外伝その69


――圭子、シャーリー、黒江の三者はストームウィッチーズが秘匿していた『量産型ゲッターロボG改』に乗って出撃した。量産型とは言え、スペック値はオリジナルと遜色がないため、グレートマジンガーと同等の戦闘力を発揮。ティターンズの虎の子たる、MS隊を薙ぎ倒していく。


『チェーンジ!ドラゴンッ!スイッチオン!』

ドラゴン号を先頭に合体し、ゲッタードラゴンとなる。オリジナルに比べるとマッシブな体形であるが、カラーリングは同一だ。

『ダブルポールアックス!』

武器も改良されており、ダブルトマホークではなく、両刃であるが、ポールアックスになっていた。(これはトマホークとしての使用を圭子が殆どしなかったためでもある)ドダイごとマラサイをまっ二つにして撃墜する。


『ゲッターマシンガン!』

もう片方の腕にはゲッターマシンガンを持たせる。これは元来はゲッター1の追加武装であったが、どの世代のゲッターロボにも装備できる汎用品であったため、圭子は装備させており、MS相手の射撃に使っていた。

『当たれぇ!』

マラサイがガンダリウム合金の装甲を持っていおうとも、元々が重装甲のメカザウルスを蜂の巣にするために造られた銃だ。数秒間の連射で蜂の巣になり、爆散する。

『ゲッタードラゴンに挑む勇気は認めるけど、それだけだな』

すっかり素が出ている圭子。戦場で戦うと、若き日の血が騒ぐらしい。

『さて、鉄也さんと合流しないとな』

グレートマジンガーを探す圭子。5分ほど飛行すると、芳佳らを率いて、戦闘を行うグレートマジンガーの姿が確認できた。

『あ、いたいた。お〜い。鉄也さ〜ん!』

『お、ケイちゃんか。ゲッタードラゴンを持ち出すなんて、大胆な事するなぁ』

『ウチの部隊に配備されていたものよ。ミーナ中佐が見たら腰抜かすかもね』

『なんでだ?』

『中佐はキャリアの大半を装備で困らない、優良部隊で過ごしてきたんだよ。だから現地での融通や調達とかに疎いんだ。だから私達が裏で手回してんだよ。菅野とかがしょっちゅう壊すしな』

「おい〜!しょっちゅうはないだろ、しょっちゅうは!今は『たまに』だ!」

『壊すのは変わんねーだろ。それにお前、またぶつけたろ。外装が一部凹んでるじゃねーか』

「ぜ、全損じゃねーし……」

『ハハ、その分だと、綾ちゃん、この子に手焼いてるな?』

『笑い事じゃねーよ。コイツがあんまり壊すから、予備部品の備蓄が無くなって、仕方がないから、裏で手に入れたF6Fの部材で修繕してるんだよ、胴体部』

『まあ、シルエットも似てるしな。あれ」

ここで菅野の紫電改は、一部をF6Fの部材で修繕している事が明らかとなった。紫電改の予備パーツがある段階で尽き、当面の間、補給が望めなかった事から、菅野のストライカーの補修には『F6F』の構成材を用いたのだ。

『ったく、今回はジェットに履き替えたようだからいいけど、気をつけろよなー。それだって、予備パーツを調達するの大変なんだから』

「う……スンマセン」

『まあ、いい。ヒガシ、剣。敵は発見出来たか?』

『敵の主力が南下している。別働隊を俺やスーパー戦隊に叩かれたから、とうとう痺れを切らしたな。敵の雑魚どもを減らし、本隊への脅威を減らすぞ。大和型や三笠型はともかく、イギリスの戦艦は、魚雷が4発も片側に当たれば転覆しかねんからな』

『そうね。んじゃ行きますか!』

「うーん」

『どうしたの、芳佳』

「あ、いえ、なんだか不思議で……。いつの間にか、ジェット戦闘機やMSとかが当たり前になってる事に気がついて」

『非日常も、それが続くと日常になっちゃう典型よ。でも、ジェット戦闘機は史実だと、そろそろ出始める時期には変わりないわ。今の時期だと、イギリスもジェット戦闘機を使うようになってると記録にあるから』

「そうなんですか」

「そうだよ〜。まぁ、『向こうでの』話だけど」

「あの人達はなんで、この世界に呼ばれたんでしょうか?」

「う〜ん。多分、史実での東西ドイツとソ連の役が流れ的に求められたからかも。その通りに流れが進んで来てるから」

黒田は憶測ながらも、ティターンズ残党はこの世界の歴史が違う流れになっているのを、『修正する』ための役目を負わされたと話す。

『歴史の修正力だな。それが働いて、リベリオン合衆国は史実の枢軸国とソ連邦の運命を担わされたのかもな』

鉄也も続く。

「どういうことですか?」

『ああ。こっちのオラーシャに当たる『ロシア』はこの頃には帝政が革命で倒れ、全く別の体制に取って代わられていたんだ。『ソビエト社会主義共和国連邦』という風に。それを縮めて『ソ連』って呼ばれていた。その国は建前は『人民の国』って言われていたが、実際のところは一党独裁の国でね。個人を抑圧して、富の全てを国家のためと称して集めさせ、社会全体のためと称して活動させていた国だった。だが、その体制はものの数十年で綻びを産んでいき、やがてそれが限界に達して崩壊した。なんだかんだで戦後40年は持ったから、世界を二部する大国としての立場にあった。核があったから、全面戦争になると、世界が滅びる。それ故に睨み合いになったんだが。一方、扶桑とカールスラント……此方側での日本とドイツは大戦を引き起こした枢軸国としての立場なんだ。戦争が枢軸国の完全敗北に終わった後、ドイツはベルリンを起点に東西に40年以上も分裂し、対立した。その運命に近いことが起きようとしてるのさ、恐らくな』

「歴史の修正力、ですか?」

『そうだ。君にとっては複雑かもしれんが、この戦争が終われば、東西冷戦になるのは間違いない。それが必然だとしても、ロマーニャの人々を戦火に巻き込んで良い訳じゃない。立ち塞がる敵は倒さなくてはならん。行くぞ!』

グレートはスクランブルダッシュの噴射炎を激しくし、増速する。一同は敵戦闘機群に挑む。

『サンダーブレーク!』

『ゲッタービィィィム!!』

グレートのサンダーブレーク、ドラゴンのゲッタービームがレシプロ機群を大小問わず、消し炭にしていく。無論、彼らも応戦するが、スーパーロボットに通じるわけはなく、手で振り払われたりするだけで墜落する機体も続出する。レシプロ機の爆弾では弾かれるのが関の山である。

『ここはあたしに任せてくれ!チェーンジ!ライガー!スイッチオン!』

Gはあることを思いついたシャーリーの進言でライガーに変形し、ドリルアームを回転させ、そこからプラズマと竜巻を起こし、敵を薙ぎ払う。

『ぶっ飛べぇ!プラズマドリル!ハリケェェェェン!』

これは、元は後発の真ゲッター2の技の一つだが、改良したG改は可能となった。逆スピンオフという奴である。シャーリーは更に動きを見せる。

『さて、見せてやる!あたしとライガーの本領を!マッハスペシャル・改!』

シャーリーはマッハスペシャルの効果を高めるため、自身の固有魔法で更に加速させるという離れ業を披露する。そこから繰り出される衝撃派で、半径100mにいる敵機をまとめて空中分解させ、始末する。この時の速度はマッハ4を超えており、敵の攻撃隊の編隊に300mにも達するほどの大穴(それほどの数が消えた)を開け、衝撃波が数百m離れているところにいるルッキーニのところにも伝わり、ルッキーニは思わず、『う、うにゃにゃ!?』と悲鳴をあげてよろける程だった。

『とどめは任せろ!チェェェンジ!ポセイドン!スイッチオン!』

水中戦用とカテゴライズされるゲッターポセイドンだが、実は後期のオリジナルや、このG改では、空中戦も出来るように改良されており、飛行速度はドラゴン・ライガーの後塵を拝するものの、そのハイパワーを活かせるため、実は意外に侮れない。

『ゲッターサイクロン!ぶっ飛びやがれぇ!』

ゲッターポセイドンの首の周りにあるフィンのカバーが展開され、暴風を発生させる。これで敵機は綺麗さっぱり消え失せるが、黒江は眼下にいる母艦の一つ『インディペンデンス級航空母艦』に狙いを定め、そのまま取り付く。

『さて、ロマーニャを荒らしてくれた礼だ!受け取れぇ!』

黒江は以前、竜馬が巴武蔵の遺品のノートを見ている時にせがんで、生前の武蔵に投げられたことがある隼人が仕込み、柔道の大会に出た際に弁慶に投げられた(元々は野球部だが、趣味で始めたとの事。この頃には柔道も男女混合の部門が出来上がっていた)、隼人にも特訓で何度も投げられた事で、体で覚える形で武蔵が、そして弁慶が得意とした柔道技をインディペンデンス級航空母艦にかける。11000トンの同艦を軽く持ち上げ、そのまま技をかけた。それは。

『秘伝!我流・大・雪・山お・ろ・しィィィィ!』

大雪山おろしである。これは巴武蔵の奥義であり、そこから神隼人と車弁慶に継承され、弁慶の『死後』、黒江が受け継いだ形となった。(後のネオチームの大道剴は武蔵・弁慶との接点がないためにこの技は継承しなかった)。

『お、武蔵君と弁慶の大雪山おろしか。懐かしいな。それじゃ俺もいっちょやるか!』

鉄也はグレートを急降下させ、脛のカッターを出す。そして、軽空母よりも大きい、エセックス級航空母艦『レプライザル』(この時空では普通に完成した)にバックスピンキックを食らわせる。カッターがそのまま飛行甲板を斬り裂き、発着艦を不可能にする。

『マジンガーブレード!』

最後に、船体をマジンガーブレードで斬り裂き、破壊する。スーパーロボットの破壊力を、芳佳らにまざまざと見せつける。

「す、凄い……」

「なあに、鉄也さんのグレートやケイさんたちのゲッターGなら、あんな事お茶の子さいさいだよ」

「ああ、こいつはすげーな…」

と、一同が関心しているその時だった。

『おっ!』

グレートとゲッターポセイドンの間を強力なビームがかすめていく。遠距離からの狙撃だ。

『このビーム……遂に来たな!綾ちゃん、ポセイドンじゃ奴に追いつけん!ケイちゃんに代われ!』

『おう!』

Gがドラゴンに再合体を完了した数秒後、芳佳らからも、はっきりとその姿を視認できるほどに急速に接近してくる、一機のガンダムの姿が見えた。それはガンダムmk-Xだった。今までの機体とは格が違う『グレートマジンガーと同格の体躯、今までのヒロイックさを感じさせるフェイスデザインを持つ同機は、かつての親ティターンズの地球連邦軍の教導部隊が蜂起したニューディサイズが運用した際に近いカラーリングに改めて彩られ、姿を現した。

『ほう……噂のマジンガーZとゲッターロボのの後継機か。コイツは面白い』

『なるほど、グレートマジンガーとゲッタードラゴンの事は知っていたか』

『捕虜を尋問したり、地球にいるシンパから情報はいくらでも手に入るのでな。この機体の事は知っているだろう?』

『ああ。かつてのニューディサイズの首魁『ブレイブ・コッド』が乗機としたガンダムだろう?グリプスの時に転移した貴様らが持てるはずはないから、シンパから流されたんだろう?』

『ご名答。この機体の保管先の管理人が親ティターンズ派でね。アップデートを施した上で、流してくれたのさ。おかげで単独飛行が可能になったわけだ』

『そうかい』

ここで、ティターンズのシンパは未来世界で未だに生き残っており、それらの尽力で、ティターンズ存続中には無かった機材を融通できたのだ。

――その瞬間、グレートマジンガーとG-Xは戦闘を開始する。マジンガーブレードとビームサーベルが鍔競り合いとなり、火花を散らす。

『ケイちゃん達はみんなを守れ!コイツは手練だ、俺が引き受ける!』

『わ、分かったわ!』

グレートマジンガーとG-Xは、互いの剣を振るいあう。グレートマジンガーとG-Xは機動兵器としてのカテゴリーも、存在意義もまるで違う。だが、白兵戦ではそんなものは関係ない。剣の暴風が吹き荒れ、サンダーブレークの電撃とビームライフルのビームが交錯し、両雄は最大マッハ3でドッグファイトを繰り広げる。

「あれが人型機動兵器の……戦い」

「そうだよ、芳佳。あれが人型兵器のエース同士の戦い。相手や味方と技量が同じでない限りは介入も許されない戦いだよ」

黒田の言う通りだった。グレートマジンガーとG-Xの戦闘は、芳佳らはもちろん、圭子らも介入が不可能なほどのものだった。

『ドリルプレッシャーパーンチ!!』

『おっと!』

グレートのドリルプレッシャーパンチが飛び、G-Xはそれを回避する。直線速度でマッハ3を超えるロケットパンチを事も無げに回避する辺り、G-Xの『彼』の技量の高さが分かる。

『ふむ、マッハ3を超えるロケットパンチを避けるとはな』

『私はビームを見きって避ける事が求められる時代の教育を受けた初期の世代なのでな。特に厳しかったのだよ』

そう。MSの携帯ビーム兵器が普及した時代にもなると、シールドの効果は『数回防げたら御の字』と言われるほどになり、『ビームを避ける』ための教育が行われるようになった。これが緩和されたのは『ビームシールドの普及』が起こるまでの長期に渡った。そのため、常に残党との戦闘が行われていた連邦軍実戦部隊の練度は『頭おかしい』水準に達していた。その中でも精鋭とされたティターンズの中でも更に上層に位置していた彼が如何に高い技量を持つのか、が分かる。

『さて、落ちてもらうぞ、『マジンガーZの後継者』よ!』

G-Xはビームサーベルをグレートマジンガーのコックピットに突き立てようとする。至極当然の攻撃であった。鉄也は咄嗟にグレートマジンガーを仰け反らせ、軌道を逸らす。しかしながら完全な回避は不可能であり、片方の目をビームサーベルで突かれ、破壊される。そのショックでサンダーブレーク発生装置が破損し、さらにそれが伝わり、ブレーンコンドルの計器の一部を爆発させる。

『ぐあっ!』

鉄也の叫び声が響き、同時にグレートはバランスを崩す。

『鉄也さん!?』

圭子の悲鳴があがる。グレートは高度を幾分下げてから立て直すが、片目を喪失し、キャノピー越しに見える鉄也は負傷していた。爆発で防護服が破片で切られ、ゴーグルも片側が破損し、頬からは血が垂れていた。

『コックピットへの被害だけで済ませたか。貴様、なかなかの手練だな。名を聞こう』

『剣鉄也』

『……珍しいな。ここまで純粋な日本人は』

『ありがとうよ。今じゃ、昔ながらのテンプレな漢字表記の名前は少なくなっているから、ガキの頃は珍しがられたもんでね』

そう。23世紀になると、戸籍抄本にカタカナ表記で名前が表記される事も多く、英語に習った表記も増加している時代なので、昔ながらの漢字表記は珍しがられる。鉄也はそこに言及した。

「大丈夫ですか!?」

『君は……確か、宮藤芳佳ちゃんだったな?』

「はい。怪我してるじゃないですか!?手当しないと!」

『何、かすり傷さ』

「それどころじゃないですよ!キャノピーを開けて下さい、魔法で治します!」

『今は戦闘中だ。そんなものは後でいい』

「で、でも!」

『この程度なら、日常茶飯事なんでな』

怪我に気づき、駆け寄ってきた芳佳を下がらせる。鉄也は戦闘中の負傷を気にしない質であるが、芳佳としては気が気じゃないらしく、圭子に進言する。

「いいんですか、ケイさん!あの人、怪我してますよ!?」

『ん〜、鉄也さんは一度、火がつくと止まんない性格だからなあ。もうこうなったら無理だ』

『剣は殊更、戦闘になると、決着がつくまでやめないからな。この場の治療は諦めろ』

黒江も言う。

「え〜〜!?」

『鉄也さん、結構熱い性格だからなぁ。こんな事言うのもなんだけどな、宮藤。今回は諦めろ』

「し、シャーリーさんまで〜!?」

鉄也の性格を知っている故か、三人は鉄也の治療は諦めているらしい。鉄也は怪我に構わず、高機動戦闘を再開する。怪我した身体に負担を強いるはずの高機動を行いながらも、慣れっこな様子の鉄也。芳佳は心配そうな表情を見せる。

「大丈夫かな……鉄也さん……」

「鉄也さんは、あんな怪我でくたばる程のタマじゃないよ。私達にできるのは祈る事と、あいつとの争いに野暮な連中が邪魔しないようにすることだよ」

黒田が言う。グレートマジンガーは隻眼になりながらも、その戦闘力に衰えを見せない。G-Xとの『音速を超えた戦い』は白熱していく……。



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