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蒼穹の月 世界の始まり
作者:つばさ   2009/06/21(日) 00:55公開   ID:y.C3ECh3cdE
この世界は、全能なる神・ゼトによって造られたという。

 世界は広く、ゼトは太陽神ポロン、月の女神アティア、治癒の神ルメ、正義の神ジャスの四人の子供たちに土地を与えた。人を慈しみ、木々を育み、すべてを愛するように命じた。
 
 娘の一人である月の女神・アティアには、人間の中で特に愛したものが四人いた。中でも、セレーネという娘を特別に愛した。彼女の美しさは月を想像させ、アティアはセレーネを自分の侍女とした。四人の神々はそれぞれの加護を与えた土地で平和に暮らし、幸せな日々を過ごしていた。
 
 ある日、ゼトの弟であり、死の神・ヒースは天界から見たアティアの侍女のセレーネに恋をした。しかし、彼女が彼の気持ちに応えることがないとわかると、それまで誰よりも大人しい神であったヒースは嫉妬に燃え上がった。ヒースはゼトにアティアの侍女を自分のものにするために、世界を自分に託してほしいといった。しかし、ゼトはこれを認めなかった。世界は、それぞれの土地に子供たちの加護を受け、人々は十分に幸せなのだと答え、また神が人間と一緒になることは許されぬと答えた。ヒースは怒り狂い、セレーネが自分のもとへ来ないのならば、神々が愛した土地を、この世界を滅ぼすと脅したが、ゼトはこれを無視した。

 ヒースは天界から降りると、邪悪な心をもち、彼をあがめる人間を配下とし、世界に悪霊を放ち、この世界の唯一絶対の神となることを決め、配下にその実現を求めた。ゼトはこれに心を痛め、子供たちも一緒だった。ヒースがアティアの土地に攻撃をしかけることがわかると、アティアは兄弟たちに助けを求めた。兄弟たちは、それぞれに自分の力の一部を与えたものをアティアの土地に向かわせた。

 しかし、全員が集まる前に、ヒースはアティアの土地へと攻撃を仕掛けた。アティアは、愛した四人の若者に祝福をあたえ、ヒースを鎮めるように言った。一人は、アティアが最も愛した侍女、セレーネ。魔術師のルイ・エヴァン、双子の妹である女魔術師シルヴィア・エヴァン、英雄、リューク・キャンベラである。四人は全力を尽くして、ヒースを封印することに成功した。
 
 それぞれの神に力を受けたものたちが、アティアの土地に着いたときには、ヒースは封印されていた。しかし、ゼトは、この封印を破ろうとするものが必ず現れるだろうと告げた。神々によって力を与えられたものたちは、その力を代々の子孫に残し、いつか封印を破ろうとするものが現れたとき、また封印が破られたときは全力で戦うことを誓った。
 
 神々は、自らの光が封印に影響が出ないようにと天界から世界を見守ることにした。全能なる神、ゼトは魔術師ルイ・エヴァンと預言者シルヴィア・エヴァンに永遠に命を与え、世界の危機の際は、力を与えたものたちの力となるように命じたという。


 アティアの加護を得た土地は今、キャンベラ王国と呼ばれ、キャンベラ王室が統治していた。初代国王は、あの有名は英雄、リューク・キャンベラその人である。伝説の戦いの後、アティアによって国王の座を与えられたリュークは、国を整備した。リューク王は、この広い国を統治するにあたり、三つの一族に領地を与え、これを統治するように命じた。正式には、キャンベラ王国の領地になるが、現在はほとんど独立した小国として、存在している。シアトレ公国・ゼネート公国・クラメラス公国である。キャンベラ王室に忠誠を誓っている。

 この三つの中で特別視されているのがクラメラス公国である。クラメラス一族はアティアの侍女セレーネの一族だからだ。アティアによって与えられたセレーネの力はクラメラスの直系の娘に受け継がれている。力を受け継いだ娘は、漆黒の髪に氷青色の瞳をしており、世界は彼女のことをアティアの宝石と呼んだ。


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