GROW LANSER
〜彼の地を貫く光の槍〜
  2nd pierce 飛んできたのは冒険者? 中編



   ―――――――――少し時は遡る。

   ここは異次元空間、荒れ狂う時空乱流内。
   稲妻が迸り、プラズマ光が目を焼く。
   そんな中、卵の形をした透明な膜に、
   祠門が身をかがめていた。
   
   「ちぃ、まさかここまで激しいとは・・・。
    一体この時空間で何が起こっているってんだ?
    下手に激しくなると、別次元と繋がるか、
    融合さえありうるぞ?誰か巻き込まれたりして・・・
    って、俺が既に巻き込まれているか・・・・・・。」

   「マスターそんな楽観視しないでおくれよ。
    あたいの力合わせても、もうそろそろ限界だよ。」

   この膜はいわばシールドだ。
   祠門の創った気の膜に、
   ポーネの雷の属性を添加したものだ。
   こんなプラズマの荒れ狂った場所で、
   いつ粒子摩擦で発生した雷が彼に落ちるかわからない。
   実際、ここまで飛ばされるまでに数十回、雷に撃たれている。
   彼らのシールドがここまで丈夫なのも感嘆するが、
   それも限界で、よく目を凝らすと膜の厚みが所々で異なっている。

   「どうやら天は俺達を見放してはいないようだぞ?」

   「やっと出口かい?あたいは疲れたよ・・・・・・。」

   「ははっ、ご苦労さん、ポーネ。」

   にこやかに微笑みながら、
   祠門はポーネの労をねぎらう。
   彼らが見たのは一条の光明、一筋の希望だ。
   しかし、再び閃光が彼らのシールドを貫いた。
   出口間近と気を抜いただけに、
   シールドの強度は著しく低下していた。

   「うわっ、しまった!!
    
だああああああ 〜〜〜〜〜〜!!」

   「ちょいと、マスター!?」

   シールドの破裂で勢いよく飛ばされた祠門を追い、
   取り残されたポーネも出口に向かう。
   祠門はきりもみ回転していた体を何とか持ち直させる。
   ポーネはあわやというところで祠門に追いつき、
   彼の髪の中に身を潜り込ませた。

   「もう、びっくりするじゃないのさ。」

   「いや、俺もビックリだよ。油断大敵とはよく言ったもんだ。」

   そうこうしている内に、頭から出口をくぐり抜ける。
   時空間内で受けた慣性の法則そのままに、
   通常空間に飛び出した。しかしそこは、

   「なんなんだ、ここは 〜〜〜〜〜〜!!!」

   そこは 『コ』の字型の島のみが残るフェザーアイランド。
   青い粒子が天空へと瞬く空域をものすごい勢いで通過し、
   放物線を描きながら、重力加速しながら落下していく。
   その様子を知ってか、精霊達が髪から飛び出す。

   「マスター、平気か?」

   心配そうにマーサが様子を窺う。
   だが意に反して、祠門は心配そうな顔を浮かべていた。

   「大丈夫か?ディーテ?」

   「はい・・・、なんとか・・・大丈夫です・・・・・・。」

   一応返事はするものの、かなり苦しそうだ。
   その様子を見て、精霊達も休むよう促す。

   「ディーテ、無理しちゃダメだよ。」

   「お主の力は強力じゃからな。」

   「いざという時、役に立てなくなるぞ・・・。」

   「抜けた分はあたいたちがしっかりサポートするからさ。」

   「ゆっくり休んでろよ。」

   「ちゃんと〜、からだを〜、
    あたたかく〜、してくださいね〜。」

   「何だかんだ言って、
    みんなディーテがしんぱいなんだよぅ〜。」

   かわるがわる声をかけ、
   心配そうに、ディーテを見つめる。

   「みなさんに心配かけてるようじゃダメですね。
    わかりました。お言葉に甘えさせていただきます。」

   そう言って、祠門の髪へと潜り込む。

   ――――マスター、この世界の光の精霊の力が
           著しく殺がれています。
             それとは逆に、闇の精霊は力を増しているようです。

   ――――それは、本当か?
           どうやら、もう影響が出始めてるみたいだ。
            これを解決するのが今回のお役目か・・・・・・。

   頭の中での二人の会話。
   それはこの世界の異常な精霊力の偏りだ。
   本来、光と闇は互いに相克、力の均衡を保たねばならない。
   そうしないと、精霊力のバランスが崩れ、
   異常気象や天変地異といった形で、世界に影響お及ぼすからだ。
   げんにこの世界では既にその影響が出ているらしい。

   「ま、ともかく、着地を何とかするか、って・・・・・・」

   既に地面はかなり近くなり、第3魔法障壁発生装置付近の上空だ。
   さきほどから戦闘が行なわれていたところだ。

   「うわっ、いきなり戦闘かよ。面倒事は避けたいのに・・・。」

   「仕方ないぜ、マスター。着地場所が戦闘じゃ。回避しようがないぜ。」

   「やれやれ、本当、厄介ごとばっかりだぜ・・・。」

   愚痴りながら戦闘態勢を整える。
   腰に据えた短剣の柄に手をかけ、
   それこそ飛び込み参加の言葉そのまま
   戦闘に突入するようだ。
   しかし、計算外のことが起こる。
   それは彼の着地地点に向かい駆け出す、
   一人の白銀髪の少年だ。

   戦闘領域で誰もいない場所なので安心していた。
   だが、陣形を組んでいるものがいたため、
   相手側がこうなるするだろう事は予想はしていた。
   だがしかし、着地をどうこうできるわけがない。
   いや、やろうと思えばできないことではないだが、
   流石に時間切れを悟ったようだ。
   仕方なく彼は、声をかけることにしたのだ。

 「そこをどけ!!
  どけえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」





感想

月さんの三部作二本目!

今回は同じ時間軸における主人公生成祠門君の動きですね〜

異世界に飛び込むことがいかに危険かというお話と、突然の登場と言う訳ですね。

次に繋がるエピソードとして展開しています♪

さて、三部がどうなるか気になりますので、次に行って見ましょう!

ちょっと! こら! 私を無視するつもりですか!? って…もういない… (汗)

やりますね…


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