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あの子に好きって言いたくて! 第1話「その感情は…」
作者:悠一   2024/11/11(月) 17:44公開   ID:4c17BbrfZeo
「…」
俺の名前は若林文也。陰キャだ。
俺はこの学校があまり好きではない。そもそもここ、地元の学生でも敬遠するような学校だ。なぜ俺がこの学校に入ったかというと、家から通える距離だったからだ。
俺の席は後ろの方だ。だが俺には楽しみは何もない。授業が退屈な時、窓の外を眺めるだけだ。見えるのは町並みだけだが。
そんなある日の休み時間。俺はいつものように外を眺めていた。
隣の席の女子が俺に話しかけてきた。
「ねえ〜、若林くんだっけ…?」
「あ、うん。どうしたの?」
彼女の名前は安本綾。端的に言ってすごく綺麗だ。まあ俺から見てなんだけど。
「若林くんってさ、好きな子いる?」
なんで俺にそんなこと聞くんだよ…俺は彼女いない歴=年齢だぞ…そう思いながら、「今のところいない」と答えておいた。

その次の休み時間。
「なあ伊東、俺クラスメイトに『好きな子いるか』って聞かれたんだけど」
「マジかよwで、なんて答えたの?」
「もちろん『いない』って答えた。翔はいるの?」
「俺も今のところいない。洋介は?」
「俺?俺もいねえw金髪、お前は」
「いるわけねえだろ。逆に何でいるって思うんだよ。」
大橋「俺たち、みんな彼女いないもんなw」
伊東「少しは希望を持て」


放課後の校門前、俺は矢島美愛に話しかけた。美愛は俺の小学校のころからの友人だ。美愛は美人だったが、小学校のころからずっと知っているから「高嶺の花」という感じはなかった。
そんな時、俺の後ろを体育館に向かう岩田希実が走っていた。彼女はバスケ部に在籍しており、「スクールカーストの最上位グループ」「学年一の美少女」といわれており、非常にモテる。クラスメイトでバレー部の森岡大翔が部活が終わった後、彼女に告白したと聞いたこともある。
「かっこいい…」
そう思い、俺は思わず見とれてしまった。
「お前どうしたんだ?」
伊東に声をかけられた。どうやら希実に見とれてしまったようだ。慌てて「いやなんでもない」と言った。
「それにしても、お前よく矢島に普通に話しかけられるな。」
「俺、美愛と小中とずっと一緒だからさ、そんなに高嶺の花って感じじゃないんだよ」
「へ―羨ましいな。でも矢島は彼氏いると思うぞ?
矢島は同じクラスの江原とめっちゃ仲いい。多分あの2人は付き合ってる」
俺は、「あの美愛が彼氏いるのか。」と思った。まあルックスはいい方だからな。モテるのも当然か。
美愛と別れて少し後、「2組って可愛い子いるの?」と大橋が言った。
伊東「2組で可愛い子っつったら、紺野とか相沢とかが思い浮かぶな」
柴崎「紺野さんか〜。紺野さんは確かに目がパッチリしてて可愛いけど、タイプじゃないかな…それに俺の友人が紺野と同級生で、友達の友達ってイメージだからなぁ…。相沢さんは名前しか知らないし…」
大橋「相沢さんはオシャレで制服の着こなしがいい子。」
柴崎「ああ、あの子か。顔と名前が一致した。」

だが、2組の女子の話をしているのに、大森の影が薄い。
伊東「大森、お前さっきからほとんど話してないけど、どうしたの?」
大森「いや大丈夫。」
伊東「ところでさ、大森は好きな人いる?」
大森「いや、いない」
柴崎「そっか〜いないのか〜。大森ってイケメンじゃんか。なのに女が寄ってこないのか。意外だな。」
大橋「そう言う柴崎は好きな子いるのか?」
柴崎「俺もいないかな。今のところは」


ーーーー

「もう11時か…寝よう」
寝室で家でケータイをいじっていた夜、布団の中で俺は考えていた。
「希実さんかっこよかったよなぁ。同級生だけど憧れる」
俺はそう思っていた。俺のその思いは翌日も、翌々日も、休みに入ってからも続いた。
そして俺は気づいた。
「この感情は、恋だ」


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■作者からのメッセージ
登場人物説明
◆若林文也
主人公。高校一年生。

◆岩井希実
メインヒロイン。

◆安本綾
主人公の隣の席の人物。若林を気にかけている。
生徒会に所属している。

◆伊東翔
若林のクラスメイトの男子生徒。痩せ型で、やや青みがかった髪。黒板係。
大橋や若林、柴崎らと行動を共にしていることが多い。
実はセーターやベストをしている時、ワイシャツの見えないところをしていない時がある。

◆大橋洋介
若林のクラスメイトの男子生徒。やや青みがかった髪。
伊東と幼い頃から仲が良く、小学校や中学校も同じ。明るく天真爛漫で持ち前の活発さで盛り上げ役に徹することが多いが、「うるさい」と突き放されたり、無視同然の一方通行になることも多い。

◆柴崎彰夫
若林のクラスメイトの男子生徒。一時期金髪にしていたため、通称「金髪」。
普段は「フッ」などと鼻笑いを多用し達観しているかのような態度や話し方をする。怖い話や未解決事件の話が好き。

◆矢島美愛
若林の幼馴染で隣のクラスの女子生徒。矢島の父親は若林の父親の学生時代の同級生。
江原と親しい。

◆大森智也
隣のクラスの男子生徒。茶髪のやや長身で、若林や伊東、大橋、柴崎らと親しい。
イケメンと評されやすい容姿だが誰かと付き合っているという噂はない。

◆紺野怜
隣のクラスの女子生徒。長身ショートカット。

◆相沢千春
隣のクラスの女子生徒。赤のカーディガンをよく着ている。そのため、周囲から「オシャレ」と評されやすい。

◆江原晴樹
隣のクラスの男子生徒。矢島と親しい。

◆斉藤美緒
若林のクラスメイトの女子生徒。ロングヘア―の美人。
伊東とともに黒板係を担当している。


元々「伊東翔」は「桐島翔」の予定でしたが、「桐島」は少し珍しい苗字なので没になりました。
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