけ、距離を取る。
すると、俺を攻撃してきた仮面の男は先ほど俺が叩き潰した仮面の男を抱きかかえる。
そして、足元が光り出した。

「!逃がすか!」

俺はすぐさま転移魔法だと察知し、飛び出して拳を振り下ろしたが、一瞬早く相手の方が転移してしまい、俺の繰り出した拳は空を切った。

「……逃げられたか」

俺は相手の事を思い出す。

あいにくと仮面で顔はわからなかったが、実力はそれなりにできる奴らだった。
ただ、相手は人間というよりもアルフのような使い魔に近い感じを受けた。
これは、アルフと交戦経験があるからこそ言える事であるが。

とりあえず、俺は変身を解く。

「…………」

狙いは間違いなく自分だった。

狙われる理由……。

「……やっぱはやてと何か関係あるのか?」

ちょうど見張られ始めた時期もはやてに世話になり始めた頃だ。
こうなると、はやてに関係する何か……。
もしかして……。

「闇の書が関係してるのか?」

そう思ったが、あくまでこれは推測だ。
ただ、はやての素性で変わっているとすれば、これくらいしかない。

「これは、ますます調べる必要がでてきたな……」

俺は呟きながら、とにかく帰宅する事にした。
そう、俺が調べているのは闇の書について。
それであさっているのは、俺の戦艦『アーク・スマッシャー』に保管されている以前からある出自不明のデータ群だった。



























それから数日経った休日のある日……。
俺が襲撃された事は他の皆には伏せておき、それまでどおりの生活に戻っていた。
あれから襲われる事もない。
問題もないし、俺自身に何もないのだから話す必要もないと思ったのだ。
余計な心配はかけたくない。
俺は日常となったはやての作った朝ご飯を食べると、席を立つ。

「あ、はやて。今日俺ちょっと出かけるから」

「ええけど、どこに?」

「○県の寺院にな。ちょっとした修行」

そう言って俺は食器をキッチンの流し台に持っていく。

「なあ、それ私も行ってええ?」

俺の修行様子に興味が湧いたのか、それとも外の世界に興味があるのか、はやてがそう俺に頼んできた。

「別に面白くないぞ?」

「それでも行ってみたいねん。ね、お願い。ラン君!」

そう頼み込まれてしまっては、俺としても断れない。
それに、外野のはずのヴォルケンズの視線が超痛い。
頼みを聞けと言わんばかりの視線だ(汗)

「……ま、観光スポットもあるし、いいか」

「やった!」

「ヴォルケンズはどうする?一緒に行くか?」

すると、四者四様の答えが帰ってきた。

「私も行こう。おまえのする修行には少なからず興味がある」

「あたしははやてが行くんなら行くぞ!」

「そうなると、私も行く必要がありますね」

「我も皆が行くのなら行こう」

結局全員行くみたいだ。

「なら、いっその事マイクロバスでも呼ぶか。ちとでかいがな。あ、それと……」

俺は釘をさしておく。

「ザフィーラは狼姿のままでいろよ。おまえ、人型だと結構おかしいとこあるから」

……正直どうでもいい事だったかもしれない。


























そして、俺は急遽マイクロバスを借りて、○県の知り合いの寺院までやってきた。
とりあえず、はやてをおんぶして境内を登る。

「あ、その……ラン君」

「ん?」

背負っていたはやてから声がかかったので、後ろをやや振り返ると、はやてが何故か少々赤くなっていた。

「その…重ない?私」

「全然。むしろ軽いくらいだ」

と俺は笑って答える。
それで、はやてはほっとしたようだ。

いや、ほんと軽いんだよ。
なのはと同じで。
軽いのは美少女の特権なのかねぇ。
まあ、俺の力が少々化け物じみてるのもあると思うが。

「そっか……」

「良かったですね、はやてちゃん」

と、そこへシャマルがはやてにそう言ってきた。
すると、はやてが何故か慌てた様子を見せる。

「ちょ、シャマル!からかわんといて!」

「あらあら、それはすいません。はやてちゃん」

顔を赤くしながら言うはやてに、シャマルは笑顔でそう答えていた。

「???」

何が起こっているのかさっぱりわからない俺であった。
ちなみに、車椅子はシグナムが持っていた。





















そして、まもなくして寺院に着いた。
とりあえず、シグナムに車椅子を再度展開してもらい、俺ははやてを降ろす。
すると、そこへ寺の住職がやってきた。

「おぉ、久しいな。ラン」

「あぁ、久しぶり。和尚。悪いな、急に連絡して」

「いいって事よ。それより、そちらさんは?」

俺の他にはやて達がいる事に気が付いたのか、和尚が尋ねてきた。
そこへはやて達が進んで自己紹介する。

「あ、私八神はやて言います。で、こっちが私の親戚で今は一緒に住んでる……」

「シグナムです」

「ヴィータだ」

「シャマルといいます」

「…………」

ああ、そう言えばザフィーラは喋れないんだった。
そりゃあ喋ったら大変な事になる。
人語を喋る狼なんて前代未聞だ(笑)

「で、このいn……じゃなかった狼なんだけど、ザフィーラっていうんだ。皆最近できた俺の家族」

笑顔で言うと、和尚も笑ってくれた。

「そうかそうか。ランの家族か。なら、ゆっくりしてくといい。幸い、この町には観光スポットもあるから寄っていくといいよ」

「「ありがとうございます」」

はやてとシャマルがお礼を言い、シグナムやヴィータもそれに合わせてお辞儀をした。

「じゃあ、和尚。いつも通りのやつ始めるから案内してくれ」

「わかった。じゃあ、奥に」

俺ははやて達を振り返る。

「俺は今日一日中修行してるけど、はやて達は自由行動でいいから。集合は夕方の5時にこの寺の前で」

「うん、わかった」

そう言うと、まずは皆で寺に入る事になった。


























とりあえず、ラン君は奥に入って、修行に入るっていう事らしい。
今、私らは住職さんに寺の中を案内してもろてる。

「そういえば、キタガワはどんな修行をしているのだ?」

シグナムも気にしとったみたいやね。
私も気にはなってた。

「やはり気になるかい?」

「ええ」

「なら、案内しよう。もうそこしか案内する場所ないからね」

そう言って住職さんの後に私らは続いた。
そして、間もなくすると、お堂の奥にある滝のある場所に出た。

「あ、ラン君!」

私はその滝の流れている場所にラン君が目を閉じて座禅を組んで滝に当たっているのを見つけた。
だけど、聞こえてへんのかラン君は反応しない。

「あれは、何の修行なのだ?」

シグナムがランのしている様子を見て住職さんに聞いた。
すると、住職さんはしっかりと答えてくれる。

「あれは、集中力と忍耐力を高める修行でね。ああやって1時間はずっとしているのだよ」

「えぇ!?」

「1時間も!?」

「寒くないのか!?」

お、驚いたぁ。
まさか1時間もああしてるって思わんかった。
でも、ヴィータの言うとおり寒ないんかな?
シグナムも驚いてたけど。

「まあ、結論から言うと、寒いというか冷たいな。体感温度は相当低いから。あぁ、もちろん真似する必要はないよ」

「いや、それはわかっとる」

笑顔で言う住職に思わず突っ込んでしまう。

「ランは、集中力が鍛えられるからと言って、時々この寺を訪れるんだよ。集中力も立派な強さだって言ってね」

「……そうなんか〜」

私はラン君の努力模様に少し感心した。
シグナム達を負かす強いラン君でも、やっぱり努力はかかさへんのやねぇ。
ってあかんあかん(///
ラン君てよう見たら結構男前やから、あの様子は反則や(///
しかも、普段明るくしている分余計に……(///

「どうかしたの?はやてちゃん」

「い、いや!何でもない!」

あ、危ない。
シャマルに気ぃつかれるとこやった。

「それより、君達は彼の言った通り、観光をしてきたらどうだい?ずっと彼の修行を見ているのもつまらないだろう」

それを聞いて気を取り直した私は少し悩むと……。

「ほなら、そうしよか。シグナム達はどうする?」

「折角ですから、私はもう少しキタガワの修行を見ていきます」

「じゃあ、あたしははやてと一緒に観光スポットってのを回ってくる」

「なら、私もそちらの方に行こうかしら」

「(我はシグナムに同行しよう)」

律儀にザフィーラは念話で答えてくれた。

「じゃあ、後でまた連絡してな」

「はい。了解しました、主」

そして、シグナムと別れると、私とヴィータとシャマルは観光スポットを回る事になった。
久しぶりの旅行、楽しみやなぁ。






















こうして、はやて達は観光スポットを回り、途中でシグナムとザフィーラと合流。
夕方まで観光名物のお菓子を食べたり、観光スポットに行って写真を撮ったりと思いっきり楽しんだ。
ちなみにランはというと、本当に夕方までずっと修行をしていたのであった。























俺は修行を終え、寺を出る。
空は朱く染まっており、もう夕方なのは明らかだった。

「じゃあ、和尚。今日はありがとな」

「いや、気にするな。また、用があったら来るといい」

「そうさせてもらうよ」

はやて達には先に下で待たせていたので、俺もそこに向かう事にした。

「じゃあ、またな和尚」

「うむ、気をつけてな」

言って、俺は境内を一気に駆け下りた。

「ふっ……、相変わらず元気な奴だ」

そう言って、和尚は寺へと戻って行った。














下へ降りると、既にマイクロバスが来ており、はやて達がいた。

「もう、遅いで!ラン君!」

「いや、悪い。ちょっと夢中になりすぎた」

「で、どうやったん?修行は?」

「ま、いつも通りかな。そう言うはやては楽しめたか?」

「うん!久しぶりの旅行やったからいっぱい楽しめたで!」

笑顔で楽しそうに言ってくれたはやてにつられて俺も笑顔になった。

「そっか。そりゃ良かった。じゃあ、帰るか」

「うん!」

こうして、俺の修行、はやて達にとっては旅行は終わった。

俺は目的は果たせたし、はやて達も楽しめたようなので、連れて行った甲斐はあったな。

ただ、この後に想像もしないような過酷な運命が待っている事はこの時、俺以外の誰も予想していなかった。
























あとがき

9月なのに、つい最近まで暑かった。
しかも、台風が多い。
そんな中、皆さんどう過ごしてますか?
私は未だにクーラー付けてのんびり過ごしています。
台風の場合は、さらにのんびりしています。
そもそも外に出られないので。
と言っても最近は就活の準備でそんなにのんびりって訳でもないんですけど。
とりあえず、執筆活動はこれからもできる限り続けていくつもりで頑張ります。

で、今回の話ですが、前回に引き続き日常面についてです。
前半は例の仮面の襲撃、後半は修行を兼ねた旅行となってます。
仮面の男はまあ…例のごとくあの子達ですね。
魔法はともかく…格闘術に関してはランの方が上なので、あのような圧倒する形になりました。
今思えば…なのはって魔法を使った戦闘以外の術って結構雑ですよね(苦笑)
なのはの父親の士郎と兄の恭也は、剣術において化け物じみた強さなのに……。
まあ、魔法中心のアニメですから何の問題もない訳ですけど。
私はあえてそこを利用させてもらいました。
魔法と格闘を合わせた戦闘術VSメモリのエネルギーと格闘を合わせた戦闘術。
魔法とエネルギーはあくまで補助で優劣を左右するのは、基本となる格闘術な訳ですから、ランの方が強かったという訳です。
後半は日常の旅行編だった訳ですが……。
相変わらず難しいですね(汗)
よくできたと我ながら思います。
ちなみにランはスーパーイケメンって訳ではないですが、それなりにいい顔をしています。
普段の態度でその片鱗は欠片も出ない訳ですが(笑)
戦闘では仮面の下で出てると思いますけどね(笑)
見れないから変わらない(爆)
という感じで旅行は簡素な物でしたが、ほのぼのって感じにしました。

次回はいよいよ蒐集開始です!
ようやく原作に入れる……。
ランがどのように動くのか…お楽しみください!

残暑もきつく、台風もきつい9月ですが、皆さん熱中症や台風時の外出には気をつけてください。
また、次回にお会いしましょう!



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