Release 0シルフェニアRiverside Hole

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■124 / 親記事)  Irregular Engage 序、夜ヲ駆ケシ愚者供
  
□投稿者/ カムナビ -(2005/01/14(Fri) 14:52:58)
    2005/01/14(Fri) 14:54:29 編集(投稿者)

    <こちら、≪マスター≫。現在≪お客様≫は、ルート147にて逃亡中。≪ホスト≫各員は、そのまま予定通り≪借金取り≫の場所へと誘導せよ。無銭飲食の代価はたっぷり払わせてやれ!!>
    ≪了解!!≫
    寝静まった街に人の耳には聞こえぬ音でそんな応答をする者達がいた。彼らはすでに今日の仕事を終え、とうに眠りについた街の通りを疾走する。
    なぜか?その答えは彼らの前方にいた。
    こうもりのような羽。羊の角に、更にまるで馬のような顔を持った黒い肌の生物。まさに悪魔そのものだ。
    彼らはそれを追っていた。それを滅ぼすために。

    男が一人、周りを緑で囲まれた噴水の脇にあるベンチに座っている。そこに先ほどの人の耳には聞こえない声が響く。
    <こちら、≪マスター≫。≪借金取りの頭≫聞こえるか?>
    「聞こえている・・・・・状況は?」
    <≪お客様≫は予定通り、レーベンスボルン中央広場を通り、外へと向かう模様。>
    「予定通りか・・・・・。しかしずいぶんと単純な奴だな。下水を通って逃げた方が安全だろうに・・・・。」
    <我々としては好都合だ。しかし、侮るな?≪お客様≫はこのごろとしてはかなりの間、この街で食べてきたんだ。能力は高いぞ。>
    「問題ないさ・・・・。そうだろう?」
    <ええ、問題ありませんわ。お兄様>
    ≪マスター≫と≪頭≫と呼ばれたものの会話に別の声−女性の声だろう−が響く。そして、更に別の女性の声が響く
    <こちら、≪借金取り1≫・・・一応作戦中なんですから、符丁を使ってください。≪借金取り2≫>
    <あら、本来は私の場所であるお兄様の側近の≪借金取り1≫を職権使って奪った、泥棒猫の貴方にそんな台詞がいえまして?>
    <当たり前です。元々≪頭≫さんの相方は私なんです。だから、作戦中では、側近なのは当たり前です>
    <あら?それなら普段は私がお兄様と一緒にいてもいいわけね。>
    <な、何でそうゆうことになるんですか!?第一、卑怯なのは・・・>
    <あら、やりますの・・・?>
    完全に私情を持ち出した会話に≪頭≫とよばれた男が口を挟む。
    <騒々しい・・・・今は作戦行動中だ。多少は行動を慎め。馬鹿娘供>
    <あ・・・はい。>
    <お兄様がそういうのでらっしゃたら・・・・。>
    そういって、二人はシュンとなり、私情丸出しの会話は終る。そこにまた≪マスター≫の声が入る。
    <お取り込み中すまんがね・・・・来るぞ。>
    その言葉が発せられた瞬間、彼らの雰囲気が変わる。<人>のものから得物を目の前に見付けた<狼>のものへ。

    目の前の開けた場所に出た瞬間彼は、ここのところよく馴染んだものの臭いに感ずいた。見ると、そこには一人の男が立っている。
    後ろからは先ほどから彼をつけてきた同じ臭いのする者達がせまってくるのを彼は感じていた。つまり、この男を突破すればここから出られるのだろう。
    たやすい、と彼は感じた。さっきから彼をつけてきたものたちはいくつもの武器を身につけていた。目の前の男は見た感じ一人で、せいぜい先ほど彼らをつけてきた者たちと同じような耳につける黒いアクセサリーをつけているだけだ。
    だが、なんであろうか、この心のなかにある、妙な感覚は。この男を相手にするなと、心のどこかで彼の理性が警鐘を鳴らしている。そんな感じだ。
    だが、彼はそれを無視する事に決めた。先ほどの数が多い奴らを相手にするよりはたやすいと判断できるからだ。
    一気に突破する、とかれは心に決め、翼へと最大限にまでの力を蓄える。

    「・・・・≪お客様≫は食い逃げの気満々ですか。」
    <それならば・・・・>
    <・・・容赦はいらないわね>
    「ああ、全力で歓迎するとしようか・・・・。」
    彼は今まで、腰のベルトに下げていた二つの箱から、手の甲の部分に白色の結晶石がついたガントレットを取り出し、左右の腕にはめる。すると一瞬にして結晶石の色が鮮血の赤と夜の黒が明暗を繰り返す色へと変わっていく。
    向かい合う悪魔もそれに気づいて、一瞬躊躇したように見えたが、すぐに体勢を立て直し、両者は対峙する。
    そして、動いた。
    男が、ゆっくりと、言葉をつむぎながら。
    「さて・・・・・ちゃんと料金は払ってもらうぞ?」
    そして、悪魔も動く。その翼に溜め込んだ力を一気に吐き出しつつ。
    互いの意志と力の激突の開始であった。

    ただ、その噴水のある広場の直上を通る月だけがその様子を見ていた。

引用返信/返信 削除キー/
■131 / ResNo.1)  Irregular Engage 壱、従者ノ到着(T)
□投稿者/ カムナビ -(2005/01/22(Sat) 14:35:49)
    2005/03/30(Wed) 21:23:21 編集(投稿者)
    2005/01/22(Sat) 15:57:11 編集(投稿者)
    2005/01/22(Sat) 15:56:28 編集(投稿者)
    2005/01/22(Sat) 15:55:21 編集(投稿者)

    鉄都アイゼンブルグ

    古くから、背後にそびえるマルク山脈から取れる良質の鉄鉱石などを加工し、ゲルマン大運河を通して運搬することで栄え、現在では北はエインフェリア王国、東はアヴァロン帝国そして南ビフロスト連邦、ヴァルフダリス共和国、学園都市を結ぶ七大根幹鉄道の一大中継地として機能することで、物資などだけでなく、トレインレイダーや傭兵などの流浪の人々によりもたらされる情報なども集まることから大陸のへそと呼ばれることもある。

    そんな街にいつもどおり1つの列車が入ってくる・・・
    そこから降りてくる人々はさまざまな姿形をしているけれども、その中で一人だけ奇妙な格好をしている少女がいた。
    白銀色の髪、緑色の瞳、そして白い肌を持ち合わせ、顔から上は違いなく美少女といって間違いないだろう・・・・。まぁ、多少あっていないと思えるワンピースに思える服の上にローブのような服も組み合わせとしては変だが、別に似合わないというわけではないのだから。
    しかし、どう見てもその背中にまるでひきずるように背負っている彼女の身の丈の2倍近くもある布に包まれた棒状の物体ははっきりいって似合っていない。しかも、その先端部分を覆う布が多少裂けて刺さったら痛そうな槍先が見えていればなおさらだ。実際周りからは妙なものをみたような視線にさらされている。しかしだ、その胸に歩くたびにゆれながら現れる七つの円の中心に青い宝珠を置き、そこから十字が七つの円を貫いているペンダント見れば誰もが納得したように視線を元に戻していく。
    ウルザンブル教
    この世界、リバースゼロにおけるもっとも知名度のある宗教であり、事実上世界宗教といっても良いほどの宗教だ。そして本部つまり教皇庁に勤める職員すべてにはこのペンダントがそこに入ったときから渡され、身に着けることを義務ずけられる。人々の視線がはずされたのもそれが理由だろう。
    しかし彼女本人としては恥ずかしくてたまらない。
    「うう・・・・先輩がここ来るときは気をつけろよっていったのはこうゆうことですかぁ〜?」
    誰に話しかけれるのでもなく彼女は言う。それで視線の嵐がやむわけでもないが
    「うう・・・・迎えのデフォン司教は一体どこに・・・」
    「ふむ・・・・あなたが、使徒フェリス・ノーマンさまですかな?」
    突如、後ろから話しかけられ、彼女ことフェリスは驚いてばっと後ろを向くと・・・・そこにはやたら白くて大きくて立派なカイゼルひげの執事が立っていた。
    「あ、あの・・・あなたは?」
    「失礼。私はゼム・クライム。このアイゼンブルク領主に仕える一介の執事であります。デフォン司教よりの伝言を預かっております。お聞きになりますかな?」
    カイゼルひげをなでつつ、手紙を取り出すゼム。
    「あ、はい・・・。」
    「では、読み上げます・・・・使徒フェリス。すまん。俺より強い奴を求めて旅に出る。ちなみに教会の鍵はしめたから適当に下宿か借家を探して任務についてくれ。以上。」
    「はい?」
    自分の耳がおかしくなったかな?と思いつつ、聞き返すフェリス。
    「ではもう一度・・・・・・。」
    ゼムは再び先ほどの文章を読み返す。彼女は更にもう一度聞いた後自分でその手紙を何度も確認する。
    「あ、あはははは・・・・・・・」
    彼女は壊れたように地面に膝をつき笑いはじめる。
    「ふむ、可哀想に・・・・この年で、精神がイカレましたかな?」
    「イカレてません!!って私お金必要分しかもってきてませんし、知り合いもこの街いないんですよ!?」
    「ふむ・・・・・がんばれ?」
    「なんで、疑問系なんですか!?しかも、どうして係わり合いになりたくないように逃げていこうと!!」
    「ふむ・・・・・気のせいでありますよ。フェリスさま。しかし弱りましたな・・・私も一介の雇われの身、家は妻と子供たちで満杯です。この街も部屋を借りるとなると、連帯保証人が必要です。さすがに貴方一人では無理でしょうな。となると下宿ですが・・・・。」
    「こ、心当たりは・・・・?」
    「ふむ・・・・ありませんな。私は自立した執事でありますから。」
    「・・・・・・・うう、やはりここで朽ち果てるしか・・・。」
    「いや・・・・・一人だけ居りましたな。まぁ・・・あなた次第だと思いますが。」
    「へ・・・・。い、いいです。いいです!!紹介してください!!ここで朽ち果てるよりはましです!!」
    「ふむ・・・では、どうぞこちらへ。」
    ゼムはそういって、外の馬車を腕で指し示す。
    彼女にはそれがまるで地獄の門にも見えなくもなくなかった。


    まぁ、一話目です。主人公が出てきません。というか主人公次回さえ顔見せだけで終わる可能性も。
    なお、途中で出てきたテムジン大公国は件の遊牧民族国家名の一案です。
    あと七大根幹鉄道やらトレインレイダーとかもありえたら面白そうだなぁとおもった設定です。
    さらにウルザンブル教のエンブレムのペンダントも何も設定が決まっていないようなので勝手に作りました。
    もし、駄目のようなら消しますので、よろしくお願いします。
引用返信/返信 削除キー/
■138 / ResNo.2)  Irregular Engage 壱、従者ノ到着(U)
□投稿者/ カムナビ -(2005/01/27(Thu) 00:29:05)
    2005/03/30(Wed) 21:26:01 編集(投稿者)
    2005/02/07(Mon) 15:59:12 編集(投稿者)
    2005/01/27(Thu) 01:05:08 編集(投稿者)

    アイゼンブルグは広い。
    一口に街といっても、旧市街と新市街さらに外部のさまざまな追加区画をあわせると全周は100キロを優に超える。この大きさは大陸でも四大国の首都と同等、もしくは上回るほどである。なにせ、かつての400年前の帝国による侵攻の際、この街への帝都移転計画さえ、計画されたほどだ。
    ただ、その広さゆえに内部の構造は複雑怪奇の一言に尽きる。下手をすれば地元の人間すら知らない道がいつの間にかできていたりすることも、ないわけではない。
    そして極めつけは、都市伝説だ。
    どこぞの道の先は魔界に通じていたり、ある道を通ると神隠しにあうといったものだ。
    大抵のこの街の外の人間なら、一笑にふすだろう。だがここに住めばわかる。
    その言葉はすべての事実を語っているわけではないが、けっして嘘をいっているわけではないのだ。

    フェリス・ノーマンは連邦の出身だ。元々彼女の祖先は連邦建国の際に、建国者を陰で支えた、共和国出身の商人の家柄である。
    熱心なウルザンブル教教徒であった彼女の祖先がどうして、基本的に宗教的にはあまり相容れない連邦の建国に協力的だったのか、彼女はまったくわからないが、そのあたりは祖先に先見の明があったということで納得している。
    彼女は馬車の窓から周りを見る。まわりは石材に古さを感じさせる建物が多い。
    このあたりはヘイムダルとはやっぱり違うなと彼女は思う。
    基本的に新興国家の連邦の首都は建物は真新しい感じのするものが多い。対して、アイゼンブルグは古代魔法文明の最盛期以前から栄えてきたという話さえある、大陸の中でも大陸の北方にあるロウランに続く古都の1つだ。
    さすがに、それは言いすぎだろうと彼女は思うが、表立って否定はできない。この街の下にはそれを証明するようにかつての栄華の証が眠っているのだ。
    「どうですかな?この町並みは。」
    向かい合っていた執事の男、ゼムがそう話しかける。
    「え、ええ・・・・やっぱり珍しく思います。ヘイムダルはこうゆう建物ありませんし。」
    「ふむ・・・・ありきたりで詰まらん模範的連邦大衆の意見ですな。」
    「・・・・・だったらどんな意見がいいんですか。」
    「『わぁ・・・ものすごく壊しがいのありそうな町〜〜♪』などの猟奇的で、バイオレンスな意見はいかがでしょう?もっとも、そんなことを言った挙句には、次の日の朝日は拝めませんが。」
    フェリスは無視をすることにした。
    再び町並みを見つめる。子供たちが道の端で遊び、井戸端会議に熱中する買い物帰りのおばさんがいる。こうゆうあたりは変わらないなと彼女は思う。
    「ところで、どこにむかってるんですか?」
    ふと疑問に思った。先ほどからすでに30分近くこの馬車に揺られているが、いっこうに目的地につく気配はない。いい加減空も夕焼けに夜の闇が混じり始めた時間だ。彼女としても、そろそろお腹が減ってくる時間でもある。
    「ふむ・・・・・この時間帯ならば、このあたりにいるはずなのですが・・・・」
    先ほどから周りを見渡しながら言う。
    どうやらまだその本人は見付けられないようだ。そんなときだふと目線の先に人だかりをみつけた。見ている限りでは喧嘩のようだ。
    「どうされましたか・・・・・ほう、これはこれは・・・。」
    さほど、珍しくもない喧嘩のようだが、突如人垣が割れる。そこにはナイフを構えた男同士が向き合っていた。
    「ふむ・・・・熱くなりすぎですな。たとえ自由都市のこの町であろうと武器はいけませんな。第一美しくない。」
    「って、そんなに落ち着いている場合ですか!?止めないと・・・・。」
    「心配はいりません・・・・・むしろ彼が現れる可能性が上がったので好都合でしょう。」
    彼?と疑問の声を発しようとした瞬間、ついに緊張感が崩れ、向き合う男二人がじりじりと距離を詰めていく。このままだと・・・・と思っていると、ふと人垣に動きがあった。
    白。その色が、人垣を横切って、いやむしろ人垣を構成する人々が自発的に避けている。そしてその人々の目には先ほどの不安に満ちた顔はなく、安心感が刻まれていた。
    白い色、つまり肩にエンブレムの付いた白いボディーアーマーのようなものに身を包んだ男女が複数、人垣の中心へと進んでいく。やがてその白の動きに向き合っている男の一人が気づき、動きを硬直させる。その隙にもう一人の男がナイフをもって男に突撃していく。
    ナイフが男に接触、とおもわれた瞬間、ナイフを持って、突撃してきた男が吹き飛んでいた。見ると、先ほどの白いボディーアーマーを着た男が一人、男が突撃してきた軸線上に立っている。彼はナイフをいまだに持って固まっている男のナイフを下げさせ、一言二言男に何かをいうと、男の身柄を他の仲間と思われる白服たちに渡し、単身で先ほどの吹き飛んだ男のところへと向かい、その男の腕を後ろ手で拘束していく。そして同じようにその身柄を仲間たちに渡す。
    「さすがは・・・・・ですな。」
    ゼムが何かを言った様だったが、彼女は聞いていなかった。
    ただ、男の動きの驚嘆していた。男と向き合っていた男たちの距離はかなりあったはずだ。それを男は状況が変化した瞬間、数歩で到達し、最悪の状況を回避した。
    かなりの実力者とみるべきだろう。
    「さて、使徒フェリス。見つかりましたぞ。今夜の宿が。」
    「へ?」
    「グレッグ!!」
    執事の男はいきなりそういう。すると先ほどの男がこちらを振り返り、仲間達に何かを言いつけるとこちらへと歩いてくる。
    「紹介しましょう。彼はグレッグ。グレッグ・E・アイヒマン、使徒フェリス。あなたの下宿先の主人です。」
    「はい?」
    「ちょっとまて!?」
    グレッグの驚愕とフェリスの疑問はそういって空に溶けていった。

    これがのちの大陸を揺るがす大事件の中心人物二人の出会いであった。
    だが、事態が起こりうるまではまだ数人の人物の登場と、いくつかの時間を必要とするのであった。

    やっぱり顔見せしかできませんでしたね。やっぱり、文章書く才能、私はありませんなぁ・・・・。ではいつもどおり、感想お願いします。
引用返信/返信 削除キー/
■140 / ResNo.3)   Irregular Engage 壱、従者ノ到着(V)
□投稿者/ カムナビ -(2005/02/02(Wed) 17:17:11)
    2005/02/07(Mon) 15:59:37 編集(投稿者)

    不機嫌を隠そうともせず、グレッグ・E・アイヒマンはずかずかと通りを進んでいく。
    彼の不機嫌の理由は後ろから声をかけた。
    「ま、まってください・・・は、早いですよ。」
    「シャーラップ、ついてこれないならついてくるな。フェリス・ノーマン。俺は非常に機嫌が悪い。」
    そういって、彼は更に歩く速度を上げていく・・・・心の中で面倒を押し付けたエセ執事を蛸殴りにしながら。

    アイゼンブルグ旧市街
    アイゼンブルグがこの地に開かれたときより、存在するこの街で最も古い区画である。周りにはビルなどはまったくなく、ただひたすらの上り坂に歴史の傷跡を刻む石造りの建物が並ぶ。そしてその上り坂をひたすら登っていく先にはまるで遺跡のように巨大な城がある。まぁこれは別の話だが。
    ともかく、グレッグの家は今上っている上り坂にあるということだ。

    (ひえ〜〜〜、まだ登るんですかぁ〜〜)
    おもわず、口に出しそうになった言葉を彼女はあわてて飲み込む。
    行ったら最後、多分あの人は今度こそ私を置いていく速度で歩き出す。
    (でも、親切ではあるんでしょうか・・・・・。)
    彼女が必死で追いかけていても、ごくたま角にあの人の姿が消えても、彼女が追いついてくると、なぜかあの人はまだ次の角に行かず、速度を落として歩いている。すぐに、速度を上げるけれども・・・・
    (それに、ひねくれものです・・・・・。)
    そういって、彼女はクスリと笑いそうになる。そこで・・・
    ドンと彼女はそのとき平たい堅いものにぶつかった。
    「はえ?」
    そして、そのまましりもちをつく。
    「何やってるんだ、君は・・・。」
    見ると目の前に、グレッグがいる。彼は転んだ彼女の手を掴み、立ち上がらせる。
    「へ?ま、待っててくれたんですか?」
    「馬鹿をいうな。ついたぞ。」
    「はい?」
    ふと横を見るとそこには石造りの一軒家がたっている。質素なつくりのように見えるが何度も改修などを行っているらしく石材の色がところどころ変わっている。
    「さっさと入れ。入らんのなら別だが。」
    「は、はい・・・・・。」
    彼女は玄関へ歩み、そしてそこをくぐる。
     
    ところは変わって
    「<至高の執事>ゼム・クライン入りますぞ。城主。」
    「入れよ。戦友。」
    そう声が響くと、先ほどグレッグの脳裏で蛸殴りにされた、執事が部屋へと入る。
    そこは執務室と小さなリビングをかねた一室だった。
    その証拠に執務机に一人、その目の前に置かれたソファーにもう一人と男が座っていた。
    「お、お勤めはおわったかい?」
    「ま、多少トラブルはありましたが、ほぼ順調でありましょう。二人目の<資格者>もこれでそろったというわけです。・・・・ご協力感謝いたしますぞ。司教。」
    「構わねぇよ。お前さんがたらには借りが多いしな。」
    そう、軽く笑う男こそ、フェリスに手紙を出し、今は旅行中のはずのデフォン司教そのひとであった。
    「しかし、それにしてもまったく反応はありませんな・・・・もうすこし、派手な反応があるとおもったのですが。」
    「仕方ないだろ。<デウス・エクス・マキナ>はここでもかなり離れてるんだ。この程度が限界だろうて・・・・。」
    デフォンはそういって、自分の持つPDAにうつるグラフを見せる。
    「ほう・・・・一応今までにない反応ですな。すばらしい。」
    「だろ?で、お前はどう思うんだ?」
    彼はそのまま先ほどからまったく言葉を発しない執務机に座る男にいう。
    「では、予定通りなのだな?」
    「予定通り?ふむ・・・・そのようなはずあるわけがないですな。予定よりもはるかにうまくいっております。」
    「ならば、良い・・・・・他の計画も急がせろ。たとえ、予定より早く進んでいても、時間は惜しいのだからな・・・。」

    「ふぅ・・・・・・。」
    彼女はベットに座りながらため息が出た。
    「・・・・どうなってるんだろ。手紙を出したはずの司教が旅に出てて、変わりにあのゼムって執事さんが紹介したグレッグさんにあって・・・そして私はその人の家の部屋にいる。食事はおいしかったけど・・・・・。」
    (もしかして、私騙されてるんじゃないでしょうか・・・・・。でも、確かに教会はしまっていたし)
    彼女はここに来る道程で教会の鍵がしまっていることを確認できるように、寄り道をさせてもらった。
    (一体何が、起こっているんでしょう・・・・・。)
    ふと深く考えて、彼女は気づいた。そして赤面する。
    (そ、そういえば、私今男の人と二人っきり!?・・・・・ど、どうしよう。と、ともかくあの人を玄関で迎えて『お帰りなさい。あなた。ご飯にする?お風呂にする?それとも・・・・わ・た・し?』って何考えてるんですかぁーー!?私はぁーー!?)
    ふるふると顔を左右に振ると、部屋のドアがノックされる。
    「は、はい!?どなたですか!?」
    「どなたもこなたも俺しかいない・・・・風呂ができたぞ。入るなら支度しろ。」
    「は、はい!!いまがんばってしたくします!!」
    ドアの向こうで妙にかしげる様な雰囲気を感じながらも彼女は風呂へとはいる準備をしていた。
    もちろん、何度もこけかけたのはいうまでもない。

    はい、またグレッグ君、台詞があまりありません。っていうか1つです。本当に主人公かぁーーー!?ってツッコミは厳禁です。というかブーです。
    まぁ、オヤジ供は何かをたくらみ、フェリスは妄想大暴走をはじめました。
    これからもがんばって目標週1回の更新をしていきますので、感想とよろしくお願いします。

    追伸:本作品表副題<オヤジ供の談義>
       同裏副題<フェリスのいけない妄想vol.1〜新婚編〜>(マテ)
    今回は以上、失礼しました。

引用返信/返信 削除キー/
■148 / ResNo.4)   Irregular Engage 壱、従者ノ到着(W)
□投稿者/ カムナビ -(2005/02/07(Mon) 15:58:42)
    2005/02/07(Mon) 17:12:03 編集(投稿者)

    フェリス・ノーマンは基本的に趣味と呼ぶべきものを持ち合わせていない。
    でも、やはり女性ということで風呂という習慣だけはほぼ、毎日欠かさず行っている。ただ、今回の場合はすこし異なるようである。先ほどから、彼女はずっと、口まで湯船につかり、そこからぽこぽこと泡を出している。
    (「は、はう・・・・・。」)
    彼女はとりとめもない思考を行い、再び顔を真っ赤にさせる。その理由は・・
    「湯加減はどうだ?」
    「は、はい!!大丈夫です!!」
    「ならばいいが・・・・・。」
    (「問題なのは、グレッグさんが近くにいることですよ〜〜。」)
    そう彼女は、聞き届けることもないはずの思考を再び始めた。

    (「まったく・・・・何をかんがえているのやら。」)
    彼は壁一枚隔てた先にいるフェリスの動揺の気配を走査しつつ、薪をくべていく。
    グレッグ・E・アイヒマンは基本的に魔科学を過信することはしない。何事もECやDEに頼っていては、いけないと昔から教え込まれ、そして今の仕事をしているからだ。
    この街で、この仕事を続けるために必要なのは、己の能力を正統に評価することだ。
    過信した奴は、3日で埋葬される。
    彼の属する組織は、それが可能なものと戦っているのだ。
    そして、今もまた彼はそれを知覚した。
    (「数は・・・・2,3匹か?場所は・・・4か5の<門>か。たいしたことはないが、連絡を入れるべきだな。」)
    「べオ、来い・・。」
    彼が誰かの名を呼ぶ・・・すると薪をくべている彼から約1歩調はなれたところに、気配にようなものが出現する。
    「ちょいと、頼まれてくれ・・・・数は、2〜3。場所は・・たぶん4の<門>だけど、5の可能性もある。クラスはたいしたことないから、待機中のAUP装備の連中を出してやればいいだろう・・・・頼んだぞ。」
    かすかに了承の意志を出し、急速に遠ざかっていく気配を確認し、彼は再びフェリスの方に意識を向ける・・・そこで、気づいた。
    「ああ?・・・・・まったく世話を焼かせる。」
    彼はそういって、薪をくべるのをやめ、立ち上がって、玄関の方へと向かっていく。

    気がつくと、そこは見知った天井だった。
    「あ、れ・・・・・。」
    フェリス・ノーマンは目覚めた瞬間自分がこの部屋にいる理由がわからなかった。
    「・・・・・・そうか、私・・・お風呂でのぼせて。」
    「気がついたか・・・・。」
    「あ・・・。」
    見ると自分が眠っていたベッドの横の椅子に座る男に気がついた。
    「まだ、起き上がるな・・・。結構のぼせていたんだ。今日はそのまま寝ちまえ。」
    「あ、はい・・・・・・。」
    気まずい沈黙が場を支配する。何か話題はないかとおもってフェリスは思考する、そして・・・。
    「あの、迷惑でしたか・・・。」
    「何が?」
    「あの、私みたいなのを下宿させることです・・・。」
    「・・・・正直言えばな。だが、ああみえてもあのエセ執事は俺らの上司だ。一応、正式な辞令も下ってる。だから、別に理性では文句はいわん。」
    「・・・・すいません。」
    「謝るな、俺はそうやって即座に謝る連中が嫌いだ。反省してるのなら、改善できるように努力してから、謝れ。」
    「は、はい・・・・・・私、がんばりますから。」
    「当たり前だ。働かざるもの食うべからず、何もしない居候をおいとくほど、うちは裕福じゃないんだ・・・・。明日は仕事探しに行くぞ。覚悟しとけ。」
    「え・・・・私は、教会の仕事が。」
    「使徒って言っても、基本的に教会が開いてないんだから何もできねえだろ・・・・何かアルバイトとかの経験は?」
    「あ、いえ・・・・うちは裕福だったので。そうゆうのはあまり・・・。」
    「ブルジョワジーめ・・・・・。」
    彼はそこで、苦笑とも言うべき笑いをする。
    それにつられて、彼女もかすかに笑いを見せて・・・そこで気づいた。
    「あ、あの・・・・・私、お風呂入っていてのぼせたんですよね?」
    「ほかにどこでのぼせろと?」
    「・・・・・誰が着替えさせたんですか?」
    「俺。」
    ぴし、と何かが響いた気がした。
    「まぁ、確かに背負ってきたときの感触はなかなかだったが・・・・」
    「な、なんてこというんですかーー!?ああ、まだ父さまと母さま以外に見せたことないのにーー!?せ、責任とってください!!」
    「責任?・・・・つまり君と結婚して、あーんな事や、こーんな事をやれと?」
    意地悪げに、彼は笑いつつ、言う。
    「ひゃーー!?具体的な言葉を出していなくても卑猥ですーー!!馬鹿ーーー!!」
    「想像してる君の方が卑猥だと思うが。」
    こうして初めての夜はふけていったのでありました。

    追伸:べオ君は主人の声が響くのを聞きながら、自分の食事はまだかなー?と思いながら、玄関で寝そべっていました。

    壱、従者ノ到着完

    一章目が完成ですね。やっとのことで、グレッグの出番が出てきた・・・。というか彼は主人公としては何か出しにくいキャラですね。どうにも出番が出しにくいというかなんというか。ともかく、次は金曜日か土曜日の更新を予定しております。
    感想もよろしく。

引用返信/返信 削除キー/
■150 / ResNo.5)   Irregular Engage 弐、Misson01:お勤め先をGetせよ!!(T)
□投稿者/ カムナビ -(2005/02/12(Sat) 14:38:27)
    2005/02/24(Thu) 20:47:41 編集(投稿者)
    2005/02/12(Sat) 14:39:28 編集(投稿者)

    「ふ、ん・・・・・」
    フェリス・ノーマンの朝は早い。元々は普段から教会の修道院にいたからであったが、それも3年も続けると慣れてくる。
    だが、今日は珍しく彼女は遅起きであった。
    「ふぁあ・・・・・・・」
    「目ぇ、さめたか?」
    「ふぇ!?」
    原因は、目の前にいる黒髪の男。彼のせいで眠れないったらありゃしない。
    別段、変なことをされたわけではないが。
    「な、何で、この部屋にいるんですかぁーー!?」
    「何でって・・・・朝食だっていっても起きてこないからだろ?」
    「だ、だからって・・・・ノックぐらい・・。」
    「したら、『どうぞ〜〜』って反応があったが・・・・・まさか無意識でしてたんじゃないだろうな?」
    「そ、そんな馬鹿な子とするわけないじゃないですか!!あははは・・・。」
    ごまかすように言うフェリスだが、内心では・・・
    (あ、あうう・・・・また、やっちゃいましたか?)
    修道院時代から言われていたが、彼女は寝起きが非常に悪い。それはもうこれでもかって感じなくらいだ。
    起きるのが早いっていうのも他人にそれを見られないためにがんばって努力した結果だ・・・・・修道院に入って一月もしないうちにばれたが。
    「まぁ、どうでもいいが・・・・・朝からサービス精神旺盛か?」
    「はい?」
    エプロン姿のグレッグは、表情を変えずに、フェリスの方へと指を指す。
    その指の示す先へと視線を移していくと・・・・
    パジャマの首から上のボタンが幾つか外れ、修道院時代も同室の子からうらやましいとされた豊満な胸の胸元がのぞいている。
    「しかし、なんだね・・・・君は痴女か?」
    「い、いやぁーーーーー!?出てってください!馬鹿ぁーーーー!!」
    すでに予測していたのか、部屋の入り口のドアのところにいたグレッグに対して、そば殻の入った枕を投擲する。その瞬間、扉が閉まって当たることはなかったが。

    グレッグのすむ家のキッチンは一流レストラン顔負けの設備と道具がそろっている。これは彼の数少ない趣味の1つだ。食生活が豊かでないと精神が駄目になると自負を持つ彼にとってこの料理ともうひとつの趣味は心の癒しとなるものだ。
    「しかし、そんなに膨れるなって・・・・不幸な事故だ。過失は一方的にそっちに押し付けるが」
    「ふんだ・・・・・。って、責任取れとは言いませんけど、少しぐらいそっちに責任もあるんじゃあ・・・。」
    「じゃかわしい。この家の主人は俺だ。俺が法律だ。俺に従え。愚者供。・・・んで、うまいか?」
    「前半無視しますよ。・・・ええ、おいしいです。グレッグさん、料理うまいですね。」
    「うむ、アイゼンブルグ生活初心者としてはその切り返しはOKだ。・・・ま、趣味だからな。」
    彼はキッチンで何かをしながら、答える。
    「ふむ・・上出来。」
    「えっと、さっきから何してるんですか?」
    「もう一人の同居人の朝食つくりだが・・・・。」
    「え・・・・。」
    ふと、顔を向けるとなぜか顔を赤くしていやんいやんと左右に顔を振っている、フェリスがいる。
    (何をやってるんだ。コイツは・・・・。)
    「ま、まだ。早いですよ・・・昨日であったばかりなのに。」
    「思ったんだが・・・・君は病気か?」
    な、という具合ですでに慣れきった動作で反論しようとする、フェリスを無視し、彼は裏の勝手口へと向かう。
    「べオ、朝食だぞ。来いや。」

    (べオ・・・?でもこの気配は・・・)
    自分で恥ずかしいながら放ったネタを見事に無視され、自分って魅力ないのかなぁと心の片隅で思いながら、彼女は突如現れたその気配に驚いていた。
    瘴気だ。間違いない。かつて、何度か教会の任務で対峙したこともある魔族特有の魔力空間から発生する狂気の力、ルナティック・ブラッド。その媒体そのものであった。
    彼女は今までの眠気を吹き飛ばし、臨戦態勢へと突入しようと・・・
    「構えるなよ。魔族だって、悪い奴ばっかじゃないんだからよ。」
    「っ!?(見透かされた!?)」
    彼女は内心の動揺をどうにか抑えつつ、視線を勝手口にいる白い大きな犬・・いや狼に向ける。
    「ま、初めてだから、自己紹介しておこうか。シベリアンハスキーの・・・睨むなって、ほんのおちゃっぴぃだ・・・魔氷狼(フェンリル)のべオだ。」

    「魔氷狼・・・?魔族の中でも獣型魔族では最上位に入る、あの・・?」
    「らしいな。」
    彼は朝食を食べているべオというらしい巨狼の頭をなでつつ、言う。
    「な、なんで・・・そんな上級魔族がここに・・・。」
    「五月蝿イナ。朝食ノ途中デ、囀ルデナイ。人間ヨ。」
    巨狼がしゃべったのを見て、彼女はびくっと身を震わせる。
    「別段、おかしくはなかろう?ここは教皇庁ではない・・・・大陸のへそ。アイゼンブルグ、いや大陸最大の<特異点>さ。」

    「だから、そう睨むなって・・・・・かわいい顔がだいなしだぞ?」
    「黙ってください・・・・・・あなたも魔族なんですか?」
    違うと彼女はすぐに頭で否定した。この男には、瘴気がない。
    自分の知る限りではほとんどの魔族には瘴気があるはずだ。
    「どう思う?」
    くくっと苦笑しながら、彼はこっちに視線を向けてくる。
    「・・・・・信じます。私に敵意のある魔族だったら、すでに私は死んでいるでしょうし。」
    彼女がいつもつけているペンダントにも対魔術用の簡易結界なら展開するだけの力はある。だが、魔族相手にそれが通用するとは思えない。精神に重きを置く彼らの魔術はたとえ同じ内容だとしても人間が作り上げた魔術の数倍から数千倍の威力を誇るのだ。
    かつて使徒として対魔族戦を行った事のあるゆえの判断だった。
    すこしづつ、肩の緊張をほぐしていく。
    「でも・・・ひとつ不可解なんですが。どうやって、魔氷狼みたいな上級魔族を使役してるんですか?」
    「企業秘密だな、それは。それに1つ訂正するがあれは使役してるんじゃなくて協力してもらってるんだよ。」
    彼は食器を洗いながら言う。
    「でも、魔獣使いでも・・・そんなことができるわけ・・。」
    「気にするな、気にするな・・・・・しわが増えるぞ。」
    「ま、まだ、そんな年じゃないです!!」
    「よし、調子もどったな。出かけるぞ、そろそろ・・。」
    食器を片付け終わった彼は手をタオルでふきながら言う。
    「へ?どこへです?」
    また、気遣ってもらえたのをすこし嬉しく思いつつ彼女は聞いた。
    「昨日も言っただろ?働かざるもの食うべからずがうちの家訓だ。さっさと、準備しな。忙しいぞ、今日は。」
    彼はそういってウインクし、話はおしまいとばかりにエプロンを置いて、キッチンを出て行った。フェリスはあわてて遅れるまいと自分の部屋へと向かっていった。

    どうも〜〜、今日はやたら高低差が激しいお話です。ついでに今までにないくらい長いです。我ながらよく書き上げたものです。
    べオの正体が明らかになりましたね。べオという名前からベオウルフと考えた人は何人いるんでしょう?あえていうなら、彼は本名ベオウルフですが。・・ベオウルフはドラゴンだろ?うけつけませんともw。
    話は変わりますが、フェリスのサービスシーン(笑)の描写はこれくらいでいいでしょうか?できうる限り18禁的な表現はなくしてるつもりなんですが・・。
    では、今日はこんなもんで失礼。黒い鳩さん以外の感想もお待ちしてます〜w

引用返信/返信 削除キー/
■155 / ResNo.6)   Irregular Engage 弐、Misson01:お勤め先をGetせよ!!(U)
□投稿者/ カムナビ -(2005/02/17(Thu) 13:42:59)
    2005/02/24(Thu) 20:48:00 編集(投稿者)
    2005/02/17(Thu) 23:21:51 編集(投稿者)

    アイゼンブルグ中央6番街
    アイゼンブルグの領主城<フューラー城>から始まり、旧市街メインストリートをを通り、新市街のレーベンスホルン中央広場を経由して、新市街の商店街やマイスターロード、そしてアイゼンブルグ外部にあるアイゼンブルグ統合駅舎へと続く幾つかの通りのうちの1つであり、もっともサービス業などの第三次産業が集中する場所である。各地からの新鮮な食物などが入ってくるため、古くから名店や老舗と呼ばれる店が多く、各国からこの通りの味を求めて訪れる観光客も多い。
    そしてそこのとあるカフェテリア、フェリスはやたら気まずい気分だった。
    「皿14枚、グラス22個他にもエトセトラ、エトセトラ・・・・一日の戦果としてはどこぞの撃墜王いじょうだな?」
    皮肉気にグレッグはフェリスを白い目で見る。
    「だ、だって、あんなに持たされるなんて・・・・。」
    「あれが当たり前だ。慣れろ・・・・・っていうのは無理か。店主に本気で連れ帰ってくれって泣いて頼まれたぞ。後で、侘びに菓子包みでも持っていかないとまじで俺がへこむわ。」
    「うう・・・・言い返すことができません。」
    「反論したら、マジで剥いて放り出すぞ、たわけ。・・・・ともかく、飲め。」
    グレッグは目の前に置かれたカフェ・オレを指し示しつつ、彼は自分のコーヒーを飲む。
    彼女は穴があったら入りたいような心境で、カフェ・オレを口元へ運ぶ。
    (ったく、疫病神もいいとこだ・・・・。)
    今日一日この目の前の少女の勤め先を捜して、試しに知り合いの飲食店へと紹介してみたのが運のつき。落とすわ、壊すわ、やたらやりまくった挙句首にされたのであった。自業自得としかいいようがないが、それでもやりすぎだと思った。
    「こりゃ、多分明日から雇ってくれるとこなんてないぞ。ここは、そうゆう情報がすぐに伝わるからな。」
    びくっと震えるフェリス。
    「となると後残ってるのは・・・・・・・夜のお仕事関係か?」
    「ひ!?い、いやぁ・・・・・。」
    「冗談に決まってるだろ・・・・・そうゆう顔で俺を見るな。犯罪者扱いされている気分になる。」
    「ひ、ひどいです。冗談でも、そんなこと言うなんて・・。」
    「だってお前さん、売り子とかやっても絶対同じことやるし、二次産業関係はもってのほかだしな。」
    彼は再びそこで考える・・・・・。そして昨日渡された資料を思い出した。
    「そういや、君はマジェスティック12出身だったか?」
    「え、はい・・・・・。」
    彼女は胸のペンダントをはずすとチェーンのついた部分をすこしつまむ。するとペンダントの中心部の青い宝玉から光が飛び出て、空中でそれが平面を描いていく。
    そして、そこに彼女の写真が貼られ、そこの横に教皇庁をあらわすシンボルとM12という文字が浮かぶ。
    「無駄に高機能だな・・・・・ちなみに序列はどれくらいまでいったんだ?」
    「えと、<力天使(デュナメイス)>クラスです。」
    「序列第五位か・・・・その年でそこまでいけばたいしたものだな。よし・・すこし、まってろ。」

    そういって、電話のところへと向かったはグレッグの背中を見ながら、フェリスはため息をつく。
    (何をしているんでしょうか・・・・私は。)
    彼女はきわめて、ぶきっちょである。であるから、他人並みに同じ事をしようとすると時間がかかる。
    (それを直すために、修道院に入ったのに・・・。)
    結局は改善されていない。ただ、魔術については人並み以上どころか魔力察知能力とエーテルの操作能力では、まず100年に1度の人材といってよい。M12に推薦された理由もそれなのだが・・・・・。
    (もう・・・泣かないって決めたのに。)
    彼女はここに来る前にちょっとしたミスを犯した。大事には発展しなかったが、それでも彼女のその欠点から発展した事態でこのようなことになったという点で、彼女は気を病んでいた。それからチームメイトなどの励ましになどにより、多少は改善されたものの・・・・・心の中にしこりは残っていた。そんなとき、遠い親戚にあたるデフォン司教からこっちへの赴任の話をされ・・・今に至る。
    (駄目よ・・・フェリス、まだ何も終っていないのに。)
    「でも・・・もう・・・。」
    「何泣いてるんだ、君は。」
    もう泣きかけていたときにグレッグの声が横から響いた。

    (泣いている・・・のか?)
    電話を終えて、ふと席にもどってみるとフェリスは顔をうつむいていた。そして、その顔は今までにないほど、沈んでいる。
    (言い過ぎたか・・・・・・?)
    違うと彼は思った。あの顔は見たことがある・・・・そうかつてにもあの顔をしていたのは・・・・。
    「・・・・・俺か。くそっ」
    そう、彼は悪態をつくと、フェリスのそばへと寄っていく。
    「何泣いているんだ、君は。」
    「ふぇ・・・・・。い、いえ・・・泣いてなんか。」
    「無理はするな・・・・・・泣きたいならあとで思い切り泣かせてやる。ベットの上でな。」
    「へ・・・・・な、なんて破廉恥なこと言うんですかーーー!?」
    (うし、リペア完了)
    「さっさとここ出る準備しろ、仕事場が見つかったぞ。」
    「え・・・・・。そ、そんなさっきまでは・・・。」
    「都合が変わった・・・・知っているだろ。このアイゼンブルグの真実の姿を?そして今から案内するのは真実を虚実とするべく戦う防人の集いだ。」

    どうも〜〜。久々にグレッグ君の出番が多いです。でも次はまた元に戻りますw
    しかし、ちょっと苦しいなぁ。ネタがそろそろ・・・・まぁ、がんばりますけど
    さてそろそろ戦闘も始まるときですね。気合入れて書きましょう。では、いつもどおり感想よろしく〜〜




引用返信/返信 削除キー/
■158 / ResNo.7)   Irregular Engage 弐、Misson01:お勤め先をGetせよ!!(V)
□投稿者/ カムナビ -(2005/02/24(Thu) 17:13:16)
    2005/02/24(Thu) 20:48:22 編集(投稿者)

    アイゼンブルグ独立自衛軍
    元々は完全な中立国的なアイゼンブルグだったが、400年前の帝国侵攻により、領内の防衛力の脆弱性が明らかとなったことで整備された半公半民の公開組織である。その組織体系はアイゼンブルク領内の警備・防衛を行う作戦部、対外情報などの収集を行う情報部、作戦部、情報部の装備を開発する技術部からなる。
    そして、その本部は旧市街にしては珍しい目新しいビルと旧市街らしい歴史を感じさせる石造りの建物が合わせて存在する奇妙な区画にあった。その一区画に彼らの姿はあった。

    「さて、ここだ。」
    また歩いてきたらしく、すでに周りの日は落ち始めている。
    そんな中でも目の前にある建物はここに来るものに圧力をかましだすように、存在している。
    「倉庫」、そこにはそう書かれていた。
    「あ、あの何でこんなところに・・・。ま、まさか・・私を食べる気じゃ!?」
    いやんいやんといった感じでまた妄想はじめたフェリスにデコピンを見事にクリティカルヒットさせ、そこで悶絶しているフェリスを抱えると彼は倉庫の扉を開けた。
    見た感じから言えば、普通の倉庫だ。何のこともない、普通の倉庫らしくコンテナやダンボールが重なっている。彼はフェリスを肩に抱えつつそんな倉庫の中をどんどん進んでいく。
    「ひゃん・・・ちょ、ちょっと降ろしてください。」
    「駄目だ、君は地に足が着くと地中からボケ因子飲み込んで、強制的にボケに走る傾向がある、んな精神逝ってる奴のいうことなんぞ聞くか、くそったれ。」
    「な、そ、そんな因子ありません!!っていうか精神も逝ってません!!」
    無視する、いじいじと彼女が自分の背中にのの字を書いているのを感じつつも、彼は目的となるものを見つけた。
    雑多に落書きの施されたコンテナだ。だがそれ以外はごくありふれたコンテナと言えよう。
    「すこし待ってろ。」
    彼は彼女を下ろすと、そのコンテナの表面の幾つかの模様に触れる。すると・・・そのコンテナからかすかに駆動音が漏れ、コンテナの前面がゆっくりと空いていく。その中には、エレベーターと思われる建造物があった。
    「うし、開いたな・・・・さて、行くぞ。」
    「そ、そんなはじめてが、エレベーターでなんて・・・・ぽ」
    「本気でここで犯されたいか、貴様。」
    「じょ、冗談です。ボケ因子なんてないってません!!さぁ、早く行きましょう。さあ!!」
    そういいつつ、彼女はエレベーターに乗り込む。
    「・・・・ちっ。」
    軽くしたうちしながら彼はエレベーターに乗りこむ。するとコンテナの前面が閉まり、エレベーターが軽い駆動音とともに下に下がり始める。
    彼は軽く壁に寄りかかる。つまり当分はかかるということだろう。
    狭い空間、二人っきりだ。
    こうなると異常に妄想を書き立てたくなる乙女回路を押さえ込みつつ、フェリスは疑問をぶつける。
    「あ、あの・・・・今度はぼけじゃないですよ。」
    「わかった、で?」
    また、ボケだと思われていたことに多少ショックを受けつつ、フェリスは続ける。
    「ここは一体・・・。」
    「想像はついてるだろ?あえて正式名称をあげるならEISDF非公開部門対非知覚現象体殲滅機関<アポカリプス>への入り口。簡単に言えば、君らM12やクロイツの同業だよ。節操のなさではこっちが上だがな。」
    「・・・・やはり実在していたんですね。」
    「この街の<特異点>、教会用語だと<降臨領域>っていうのか?まぁ、どっちでもいいが、その大きさと規模を考えれば地元が何もしてない方が異常だろ。」
    その通りだ。このアイゼンブルグは他の<特異点>に比べてもはるかに<門>の展開に必要な<虚点>の空中存在数が多い。その割には、ここで魔族が現れた話は聞かない。だから、教会の広報部(実際には国家情報機関のようなものだが)も何らかの対抗組織が存在するという可能性だけは否定もしなかったというのを噂好きなチームメイトから聞いたことがある。
    「でも、どうして・・・・」
    こんなところに入り口があるのかと続けて疑問をしようとしたとき、チンとかすかに音が響き、エレベーターが泊まった。
    「あとの話は、すぐにできる・・・いや、わかるといったほうがいいか。ようこそ・・・<アポカリプス>へ。」
    エレベーターが開き、外の光が入ってくるのと同時に彼は仰々しく礼をした。
    やはり悪魔に騙されている気がした。

    どうも、何か魔術全然使ってない気がするカムナビです。
    いや、何か前半は書くのが結構つらかったのですが・・・後半は好きなネタなのでともかくハイスピードにかけました。
    さて、次かその次あたりでこの話は終わりです。そして実戦編へと入って、その後伴のLの出現ですというのが予定ですが・・・・。果たしてどうなることやら。
    というわけで、毎度おなじみ感想お願いします。

    PS:<虚点>の虚をホロウと読むのはいかんのですw

引用返信/返信 削除キー/
■161 / ResNo.8)   Irregular Engage 弐、Misson01:お勤め先をGetせよ!!(W)
□投稿者/ カムナビ -(2005/03/05(Sat) 14:51:25)
    「広いですね・・・・・。」
    「まぁ、位相空間内だからな・・・広いのは当たり前。ほれ・・・」
    ここはアイゼンブルグの地下・・・ではなく地下にある位相空間制御機構から生み出された一種の閉鎖型空間の内部であるらしい・・・。
    そして、彼女はその空間の入り口でなにやら逆デルタ型のエンブレムにEISDFの文字とアイゼンブルグの旗である赤い旗にハンマーと剣そしてその交わるところに緑の宝玉の絵があしららわたタグであった。
    「あの・・・これは?」
    「ああ、ここに対人レーザーとか攻勢防御型魔術トラップとか大量に設置されてるからそのタグつけず動き回ったら死ぬぞ。」
    「っひぇ!?」
    びっくりして微妙に入り口のボーダーラインらしい赤いテープに仕切られた空間にすこしはみ出す。
    じゅ・・・・
    「な、なんて危険なものつけるんですか!!」
    「仕方ないだろ・・・・一応非公開組織だからそれなりの装備は整えないといかんし・・・あと、見えそうになるは分かるがスカートのスレット押さえながら話すのは情けないぞ。」
    「騒々しいです!!」
    真っ赤になりながら、フェリスは手近にあったレンチを投げつける。もちろん避けられたがw

    「何をやってるのぅ、あやつらは。」
    「・・・・私としてはあの小娘をさっさと問答無用で排除したい気分です。」
    立派な顎鬚を豊かに蓄えた男性と長い耳をもった少女といっても申し分ない女性が
    言う。
    「アルフレート老、エリス嬢・・・いい加減にしておけ。そろそろ・・・・彼らも呼ぶべきだ。」
    その上からの声に彼らは目の前に広がる巨大なスクリーンに浮かぶ模様に気づく。
    「む?・・・・ほうこれはこれは・・。」
    「・・・・・来ますね。デフコン4発令します。あとは<虚点>の集中が確認されてからでいいですね。」
    「ああ・・・、ただし<イージス>近似次元層防壁は起動を開始。いつもどおり、顕現だけは防ぐぞ。<アポカリプス>機関、戦術機動準備!!」

    突如DEFCON4 AREATと刻まれた画面が展開され、声が聞こえてくる。
    『<アポカリプス>COCCより戦術要員各員へ達す、ただいま特異型低位次元振動をHOYシステムの予言が察知、数分以内にデフコン3、数十分以内にデフコン2もしくは1の発令が懸念されます。各要員は順次配置についてください。繰り返します・・・・』
    「な、なんですか!?なんですか!?」
    「戦争の始まりさ・・・・・急ぐぞ!!」
    「って、ちょっと待ってください。お姫様抱っこなんて・・・ってそこはーー!?」
    「じゃかわしい、文句は後で聞く。」
    彼はそういって彼女を抱きかかえたまま、回廊を急いでかけていった。

    あとで、恐ろしい目にあうとは知らずに

    久々の更新です。本当は機能更新するつもりで書いていたのですが、気に入らなかったので削除しました。ちょいと短いですね。まぁ、次は戦闘編に飛ぶでしょう。
    では短いですが、これで・・・・。感想もよろしくです。



引用返信/返信 削除キー/
■165 / ResNo.9)  Irregular Engage 参、インターセプト(T)
□投稿者/ カムナビ -(2005/03/18(Fri) 01:14:15)
    2005/03/18(Fri) 09:50:38 編集(投稿者)

    「ひぇ、あぅん!?」
    「妙な声を出すな・・・・・。」
    「あぅ・・・だ、だって、そこは・・・・!!」
    「もうすぐだ、我慢しろ・・・。」
    先ほどから長い長い回廊を走りっぱなしで、それを片手で肩に体を乗せられているものだから、やたら敏感な部分が揺れて、グレッグの筋肉質の硬い肉体にあたり、どうしても声が出るらしい。
    (まぁ、その点ではどこの女もたいして変わらんが・・・・・。)
    こう見えても、見た目よりは多少は長く生きているグレッグだ。女性経験も少なからずある。
    (19か・・・・顔は多少幼いが、体は平均よりは上かね・・・・まぁ、私的経験にもとずく平均だが)
    ああ見えても、ベットの上ではすごいんですと<アポカリプス>女性職員からよく噂にあがるグレッグ君であった。ちなみに部内ランキングでは上位20位からここ数年落ちたことないらしいw

    (うう・・・・すれて・・・・し、羞恥ぷれいですか!?)
    赤面しつつ、黙って担がれることにしたフェリスだが、その頭の妄想回路を除く脳の各部は、確実にこの施設のすごさに気づいていた。
    (間違いなくAクラス以上のアーティファクト・・・・でも何で手をだそうとしないんでしょう。どこの国も・・・。)
    友好的な連邦と学園都市、もしくは他国の領土を心配してる暇のない内乱中の共和国や列強より小さな中小国(むしろ彼らは親アイゼンブルク傾向がある)ならともかく、元々仲の悪い帝国、制度上の違いで国内にありながら対立する王国、そしてアイゼンブルグ草創期において、熱心に布教を行ったにもかかわらず、あまり受け入れられなかったばかりかその後の根源氏族協定(人間以外の亜人種、及びにそのハーフなどの受け入れとそれに基づく法整備を取り決めた条約、通称7シスターズ協定)での魔族受け入れ以来冷え切っている私たち教会(といってもかなり大きな都市なので、司教レベルの人材をはじめ幾人も派遣されており、街側も布教活動を認めているが。それに彼女は連邦の出身なのでさほど、この町を嫌っているわけではない)ならばすくなくとも情報機関の機関員なら入っているはずだ、それなのに目立った話は聞かない。
    (何かが・・・・押しとどめているのかな?でも、それって一体・・・)
    そのとき、ふとうすら寒いものが頭をよぎった。
    (まさか・・・・禁忌級アーティファクト!?)
    それは直接的な証拠がない噂の領域をでていないものだ。だが、間接的な証拠がある。例えば、連邦のとある山間部にはまるでガラスのように溶かされた巨大な谷が広がっている。ここにはこれほどことのことができる熱量を発生させることができるものはそのあたりには存在しない。(現在は失われて等しい神法などの魔法もこの禁忌級アーティファクトとして扱われる場合がある)
    そのような間接証拠が各地に存在すると聞いたことがある。
    (存在・・・しているの?だったら・・・私は、どうしたら・・・。)
    「ついたぞ・・・。」
    彼女のひどく思い悩んだ心に気づかずグレッグは目的地に到着したらしかった。
    「よっと・・・・なんだ?その面は・・・・もしかしてアレか。上ったか、天に?」
    「は・・・?・・・・・・・・な、なんてこというんですか、ばかーーーー!!」
    突如言われたことをしばらく時間がかかって理解した彼女は思わず叫んでいた。
    いつもと違って、周りに人がいるのだが
    「あ、少佐。今来たところですか?って・・・・このなんか痛い人は?少佐の新しいコレっすか?」
    「うわーー、若いわぁ・・・・・というかロリ?」
    「いや、出るとこは出てる・・・・。中尉、やはり少佐はアンバランスに萌えたのでは?」
    「つーか、てめえら早速だがしごかれたいか・・・・。」
    「うう、私は痛い人じゃないですって・・・・誰ですか?」
    そこには三人の男女がたっていた。一人はそうやら獣人のようだ。
    「うちの小隊の連中だ。詳しい紹介はあとだ・・・・。現在状況は?」
    「はい、現在Unknownは三群ほど接近しており、そのうち二群はいつもと同じくらいの<レギオン>だと向こうから連絡がありました、ですが残りの一群が<アークデーモン>級とのことっす。」
    「大物という程度ではないが・・・・久々に腕がなるな。ローアン伍長とアブラム軍曹は?」
    「<トールハンマー>のチェンバーにこめる<Dブリット>の最終調整と資材を運び込んでます。」
    「他の出動小隊は?」
    「俺たちシュツルム特化分隊以外の特化分隊はなし。あとは歩兵のアルファからガンマ分隊、その支援に機甲のT分隊と工兵のストラスブール分隊を出すそうです。」
    「ま、妥当だろう・・・・・準備急げよ。」
    「ヤー、ヘルグレッグパンツァーリーダー。」
    周りに集まっていた人々が散ると同時に彼女はグレッグの雰囲気が変わっているのに気づいた。
    「さて、君は今日づけでこのシュツルム分隊でアルバイトすることになった。」
    「は、はい?」
    「なおこの辞令には上司であるデフォン司教及びに君のお父上であるアルフレート・ノイマン氏にも同意していただいている。拒否は許さん。ちなみに階級は軍曹だ。」
    「って、司教もお父様もグルかーーーーー!?というか司教はここにいるんですか?」
    「はっははは・・・はめられた君が悪い。ちなみにその質問にも答えられん。さぁ、案内しよう。地獄の底からやってくるお客人を歓迎するための場所へ。」
    彼はそういって目の前にある先ほど三人が消えていった扉を開き、その中のトンネルを抜けていく
    そしてそれを抜けた瞬間・・・彼女は沈黙した。

    とんねるをぬけるとそこには・・・・

    いや、忙しくて更新ができなかったカムナビです。そのお礼もかねて次のこの話の続きは明日か明後日にやろうとおもってます。どうぞご期待の程を・・・
    え、何に期待しろって?・・・・・漢の浪漫にですよ(微妙にネタばれw)
    ともかくふぁんたじ〜〜な雰囲気完全にシャットダウンしてますが、そのあたりはご愛嬌w
    では、次回をお楽しみに。そして感想もお願いします。




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