Loss of Memory 0.Prologue&Monologue -神田ユウ-
作者:雲居卯月
2009/07/16(木) 16:31公開
ID:hsGCdAlxRq6
俺が、ラビというバカウサギ――まあ、呼び方は何でもいい――と
任務で向かうことになったのは、
【黄昏の街】
と夕陽の美しさからそう呼ばれる街だ。
俺をウサギと組ませたバカメガネ――頭の出来は良いかも知れねェが、
とにかく馬鹿だ――の話を要約すると、こういうことらしい。
結論から言えば、イノセンス及びその適合者の回収だ。
コムイの言うところによると、【黄昏の街】では最近、
怪我人や病人が倒れたその翌日には全快してしまう現象が起きているらしい。
…俺からすれば、珍しいことじゃないんだがな。
探索部隊曰く、
『朝と夕方の時間帯に一瞬で治ってしまうそうです。治る時間帯は大まかなので、
適合者が街にいる可能性は極めて高いと思われます』
だそうだ。実際に重症の怪我人が何人も快復しているらしい。
そこで、俺とラビが回収に向かうことになった――わけだ、が。
向かいの席に座っている奴は、うきうきと
「適合者が可愛い女の子だと良いよなー☆な、ユウ?」
などと抜かしやがった。
今は列車の中に居るが…任務だというのに緊張感のカケラもない。
しかしそんなことよりもムカつくのは…
「ファーストネームで呼ぶなと…何度言やわかんだ、
この
バカウサギ!!!」
「いや、ちょっと待っ!?
六幻は無しっしょ!?」
◆
彼女は、闇の中で影と二人きりだった。
真っ暗で光の無いそこは、現実味に欠ける。
彼女には何故かその影を見ることが出来たが――
彼女はその異質さにも構わず、影に問いかけた。
「【――】とあなたは、何?」
影は、少し間を置いて答えた。
その言葉には、笑いが含まれている。
「【――】は、あなた。
私はあなたと同じ【――】なの」
「じゃあ、答えてよ。
…私は、一体何?」
影は、すう、と息を吸って答えた。
「私は――…」
◆
少女は夢から覚めた。
それは、悪夢の始まり。
そしてそれ故に、幸せの終わりでもあった。
- ■作者からのメッセージ
-
初めまして、雲居卯月です。
オリジナルキャラがでてきます。
時間軸は原作よりも少し前からです(すぐにアレン入団の予定)。
二次創作というよりも夢小説だと
私は思っていますので、少し恋愛も入るかもです。
かなりの長編になりますので、
気長にお付き合いいただければと。
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