外伝その366『連合軍の悲哀9』


――日本は打つ手なしの経済復活の最終手段として、扶桑と連邦を組んだ。それは成ったが、扶桑の歴史の方向性が日本と誤差があった事、怪異の存在などの理由で緊急事態条項が存在したことは日本人にとっての『誤算』であった。戦時であっても、市民に影響が出ることを嫌う日本の世論と『欲しがりがりません、勝つまでは』、『撃ちてしやまん』も実践する扶桑とでは相容れない所があったが、大日本帝国と異なり、扶桑は市民生活を考慮する余裕があり、経済が戦争で傾く事は国の影響力減退に繋がる事は理解しており、日本に経済・技術援助を求めることで『軍事的悪影響にある程度は目を瞑る』事にした。ウィッチ世界の世界情勢は扶桑を超大国へ導いている事、Gウィッチの登場で短期間の悪影響よりも『長期的意味での投資』に切り替え、Gフォースを黒江の指揮下に収める事、Gフォースに潤沢に機材を供給させる事を日本に約束させた。それで一応の政治的バーターが取られた。そのために現場は激しい人手不足に陥ったが、その代わりにGウィッチが暴れることを上層部が全面的に容認したため、武子は全力戦闘を許可。その中でも最強レベルの者はロボットガールズもかくやの戦闘力を発揮した――

「ハイドロブレイザー・ギガバースト!」

ロボットガールズの筆頭格を自負するガイちゃん。最近はザ・グレート状態で戦っており、ガイキング・ザ・グレートの力を奮っている。基になったスーパーロボットが超強力な機体であった事もあり、その戦闘力はロボットガールズでもトップレベルである。黒江の親友である立場上、その立場は歴代プリキュアよりも上位に位置する。

「嘘、あたし達がやっとひるませた怪物を一撃で…!?」

「へへーん。荒神と謳われるザ・グレートの力は伊達じゃないぜ!!」

ルージュとピーチは模擬戦を終えた後、怪異と遭遇。戦闘に突入したが、怪異が強力であったため、単独必殺技が再生能力に相殺され、ひるませるので精一杯に陥ったが、パトロール帰りのガイちゃんが救援に入り、ハイドロブレイザー・ギガバーストを放ち、一蹴したというわけだ。

「お前ら、あーやに頼んで特訓してもらえ。怪異も強力になってきてる。こりゃ他の部隊の連中じゃ駄目なわけだ」

「あんた、綾香さんとどういう関係?」

「古いダチだよ。便宜的に軍隊階級はもらってるけど、気にしないでいいよ、仲間内じゃ」

ガイちゃんの軍隊階級は佐官である。ロボットガールズの事実上の筆頭格であるためだが、ガイちゃんはそれを普段は気に留めていない。元々、野球やソフトボールチームを掛け持ちしていたため、それと同じノリだが、戦いにおいては至って真面目で、そこは調査のために23世紀に送られたZちゃんと違う点だ。

「あたしは大空魔竜ガイキングの力を宿すロボットガールズ。ガイちゃんって呼ばれてる。お前らと同じくくりに入るな」

「大空魔竜ガイキングって、あの?」

「そそ。あたしはオリジナル版とリメイク版、双方の力を使える。お前らの必殺技に垣根がなくなったのと同じだ」

「あたし達は技の威力を上げないと…」

「ま、現役時代のままじゃ敵に勝てないってことさ」

ルージュ/りんはこの頃より、自身を鍛えていた。ドリーム/のぞみを気遣っているところも大きいが、自身は主人公補正が弱めである事を気にしているようだ。

「どうして、ここらに他の部隊がいないの?」

「日本側が人も兵器も出さないし、扶桑の軍事行動を妨害したのさ。旧日本軍と同一視してね。それで来るはずの部隊が来なくなった。で、それ以外の国も同位国の圧力でウィッチの取り扱いを変えたから、反発した連中が仕事をサボってやがんだ。仕方ないから、あたしらが一騎当千することでバランスを保ってるってわけだ」

「どうして、そんな事に?」

疑問を口にするピーチ/ラブ。

「簡単さ。この世界の欧州は怪異の勢力圏もある。アメリカと敵対してる以上、イギリスの生産力だけじゃ連合軍の需要は満たせないって、日本の連中は考えてる。それで必要最小限の部隊だけを置くって考えてるんだろうが、欧州全体をどう守れっての。地球連邦軍が戦力出して均衡を保ってんだよ?日本はそんなだから、周りに嫌味を言われるのさ。その分、手加減無しで戦えるけどさ。ま、この世界だとシェルショックの罹患率高いから、しゃーないけどさ」

扶桑軍は事変の戦訓で機械化を進めていたが、末端の部隊にまで行き渡っているとはいい難かった。それを理由に、『役立たず』と断じた旧式(ウィッチ世界では通常兵器の更新速度は遅めであるため、末端は史実の1930年代後半水準であった)兵器を回収させたが、その代替となる新型兵器の生産は追いつかず、頼みの新型機甲兵器は大勢に影響を与えるほどには出回っていない。日本防衛省の官僚らは兵器全体を戦後水準にまで飛躍させようとし、補給が確実に可能な部隊だけを置くという考えであったが、元々が航空部隊である64Fに『畑違い』の陸戦までを要求する事態に陥っているのは流石に異常事態だと認識していた連合軍から猛烈に嫌味を言われていた。日本連邦は『64Fは日本版の海兵隊を目指しているので、問題なし』としているが、『空軍の部隊にそこまでの万能性を求めるのか』と疑問視する声が大きい。64Fの隊員に必須とされた技能は陸戦力に破壊工作から空母への夜間着艦技能、夜間飛行技能に至るまで多岐に渡るもので、カールスラントのエースたちも全ては持ち合わせていないものだ。

「つまり、あたしたちに全力を出させる代わりに黙って見てるの?」

「日本だと戦後、軍事行動そのものが忌避されてるからね。あーやが引っ張り出した部隊を『特別編成』名目で配置してお茶を濁してるのさ。ラ號が戦後も秘匿されてた理由はここにあるんだ」

「自衛隊も大変ね」

「方便を振りかざすことで、国際情勢に無関心だった時代もあったくらいだからね。愛国心なんて言うと、右寄りに思われるって戒しられたって話もある。自衛隊も戦後すぐは『ゴロツキの行くところ』なんて思われてた。自分達の理屈が通じないところって認識させないと、日本は軍需物資も出し渋るしね。金だけ渡しても喜ばれる情勢でもないし」

日本は軍事技術を民間に即座にスピンオフさせていく。それは扶桑のあらゆる工業の隆盛に繋がるものの、他国の嫉妬を買うことにもなった。本来なら数十年の歳月がいるはずの進歩を一気に起こしたのだから当然であり、技術先進国とされたカールスラントが四苦八苦する音速飛行を『超音速飛行』という形で実現し、次世代徹甲弾を流通させ、ティーガーTを完全に陳腐化させるという現象を起こした。もっとも、21世紀以降のAPFSDSの貫通力では、ケーニッヒティーガーやマウスの装甲であっても容易に貫通されるが、それはウィッチ世界では地球連邦軍や米軍、自衛隊、ティターンズ本隊が使用する程度。リベリオン本国は高速徹甲弾が最新の状態で、しかもウィッチ用が優先され、通常兵器用は殆ど出回っていない。日本はチハや八九式の損害を恐れたのだろうが、機甲兵器の更新は事変の戦訓で元から進んでおり、チヌ以降の新型車が大勢を占めつつあったため、そこも混乱を呼んだ理由であった。


「官僚連中も堕ちたもんだ。現地調査もしないで、旧軍と同じって決めつけてんだから。扶桑の官僚軍人にも呆れられてるんだよな」

「同じ穴のムジナって気づいてないの?」

「連中は旧軍の逆張りしていりゃいいって考えてるんだよ。扶桑は同じ頃の日本より、ずっと工業化が進んでるってのに」

「怪異から生き延びるため?」

「そそ。中国や朝鮮半島とかがこの世界で滅んでるのを見て、外地の獲得に血道を上げて、イギリスとぶつかったけど、利害の一致で同盟結んだ歴史も一考だにしないんだよ。日本の官僚どもの怠慢さ。国会も景気の回復に気を良くして、軍事に殆ど興味を見せないし」

「日本の政治って、いつも似たようなことしかしてないって感じだけどねぇ。いくら別の世界でもさ、同じ連邦の国なのに、無関心ってのは…」

「23世紀で誰かがいったそうだよ。『大衆は自分達が平和なら、体制が専制だろうが、独裁制だろうと構わない』って。日本の場合は無関心なのさ。別の世界の戦争なんて、特に」

ガイちゃんも呆れるように、日本側は大衆に扶桑の政治に介入する意思はあるが、軍事には無関心な層が大半である。日本は史実の体験から、大量生産可能な製品に軍事でも傾倒気味だが、ウィッチ用の装備だけは魔導エンジン製造に手間がかかるために完全には工業製品でない事を理由に関心は薄かった。日本側の零部隊用の装備も『少数生産の工芸品』に近かったため、そこも日本が関心をそれほど示さない理由だった。また、ウィッチは燃料の他に魔力の消費量と個人の体力にも左右され、空中給油が非現実的である事もある。欧米三カ国列強のみが魔導エンジンの大量生産技術を保有していた。カールスラントは軍事機密にしていたが、ブリタニアがイギリスの圧力で技術を開示したことで、カールスラントの優位性は崩れた。更に構造が簡便で、未来のジェットエンジン技術を応用できる魔導ターボファンエンジンの開発が扶桑とブリタニアの共同プロジェクトで行われ、成功したことで、魔導レシプロエンジンしか大量生産技術を持たないカールスラントは窮地に陥る。特に魔導ターボジェットより遥かに燃費が良く、トルクがいいターボファンエンジンは第2世代機どころか、第3世代機の整備にも使用できる。この技術は未来から持ち込まれた次世代機のエンジン修理に必須であり、特に第3世代機に適する。

「技術でチートさせるったって、整備のノウハウないと宝の持ち腐れになるんだけどね。ドイツなんて、『現用の戦車』をぽんと置いて、この世界の軍人を呆れさせたんだぜ?21世紀の電子化されてる戦車を第二次世界大戦の連中に与えたって、猫に小判か、豚に真珠だよ、まったく」

「まさか〜。教官もシミュレーターも無しって事は?」

「マニュアルしか置いていかなかったんだよ。アホー!この時代の人間に、4ストロークV型12気筒液冷ターボチャージド・ディーゼルがマニュアルを渡しただけで整備できるかー!」

「……中の電子装備も?」

「あーやが泣きつかれて、教習する羽目になってた。ったく、日本もドイツも…」

日本が10式をこれまで出し渋っていたのは、技術流出を恐れてのものだったが、『バックにティターンズなる軍隊がいる事から、出しても問題はなくなった』と陸上幕僚長が提言するに至った。ティターンズは10式どころか、その先の戦車も知る身であり、74式は『74式はブリキ箱だぜ!』と冗談で揶揄されるほど骨董品扱いである。これは扶桑に整備が可能な限界が74式までと見込まれたからだが、同じ砲を持つ16式機動戦闘車はウィッチに撃破される例も出たが、概ねダイ・アナザー・デイでは良好な運用データを出している。74式も熟練兵が操れば、骨董品と高をくくったティターンズの61式を背面撃破する金星を挙げている。(原型は留めたため、歴史的に考えれば、鹵獲した61式の研究が61式を生み出す上での土台になったとも言える)

「ま、敵の黒幕のティターンズだって、全部が一年戦争からの古参じゃないんだ。せっかくの61式を自衛隊に撃破されてるから、連中も泡食ってる。ティターンズの時代には機甲戦が廃れてるしな」

「あいつらの時代になると、モビルスーツでしょ?そりゃねぇ」

「地球連邦軍系の軍隊だから、まだマシだよ。ジオン残党なんて、マゼラ・アタックがまだ現役だ」

「え、アニメに出てきた、あのゲテモノ兵器、本当に使われたの?」

「詳しいね、ルージュ…」

「うちの弟のおかげ」

地球連邦軍は戦車を補助兵器枠で使用を継続しているが、基本的にジオン系国家とその影響がある組織は装甲戦闘車両を揃えない。ジオンも地球侵攻時にマゼラ・アタックを自走砲の性格強めで生産し、事実上の主力戦車としている。通常の戦車らしいマゼラ・アインは投入数が少ないため、事実上はマゼラ・アタックが主力であった。ティターンズも博物館から引っ張り出したマゼラ・アタックを使用している。

「こんなとこで立ち話もなんだ。ちょうどそこにジープが放棄されてるし、それで帰るぞ」

「え、動くの」

「ジープは頑丈だぞ。日本のくろがねは目じゃないくらいにな」

ガイちゃんは放棄されていたジープを動かし、駐屯地にルージュとピーチを連れて帰る。駐屯地の食堂に行くと…。

「おっす」

「お、ガイちゃん。ご苦労さん」

あおいとコーラの事で言い合いになった黒江の姿があった。

「なにしてんのよ、あおい」

「お、ルージュ!聞いてくれよ、カクカクシカジカで…」

いつの間にかコーラ談義になっていたといい、あおいはヒートアップしている。呆れているのび太、フェリーチェ、ビート、ドリーム。

「何があったんですか、のび太さん」

「いやあ、それがね」

のび太がいうには、話がクーデターの予測からお子様ランチ、コーラ談義に逸れていった結果であるのだが、ルージュにはさっぱりわからない。

「??なんで、そういう流れに??」

「それが話してる内に自然と…」

フェリーチェも困惑気味だが、あおいはペ○シ派らしく、軍で支給されるコーラはコークである事も言い合いがヒートアップした原因だという。

「つーか、みんな、なんで変身したままなの」

「ルージュ、この流れでツッコむ?」

「え、マズかった?」

キョトンとするルージュ。食堂でも前線勤務のプリキュア達が変身を解かないままなのが不思議なのだろうが、と、そこに。

「コーラなんて、結局ルートビアの亜流デース、皆でルートビア飲めば解決ネー!」

「おい、金剛。このタイミングでいうか?」

「OH〜!ガイちゃんは手厳しいネー!」

「なんですか、この怪しい人」

「えーと、戦艦金剛の意思が肉体を得た存在だよ。英国帰りだからなー」

「は、戦艦?」

「船の魂が肉体を得た存在だから、見かけは若いが、年いってるぞ。金剛は日本のオールドネイビージャックに近いぞ」

「OUCH!反論の余地がぁ〜!」

「あの、金剛さん。飲むサロンパスはその…ご勘弁を。お一人でどうぞ」

「同意…」

「俺も」

「僕も」

「わたしもちょっと…」

黒江達は皆、金剛のルートビア押しに同意せず、引いている。あからさまにげんなりしているビートとドリームはともかく、フェリーチェも冷や汗をかいている。のび太も同様だ。

「OH……」

「僕は飲めないわけじゃないが、好き好んではちょっとね。それと、ルージュ。皆が変身したままなのは修行のためさ」

「修行?」

「そそ。変身したままの修行は精神面を鍛えるのに丁度いい。もっとも、はーちゃんについては言動の幼児性が消えるからって事もあるけど」

「ま、わたしたちはシンフォギアを使ってる子達と違って、変身で体に負担がかかることはないしね」

プリキュア達は変身の維持で体に負担が生ずることはないため、シンフォギア装者からは嫉妬されることがある。

「そういえば、あの子、すごい涙目になってたぁ。ほら、緑の帽子を被ってる…」

「ああ、あの子…。リスクないとか言ったら、ガビーンって効果音出しそうなくらいに落ち込んでたわね」

「ああ、切歌か。あいつとマリアはLINKERがいる身だからな。お前らに変身時間の制限がない事が衝撃なんだよ、あのガキ」

「先輩、あの子に振り回されたからなぁ」

「ああ。あいつは百合すぎて、付き合うのも肩こるんだよ」

切歌には、立花響のせいでいい思い出がないので、子供時代の切歌とはあまり付き合いたくないと言う黒江。大人になった後の時間軸であれば落ち着いているが、子供時代の頃の百合的気質はドン引きレベルと黒江は言う。切歌が成長で気持ちに折り合いをつけたというべきだが、響の人格侵食の発生は黒江、調の師弟の態度への不満も関係している。それも含めて、『拗らせた挙句に人格侵食かぁ…』と頭を抱えてもいる。それに関連して、どうやって救うべきか。それは悩ましい問題と言える。

「そうだ、思い出した。綾香さんの頼んでたアルファロメオ、届けておきました」

「おお、あんがと」

「先輩、また買ったんですか?」

「いや、スネ夫の弟さんがクラシックカーのディーラーから買ったらしいんだが、仕事が多忙すぎて、どうにも乗れなくて持て余してるらしくて、のび太が交渉して、譲ってくれたんだよ、ほら、ル○ン三世も乗ってるモデル」

アルファロメオ・グランスポルト・クアトロルオーテ。形式上はのび太がスネ夫の弟のスネツグから譲渡され、それを黒江に更に譲渡するというものだ。黒江はオートバイ一本槍ではなく、車もそれなりにこだわりを持つため、俗に言う名車に乗りたがる。その点をのび太は上手く『くすぐる』。

「先輩も妙に通なところ突きますねぇ」

「あんた、車、詳しかったっけ?」

「錦ちゃんの残してくれた知識もあるし、わたしの世界じゃ、子供たちを連れて送り迎えとかしてたしさ」

「子供たち、か。おぼろげにそんな記憶が浮かんではきてるけど、まだはっきりとはしてないのよね。」

「同位体の記憶ってのは、そのうち思い出すもんだ。それに、今のお前らは他のプリキュアの技も撃てる。特に、ドリームはブルームの力も継承してるしな」

「プリキュアの垣根は取り払われたって事ですか?」

「事実上な。だが、それだけじゃ勝てんぞ、ルージュ。フェリーチェにはその点を叩き込んだ」

「あたしらからして、スーパーロボットの技使いまくってるしな。そこの帰国子女戦艦は大砲を撃ちゃいいけどな」

「イギリス生まれだけど、育ちは日本デスー!」

膨れる金剛。この場にいる面々は実戦経験が豊富な面々であるが、それだけでは勝てない敵と対峙しているのも事実だ。

「一応、フェリーチェには護身用にワルサーP38の戦前タイプを渡したよ。戦中タイプは質が落ちる。それに、マグナムは威力過剰だしね、普段の生活だとさ」

「ワルサーって、ル○ン三世が持ってた?」 

「そそ。この世界だと、連合軍の将校の間で持つのがステイタスになっててな。うちの国にも相当数が輸入されてる。ただ、戦時型は例によって品質が悪化してるから、戦前の生産個体が人気なんだ。日本はP220に統一したがってたが、うちの国の将校の拳銃は官給じゃなくて『自腹』だったから、そこで揉めた。結局、POSシステムに1000万近い軍人の銃を登録する羽目になったって、内局が愚痴ってたよ。南部14年式とかはむしろ、下士官以下の連中が使うもんだったしな」

扶桑は制式拳銃を完全には統一していない。明治期の頃からの文化の名残りで、将校は自費購入が当たり前だったからだ。それを美風と見做す風潮があったため、日本の防衛省内局の者達は九四式拳銃と一四年式を排除すると意気込んで乗り込んだら、実際には外国製拳銃のほうが多く、戦線で支給されたり、調達した拳銃をそのまま使用していたからで、国産品は下士官以下がむしろ使用していた。これに困惑した防衛省だが、POSシステムに陸海空軍全員の拳銃を登録することに目を回した。多種多様の銃が混在しているからで、年式も形態もバラバラである。将校の自費購入はPOSシステムの思わぬ障害となった。現地調達という形を利用しての私物扱いの銃も将校の間では珍しくないためだ。

「銃なんて、外国映画の話だって思ってたけど、持つ時が来るなんてね」

「ま、軍隊にいるってのはそういう事だ。変身した後のステータスはまるっとお見通しになってるからな。お前がおばけが怖いこともな」

「……マジ?」

「ま、マーメイドほどでないのは救いか」

「みなみは重症だから」

キュアマーメイド/海藤みなみ(竹井醇子)はおばけが大の苦手である。ルージュ/りんも同様の傾向があるが、戦えないわけではないので、後輩のみなみのおばけ苦手度が戦闘に支障が出るレベルであるのには苦笑交じりである。

「でもさ、海じゃ連戦連勝だってのに、陸の戦線は押し返せないじゃん?」

「全体的に兵器が足りねぇんだ。ドイツが部隊を引き上げさせちまったのと、日本が旧式兵器を回収したのが原因。本当に質だけで戦争に勝てたのは、インカ帝国とスペイン人がやりあった時くらいだよ。戦いは数も重要なんだよ。国家総力戦の時はな」

海では質の差が勝敗に繋がっているが、陸では物量差で攻勢ができない。日本は新式兵器で一気に押し返す事を夢想しているようだが、アメリカですら一年半以上かかり、地球連邦軍は宇宙を優先する事でジオンとの戦争を早期に終結させた記録を見る限り、空想に近い。本来は旧式兵器を数に含めての攻勢で早期に決着をつけるはずだったダイ・アナザー・デイは長期化し、日本連邦に連合軍の権力が集中してしまうことの危惧が叫ばれたが、経済破綻を危惧した日本連邦以外の国々は軍事行動の縮小を図りつつある時勢ではやむを得ないとされ、比較的に余裕がある日本連邦に軍事的負担を負わす方向で一致。核兵器が使用されないために星の環境には優しいが、長期に渡る戦いになるのは確実であった。扶桑は周囲の思惑もあり、超大国に変貌を始めるのだ。

「これからどうなるんですか、先輩」

「太平洋戦争が起きて、次に冷戦だろうな。で、ティターンズも時間と共に消滅するだろうから、遅くても90年代には史実と同じような世界になるだろう。俺達ゃ、今や歳を取らん身だ。2000年くらいには隠居するにしても、半世紀以上の時間はあるんだ。それに、のび太に時間軸とかは意味がないしな。今は目の前の戦いをどうにかしようぜ」

「とはいっても、今の状況が一向に変わらないのはまずいんじゃ」

「負けることはないにしても、敵を撤退させるには、100万単位の後送者を出さねぇと割が合わん計算だ。数万や十万単位くらいは織り込み済みだろうよ。この当時に医学が有数に進んでた国の一つがアメリカなんだからな。軍事評論家は太平洋方面の警戒が必要と言ってるが、史実通りのパナマがない上、太平洋方面の艦隊はいても、陸上兵力を送って、実戦に耐えるほどに訓練するには数年の時間がいる。いくら徴兵があっても、若者をいっちょ前にするには数年入る。オリンピックを開くのは、こっちの予備兵力に余裕が出るための時間稼ぎさ」

当時、扶桑は日本側の提言に乗る形で予備兵力の確保を進めていた。東二号作戦の頓挫を理由に、日本から思ったより譲歩を引き出せたからで、海援隊の兵力も実質的に政治的に海軍に組み込み、予備兵力の確保を急いでいる。オリンピックを目眩ましにしての各種艦艇と補助艦の建造を急いでいた。陸軍は最悪、徴兵と志願制の組み合わせで早期に人数は各保できるが、空軍と海軍はそうはいかないため、数年の内に予備兵力を蓄えるのだ。全面的にジェット戦闘機に切り替えると、どうしても質は兎も角も『数』が減ってしまうため、レシプロ戦闘機の引退は伸ばされる事になった。(ジェット練習機などの生産と普及の必要もあるため、レシプロ機はそれを補うために現役を続ける事となった)そのため、五式戦、紫電改、烈風、陣風などの世代のレシプロ機はジェット機の生産が本格化しても生産が続けられる事になっている。

「なんか政治的ですね」

「日本を納得させるためだよ。『扶桑は日本を戦争に引き込んだ』って批判してる連中がいるが、連邦組んでるんだから、安全保障上の負担は平等に負ってもらわんとな。扶桑の国民が納得しない。政治的云々以前の問題だ。俺たちは日本の用心棒をタダで引き受けちゃいないからな」

「用心棒、か」

「アメリカの気持ちが分かるってもんだよ。現実を見ようとしない連中はいつでも一定数はいるから仕方ないんだけど、自分達の決まり事をを他の国にもバカみたいに押し付けて、反対する人達をゲバ棒持って『総括』する過激派は人殺しも躊躇しない。だから、時代が進むと若者に忌避されて、淘汰されていったんだろうね」

のび太もシニカルな発言を行う。実際、日本連邦結成前に扶桑海軍が韓国に軍事制裁を加えた事への反感が日本にあり、結成後も軍事的な負担を忌避し、扶桑を引っ掻き回し、ウィッチ世界もさんざ振り回した日本への反感がウィッチ世界各国にはある。日本には、70年分の技術格差でたかをくくる勢力がいたが、実際には23世紀技術の導入さえ進め、64FにはMSやVF、スーパーロボットすら存在する。それらを活用すれば、21世紀日本の中枢を電撃的に制圧することも容易である。そのことは試験的に韓国を舞台に行われ、韓国の政治中枢の無欠開城に成功している。この時に第二次改装時の戦艦大和と戦艦播磨が韓国の軍港を制圧しており、韓国を沈黙させて、日本連邦成立の障害を取り除いている。

「やれやれ。のび太の世界の連中はウチの国が2010年代に韓国に制裁加えてる時点で力が分かりそうなもんなんだがな。日本なんて、国会と皇居と防衛省と警視庁押さえれば無力化する。こっちは軍の初動に政治的制限がない。警察で軍の相手ができるか?警察の奴ら、極秘にシミュレーション繰り返してたそうだ。俺はそのネタを掴んでるから、警察関係を脅す材料に使ってる。連中、扶桑軍相手にSATなら圧倒できると踏んでたらしいが、こっちは月月火水木金金だ。デキが違うぜ」

扶桑は曲がりなりにも軍隊がある以上、戦闘訓練は課して来ている。史実の芳佳のような事例は稀なケースだ。アニメと違うのは、黒江達の存在が伝説視されている関係で、士官になる層は高度な戦闘訓練を課されていた事だ。ウィッチはまともな戦闘訓練を課されていない『魔力頼りの連中』と見られていたが、それは戦時任官の世代のみの話。戦前、もしくは戦争初期の段階で任官された世代は戦闘訓練をきちんと積んでいる。それら世代の訓練度は月月火水木金金と謳われるもの通りである。日本では通常の自衛官の訓練での年間発砲数が二桁でしかないとされるので、それら世代が中堅以上を占めている45年当時の扶桑軍は実質、SATであろうと問題視しない実力を持つ事になる。

「自信ありますね」

「ま、俺らは軍隊華やかりき時代の軍人だ。国防ってのが国家存亡に関わってた時代に生まれたからな。平和な時代からすりゃおかしいというだろうが、日本は日本赤軍がいた時代に世界に恥を晒してる。それを思えば、俺たちの扶桑はある意味では『まとも』だよ」

日本は扶桑から1970年代のある事件の事で批判されたが、日本は『海軍乙事件の時に間抜けな事ばかりを気にしていたじゃないか』と扶桑にとってはトンチンカンな事を持ちだし、逆に批判を展開した。水掛け論になるため、皇室の執り成しが入ったものの、日本には扶桑軍を『敗北者の別の個体』とみなし、見下す論調が存在し、扶桑軍航空部隊を『1945年なら、まともに飛べない者しか残っていない』と侮蔑する者すらいた。64Fの陣容が凄まじいのは、それらの者達を見返すため、(設立後の肥大化も含めて)『最精鋭』を上層部が全前線から引き抜いたからという政治背景がある。

「お前たちは戦線の要であると同時に、日本向けの広告塔でもある。日本の潜在ウィッチを発見するためにも、広告塔の役目を果たしてもらう。こちらを馬鹿にした償いをさせないことには、扶桑の国民が収まらん」

黒江の言う償いとは『血の献身』である。Gフォースがそれと言えるが、扶桑国民は『相応の軍事的負担』を求めている。日本側は自身の失態も多いことから、扶桑の義勇ウィッチ募集を黙認している。日本としても、学園都市を組織的に解体したはいいが、そこに住んでいた学生や教諭、警備員などの人々の行き場は他のところにはない。(23世紀でも、影響力は無くしても、都市としては存続している)その行き場としての仕事は扶桑への義勇兵のみ。そう判断され、義勇ウィッチや若い義勇兵には学園都市出身者が多い。日本としても、約230万人の人口を持つ大都市、それも特殊な土地の機能を他の都市と同等のものに落とせばどうなるか。既に御坂美琴、上条当麻、一方通行らは2019年時には年月の経過の関係で学園都市を離れていたが、その次の世代の者達の扱いの問題も日本政府の悩みのタネだった。暫定的に軍事と外交は権限を廃止、軍事部隊を自衛隊に編入し、『外地警備』に回したりしているが、学園都市以上のオーバーテクノロジーが松代に秘匿されていた事もあり、2010年代前半時に使われていた独自兵器の多くは『非人道的』とされ、松代に移され、厳重に封印されたという。だが、数百年後のガミラス戦時に改良・無人化されて使われ、ガトランティスとの本土決戦時にも使用されたという。

「それに、美琴達の時代でなくなったにしろ、学園都市を抱えてる事はいい脅しの材料になる。こっちの愛国的思想をズタズタにしたんだ。その釣り合いを取ってもらう」

黒江は自国の『愛国心』を日本の人々が否定し、軍隊への志願を『馬鹿らしい』とまで貶められ、志願者数が壊滅的である現状を淡々と述べた。黒江自身は盲目的なナショナリズムが何を招いたかを知っているため、志願は個人の自由と考えている。扶桑には軍に入隊する事を誉とする風潮があった。だが、日本の一部の人々が左派的思想と風潮を広げ、一気に反軍的思想が広がり、ウィッチの志願数は『壊滅』状態である。その事でウィッチの世代に『隔たり』が生まれてしまう。献納運動も左派的・反軍思想の広がりでピタッと止まってしまい、人件費拡大で財政が悪化するという状態に陥った。黒江が釣り合いと言ったのは、それらを起こした償いとして、自衛隊の精鋭の六割を前線に供出させる事、日本企業に扶桑で兵器を製造させる事、義勇ウィッチの発掘を認める事である。オラーシャを分裂に追い込み、扶桑国内を混乱に追い込んだ償いとしては寛大な方だ。また、『動物園非常処置要綱』が日本から批判され、扶桑の動物園/軍部を大いに困惑させ、見せしめ的に当時の東京都長官が辞職に追い込まれるなど、扶桑は大いに困惑している。それを憂いた一部の海軍将校がクーデターを起こすが、これも未来兵器によって瞬く間に鎮圧された事で、人々はある種の恐慌状態に陥り、軍部はウィッチの多くを義勇兵で賄うという本末転倒の暗黒時代を迎えていくのだ。

「どの道、『動物園非常処置要綱』も撤回される事で扶桑の人々はクーデターを支持するネ。デスが…」

「俺たちはそのクーデターを鎮圧せにゃならん。軍の人的資源的意味じゃ、暗黒期になるだろうが、何事もリスクはつきものだ。お前らにわかりやすくいうと、史実の太平洋戦争の終わり頃に動物園の動物が殺処分されたろ?あれのことだ。あれは空襲で逃げ出す事を懸念した軍部と動物園が決めた事だが、21世紀でいう都知事をクビにしちまった事で不満が溜まってる。仕方ないから、南洋に疎開させる事で日本側を宥めたわけだ。暴徒が動物園に入り込んで、放火するかもしれないから、表向きは『南洋巡業』と銘打って移動させてる。戦前、俺たちがガキの頃にクロヒョウ脱走事件が上野であってな。その事件が影響を与えたかもしれんが、軍部も動物園も脱走は懸念してたし、実際、事変の時の大陸領では疎開の度に殺処分は行われたしな。日本側にエタヒニンみたいな目で批判されちゃ、連中も可哀想だよ。社会的抹殺する勢いだもんな」

扶桑のクーデターには『非常時には通常の倫理観など通用しない』とする扶桑の人々の支持も背景にある。だが、それを鎮圧せねばならないのが複雑なところ。日扶の間にある倫理観の差が対立を生み、落とし所を見つけるのも一苦労だと、ある官僚はいう。

「日本は戦時でも、人々の暮らしを制限するような事は絶対反対だけど、扶桑は自主規制に賛成する。オリンピックへの反対論を押さえつけてるけど、軍部のお偉方をクビにした事に扶桑本土で同情論ができてる。日本は『日清・日露戦争で出世した前任らのように出世したいんだろ?』って目で軍人を見下すからね。確かに戦時は出世しやすいが、死ぬリスクは平等にある。軍艦の艦橋にいたって、死ぬ時は死ぬからね。前線で手柄を挙げることが出世って考える日本の悪癖だね」

のび太はオリンピックに反対論を唱えた軍部の高官らが見せしめで更迭された事に同情論が出ていることを告げる。また、軍人は日本人の少なからずに見下されている事への不満があるともいい、クーデターは必然とも言った。そして、それを鎮圧すれば、扶桑の国民は萎縮を起こし、軍に志願するような事は少なくなっていくという。それは当たっている。

「前史でもそうだったけどよ、戦後の論理をこの世界に持ち込んだところで、危ない化学反応が起きるだけなんだよな。今回もたぶん、俺たちは定年まで前線勤務だろうよ」

「そうさせざるを得ないよ、扶桑は。日本の干渉は収まり始めたけど、一般人の渡航は完全には抑えられないから、反戦運動を起こされるだろうし、怪異との戦闘は戦闘行為と見做されなくなる。世代交代も停滞するだろうから、娘さん達の時代にならないと」

「それ、事変ん時の幹部級の世代が聞いたら泣くぜ」

「仕方がないさ。日本は資源がないのに世界最高水準の国に挑んで、完全に負けた。そのトラウマで、扶桑の軍事を抑え込もうと必死なんだよ。窮鼠猫を噛むの心理で開戦したんだけどね。後世には『自分達の出世欲で起こした』って解釈されてるのも悲劇だよ。ハルノートの事を当時の日本人が考えれば、最後通牒と思うよ。扶桑を怒らせたら、日本侵攻もあり得るってやつだよ」

のび太は『太平洋戦争がなぜ起こったのか。なぜ、軍部は本土が無事な内に手打ちにできなかったのか』というレポートを大学時代に書いた事があるため、1940年代の緊迫した国際情勢下で開戦を選んだ軍部の高官たちの心理に一定の同情を持つに至っている。扶桑が持つ『窮鼠猫を噛む』の心理を日本は完全には理解できていない。扶桑はすべてが戦前日本に一致するわけではないが、軍部をいたずらに締め上げれば、日本侵攻もあり得る。学園都市の兵器は既に封印され、それ以上の兵器であるラ級戦艦が扶桑で使われている以上、21世紀日本に防ぐ手立てはない。21世紀日本政府が暴走する官僚や国民の制御に乗り出した背景には、ウィッチ世界全体に与えてしまった影響、扶桑皇国の巨大な軍事力に怯えたところも大きい。

「戦争は好き好んでするもんじゃないし、皆、何事もなく除隊したいさ。だが、戦争ってのは巨大な魔物みたいなもんだ。防ぎようのない、な。一年戦争だって、グリプス戦役だって、巨大なうねりがあって起こった。シャア・アズナブルは『アムロ・レイと戦いたい』本心を『スペースノイドの自治権各保』、『人類全体をニュータイプにする』って美辞麗句で覆い隠して、騒乱を起こしたし、『貴族社会かぶれ』が起こした戦争もある。コロニーや隕石落とし、エンジェル・ハイロゥ、バグ、コロニーレーザー…。最終的に核が可愛く見える兵器が生まれていく。それを思えば、21世紀日本はまだ良心的だよ。」

黒江ものび太の世界が23世紀に至るまでに辿る歴史で起こった戦争に触れる。中々以て壮絶である。日本人は『お国のため、みんなのためっていうなら、政府や軍のお偉いさんが率先していけよ!!』と批判し、連合軍の将官たちに前線勤務を強要する。それをモントゴメリーは『日本人の精神的自慰にすぎん』と断じている。(同位体のマーケット・ガーデン作戦を批判され、不機嫌になった際の発言だが)結局、ダイ・アナザー・デイで連合艦隊司令長官や連合軍総司令官が前線で指揮を執った事が『慣例』になり、以後の動乱でも引き継がれていく。それをジオン軍は間接的に引き継ぎ、地球連邦軍もそれに追従する。間接的に23世紀の地球連邦軍にも影響を与えた日本人の言葉は、一種の呪縛のような形で連合軍を縛り、人々に官僚タイプの軍人が好まれなくなる要因となり、ロンメルや山口多聞などの前線指揮官タイプの軍人が出世しやすくなる土壌が整えられていく。

「なんか、思いっきり政治絡んでるなぁ」

「俺は立場上、どうしても政治に噛むからな。将官にもなると、政治もある程度は分からんと、世渡り上手にはなれん」

「君たちが広告塔になるのも政治の一種だよ。プリキュアは丁度いい素材であるし、ある意味じゃ、自衛隊を扶桑に向けさせなくする材料でもある」

「自衛隊はオタクの集まりだ。子持ちにもプリキュアファンは多い。お前らは味方が多いって事だ。もし、扶桑が日本に侵攻すれば、三自衛隊の過半数はお前らに速攻でつく。それが日本警察と防衛省が恐れた点だ」

扶桑が歴代プリキュアを抱え込んだ事は図らずしも『抑止力』となっている。それは日本政府の左派や扶桑制圧論者の最大の誤算であった。彼女たちの存在そのものが日本と扶桑との繋がりを保つための生命線であり、日本への『抑止力』と言える。のび太と黒江のいう事はその表れであり、もし、その気になれば、彼女たちは三自衛隊を容易く従えさせることが容易に可能という事実であった。



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