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超重神グラヴィオン インターミッション
  〜腐女子 城琉菜の妄想〜

 アースガルツ。
  それは世界的な資産家、クライン・サンドマンが私的に立ち上げた対ゼラバイアのための秘密組織である。
  ゼラバイアとは地球を襲う金属の怪物であり、現在の地球の戦力では歯が立たない。
  対抗できるのは唯一、重力子を操るロボット『グランカイザー』とそのサポートメカ『グランディーバ』だけであった。
  そのロボットに乗るためには先天的な体質が必要であり、それを有しない者が乗ってもゼラバイアとは戦えない。
  そのため、現在の地球において、対ゼラバイア戦における唯一の有効戦力になっているのだった。
  なお、搭乗用シューターが棺桶の形だったり、女性陣のパイロットスーツが『パイロットスーツ』なのにやたら肌の露出があったり、パンチが発射されたり、ドリルのついた戦車がいたり、攻撃のたびに叫ばなければいけなかったり、城にいる殆どの人間がメイドだったり、そのメイド服もミニスカートが多かったり、西洋風の城なのに風呂場は日本の温泉風だったりするのは『美学』を大事にするサンドマンの趣味である(笑)。

 

 アースガルツ中核メンバーの一人にしてドリル戦車・Gドリラーのパイロット、城琉菜は悩んでいた。
  それは身近な、ある人物たちの関係である。
  彼女の身近な人物、それは天空侍斗牙と紅エイジ、クライン・サンドマンと側近のレイヴンの関係であった。

 

 「……以上が本日の訓練の伝達事項だ。何か質問は?」
  訓練終了後のデブリーフィングでレイヴンが集まった全員を見渡す。
  「なあレイヴン、西の塔に行っちゃダメなのかよ?」
  そのレイヴンに問う赤毛の少年、エイジ。
  行方不明の姉を探しにこのサンドマン城にやってきたシスコン少年だ。
  「ダメだといっただろう。以前にミヅキと一緒に行って罰を受けたのを忘れたのか?」
  「あそこにアヤカの手がかりがあるかもしれないってのに……」
  にべもなく却下するレイヴンに食い下がるエイジ。
  「ダメだと言ったらダメだ。どうしても行きたいのならサンドマンに許可を貰え。……他には無いな。では、解散」
  その言葉に三々五々と散っていくメンバー。
  「では私はサンドマンに報告してくる。後は頼むぞ」
  近くにいたメイドの一人にそう指示する。
  「お任せください、レイヴンさま」
  そう言って深々とお辞儀をするメイドに背を向け歩き出すレイヴンをじっと見つめる琉菜だった……。

 「まったく……。レイヴンもお硬いわねぇ。ちょっとくらいいいじゃないの」
  「……でも……、おじさまがダメって言うのなら……、きっと、何かわけがあると思う……」
  ナイスバディのお姉さま、ミヅキのぼやきに深窓の令嬢、リィルが反論する。
  「そうですよ。サンドマンさまが何の理由もなしに立ち入り禁止にはしたりしません。きっと何かの、私たちには及びもつかないような理由によるものだと思います」
  リィルの言葉を肯定する眼鏡・ドジっ娘・メイドと三拍子そろった(笑)エィナ。
  「さぁて、やること無いから、部屋でお酒でも飲んでるわ」
  「ミヅキさま……余り飲みすぎるのは……」
  「だ〜いじょうぶよ。あの程度飲んだ内に入らないから」
  「そ、そういう問題では……」
  エィナの言葉をあっさり流し、自室へ向かうミヅキ。
  「私は、部屋で本を読んでるから」
  そう言って自室に帰るリィル。
  「ねえ、エイジ。今日はどうするの?」
  天然箱入り少年、斗牙も訓練が終わって暇なのか、エイジに相談する、というか飼い主にじゃれつく犬のごとくエイジにまとわりつく。
  「どうするって言ってもなあ……。とりあえずこの城の行ける場所全部確認してアヤカの痕跡が無いか確かめてやる」
  レイヴンに止められたが、その程度で諦めるようなシスコン少年ではなかった。
  「ふーん、面白そうだね。僕も一緒に行っていい?」
  「そりゃ別にかまわねぇけど……」
  斗牙の訓練や戦闘時の冷徹な雰囲気とはうってかわった天然ぶりにも慣れたエイジはそう返す。
  「良かった。じゃあ、行こうか。どこから回る?」
  「そうだな……。とりあえず……」
  そんな会話をしながら離れていく二人を見て琉菜はふと思うのであった。
  (あの二人、最近やけに仲がいいけど……まさか変な関係になって無いわよね?)
  そう考えた直後、琉菜の脳裏に湧き上がる映像があった。
  それは……。

 場所はベッドの上。
  柔らかな光が差し込むその部屋で、抱き合うエイジと斗牙。
  その姿は勿論裸である(笑)。
  そして……。

 自分の想像、いや妄想が危ないところに行く前に首を振って妄想を追い出す。
  「どうかされましたか、琉菜さま?」
  いきなり首を振り出した琉菜を不審に思ったのか、傍にいたメイドの一人が声をかけてくる。
  「う、ううん。なんでもない。……ちょっとお風呂入って頭をすっきりさせてくるわ……」
  兎に角、混乱した頭を何とかしたい。
  そう思った琉菜は自室の風呂で花びらでも浮かせた風呂でも楽しみながら頭をすっきりさせようとした。
  「左様でございますか。ではすぐに用意させますので」
  「お願い」
  そう言って歩き出す琉菜。
  自室につく頃には風呂も用意されているだろう……、そう思いながら。

 

 「はふぅ〜……。生き返るぅ〜……」
  薔薇風呂に入りながら、微妙におっさんくさい事を言う女子高生(笑)。
  「薔薇かぁ……」
  薔薇風呂の中で蕩ける琉菜。
  「薔薇……って言うと……」
  何かを連想し始めた琉菜。
  その脳裏には……。

 執務室のような場所で抱き合うサンドマンとレイヴン。
  誰もいないその部屋で濃厚なキスを交わし、そして……
  レイヴンが服を脱ぎ、さらにサンドマンの服を脱がす。
  二人の裸は決して筋骨隆々と言うわけではなく、引き締まったスレンダーな、それでいて色気のある肉体をしていた。
  二人は窓から入る光を背に、ソファーの上で……。

 「だぁぁぁぁぁっ!?」
  ぜー、ぜー、と息を切らせながら湯船から立ち上がる琉菜。
  ミヅキやエィナと比べるとささやかな胸に薔薇の花びらをまとわりつかせ、上気した顔で、今自分がした想像を振り返る。
  「なんであんな馬鹿げた内容の妄想になんのよっ!?」<サイズ変更+2>
  自分以外誰もいない風呂場で怒鳴る琉菜。
  どうやら『薔薇』のキーワードと風呂と言うリラックス空間でさっき以上の妄想劇場が展開されたようだ。
  (私は腐女子じゃない、私は腐女子じゃない、私は腐女子じゃない、私は腐女子じゃない、……)
  風呂の中で頭を抱え続ける琉菜。
  それは城の防衛設備を誤作動させたエイジが上の階から風呂場の天窓を突き破って落ちてくるまで続いていた……。

 

 とりあえず、エイジをボコることで幾分気分をすっきりさせた琉菜は、ボコったエイジを簀巻きにして外壁に吊るした後、エイジを探しに来た斗牙を伴って夕食を摂りに食堂に行く。
  (まさか、そんなことないよね〜。斗牙とエイジが……なんてことは……)
  せめてサンドマンとレイヴンも否定しておけ、恋する女子高生。
  直接自分に関係無い恋愛にはそれほど脅威を感じていない琉菜であった……。

 

 なおエイジが簀巻き状態から解放されたのは、食事の終わった琉菜が部屋への帰り道で未だにエイジを探し続けているちびっ子メイドたちを見かけ、部屋に帰るように言ってから三時間後のことだった……。
  さすがにちびっ子たちに悪いと思ったようだ(エイジは無視)。

 <教訓>
  間違ってでも女性の風呂を覗くと酷い目に遭います。
  やる場合は覚悟の上でやりましょう。

 

あとがき

 ども、喜竹夏道です。
  なんかBLネタになってしまいました。
  作品の時期的にはリィルの炎恐怖症が解消され、エイジたちが西の塔に無断で入り込んだ直後くらいの話です。
  でもサンドマンとレイヴンの関係は間違ってはいないので問題ないか?
  展開は問題あるけど……。
  ちなみに私自身はヘテロですので誤解なきよう願います。


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