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Spirit Stream 第二話
作者:PENGUIN   2008/12/27(土) 00:58公開   ID:/dkVrdlA.nE


男が逃げ去った後、朝の男は何処かに電話をかけ始めた。
救急車か警察を呼んでいるのだろうか。
しかし、警察や人にこの出来事を話してもきっと誰も信じてくれないだろう。
あの朝の男がポケットに手を突っ込んだらヤツが壁を破って吹っ飛んだなんて普通じゃない。
森下は生死を確かめようとせず、ただじっと父を見つめていた。
逃げ去った男はもう死んだと言っていた。生死が気になるが確かめる勇気がない。
その様子を見た朝の男が仕方なく朝の男が調べると森下の父は男の言うとおり死んでいた。
体は冷たくなり、脈ももう無い。救急車が急いでやってきたが死亡を確認すると
ゆっくりと父を積んでサイレンを鳴らさないで帰っていった。
事情を聞かないでいいのかと思ったが森下は父が死んでしまった事で頭が一杯だった。
森下は運んでいく救急車を見ながら静かに泣いた。
子供のように泣きわめくのではなく声も出さずに静かに泣いた。




「私のお父さんは・・いつも気功をやってて、いい大人があんな変な事やってて馬鹿馬鹿しいと思ってた。
・・・でもお父さんは私の家族。私はお母さんも無くしてお父さんも亡くした・・・」


「助けられなくて本当にごめん。もっと早く助けに来てれば・・・」

「・・あなたは何も悪くない。悪いのはヤツよ・・」

森下の涙は肌を伝ってぽろぽろと床落ちる。

「・・・こんな時に何だけど、お前の記憶を書き換えさせてもらう。」

「記憶を?」

「今日起こった出来事を書き換えさせてもらう。」



朝の男はそういって手を森下の頭にのせる。森下はそれを受け入れ目を閉じた。
記憶を書き換えるってそんな簡単に出来ることなのだろうか。
しかしさっきの後の事だ。きっと記憶を書き換えられてしまうのだろう。


「はぁ!」

バチィイ!


朝の男の手から光が放たれ部屋は明るくなる。
森下は静かに目を閉じたままだ。




「・・・・なんだ?脳への侵入が・・出来ない?!」


光は消えてまた部屋は暗くなった。朝の男は手を離すが森下は変わらない様子で涙を落としていた。



「忘れたくない・・忘れてはダメだから。私はお父さんを殺した人と戦わなきゃならない・・・」

「復讐するのか?ダメだ、女が復讐してはいけない。仇は俺が討つからお前は大人しく忘れろ。」

「ならあんたの力になる。だから『気』を教えて。さっきあんたが使ってた技は『気』を使った技なんでしょ?」


「お前・・・俺が『気』を使えるってわかってたのか?」


森下はまだ泣いていた。しかし目は紅く燃え上がる闘志に溢れている。
父を殺したヤツに後悔させてやりたい。戦いたい。
朝の男はその目に圧されてしまう。




「わ、わかったよ・・・・教えてやるよ・・・だけど、キツいよ?」

「大丈夫。耐えて見せる。私の名前は森下 優美子。あなたの名前は?」

涙を拭って彼女は言った。変なことになってしまったなと思いながら朝の男は答えた。


「・・・朝倉 康一だよ。」











次の日。森下は学校を休んだ。もちろん朝の男こと朝倉もつき合わされ、
今は静かになったしまった森下の家に二人はいた。





「さて、これから色々教えてもらおうかしら。」

「メンドーなことになっちゃったな・・」

「いいから教えなさい!」


「・・なんか、元気になってねぇ?」

元気だった・・昨日父が死にました、というのにそれはないだろと言うくらい元気一杯だった。
それどころかニコニコと笑みを浮かべている。なんて薄情なんだ・・
しかし朝倉は目が赤くなっていることに気づく。昨日一晩中泣いていたにちがいない。
この笑顔も作り笑いなのだろう。

「いいの!まず昨日の敵のことから教えてもらおうかしら。」


「はいはい・・・」

朝倉はこんな様子でも真剣なんだな、と察してあげ森下に教えることを決めた。

「あの敵はセントラルって言う組織の人でセントラルは何を企んでいるか解らないけど
とにかく何もかも破壊する組織。」

「何もかも破壊?」

「そう、目的はわからない。でもとにかく破壊する組織。
9月11日にニューヨークの貿易センタービルが崩されたろ?
あれも実はセントラルが関係してる。」

「9・11はセントラルが起こしてたの?!アルカイダじゃなくて?!」

「いや、アルカイダがセントラルと通じてるんだ。
奴らは『気』を使ってアルカイダを洗脳してるんだよ。」

「洗脳・・・自爆テロもセントラルが洗脳して・・・」

森下は次々と告げられる事実にショックを受けた。
自分は何も知らなかったんだ、と思い知らされた。

「そういう事だ。そこで俺ら、CDOはセントラルから色々と守るために働いてるわけ。」


「そ、そんな凄い事と関係してたなんて・・・」

「でもこれは極秘だ、トップシークレット。だからお前を殺した昨日の敵を捕まえたら
お前の記憶を消すからな。」


「・・・うん。」

森下は少し嫌そうな顔をする。記憶を消されたくないのだろうか。

「んっ、捕まえてもまだダメなのか?」


「いや・・・別に・・・」

朝倉は森下があわてる訳がわからなかった。
しかも顔はほんのり桜色に染まっている、益々わからない。


「と、とりあえず今度は『気』の使い方を教えてよ。早く使えるようになりたいなぁ〜」

「あぁ。」


朝倉は森下の反応がよくわからなかったがとりあえず気を教えることにした。


「えーっと、まずあぐらをかいて無心になれ。」

「無心・・・・」


森下は朝倉の言うとおりにあぐらをかいて無心になる。


「すると力がわいてくるからその力を手に集中させる。」

「手に集中・・・」


森下は力を手に送る。



「・・・・・・まっ、これが出来れば苦労しないんだけどね・・」

全然できてなかった。手に力を集中させるどころか無心にもなれない。
でも最初はこれが普通だ。『気』を習得することは簡単ではないのだ。

「まぁこれからだな、練習練習。」

「う〜ん・・・」


こうして森下の気の特訓が始まった。まず心を無にすることだ。
座禅のようにあぐらをかき、手を膝の上で組んで心が無になるまで続けた。




To Be Continued‐


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■作者からのメッセージ
台本形式を抜ける、とはこの事でいいのでしょうか?
とりあえず台詞前の名前を消してみました。
描写でキャラを示すのは三人や四人になると結構難しいなと思いますが
がんばってやってみます。
ではでは。
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