ナルトがカカシ達の下へ戻るところを離れた場所から視ている者がいた。それはナルトが倒した者と同じ仮面を付け、紅い雲が描かれた黒い外套を纏った男だ。男はナルトの後ろ姿に目をやる。

「まさか九尾の人柱力がここまでの奴とはな……」

 先程までの戦闘を思い起こし、仮面の男が口を開く。数時間前は、九尾が手に入ると思って含み笑いまでしていたというのに…。だが、男の気持ちも分かる。今はまだその時ではないと、自身の姿をさせた影を使って物事を進めた御陰で、『あの術』を喰らわずに済んだのだ。

「四代目のあの術に性質変化を加えたのだとしても、あれは……」

 男の脳裏を過ぎるのは、影が文字通り消し飛んだ光景。男の使用する瞳術を使えば、どんな術も攻撃も喰らわないという自信はある。だが、あの忍術を視てからだとその自信にも陰りが出てくる。血継限界を相手にしてきた事は何度となくあるが、あの術はそれらとは次元が違った。

「一度しか視る事は出来なかったが……『うずまきナルト』。奴が俺『達』の計画の最大の敵になるかもしれない」

 ナルトがうちはマダラと思うこの男が口にした「俺達」という複数を示す言葉の意味を本当の意味で知ることになるのは、近いようで遠い未来の事。

▼ ▼ ▼ ▼

『平和ねぇ……』

『そうだね。本当に平和だ……』

 膝裏まで届く赤い髪を指で弄りながらリビングのテーブルの上に肘をついた女性がそう呟くと、その向かいに座って女性を見て金髪の男性が微笑みながら同意を示す。

 ここは木ノ葉の里。その中の一つの家の様子であり、本作の主人公、うずまきナルトの住む家でもある。ナルトの住む家には、ナルトの他に女性と男性の二人が住んでいる。

 その内女性の名前は波風クシナ、旧姓うずまきクシナである。小さい頃はハバネロの赤い悪魔として同期生、また大人達に知られていた。波風ミナトの妻にして、うずまきナルトの母親でもある。

 男性の名前は波風ミナト、木ノ葉の里の四代目火影にして歴代火影の中で最強と呼び声高い人物である。今は三代目火影にその席を預けて、ナルトとクシナ親子水入らずで生活している。本来なら今も現役の忍びとして働けるのだが……それは今更述べなくても良いことだろう。

 今の彼は誰にも知られることなく、この家で幸せな日常を過ごし十代の子を持つ普通の父親なのである。

 ナルトの姓が波風でないのは、二人が本来ならいない存在であり、三代目に『うずまき』の姓をつけられた為である。ナルトは波風と名乗りたいが、世間体のため名乗れないでいる。

 と、そんな二人であるが今も現在進行形でナルトが波の国へと任務で出ているので、暇な時間を過ごしていた。いつもなら、夕方もしくは夜に帰って来ていた自分の息子の話を聞いたり、息子に修行をつけてあげたり料理を作ってあげたり出来るのだが、ここ五日程それが出来ないでいた。

『ねぇ、ミナト…』

『何だい?』

『……外に出てみない?』

 クシナのその言葉に吃驚したのか、それまで頬笑みを浮かべていたミナトの顔が崩れ、目を見開かれんばかりに開いた。

『……クシナ。それがどういう事か、分かって言っているの?』

『もちろん。ナルトが私達を里の皆に見せたくないって思ってるのは知ってる。それを分かった上で言ってるの』

 ミナトは腕を組み考える振りをして、薄眼でクシナの様子を確認する。自分の口から出る言葉がクシナが待ち望む言葉であると確信しているのか、小さな顎を両手で包みながらその顔に笑みを浮かべている。

(……クシナのこの顔に何回騙されたんだっけ…。でも、この顔に勝てないのは昔も今も同じ事か。…でも、ナルトがいないと直ぐに母親から女の子に戻るそんなクシナを愛おしいを思う俺も俺だな…)

 仕方ないと苦笑を一つして、ミナトは組んでいた腕を解き、クシナと同じように身を前に出す。

『……分かったよ。なら、ちょっとだけ出てみようか』

『本当に!?やったってばね!ナルトはいないし、家に引き籠ってばっかりなのって私の性に合わなかったのよねぇ!』

『出るのはいいけど、僕も付いて行くよ?それと変化の術は絶対にやらないと』

 そんなの分かってるわよと言わんばかりの笑みで以って、ミナトに答えるクシナ。それを見て本当に敵わないと、こちらも笑みを浮かべるミナト。それにと、クシナは頬を若干赤らめさせて、柔らかい笑みを浮かべる。

『ミナトと久しぶりにデートしたかったから……』

 そんな事を言われたらミナトも照れてしまい頬を赤らめさせる。両親のこんな姿をナルトが見たらどのような反応を見せるのだろうか。いい年してデートなんて、と恥ずかしがるだろうか?それとも行って来いってばよ、と笑って送り出すだろうか?それはきっと、後者なのだろう。なぜなら、ナルトはこの両親の事を心から愛し、信じ、尊敬しているのだから。

▼ ▼ ▼ ▼

 準備もそこそこに、家を出るためにお互い変化の術で姿を変える。クシナは自分の特徴ともいえる赤い髪を黒に変え、ミナトもその自分の特徴ともいえる金色の髪を茶色に変え、二人は別人へと姿を変える。

 二人はもともと美人、美丈夫といった部類なので変化してもそれだけは変わらない。二人はお互いの変化した姿にまた頬を赤らめさせるのは、仕方のない事だった。

 久々に歩いてみる里の中は、十二年前と変わらずに二人を迎えた。ここが懐かしい、ここでクシナと喧嘩したね、と思い出話も尽きることなく、里の中を練り歩く。

 その際、男性女性関係なく二人の事を振り返る里の人々。あんなカッコいい人、綺麗な人、この里にいたかなぁという思いで。二人はその事に気付きながら笑みを浮かべる。クシナはミナトの腕に自分の腕を絡ませ頭を肩に預ける。ミナトは転ばないように必死になっているが、それも楽しい事と思い笑みは崩さない。

 二人のその姿に、里の者たちは恥ずかしがったり、羨ましがったり、お似合いだと思ったりと様々だった。その際に、ガイやアスマ、アンコといった未婚、恋愛していない忍びの姿もあったとかなかったとか……。そして、二人は忍者アカデミーの前に来ると、受付で中を見学させてもらう事を頼み、今は校舎の中を歩いている。

『懐かしいわね。あ、ここ私達の教室よ』

『そうだったね。君が編入してきた時の事は、今でも覚えているよ』

『え?そ、そう?』

『うん。だって、自己紹介でいきなり火影になるんだぁって、僕達に啖呵を切ったんだよ?それに、反応した男子たちが君に悪口を言ったら、そいつら次の時間にボロボロであらわれたじゃないか。あれには、吃驚したよ』

 ミナトは当時の事を思い出して、授業中なのをお構いなしにクククと笑い声を上げる。それを見たクシナはフンっと頬を赤く染め、そっぽを向く。『あれは、私が悪いんじゃないってばね』と小さく呟くクシナを見て、ミナトはごめんごめんとクシナの頭を撫でながら、止まっていた足を動かす。

 クシナも頭を撫でられて機嫌を直したのか、ミナトに続き再び歩き出す。二人のその姿は案内をしている先生になったばかりの新米中忍には、恥ずかしくも自分の理想の夫婦像に見えていた。ちなみにその先生は女性であり、案内をしている最中にミナトに見惚れ、クシナに睨まれたのはまた別のお話。

 見学もそこそこにアカデミーを出て、公園へと歩を進める。ちょうど時間も13時を過ぎ、二人は一つのベンチに座る。クシナは持っていたバスケットをベンチの上に置き、ミナトにサンドイッチを一つ渡して自分も一つ手に取るとそれを頬張る。

 ミナトが美味しいよと言えば、クシナがありがとうと返した。二人の顔には溢れんばかりの笑みがある。昼食も食べ終わり、二人は木陰を見つけてそこで横になる。

 クシナが膝枕しようかとミナトに聞くと、二人で横になろうとミナトが言う。それから二人は手をつないで横になり、蒼い空を見上げながら目を閉じる。

『…今度はナルトも連れて、一緒に来ましょうね』

『そうだね。でも、その時はナルトを説得しないといけないけど』

『大丈夫。私が言えば、あの子ってば最後には何でも聞いてくれるもの』

『あはは……なら大丈夫かな』
(ナルトも俺と一緒で、クシナには勝てないからなぁ……)

 二人がのんびりとそんなことを考えていると、ガラの悪い三人組が公園の中に入って来るのが見えた。

 二人はそれを無視して話をしていたが、三人組がこちらに向かってくるのが分かったので、二人は上半身だけ起こした。

「おお、噂通りのベッピンじゃねぇかよ」

「里の中にこんなベッピンいるなんてな」

「隣の男邪魔じゃね?殺しとくか?キャハハハ!」

 三人組の男達が二人の目の前に来て汚い言葉を発する。それを、冷やかな目で見るのはクシナ。そして、三人組にご愁傷様と生温かい目で見るのはミナト。

 クシナは、ミナトとの久しぶりのデートの時間を潰しているこの男達を血祭りに上げるために立ち上がる。それを見た三人組は、「お、なんだ俺達と遊んでくれんのか?」「そうそう、そんな男よか俺達の方がいいぜ」「こっちの遊びでもしようぜキャハハハ!」

 一人の男が自分の股間を叩いて見せる姿に、クシナはとうとうキレた。股間を叩いている男の股間を、これでもかという威力で蹴り上げ、浮いたところを前蹴りでぶっ飛ばし、左右で笑っていた男達の胸倉をつかむと、前蹴りでブッ飛ばした男の所に投げ飛ばす。

 そこに、『程々にしてあげなよ』と、ミナトから声が掛かるが、それに『無理♪』という輝かんばかりの笑みで返すクシナ。それから、地獄絵図が展開される事になるのだが、ミナトは昼寝の続きと洒落込み、男達の奏でる悲鳴をBGMに目を閉じた。

(クシナのあれも懐かしいなぁ。子どもの時は、クシナの事をハバネロの赤い悪魔なんて言ってた男達が、大人になったクシナに言い寄ってそれをまた血祭りに上げて……)

 昔の事を思い出しながら目を閉じていたミナトの所に、軽快なステップで近寄って来るのを感じたので再び上半身だけを起こす。向かって来たのは、スッキリした顔を浮かべているクシナだった。

▼ ▼ ▼ ▼

 三人組を叩き潰したクシナとミナトは公園を後にし、家に帰る道を腕を組んで歩いていた。ミナトはスッキリした顔で笑っているクシナに苦笑を零しながらも、自分達の家へと向かって歩を進める。

『今日は楽しかった?』

『えぇ。最後に邪魔があったけど、久しぶりにミナトとデート出来たし、満足だってばね』

『それは良かった。俺も楽しかったから、また行こう』

『フフ♪それはナルトも連れて?それとも…また二人でかしら?』

『あはは。それはクシナの想像に任せるよ』

『フフ。分かったってばね』

 こうして、二人の久々の外出は幕を閉じる事になるのだが、余談として後に綺麗な女性に絡もうとすると黒い悪魔が現れ、粛清されるといった噂が里の中を駆け巡る事なるのだが、それはまた別のお話。

▼ ▼ ▼ ▼

 朝の独特の匂いが俺の鼻を撫でて、暖かい陽光が体を包み込むような感覚を感じた。ああ、もう朝なのか。まだ閉じていたいと主張する目に力を入れていき、開いてみると…目に飛び込んでくる物はいつも見慣れた天井……ではなく。

「おっはようナルト!」

「お、おはようナルト君」

「おはようございます、ナルト君♪」

「…………???」

 寝たままの状態でこの光景は何だ?と思い、目をゴシゴシと擦ってみるが、俺の両目は三人の少女達を消してはくれなかった。その事にいも言われぬ思い感じると共に、三人の顔をそれぞれ見てみる。

 一人は俺より薄い金色の髪を後ろで一つに括っていて、元気いっぱいの笑顔で俺を見ている。

 一人は首が見えるくらいの長さの黒髪で、照れているのか頬を朱で染めモジモジしながら俺の事をチラチラと俺を見ている。

 一人はいつもは頭の上でお団子にしている黒髪を、今は無造作に背中へと流し、頬を朱で染めながらも♪付きの笑みで俺を見ている。

 三人が三人とも、俺が知っている奴らだ。それも、一人目に関してはここにいない筈の奴だ。……どうなってんだ?

「……おはよう、いの、ヒナタ、白。…んで、お前達ってば何してんだ?」

 いや、まじで今の状況説明して欲しいんだけど。何で俺が寝ている所に、お前ら三人揃って俺のこと覗いてるわけ?てか、いの!お前いつ波の国に来たんだよ!?

「「「それはぁ〜」」」

「………」

 三人が口を揃えて、それぞれの顔を見合ってから再び俺に顔を向けてくる。……ヒナタ、お前っていつからそんなにノリ良くなったんだよ。

「ナルトと私は恋人同士だからよ!」

「わ、私とナルト君が、こ、ここ、恋人になったから…だよ?」

「僕達が恋人になったからですよ♪」

 ……………な…

「なんじゃそりゃあああああああああああああああああああ!!!!」

▼ ▼ ▼ ▼

「なんじゃそりゃあああああああああああああああああああ!!!!」

「ッ!?」

 上半身を起こした反動と、思わず出てしまった心の声。それらを瞬時に行った俺は、近くに知っている気配がするのに気付いて顔を気配がする方に向けてみると…。

 ヒナタ……?ドアの付近で腰を抜かしたように、座り込んでいるヒナタがそこにいた。ヒナタの近くにはいのと白の二人はいない……って、もしかしてさっきのは夢か?……はぁぁあああああ…。

 深い深い溜め息を一つ出し、無意識の内に入れていた体の力を抜いてからヒナタの方に再び顔を向ける。

「悪いヒナタ。ビックリしたよな?」

「う、ううん。だ、大丈夫、だよ?」

 何ともないと首を横に振って否定するヒナタ。でも、そんなヒナタをよく見なくても腰が抜けているのが分かる。臆病と言うか何というか……まぁ、この場合は俺が全面的に悪いな。……いや、俺が声を上げる事になったヒナタ達三人にも多少なり…。

「どうした!?何があった?」

 俺が腕を組んでうんうん考えていると、さっきの俺の声を聞いたのかドタバタと足音を立ててキバの奴が顔を出してきた。そんなキバを見ていたら、なぜか面白くなってきて笑ってしまい、ヒナタもそんな俺に釣られてクスクスと笑っていた。

 まぁ、その後俺は紅先生に軽く怒られて、キバとサクラからははた迷惑な奴という視線で見られる事になった。いやいや、あんな夢みたら誰でも焦るって。

 と、そんな感じでその日から約一週間程。俺達はおっさんの橋作りの護衛兼助っ人として働く事になったんだけど……サスケとカカシの二人は戦闘での怪我等があったから、おっさんの家で留守番をする事になった。

 カカシは写輪眼を使ったせいで体を動かせないんだってさ。強いのか弱いのか微妙だよなぁ。んで、サスケは白にやられた傷は大した事なかったみたいだが、サクラといなりの二人によって安静にさせられているみたいだ。

 キバとシノが、子どもに好かれるサスケを見て、変な顔をしてたのが面白かったなぁ。って感じで、俺達は護衛に助っ人に留守番と忙しく働いていたってわけだ。約一名、十八禁本を読んでいたのを紅さんに見つかって更に怪我を悪化させた奴もいたりしたけど、まぁそれは些細な事だな。

▼ ▼ ▼ ▼

 と、そんなわけでおっさん達念願の橋も完成したので、俺達は木ノ葉の里に帰る事になった。カカシはまだ本調子とはいかないみたいだけど、十八禁本が読める元気があるなら大丈夫だろうという事で、誰も心配していない。

 あ、言い忘れてたけど白と桃地の二人は木ノ葉に来てくれる事になった。いやぁ、白は直ぐに行きますって言ってくれたんだけど、桃地の奴が変に意固地でさぁ。ま、白の「上目遣い+お願いします」で落ちたけどね。桃地の奴軽くロリコン入ってるよなぁ。ま、白は気にしてないっぽいからいいんだけど。

 それから生き残ってたガトー一味も二人がきちんと駆除してくれたらしい。いやぁ、これで後顧の憂いもなく木ノ葉に帰れるってもんだ。カカシには、俺が影分身でサクっと潰してきたって言っておいた。動けない大人より、動ける子どもの方が役に立つって事だ。

 そんなこんなでおっさんの家で最後の朝飯を御馳走になって、俺達は波の国を後にした。別れる際にイナリがサスケに泣きついていたけど、サスケは恥ずかしそうに「これから頑張れよ」って言っただけ。俺とキバはそんなサスケを指差して笑い、カカシとサクラは温かい笑みを送っていた。

 サスケはそんな俺達にムカついたっぽいけど、自分の怪我もあるし俺も笑っているしでムスっとなって一人先に歩き出した。サクラが直ぐに後を追い、俺達も笑いながら後に続く。後ろの方でおっさん達の見送りの言葉を背に受けながら。

 それから後になって分かった事だけど、原作でナルト大橋って名前になったあの橋だけど、この世界ではサスケ大橋って名前になったらしい。サスケがその事を知って、赤面しながら鼻を鳴らす事になるんだけど、それはまだもう少し先の話。

▼ ▼ ▼ ▼

 さらさらキラキラ流れる川。それに掛かる橋の上で欄干に寄り掛かり、空を流れる雲を見ながら俺は一人の大人を待っている。

 その隣には黒、桃の髪の少年少女が腕を組み目を閉じて、あるいはだらぁ〜っと体を前かがみに倒して俺と同じく一人の大人を待っている。腕を組んでいる少年はうちはサスケ、だらぁ〜っとしている馬鹿女が春野サクラ。

 波の国に行ったのが、だいたい春あたり。そして、今は夏に入ったのか最近になって蒸し暑くなり、ミンミンと五月蠅い蝉の鳴き声を右から左へと聞き流しながら、俺達は大人を待ち続ける。

 三人とも服装は夏に入ったからそれなりに涼しいものになっていて、俺は青い柄物のTシャツにハーフパンツ。サスケは、熱くないのか黒いタートルネックのシャツにこれまた黒いハーフパンツという装い。サクラは……女の服装なんて知らねぇから何とも言えないが、スカートが短くなっているとだけ言っておく。

「……来ないわね」

「また、寝坊したとかっていうふざけた理由だろ」

「あいつが何時にここ集合って言ったか覚えてるか?」

「11時よ」

「だよなぁ……」

 腕時計を確認してみれば時刻は既に12時を大きく過ぎ、もう少しで13時になろうというところ。こんなクソ熱い日に遅刻とか……ふざけんなよカカシぃ。

 そう。俺達の待ち人とは、はたけカカシ。俺達第七班の担当上忍であり、四代目火影の教え子であり、イチャイチャパラダイスなんていうエロ本を何時も手放さない、遅刻魔のむっつり忍者だ。

 波の国から帰って来てそろそろ一ヶ月。サスケに修行というイジメを行使し、ヒナタやいの、キバ、シノ、シカマル、チョウジといったいつものメンバーで遊んだり、任務したり、白がいる屋台に行ったり……そんな一ヶ月を過ごしていた。

 あぁ、白と桃地の二人についてはあとで説明しようと思うけど、二人は現在木ノ葉で生活している。桃地が白に迷惑かけてるようだけど、白にとってはそれが嬉しいんだから、良いコンビなんだよなぁ。

 てか、今日の任務って何すんだろ?簡単な任務は勘弁して欲しいんだよなぁ。波の国の任務程じゃないにしろ、こうもう少しピリっとした任務ないもんかねぇ。

 夏の昼間。それも太陽が最も高く位置し、俺達にこれでもかと紫外線を浴びせる時間帯。そんな事を考えながら、俺達三人は橋を横断していく人達を流し見て駄目な大人を待ち続ける。そして、それから待つ事さらに三十分。

「よぉ〜悪い悪い。今日は道に迷ってた」

「「「嘘つくな!!」」」

 綺麗に合わさった三人の抗議の声に、カカシはどこ吹く風で片手をズボンのポケットに入れて、さわやかな笑みを浮かべながらこっちに歩いて来る。

 こんなに人を待たせておいて、その顔は何だよ。あぁ〜イライラする…。

「今日ここに集まってもらったのは任務の事もそうだが、お前たちを中忍選抜試験に推薦したってことを言いたくてな」

「「「…………」」」

 カカシいきなり何言ってんだ?てか、もうそんな時期かよ!何も情報ないし原作知識も曖昧になって来て、いつ中忍試験あるか分からなかったから、この知らせには俺もびっくり。

 サスケとサクラも、そんな大事なことを簡単に……それも遅れて来たところに言われたので、頭の中が混乱しているみたいだ。

 それにしても、中忍試験か……。大蛇丸にカブト、我愛羅が出てくるんだよな。前二人は問題なくブッ飛ばすけど、我愛羅はなぁ……あいつも俺と同じように里の奴らに迫害受けてるんだよなぁ。

 よし!あいつとも友達になろッ。ついでにテマリと人形使い?とも仲良くなれればいいなぁ。

「よし、それじゃ今日の任務に行くぞ。依頼内容は犬の散歩だ」

 カカシはそう言うと、来た道を引き返すように歩き出す。俺達もそれに続く。三人の思いはもう今からのふざけた任務じゃなく、中忍試験に向いていた。



あとがき
外伝と本編を合体させてみました。
編集作業これからも頑張ります!!



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