Release 0シルフェニアRiverside Hole

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■62 / inTopicNo.1)  外伝−白き牙の始まり
  
□投稿者/ マーク -(2004/11/20(Sat) 19:11:14)



    ヒュッ ヒュッ
    広い道場で手に持った竹刀が風を切る音だけが聞こえる。
    この広い道場には今、私しかいない。こんな時間に練習する人
    もいないし、私自身、他の門下生と打ち合う気はない。
    私は強い。私に勝てる人物はこの道場では父上だけだ。
    他の者は、私と満足に打ち合うこともできない。
    だから、私は父以外の者とは、戦わず父がいなければ一人で練
    習している。



    素振りを終えて部屋に戻ろうと外の出ると風に乗ってかすかに
    悲鳴と血の臭いが漂ってきた。私は護身用の太刀を握りしめ、
    血の臭いのする方へ向かった。


    館よりすこし離れた所に建っている蔵の前、そこに惨劇が
    広がっていた。
    5人ばかりの門下生と思われる者たちの死体の中央に立った、
    真っ黒なローブをまとった男が悠然と立っていた。
    私はすぐさまその男に切りかかった。
    男は所詮女子供と思ったのだろう特に身構えずに
    私の剣を受けた。しかし、勢いを殺せずに肩のあたりを切り裂
    かれた。
    そして、私を睨みつけ剣を構えた。それを見て私も刀を構え、
    一気に切りかかる。



    何度も剣が交差するなか、私は少しずつ焦りはじめていた。
    私は、女でまだ子供だこの男より体力は無いだろう。
    このままでは・・、いや、弱気になるな。自分に言い聞かせる
    が、



    「ガッ!!」




    私の集中が乱れたところを男の蹴りが私にすいこまれるように
    入り私の体を思いっきり吹き飛ばした。







    ズザザザザーッ



    立ち上がろうと力を入れるが立ち上がれない。いや、
    それどころか声も上げることもできない、
    内臓は大丈夫だろうが、アバラが数本折れているかもしれない。
    男は私を見て動けないと分かると蔵の中へと入っていった。
    蔵に狙われるようなものなど・・そう考えてハッと思い当たり
    男を見ると男は小さな声で呟いた。

    「海燕・・・」


    男が呟き蔵に有った刀を握り締め、蔵から出たところで。


     「何事だ!!」


    聞きなれた声が聞こえてきた。父だ。男は舌打ちをして駆け出
    した。そろそろ意識が朦朧としてきた。そんな私を見つけ父が
    あわてて駆けつけてきた。


    私の・・ことよりも・・海燕を・・・


    私の意識はそのまま闇に沈んでいった。








    めをさますとそこは私が良く利用する宿だった。傷なんてない。
    当然だ。あれはもう5年も前のことなのだから。
    幾度となく見てきた夢。
    盗まれた「海燕」と対となる刀「天狼」を握り締め、部屋を出た。


    強くなる。ただそれだけを思って。


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