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機動戦艦ナデシコ 火星奪還作戦<ルビコン> T 爆撃目標<エリシウム>
作者:カムナビ   2009/02/25(水) 05:42公開   ID:OQ2W/VJe3hY
〜Cauntion!〜

本作品はナデシコ世界でもしも連合宇宙軍による火星奪還作戦が展開されたら?というIFにより展開されるSSともいえない筆者カムナビの自己満足この上ない作品となっております。

本SS服用の際には以下の点を頭に置いていただけると助かります。

*本作はTVアニメ機動戦艦ナデシコの二次創作です。
*軍オタの入ってるカムナビは出来る限り読み仮名を振りましたが、一般の方にはわかりにくい軍事用語がいくつか混じっております。
*表現上使用しているヒトラーなどの言語を使用しておりますが、作者カムナビは一切の思想的・宗教的勢力に染まってるわけではありません。



以上を承諾していただき、その上で「それでもいいぜ! メルツェーーーール!!」な方、もしくは「見てやろうじゃないの」な考えをお持ちの奇特な方のみこのままお進みください。










その恐るべき『凶鳥』は、ヒトラーがほんの少しまともだったら1945年の空に現れ、亜音速の燕たちを率い我等の心強い空の要塞を食い散らすことになっただろう。
私は本当によかったと思っている。その『凶鳥』が飛び立たなかったことを・・・


〜米陸軍航空隊爆撃機パイロットの言葉〜
なお、彼はユギオウォーT(第一次朝鮮戦争)中にMig-15により撃墜され、KIAとなっている。




機動戦艦ナデシコ 火星奪還作戦<ルビコン>T 
〜爆撃目標<エリシウム>〜





西暦2298年 8月 火星上空 30万フィート(約10km) エリアBR2
地球よりはるかにすんだ大気をもつ火星の空を飛行機雲が一筋、極冠方面へと向かっていく。

<アイリス1よりフォートレス、まもなくBR2に入る・・・電波状況が悪いな>

<フォートレス了解・・・戦略偵察兵団も楽じゃないな>

<ああ、だが、もうすぐ戦争も終わりだ・・・早く赤い大地じゃなくて青い海を満喫したいぜ>

<同感だ・・・まて、アイリス1。そっちに接近する奴がいる。>

<何? >

<方位1−2−0、高度は同程度、数は1機・・・くそ、いいステルスをもってやがる。はっきりしない>

<・・・識別は?>

<こっちからも上に確認をとったが現在このエリアを行動してるのは俺たちしかいない、とさ>

<まさか、トカゲどもの新型か?>

<だろうな、1機だけっていうのがちょっと妙に感じるが・・・OK、戦闘許可(エンゲージ)がおりた。アイリス1、方位0−6−0へゆっくり変針。横から<シュワルべ>で仕留めろ>

<一応高機動空対空ミサイルHAAMつんであるけどよ、偵察機にそんなことさせるなよ>

<俺らは所詮使いっぱしり。そうゆうことだよ>

<へいへい・・・>

彼は乗機−アスカエアロテック(AAT)製FO−118G<レイ>の進行方向を変更させた。



数分後
<なんだよ、こいつは!!>

彼は警告音とともに推力を絞り、ストール機動で何とかレーザーバルカンの直撃を避ける。

<くそ、なんて機動性だ・・・!!>

くそったれと言わんばかりに彼は黒い敵機を睨みつける。

ステルス性の高そうな非連続線を多用した形状、見るからに攻撃的なカナードとクリップドデルタ翼、バケモノじみた機動性と加速力を発揮する双発エンジン。

それが敵機の正体だった。バッタなどとはまるで違う形状。まさしく流体力学と航空力学の申し子といっていい成層圏戦術機であった。

とはいえ、それだけならばこちらも近年はエステバリスのような新参者に主力兵器としての座を奪われつつあるものの大空に大志を乗せて飛び立った人類が作り出した機械仕掛けの鳥の1つの究極形、少々古い機体とはいえ先制攻撃ができる上、電子戦機の支援もある以上負けるはずもなかった。

事態の急転は電子戦機の誘導を組み合わせることにより、命中率90%以上といわれる驚異的な命中率を達成するHAAMが非線形機動で避けられたことから始まった。
さらにそれのお返しとばかりに発射されたミサイルがそのままフォートレス1を直撃、電子の傘を失ったアイリス1の乗機は現代戦において孤立したと判断される状態。
もちろんフォートレス1から脱出した奴はいない。



レーダーロック警報。

最後のフレアーとジャマーを放出。
視界の隅で爆炎に爆炎の華。

悪態。
第一なんでそんな機動ができる!?
HAAMは小型だが150G近いGに耐えられるんだぞ!!

「人間がそれに耐えられるわけ・・・っ!?」

ある考えが浮かぶ。

再びレーダーロック警告。機体を緊急出力へ、そのままパワーダイブ。

その中でも彼はやってはいけないと教官に言われた背後を見ることを行った。

そして確信した。




「ああ、くそ・・・!!」




敵機はBVR−AAM目視外射程空対空ミサイルを使い果たしたのか、確実にしとめようとしているのか至近といえる距離まで迫っていた。
機体下部で駆動する4本のレール。迫りくる死の予感。

だが彼の視線はコクピットの前方の見えるスリットに注がれていた。
そのスリットの奥に見えるそれは・・・



「この・・・蟲野郎!!」



それに応えるかのようにその機体は機体下部の40mm電磁投射砲からタングステン合金の投擲槍を発射した。
命中。秒速2000m/sを超える速度で命中した槍は、アサルトピットに張り巡らされた複合装甲の鎧を自らを溶かしながら進み・・・スポールライナー(内張り装甲)による最後の抵抗を容易く食い散らし、ティンダロスの猟犬よろしく彼に襲い掛かったのだ。

主を失った<レイ>はその20秒後、大地に激突した。

この場におけるもう一人の主人公である彼、正式名称97式航空強化装備付バッタはしばらく見守るように滞空し、翼を翻した。
目指すは木連唯一の航空打撃軍、第一航空艦隊の根拠地エリシウム空軍基地であった。




<レイ>ドライバーであり戦略偵察兵団所属兵である彼が持っていたダイヤモンドより貴重な情報は火星奪還作戦<ルビコン>に生かされることもなかったが、彼を含めた数十名の戦略偵察兵団所属兵の死は無駄とならなかった。




火星には凶鳥がいる。





その噂が、攻略艦隊に警戒心を抱かせ、BR2を始めとする数エリアに徹底的なな軌道爆撃を仕掛けた。

それが木連軍に本来局地迎撃機として配備されていた97式航空強化装備付バッタを戦闘爆撃機として使用する愚挙へと走らせ、そしてその消耗とエリシウム基地壊滅によって当初の木連軍の火星防衛戦計画が初段において破綻することとなったのだから。



〜 〜 〜 〜 〜


FO−118G<レイ>
西暦2265年に採用された成層圏汎用戦術機。
G型はトカゲ戦争当時の最終アップデートモデルであり、エンジンをより高出力なサリュートAv−981(推力7.8MN、広域駆動スクラムジェット)変更し、コクピットにエステバリスのアサルトピットを採用し、アルビオニクスを全面的に改修したもの。

作中の機体はその偵察仕様の機体であり、偵察ポッドと大容量一体型燃料タンク装備したものである。また最低限の武装として、Rs−117<シュワルベ>高機動空対空ミサイル(HAAM)を4基搭載している。
本来戦術偵察が任務の本機であるが、戦略偵察任務のはずの戦略偵察機SR−271<ブラックバードV>は極めて高価かつ、機体数は地球・火星周辺を合わせてわずかに20機。火星周辺に存在するのはわずか7機という体たらくであったため、ばしば代理の戦略偵察機として用いられた。

なお、正式採用が新型機材に対する名称基準改正(2268年)以前のため、草花の名前ではない名前がつけられている。



97式航空強化装備
バッタの主敵はエステバリスのような機動兵器であったが、戦線の膠着そして後退につれて木連軍人のなかにも航空機の恐ろしさを認識するものが現れた。
地上からの要請であっというまに現れる戦闘爆撃機も怖かったが、電子戦機の支援の下現れる戦略偵察機が何よりも恐ろしかった。
航空バッタでも追いつけないマッハ7超という巡航速度は迎撃が極めて困難であるのだ。
マジンシリーズはもちろん迎撃には使えない。
あれは大気圏内で運用するのが極めて難しい機体なのだから。

そこで当時の木連軍技術開発総局は航空用バッタの強化案を提案した。
ただしただの強化案ではない。一時的な処置では超音速航空機には対抗できない。ならば思い切りやらなければ。
たたき台として用意されたのは火星戦や地球での戦闘で回収されたエステバリス・・・その換装機能であった。

換装機構は木連にとってあえて必要とするようなものではなかった。回収された当時においては。
当時は戦争の主戦場が宇宙であったため、今までの兵器で十分であったのだ。

だが地球における戦闘は彼らの想像を上回るものであった。

ビル一つに篭った敵部隊を殲滅するのに1個中隊分のバッタが必要となり、航空機は緒戦の奇襲を除けば徐々に対抗策を見つけていき、今では単身では戦うこともなく、エステバリスとタッグを組んでくることも多くなった。

ここにきて木連軍上層部は自らが喧嘩を売った存在の巨大さをやっと気付いたのだ。
「このままではいずれ技術的な優位がなくなるのではないか?」

その恐怖はやがて具体的な形をもって表れる。
火星の研究設備に遺された相転移エンジン、そしてそれを装備したナデシコ級相転移エンジン搭載戦艦。
優人部隊の練習設備に出現したジャンプ実験の残骸と思われる物体。

これを見ては、木連軍上層部は熱血で物事が解決できるなどとはもう思うことなどありえなかった。
れいづきは涙を信じない、つまりはそうゆうことだ。



「彼らは着実に歩を進めている。我等もそれに遅れるな!!」

この軍部内に発令されたスローガンとともに、当時遅れていた統合整備計画に緊急予算(機密費という悪習の存在ゆえに軍への予算は多額に存在していた)がつけられ、その中で行われたトライアルによって木連重工界の御三家の一つ、富嶽重工(FHI)の案が97式航空強化装備として採用された。

モジュール化されたステルス装甲と熱放射隠機構、さらに地球占領の際にロシアのTsAGI(中央流体力学研究所)などから収集した航空機用エンジンのデータを用いて作られた熱核ジェットエンジン、FHI<木星>エンジンは遺跡プラントにより押上げられた木星の金属加工技術の粋を集めたすばらしい性能を秘めたエンジンであり、それを搭載した機体は後に<伝説の凶鳥>、フッケバインのコールサインで恐れられるのにふさわしい意匠の作品であった。

人の登場を考慮しない無人兵器だからこそ可能なマッハ12.5の最大速度とマッハ5〜9弱の巡航速度。さらにはバッタ特有の非線形マニューバさえも可能な機動性、局地戦闘機としては十分以上のペイロード。さらに高度なステルス性。

すばらしい、まったくすばらしい機体であった。

そう・・・あまりに優秀すぎたのだ。

予想以上によい性能の機体を得ることができた木連軍上層部は、この設計陣にさらなる要求を突きつけた。

曰く、『モジュール構造ならばもっとオプションが欲しい。マジンシリーズの支援機としても使いたい』

曰く、『性能を少し削ってもいいからペイロードを増やして戦闘爆撃機としても使いたい。木連男児たちを一人でも多く生き残らせるために』

曰く、『我々も戦略偵察とまではいかないが戦術偵察程度ができる偵察機も欲しい。情報は力なんだ!!』

一つの要求が、二つに増え、四つに増え・・・最終的にはいくつかを統合しても10以上のモジュールオプションの開発要求は小規模な設計能力しかもっていない設計陣には明らかにオーバーといえる要求であった。

そしてそれは木連側に与えられた貴重な時間を浪費することにつながったのだ。

後に当機の設計主任であったアサイ技術少将は地球のとある軍事雑誌の取材でこう応えている。
「まるで、かつての石工の名をもつ会社のジェット戦闘機と同じ状態でした。
違ったのは独裁者の要求によるものではなく、ただ彼ら一人でも多くの木連軍人たち生き残らせることを目的としていたのでしょう。
・・・ゆえに私たちは断りきれず、設計陣の増強を条件にそれを飲みました。純粋に局地戦闘機として開発していたそれが、そうではない得体の知れない怪物に変わっていくのは、多少応えましたが現状としては正解だったのでしょう。

・・・記者さん、私はね。かつてあなた達がつけたフッケバインの名前を割と気に入ってるんです。まさしくアレは伝説にうたわれるモンスターになってしまったのですから」

戦後においてだが、航空機との連携が再度認識されフォーシフトウォーフェア、陸海空宇宙を統合した戦場として考える戦闘ドクトリンが考案されたとき、97式を改良した00式航空強化装備が<フッケバイン>としてバッタのような木連製無人兵器とともに正式採用されたことをアサイ少将はこう語った。



「人は化け物を恐れるんですよ、本当のバケモノキマイラになってしまったあいつのような奴を、ね」



なお、2400年代に突入した現在においてもかの装備は改良バッタとともに時代に即した改修が行われ、生産が続いている。


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あとがき
どうも、作者です。

現在の心境を一言で表すなら・・・「やっちまったZE☆」

本文が少ない上にシリアスがシリアス(笑)になってしまうカムナビの悪い癖で、ネタが微妙にちりばめられております。
その上、メカニカルが明らかに本文よりなげえ・・・と救えない状態ですね。
ですが、一応出来うる限りでがんばりました。
続くかどうかは、作者次第です・・・ですのでアヌビスとかでおっかけないでください(ぇー



最後にここまで見ていただいたすべての方に感謝を。
またメッセンジャーにて添削いていただいたりゅうきさまにはこの場で改めて御礼をさせていただきます。ありがとうございました。
さて・・・反省にちょっとコジマとメタトロンに汚染させてきます(脱兎)

09・02・26追記:いくつかルビ振りとおかしいと思った表現を訂正しました。

09・03・06追記:方位表現がわかりにくかったとの指摘がありましたので修正しました。ご迷惑かけてもうしわけありません。
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