短編『次元震パニック』
(ドラえもん×多重クロス)



――次元震パニックは新たな段階へと入りつつあった。来訪した調Bと翼Bは圭子らに連れられ、トレーニングルームで力の程度の確認をされた。その必要上、シンフォギアを渡された――

「それじゃ、お前らの力の確認と行くぞ」

「……」

調Bは浮かない顔であった。相手は圭子。神格に登りつめた人間であり、複製品のアガートラームを纏っている。複製品とは言え、機能などは全くの同等。マリアのそれと同じ形状のアーマーだが、篭手の位置があべこべである。圭子は緑色のオーラを身に纏っている。アガートラーム本来の白いオーラに重なるようにして顕現しており、存在本来の力の片鱗を垣間見せた。白いオーラの中に緑に光る目も不気味さを醸し出す。

「ケイさん、遊ぶつもりだな……こりゃ五体満足でいられるかな」

「お前はあの方の事を買っているようだな」

「あの人は私や師匠とは別ベクトルで、すごい人ですから。異名が銃撃狂ですし」

「銃撃狂?」

「ええ。見てればわかりますよ、翼さん」

調Aは、別の自分が五体満足でいられるかを心配する。圭子の戦闘狂な性格を熟知しているからである。両者で先に動いたのは圭子であった。まずは小手調べの『EMPRESS†REBELLION』。アームドギアの短剣を蛇腹状に変化させての多角的な斬撃であるが、圭子は剣技の技能は高くはないので、あくまで牽制である。シグナムがシュランゲフォルムを使うのを見よう見まねで真似しただけだが、存外に効果はある。

調Bは近接格闘に持ち込まれた場合は対処する術が、丸鋸を用いた防御か、それをヘッドギアに備えられたアームに保持しての自衛などしかないのもあり、ひとまず跳躍で逃れる。だが、圭子はすかさず、更に上空に飛び、自分独自の攻撃を披露する。光戦隊マスクマンのブルーマスクから教わったトンファーによる格闘だ。トンファーは空中元素固定で形成した『マスキートンファー』で、威力は圭子のバカ力もあり、咄嗟に調Bが大型の丸鋸で防ごうとしたのをすり抜けての一撃を与え、床に叩き落とす。

「さて、新技の試し台になってもらうぜ」

圭子のトンファーによる乱打は調Bの反応速度を超えている速さで、防ぐどころの話ではなく、逃れる間すら与えられない。丸鋸を防御に使うどころではなく、ダメージも予想を遥かに超えている。一発一発がとてつもなく重く、最後の一撃が終わる頃には、ダメージで片膝をついてしまう調B。さらなる一撃は、トンファーからエネルギーを纏った刃が飛び出し、それを構える。調Bは咄嗟に丸鋸を前方に二枚重ねで展開し、フル回転させて防ごうとするが……。

「ハァッ!!」

フル回転しているはずの大型丸鋸はトンファーの刃を覆うエネルギーの効果もあり、X文字に切り裂かれる。あまりの光景に、調Bは固まってしまい、唖然とした表情を見せる。しかも、斬り傷は回転に食い込んでいき、ついには螺旋状に刻まれた後に砕けていく。オーラパワーとゲッター線の併用技である。名付けて『マスキースラッシュ』である。

「戦ってる最中に隙を晒すたぁな。ドシロートのやるこった!」

圭子はその隙を突き、脇腹にパンチをかまし、吹き飛ばす。格闘の素人である調Bは為す術がなく、一方的に痛めつけられる。これはAがいる事で、調が本来とり得る全ての戦法が把握されていた事もあるが、圭子が光戦隊マスクマンなどに師事し、格闘戦技能を鍛え上げた事の証明である。

(駄目、戦法が読まれてる。LINKERは貰ったけど、過剰投与出来るわけじゃないから、絶唱は使えない。イグナイトなら……!)

Bはイグナイトモジュールの高出力で一発逆転を狙っていた。時間制限と、時間切れが訪れる事によるギアそのものの解除という高リスクがあるものの、魔剣ダインスレイフを媒介にしての攻撃力に期待した。Aは実戦で使用していないというので、それに賭けた。だが、それを読んでいた圭子はトンファーから銃に持ち替えて、銃を威嚇で放ち、阻止する。

「おっと、訓練にイグナイトは無しだぜ、ガキンチョ」

銃は空中元素固定で作り上げたスーパーレッドホークである。弾は.480ルガー弾。今回はリボルバーである。特殊弾頭で、シンフォギアで防がれても、当たった際に衝撃波を伝え、ダメージを与える作りのオリジナル弾頭を使用している。マグナム弾の中でも強力な実包をベースにしているためと、撃つ圭子が神格であるため、その加護がある。たとえバリアを貫通しなくても、直撃した際と同様の痛みを擬似的に与えられる事は言うまでもない。


「……あああああっ……。弾は防いだ……はずなのに、痛みが……っ!」

「あたしは神格だ。物理的貫通が出来なくても、同等のダメージを擬似的に与えられるんだよ。マグナムで撃たれた感想はどうだ?」

痛みを与えられ、イグナイトモジュールの起動を阻止される調B。痛みはものすごく、血も傷も無いのに、貫通した場合と同等の痛みが襲い、片腕の自由を奪われる。

「そ、そんな……。ライフルで撃たれても平気なはずなのに……」

「シンフォギアの防御を過信しすぎだな。通常兵器を侮るなよ」

圭子は装者達に必ずある、『防御力の過信』を戒めるように言った。自身の能力を以てして。子供の頃から戦場にいた事、自分が過信と慢心で事故を起こした過去を持つので、それには厳しい。シンフォギアは遺失技術兵器以外へは高い防御力を持つため、調Bは圭子がスーパーレッドホークを構えても、イグナイトモジュールを起動させようとしたが、それは圭子の前では致命的な隙でしかない。

「本当はノイズ対策用にこしられたモノにすぎないこいつを過信しすぎだ。キャロル一派の『自動人形(オートスコアラー)』相手に苦戦しただろう?だからこそ、別のお前にはそれを仕込んだ。そして、人の可能性の一つを見せてやるぜ」

「人の可能性……!?」

「メディテーション!!」

圭子は前史以来、久しぶりにオーラパワーを発動させる。九字護身法の『在』の印を結び、オーラを研ぎ澄ます。研ぎ澄まされたオーラが右拳に集中する。翼Bがその光景に驚く。

「九字護身法だとッ!?月詠、あれは?」

「ケイさん、使えたんだ……」

「何をだ!?」

「ゴッドハンドです」

「ゴッドハンドッ!?」

翼Bへ調Aが解説する。圭子の行為の意味を。かつてのスーパーヒーロー『光戦隊マスクマン』のリーダー『レッドマスク/タケル』の個人での最大技『ゴッドハンド』。光戦隊マスクマンはアクの強い、超新星フラッシュマンと超獣戦隊ライブマンに挟まれた年代のヒーローであったため、のび太の時代でも『マイナーなスーパー戦隊』の扱いであった。

「ある世界で実際にいたんですか、その昔にスーパー戦隊の『光戦隊マスクマン』っていうヒーローがいまして。マイナーですかね?」

「マイナーだと思うぞ。そういう名前のヒーローが放映されていたのは、確か……昭和の終わり頃だろう?古すぎる」

「ですよねー……いまいちマイナーなんですけど、あれはそのマスクマンのレッドの技です」

2015年前後では、平成生まれも初期から中期に生まれた者達は30代から20代に差し掛かっているので、昭和最末期に放映されていた(活躍していた)光戦隊マスクマンの事は当然ながら知らない。ましてや、シンフォギア装者は女子であり、ヒーローものは見たかどうか怪しい(調Aは偶然、黒江との共有記憶に加え、ダイ・アナザー・デイで実際に共闘しているので知っているだけだ)。そのため、すごいというのが、いまいち理解できない翼Bだが、ゴッドハンドがシンフォギアの機能を超えた領域の技であるのは確かだ。

「ゴッドハンド!!」

要するに、オーラパワーを纏った正拳突きを相手に食らわす技であり、菅野の『剣一閃』と同じ原理だが、依代となる力が『気』か『魔力』かの差がある。菅野も『オレと同じ技をヒーローが使ったなんて、大感激だぜ!』と大喜びであった。圭子の正拳突きが調Bに炸裂した瞬間、ズドンという打撃音が響き、調Bは昏倒し、その場に倒れ伏す。

「殆ど、アガートラームのギミックや装備使っていなかったな、あの方は」

「ケイさんは銃撃戦が肝の人で、格闘戦はステゴロ派なんですよ。だから、剣はあまり」

「斧や槍は使うが、剣はあまり使わなかったから、腕がいいと、とても言えなくてな。たいていはステゴロでどうにかなるしな」

「確かに」

圭子はアガートラーム向きの性質ではない事を明言する。あくまでテストで纏っただけであるので、恒常的に使うつもりはない。しかしながら、本来の容姿でありながら、レヴィとして振る舞っている時の影響で目つきが鋭くなっており、その事もあり、どことなく好戦的な雰囲気を纏っていた。それが普段の温和さをかき消した、圭子の少女期本来の性格に近い好戦的なキャラとなっている。(口調はレヴィのままだが、二度目の転生で元の温和な口調にいい加減飽きたらしく、レヴィの口調を通している)果てしなく粗野な口調は今回においての彼女の評判に一役買っており、かつてを知る者達は『1F/64Fの悪童』、『扶桑陸軍の狂気』と口を揃える。しかし、元々の世話好きはそれでも残っており、黒江のもとを去らなかったのも、『子供のように泣きじゃくる綾香を見捨てられなかった』という理由が半分であり、そこの面も彼女の軍内での人気を担っている。圭子がダイ・アナザー・デイ作戦後にこの性格を公にしたのも、間接的にミーナを守るためであったりする。本質は世話好きであるが、後悔も多い圭子。年齢が行っていたがため、馬鹿をやれなかった事を悔いにしていた彼女が二度の転生でたどり着いた答えが、『粗野だが、実は世話好き』という性格なのだろう。(そのため、直属の部下の多くから『ケイ姐様』と呼ばれ、慕われている)なお、芳佳の角谷杏と融合した人格が目覚めた後に、彼女の要請で、護身用に『モーゼルC96』のストック付きの個体を用意させ、芳佳へ渡している。正確に言えば、連射可能な『モーゼル・シュネルフォイヤー』(M712)である。これは芳佳本来の銃器への嫌悪感が、角谷杏の要素が生じた事で、道具と割り切ってメスなどとと同列に見るように『割り切った』(角谷杏としての決断の面も大きいが)事で成し得た事だ。扶桑へは第一次世界大戦以降に『ハンター用』との触れ込みで大量に輸出されており、圭子が銃器メーカーのツテで芳佳へと渡した。扶桑は日本連邦化しても、銃規制の面では海援隊などの治安維持の都合上、日本ほどの厳格な規制はしなかった。そのため、ウィッチ達は私的にも拳銃を保有していた。(日本警察もそこは介入できなかったので、半ば諦めているが、機関銃などに規制を強める事は注文した)芳佳達などの英雄級ウィッチは比較的に登録が楽にできるので、圭子も書類を用意してやるのと、手続きを教えるのみだった。圭子曰く、『誰かに、包丁だって拳銃と同じ論を聞かされて、考えた結果だろうな』との事で、恐らく、モードレッド辺りに『人を殺せるなら、包丁だって同じだぜ。包丁を持って人を殺すか?銃だって戦争で発達したかも知れねぇが、これで狩猟をして生きる糧を獲る人もいる、市民を守るために犯人を殺さない様に腕を研く警官もいる。物はあくまでも道具に過ぎないし、殺す殺さないは使う人の意思次第なんだぜ、ヨシカよぉ』とでも諭され、考えたのだろうと目星をつけている。モードレッドは意外に面倒見の良い面があり、そこがアルトリアが見ていなかった『王としての素養』であると言える。モードレッドはダイ・アナザー・デイ作戦後はペリーヌに体を返している時期もあったが、ペリーヌがノーブルウィッチ―ズを再建しようとした時に活動を再開し、モードレッドとして行動していた。これはペリーヌがモードレッドの人格を完全に受け入れたからで、46年以降はもっぱらモードレッドが活動していた。ペリーヌの体にモードレッドが馴染んだ事や、念話の習得でペリーヌの意思もモードレッド顕現中に介入出来るようになっており、黒江達は二人と同時に会話するという離れ業を実行している。模擬戦は次の段階へ進む


「さて、調。翼を揉んでやれ。綾香から引き継いだ剣技を以てな」

「はい、ケイさん」

翼Bはアルトリアにもなんとか食い下がれるくらいには剣技に自信がある。かの円卓の騎士に対して食い下がれたため、内心では小躍りしていたりする。アルトリアも加減していたとは言え、翼の剣技は褒めている。調Aはこの二年ほどで剣技を鍛えられており、黒江とはちょっと違う方向へと鍛えられた。黒江が斬艦刀の方向性であるのに対し、彼女は龍王破山剣/五大剣を決め技に用いる。これは赤松が『示現流もいいが、引き出しは多くしとけ』と鍛えたために実現した。黒江のそれを引き継いだので、当然ながら第一撃に全力をぶつけるのだが、彼女はトリッキーな面も多く、魅せ技も多く持つ。

「行きますよ!!地斬疾空刀ッ!!」

調べの体全体が黄金のオーラに包まれ、両腕に鞘に収まった大剣を形成し、一閃し、敵の足下に向けて衝撃波を飛ばす。魅せ技の一つ『地斬疾空刀』である。エクスカリバーの応用で再現した技だが、あくまで魅せ技である。放つと同時に跳躍し、打ち込みを行う。シュルシャガナと無関係な大剣による衝撃波と打ち込みの二段攻撃に、翼Bは対応が遅れる。天羽々斬で衝撃波を受け流すが、打ち込みを受け止めようとしたが、予想より遥かに重い衝撃がかかった。そこからが変則的な攻撃の連続である。翼の反撃を躱すと、飛天御剣流の技に切り替え、応戦した。

『飛天御剣流・龍巻閃!!』

高速回転しながら背後に回り込み、後頭部や背中に攻撃を打ち込む。この時の得物は龍王破山剣ではなく、五大剣であったが、聖闘士として鍛えられたおかげで、五大剣を全力で振るっても何ら問題はない。アルトリアは正統派の騎士であったが、調Aは武士と騎士のいいとこ取りな戦法であるので、そこが翼Bを困惑させる要因だった。更に、調Aは意図的に彼女本来の戦法であったローラーを使った高速移動を用いない『素の身体能力』勝負に出たのも、翼Bを戸惑せる要因であった。しかも、当然ながら、丸鋸を主用してきた姿しか記憶はなく、積極的に近接格闘を挑んで来るのは予想を上回る出来事であった。

「ならば!!」

翼Bは距離を取り、上空から剣の雨『千ノ落涙』を放つが、調Aは既にそれを遥かに上回る密度の『プラズマランサー・ジェノサイドシフト』相手に特訓させられたので、避けきる。

「なにッ!?」

「こちとら、弾幕ゲー顔負け弾幕相手に特訓させられたんだ、そんな密度の弾幕に当たってたら怒られちまう!」

(あ、スイッチ入ったな)

圭子は微笑う。調Aは黒江と同調したため、戦闘で高揚したりすると、口調が荒くなる。また、のび太が彼女に『スケ○ン刑事』の原作漫画の文庫を見せたため、その影響により、本来のアームドギアは決めポーズをつける時などにしか使っていない。

「てめぇ!!許さねぇ!!」

(原作漫画/初代か。二代目の『許さんぜよ』と思ったけど、あれは昭和の終わり頃だから、ガキンチョにはわからねぇよな)

独白する圭子。調Aに、のび太と黒江/赤松がどういうヘ育をしたのかを悟ったのか、どことなくいたずらっ子を思わせる顔をしている。

「さあて、全力でいかせてもらう!!」

調Aは自分が形成できる二振りの剣を使った連撃のコンボを披露した。まずは五大剣を使った『奥義・光刃閃』である。これは小宇宙を使って、超音速まで加速して行う連撃だ。如何に翼Bが動体視力に優れていようと、急加速で瞬時に極超音速にまで達する調Aを捕捉することは叶わない。

「風を、光を超えろ!!!」

この場合は元ネタのゲームを再現するため、剣で行った。空気の圧縮加熱によるプラズマ化が起きるマッハ5前後で剣や拳が振るわれるため、夜や夕方に行うと赤く光るのが、公での技名の由来とされる。その音で目覚めた調Bは衝撃を受ける事になった。

『奥義・光刃閃!!』

最後に、剣を一閃した調A。翼Bの天羽々斬のギアはこの技で各部を切り裂かれ、そのダメージで昏倒する翼Bだが、ヨーヨーで頭をぽこぽこ叩かれ、目を覚まされる。

「まだ全部見せてないんですけどー、起きてくださーい」

「く、くぅぅ……防人とあろうものがこれしきの事で……!」

翼Bは挑発とも受け取れるこの行為で決意したのか、アームドギアの二刀を連結させ、焔を纏わせ、それを回転させての一閃で活路を切り開こうとする。その攻撃を知っていた調Aは五大剣を龍王破山剣に作り変える。龍王破山剣は西洋剣の形状の五大剣と異なり、中国の柳葉刀を思わせる形状であるので、ビジュアル的にもインパクトがある。蒼い炎を刀に纏わせて、一か八かの特攻を仕掛けた翼Bだが、その一撃を当てる前に龍王破山剣が先に当たった。いや、振り下ろされたと言うべきだろう。

『龍王破山剣!!逆鱗だぁ―――んッ!!』

室内では大仰なほどの爆発が巻き起こる。龍王破山剣・逆鱗断は本気でやれば、機動兵器も一刀両断できる大技。加減したとは言え、かなりの破壊力である。シンフォギアが聖剣の効果で解除されないのが、手加減の証だろう。

「今の技はなんだ……!?体を真っ二つにされるような感覚が……!?」

「龍王破山剣・逆鱗断。その気になれば、ガンダムくらいの機動兵器なら一刀両断出来る大技ですよ。威力は抑えてありますよ、ちゃんと」

龍王破山剣を持ちつつ、翼Bを助け起こす調A。短期決戦を行ったのは、翼Bが奥義を使う可能性があるため、エクスカリバーを使うしか、相殺する手段がないからであるのと、調の現在の技能レベルでは、威力の加減が難しいからだ。

「そちらでは剣技を鍛えたのだな。まったく持って恐れ入る」

「翼さんに比べたら、私なんて、まだまだケツの青い子供ですよ。剣を握って日も浅いですし……」

「ただ、こちらのお前には、刺激が少々強すぎたようだな……」

「あー……たしかに」

Bはまったくもって、いいところなしな上に別の自分は自分とは別ベクトルに振り切った強さであり、圧倒的な剣技の片鱗を垣間見たのが堪えたらしく、表情は曇っている。丸鋸を打ち砕かれてゴッドハンドで気絶させられ、次に見たのが、光刃閃の炸裂であるので、自分の戦闘能力に悲観したらしい。元々、近接格闘よりも『ローラーを使った高速移動による支援』のタイプであったため、翼相手に、模擬戦とは言え、がっぷりと組んでの剣戟などあり得ない。それはマリアの役目であったからだ。それを龍王破山剣・逆鱗断や奥義・光刃閃などの必殺技を放つ別の自分を目の当たりにすれば、言わずもがな。Aは黒江から受け継いだ技能を更に自己流などで伸ばした結果、このような『強さ』を得たが、Bは切歌がいない状況での戦闘能力はそれほど高いとは言えず、切歌への依存心から、切歌以外との『ユニゾン』にも踏ん切りがついていない。調Aの強さは見かけだけではないのだが、Bはインパクトの強さから、劣等感を持ってしまった。

――同じ『自分』でどうしてこうも違うの?――

Bは自問自答するが、納得する答えが出るはずもない。それを見かねた圭子が声をかける。Aはそれを見て、圭子にBのことを委ねるのだった。



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