外伝2『太平洋戦争編』
七十六話『まやかし戦争8』


――ガイちゃんの発想はZちゃんレベルなため、ザ・グレート状態で扱っているが、『トリプルガイキング』形態以上であれば、実際は飛んで使えるわけである。それをバルイーグルに指摘され、今更ながら『あー!!』と閃いたのである。が、そんなガイちゃんとは別に、情報収集に赴いていたハルトマンは、横須賀に赴いた際、帯刀して歩いているところを、車の窓越しに坂本Bに目撃されていた。

――横須賀――

「ん!?ひ、土方!止めろ!」

「は、はっ……」

くろがね四起が急ブレーキで止まる。何事かと従卒の土方が尋ねると、『ハルトマンを見た』と言った。坂本は半信半疑であるが、あの後ろ姿は間違いなくハルトマンであると、自信を持って答えた。だが、違和感があった。姿勢がハルトマンとは思えないほどによく、しかも帯刀しているのだ。カールスラント軍には帯刀の伝統は無いので、帯刀はおかしい。『カールスラントかぶれをみたのでは?』と土方は言うが、坂本はこれを一蹴した。こうなると坂本は止まらない。後を追うが、ハルトマンはそれを利用する。くろがね四起はあくまで1930年代の車両。加速力などで23世紀や21世紀の車両は愚か、同時代のワーゲンと比べられるか程度。それならジグザグに動けば容易に振り切れる。最悪、徒歩で追ってきても、戸隠流忍術でドロンである。ハルトマンは坂本Bに捕まるまいと、態と人通りがある道を通っていく。

「少佐、こうも人通りがあると……」

「よーし!土方、お前は迂回しろ、私は奴を追う!」

坂本は足に自信があったので、車を降りて、ハルトマンらしき人物を追った。が、健脚を自負する自分がハルトマンによく似た人物に負けるのがカチーンときたのか、全力で追う。

「あっちゃ、全力だな。よおし!」

ハルトマンはスピードを更に速めた。すると、坂本は業を煮やしたか、なんとウィッチとしての力を使ってまで追ってくる。躍起になっているのが見え見えである。

「待たんか〜!」

「待てと言われて、止まるやつはいないよ、少佐〜♪」

「やはりお前、ハルトマン!なぜ扶桑にいるんだ!?ベルギカにいるはずだろう!」

「ちょっと、お忍び旅行って奴でね。トゥルーデ達に内緒で来たんだよ。ベルギカは落ち着いてるし」

テキトーに理由を答える。実際、ベルギカはティターンズ来訪前は小康状態にあったので、それは本当だ。

「なぜ、お前が帯刀している?」

「扶桑の友達に頼んでた刀を取りに行ってたの。こう見えても剣術やっててさ」

口八丁である。ハルトマンAはこうなると口八丁ができるので、場を乗り切る才能は随分と鍛えられたのがわかる。

「意外だな。お前に扶桑の友人がいるとは。私が知ってる人か?」

「坂本に7年位会ってないから、連絡寄越せってさ」

「7年……なな年……まさかそいつ、エクスウィッチか?」

「うん」

「……あいつだ!お前、黒江に会ったんだな!?」

「ピンポ〜ン」

「何故だ!?接点ないだろ!」

「川で釣りしてて、溺れたところを助けたんだよ」

「あいつ……武子さんに散々言われてたのに、やめてないのか」

「それで意気投合してさ。刀を取り寄せるの頼んでたんだ。そういうの詳しいっていうしさ」

「で、どんなのを受け取ったんだ?」

「童子切安綱だよ」

「て、天下五剣じゃないか!?どうやって!?」

「その物じゃなく写しに決まってるじゃないの。国宝だしさ」

「そ、そうか」

「よければこの電話番号にかけて。特に持ってこないできたから暇でさ」

メモを投げ渡すハルトマン。その電話番号は連邦の派遣艦の内、情報収集艦経由の臨時の電話番号である。

「んじゃキュウシュウ行きの列車の切符買ってあるから〜」

「ま、まて。お前、九州に止まっとるのか?」

「黒江さんの紹介で民宿に泊まってるの。んじゃね〜」

と、普通に別れるが、この時代、まだ関門トンネル開通間もない時期であるので、九州まで陸路で行くのは時間がかかるし、新駅(当時)は市街地から離れているが、外地勤務が多く、西扶桑に勤務経験があまりない坂本Bはすんなり信じた。


――その頃、佐世保では。

「これ、この世界だと使い所がありませんよ?」

「使い所があっちゃ、逆に困るのが一番だよ。これは、文字通り最後の切り札だ。『神を超え、悪魔も倒せる』んだからな」

孝美Bが壁紙格納庫でエンペラーの整備をしている鉄也の様子を見に行く。マジンエンペラーはグレート系とゴッド系、カイザー系の合の子であり、その全てのいいとこ取りと言える機体だ。急造品ではあるが、グレートマジンガー、グレンダイザーを凌駕する『マジンガーを超えたマジンガー』である。それはオラーシャで証明されている。マジンカイザー級の性能のマジンガーは『神をも超え、悪魔も倒せる』と称される事が多く、エンペラーも例外ではない。マジンガーの時点で『神にも悪魔にもなれる』がキャッチフレーズなので、性能向上型達が『神を超える』のをキャッチフレーズとするのに説得力を与えている。条件は『マジンガーZの超合金Zを素手で破壊できるか』である事で、超合金Zは耐圧限界点は高いが、同じジャパニウム鉱石のより高密度の合金には脆いという弱点がある。超合金ZはニューZに弱く、ニューZはαに劣るというピラミッド型の階層が存在する。例えば、超合金Zは鋼鉄より遥かに高密度だが、改良の余地がある。それがニューZであり、それがより完全になり、柔軟性を得たのがニューZαであり、陽子エネルギーで硬化させたのがゴッドZである。その内、ゴッドZを装甲にするエンペラーは『帝王』に相応しい力を持つ。

「怪異を一撃で巣ごと消せて、全世界を一日で滅ぼせる。そんなものがないと安心出来ない世界というのも……」

「仕方がないさ。映像で見ただろう。あの全長が12キロの超巨大戦艦が地球を火の海にしていく地獄を。だからこいつが造られたんだ」

「あれがあなたの世界に降り掛かった災厄……そして『テレサ』……」

「彼女がいなければ、地球は滅んでいた。彼女の犠牲が物質文明至上主義に走ろうとしていた地球を変えたんだよ」

――地球連邦軍はテレザートのテレサの自己犠牲により、なんとか勝利を得た。その大いなる犠牲のおかげで今日の繁栄を得たと自負する者は、ガトランティスとの死闘を経験した誰もが心に刻んでいる。地球連邦の不屈の闘志はこの時に培ったと言える。特に鉄也はグレートマジンガーでの初陣がガトランティス戦役な事もあり、テレサの行為を重く受け止めていた。反物質世界の人間であるテレサは、古代のヤマトによる特攻を諌め、その力の解放(死)と引き換えにズォーダーを滅ぼし、地球を救った。この時の無力感が真ゲッターロボの開発理由だったので、テレサの死は地球に大きな波紋を残した事になる。地球連邦軍が強力な兵器を求める一方、精神性を重視するのは、この時の体験を持つ者達が現在の軍部の大半を占めているからに他ならない――

「その時から俺達の地球連邦軍は精神性をも重視するようになったわけだ。気高い心がなければ、如何に強い兵器を持っても、単なる戦闘マシーンにすぎないのさ」

「戦闘マシーン……」

「そうだ。どんな力も、使うのは人間だ。俺の乗ってきたマシーンも作った人間達の願いが込められている。君が使う紫電改とて同じだ。俺の世界の過去の歴史で、起死回生の願いが込められていた戦闘機だったようにな」

「起死回生……」

「そうだ。あいにく、君が知る形の皇国は大抵の場合、この年の夏に戦争に負けて解体される。南洋島がなければ、資源小国だからな」

「いいんですか、私にそんなことを行って」

「綾ちゃん達の世界じゃもう周知の事実で、君自身も知ってることだから安心しろ。君は綾ちゃん達の世界だと距離を置いている。どうも妹の事と、芳佳の事で情緒不安定気味でね」

「う〜ん……」

鉄也の言うことを聞き、問題を起こした別の自分に、孝美Bは頭を抱える。情緒不安定と他人から言われてしまうほど、自分はシスコンなのだろうか?その心配もあってか、孝美Bは別の自分を詰りたくなった。(Aはシスコンの度がBより相当に重症であるのと、黒江と圭子のブチギレに恐怖を抱いており、それが赤松が出張った理由である)

「そちらの私は……あの、シスターコンプレックスなので?」

「気の毒だが、隊のみんなの周知の事実だ。綾ちゃんがキレるのが怖いとか言って、最初に相談したのが智ちゃんな点で、もう」

「は、恥ずかしぃぃぃ!!!!!」

恥ずかしさのあまり、手で顔を覆う孝美。シスコンが別の世界では扶桑に知れ渡ってしまったのは自分にとっても恥辱だった。

(私……いえ、この場合は同位体?のバカバカ、バカァ!!)

と、Bの嘆きはA世界の孝美自身の知らぬところ。赤松にまで『重症だぞ、ありゃ』と断言されるほどシスコンをこじらせているAは、それが原因で人間関係がトラブルになるケースが多い。黒江を恐れるのは、芳佳に良い感情を抱いていなかった事に激昂され、エクスカリバーを突き立てられる事が第一だが、黒江の激情性を目にしているからである。

「いや、そこまで家族の事を思えるのは悪いばかりじゃない。俺にはいないからな、血の繋がった家族がな」

「鉄也さんはもしかして……」

「ああ。物心がつく頃には孤児院にいた。科学要塞研究所に拾われて、戦闘訓練を積んできた。それが俺の存在の証明なんだ。身の上話は俺の主義じゃないが、家族を持てるだけでもいいもんだぞ」

「なるほど…」


鉄也は元が孤児であるので、戦う事だけが己の存在の証明である。このコンプレックスが最悪の事態を招きかけた事で、甲児と揉めてしまい、甲児が弟のシローの目の前で『グダグダグチグチ、不幸自慢しやがって!飽き飽きなんだよ!!』と言い放つ原因となった。鉄也のコンプレックスの最大の理解者だった、甲児の弟のシロ―は、その甲児の股間を渾身の一撃で蹴り上げ、『兄貴の馬鹿野郎!!』と汚いものを見る目で甲児を見、その場に居合わせた竜馬も『バッカ野郎が!!』と怒りの鉄拳を見舞い、甲児を叩きのめしている。その事件は鉄也の家族への思慕を周囲に思い知らせ、甲児には試練をもたらした。甲児はTFOの完成後は心のつっかえが取れ、精神的に安定した事で鉄也への棘としさが無くなり、『鉄也さん』と呼ぶようになり、マジンカイザーの出現で完全に立ち直った。アメリカでのカウンセリングで判明した甲児の苛立ちの原因は『Zが忘れ去られる事への恐怖』、『愛機より強い魔神がこの世にいて、それを作った実父が自分にグレートマジンガーを託さなかった事へのコンプレックス』で、剣造も罪悪感を感じたと述べている。


――鉄也自身に甲児が、ある時に手紙で詫びた、グレートマジンガーを自分に託さなかった剣造への恨みの感情。甲児自身も自覚していないが、思ったよりも強く、弓さやかは、決戦の前、寝言で甲児が『父さんはなんで、鉄也君なんかにグレートマジンガーを……』とつぶやくのを何度か聞いている。これは心の奥底で『マジンガーZの弟がいるなら、自分が操縦したいという気持ちがあり、それを死んだと聞かされていた実父が作っていて、赤の他人が操っている』という事実に強烈な嫉妬があったこと、マジンガーZの最期が『獣魔将軍たちに膝をつく』無残な敗北だった事、Zで歯が立たない敵を一撃で屠るグレートマジンガーの勇姿との落差を見せつけられた事が主因だった。ワトソン博士(甲児のアメリカでの恩師)がそれを知り、甲児に自主的にUFOを造らせるように指導した。それに没頭し、更に祖父の最後の遺産と言える魔神皇帝『マジンカイザー』が現れた事が甲児を完全に立ち直らせた。鉄也と和解したのは、この段階での事だ。甲児はマジンカイザーを得た事で、かつての明朗快活さを取り戻し、鉄也もGカイザーとエンペラーで甲児と対等の魔神を手に入れた。形は違えど、家族と仲間が二人を立ち直らせた。鉄也が言いたいのはそれだ。


「万が一、こいつが公の場に現れるとすれば、夏のロマーニャだろう。大和を怪異化させるシステムの完成を以て作戦を行うだろうから、その根を叩き潰すのは必要だろう。秘密研究所をサンダーボルトブレーカーか、Gブラスターで焼き尽くすつもりだ。軌道上からな」

「それでエンペラーで巣を?」

「そうだ。近い内、501などの多くはこちらに来てしまう。しかもこちらは戦争中で、帰せん。その埋め合わせをする必要がある。501の大半が不在の状態ではロマーニャは解放できん。あれほどの部隊の埋め合わせは他の部隊では出来ん。智ちゃん達で同等だからな、戦力価値は」

鉄也は501の戦力を高く評価する一方、他部隊の現状を黒田から聞いているためか、他部隊を軽んじていた。ノーブルウィッチーズが本来の意義を果たさなかった事などから、自分とエンペラーが出張る必要があると示唆する。スリーレイブンズと501が同等の戦力と判断しているあたり、501のチームワークを高く評価しているかが分かる。実際、501ほどのチームワークは他の統合戦闘航空団にはなく、502もチームワーク面で課題が残った(管野がいないため)ので、他の統合戦闘航空団に有効性を見出すのは、鉄也からは困難だった。506はほとんど重要作戦で投入されていなかった(A世界では、シャルル・ド・ゴールの傲慢が原因)し、505、503共に動かせない。502はそもそも目的が違う。そうなれば、エンペラーの力で絶対的多数を屠るしかない。

「先輩達三人で、並のウィッチ飛行師団より強いんですが、それは」

「それはそれだが、この世界で現役張ってはいないから、信じられはせんだろう?あの三人の事はこちらの世界でも色々あったんだ。なにせ、ミーナ中佐は監察官と早とちりする、古参は対抗してくる、中堅は疑問に思う、若手は萎縮と反発だ。ましてや、あの三人はここではスリーレイブンズでないしな」

「そうか、加藤先輩がいたんでしたね」

「武ちゃんがメンバーだから、綾ちゃんの事は誰も信じんだろう?ましてや全く別人なんだから」

「先輩、なんでそちらでスリーレイブンズに?」

「そういう歴史なんだ。智ちゃんと武ちゃんが親友なのは同じだが、綾ちゃんがスリーレイブンズの筆頭を自負してるという感じだ」

「違いますね……先輩達の辿った道」

「こちらでは色々複雑な事があってな。綾ちゃん、ああ見えて、『家族が欲しい』可哀想なところがあってな。ああ見えて、子供っぽさがある」

「家族……」

「ああ。俺もケイちゃんから聞いただけだが、母親に小さい頃に折檻受けたせいで、家庭環境が良くなく、智ちゃんとの絆に縋っている節があるらしい」

「先輩が……」

「本人はあまり言わないがな。智ちゃんも苦労人でな、相談にのってやってくれ」

「私でよければ」

孝美BはAと違い、黒江たちに先入観と恐怖心が無く、純粋に好感を持つため、味方であった。スリーレイブンズはリウィッチ化後は色々あり、事実上は不老となっている。その事も恐怖心の理由でもある。Bが味方であることに感謝する鉄也だった。


――B世界にやがて訪れる混乱の予兆。それは彼女らA世界の彼女らの来訪そのものであった。楽観的な黒江Aの予測とは裏腹に、既に圭子Bと竹井Bが調査に動いており、智子Bをパニックに陥らせていた。また、武子Bも連絡を受け、『おかしい!』と動き出していたが、坂本BがハルトマンAの言うことを信じて報告したことで、調査は停滞する。その最大の戦果により、1945年の夏まで一同は発見されなかった。ラルからの『秘密研究所の特定』により、マジンエンペラーGによる粉砕作戦がラル、孝美の見届けの下、始められる。

――半年後――

「初めてくれ」

『よし、やるぞ!!エンペラー!!」

艦隊の旗艦からラルが通信をする。エンペラーは衛星軌道上からサンダーボルトブレーカーの発射態勢に入る。全てを消し去るために。地上からは異常気象としか分かるまい。

『サンダーボルトブレーカー!!』

圧縮された電撃の光芒がエンペラーブレードを通して誘導され、全てを消し去る光となり、地上に降り注く。サンダーボルトブレーカーの破壊力はトールハンマーブレイカーに匹敵する。エンペラーブレードが突き刺さった辺りには巨大なクレーターしか残らない。投げたブレードの衝撃波で雲が散らされ、穴が開いているあたり、エンペラーのパワーが窺い知れる。施設の天井を砕き雷鳴と共に周囲が焼き尽くされるのは一瞬の出来事だ。

「作戦成功。研究所は跡形もありません」

オペレーターの報告に身震いするが、これで人類兵器の怪異化は阻止に成功した事になる。大和に予定されていた改装がこの悲報で棚上げとなったため、大和はそのままオペレーションマルスに参加する事になる。浮いた予算は50口径砲への換装に回されたという。そして、そのために武蔵も動員する羽目となり、その更に予備が必要とされるに至る。結果、空母改装途中の110号艦と同時期に船体の建造途中で揉めていた111号艦を戦艦として建造する事になる。今度は信濃の存在が浮いてしまう事になるが、後にこれは艦載機の大型化で役立つ事になるのだった。


「これで人類兵器の怪異化は未然に防いだ。が、色々と今後の運命は変わっていくはずだ。大和が使えなくなるとなれば、あらゆる手段を講じるつもりだろう。そのための貴方方、というべきかな?テツヤ殿」

『そう受け取ってもらって構わんさ。そのために来たのが目的の半分だからな』

と、ラルに返す鉄也。どのみち、この世界における統合戦闘航空団に他統合戦闘航空団間の共同戦線は期待できない。最悪に備えておくのに越したことはないからだ。

『神をも超え、悪魔も倒す。それが魔神の王の名の所以だ。この世界がそれを望むなら、俺とマジンエンペラーGはいつでも手を差し伸べるさ』

鉄也はマジンエンペラーの力で世界を守っていくと宣言する。その宣言が間もなく実現しようとしていた。ロマーニャの地で。甲児に取っての『デビルマシン』がマジンカイザーなら、鉄也にとってはマジンエンペラーGである。文字通りの切り札として出撃する日は近い。

『この力は人によっては悪魔と呼ぶかも知れない。実際にリネット・ビショップちゃんやペリーヌ・クロステルマン中尉はそう呼んだ。だが、マジンガーに乗ることが悪魔との契約であろうとも、理不尽を人にもたらすものがたとえ相手が神であろうと、人々のために打ち砕くのが俺とマジンガーの契約なのさ。 それが俺たちマジンガーの乗り手の命をかけた約束なんだ。約束する。』



それをB世界で知るのは、実質的にラルとロスマン、孝美のみ。次元震で著名なウィッチの多くをA世界に流出する運命にある故、こうなるのは必然であろう。501の過半がA世界に流出する以上、ハルトマンBだけでは戦線は支えきれないからだ。鉄也はA世界で魔神を操る者として、リーネやペリーヌに『悪魔』とそしられても戦った。リーネはマジンガーの強大な力に怯え、その気持ちからのあやだったが、当然、鉄也に好意を抱くハルトマンから叱責されている。ペリーヌは『超兵器頼りをしたくないという趣旨から言ったが、当然、ハルトマンの琴線に触れてしまい、鋭い眼光を飛ばされて半泣きになりながら説明を垂れる羽目となった。結果、どうにかなったものの、ペリーヌがハルトマンを私生活面でも侮らなくなり、むしろ畏まる要因となり、後年に『若気の至りだった』と陳謝するのである。

『ゼウスの拳(こぶし)マジンカイザー!』

『ゼウスが剣(つるぎ)マシンエンペラーG!輝くゼウスの名の下(もと)に、我等悪もて邪を砕かん!!』

――B世界のロマーニャの危機に立ち上がったダブルマジンガー。この最強の二柱の魔神を、畏敬の念を以て、後世、こう称した。『偉大なる魔神皇帝』と――



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