まえがき

この短編は私のちょい復帰作とデュエルがどれだけしっかり書けているかを見る試作作品です。
私のデュエルタクティクスは、ロマン重視で結構低いので、デュエル内容が悪い場合はご容赦ください。
それでも読んでいただけるのならば、どうぞお読みください。























                                   遊☆戯☆王GX
               Generation Pioneer



















「……どこだ、ここは?」

気が付いたら俺『銀光四郎』は学園らしき建物の前で立ち往生していた。
正直意味がわからない。
大学が終わって、自宅に帰り寝ていたのだが、目を覚ましたらこれだ。
意味がわからない。
しかも、自身の格好をチェックしてみると、何故か今では着る事はなくなったはずの学生服。
もう何が何だかさっぱりだ。
そう内心で混乱しながらポケットや背負っていたリュックの中に手がかりがないかとチェックしていると、ある物を見つけた。

「……デュエルアカデミア受験票?」

名前は白銀光四郎。
姓名の字が違うだけで、名前はほぼ同じ。
そして、試験の日時は今日の昼あたり……。
時刻を腕時計で確認。

「……確実に遅刻しているな」

これって試験受けられるのか?

そう思っていたが、試験票と一緒に何やら電車の遅延証明書まであった。
どうやら電車のダイヤが突然遅れたから遅刻したようだ。
この体の元の持ち主は。
さらにポケットを探っていると、携帯を発見。
発信履歴を見てみると、デュエルアカデミアに電話した後があった。

「……連絡は既にしているのか。……交通機関の遅れが理由ならなんとかなるかもな」

とりあえずなるようにしかならないだろう。
俺は、リュックの中に入っていた遊戯王のデッキ(何故か自分が自身の世界で持っていた物が入っていた)を確認しながらアカデミアへと向かった。
そう、ここはどうやら遊戯王の世界らしい。
……俺は夢でも見てるのかと頬を抓ったが、痛みはあったので現実らしい。
ついにアニメの世界に入るとか……。
……ありえねぇ。




























とりあえず実技試験場である海馬ランドまで行き、受付の人に事情を言うと通してもらえた。
どうやら連絡は通っており、試験は受けられるようだ。
そして、会場へと向かっていると、何やら騒がしい声や音が聞こえた。

「行け!フレイムウィングマン!スカイスクレイパーシュート!」

「マンマミーア!我が古代の機械巨人がぁ!」

会場に入ってみると、何やら奇天烈な格好をした試験管らしき人が破壊された古代の機械巨人の下敷きになっていた。
どうやら受験生が勝ったらしい。

しかし、あの試験管はアンティークギアのデッキかよ……。
俺、あれの効果嫌いなんだよな。
味方だと凄く頼もしい効果なんだが。
それに……ソリッドビジョンだったか?
凄いリアルだな……。
子供心が残っている俺としては、どうしてもわくわくしてしまう。

「ガッチャ!楽しい決闘だったぜ、先生」

しかも受験生は決め台詞まで言うという。
まあ、確かにあれ程綺麗に決まれば言いたくもなるか。
ガッチャの意味はわからんが。
それより近くの試験官に事情をもう一度言わないとな。

俺は近くの試験官に駆け寄って話しかける。

「あのー、すいません」

「ん?何だね?見たところ君も受験生のようだが」

「受験番号44番の白銀光四郎です。電車が遅れてしまって、こちらに着くのが遅れました。一応前もって連絡はしていると思うのですが」

「44番の白銀君だね?今確認するからちょっと待っててくれ」

そう言うと、試験官は持っていた携帯で電話をかけ。
電話先の相手と何度か言葉を交わした後、電話を切り先程決闘していた試験官の方へと向かった。
どうやら責任者はあの奇天烈な格好をした人らしい。
そして、彼が耳打ちされると何を思ったのかこちらに視線を向けた。

「君が受験番号44番のシニョール白銀ナノーネ?」

「あ、はいそうです」

つーか、話し方も奇天烈だなこの先生。

「受験に遅れた理由は聞きマーシた。本来なら遅刻した者は受験資格はないのでスーが、遅れた理由が交通機関の遅れであり、シニョールは前持ってそれを学園 に連絡していた。間違いないノーネ?」

「はい。その通りです」

「よろしい。ならば、受験を認めまショーう。この私自らが相手になりマーす」

「わかりました。ありがとうございます」

礼をして、俺は先程受験生が決闘していた決闘場へと向かう。
すると、降りてきた少年が俺を見て軽く声をかけてくれた。

「お、次はあんたか!頑張れよ!」

「……ああ」

言って、俺は決闘場へと上がった。

しかしアンティークデッキか……。
当初の予定を変更してあのデッキでいくか。










一方自ら試験官を申し出たクロノス教諭はというと……。

(先程はドロップアウトボーイに負けてしまいまシーたが、次の決闘で汚名返上なノーネ)

などと試験ではなく、自分の名誉の事を考えていたのだった。










そして、会場では……。

「あいつ……試験番号44番と言っていたが、遅れたのか」

観覧席で見ていた青年三沢大地が決闘場へと上がっていく光四郎を見て呟く。

「そうみたいだね。しっかりと連絡はしていたみたいだから受けられるみたいだけど、またクロノス先生が相手なんて……運がないとしか言いようがないよ」

一方、オベリスクブルーの観覧席では。

「あいつは……」

「確か試験番号44番って言ってたわ。でも、気の毒ね。クロノス先生が相手なんて」

観覧席で立っていたオベリスクブルーの天上院明日香が光四郎を見てそう言う。
それ程クロノスの実力が高いという事だろう。

「確かにな。先程の受験生は勝ったようだが、そう何度もあの人が負けるはずはないだろう。……だが」

「?」

「もしかすると、面白い事が起きるかもしれない」

「……なら、今回の決闘も見せてもらおうかしら」

そう言うと、二人共視線を決闘場へと向けた。























そして、光四郎へと戻る……。

決闘場へと上がった光四郎はまずクロノス先生の格好に驚いた。

決闘ディスクでか……。

あんな大きさで重くないんだろうか。
それに何故あんな風なディスクを使っているのかもわからん。
疲れるだけだろうに。

「では、始めまショーウ」

「「決闘!!」」

光四郎 LP4000
手札5枚

クロノス LP4000
手札5枚

「先攻は受験生の君からナノーネ」

「……わかりました。ドロー」

手札6枚

ふむ。
悪くない、いやむしろ良い手札か。
上手くいけば1ターンで決められる。

「俺はセイクリッド・シェラタンを守備表示で召喚」

セイクリッド・シェラタン DEF1900

この世界は表側守備表示もありだからありがたい。

「?見た事もないモンスターナノーネ」

まあ、そうだろう。
俺の世界にしか出ていないカードだから。
まあ、そんな事はどうでもいいので進める。
自重とかはしない。
というより、無理だ。

「シェラタンの効果。このカードが召喚に成功した時、デッキからセイクリッドと名の付いたモンスター1枚を手札に加える。俺はセイクリッド・ポルクスを手 札に加える」

「また知らないカードナノーネ」

先生が知っていようが知っていまいがどうでもいい。
シリーズの説明なんて手の内を明かすようなものなので、無視して続ける。

「俺はこれでターンエンド」

光四郎 LP4000
手札6枚
フィールド セイクリッド・シェラタン

クロノス LP4000
手札5枚
フィールドなし

「私のターンデース」

手札6枚。

クロノスが笑う。
どうやらあちらも良い手札のようだ。

「私は手札から古代の機械砲台をショウカーン!」

古代の機械砲台 ATK500

手札5枚

「さらに、手札から機械複製術を発動!自分フィールド上にいるATK500以下のモンスターを選択し、そのモンスターと同名のモンスターをデッキから特殊 召喚するノーネ!私は、デッキからさらに2体の古代の機械砲台を特殊召喚!」

古代の機械砲台×2 ATK500

手札4枚。

低レベルモンスターが3体。
リリース要員か。

「さーて、準備はいいですか?私は、魔法カード二重召喚を発動!このターン、私はもう一度通常召喚を行う事ができるノーネ」

手札3枚。

来るか……!

「私は2体の古代の機械砲台を生贄にして、古代の機械巨人をショウカーン!!」

クロノスがカードを掲げると同時に巨大な機械兵が現れる。

古代の機械巨人  ATK3000

手札2枚。

出たー……。
攻撃力3000の古代の機械巨人。
罠カードを伏せなかったのは、単純に手札にないからだが、こいつの貫通効果と攻撃中の魔法・罠封じは強烈だ。

「おほほほ!行くノーネ!古代の機械巨人でセイクリッド・シェラタンを攻撃!アルティメット・パウンド!!」

ギアゴーレムが拳を振りかぶり、シェラタンに振り下ろした。
シェラタンはその圧倒的なパンチに耐え切れずに破壊される。

光四郎 LP4000-1100=2900

貫通によるライフダメージで多少の衝撃が俺を襲う。

っく〜!
効くな、さすがに……。

「さらに、古代の機械砲台でシニョール白銀にダイレクトアタック!」

光四郎 LP2900-500=2400

「そして、私は古代の機械砲台を生贄にする事でシニョールに500ポイントのダメージを与えるノーネ!」

光四郎 LP2400-500=1900

かー、やってくれる。
一気にライフが半分以上削られた。

「私はカードを1枚伏せてターンエンドナノーネ」

クロノス LP4000
手札1枚
フィールド 古代の機械巨人 伏せカード一枚

光四郎 LP1900
手札6枚
フィールドなし

劣勢も劣勢。
さて、ここから巻き上げられるか?
俺!






















一方、観客席で見ていた十代達はというと……。

「おお〜、すっげー!また先生1ターンで古代の機械巨人を召喚したぞ!」

「それだけじゃない。あの受験生に一気に2100もダメージを与えた。これはまずいぞ」

「そうっすよー!相手が攻撃力3000なんて勝ち目がないよ!」

「でもさ」

と、そこで十代が光四郎に視線を向ける。

「あいつは諦めてないみたいだぜ?」























「俺のターン。ドロー!」

手札7枚

来たか!
これならこのターンでケリをつけられる!
ただし、先生の伏せカードがカウンター罠じゃない限りだけどな。

「俺はフォトン・スラッシャーを特殊召喚!」

フォトン・スラッシャー ATK2100

手札6枚

「何でスーノ?そのカードは?」

「このカードは自分フィールドにモンスターが存在しない場合特殊召喚できる」

どうやら奈落の落とし穴などのカードはないようだ。

「だが、それでは私の古代の機械巨人の足元にも及ばないノーネ」

おいおい、それは早計すぎるだろ。

「早とちりはよくないぜ、先生」

「何?」

「さらに、俺はセイクリッド・ポルクスを通常召喚!」

セイクリッド・ポルクス ATK1700

手札5枚。

「このカードが召喚に成功した時、もう一度セイクリッドと名の付いたモンスターを俺は召喚する事ができる。俺は手札からセイクリッド・カウストを召喚す る!」

セイクリッド・カウスト ATK1800

手札4枚。

「フフン、どれだけモンスターを召喚しようとも、私の古代機械巨人を倒す事はできませーん!」

「ああ、このままならな」

どうして、この世界の人間はこうも早とちりなんだろうか。
自分の都合の良い様にしか考えないのは、人間の悪いところだな。

「俺は手札から永続魔法セイクリッドの聖痕を発動しておく」

フィールドの上に聖なる輝きを放つ紋章が現れた。
さあ、こっからが本番だ。

「いくぜ、先生。俺はレベル4のフォトン・スラッシャーとレベル4のセイクリッド・ポルクスをオーバーレイ!」

「オーバーレイ!?何でスーノ、それは!?」

「2体のモンスターでオーバレイネットワークを構築!」

フィールドに宇宙が描かれ、スラッシャーとポルクスが光となって合体していく。

「エクシーズ召喚!現れろ!セイクリッド・オメガ!!」

セイクリッド・オメガ ATK2400

フィールドに騎士服を纏ったケンタウロスのようなモンスターが現れる。
その周りには2つの光の玉が舞っている。

「ななな、何なノーネ!その召喚とカードは!?」

おお、驚いている。
まあ、無理もない。
時代を先取りしたカードで、俺しか持ってないんだからな。

「エクシーズ召喚とは、レベルが同じモンスターを2体以上使用して融合デッキからエクシーズモンスターを特殊召喚する方法だ。エクシーズモンスターはレベ ルではなく、ランクという☆を持つモンスターだがな」

「な、なるほど。面白い召喚方法があったものでスーネ。しかし、攻撃力2400では私の古代の機械巨人は倒せませんよ?」

「それは百も承知だ。永続魔法セイクリッドの聖痕の効果。セイクリッドと名の付いたエクシーズモンスターが特殊召喚された時、デッキからカードを1枚ド ローする」

手札5枚。

「俺は魔法カード二重召喚を発動。俺はこのターンもう一度通常召喚ができる。2体目のセイクリッド・ポルクスを通常召喚」

セイクリッド・ポルクス ATK1700

手札3枚

「セイクリッド・カウストの効果発動。1ターンに2度までセイクリッドと名の付いたモンスターのレベルを1上げるか、1下げる事ができる」

「レベルだけ調整してどうす……まさか!?」

「そのまさかだ。カウストの効果を使用し、俺はポルクスとカウストのレベルをそれぞれ1つ上げる」

セイクリッド・ポルクス ☆4→☆5
セイクリッド・カウスト ☆4→☆5

「レベル5となったセイクリッド・ポルクスとセイクリッド・カウストの2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!」

先程と同じように今度はポルクスとカウストが光となって合体していく。

「エクシーズ召喚!現れろ!セイクリッド・プレアデス!!」

セイクリッド・プレアデス ATK2500

まさしく騎士であるモンスターが召喚される。
観客である学生もそのかっこよさに歓声を上げているようだ。

「セイクリッドの聖痕は1ターンに1度しか使えない。よって、効果は発動できない」

次々と召喚されるモンスターに圧倒されていたクロノス先生だったが、このモンスター達のステータスを見て気を取り直したようだ。

「ふ、ふふん。どうやら新しいモンスターを呼び出したものの、攻撃力は私の古代の機械巨人に及んでないノーネ。これでは私に勝つ事は……」

「このカード達の強さはステータスじゃねえ」

「へ?」

いい加減キレそうだ。
あんまり人のカード馬鹿にするなよ先生。

「セイクリッド・プレアデスの効果発動!1ターンに1度、自身のオーバレイユニットを取り除く事で、フィールドのカード1枚を持ち主の手札に戻す事ができ る!」

「な、なんですと!?ってオーバーレイユニットって何でスーノ!?」

「オーバーレイユニットは、先程のエクシーズ召喚で素材として使用したモンスターカードの事だ。エクシーズモンスターはこの素材を使用する事で効果を発動 する事ができる。俺は、先生の古代の機械巨人を手札に戻す!行け!セイクリッド・バウンスラッシュ!」

プレアデスが剣を振りかぶり、古代の機械巨人を剣圧で吹き飛ばした。
そして、それがクロノス先生の手札に戻る。

「マンマミーア!折角召喚した我が古代の機械巨人がー!」

クロノス先生が折角召喚された上級モンスターを手札に戻されて喚いてる。
つーか、あのでかさのモンスターを吹き飛ばすって……。
凄いな、プレアデスの剣圧。

さて、このままバトルが成立すれば、俺の勝ちだ。

「いくぜ、先生。セイクリッド・オメガで先生にダイレクトアタック!」

「この瞬間、罠カード聖なるバリアミラーフォースを発動。攻撃表示のモンスターを全て破壊するノーネ!」

ああ、やっぱし攻撃反応型か。
だが、それも無駄なあがきだ。

「ならば、俺はセイクリッド・オメガの効果をチェーンして発動。自身のオーバレイユニットを1つ取り除く事で、自分フィールド上の全てのセイクリッドと名 の付いたモンスターは、このターン魔法・罠の効果を受けない」

「!?と、いうことは!?」

「俺の場にいるのは全てセイクリッドと名の付くモンスター。よって聖なるバリアミラーフォースの効果は不発」

オメガの攻撃が俺のフィールドに反射されたものの、モンスターは全員無傷だった。

「攻撃続行」

「ぐほっ!」

クロノス LP4000-2400=1600

おい、オメガの繰り出したパンチにリアクション付きって……。
まあどうでもいいか。

「とどめだ。プレアデスでダイレクトアタック!」

「オーノォー!!!」

クロノス LP1600-2500=0

『ワアアアアアアアアアアアアッ!!!』

周りから歓声が上がる。
俺は、勝利の証として拳を天高く振り上げた。
我ながら快勝。
別時代のカードであるエクシーズモンスターや俺のデッキがディスクに反応した事や初めてだったのにディスクをちゃんと使えていた事などは疑問だが、とりあ えずそれは後で考える事にしよう。
こうして、俺の遊戯王世界での初決闘は勝利という形で幕を閉じた。
だが、これから先俺は学園で数々の面倒くさい騒動に巻き込まれていく事となる。
















あとがき


試作遊戯王作品第2号です。
今回はGX編です。
私自身GXは全く知らなかったのですが、折角の機会なので作ってみました。
ただ、この時期のカードをあまり知らないので、作品の主人公は現代のカードを自重なしで使用してますが。
主に私のせいで(苦笑)
だって、この時期のアンティークがOCGと違って攻撃時の魔法・罠封じの効果がないのを書いた後で知りましたし(汗)
改めて私自身のタクティクスの低さを知りましたね。
まあ、元々ロマンが大好きなので、タクティクスが低いのはある意味当然なんですけどね。
主人公の使用デッキは、今回はセイクリッドでエクシーズを使用しました。
なんでデュエルディスクが反応したかとかそういう突っ込みは……ご勘弁を(汗)
連載するなら設定はある程度考えますが、まだ試作の短編なので。
後、シンクロなしとかエクシーズなしとか私が書くの無理なんで(汗)
なんだろ、ジェネレーションギャップって奴かも。
とりあえず、この作品は主人公が自重しない感じで未来に当たるカードをガンガン使っていきます。

こちらは主に1人称視点で書きました。
5D's編も見た上で、どっちが見やすくて良かったか意見をください。
今後の遊戯王作品を書いていく上で参考にしたいので、よろしくお願いします。
後、連載するならどちらを書いてほしいかを言ってくださるとありがたいです。



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