外伝その125『英雄達の叫び』


――ティターンズとの機動戦力との決戦は、今回もスーパーロボット軍団の担当になったが、今回はコン・バトラーやボルテスなども参陣しており、更にそこへ三大宇宙刑事も駆けつけたため、前史以上に豪華な陣容となっていた。――

『電子星獣ドル!!』

戦場に龍の咆哮が響き渡る。前史では参陣していなかった宇宙刑事ギャバンが電子星獣ドルと共に現れていた。300mの巨体であるため、迫力も満点であった。中国が絶えた世界ではマイナーな四神の一つを象ったスーパーマシンである。ドラゴンを象っているが、東洋の龍タイプの造形であるため、欧州系ウィッチからは警戒された。西洋では龍は邪悪の象徴だからだ。

『ギャバンさん、パトロール隊の任務はどうしたんですか?』

『アランに任せてきたよ。地球の危機なら、俺が行くしかないしね』

『コム長官のツテですか?』

『お義父さんに頼み込んでね。カミさんにも頼み込んだよ。おかげで今月の給料オケラさ』

ギャバンはフォボスに乗る智子にボヤいた。ギャバンこと、一条寺烈はコム長官の娘婿であるので、コム長官の許可を取り付けやすいのだが、今回は銀河連邦警察の観閲式と、今の職務をほっぽりだして駆けつけたため、相当に絞られたらしく、変身前はスキンヘッド姿である。

『あれ、シャリバンさんは?』

『シャリバンはイガ星が復興してね、跡継ぎを探してるところなんだ、実は。それに伴って、伊賀の新しいコンバットスーツと母艦が支給されて、新コードネームも内定してる』

ギャバンは、伊賀電がシャリバンのコンバットスーツとコードネームをイガ星の血を継ぐ次世代の若者に譲る意思を表明したため、グランドバースとシャリバンのコンバットスーツは本部に返却されたのだが、彼の行動力と戦闘力を惜しんだ連邦警察の現場出身の幹部の提言で、新たな職とコードネームを与える事となったと語る。その際に偽名として『城洋介』という名が与えられ、コードネームも『スピルバン』と改められ、シャリバンとは違う戦士『時空戦士スピルバン』となった事を語った。母艦も『超時空戦闘母艦グランナスカ』となり、グランドバースが急造の母艦であったのに対し、グランナスカはバビロスと同系統に位置する新造艦で、コンバットフォーメーションとカノンフォーメーションに変形可能と、技術的にもバビロスの系統に位置する。それを引っさげてくると伝える。コンバットスーツも次世代の『ハイテククリスタルスーツ』にバージョンアップしている。

『あれって色々ややこしかったけど、作ったんですね?バード星の技術で』

『コンバットスーツの技術に、23世紀の地球の技術を加えたハイブリッド仕様らしい。開発部から聞いた話だと、そんな話らしいが』

『地球の技術を?』

『所々では、23世紀地球はバード星を追い抜いてるところがあるからね。バード星はフーマとの戦いで打撃を被ってるし、内部の腐敗も明らかになってね、俺達が現場仕事続きなのも、その関係さ』

宇宙刑事は平和な時代では、現場を30年ほど務めれば、デスクワーク仕事に移行するというのが昇進の規則である。だが、ギャバン達は戦時に宇宙刑事となったため、短い間に宇宙犯罪組織との大戦を経験した都合、デスクワークするような柄ではない上、宇宙で戦い続けているため、肉体年齢が現役当時から数年も経っていない若々しい姿である。その事もあり、現場に留まっているのだ。

『ドルレーザー!!』

ドルの目からレーザーが発射され、F7Fの大群の中心に穴を開ける。ギャバンはドルの上に乗っているため、リベリオン軍のパイロットから見れば『わけわからない格好の人間』にしか見えないだろう。

『ダブルブリザァァド!!』

智子も、フォボスのダブルブリザードを使用し、敵機を吹き飛ばす。フォボスはダイモスと違い、直立式のコックピットであるため、モビルトレースシステムにより近い構造になっている。智子はその点、黄金聖闘士として鍛えあげた肉体があるため、うってつけであった(そのコックピットシステムのために、屈強なバーム星人が必要とされた)

『フォボシャフトォ!』

ダイモシャフトのフォボス版を取り出し、敵編隊をとにかく落しまくる。要は薙刀であるが、智子は幼少期、姉からその扱いを教わっているため、扱いに問題はない。が、マスタースレーブ方式故の難点もある。モビルトレースシステム同様、機体のダメージが搭乗者に反映されるため、戦闘機の機銃掃射は『カに刺された』ようなかゆみとなって、智子を襲う。

『ああ、もう!まるでカにたかられてる気分だわ!あんたら、カトンボみたいにちょろちょろしないで!』

チョップでA-20爆撃機を叩き落しつつ、開いているほうの腕でポリポリ体をかくという人間臭い動きを見せるフォボス。薙刀を使いつつも、マスタースレーブ方式の制御なので、搭乗者の個性が出ると言える。フォボスはダイモスの二号機だが、軽量化で武装が簡略化されており、双竜剣がないなどの違いがある。機銃に当たる『フォボガン』(ダイモガン)の弾薬節約の意味もあり、(簡略化されたため、ダイモスの一部武装は搭載されていない)徒手空拳で対応したが、戦闘機相手では、人間がカやハエに対応する時の如くの苦労がある。

『はぁっ!』

回し蹴りでA-20を四機まとめて落とす。リベリオン軍航空部隊はかなりの数であり、ギャバンと智子の活躍中は局地的なものであり、他の空域では、劣勢な空域も存在していた。劣勢な空域は戦闘機同士の空戦に、MSが介入したりしてのもので、『今回』においてのガリア軍機の大量喪失はMSによる撃墜が要因だった。

『こちらG空域!敵MSの襲来により、味方は散り散りに!救援を!』

G空域。ガリア軍が多めに配置されていた空域であるが、ティターンズがジム・キャノンや量産型ガンキャノンの残存個体を投入した事もあり、ガリア軍部隊は機を三桁に相当する数まで喪失していた。ガリア軍工廠製兵器は使用されず、ブリタニア機での参陣だったが、ティターンズが管理していた残存の『量産型ガンキャノン』(ジム・キャノンUのティターンズ採用テストのデータ集計の意味もあり、残存個体の六割を接収しており、そこからグリプス戦役を生き残った個体)、ジム・キャノン(初代機。改装型)がその火力を第二次世界大戦のレシプロ機に向けたのだ。G空域はMSの対空砲火により、部隊を尽く失い、爆撃機の護衛がままならない状況となったとのこと。

『G空域。確か、そっちにアムロ少佐が向かったはずだから、もう少し持ちこたえて』

と、智子は返す。ジム・キャノンと量産型ガンキャノンは飛行機には脅威だが、アムロの前では『カカシ』同然。一騎当千を体現したガンダムに乗っているのだからと。



――24世紀以降の技術で改良されたHI-νガンダムは本来、23世紀初頭時点のMSの殆どが抱えていた『MSそのものによる安定的な長時間飛行』が通常形態であれば可能となっている。ヘビーウェポンシステムでは重量が増すためにドダイなどのサポートが必要となるが、それでもティターンズの常識を超えた機敏な動きを可能にしていた――


「何、新型のガンダムか!」

彼らティターンズは連邦軍のグリプス戦役後のMS開発具合のことをあまり知らず、シンパから得られた情報、ネオ・ジオンからの情報が頼りなため、連邦軍の最新鋭機であった『HI-νガンダム』は知らなかった。それが彼らの殆どの命運を決した。

「落ちろ!」

サブフライトシステムから降り立ったHI-νガンダムはハイパーメガライフルで以て、いきなり二機のジム・キャノンを真正面から撃ち抜く。ジム・キャノンはジムより頑丈な装甲は有していたが、それは一年戦争の話。νガンダムが登場するような時代では、量産機で使われる装甲はよほど厚くないと、高級機には役に立たない。ましてやジム・キャノンは接近戦用の武装がフェイルセーフのバルカン砲以外は無い。その事もジム・キャノンの不幸であった。

「一年戦争の旧式で、νガンダムを止めるつもりか?心意気は認めるが……」

アムロは擬似的なホバークラフト移動をスラスターを使って行い、かつてのドムのような事を、そのドムに乗った黒い三連星を撃破した張本人である自分が、ティターンズ残党に行う事に苦笑しつつも、高機動戦闘を見せた。ハイパーメガライフルからハイパーバズーカに持ち替え、それをバルカン砲と共に連射しながら、ジム・キャノン部隊の火線に飛び込んでいく。ジム・キャノン部隊はスプレーガンやジムU用のライフル、キャノン砲を乱射するが、HI-νガンダムにはかすりもしない。

「馬鹿な!フルアーマーであの機動性なのか!?」

ヘビーウェポンシステムは、地上であっても推力増強オプションとして機能する。ティターンズ残党のパイロットで、一年戦争時に試作段階での『フルアーマーガンダム』への搭乗経験がある者は思わず目を見張った。『フルアーマーは増加装甲の重みが加わるため、動きが鈍い』(小回りが効かない、など)弱点を完全に克服していたからだ。

「クソ!」

全火器を乱射するも、アムロの回避運動は完全に一年戦争最末期当時の頃の鋭さに戻っており、シャア・アズナブルレベルのトップレベルのエースパイロットで、ようやく当てられるくらいの速さである。エースパイロットではない彼らにとっては『ロックオンして撃った瞬間に避けられている』としか認識出来ない。それがエースパイロット+ニュータイプ+ガンダムと、一般機の差だった。

「うお!?」

彼は瞬時にキャノンを斬られ、更に右腕ごとビームライフルを失い、無力化させられ、アムロとの最初の交差で生き残った数少ないパイロットとなった。(捕虜へ)アムロはフィンファンネルを温存し、手持ち武器とバルカンだけでジム・キャノン部隊を突破し、量産型ガンキャノンに取り掛かる。かつては友軍であった連邦軍系の機体だが、もはや彼らの手持ち武器では、HI-νガンダムのヘビーウェポンシステム型には殆ど通用しない。キャノンが唯一の打撃を与えられる武器だが、それは当たれば、の話だ。

「やれやれ。キャノンでの格闘戦というのを知らんらしいな」

アムロは冷静に対処する。アムロはガンキャノンで接近戦をやらかした実績があるが、他の連邦軍パイロット達はキャノンでの接近戦はジム・キャノンUへの搭乗経験がある者以外は『格闘戦』はご法度と教えられていた。そのため、接近戦でも鬼のような強さのアムロと相対せざるを得なくなった者は、瞬時に武装解除されるか、踏み台にされるものも続出した。結果、接近戦が可能なものが存在しない砲撃部隊はアムロただ一人に蹂躙され、たったの五分で散々たる有様となって、連邦軍に捕虜として回収されたのだった。アムロはこの間、武装の全ては使っていない。HI-νのポテンシャルの半分も引き出していないため、ウォーミングアップと言うべきだろう。HI-νは連邦軍の力の象徴としての役目を果たす。アムロの活躍は、ガンダム神話の裏付けとしても大きな役割を果たしていた。21世紀のアニメや、一年戦争での実際の記録でもそうだが、ガンダムは狙われやすいため、アムロ機含めて、一年戦争中の被撃墜率は意外に高く、失われた機体は複数に登る。サンダーボルト宙域でのフルアーマーガンダムの一体、マドロック、アレックス、ピクシーなど。一年戦争に絞っても、それだけの被撃墜記録があるため、ガンダムの搭乗資格は次第に狭まっていった。現在では、正式なガンダムは指折り数えのニュータイプか、超一流エースパイロットのみがその資格を持つとされる。ガンダムに乗ることは『勝利を要求される』に等しいため、軍パイロットは乗らないケースが増え、ガンダムパイロットには若いパイロットが多い。20代はアムロとシーブック・アノー(現・キンケドゥ・ナウ)、カミーユ・ビダンのみだ。

『こちらアムロ。G空域の安全は確保した。繰り返す。G空域の安全は確保した……』

アムロの通信を合図に、爆撃機部隊が突っ込んでゆく。連山やランカスター爆撃機などの四発重爆部隊だ。富嶽は戦術任務に使うには高価なため、連山とランカスターが21世紀の技術で造られた『JDAM』誘導爆弾で精密爆撃を行い、ヴェネツィア国内の工場や拠点を爆撃するのだ。随伴するジェガンやZPlusがレーザーを当て、そこをレーザーJ-DAMかペイブウェイ爆弾で攻撃する方法での戦略爆撃だ。これは当時の戦略爆撃の標準である『無差別爆撃』にグランウィッチ以外のウィッチが猛反対したからで、黒江は作戦前、わがままと取れる反対論に思わず怒り、『誘導爆弾でも用意しろって言うのか?ったく、お前らゼータクすぎだ!戦争に綺麗事が通用するものか!』と若手に言い放っている。圭子も『誘導爆弾を未来から取り寄せればいいんでしょ?取り寄せてもらうから、それでいいでしょ?』と、怒気を孕んだ一言で追い打ちをかけている。若手ウィッチの多くは過信が多い上、人同士の殺し合いに嫌悪感を持つ。そこがグランウィッチの怒りを招いた。当初は通常爆弾で無差別破壊をする計画だったのだ。アメリカ軍や地球連邦軍から誘導爆弾を取り寄せ、使用する事になったのは、ウィッチ達の反対で、精密爆撃の必要が出たからだ。通常爆弾をバカスカ落とせなくなるので、当然ながら作戦に必要な経費は上昇する。幸いにも、話を聞いたアメリカが『実戦試験』名目で大量に輸出してくれたのが救いであった。爆撃機の搭載爆弾に使われた誘導爆弾は連邦軍とアメリカから輸入した品で、アメリカとしては実戦での性能確認の意図も含めていた。アメリカ軍はこの作戦にも一枚噛んでおり、兵站面で援助を行っていた。

「ペリーヌさん、この作戦はどうなってるんですか?」

「全容を知らされてるのは、グランウィッチである、かの方々と幹部のみですのよ?私も上位の権限は有してませんわ。あなた方の反対で当初の計画が変更になり、21世紀の兵器が使われている。その事は自覚してもらいたいですわ、リーネさん。あなた方は自分で自分の首を絞めたのですよ!?戦争に綺麗事は通じませんわ……。かの方々は非合法的手段も用いて、私達の価値を守っていてくれてますのよ!?」



ペリーヌはグランウィッチに親しい立場になったため、中程度の情報が開示される立場にあった。21世紀以降のオーバーテクノロジー兵器が多く使われている事について、釘を刺す。リーネを始めとした若手が戦略爆撃に反対した事で、やむなく21世紀以降のオーバーテクノロジー兵器を使用するしか方法はなかった。これはウィッチの傲慢とも取られかねない。未来の介入がなければ、501はマロニーの手で本当に解散していた(ガランドの介入で無かった事になったが、書類は現存する)のは想像に難くない。そのことと、今回の騒動でグランウィッチ寄りになったため、リーネに当たり散らしている。最近では珍しい。リーネは責任を感じているらしく、すっかり萎縮している。

「ひとたび戦争になったら敵国はネウロイと同じ、話が通じない相手には実力を持って当たる以外に無いのですよ!」

ペリーヌは家族や縁者を目の前で失っている。そのため、言葉に重みがあった。リーネはペリーヌの慟哭がどう云う意味を持つか気づき、罪悪感に押し潰されそうになる。

「まぁまぁ、中尉。リーネちゃんに当たり散らしたところで始まらないさ」

「クルピンスキー大尉……」

伯爵はエーリカから事の次第を聞き、更にあーやを目の当たりにしているため、エーリカと共に潤滑油としての役目を引き受けていた。階級は原隊での大尉に戻っており(ブレイブウィッチーズではサーシャが懲罰で降格させていた)、あーやが乱射したエクスカリバーで危うく死にかけた事から、最近は手当たり次第に手を出すことは控えている。

「これから反省すればいいさ。黒江中佐だって、色々あってあの姿を得たし、アテナに忠誠を誓った。それは過去の悲しい出来事がきっかけなんだ。リーネちゃんはまだ若い。君もだ。中尉。未来を聞かされたと言っても、それはまだ先のことだよ」

ペリーヌは自分から前史のことを聞き、ロザリーに罪悪感を抱いているなど、前史の負の面を背負ってしまった感がある。伯爵は性格が享楽主義であるため、事の次第を聞かされても動じず、『面白いじゃ〜ん』で済ませている。その面から、エーリカが『味方につけちゃおう』と動いたのも分かる。

「全部を背負う必要はないさ。中佐達は人生をやり直してるから、もう数百年は生きてる計算になる。だから周りが引くような選択肢にも躊躇しない。非合法的な手段もね。君はグランウィッチじゃない。ボクもね。あの人達はあの人達の道がある。君は君なりに生きればいいさ」

グランウィッチではなくとも、友の手助けはできる。それが伯爵なりの答えかもしれない。グランウィッチ達はグランウィッチなりの哀しみを背負っている。その理解者がいなければならない。それが伯爵なりのエーリカへの友情だった。

「大尉……」

「それがボクにできる最大限の事だよ。護りたい何かのために、全ての手段を講じるのは罪じゃない。話し合いが通用しない相手はいくらでもいる。だからこそ、中佐は……、栄光の7人ライダーに見出したんだろうね。光を」

黒江が見出した『光』。それが七人の仮面ライダーであると、伯爵は悟っていた。悲劇を止めるために蘇った『伝説』。未来では七人ライダーはそう評され、伝説視されている。黒江が『義』や『仁』を重んじるようになったのは、七人ライダーからの影響だ。ストロンガーは、初めて会った時の強い『刷り込み』もあり、転生後の現在では、行動原理にまで強い影響を及ぼしている。黒江がシンフォギア世界で、アトミックサンダーボルトの前口上を行った際、『恥ずかしさ』を感じずにスラリと言ってのけた理由はそこにある。最も、調の容姿になっているのに関わず、躊躇なく『我が拳よ!!正義の矢となり、敵を討て!!』と、バッチリ決めたがため、『偽善者を嫌うはずの』調ではありえない台詞を思いっきり言ったので、別人と確信を持たれてしまったが。

「ボク達はボク達なりに戦う理由を見つければいい。中佐達の言う『前史』でのウィッチ達の失敗は、戦う理由が見いだせないままに戦争に放り出されたからだしね」

伯爵は珍しく、後輩の前でビシっと決めた。それに呼応するかのように、超次元戦闘母艦が現れる。宇宙刑事シャイダーのバビロス、そして……。

『シューティングフォーメーション!!』

『カノンフォーメーション!!』

シャリバン改め、スピルバンのグランナスカ。それが飛来し、フォーメーションを組んで、ビックマグナムとビックバン・カノンの態勢に入る。二人のホログラムが空中に浮かび上がり、同時に放った。惑星破壊級の超エネルギーを。

『ビックマグナム!!』

『ビッグバン・カノン!!』

二つの超エネルギーが合わさった超次元波動砲。凄まじい破壊力でもって、敵編隊の一群を消滅させた。その数500機近く。

「あれがボク達の味方――銀河連邦警察の誇る、三大宇宙刑事の超次元戦闘母艦――さ」

伯爵は笑う。自分達だけではないのだ、この星の明日のために戦う者は。そう示すかのように、伯爵やペリーヌらのいる三笠の上空でホバリングしている二大母艦の勇姿。そして、その甲板には、宇宙刑事シャイダーと時空戦士スピルバン(元・宇宙刑事シャリバン)が立っている。レーザーブレードとツインブレードを構えて。夜空に輝くコンバットスーツとハイテククリスタルスーツが銀河連邦警察の介入のシンボルとなっている。スーツの目に当たる部分を点灯させている事もあり、その様相を強めている。最も、スピルバンとなったシャリバンのスーツは20世紀頃のヒーロー番組では宇宙刑事とは関係ないものだが、23世紀では『銀河連邦警察が地球の技術を自分らのコンバットスーツと組み合わせて生み出した次世代コンバットスーツ』として存在している。ある意味では『夢の共演』と取れるものなので、日本のヒーローマニアが狂喜乱舞する光景であった。

「日本のマニアが見たら狂喜乱舞だよ、これは」

伯爵は言うが、厳密に言えば、スピルバンは、シャリバンを退いた伊賀電が、新コードネームを名乗り、新たなコンバットスーツを纏った姿なので、ややこしい話である。海戦の模様が生中継されている日本では、掲示板が祭り状態になっていたが、スピルバンとシャイダーが共闘するのを不思議がる書き込みもあったという。(スピルバンがシャリバンの新たな姿である事は、しばし秘密にされるのだった)なお、シャイダーとスピルバンが現れた際の映像がニュースになった時は『それぞれのTVヒーローとしての主題歌』のイントロが使われたという。



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