『サモンナイト2』二次小説

メルギトスシンドローム









第3話 「お持ち帰りOK?」


























「・・・・」

悪い夢を見ていた。目が覚めた瞬間生き返ったと思えるほどの悪夢。内容はもう思い出せない。きっとそれでいい。

「……ここは……?」

目の前に広がるのは知らない天井。天井があるということは少なくとも屋内のようだ。明らかに日本ではないけれど。

まだ夢から覚めていないのかな。それにしてはこの虚脱感、リアル過ぎる。体が鉛のように重い。

ベットから出る気力が沸かない。このまま二度寝してしまおうか、などと考えていると、この部屋のドアが開いた。

「・・・・」

「・・・・」

ドアの隙間から覗いた顔と目が合った。しばらく見詰め合った後、顔が引っ込んでドアが閉められた。どたどたと足音が遠ざかっていく。

「……っていうか、今のって……」

「ネスー!あの人起きたよー!」

遠くから聞いたことのない声がそう叫ぶのが聞こえた。…ああそうか。サモンナイトの主人公って声ないもんね……。

そんなことを考えていると、複数の足音がこの部屋に近づいてくるのがわかった。

「ネス、ほら早く!」

「こらマグナ、引っ張るな!」

「あの人が起きたって、ホントですか!?」

「行ってみればわかるわよ、アメル」

ああ、なんだか大勢引き連れてきちゃったみたい。どうやら主人公はマグナだったようね。ENDは誰と迎えるのかな?

何はともあれ、あたしが気を失ってるうちにマグナたちにお持ち帰りされちゃったみたいね。

「入るよ〜?」

「あ…はい、どうぞ」

「それじゃ、おじゃましま〜す」

その言葉とともにドアが開き、聖女ご一行様がなだれ込んできた。

「おはよう。元気そうでよかったよ!」

「そうそう!最初見たときは死んでるようにしか見えなかったもんね〜」

「トリス!そんなことを本人の前で、不謹慎だぞ」

「そうですよご主人様」

「本当に大丈夫ですか?痛いところありませんか?」

「外傷ハ見当タリマセンガ、全身ニ極度の疲労ガ見ラレマス」

…………気のせいだろうか?主人公が………調律者(ロウラー)が二人いるように見えるんですけど(護衛獣も)……

「なあなあ!君の名前は?」

「え、あの……」

「マグナさん、お名前を尋ねるときはまず自分からですよ」

「あ、そうだよな!俺はマグナ。蒼の派閥の召喚師なんだ。こっちはトリス。同じく蒼の派閥で、俺の双子の妹」

「ちょっとマグナ!セリフ取らないでよ!あたし、紹介することなくなっちゃったじゃない!」

「…あの、ご主人様…喧嘩は……」

「あ、そうだ!この子!レシィっていってね、あたしの護衛獣なの!」

「え!……あ!その、よろしくお願いします」

「レオルド。レオルドも自己紹介しなよ」

「れおるどトイイマス。主殿ハまぐな殿デス」

「ああ…うん、よろしく……」

双子……また無茶な設定を……ネスティ、大変だったんだろうな〜……いや、現在進行形か……

「あたしはアメルです。……レルムの村に住んでいました」

「…ネスティ・バスク。蒼の派閥の召喚師で、そこの双子の兄弟子だ」

「他にも何人か仲間がいるんだ。後で紹介するよ」

フォルテにケイナ、それに先輩方のことね。リューグたちはもう合流したのかしら?

「私はナナです。……」

……どうしよう?本当のことを言ったほうがいいかな?あたしは異世界の人間ですって……

彼らは召喚師だし、帰る方法を教えてくれるかも。……でも、あたしの場合、ちょっと特殊な気もするしなあ……

「ナナ?どうしたの?」

「あ……いえ、なんでも……」

うわ、とっさに否定しちゃった……もういいや、今は彼らもいろいろ忙しい時期だし……

「なんでもってことはないだろ?……レルムの村のことが気になるのか?」

「え…と…、はい……」

ホントは違うんだけど……

「……ごめん。俺たち以外、あの村の生き残りはいそうにない。例えいたとしても、今は確認する方法がないんだ……」

「………」

「そう…ですか……」

……レルムの村襲撃……あたしは結局止められなかった。彼らがそのことを知ったら……どう思うのかな……

「で……でも!もう心配はいらないよ!ここは聖王都ゼラムの、俺たちの先輩の屋敷だから」

ギブソン・ミモザ邸ってことね。

「はい。…ありがとうございます。見ず知らずの私を助けていただいて」

っていっても、一応あたしデグレア側だし、いきなり殺されるってことはなかっただろうけど……放っておかれたら焼死してたかもしれないし……

「ああ……えっと……」

「お礼ならリューグが戻ってきたら言ってあげなよ」

「リューグ……さんに……?」

「リューグが、血だらけで気を失っていたあなたを抱えてきてくれたんですよ。リューグたちとは途中で別れてしまったんですけど……」

「大丈夫よ、アメル。リューグもロッカもアグラおじいさんも、きっとみんな逃げられているわよ」

「トリスさん……」

「そうだな。だからナナ。お礼はリューグにね」

「…はい、わかりました」

「あ…あの…マグナさん、ご主人様…ナナさんも疲れているようですし、そろそろ……」

「あ……ああ、ごめん。あ!そうだ!ナナ、おなかすいてる?何か食べられるか?」

「はい……なんとか食べられそうです」

「それじゃああたし、何か用意しますね」

「俺たちはもう退散するよ。ほらトリス」

「わかってるわよ。ナナ、早く元気になってね」

それぞれに辞退の言葉を残して、アメル・マグナ・トリス、そして護衛獣という順で部屋をあとにした。しかしネスティだけはなぜか残っていた。

「ナナといったな。君はレルムの村の者か?それとも冒険者や旅人か?」

「え?……あの……」

「ここを出たとして、他に行くあてはあるのか?」

「え…と、ないこともない…ですけど……」

一応レイムさんの娘って設定だし……黒の旅団をあてにしてもいいんだよね……?

「だったらできるだけ早くここを出ることをお勧めする」

「え……どうして……ですか……?」

「…僕たちと一緒にいると、君にも危険が及ぶかもしれない。先輩方は、僕たちも君も好きなだけここにいていいと言うのだが……

 僕たちも養われている立場でずうずうしいとは思うが、僕たちの方は他にあてがないんだ。申し訳ない……」

そっか……ネスティ、あたしのこと心配してくれてるんだ……。

「わかりました。体力が戻ったらすぐここを出ることにします」

ホントはマグナたちとまだ一緒にいたいけど……

「……すまない」

「いえ、あなたたちは私を助けてくれたんですから、これ以上迷惑をかけられません。むしろ、なんのお礼もできなくて、こちらこそすみません」

「それについてはさっきマグナも言っていただろう。礼ならリューグに言うといい。それじゃ、僕はこれで」

「はい」

ネスティも出て行ってしまい、高貴な雰囲気の部屋がひっそりとしてしまった。

………一人になっちゃった……もう少ししたらアメルがご飯を持ってきてくれるだろうけど……

(……彼らはこれから黒の旅団と、デグレアと戦っていくことになるんだよね。……あたしは…どうしたらいいんだろう……)

……できればデグレア側には戻りたくないのよね…。マグナたちと敵対したくないってのもあるけど……

レイムさんの…メルギトスの考えがわからないのが一番怖い。なんであたしがレイムさんの娘なんだろう……

こんな設定になってはいるけど…レイムさんと直接会ったことはないし…彼らがあたしにどんな対応をするのかわからない……

(……いっそデグレア以外のあてを見つけるか……)

その線で行くと、候補は蒼・金の派閥、モーリン宅、サイジェント、あとは……帝国?って駄目か。帝国は旧王国と仲悪いし。

…いや、私がデグレア側なんてわかんないか……あ!そういえば服!

「……いつの間にか、イオスからもらった服じゃなくなってる……これ……ミモザ先輩の服……?」

……そういえば…胸元が……(涙)

「ナナさ〜ん。アメルです、入ってもいいですか〜?」

「あ、は〜い」

思考を中断してドアの外からの声に応える。ドアが開くと、食欲をそそる芋のいい匂いが。どうやらスープ系の料理のようだ。

「お芋さんのスープです。食べられますか?」

「はい。ありがとうございます」

そう答えて身を起こすと、アメルが天使の笑顔でスープを手渡してくれた。

「お芋さんはとっても体にいいんですよ♪きっとすぐに元気になりますよ」

「…そうですね」

そうしたらここを出て行かなくちゃいけないんだけどね。それにしてもアメル元気そうね。いや、ゲーム通りなら空元気か?

そんなことを考えながらスプーンでスープをすする。うん、絶品。さすがお芋さん。

「…ナナさんは、レルムの村の人じゃありませんよね」

「え……?」

質問、っていうより確認?どうして……って、あんな服は村人は着ないか。それとも村の人みんな顔見知り?

「レルムの村には…やっぱり聖女の奇跡のことで…?」

あ、そのこと気にしてるんだ。アメルは若干沈んだ顔になった。

「…違います。私、別にどこも悪くないですし。たまたまいただけ……そう、野次馬に来てたの。聖女の噂を聞いて」

「…そうなんですか。村にはお友達と?」

「…いえ、一人で」

「そうですか…」

アメルが変に気にしないようにできるだけ考えて答えてるつもりなんだけど、一向にアメルの表情は晴れなかった。

「…ごめんなさい…」

「え!?…ど…どうしてアメルさんが謝るんですか…?」

「…レルムの村が襲われたのは…あたしのせいなんです……あの黒い鎧の人たちは…聖女を捕まえるために村をあんなことに……」

いや…そうなんだろうけど……そのことであたしに謝られてもな〜……

「聖女が……あたしがいたから……村の人たちも……あたしを頼ってきてくれた人たちも…みんな……みんな……」

アメルは途切れ途切れにつぶやきながらとうとう涙があふれてしまった。さっきまであんなに笑顔だったのに……やっぱり無理してたんだね……

「あ〜…アメルさん、泣かないでください……。誰もアメルさんのせいだなんて思ってないですよ、きっと……」

……あたし、無責任なこと言ってるな〜……そんなこと保障できやしないのに……

「でも……やっぱりあたしの……」

「す…少なくとも、私はアメルさんのこと恨んでなんかないです。それより私の怪我とか治してくれたのアメルさんなんでしょ?ありがとう」

自分の言ってることに説得力がないと気づいて話題を変えてごまかそうとしたが、なぜかアメルは不思議そうな顔をした。

「え……怪我……?」

‘え……?’って、違ったの?

いや、だってレルムの村に行くまでについた傷とか治っちゃってるし……

それに、あんなに悲惨なことがあった後なのに、私、平然としてる。

聖女の奇跡は相手の心に触れて癒すことで、肉体すらも治してしまう術。だからつまりそういうことなのかと思ったんだけど……

「怪我…してるんですか……?」

「え…いや、違ったならいいんだ、うん」

「よくないですよ!怪我してるんだったら私が治します!それくらいさせてください!」

いや、だから治ってるからいいのに。……でもそれじゃアメルは納得しないかな……

「……じゃあ、お願いしていいですか?なんだかさっきから体がだるくて……」

「わかりました。さあ、楽にしてください」

そう言ってアメルはあたしの額に手を添えた。

温かくて華奢な手が光に包まれ、私に力が流れてくるのを感じた瞬間、ぞくりとした。

「触るな!」

「きゃ!?」

はあ…はあ…はあ…はあ………。あれ?……あたし……今…なにを………

「え…あの……」

アメルもびっくりして、やり場のない手をどうしていいのかわからなくてふらふらさせている。あたし……なんで……

「あ!ご…ごめんなさい!なんか、つい。自分でもよくわかんないけど、なんかつい体が……」

なんだかわからないけど少なくともアメルを傷つけたいわけではないので必死に言い訳の言葉を述べるのだが、
自分でもどうしてそんなことをしたのかわからないので言い訳のしようがない。

あたしがしどろもどろしていると、アメルは一瞬泣き出しそうな顔になったがすぐに笑顔を作った。

一目で無理をしているとわかる作り笑顔だ。

「ごめんなさい。あたし、余計なことしちゃったみたいですね」

「え、いや、そんなことない!そうじゃなくて……!」

「あの、スープ、温かいうちに食べてくださいね」

その言葉を最後にアメルは逃げるように部屋を出て行ってしまった。


























「どうしたんだろ、私……」

ベットに倒れこんで天井を見上げながらつぶやく。妙に体がだるいのは相変わらずだった。

どうしてアメルを拒絶したのか自問自答してみる。少なくともあたしが意識してやったことではなかった。なら無意識?

アメルの癒しは人の心に触れる術だ。あたしは無意識に心を覗かれるのを恐れた?

「そりゃ…確かに私がこれからの展開全部知ってるのを知られたら困るかもだけどさあ……」

しかし、そんなことを無意識に恐れるだろうか?そういうことはむしろあたしが意識的に知られないようにしなければならなかったのではないだろうか?

だいたいいくらアメルでもそこまで何でもかんでもわかるわけではないだろう。心の傷に触れるんだからその心の傷くらいしかわからないんじゃないか?

じゃあ、あたしの心の傷ってなんだろう?……やっぱレルムの村でのことか。でも変だなぁ……

「私、結構平然としてるよね?アメルが癒してくれたからだと思ってたのに……」

そうじゃなかったんだとしたら、あたしがあんな酷いことの後でも普通にしていられるのはなぜ?

目の前で焼かれていく家々。斬り捨てられ、踏みしめられていく村人たち。飛び散る肉片。降りかかる血の雨。そして、闇。

「あの闇は……いわゆる遠距離攻撃・暗黒……だよね。誰が撃ったのか知らないけど」

悪魔系の人々が主に使う技である。つまりあの場には悪魔がいた。なのにあたしは無事だった。

メルギトスたちが何を考えてるのかさっぱりわからない。

ともあれ、そんな惨状を見てきた現代日本人女子高生のあたしがこんな平気でいられるなんて。あたしが薄情なだけ…とは思いたくないな……。

とそのとき、部屋のドアをこんこんとノックする音がした。

「あ、は〜い」

あたしが返事をすると、おずおずとした様子でドアが開いて隙間から欠けた角の生えた緑色の頭が覗いた。レシィだ。

「あのぉ、ナナさん。もうスープ食べ終わりましたか?」

「あ!」

やば!すっかり忘れてた!アメルに温かいうちに食べてって言われたのに、もう冷めちゃってるよ……

ホンットごめんねアメル。あとでいろいろ謝っとかないと。

「ごめんなさい!すぐ食べるから!」

「あ、いえ。そんな急かすつもりじゃ……」

レシィが慌てて両手を振って否定を表しているが、アメルに加えてレシィにまで迷惑をかけたとあっては早く食べないとあたしの気がすまない。

超特急で具を口に放り込み、スープをすすって口元をぬぐった。ひそかな自慢の必殺早食いだ。

「ごちそうさま!」

「あ、は…はい!」

あたしの早食いに目を丸くしていたレシィは慌ててあたしの差し出した器を受け取って出て行った。

あたしが急いで食べたからって急いで出てかなくてもいいんだけどな……

「ふう。なんだかちょっと元気でたかも」

目が覚めたときから付きまとっていた倦怠感もだいぶよくなったようだ。これもお芋さんの力だろうか。

「さて、起きちゃった事は、まあしょうがないし。とりあえずこれからのことを考えないと」

えーと、確か…そう、主人公、トリスかマグナ(もしくは両方)が落ち込むアメルを慰めて(あたしが余計に落ち込ませちゃったけど、大丈夫だよね?)、
そのあとリューグ・ロッカの双子が合流してすぐ旅団と戦闘。

戦闘か…。そりゃ、手伝えることがあるんなら手伝いたいけど……

いくらなんでも戦場に素人が出ていったって足手まといになるだけだよね(アメルも戦闘は素人のはずだけど…)

そもそもあたしデグレア側だし。こっちにいたら裏切り者とか言われちゃうかなぁ……いや、仲間になった覚えはないんだけどね?

「やっぱ戦闘については戦力外、か。ならネスティの言う通り彼らと一緒にいたら危ないよね。でもそれはデグレア側にいても同じか……」

そうなるとあたしはわざわざリィンバウムまでやってきて一般ピープルとして生きてかなくちゃいけないのかしら(汗)

いやいや、そうだ!なんとかして帰る方法を見つけなきゃ!とりあえず候補は蒼・金の派閥か誓約者(リンカー)だよね。

一番可能性が高いのは誓約者(リンカー)か……でもレナードさん戻れなかったし……

あたしがだんだん絶望的な考えにとらわれていっていると、なんだか外が騒がしくなってきた。

「ん?」

気になったあたしは窓に寄っていって外を覗いてみた。そしたら目が合っちゃった。金髪の槍使いと。

「わっ!?」

「な!?」

とっさにあたしは窓からはなれて身を隠した。

一瞬前に見えたイオスの顔はまるで幽霊でも見たみたいだった。失礼な。

って、もう旅団来ちゃったのか。どうしよう。あわわわ。

あたしが一人で無意味に慌てていると、突然すごい勢いでドアが開け放たれた。

「ナナ!」

「ひゃ!ひゃい!」

入ってきたのはマグナだった。マグナはなんだか急いでいるみたいで早口にまくし立てる。その右手に光る刃物がちょっと怖い。

「ナナ、大変なんだ。村を襲ったあの黒い鎧の連中がここまで追ってきた。アメルは裏口から逃がそうと思うんだけど、ナナはここでじっとしててくれ」

「え……じっとって……」

「やつらの狙いはアメルだから。ナナはここに隠れてれば大丈夫だ」

「う…うん」

用件を伝えるとマグナは急いで部屋を出て行った。たぶん正面か裏口でイオスやゼルフィルドと戦うんだろう。

いつもは温厚そうなマグナの剣幕とその手に握られていた凶器のせいであたしはなんだか怖くなってきてしまった。別にあたしが戦うわけでもないのに。

パァン!

「ひゃっ!?」

銃声だ。誰かがゼルフィルドと戦っているらしい。

って、銃は卑怯だろ!いくらリィンバウムでも銃で撃たれたら致命傷だよ!……当たり前か。剣で斬られたって同じことだ。

まずい。どんどん怖くなってきた。窓の外からは剣と剣がぶつかる音や召喚術が発動する音、銃撃、怒声、悲鳴。戦いの音が絶え間なく聞こえてくる。

その中にトリスやマグナ、イオスなどの声が聞こえているうちはいいが、
それらの声で悲鳴が上がったり、まったく聞こえなくなったりしたらと思うと、怖い怖い怖い。

あたしは逃げるように布団にもぐりこんで耳をふさいだ。

怖い、怖いよ!外では人が死んでいってるかもしれない。しかもそれはあたしの知ってる人たちかもしれない。

ゲームだったらこんなに怖くはなかった。HPがなくなっても、それはそのキャラの死を意味してはいない。剣だって、鎧だって、装飾品感覚だ。

でもあたしはこれがゲームでないということを肌で感じてしまった。目の前で人が死んでいく光景をまざまざと見せ付けられ、肌を焼く炎の熱さを感じた。

彼らはキャラクターなんかじゃない。一人一人が命と感情を持った人間だ。あたしと同じ人間なんだ。その彼らが、すぐそこで命の奪い合いをしてる。

もちろんあたしだって、一歩間違えば命を失うことになるかもしれない。その可能性は低いかもしれないけれど、100%安全だったTVの前とは全然違う。

「怖い怖い怖い怖い怖い怖い!」

あたしは布団の中で小さく丸まって震えていることしかできなかった。

そうしていつのまにか外からの音が聞こえなくなったころ、あたしは疲れ果てて眠ってしまっていた。


















第3話 「お持ち帰りOK?」 おわり
第4話 「放浪者」 につづく





感想

サモンナイト2の世界観を元に少女の闇まで書き出そうとする意欲作ですね〜

ナナという少女普通の少女より少しばかり不幸な生い立ちの様子。

善良に生きようとする彼女と、リアルな戦い、人の心と心のぶつかり合い。

その中で彼女の闇がどう噴出するのか、

二つの心のせめぎ合いとかになったら素晴らしいですね〜

浮気者さんはリアル嗜好の方ですね〜

私は出てきませんけど、ナナさんの心の動きには感心させられます〜

そこのヘボと違って心理というものをよく研究なされていますね♪

ヘボって私ですか…(汗)

決まってます! 単純思考の塊の癖に! 何か書くならきちんと資料を研究してからにな さい!!

グサ!

その言葉は…効くぜぇ…(吐血)



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