ところ変わって、俺達第七班はアカデミー内にあるベランダのような東屋のような、そんな所に来ている。簡単な話、原作で第七班が最初のミーティングをした場所だ。

 そこに至る道中、サクラのせいでカカシから嫌い宣言を受けた俺は、サクラに意味ありげな視線を送っていたのだが、サクラは悲しい事に気付いてくれず、サスケにあぁでもない、こうでもないと話し掛けていた。マジで一回ボコるかこのアマ…。

「あ〜まずは自己紹介でもしてもらおうかな」

「あの……」

「ん〜何かなピンク君?」

「…じ、自己紹介って、どんな事を言えばいいんですかぁ〜?」

 カカシは誰がトラップを仕掛けたのか分かってるみたいだ。サクラの事をピンク君とか言ってるし。サクラは内なる自分を出さないように必死に笑顔を作っているけど、頬の筋肉が引き攣っていればそれも意味ねぇな。てかよ〜、適当に言っとけばいいんじゃねぇの?自己紹介なんだしさ。

「そりゃあ好きなモノ、嫌いなモノ、将来の夢とか趣味とか……ま、そんな感じでいいんじゃない?」

「………まずは、あんたからするんだな。あんなチャチな罠に引っ掛かるような奴が、上忍って事も疑わしいしな」

「そうよそうよッ!私達すっっっっっごく、待ったんだからッ!」

 こんなクダリあったなぁ……懐かしい。原作だとサクラ大好きなナルトが何か言ってたような覚えがあるけど、俺はこれっぽちもサクラには興味ないから無視してようかね〜。

「あぁ、俺か?俺の名前は、はたけカカシ。好き嫌いをお前らに教える気はない!将来は…って、俺が将来言ってもなぁ〜。趣味は……色々だ。んじゃ、次はお前らだ。右から順に……」

 結局分かったのって名前だけじゃない?とかサクラが言ってるが、確かに名前だけだなぁ。ま、俺は分かってるからいいけど。んで、カカシから見て右って…俺からかよ!ちなみに言っておくと、俺の隣がサクラでその横がサスケだ。

「…うずまきナルト。好きなモノは友達、イルカ先生、一楽のラーメン。嫌いなモノっていくか事は、見下さられる事。友達を傷つけるあらゆる事。趣味は修行かなぁ。将来は…イルカ先生みたいな、カッコいい忍者になる事だってばよ」

「あれ?ナルト、確かあんた火影になるって騒いでなかったっけ?」

「……火影より大事なことなんだよ」

 はじめて会話しちまった。なんか変な感じだなぁ…。俺との会話を直ぐに切り上げ、サクラが自分の自己紹介を始めた。カカシの方を見てみたら、なんか呆れてやんの。まぁ、サスケ君好き好き言ってるだけなんだし、そりゃあそうなるわな。

 サクラの自己紹介を聞き流して、次はサスケの番。この時ばかりは俺もちゃんと聞く。だって、あの時のサスケってカッコいいし。

「名はうちはサスケ。嫌いなモノならたくさんあるが、好きなモノは別にない。それから……夢なんて言葉で終わらす気はないが、野望はある!一族の復興と…」

 瞳に宿るのは漆黒の焔……これこれっ!原作に忠実な言葉。その一つ一つがサスケという復讐鬼を後に作り出すんだなぁとか思ったりする。けど、サスケにはそんな事させません。ちゃんと教育して、大蛇丸を中忍試験の時にフルぼっこにしてやれば、何とかなるっしょ。まぁ、それでも治らなかったらその時はその時で、何とかするだけだな。

「…ある男を必ず殺すことだ」

 カッコいいっ!とか思ってんだろなぁサクラの奴。俺もそう思うけどよ〜目をハートにすんのは止めろっての。横目でサクラにそんな意味を込めた視線を送っているとパンパンと前の方から音がした。

「よし、自己紹介はそこまでだ。明日から任務やるぞ。」

 任務という言葉に、俺以外の二人が敏感に反応した。俺も怪しまれない程度に期待してるっていう顔すっかな。

 俺は楽しみだっていう笑顔で、サスケは歪んだ笑みを浮かべて、サクラは緊張した面持ちでそれぞれカカシを見る。

 俺らを見下ろすカカシは、にやりと笑う。うわぁ……嫌な笑みぃ〜〜〜!

「まずはこの四人だけである任務をやる。サバイバル演習だ」

 本来のサバイバル演習は、森や山などで生き残るための練習だ。気配を消すことから始め、敵を見つけるための索敵、または敵から逃げ切る遁術の修練、果てには食べられる植物の学習などいろいろあるんだけど、全部アカデミーでやってきたし、今回のサバイバルはこれじゃないと俺は知っている。

「何で任務で演習やんのよ?演習ならアカデミーでさんざんやったわよ!」

 さっそく文句がサクラから出た。アカデミーを卒業したから調子乗ってんだなサクラの奴。こりゃ、原作同様酷いもんになりそうだ…。俺が一人ため息を吐くが、カカシが淡々と俺達に言う。

「相手は俺だが、ただの演習じゃない」

「どんな演習なのよ」

 サクラは手を上げて聞く。おお、優等生みたいなやり方。流石成績『だけ』は優秀な事はあるな。んで、カカシは答えないでくつくつと笑うだけ。楽しそうだなカカシ…。

 それに我慢できなくなったサクラが「ちょっと! 何がおかしいのよ、先生」と声を荒らげる。でも、カカシは笑うのを止めない。俺もカカシの立場なら笑うんだろうなぁ……。でも、流石に俺もイライラしてきた。話しが進まねぇし。

「いや…ただな、俺がこれ言ったらお前ら絶対引くから」

 やっとカカシが笑うのを止めて言った。そうそう、早く先に進みましょう。

「引かないわよっ!そこらの人と一緒にしないで!」
(ふざけんじゃないわよっ。私が引く訳ないじゃない!)

 サクラ、お前の内なる声が聞こえてるぞ。

「卒業生二十七名中、下忍と認められるのはわずか九名。残り十八名はアカデミーへ戻される。この演習は脱落率66%の超難関テストだ」

 ははは、サスケとサクラびっくりしてる。そりゃあびっくりするよなぁ。俺も原作知らずにいたら絶対びっくりしてたと思う。

「卒業試験やったじゃないっ!あれはなんだったの!」

「そりゃ、下忍になる可能性のある奴を選抜するためだろ?」

 何言ってんだお前。っていう顔でサクラを見るカカシ。それに、ふざけんじゃないわよ!と言ってるサクラ。だけどそれを無視するカカシ。サスケも無言でカカシの事を睨んでる。……なんてカオスな…。

「とにかく、明日は演習場でお前らの合否を判断する。忍び道具一式持って来い。それと朝飯は抜いて来い…吐くぞ」

 二人の鋭い視線を受け流しながら、腰に吊るしたポーチの中からプリントを取り出すと全員に配っていくカカシ。俺は皆を優しい目で皆を見ていた。だって皆子供みたいなんだもんよ。

((落ちてたまるかっ!))

 おお、なんか二人の方から変なオーラが出てる気がする。俺は渡されたプリントを上から下まで見て行く。集合時間は8時か。弁当はちゃんと持って行って、朝飯はちゃんと食べよっと。

「詳しいことはプリントに書いておいたから。明日は遅れて来ないよーに」

どの口が言うんだよ、とは俺のセリフ。だってカカシめっちゃ遅れてくるじゃん。こうしてサバイバル演習という課題を与えられた俺達は解散した。

▼ ▼ ▼ ▼

 俺は解散して直ぐに家へと帰って来た。今は、母さんが作ってくれたご飯を食べている。メニューは俺の大好きなオムライスだった。なんで忍者の時代にこんな料理出てくんだろ?とか、色々変だなって思った事は数知れないけど、ナルトの世界だもんなって思うだけで解決した。だってここ漫画の世界だし。

『担当がカカシ君になったって本当?』

「本当だってばよ母さん。銀髪をツンツンに立てて覆面をつけてたから、第一印象は変な人だったかな?あとねあとね、すんげぇ遅刻魔!」

『カカシがナルトの担当かぁ。あいつが担当上忍になるなんて、俺達親子はあいつと縁があるんだな』

「父さんがあの人の担当だったって方が、俺からしたらびっくりだよ」

『ミナトの部下だったんだよねぇ。何か年取ったね私達ってば』

『年を取ったって言うか、死んじゃったんだけどね』

「二人は死んでなんかいないって。今俺とこうやってご飯食べてるんだからさ」

 そうなんだ。二人が死んだなんて俺は思ってない。だってこうやって一緒に会話して、一緒にご飯食べて、一緒に修行して……死んだらどれも出来ないからな。

『『ありがとう、ナルト』』

 笑顔を浮かべる二人を見ると、原作のナルトに悪いけど俺は嬉しくて自然と笑顔で二人を見ていた。それから父さんと母さんといっぱい話をして、明日の準備もそこそこにベットに入った。

 さて、明日はどうやって鈴を取ろうかねぇ。鈴を取る事は決定事項だけど、それをやる過程を考えなきゃな。下手に高度な術を使ったら怪しまれる事は必然だし、中忍位の実力で、且つカカシの度肝を抜く術………難しい!

 確か原作だと、ナルトは多重影分身は使ってたっけか。サスケは火遁系の術を使ってた筈。なら、多重影分身、風遁、火遁、体術、後は基本の忍術くらいかなぁ使えるのって。いや……性質変化の術は風遁か火遁のどっちかにしないと駄目だろうな。俺って下忍だし。それから、体術もある程度加減しなきゃ駄目か…。

 う〜ん……めんどくせ。アカデミー時代はチャクラを小指の先くらいにして、コントロールを出鱈目にしてたから失敗出来てたけど、今回は成功させる事は当然として、体に流すチャクラをどの位にするかが問題だよな。父さんと九尾の一人一匹と組手をする時のチャクラでやったらカカシ死んじゃうかもしれないしなぁ…。

 まぁ、いいや。寝て起きてあっちに行ってから考えよっと。掛け布団を頭まで被り、俺は眠りについた。

▼ ▼ ▼ ▼

 サバイバル演習場。四年前にヒナタと組んでサバイバルをした場所ではなく、三本の丸太が地面に刺さっている原作で同じみの場所。そこに俺、サスケ、サクラの三人の姿はあるけど……担当上忍のカカシの姿はない。

 現在時刻09:32………ポケットに入れていた、昨日カカシから配られたプリントを取り出してもう一度見てみると…集合時間は8:00丁度。完全な遅刻だ。

 あの野郎……原作で遅刻してくるのは知ってたけど、実際に待ってみるとマジでムカつくわ。慰霊碑を見て来るのはいいけど、少しは待たせている人達の事を考えてもいいんじゃねぇの?

「おっっっっっそぉぉおおおいっ!何が、『明日は遅れて来ないよーに』、よっ。本人が遅れてりゃ世話ないっっての!」

「………」

 サクラ、五月蠅い。そんなのここにいる全員が思ってるっての。サスケはここに来た時から無言。お前は少し話せ。はぁ……昼寝でもしてるか。良い感じに木陰になっている場所にゴロンっと横になった。

「ちょっとナルト、何寝ようとしてるのよっ。先生が来るかもしれないでしょっ!」

「先生が来たら起きるってばよぉ〜」

 サクラにそう言って目を閉じる。サクラがまだなんか言ってたみたいだけど、それを完全に無視してやる。まじで五月蠅いんだよなぁ…デコりんの奴。

 それから約1時間後……カカシがやっと姿を見せた。

「いやぁ〜諸君おはよう」

 おはようじゃねえよ。もう、こんにちはだっての。

「やっぱり遅刻かよ………」

「早く来るんじゃなかったぁ……」

 サスケとサクラは嫌みを含んだ疲れた声で言うが、カカシはどこ吹く風だ。今のうちに起きてようかな。

 そして、丸太の傍にどこかから取り出した目覚まし時計を置き、「よし、12時セット完了」と言って俺達に向き直った。

 怪訝な顔をしているサスケとサクラ。その時俺は欠伸を一つ。すると、カカシがごそごそとポーチから新たにリンリンと音が鳴るモノを取り出した。原作通り二つの鈴を。

「ここに鈴が二つある。これを俺から昼までに奪い取ることが課題だ。もし昼までに俺から鈴を奪えなかった奴は昼飯抜き!あの丸太に縛り付けた上で、目の前で俺が弁当食うから」

 沈黙。正しくは、俺だけ「成る程」って答えてた。ゲームみたいな感覚だなって思ってさ。

(朝飯食うなってそういうことだったのね(か)……)

 二人の腹からぐぅぅううううううっと音がした。ぷぷぷ、サクラの奴顔真っ赤にしてやんの。サスケも恥ずかしそうだし。

 育ち盛りの年齢であるサスケやサクラにとって空腹とは大敵。勿論それは俺もだけど、俺はちゃんとご飯を食べてきたから大丈夫。そんな状況でそんな過酷な事を要求するカカシが、二人には鬼のように見えてるんだろうなぁ。

「鈴は一人一つでいい。二つしかないから、必然的に一人が丸太行きになる」

 カカシはサバイバル演習の説明を続ける。

「で!鈴を取れない奴は任務失敗ってことで失格。つまり、この中で最低でも一人は学校へ戻ってもらうことになるわけだ。手裏剣を使ってもいいぞ。俺を殺すつもりで来ないと取れないからな」

「でも危ないわよ。先生!」

「仮にも上忍なんだから下忍の手裏剣なんか喰らわないって。喰らったらそいつはそこまでの事だったってことだ。そうだろ、カカシ先生?」

「その通り!よくわかってるねぇ」

 俺の言葉にカカシはにっこりと笑って返事する。その笑顔をびっくりしたもんにしてやるから、覚悟しろよカカシ。

 てかさ、そもそも下忍に殺されるような上忍がいるわけねぇじゃん。仮にいたとしても、そんな奴に上忍の任務がこなせる筈がねぇし、死んだ方が里の為って奴だな。そんな事も分かんないのかよこのデコわ。

 ま、んな事考えてても時間もったいねぇし、先に手を出すかな。右手を手裏剣が入ったホルスターに持っていき、手裏剣を一枚取り出す。そして投げる動作も小さく、だがカカシが反応出来る早さで手裏剣をカカシの顔目掛けて投擲する。

 ヒュンと飛んでいく手裏剣をしっかりとクナイで弾くと、カカシは俺を厳しい目で見てくる。あらら、警戒されたかな?

「なかなか早い手裏剣投げるね。でも、まだ俺スタートって言ってないだろ?」

「あはは、悪いってばよ。でも、それを捌けるなんて流石上忍ですねぇ?」

 悪びれもせず笑う俺に、もう一度厳しい目を向けるカカシ。だけど、俺以外の二人を見るとそれをおさめた。仕方ないよな、サクラは何がどうしたのって顔してるし、サスケは悔しそうな顔してるんだから。

(あのドベが何かした?いや、俺の目には何も見えなかった。それをあの上忍はクナイで防いだのか?くそっ!)

(え?何何?ナルトが笑ってるし、先生が怒ってる?もうっ意味分かんないってばっ!)

「ふぅ………まぁ、いい。それじゃ、演習を始めるぞ」

 カカシのその言葉で、慌てていた心を引き締めるサクラ。悔しさをカカシにぶつける事を決めるサスケ。どう料理しようか考える俺。

「スタート!!」

第七班の初めての任務が始まった。



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