短編『魔法少女達の奇妙な物語』
(ドラえもん×多重クロス)



――高町なのは、スバル・ナカジマ、フェイト・テスタロッサ・ハラオウン。この三名は運命の悪戯により本来辿るはずの未来からは離れた運命のもとに力を身につけた。まず、高町なのはは17歳時までに別世界の日本における最強の剣術流派“飛天御剣流“の心得をある程度身につけ、更にドモン・カッシュと出会い、修行に何回かついていく内に、彼が継承している『流派東方不敗』のあるフィンガー系の技を身につけてしまったという。(本人曰く死にかけたとの談)。スバル・ナカジマは転移時に体に重傷を負っていたため、仮面ライダー達によって治療を受けた。治療
と言っても、体内の機械部分や肉体に受けたダメージが極めて大きかったために実質は再改造手術に等しかった。神経系を除いて、仮面ライダー達の理解が及ぶ範囲内での体の改修が行われた。その結果、ナノマシンによる肉体の自己修復、仮面ライダー達に比肩する身体能力を手に入れた。さらに赤心少林拳の門戸を叩いていたので、近接戦闘については並の怪人以上である。最後のフェイト・テスタロッサ・ハラオウンはなのは以上に飛天御剣流の修行を積み、九頭龍閃及び奥義・天翔龍閃を除く、殆どの技を17歳時に体得。それに伴い、バルディッシュ・アサルトをフレームに手を加えての大改装。日本刀を模した形態を新たに追加した。(ちょうどその年の高校の長期休暇の読書感想文の宿題で日本神話を選んでいた事もあり、ヤマタノオロチを退治したという聖剣から名を頂いたとの事)そのモードを『天羽々斬』とした。形状はほぼ日本刀で、威力面では最大であるものの、斬馬刀相当のザンバーモードに比べて耐久性が劣るのが運用上の難点である。これはそんな彼女らがミッドチルダ動乱の最中の数週間に体験した不思議な体験談である……。























――私、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンは今、なのはやスバルと一緒にとんでもない事態に直面している。それは……別の運命を辿ったミッドチルダにいるのだ!

「やっぱりここはあたしが前に話した歴史通りに、事が進んだ世界のミッドチルダです。歴史調べたらピタリです」

「いったいなんで……こんな事になったんだ!?見当がつかないよ」

なのはは着の身着である赤心少林拳の道着姿で頭を抱える。直前までトレーニングに励んでいたためだ。

「まさか帰還早々にこんな事になるとは……参った」


フェイトはウィッチ世界から帰還して間もなかったらしく、一番落ち込んでいる。多忙だったせいか、表情に疲れが出ている。服装は着の身着の扶桑皇国陸軍の制式戦闘服である。

「なのはさん、フェイトさん。金あります?」

「店で弁当一回買える程度しか無いよ〜」

「私は0だよ〜〜帰還してすぐだったし」

「こうなったら、大食いか早食いでタダになる店を探してチャレンジするか、“ここ”のあたし達にツケさせて代金を後払いするかしか無いですよ」

「早食いとか自信ないから後者でいくよ」

「私も」

二人は史実より消費するエネルギーが遥かに増大し、それにともなって大食いとなったとは言え、スバルには及ばない。そのために後者を選んだようだ。幸いカードや財産の口座番号は同じようなので、代金のツケには使える。この場はなのはの趣味であるファミレスでひとまず食事をする。

「日付は何年の何月ごろになってる?」

「私たちの世界で言いますと……ちょうどあたしが未来の地球にいく数日前の日付だったから、新暦75年の9月9日あたりです」

「ふむ……こっちで言うところのナチ共の進攻の4日前くらいか。平和だねぇ。あたし達はナチ共に追いまくられてて第二次大戦さながらの戦時状態だってのに。まぁ、これがあるべき姿なんだろうけど」


なのははこのミッドチルダが、事件の只中というのに、平和を謳歌しているようにしか見えないのに羨ましさを見せた。自分たちはナチス・ドイツ残党の侵攻で戦時状態に突入し、相応の犠牲を払っている。それが無いこの世界は見る限りでは平和そのもの。スカリエッティの猛威も、ナチス・ドイツの介入がなければ局地的事件程度で済むのだろうと考えたようで、複雑な表情だ。

「これがむしろ私達が“辿るはずだった”道
だよなのは。もしあの世界でなのはが撃墜されなければ歴史は大きく違ってた。その可能性を今、私達は見てる。ドラえもんが前に言ってたんだけど、並行時空での同一人物が出会う例は無いんだって。もしもボックスを使っても、ね」



フェイトはなのはの撃墜を一つの『歴史の分岐点』と見立て、スバルが子供の自分たちに話した通りの歴史を辿る道と、別の選択を取った世界とに分かれるという考え方を示した。全てがスバルの話した通りの歴史を辿った世界では自分らは全く別の成長をしている。並行時空の同一人物が出会う事はドラえもんも経験がないと言っていた事を二人に話す。

「魔界での大冒険をした時、自分やドラミ以外は全員が並行時空の人間だったから、あの冒険を覚えてるのはドラえもんの他にはのび太とドラミだけ。だから魔界の大冒険のことは皆には話してないって言ってたけど、この世界の私達がここにいるかどうかどうかわからないよ?」



「そっか。そういう事もあるか……」

「とりあえずティアや部隊長には会わないようにしましょう。会うと面倒ですし」

「だね。スカリエッティの連中が襲ってきたら自衛で返り討ちにするのはいい?」

「自衛目的なら影響無いと思うんで、いいですよ」

この三人は赤心少林拳や飛天御剣流などの強力な戦闘術を我が物としているため、近接戦闘に関しては、この世界における当人たちを超える戦闘能力を誇る。が、他分野に関してはこの世界の自分らに劣る場合もある。なのはの場合は近接戦闘を重点的に伸ばしたため、火力面では子供時代からそれほど変わっていない。これはある時、師らに砲撃魔法の多用を諌められた事で『体に負担をかけない魔力運用と戦い方』として、近接戦闘に鍛え方を舵を切ったためである。

「問題は自分自身とドンパチなんてなった場合だよ。確実に撃ち負けるよ?あたしじゃ」

なのはは砲撃魔法を更に極めたであろう、この世界の自分自身と戦闘になれば撃ち負けると断言した。だが、そこでスバルがあることを告げる。それは別の経過を辿った場合の撃墜事件の事だった。

「たしかにこの世界のあなたは強力な砲撃魔法を撃てる。だけど絶対的な魔力の最大出力はたぶん低下してるはずです。撃墜事件で半身不随になりかけたとか聞きましたから……」

「そうか。やはりあたしは“落とされる”んだな……気持ちはわからないわけじゃないけどね…。」

――別の自分は撃墜事件で一種のトラウマを抱えた――

この事件が自分の人生に多大な影響を及ぼした事を改めて自覚した。ここにいる“自分”はそのトラウマを吹っ切ったが、別の自分は未だに撃墜されたことに恐怖を抱いている節がある。なのはは別の自分の心の弱さに落胆した。だが、同時に歳相応の少女らしさを残しているであろう自分への羨ましさも垣間見せる。

「ええ。ティアを落した時のあなたの顔は怒ってました。あの時のティアがあなたの心のトラウマを刺激しちゃったんでしょうね」

「教導隊の教え通りだし、気持ちは分かるが……もっと別のやり方があっただろうに。……本当、不器用だな、あたし」


自分が不器用な事を自覚していたらしく、注文したビールを飲み干しながら自嘲気味に呟く。なのはは戦うことで相手と分かり合ってきた。不器用であるが、それが自分の流儀だった。しかし世の中はそう上手くいかないのだ。ロンド・ベル隊での上官のアムロ・レイが赤い彗星と恐れられたシャア・アズナブルと分かり合えず、一度は共に戦ったのにも関わらず、第二次ネオ・ジオン戦争で再び戦ったように。

「いいんですか?お酒」

「たまにはいいさ」

缶ビール(ミッドチルダ地ビール)を飲み干すなのは。嗜み程度だが、18歳を迎えてからは上官との付き合いの都合で飲むようになっていた。日本の法律では不味いが、未来世界やミッドチルダでは18歳で『成人』とされるので、ミッドチルダに関しては飲酒に問題はない。色々と思うところがあるらしく、『プハー』とオヤジ臭い動作で飲み干す。この世界の彼女自身が見たら涙目で「や〜め〜て〜!」と涙目で詰め寄ること間違い無しな動作だ。

「溜まってるね、なのは」

「当たり前だよ。この方、ナチ共とドンパチしまくってるからナチの軍服なんて見飽きたし、まだ19のA型の慣らし運転の途中なんだからさ」

「A型は輪にかけてじゃじゃ馬だからね。22のほうがまだ扱い易いよ」

「ギャラクシー系はアビオニクスが微妙に違うからなぁ」


フェイトはVF-22系列(ゼネラル・ギャラクシー系列)を愛用している。新星インダストリー社系VF(VF-11や19など)を使うなのはとは対比的である。操縦技能に関しては、機械に強い分、なのはの方が上であるとの事。

「そうだ!二人共、重大な事を忘れてます!寝るところどーすんですか?」

「……あ」

そこでなのはとフェイトは顔面蒼白となった。迂闊に機動六課の隊舎へ行けば『自分たち』と鉢合わせしてしまい、騒動になるのは目に見える。かといって近隣のホテルでは顔バレしている可能性大(なのははインタビュー本の印税でがっぽり財産を稼いでいる)なので、郊外の安いホテルに当面宿泊することにし、連絡をとり、チェックインした。(なのはが持ち合わせていたクレジットカードで代金は払った)




















――ホテルの一室

「ふう。やっと落ちつけた」

「これで当面の寝床は確保したね」

「うん。あとは服の確保だよ。いつまでも同じ服着てるわけにもいかないからね」

「クレジットカードはあるから買い物には苦労しない。明日、街に繰り出して着替えを確保しよう」

「OK」

「了解です」


と、ホテルのバスローブに着替えて作戦会議を開く三人。この時にいくつかの事項を決めあい、このホテルを拠点に当面の生活を送ることになった。因みにこの時の三人の生活費
の料金はこの世界のなのはの口座から支払られたために、事が終わった後、この世界の彼女が銀行に行って給料を下ろそうとした時に身に覚えがない引き落としがあったのに気づき、フェイトに話が行ったという。無論、この時の三人は知る由もない。









――別世界の自分同士が出会う確率はドラえもん曰く、万に一つあるかどうか。偶然が重なって、お互いに出会うことはないという。万一出会ってしまった時に何が起こるのか。古来からドッペルゲンガーと恐れられる現象のもとに、バランスを取るために片方が死を迎えるのか?それは分からない。この奇妙な物語の行く末は神のみぞ知る事なのだから。












――数日後、着替えも確保した三人はスバルの記憶を頼りに、一般人に紛れて戦場となる場所に潜入した。リスクは高いが、今の自分達なら状況を変えられると踏んでの行動だった。歴史を変えかねないもの、おおまかに変えなければいいというなのはの判断によるものだ。

「するとあたし達隊長陣はお偉方の警備で前線にはいないんだな?」

「はい」

「あたしから見りゃ、なんでお偉方なんて守る必要があるのかねぇって言いたくなるね」

「あんなことになりゃそうなりますよねぇ」



なのはは元の世界において、ナチス・ドイツに高官が内通していて、その情報が侵攻成功に役立ったという情報を歴代仮面ライダー達から聞かされた。その事への憤りからか、管理局上層部に不信感を抱いているようだ。スバルも同意する。

「どうするつもりです?なのはさん」

「決まってるでしょ?無双するんだよこの場で」

なのはは相当、鬱憤が溜まっているようだ。レイジングハート・エクセリオン改のソードフォームとハルバードモードのVER2.0(レイジングハートは新暦75年に入った頃に、内部の老朽化した部品の取り替えを兼ねて、初めて管理局の正規の整備を受けた。その際に当局は届出がない不正規改造に面食らったそうだが、地球連邦の高度な技術で造られた部分は管理局にとってブラックボックス同然なために手を付けられない。そこで変形用フレームをバルディッシュの予備フレームを流用したものから、レイジングハートに最適化された新型に替える事で内部機構の最適化を施した。そのため接近戦用の各フォームも更に形状が変化したとか)のテストにはちょうどいいとばかりに鼻息が荒い。

「なのはさん、故郷の方の地球で某社のゲームソフトやりこんだんですね……」

「そうなの。なのはったら高校の時にはアリサとどっちが強いか張り合ってたの。結果は言うまでもないけど」

「にゃはは……」

「なんといおうか、なのはさんらしいですね」

スバルは呆れ顔だが、楽しんでいる節があった。自分の魔改造が成功した事を。これには間接的にヒーロー達が協力してくれた事も大きい。特に仮面ライダーBLACKRX=南光太郎がトドメ技にリボルケインを使っていた事が影響したとフェイトから聞いたが、RXのリボルクラッシュの勇姿はなのはの心に強く印象に残ったようだ。

「あ、今回はスバルは後方で支援担当だからね」

「分かってます。自分と会っちゃったらドッペルゲンガーと勘違いされて襲われそうですから」





なのはは自分が表に出ない戦だと分かると“こっそり戦果を上げられる!”ばかりと俄然ノリノリだ。スバルの影響も大いにあるだろうとフェイトは溜息をつく。子供時代からの9年でなのはとの関係に変化が生じていた。依存ではない、戦友であり、対等な親友の関係へ昇華していた。そのため魔改造と仮面ライダーの影響で突撃系熱血少女となったなのはのストッパーを自負していた。だが、自身もデュオ・マックスウェルのガンダムデスサイズヘルの戦闘を目の当たりにしたことで、突撃大好きっ子なのだが、それは突っ込んではいけないところである。

「この世界のあなた達はもうそろそろ地上本部の警備に着いてるはずなんで、鉢合わせする可能性は低いです。あたしは前線にいるとティアたちに鉢合わせしちゃうんで、下がってます。今のあなた達はこの世界の部隊長を入れた三人よりも、接近戦に限れば強いですし、ナンバーズが来ても大丈夫でしょう」



そう。この場にいるなのはとフェイトは接近戦に限れば、この世界の機動六課の面々を力でねじ伏せることは容易な程の戦闘力がある。飛天御剣流や赤心少林拳、はたまた流派東方不敗という強力な力を得た事で、身体能力が飛躍的に高まったためだ。

「ま、まぁね…。下手な戦闘機人より強くなっちまったからなぁ、あたし達。あたしなんて、ドモンさんのおかげでフィンガー系の技が撃てるようになっちゃうわ、比古さんに無理言ってある程度剣術教えてもらったら。剣圧で竹や木程度なら斬れるようになった……ジ○ンプ漫画かつーの」


なのははもはや平凡な少女を通り越して、戦闘系女子と言っても過言でない高い戦闘力を保持するに至った。外見は史実とそれほど変化ないもの、19歳という実年齢よりも若々しい外見、見かけとは裏腹のがっしりした体を持つなどの差異がある。それを某有名少年漫画雑誌になぞらえて、ため息をつく。


――確かにこの世界の住人の『あたし』が見たら泡を吹いて気絶間違いなしの姿だろうなぁ。今のあたしは『高町なのは』という存在の中の好戦的な心が顕現化した“可能性”なんだから。

自分は恐らく、全ての並行宇宙に存在するであろう、『高町なのは』の中で最も好戦的な性格を持つだろうことは自覚があるようだ。そして一番、その手を血で染めてきた生き方をしている事も。

――任務とはいえ、ジオンやザンスカール、ティターンズとかの生き残りをMSごと殺した事は数え切れない……。目の前で自決とか玉砕していった部隊もいた……。だけど……これが自分で選んだ道なんだ……後悔はしてない。

なのははこの8年間、元来の優しさとは相反する、戦争の残酷さ、酷さを見てきた。一年戦争で消えたパリやシドニー、戦災孤児を強化人間に仕立てていたティターンズの記録、同胞であるはずのスペースノイドの犠牲をもなんとも思わないジオン軍……。それらを止めるという決意のもとに、連邦軍に籍を置き続けているのだから。たとえ、血塗られた道であろうと引き返さない。幼い頃に出会った、偉大な11人の男たちの背中を追いかけ、誓ったのだから。





















――フェイトは8年間、バダンのことを中心に執務官としての調査を続けてきた。そしてバダンが並行時空にまたがる一大組織であり、その母体が一時でもドイツという国を支配した『国家社会主義ドイツ労働者党』、俗にいうナチス・ドイツであるというのはフェイトには信じられなかった。ナチスは第二次大戦の敗北で復興の根までを完全に摘まれ、未来永劫、『極悪非道』の組織として名を残したはずの“既に滅んだハズの組織”である。それが名を変え、滅亡したはずの軍備を再建させ、管理局や未来世界でさえ実用化されていない、超テクノロジーを手にして生きながらえ、ZXまでの9人ライダーを生み出した。しかも9人ライダーにはナノマシンによる自己治癒能力があるために老いや寿命というものが事実上、存在しない。その気になれば、宇宙が滅亡するその日までの永劫をも生きられるという事実。フェイトは愕然とした。タイムマシンで運命を替えることもできるはずの未来世界に生きていて、何故、その無限に等しい命を得たことを否定しようとせず、正義の味方として生きる道を選んだのか?ZXこと村雨良がライダーを代表して言った言葉がリフレインする。

『人々が仮面ライダーの存在を求め続ける限り仮面ライダーは死なん。……だから俺達は仮面ライダーであり続ける。たとえ未来永劫生き続ける運命だろうが、人間の自由を守るためにな』

そんな彼等に茨の道を与えたばかりではなく、人の命を玩具同然にしか考えていないバダンに彼女は怒りを燃やし、10年近くバダンを追っているのだ。バダンこそが、もしかしたら時空管理局の最高評議会をも手なづけ、彼等を悪の道へ堕落させ、ジェイル・スカリエッティを生み出させたかもしれないのだから。


「“アメノハバキリ”で戦うのは避けたいけど……やらなければいけないときはある。あの人達もそうしてきたんだから……!」

数年間の努力の賜物、17歳時に飛天御剣流の一子相伝の奥義を除く大抵の技を体得するに至った彼女はバルディッシュを更に改装し、日本刀を模した形態を追加させた。それを天羽々斬と名づけ、飛天御剣流を扱う時用の形態として用いている。居合などの日本剣術独特の動きを行うには日本刀やサーベルが最適だが、日本刀のほうが耐久性があるので、日本刀状の形状を取ったという。このモードでウィッチ世界で名を上げたフェイトは501出向時には坂本美緒から一目置かれるようになったとか。(正確にはライバル視に近い。坂本が幼い頃に目の当たりにした、“事変の時に黒江が使った未知の大魔法”がフェイトの持ち技であることを知ったことで、『陸軍三羽烏の愛弟子』であるフェイトへの対抗心がメラメラと燃えあがったとの事)。現在の彼女ならば、ナンバーズの戦闘機人をなます斬りすることも、手玉にとることも余裕でできる。だが、それで大手を振って暴れれば、この世界に影響が出てしまうことも十分考えられる。フェイトは鼻息荒いなのはと違い、慎重に事を運ぶべく思考を巡らせる。スバルの知る本来の歴史との差異が最も大きいのは自分であるのだから、自然と慎重にもなる。天羽々斬モードに最適なバリアジャケットの形態は黒の他に白と青色が交じわうという、配色を持ち、インパルスフォームや真・ソニックフォームとも異なる趣を持つオリジナルの形態。これは封印しなければならない。

「インパルスフォームで天羽々斬を使うしかないな。居合に支障ないし」


フェイトのバリアジャケットの形態は天羽々斬に最適なモードが追加されている以外は、史実と差異が少ない。なのはが接近戦をするために、青年期以降にデザインを大きく変えているのとは対照的だが、これはフェイトが元々接近戦を得意としていたので、バリアジャケットのデザインを大きく変える必要があまり無かったためだ。ただし装甲部位の多さなどの細かいデザインが異なっているので、よく見ればわかる。(髪形がポニーテールであるので、それが最大の違い)。

「いい?なのは、この世界の私達と出くわしたら逃げるよ。細かい空戦機動ならこっちに部があるから」

「分かってる」



なのはとフェイトは万が一、自分自身と出くわす可能性を考慮に入れて作戦を練る。最悪の場合も想定して作戦を練る事を嫌ほど、少女時代から叩きこまれているためだ。フェイトはこの世界のスカリエッティがバダンとの繋がりがあるのか気になっている。それ故に表情は厳しい。楽天的ななのはとスバルとの気質の違いがよく表れているといえよう。

――新暦75年9月。三人の戦闘系魔法少女らは別の歴史を辿るミッドチルダで静かに介入行動を開始した。



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