ドシィン!
?「キャァァ!」
一人の少女が誰かにぶつかって倒れる。
走っていたので勢いよくぶつかり、頭から地面に倒れていく。。
ドシュゥ!
しかし少女が気がついた頃には地面に倒れずに立っていた。
?「あ・・あれ?! い、今・・ぶつかって倒れたと思ったのに、何で?!」
確かに足が地面を離れ体が宙に浮いたのだ。
普通なら背中から落ちて怪我をするのだろうが、少女の体には傷一つついていない。
目の前にはこの少女がぶつかった、制服を着た男が立っていた。
男「お前危ねぇなぁ・・学校はもっと早く出ような。」
少女「な・・・あんたも遅れて走ってたじゃないですか!」
男の着ている制服はこの少女と同じ学校の制服だ。
という事はこの男も遅刻寸前だということだ。
男「うわっ!そうだった、もう『使う』しかねぇ、遅れる〜!」
男はバッグをバタバタさせながら、学校と逆方向に走り出した。
?「ちょ、あんたこっちでしょー!・・って人の心配してる場合じゃなった・・私も遅れる〜!」
少女もあの男とは逆方向に走り出した。
少女の名前は森下 優美子(ゆみこ)。
後ろの結ばれた髪が特徴の高校二年生だ。
住宅街にでんと建っている春日原高校に通っている。
春日原高校の前には長い登り坂があって、この坂が年中登校者を悩ましていた。
夏になると暑さでしんどく、冬になると足を踏み外してゴロゴロ転がり落ちる事故も少なくなかった。
バシュウ!
森下「うわっ?!」
いきなり突風が吹いて風が森下のすぐ横を通っていった。
風は異常に強くスカートや髪が激しくなびかれた。
森下「な、何今の風・・普通にしては強すぎ・・って遅れる〜!(泣)」
結局森下は鐘が鳴る前に教室に入れず、担任にお決まりのデコピンを食らうのだった。
学校が終わると彼女はいつものように元来た道を戻って家に帰った。
ドアを開けて入るなり荷物を置き、ソファに寝転ぶ。
側で彼女の父が何やら怪しげな動きをしてテレビのリモコンに念をかけている。
森下「お父さん・・また気功やってるの?」
父「何年もやってるんだ、そう簡単に諦められるか!」
森下「まぁ仕事だからしょうがないけど・・」
森下の父は気功で腰痛などを治す、気功治療士である。
前はちゃんとしたサラリーマンだったのだがリストラされ、仕方がなくこの仕事を始めたらしい。
家の隣に小さい治療室があるのだがあまり儲からず、妻には逃げられて、家も小さく、娘の優美子と二人で暮らしている。
父「ハァアァァ〜!」
森下「・・・浮かないって。じゃあ私買い物行ってくるから」
父「あっ、今日ハンバーグね。」
力み過ぎておならをしながら父は言った。
森下はため息を吐いてエコバックを持って家を出た。
この時、家の窓から誰かに覗かれているなんて思いもしない。。
森下(そういえば今日の朝・・ぶつかって倒れた時なんで地面に転ばなかったんだろう。
確かに転んで足が地面から離れてたのに・・)
森下は買い物が終わり家に帰る途中ふと思いだした。
しかし今の森下にはその理由はわかるはずはない。
家に着くと森下は家に違和感があることに気付いた。
異常な静けさ、暗さを感じるし、確かに締めたはずのドアの鍵も締まっていない。
更に窓からは電気をつけていないらしく、光は見えない。
十月の六時前だというのに何故電気を消しているのだろうか。
森下は恐怖を抱くが勇気を出して家に入り、リビングに歩いていった。
するとリビングには森下の父が血を流して倒れているではないか。
森下「お父さん?!」
?「もう死んでるさ。」
森下「だ、誰?!」
暗闇の中のソファから立ち上がって髪が長く、無精髭を生やした男が現れた。
森下「あ、あんた・・・・私のお父さんを・・・」
?「ククク・・直ぐに親父さんの跡を追わせてあげるよ・・」
森下「う・・・・・・」
?「ん〜でも君、結構可愛いから、犯してから殺った方がいいかな〜?」
森下「ひぃっ・・・・」
?「うん、やっぱり犯してから殺す!」
男は森下に向かって走ってくる。
森下「キャアァ〜!!」
ガッシャアーン!
次の瞬間。家の窓ガラスが割れて誰かが入ってきた。
?「なにぃ?!」
入ってきた誰かの拳は光りそのまま男に向かっていく。
男は拳を避けて部屋の隅に移動した。
森下「あ、あんた・・朝の・・」
朝男「んっ?・・あっお前朝の!」
?「あぶねぇあぶねぇ。邪魔すんなよなぁせっかくイイ子見つけたのに・・」
朝男「黙れ。お前らの好きにはさせない。」
森下「・・・・・・・」
?「いいさ、お前を殺してからヤるからな!」
シュンッ!
森下「き、消えた?!」
ガンガン! ガキン!
二人は一瞬の間で間合いを詰めて互いに殴りあった。
拳や足がぶつかり合い、目にも止まらぬ速さで殴っている。
森下「な、なにこれ・・人間が出来る範囲を越えてるよ・・」
何十発か撃ち合った後、再び間合いをとって静止した。
朝男「中々やるな。」
?「ククク・・下のやつらと同じと思うなよ?」
朝男「おいそこのお前。」
森下「えっ?」
朝男「ごめん。」
キュボォ!
?「?!」
朝の男は手をポケットに突っ込ませると何かが男の腹にぶつかって、ショットガンに撃たれたように吹っ飛んだ。
男は血を吐きながら家の壁を突き破り道路に飛び出していった。
?「ぐぅ・・・く・・これは、居合い拳?!こいつ、やるやがる!」
ヤツはそのまま方向転換し他の家の屋根に飛び乗って逃げていった。
朝男「ふぅ、逃げたか。まさか民家を襲うとは思わなかった。
・ ・お前、大丈夫?」
森下「あ・・・は・・はい・・」
朝男「どうした?どっか痛いのか?!」
森下「い、いや・・・腰が抜けちゃって・・・」
朝男「・・・なんだよ。(汗)」
To Be Continued‐