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あの子に好きって言いたくて! 第6話「軽音楽部ならぼざろをやれ!」
作者:悠一   2024/12/24(火) 13:34公開   ID:4c17BbrfZeo
「じゃ、行ってくるわ」
俺と父はそう言って母に手を振り、俺は学校に父は会社に行く。
今年も夏が始まった。夏休みがあるとはいえ、俺は実は夏が嫌いだ。ましてやテスト勉強もあるし、学生に夏を好きになれという方が無理がある。
テスト勉強があるせいで、遊ぶ時間を削った。まあそのおかげで俺は何とか赤点を回避できたのだが。
昼下校だとは知らずに弁当を持ってきて、仕方ないから友達と一緒に行ったコンビニの駐輪場にチャリを停め、コンビニ裏で食べたな。

夏休みが始まっている。今年の夏休みは何をしようかな。まあ、部活の練習に呼び出されるのもあるだろう。軽音楽部の練習は大変だよ。もう「星座になれたら」は聞きたくなくなるよ。「うるさいんだって」と絶叫したくなるわ。
部活での俺の話し相手は隣のクラスの渡部真也。渡部とは隣のクラスで部活以外では会ったことはないが、うちの学校に似合わないレベルで頭がいいらしいと隣のクラスのやつ(大森とか)から聞いたことがある。割とイケメンだし、ほぼ間違いなくあいつリア充だろ。
真也とはいつも好きなアニメの話や、今期お互いが面白いと思うアニメを挙げていっている。いい奴だし、絶対モテるぞ。
と、まあそんな話は置いておいて、うちの学校に、恐らくは軽音楽部は「ぼっち・ざ・ろっく」のファンがいると思われ、新入部員募集用のチラシにぼっちが書いてあったりする。ついでに言うと、下駄箱にはぼざろの未成年喫煙防止ポスターが貼ってある。ちなみに僕は喜多ちゃん派。俺みたいな陰キャは、喜多ちゃんみたいな陽キャに恋愛対象を抱くんだよ。

いかんいかん、うちの学校とぼざろの話になってしまった。軽音楽部の猛練習はすごい。上級生の気合が入ってる。幸い、某アニメみたいにソロパートをめぐる争いなどは起きない。あれ、俺があの場に居たらどうしてただろうか…とか考えるな。

【駐輪場】
「ぼざろが嫌いになりそうだ…」
当たり前だが、最近は文化祭の出し物の練習でやたら「ギターと鼓動と青い惑星」を聞かされる。パートリーダーは一個上の小川先輩で、サブリーダーは小川先輩と同じ学年の池永亜樹さんという人。
今日も練習が始まる。星座になれたらの楽譜は見飽きたし、喜多ちゃんの声もしばらく聴きたくなくない。俺はぼざろは決して嫌いではない。だが、延々と聞かされるとさすがに嫌いになるよ。
星座になれたらの楽譜は見飽きたし、喜多ちゃんの声もしばらく聴きたくなくない。俺はぼざろは決して嫌いではない。だが、延々と聞かされるとさすがに嫌いになるよ。


学校の駐輪場に自転車を取りに行く。
「またね、染谷君」
「じゃ、飯塚先生。さようなら。」
遠くからそんな声が聞こえる。
駐輪場に同級生で岩田さんのクラスメイトだった染谷彰輝が来た。あんなに可愛い子と中学校の頃から一緒だったなんて、染谷や、岩田さんと小学校のころからの同級生だった岡野和樹がなんだか羨ましく思える。
「よう、バヤシじゃないか。」
染谷は俺のことをバヤシと呼ぶのか。
「ああ、染谷か。」
俺は染谷に話しかけた。染谷は俺のことを陰キャだと思ってるに違いない。染谷も岡野も陰キャ寄りだけど、二人ともなぜか陽キャたちと仲がいい。
「なあ染谷」
「ん?どうした?若林。俺今部活で飼ってるトカゲとかの餌あげ終わって、これから帰るとこ」
意外と普通に答えてくれた。話し方、思ったより優しそう。
「染谷さ、お前と岡野は、岩田さんと中学校の頃からずっと一緒だったじゃん。どんな子だったの?」
その質問に、染谷は答えてくれた。
「希実さんね…あの人頭良くて、ここにはそぐわないぐらいいい子なんだよ。なんでそんな人がここに来たかっていうと、岡野によると、希実さんはどうもスポーツ推薦でここに入ったみたいで。」
「バスケ?強かったの?」
「ああバスケだよ。強かったかって?そんなことはないよ。人数少なかったのもあると思うけど、いっつも大会では負けてたね。個人の実力は知らん。あ、もしかしてバヤシさ、希実さんで変な妄想とかしてないだろうな」
「するわけないじゃん。高嶺の花だぜ」
確かに。岩田さんは中学校の頃からバスケやってたのか。俺もバスケ部に入ればよかったと思わなくもないな。
で、染谷はこんなことも話した。
「俺さ、中学校3年の頃、いっとき希実さんと席が隣だったんだよ。気づかれると希実さんのことが好きなクラスメイトからの嫉妬を買うんじゃないかと恐れてたが、ぶっちゃけ恋愛感情はなかったな。むしろ希実さんの後ろの席にいた子の方が好きだった。」
嫉妬か。俺だって岩田さんの隣の席に行けたらいいなと思ってるよ。まあ席替えで割と近くの方に行けたが。
「じゃ、またな。」
「じゃあな文也。俺な、来週生物部の校外活動があるんだよ。」
「どこ行くの?」
「どっかの大学。他の学校の生物部と合同で活動するんだと。メンバーは飯塚先生と、副顧問の石橋先生」
飯塚真由美は大森たちのクラスの担任だが、美人だけどちょっと怖い感じで、俺は敬遠している。染谷は理科が苦手なのに、なんで生物部なんか入ったんだ。石橋駿太は確か、国語の担当だと聞いたことがある。
「楽しみ?」
「え?まあな。」
「ありがとう。俺、もう帰らなきゃいけないんだ。じゃあな」
「おう。」


帰宅途中、小学校のころからの同級生で、近所にある進学校に進学した千葉春樹とすれ違う。
「おう文也、久しぶりだな」
「春樹、どうしてここに。」
聞いた話によると、春樹は高校に行っても剣道をやっているみたいである。
「お前羨ましいよなぁ。」
そう春樹に言われた。春樹はあの優秀な東部高校だろ。こんな底辺高校のどこがいいというのだ。
「だって、木下さんがお前と同じ学校行ってるんだろ?」
そういえば春樹は木下先輩に恋愛感情があったんだった。剣道部時代から、もっと言うと剣道の道場に通っていた頃から、木下さんに憧れがあったんだろうな。


「もうしばらくぼざろは聞きたくない」そう思いつつチャリを走らせ家に帰る。帰ったら現実逃避をすべく、ゲームをやると心に決めている。
ゲームの名前は「神様のような君へ」、めちゃくちゃいいゲームで、結構好きなゲームだ。ちなみに今は「朝倉霧香」というキャラのルートをやっている。この朝倉霧香は端的に言って可愛い。彼女は主人公の城前塊斗同様人と話すことを避けている。でも可愛い。まあ、彼女の台詞には「ぼっち」とかいう、ちょっと今このタイミングでは聞きたくない言葉もあるけど。
このゲームの「Extended Edition」のオープニング曲で、霧香が歌ってる「ハレルヤ」という歌が僕好みで、時々聞いてる。曲調が好きだし、霧香役の明羽杏子という声優さん、歌めっちゃ上手い。ふと思うんだが、なんでエロゲの曲って名曲ばっかりなんだろうか。
よしっ!俺は今日もエロゲに癒された。また来週の練習、頑張ろう!
そう自分に心に決め、家に帰ることにした。明日は近所のレコード店に行こう。


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